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【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ珍しく舌打ちを鳴らしかけたのは多分、体調のせいだ。 代わりに深いため息を零し、首を緩く傾ける。 「…… していない ことを認めろと?」それは、子供に伝えるようにハッキリとした物言いだ。 ない事実を吐くことなど、 当たり前ながら出来るはずもない。 「…何も始まらないさ、イレネオ。 やはり君は、少し、休暇を取るべきだ」 そして俺にも休暇を届けるべきだね。 あの固くて冷たい場所でも構わないから寝かせておくれ。 柔らかいブランケットを届けてくれても構わないよ? また笑みを浮かべて、 君を真似るように自由な指先で己の膝を軽く叩いた。 (-6) 2023/09/27(Wed) 1:24:11 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ変わらない態度。 あまりにも変わらない態度に、男は姿勢を崩した。 それは生真面目な男には珍しいことだ。決して姿勢の良いわけでもない男は、それでも大抵、おそらく自分にできる精一杯で背筋を伸ばしていた。 緩慢に背もたれにもたれる。顎を上げて視線だけ投げ寄越す。そうして息を吐いて、もう一度身体を起こす。 億劫そうに一度逸れた瞳は、再び貴方のかんばせに戻った。 「耳がついていないのか?」 「それは犯罪者の戯言だ。」 「証拠は挙がっている。」 「無駄な言い逃れはよせ。」 決めつけ。決めつけ。決めつけ。 男の口から出るのはそれだ。 尋問とはそういうもの。男の仕事とはそういうものだった。 貴方で、六人目だ。 (-18) 2023/09/27(Wed) 16:21:15 |
【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノ伸ばすまでで、触れる勇気のなかった左手は、 君の手が迎えてくれたからその熱を感じて。 そして君にもまた、男の異様に熱い温度が伝わる。 ふっと緩まる表情はきっと、君だけが見れたもの。 その熱に安堵したのだ、君という陽だまりのぬくもりに。 だから、男の心はここでまた少し 晴れた のだろう。雨と曇り空ばかりで陰り続けていた心は、 あと少しをもっと、確かに、頑張れそうだ。 だから俺はきっと、 大丈夫 だ。まだ握り返し、その指先を撫でるには怖くて堪らないが、 君がくれるぬくもりから決して、逃げることはなかった。 「…うん、とても素敵な提案だね。 是非、その散歩にご一緒させてくれ」 同じ向きに小首を傾け、更に表情を緩めて笑う。 未来を語る事もまた、逃げ出したくなる心はあるが、 それでも君を見る翠眼は揺れることなく、真っ直ぐに。 「……あぁ、待っていてくれ。 俺に出来ることは、彼と少し異なるが………」 「──俺に出来ることを、頑張ってくるよ」 (-21) 2023/09/27(Wed) 17:19:08 |
リヴィオは、この『未来の話』が君と俺の希望になるよう願った。 (a8) 2023/09/27(Wed) 17:19:27 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ変える訳がない。 変えてやる 訳がない。腐っても俺は先輩で、君は後輩だ。 その分、経験として培ったものは多くある。 仮面は剥いだ、あとは己がままに向き合うだけだ。 「いいや、戯言なんかじゃあない」 「証拠なんてものはない」 「無駄な言い逃れでもない」 否定する。否定する。否定する。 その決めつけ全てを、真っ直ぐに否定する。 「これは全て 事実 だよ、俺の可愛い後輩君」「そして俺は、これから何をされたところで、 その 曲がった 事実を認めてやらない 」決してここを曲げてはならない。 己と真っ直ぐに向き合う彼らのためにも。 尋問とはそういうものだとされるなら、 そんな無価値な仕事はさっさと やめてしまえ 。「……だから、後輩──いや、イレネオ。 君に俺は曲げられない、残念だったね」 (-26) 2023/09/27(Wed) 17:51:55 |
リヴィオは、"いつも通り"だ。 (a9) 2023/09/27(Wed) 17:53:21 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ「曲がられちゃ困る。」 「俺が聞きたいのは真っ当な真実だからな。」 言葉は平行線。 それを男もそろそろ気づき始める。 では言葉でどうにもならないのならどうすればいいのか。 それも、男は既に知っていた。 間違った解答だ。 自然な仕草で立ち上がる。これから起こすことに対する緊張も高揚もそこには存在しない。 そのまま貴方の頭部に手を伸ばす滑らかさ。逆らわれるなどと、まるで考えていない動作。 けれど。 そこから先はそうはいかない。髪をぐいと引き掴み、しっかりと動かぬように固定する。 かち。 それは。 いつの間にか手にしていたナイフの、刃を剥き出しにする音。 鈍い色は白い室内灯を弾いて光った。光ばかりが清潔だった。 貴方が抵抗しないのならばそのまま貴方の側頭に添うだろう。 酷く冷淡に、残酷に。少し動けば切り込みが入る、その位置で。 「もう一度聞く。」 「マフィアと内通していたのか。」 「渡した情報は何だ。」 (-49) 2023/09/27(Wed) 23:02:31 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ異様に熱い熱は己にも覚えがあるそれだった。 言いたいことが他にも増えそうになったけれど。 だとして成し遂げたい何かが其処にあるのだろう。 緩む表情が安堵したのを見る。 貴方の心を少し、暖めることができただろうか。 ならば今は抱く心配は抑え、伝えるべきは別のもの。 「…………うれしい」 こわくなんてない、大丈夫。 幾度でもそう伝えるように、同じ言を重ねて笑う。 指先が離れなかったことも、提案を受け入れてくれたことも。 今、この瞳を真っ直ぐに見つめてくれることも。 その全てがうれしくて堪らないんだ、だから。 するりと肌を撫でた指先は直に離れることだろう。 