>>23>>24　ファルーサ


[歓声が遠かった。まるで砂で描かれたドラマだ。だってさァ、見世物になるようなモノ。それは果たして闘いなのか？

だけど楽しげだ。目の前のやり取りに何ら興味は無いが、一蓮托生となった隣のこの男には、せっかくだから興味を持ってもいいと思った。

のは、あの片翼のせいじゃないと。
言い聞かせるように、脳内から散らす。]


　……人斬りとか言うなし。


[明るい。底抜けに、そう思う。自分より年端がいかないからじゃない。根本的に違うと感じた。]


　ファルーサ、は……どうやって生きてきた？


　オマエ、"生きるか死ぬかの闘い"って、言ったな。
　なんでその２つが結果として同列になる？

　俺は生きていただけだ。
　生きる以外の結果なんて求めてなかった。

　玩具感覚で命のやり取りだろ、こんなの。
　ねぇ、オマエの見てる闘いの先は、何があんの。

[パス]

>>51

---
──商業区──


[死後の世界なのに、見慣れた景色にみえる。店、店、そして魅せ。まさか綺羅びやかなねーちゃんまで居るとはね……どこに行っても、人間の営みは変わらないという事か。皮肉だね、もう人間じゃないケドね。占いの館まであって、はは。何を見るって言うんだよ、未来か？


そのゴチャついた色達のなかでも、ソイツは目立った。
人間じゃないからだろうか？　『精霊』──ジン、と呼ばれる者の事は、殺した相手からよく聞いていた。つまり、金のある者にしか縁がないと、思っていたけど。]


　──おい。


[大して張りもしない音声で呼び掛ける。でも分かるだろ。鎖が、ついてんだから。だからソイツは振り返った。その表情が、どういう気分を表すのかは分かんねぇけど。]

[捕まえたは良いが、場を作るのが俺は上手くない。場を読んでいく──まァ殺すためにね──のが常だったからな。あーくそ。一体、俺は、何をしたって言うんだよ。何でこんなことをする羽目になってんだ！]


　……ナディル。


[願いを叶える精霊。鎖を繋がれてすぐ、コイツが気に食わない事だけは解った。けれど理由は分からない。ちょっとおかしな事を言えば、俺の中に、理由が多分無い。]


　──オマエの事、教えてよ。


[自分の力で叶えられない願い。
そんなものがあるのか。願うなら、自分のことだろ。それを何かの力に頼るなんて、想像がつかなかった。]

[パス]