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【雲】 妖もどき 辰沙――寮から街へ―― [ 朝食の片づけを済ませて、 部屋の外で彼女の着替えが終わるのを待って。 諸々を済ませた頃には十一時前になっていたか。 寮の門を出ようとしたところで、 ちょうどすれ違うようにして顔見知りに会う。 ] 『あ、先生だ!』 [ 彼女のいうほうへ視線を向けると 此方とは反対に寮のほうへと入っていく人物。 彼にも姿が見えるよう――といっても彼のことだから 隠形していても僕の気配は察知しているだろう――実体化して 人前に姿を現す。 たまたま通りかかった学生たちの何人かが 中空から突然現れた僕の姿に驚いたような声を上げる。 それに構わず、目の前の教師に小さく目礼してみせた。 ] (D19) 2022/09/20(Tue) 22:21:59 |
【雲】 妖もどき 辰沙…先生、今日は。 [ 真浄寺 陽仁。 この学園の教師であり、この国でも有数の現役退魔師であり、 ―――そして、幼少期に故郷を失った彼女を引き取り、 この学園に入学させた保護者でもある。 …そして、僕にとってはどうにも苦手な人だ。 ] (D20) 2022/09/20(Tue) 22:22:33 |
【雲】 妖もどき 辰沙『やぁ辰沙。 相変わらずシャイボーイだね君は。 もう少し顔の筋肉を柔らかくしないと 女の子にモテないよ?』 …。 [ もにもにと頬を不躾に摘ままれて揉まれる。 どうしてこの師弟はやることがそっくりというか、 似てほしくないところばかり似てしまうんだろう? ] 『お? 辰沙も成長してるんだなぁ。 ちゃんと考えてることが顔に出るようになったね』 『あ、先生もわかりますか!? 辰沙だって、ちゃんと成長してるんです』 [ ……やめよう? そこで僕を弄る方向で一致団結するの、本当にやめよう? 必死でぺちぺち、頬を揉む手を払ってから。 ] (D21) 2022/09/20(Tue) 22:23:40 |
【雲】 妖もどき 辰沙…それより、ここに貴方がいるのは少し珍しいのでは? 『あ、そういえばそうだね』 [ 彼は寮監ではないし、職員寮に入っているわけでもない。 郊外の住宅街に今は奥さんと一緒に暮らしている。 見たところ、彼女の様子を見に来たとか 用事があるというわけでもなさそうだ。 ] 『あー、わかっちゃった? 実はねー、ここ数日天文科のほうでちょっと色々あってね。 ゆうべは徹夜で詰めてたのさ。 で、ついさっき一段落ついたんで これから仮眠室で惰眠を貪りにいくところだよ』 (D22) 2022/09/20(Tue) 22:26:24 |
【雲】 妖もどき 辰沙…。本当に? 『ほんとだよ!?なに疑っちゃってんの? よりによって君が!!』 『んー…でも先生だものね……』 『ちょっとちょっと!! なに理音ちゃんまで先生のこと疑っちゃってるのさ?』 …。 『んーなになに? 日頃の行いが悪いからだ、って?』 [ 心外だーと言わんばかりに 僕の顔から胸元までずずず、と、舐めるように 先生が視線を走らせる。 いや、まぁ、うん。 当たらずとも遠からずですね先生。 ] (D23) 2022/09/20(Tue) 22:27:00 |
【雲】 妖もどき 辰沙『……はー。 とりあえず、先生に信用がないことはよくわかりました。 それはそれとして、二人はデートかい? なら、楽しんでおいで。 たまには人並みに羽を伸ばすことも重要だからね』 [ 言いながら、彼の大きな手が僕の頭の上へ。 一瞬身構えるものの、その手は優しく僕の頭へ載せられて わしゃわしゃと軽く頭を撫でられた。 隣にいた彼女にも同じように――彼女に対しては、 髪型が乱れないように軽く触れる程度に――頭を撫でて。 にかっと、如何にも人の悪そうな笑みを浮かべてから ひらり手を振って建物のほうへと歩いていった。 ]* (D24) 2022/09/20(Tue) 22:27:44 |
【雲】 妖もどき 辰沙…そんなに泣かないでよ。 [ どんな顔をすればいいのかわからなくて。 ひとまず案内された席に彼女を座らせれば、 ハンカチと水の入ったコップを差し出す。 他の人たちにこの状態を見られたらなんて思われるか。 此方を気遣ってボックス席に案内してくれた店員さんには 素直に感謝しかない。 ] (D32) 2022/09/20(Tue) 23:38:28 |
【雲】 妖もどき 辰沙[ 正直、はじめての事態に どう声をかけたらいいのかわからなかったから、 よしよしと、先程先生がしていたように彼女の頭を撫でる] ……僕は、きっとヒーローにはなれない。 [ どちらかといえば、 僕はラスボス側の存在ではないだろうか? 何より、僕は命を賭してまで誰かを守ろうと思ったり あの映画の主人公のように誰かを『好き』になったり、 大切になんてできないと思うから。 ―――…たった一人、目の前のを除いて。 もしも明日、世界が滅ぶとして。 自分の命と引き換えに、その世界が救われるとして。 僕はそのとき自分の命を差し出せるとは どうしても思えない。 ずっと、人間たちから『 』と呼ばれてきた。 彼等のことを思い出すたび、胸の奥を深く抉られるような この身を焼かれるような、どうしようもない、 やり場のない感情が心を苛む。 ] (D36) 2022/09/20(Tue) 23:45:57 |
【雲】 妖もどき 辰沙……理音。 [ いつもことあるごとに彼女が僕にそうするように、 いつか幼い彼女にそうしたように 彼女の頬に自分の手を添える。 僕は、きっとあんな献身的な行動はとれない。 ヒーローなんてものにはきっとなれない。 なりたいとも、思わない。 ―――それでも。 もしも君が望むことがあったなら。 或いは彼女が危機に陥って、僕の命一つで それらを贖うことができたなら。 ―――…そのときは、きっと。 僕は命を投げ出すことを選んでしまうだろう。 ] (D37) 2022/09/20(Tue) 23:47:19 |
【雲】 妖もどき 辰沙……うまく、いえないけれど。 でも、約束する。 これから先、なにかあったとしても 僕は必ず、君のところに帰ってくる。 [ 僕の帰るところは、君がいるところなんだ。 この世界だけじゃない。 この星の外にだって、他の宇宙にだって、 他に帰るべきところなんてない。 ] だから、約束。** (D38) 2022/09/20(Tue) 23:56:43 |
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