頑張って、大丈夫、せんぱいなら。 ひとつひとつ浮き上がる気持ちを最後、選んだ一言に載せる。 見せた笑みはこの牢獄の中で浮かべた、何よりも一番のもの。 「──いってらっしゃい、リヴィオせんぱい!」 たったひとつに込める願い。 どうか、どうか。 天気予報が、当たりますように。 (-50) 2023/09/27(Wed) 23:12:03 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ>>-49 「あぁ、そうだろうね。だから、 無駄 なんだ。そこに真実がないのに何──」 何を認めると言うんだ。そう口にしようとした言葉は、 君が立ち上がる動作とともに静かに消えていく。 代わりに響くのはこちらへと近づく冷たい靴音。 伸びてくる腕を、手を、避けようとする動きはない。 しかし滲む汗は、男の警戒の色を表すように額を伝う。 「……っ、………おいおい、乱暴だな」 そう長くもない髪を掴まれたことで頭皮は刺激され、 何本かはブチブチと音を立てて 君の指先へと絡まり、はらはらと床へ落ちていく。 耳元で鳴る音は早々に聞き覚えがないものだが、 触れる冷たい感覚が何であるかを凡そ理解させる。 僅かでも動けばその冷たさは己の肉を裂くのだろう。 思わず吐き捨てるような笑みが零れ出た。 「君は一体エルから、エルヴィーノから何を教わったんだ。 この方法は間違っている。善良な警官の俺が否定しよう。 …あぁ、いや。エルがこうしたことを教えるわけがないんだ。 これは、こんな馬鹿げたことに目を瞑るあの 狸 が悪いな」▽ (-52) 2023/09/28(Thu) 0:01:42 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ>>-49 >>-52 「……もう一度言うが俺は、内通者なんかじゃあない。 繋がりもないんだ、渡す情報も何もない──以上だ」 実際、こう語る人間の"嘘"を見たことがある。 痛みは何よりも相手を自白させるにいい手段かもしれない。 だがしかし、男の語るこれは"本当"で、変えようがない。 ただ真っ直ぐに訴えかけること以外に何かをしようがなかった。 さて、これらの言葉で君が止まるのならばいいが、 慣れているその手つきが違う未来を物語る。 もしもその刃を食い込ませていくというのなら、 力強く君の身に己の身をぶつけ、 僅かでも怯めば、ナイフを持つ手に噛み付こうとする。 培った危機的状況に対する反射というやつだ。 それにより切れ込みが激しくなろうが、 髪が更に数十本抜けようが、それ自体がなくなるよりはマシだ。 本当は何かをやり返すつもりなどなかったが、 それはダメだと、自分の中での警鐘が鳴り響いた。 刃が食いこんだその瞬間、 悪夢に現れる女の声が耳元で聞こえた──気がして。 (-53) 2023/09/28(Thu) 0:04:12 |
リヴィオは、痛みには慣れている。本当に恐ろしいのは──。 (a12) 2023/09/28(Thu) 0:08:50 |
【独】 リヴィオ終幕へと向かう頃、収容所内は人が減り、 残されているのは怪我人やそれに付き添う者達。 ここで怪我人がいるというのもおかしな話だが、 許されてしまっていたというのがここの真実。 しかし、それも今日で終わりだ。 これ以上、ここに雨は降らない。雲は太陽を隠さない。 晴れやかとは言い難いことも多く、多く起こるが、 それでも、空の明るさはこの街を照らしていくのだろう。 男もまた、そんな街の様子を翠眼に映し、 光差す空を眺めるはず──だった。 ▽ (-61) 2023/09/28(Thu) 3:12:10 |
【独】 リヴィオ痛みが体を支配する。 体が熱くて、 寒くて、 息をすることが苦しい。目を覚ましているのなら、そう感じていたはずだ。 目を、覚ましていたのなら。 夢を見る。何年もずっと、ずっと、俺に付き纏う夢。 ここ最近は頻度が増して、満足に眠れない夜を過ごした。 だから今日も、同じように起きてしまえたなら。 それなら、その方がきっとまだマシだったのかもしれない。 『要らない』『要らない』『あんたなんか要らない』 『死ね』『死んじゃえ』『産まなきゃ良かった』 どこか怯えるように体を丸めたのは、 きっと誰も、その場には誰も見ているはずもなくて。 精神的にも肉体的にも疲れ果てていた男は、 小さく苦痛の声を漏らし、震えるように熱い吐息を零す。 『…本当に必要とされていると思ってる?』 『そんなの嘘』『全部嘘』 『誰があんたを肯定するの?』『嘘に縋って馬鹿みたい』 『さっさと死んで』『幸せになるなんて許さない』 これはきっと、俺の心で。否定するばかりの、俺の心で。 分かっているのに足掻けなくて、止まらなくて。 逃げたい。ひとりは怖い。苦しい。恐い。 ▽ (-62) 2023/09/28(Thu) 3:13:53 |
【独】 リヴィオ爪のない右手が、床を掻く。 白に滲む赤はやがて床を汚し、線を残す。 それでもまだ、目を覚まさない。覚ませない。 起き方を忘れてしまったかのように、 夢の中に囚われている。囚われ続けている。 しかし、男にとって幸福だと言えるのは、 この場に、男に手を伸ばすものがいないことだった。 そのはず、だった。 誰かに迷惑はかけたくないんだ。 …俺なんかの為に、その心を割いて欲しくない。 やっぱり心は簡単に変えられない。変えられるはずがない。 だけど。 「 」 誰かに求めた救いが、音にならずに消えていく。 それでもこれはきっと、確かに救いを求める"声"で。 …もう一度、指先が床を掻く。 零れる吐息は、苦痛の入り混じるものだ。 きっと、そんな自分を表に出すのは今回限りで。 誰にも見せたくない、リヴィオの姿だった。 …夢を見る。この悪夢から抜け出すにはきっと。 自分自身の力では、到底難しい話だった。 (-63) 2023/09/28(Thu) 3:14:20 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオもう一度、貴方の指先が床を掻いた時。 触れた熱は少し暖かく、柔らかい物であった。 その夢に入り込むのは――眠る猫の姿。 誰にも触れられずただ無防備に、静かに眠っている。 「――呼んだか? リヴィオ」 貴方がその重たい瞼を開ければ、横になっている一人の男が世界に映りこむ。 男は幾回にも渡り残された赤い線も気にせず横たわり、眠そうな顔で似通った海の色を見つめていた。 血のにじむ手の下にも違う形の片手が滑り込まされていて、再度の床への傷は掠れるものとなっただろうか。 「お前まで子守唄が必要かね。 ……俺もシエスタは好きだがなあ、そろそろ帰る時間だぞ」 (-76) 2023/09/28(Thu) 9:41:54 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオその名前にも男が揺れることはない。 信じている。警察を、正義を、善性を、彼のマフィアへの嫌悪を信じている。 信じているのだ。純粋に。この行為が真実正しいものであると信じている。 だから止まらない。止まらなかった。 刃の冷たさを内側に感じたはずだ。 ついで熱の感覚に近い痛みが襲う。 それは男が貴方に与えるもののはずだった。 緊張した身体に油断していた。緊張しているからこそ、抵抗はぎこちなくなるものだと思い込んでいたのだ。 ▽ (-82) 2023/09/28(Thu) 11:22:20 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオどん。 衝撃を感じたのはこちら。反射的に視線をやればかち合った。きっと貴方の瞳は激しく反抗に燃えて、それを裏付けるように歯を剥き出しにする。それで怯んだとは言いたくないが、見た事のない表情に一瞬動きが止まった。 がち。 骨と歯がぶつかる音。昨日も聞いた音。まずい、と思ったのはそれも反射だ。 髪を掴んだ左手を引き倒すように横に振った。 薬を飲んでいるとはいえ負荷がかかる。親指の軋む痛みに顔を顰めたが構わない。右まで奪われるのはまずい。 そうしてその抵抗が叶うなら。 貴方は男ごと床に倒れ込むことになるはず。急激に揺らされた頭はくらりと遠のくはず。隙ができるならばそのまま、動きを封じるように腕を固めようとするが。 (-83) 2023/09/28(Thu) 11:22:29 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ法が失効してから。 貴方もまた、牢から解放されて 病院送りになったろうか、それとも自宅療養だったろうか。 ともあれ、動ける程度になった頃合いに 運命共同体を謡っていた狼を探してみれば どうも病院に放り込まれたという話が聞こえてきた。 ちょっとでも様子を見てやるか、と思ったのか 話したい事があったのか。 貴方は彼の病室を訪れる事を決めたのだろう。 ニコロ・カナールの病室は個室になっていて それもそこそこ怪我の程度が重い人向けの病床だ。 重体、とまではいかないけれど、重傷なのは伺えるかも。 けれど実際訪れてみれば、当人は無事ではある様子で。 腕と足を吊った状態でベッドに横になって 点滴の管に繋がれている以外は、意識もあって元気そうだ。 (-87) 2023/09/28(Thu) 13:28:33 |
【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ普段なら、男はただその夢を眺めているだけで。 繰り返し唱えられる呪詛を身に受け、縛られていく。 もう何年も、逃れることの出来ない悪夢だった。 今度はもう、戻れないのかもしれない。 このまま暗く深いどこかへ、 落ちていくんだと思った──その時。 静かに眠る、無防備な猫の姿が見えた。 別に、猫が好きな訳じゃない。…………けど。 何となく、ただ、何となく、己の指先を 恐る恐る 伸ばす。触れたその熱は、暖かくてとても──安心したんだ。 ▽ (-105) 2023/09/28(Thu) 20:13:13 |
【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ重い瞼を何度か緩慢な動作で繰り返し瞬かせ、 霞む視界の中徐々にピントを合わせていけば、 眠たげな、大きな猫の姿が視界いっぱいに映される。 何を言おうか。男の口が幾度か動かされて。 「…………ル、チ……ルチ、アーノ…………………? …目を覚まして直ぐに、色男の顔が……見れる、なんて。 俺は……、しあわせものってやつ……、かな」 名前を呼び、"いつものような"軽口を紡ぐ。 しかし、ただそれだけという訳ではなくて、 己に触れる熱を求めるように、 痛みを感じながらも 指先を動かし軽く、その手を掴んだ。「……あー………すまない…、迷惑、かけたね。 子守唄は、そうだな……もう一度眠って、いいのなら」 君の子守唄を聞けばよく眠れるかな? 浮かぶ台詞の代わり、小さな笑い声を零して、 幼子のようにへにゃりと笑った。 それは今まで生きてきて、誰にも見せなかった弱さだ。 見せたくなかった弱さだ。……けど。 異様に熱い体が、響くような頭の痛みが、 折れた左腕が、血のにじむ右手が──全てが限界で、 誰かに手を伸ばすことに臆病な男が、 弱さを見せるきっかけとなってしまった。 (-106) 2023/09/28(Thu) 20:14:41 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ別に、名を出したのは揺れることに期待した訳じゃあない。 ただ少し、思うことがあったからこそ告げただけ。 その意図が伝わらないなら結局、そこまでなんだ。 だから、 止まらないというのはまぁ──やはり予想通りの事だった。 刃の冷たさを内に感じた時、 僅かにも跳ねるように震えたのは嘘じゃない。 それもきっと、抵抗への油断を誘うもので。 ▽ (-112) 2023/09/28(Thu) 20:55:47 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ人間の歯というのはそれなりに武器になるらしい。 加減もなく噛み付けば、歯が骨にぶつかる音が脳に響く。 しかし、それもほんの一瞬のこと──にするはずだった。 何も噛み切ろうという訳ではないのだ、この男は。 ただ、今の行為を止められるならそれで、良かった。 次の思考をするよりも早く、脳がぐらりと揺らされる。 男の歯は小さな呻きとともに君の腕から離れ、 今度は抵抗もなく、抵抗する間もなく君ごと床に倒れ込む。 男は、脳が揺れた事は勿論、 倒れた衝撃で右手に走る痛みにまた僅かに呻きを零す。 それは明確な隙だ、 腕を固めることなど容易すぎる隙だった。 痛みには、慣れている。 我慢することなら、いくらだって出来る。 だとして、それが痛くはないという話にはならない。 苦痛に顔を歪める代わりに男が零したのは──。 「………………………ははッ」 (-113) 2023/09/28(Thu) 20:56:49 |
リヴィオは、笑っている。 (a14) 2023/09/28(Thu) 20:57:19 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ何があっても入院はしたくない。 医者に怒鳴られながらもこの男ははっきりとそう告げた。 友人がもし付き添っていたならば、恐らく、 誰にとっても予想のしやすい表情を浮かべていたはずだ。 それから数日後、あるいは数十日後。 風の噂で君の入院を知った男は、その病室を訪れた。 ガッ。………ガラガラッ! 「……やぁ、 ニコロ 。随分と素敵な装いになっているね。君ってやつはあんな場所でも大暴れしていたのかな?」 片腕を吊り片手を包帯で巻かれている男は、 ついでに耳にもガーゼが当てられている。 自分のことは棚に上げ、若干おかしなボリュームで君を煽る。 そんな男の後ろでは、 勢いよく開けられた扉が緩やかに閉まっていくのだが…。 その扉が完全に閉まるよりも前に足を挟んで。 「……さて、満足した。帰ろうかな」 帰ろうとしている。 何をしに来たんだという話だが、 ただ大変そうな君を煽りに来ただけらしい。 これは嘘。…その様子を見に来た、というのが真実だ。 (-118) 2023/09/28(Thu) 21:51:33 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「んっ!?リヴィ、来てくれたのk…いやいやいや。 お前も大概えらい事になってねえか!?!? 」来てくれた貴方に目を瞬かせて。 嬉しそうにしたのだけれど、一瞬で心配する表情に変わる。 自分もそれなりの怪我だが、貴方も相当酷く見えたから。 「ちょ、待てって! 折角来たんだから話していったって良いだr… うおっ!? 貴方が足を挟んで、帰るか、なんていうものだから。 止めようと反射的に身を乗り出して ベッドから落ちそうになっているだろう。 ガタン!とベッドが揺れてけたたましい音が鳴る。 (-123) 2023/09/28(Thu) 22:20:27 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ──それは天気予報が当たった数日後の夜半。 その足は在るべきとされた場所から遠ざかり、人気のない路地を辿っていただろうか。 何時ぞやと違い空を覆う厚い雲はなく、星は瞬き月もまた同様に光を注ぐ。 それでも届く光がまばらな路地は暗く、黒く。 だからその色に溶け込み壁際でしゃがみ込む人影にもすぐ気づかないかもしれない。 だとして、「みゃぁ」、不意に猫の鳴き声がして。 「なぁに」、落ちた声は貴方にも聞き慣れたもの。 深く被った黒いフードの奥、翠眼は貴方の姿を捉えた。 驚いたように瞬きを繰り返したのもきっと見えなかっただろうが。 男は立ち上がり、手を伸ばした。 「──リヴィオせんぱい」 つんつん。 つついた腕は三角巾をしていない側だ。 貴方が視線を向けるのなら、パーカーのフード下には見慣れた後輩の顔があるだろうし。 「……そのカッコで散歩にしては、遅くない?」 ついでに割とすぐ下に白い子猫の姿もあった。 服の中に入れられて顔だけ出てる。 (-136) 2023/09/28(Thu) 23:27:46 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオそこで止めるべきだった。 制圧したいだけならそれでいいはずだった。 貴方が知っているこの男はそういう男だったはずだ。 間接に負荷がかかる。可動域とは真逆に向けて体重をかけられる。当然苦痛の伴うそれは、貴方の喉から呻き声を漏らさせもするだろう。 めり。 なまじ真っ直ぐに硬い部位ではないがために一撃でとはいかず、逃げないのであれば貴方はそれなりの時間苦痛に呻くことになる。ゆっくり、ゆっくりと断裂していく感触が伝わったかもしれない。 めり。り。 男は声を発さない。ただまだ少し荒いままの息を繰り返して、煮えた瞳で貴方を見つめている。 貴方を屈服させることだけを一意に考えている。やはりこんな仕事には向いていないことが明らかだ。 めり。 めり、 めき。 それでも。 それでもなお抵抗しないなら、いつかその腕も自然な反発すらなくすはずだ。だらりと左腕が垂れ下がれば、男はようやく安心したように息を吐いた。 (-144) 2023/09/29(Fri) 0:47:24 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ君は何を言っているんだ? そう言いたげに傾く首はまるで、 自分は怪我をひとつも負っていないというような態度で。 しかしまぁそこに事実はあるしおかしな反応ではある。 「待たない。俺の目的は達成したん──」 だ、言い切るよりも前に足が動いて、 扉はぱたりと閉まり、代わりにその片足は 落ちかける君の支えとなるように差し出された。 その代償と言うのもなんだが、 「……………早く、ベッドに、戻ってくれないか??」 体重のかけられた足は一瞬でも体全体に響いて、 痛みに顔を顰める代わりに満面の笑みを君に見せる。 若干その笑顔が引き攣っている気がするのは気のせいだ。 …多分。 (-150) 2023/09/29(Fri) 1:37:31 |
【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノその日の夜、 男は友人の静止も聞かずいつもの徘徊を行っていた。 だって家にひとり、退屈は紛れない。 それなら晴れた外を歩く方が余程男の頭も冴えるというもの。 余計なことばかり考えてしまう時間は何より苦痛だ。 昼の活気を失い、落ち着いた夜の街を歩きながら、 ふと、足は人気のない路地へと迷い込むように曲がる。 暫く歩けば、猫の鳴き声。 ふ、と……海にも似た翠がそちらへと向かう。 向いたのは、猫の鳴き声がするからではない、けど。 「………おや、ニーノ。こんばんは」 右腕をつつかれながら笑みを浮かべて、 君と猫を交互に見やる。 「…いや、何。俺を呼ぶ可愛い猫の声がしてね。 呼ばれてしまったならどんな格好でも出歩くしかない」 「……というのは勿論嘘で、こんな格好だからこそだよ。 目立つだろう?両手が自由じゃないってのはさ」 だからといって出歩かない選択はないし、 医者に怒鳴られながらも入院は断固拒否した。 こういう所は強情だ、 嫌 な予感がするのだから仕方がない。 (-153) 2023/09/29(Fri) 1:54:33 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「お前…その顔は自分の両手を見てから言えよなぁ…」 どう見ても両手が無事じゃないし、なんなら耳もちょっぴり。 不思議そうな顔をしてもダメなのだ。 「おーう…悪い。ちょっと足と腕がこれなの忘れてた。 あと、俺の目的が達成されてないんでやっぱ待ってくれ。」 片手で何とか、戻ろうと藻掻いて。 体の大半をベッドに乗せる事に成功するだろう。 そしてベッドに戻るついでに ちゃっかり貴方の袖を掴んで引っ張ろうとしている。 行かないで欲しい、とそちらを見るだろうか。 (-156) 2023/09/29(Fri) 2:05:02 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ>>-106 「おう、改めておはようさん幸せ者」 「悪いがゆっくりは寝れんのだ。 目は瞑っていいが寝るな、しばらくしたら俺が運んでやる。 ……それとリヴィオ、お前医者嫌いだろー、顔に描いてある」 どうするんだその怪我と、ため息を吐いて医者に出張してきてもらおうかだとかぶつぶつ聞こえてくる。 金の力でどうにかする算段を独り言で呟いていれば漸く貴方の方に意識を向けて。 「なあリヴィオ。今どんな夢見てたか覚えているか。 ……話せるんなら話せ、体より口が今一番動かせるだろう」 改めて訪ねるということを、教えてくれと頼むことは自分にとっても久しぶりであった。 幼馴染にも、友人にも、上司にも。知りたいと言って調べることはしてきた。 だが、その場で教わりたいとちゃんと言うのはそれはそれで勇気もいる者で。 決して自分勝手に関わりたいわけじゃあない、貴方のその口から聞いてみたいことだってあるのだ。 (-159) 2023/09/29(Fri) 2:15:59 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ「………ぅ、ぐ………は…はは…………ッ」 止まることなく感じる負荷に、やはり笑いは途絶えない。 呻きもあれど、この取調室に響く声は そちら が多めだ。「あは…、………は、ぁッ…………は、」 まずは、ずり、と床に顔を擦ろうが、 男は君に顔を見せぬよう煮えた瞳から視線を逸らす。 「な、ぁ……イレ…ネオ……………君、たのし……かぁ?」 そうして、声を発さぬ君とは反対に、問う。 問いかける。既に制圧は完了しているはずの人間に、 こう することは楽しいのかと問うている。「いや、…な、に………つい、口が滑って、な……ァ、」 痛みに藻掻くように指先を跳ねさせながらも語り続け、 「わる………か、…………ふ、……はぁ、はッ」 荒い呼吸で体を上下させながら、 抵抗もなく、その行いを 受け入れ続けた 。▽ (-160) 2023/09/29(Fri) 2:26:40 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ「………… あ ゛ッ ゛」日常ではあまり聞かない音とともに漏れた声は、 より一層強く跳ねた指先とともに静かさを君に届けるが…。 それでも尚、「ふ、」と笑う声が聞こえるのだから 君は、この男がまだ落ちていないのだと理解出来る。 痛みには、慣れている。 だけどやっぱり、痛みがない訳ではない。 叫びそうになった声は口内に広がる血とともに飲み込んで、 長い苦痛で生理的に零れかけた涙は、 逸らした視線のまま目を閉じることでせき止めた。 だからきっと、安心するように 吐かれた息はより強く感じられたのだろう。 (-161) 2023/09/29(Fri) 2:30:47 |
リヴィオは、まだ、笑っている。 (a15) 2023/09/29(Fri) 2:32:39 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ楽しいか、と問うたなら。 かかる力は強くなったことだろう。それは男にとって侮辱だった。 暴力を好む野蛮人。そう評されることを、男は好まない。 だから一層静かになった。 淡々と、粛々と、機械のように。貴方の身体を、悪いとも思わず痛めつけて。 そうして一際大きくなった声に嘆息した後、 男は、その頭に手を伸ばした。 金糸の髪に指を通す。 その下の頭皮に指を添わせる。無理矢理こちらを向けと首を回させる。 青い瞳は未だ閉じているだろうか。 閉じているならそれを無理矢理開かせることはしなかった。 男は自身の欲求を知覚していない。 浅い金色。月の色に似た瞳が、やや遠巻いて貴方のかんばせを眺めてから。 「楽しいわけがないでしょう。」 さて。 そう言った男は、どんな顔をしていただろう。 (-165) 2023/09/29(Fri) 3:10:21 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ「はは、なんの事だか分からないな」 左腕は治療すれば治るし、指先は動く。 右手も同じ。…いや、こちらは動かすのは辛いが。 左耳は半分もいかないくらい削がれただけだ。 人間の体というのは便利で、きっと何とかなる。 ということにしている。医者にも見せているので。 戻ろうと藻掻く君の体重を片足で受け止め、 笑顔は徐々に引き攣りを増す。 ようやく戻り離れようとする頃には、 「…………だから、近付きたくなかったんだ」 掴まれている。ついでに引っ張られている。 やれやれというように 首を横に振るのはさて、何を思ってか。 「…それで、目的ってのは何だい? もしかしてお見舞い品のことかな? それなら両手が塞がっていてね、俺としたことが」 「あー……。……… やめよう、まずは素直に聞くから とりあえずその手を離すのとその目はやめよう」 個室の中、閉まった扉は外との隔たりで。 貼り付けていた笑みをふっと落とし、 ひとつ、大きなため息を吐き出すのだった。 (-166) 2023/09/29(Fri) 4:08:49 |
【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ「…そうかい、それは残念だ。 もう少し、いい夢を見続けていたかったものだが……」 医者嫌いと言われれば、 否定しない代わりに小さく笑みを零す音。 概ね正解だが、"医者"自体は『きらい』じゃない。 何やら聞こえる呟きに耳を傾けながら、 掴んだ君の手を軽くふにふにと摘んでみたり。 しかし、夢の話を問われればその動きを止め、 悩むように少しの間を置いた後。 「………ひとつだけ、聞かせてくれ。 俺の可愛い後輩達は、無事、外に出られた……かな」 それは、今一番確かめるべき事柄で。 それを聞かねば自分のことを考えられそうにもなかった。 助けを求めたのは、確かな事実なのだけども。 ロクに回らない頭でも、考えずにはいられなかった。 そうして答えがどうあれ、一度頷いてから。 「…何、大したことじゃない。いつもの夢だ。 ……『要らない』『死んでしまえ』と 存在を否定されるだけの、くだらない、夢だ」 そんな夢に、もう何十年も囚われ続けている。 だから男は、要らない者、だった。 (-167) 2023/09/29(Fri) 4:42:54 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ意識を落としてしまえたなら、楽だったんだろう。 しかしそうならないからまだ続く。 しかし抵抗する気力もないほどに、弱っているのは確かだ。 目を閉じ、顔を逸らす男では伸ばされる手に気付けない。 最も気付いていたとしてもその手を避けることはなかった。 君の指先が己の髪に触れ、頭皮を添い、 君に与えるのは、熱や苦痛による汗ばんだその感触で。 無理やりに向かされるその行いまでを感じてから 閉じていた海にも似た翠眼を僅かに開いて。 「………そうか」 たった一言。どんな表情であれその一言だけを返し、 汗に濡れる額を、張り付いた髪を、火照る頬を、 涙の滲む瞳を、唾液に濡れた唇を君に向け、 小さく吐息を零しながら緩やかに、微笑んでみせるのだ。 苦痛に歪む顔など、そこにはない。 ただぼんやりと両手が自由でない不便さと、 君の表情についてだけを考えている。 そうして再び、どこか気怠そうにも見える緩慢さで もう一度、翠を閉じていこうとする。 ここに君が望む答えはない。 あるのは無駄な時間と、意味のない暴力だけだ。 答えられることなど何もない男は、ただ、笑っている。 (-171) 2023/09/29(Fri) 7:20:03 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオまるでその様は大型犬のようだったかもしれない。 貴方が仮面をかぶる手を少し緩めたのが見えたら ようやっと、手は離して。 「俺が見舞い品を強請る為にわざわざ引き止める がめつい男に見えるか?」 可笑しそうに笑いながら、けれどとても嬉しそうなのだった。 「ずっと会いたかったんだ。 一人にしちまったし、手が届かない場所に居るのって こんなに不安なんだなって初めて思った。」 自分が受けた時点で 拷問を貴方が受ける事自体は想定内だった。 だけど、離れている以上 知らない間に何処か遠くへ行ってしまう可能性を ほんのちょっぴりだけ考えると心配で。 会いたかったし、こうして会いに来てくれて 本当に心の底から安堵したし、嬉しかったのだ。 「リヴィが生きててくれて良かった。 終わったな、俺たちの“仕事”。」 本音を言えば、拷問を受けている間、牢に居る間は 酷く心細くて、気を張り詰めていて。 貴方の前でくらい、抜いても良いだろうか、と思うけれど。 つい、兄貴面をしてしまいそうになるのは、性だろう。 (-178) 2023/09/29(Fri) 9:25:48 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ手を弄られている様子を見て小さく笑い声を零す。 自分が訪れた時には既に目の前の貴方は魘されていて地面には既に血が滲んでいた。 さて無理やり起こしてもよかったが、体力が弱ってる友人を眠らせてやりたかったこともあり怪我を減らす方向に動いたのだ。 結果は、まあ今このようになっているのだが。 「ん? 後輩たち……あー。どれぐらいの数かね。 それぞれ連れが居たから見送ったり、案内したり。 俺が話聞いて病院に投げ込んだり、……ほぼ全員無事だ」 少し思い出すように目を伏せてからいくつか名前を告げてやる、男の名前は忘れがちだった。 そして大体が出ていったから貴方を迎えに来たのだとも重ねて。 ほぼ、というのは確認できていない人間もいるということだがこの状況なら仕方ないだろう。 「いつもの夢っていうにしたらハードすぎるだろそれ。 なんだ、こどもの頃の夢かあ? 随分嫌なことをいう親だな。 今も言ってるなら侮辱罪か名誉棄損で訴えてやったらどうだ? 町の宝がそんな謂れのない批判を受ける方がおかしいだろう」 「存在否定なんてもの、個人の私怨以外、なんも正当性はないんだからな」 お可哀想に、同情もしていないようなわざとらしい言い方をすれば貴方の頭を撫でまわしてくる。 嫌だったなー。と笑って髪を乱せば貴方が眠らないように時々こめかみの近くを押してやったりなどした。 (-185) 2023/09/29(Fri) 12:20:48 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ「昼に歩いたら目立つね、目立つよ。 でもオレが言いたいのはそうじゃなくてぇ〜……」 鉄格子越しに面会をしたときより、貴方の口振りは普段通りだった。 それでもそんな姿でこんな時間に歩いていることを思えば、だ。 「……どう見たって重体なんだから。 ちゃんと寝ていた方がいいってこと」 じっとするのを苦痛に思う何かがあるとは察せられた。 もう一度突いて唇を尖らせてみたが、ぱ、と話せば溜息ひとつ。 そうしてフードを取り去って笑う。 「会えたからうれしいけれどね。 昼空の下だったらもっとうれしかったけれど」 「オレ、警察官やめたんです。そういうのって聞いてるのかな……。 だからせんぱいにもどうやって会おうかって考えてたところ。 まだ散歩は続けるつもりですか?」 ニーノ・サヴィアは死んだことになったから、実際に署で伝えられるのは訃報だが。 やめたのはやめたで事実だから、口調が砕けているのもそのせいだった。貴方も気にしないのだろうなと甘えて。 多分Uターンさせるべきなんだろうが、Uターンしたくなくてここにいるのだろうなと思う。 なら最後の問いは"話す時間がありますか"と同義だ、肯定が返るのなら場所を変えようと思って。 (-188) 2023/09/29(Fri) 12:49:47 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ開いて閉じかける双の眼。一部始終を見届けて、男はふんと鼻を鳴らした。 それは酷く従順な様だ。 そうして男にとってはつまらない様だった。 ぐん。既に傷んだ腕を強く引く。折れた箇所が更に引きちぎられて周囲さえも傷つけただろうが、そんなこと男にとってはどうでもいいことだった。 抵抗しない貴方を引きずり上げるように椅子に座らせようとする。一度。二度。貴方がそれでもずり落ちるなら、ようやく諦めて手を離すだろう。それだって当然丁寧なものではないから、貴方は力の入らない腕を床に叩きつけることになるはずで。 その痛みに悶えている間に。 男は何かを取りに壁際に寄った。金属製のものが仕切り板に擦れる軽い音。顔を上げても背に隠れて見えないが────さて。器具を使う拷問と言えば、最もわかりやすいものがひとつ、脳裏を過ったかもしれない。 (-189) 2023/09/29(Fri) 13:02:06 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ「 見える 、ということにしておこうと思って。その方が帰りやすいだろう」 男の目的は既に果たされ、ここにもう用はない。 冷たいようにも見えるが、単に、 追われると逃げたくなる性質が出てしまっているだけの話。 それでも、男がここへ訪れる選択をしたのは確かだった。 「……その台詞は幼馴染に言うべきものじゃないか? それに俺は別に不安じゃなかったよ、俺はね」 本当は君が出てくるよりも前に姿を眩ませて、 それで、居なくなるつもりだったのはひとつの道で。 予定が狂ったのは君と友人の 物好き さのせいだ。同僚とはいえ、友人とも言えなかった関係で。 今回もただ、同じ立場で"仕事"をしていただけで。 それなのに、手を掴もうとする君の心が分からなかった。 そしてそれはきっと、今後も曖昧な形のままなんだろう。 だからこそやはり、どうしてだと思う心は消えない。 そんなにも誰かを思える人間は、 その人を思える誰かと幸せになるべきだと考えているからこそ。 「…本当に君は、まんまとやられてしまったものだ」 「………あぁ、だけど。お疲れ様と返しておこうか。 "運命共同体"ってのもこれで終わりだね」 (-222) 2023/09/29(Fri) 21:02:11 |
【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ手を掴み、摘むのはその存在を確かめるため。 確かにここにいるのだと、 夢ではないのだと、感じたかったからだ。 「そうか。…うん、なら……良かった」 後輩の話を聞けば安堵の息を吐き出して、 まずはダニエラ、そしてニーノ。アリーチェと。 次から次に後輩の姿を思い浮かべ、そして、 名前のあがらなかった一人も、ほんの一瞬思い浮かべた。 恨むことはないだろう。ただ、思う所があるだけで。 しかし、それに浸るのはもう少し後。 君は先程ゆっくりは寝れないと言っていたから、 話が一段落つけば移動のため身を起こさなくてはならない。 「…いや、"赤子"の頃の記憶ってやつかな。 俺は案外、記憶力が悪い方ではなくてね。 まぁ、なんだ。……覚えているから、繰り返し見るんだ」 「あぁ、行方は知らないし訴えようとは思わない。 街の宝ってやつはそれなりに寛大なんだ」 わざとらしい言い方は逆に男の心を落ち着ける。 髪を乱され、こめかみの近くを押されても苛立つ心はない。 ただ友人とじゃれ合い、笑っているだけだ。 夢の残像は消えないが、それでも、顔色はずっとマシで。 (-223) 2023/09/29(Fri) 21:02:57 |
【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ言いたいことはそうじゃない。 それはそうだろうねと口にせずに笑うのは、 恐らく確信犯故のこと。 「…眠っていたが目が覚めてしまってね。 気晴らしの散歩ってやつだ、 ずっと家にいると頭にキノコが生えてしまうよ」 嘘。君は察しているのだろうから、 敢えて今、嘘をついてまた笑う。 隠したい訳じゃないというのはその笑顔が物語っていた。 そうして、警察を辞めたと聞けば知っているよと頷いて。 実は俺も、有給届とともに叩きつけてきたよなんて、 自分の話はさらっと終わらせてしまう。 「俺も丁度、君に会いたいと考えていたところだった。 これって運命ってやつかな?…なんてね」 「そして勿論、散歩はまだ続けるつもりだ。 眠るにはまだ、早すぎる時間だからね」 君の無事は友人から聞いていたんだ。 だから、訃報を聞いたところで動揺ひとつもない。 理由を察することは難しいが、 どこかで元気にしているはずだと、その無事を祈っていた。 (-224) 2023/09/29(Fri) 21:04:05 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオまるで子供のようだと頭に過ぎったのは、 目を閉じるよりも前のこと。 そして次に考えたのは、 目を閉じたのは 失敗 だったということだ。「ッ……あ、ぐ…………………」 強く引かれ、己の関節から嫌な音がまた響く。 無理やりに半身起きた体はそのまま引きずり上げられて、 呻く男の表情は先よりも余裕を失っているのが見えるだろう。 少し離れた位置にある椅子は 随分と遠くにあるよう感じられる。 「君、な………ッ」 最早言葉はないこの空間で、何が取調だと言うのか。 色々と言ってやりたい気持ちは山々だが、 無理やりにも椅子に座らせようとする君に着いて歩くのだ。 覚束ない足を動かすのにそれなりに必死になっていた。 だから。── ガシャン! と、椅子を蹴り飛ばしてしまうのも仕方のないこと。 そこで君が手を離してくれるのなら有難い話だが、 勿論、君が支えのようになっている今に離れてしまえば 体が、腕が床に叩きつけられることは目に見えていた。 ▽ (-225) 2023/09/29(Fri) 21:05:30 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ…あるいは、もう一度座らせることを試みるだろうか? そうであれば今度は何とかその思惑を叶えることが叶うが、 しかし、どちらにしてもだ。 男は、君から表情を隠すように体を内側に曲げる。 きっと、自分は今、酷い顔をしているはずだから。 「…ふ、………ふ、ふッ…………」 笑いか、あるいは呻きを堪える声か。その両方か。 男の口から漏れるのはそんな音。 病院へ行き、多少眠る時間も確保したとはいえ、 かなり無理をしていた体は、鋭く痛みを訴えている。 「………………………イレネ、オ」 名を呼ぶ。 「君、……何人を、 こう やった……?」そして問う。 それが何であるかより、 右手を腫らした後輩の姿が脳裏に過ぎる。 そして次に過ぎるのは、 「ダニエラ君にも──何かをするつもり、か?」 男は知らない。既に一度は彼女の番が済んでいることを。 そしてそれを問うことが、自らの"隙"になるのだと。 (-226) 2023/09/29(Fri) 21:06:59 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「アイツらのこともそれなりに心配はしてたけどな。 それ以上に、お前のことが心配だったんだよ。 拷問の事より、どっか行っちまわないかなって。」 変わらない言い草に何故か安心しつつ。 まあそうだよな、とも思う。 「ま、想定内と想定外、半々だが。そうだな。 A.C.Aとして運命共同体になるのはこれで終いだ。 なあ、これからどうするつもりだ?」 だから貴方とお別れだ、なんて その表情は語っていない。 今度の休みどうする?くらいの気軽さで 貴方に尋ねるだろう。 (-227) 2023/09/29(Fri) 21:29:40 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ>>-224 「大丈夫だよ、キノコが生えてもせんぱいはかっこいい」 敢えてのそれであるとは理解できているから、こちらが返すのも軽口……ではなく普通に本心だった。 今でもやっぱり貴方のことをかっこいいと思っている、本当のこと。 さらっと伝えられた言葉には瞬きを一回、二回。 とはいえその簡潔さもまた敢えて選ばれたのだとしたら、「そっかぁ」と笑った。 「……じゃあ、運命ってことにしよっか」 「運命なので残りの散歩の時間をオレにちょうだい。 せんぱいと話したいです」 あそこ行こう、あそこ、と貴方を連れて行こうとするのは二人で食事をした夜のベンチ。 今の状態で立ち話はさせたくなかった、場所もそう離れていなかったので丁度いい。 そうして歩調は貴方に合わせて、人の少ない夜道を二人で歩いて行く。 直にそこへと辿り着けば先に貴方を座らせたことだろう。 で、ちゃんと座ってくれたのを確認したらこちらも隣に腰掛ける。子猫をパーカーから出すとよいしょと膝の上に載せて、好きなようにさせながら。 「……せんぱい、なんで警察やめたんですか?」 (-233) 2023/09/29(Fri) 21:53:56 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ心配されるような人間ではないと、 喉まで出かかってしまうのは変えられない性分で。 僅かに口ごもって、また、ため息ひとつ吐き出した。 「……こうして生きている、それが答えだよ。 でもね、ニコ。君は俺よりもまず、彼らを心配するべきだ。 それに君が色々と話をするのは大事だと思うんだが」 話したかい?話せたかい? これからのこと、今回のこと。どうするのかって話。 俺に問うよりもと思うのは少しのお節介。 だから、これから先を当たり前に語る君にもう一度、 深めのため息を敢えて零すのは、仕方のないこと。 「…さぁ、特に何も考えていないよ。 適当にもう暫く──…生きてみる、だけだ」 それが長く保てるかと言えば、分からない。 だけど出来れば、 その時は誰も彼もが手を離して欲しいと思う。 首にかかった縄はいつだって、ここにあるままだ。 誰かとともに落ちるのはきっと、耐えられないから。 (-254) 2023/09/30(Sat) 1:52:03 |
【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノかっこいいと返されて僅かに言葉に詰まったのは確か。 それが照れなのか、動揺なのかは不明だが、ともかく。 確かに男は君にそんな様子を見せて、 手が自由であれば頬でもかいているんではないか? と思えるような形で少しそわそわと体を揺らす。 咳払いという誤魔化しをひとつ。 格好悪いなとは思うのだが、これが俺だった。 自分が言う分には何ら、そんな感情を抱くことがないのに。 「…あぁ、俺も。君の時間をもう少し欲しいと考えていた」 行こうかと、緩やかな足取りで君を追いかける。 追いかける、とは言ってもだ。きっと君は隣を歩く。 同じ速度で、人の少ない夜道を歩いていくのだ。 辿り着けば促されるままに先に座って、 次に君が座るのを見届けてから口を開いた。 「…この怪我が治った後、復帰したいかどうかを考えた。 だけど、どうしてもその気持ちは湧いてこなくてね」 「…警察だとか、マフィアだとか。隔たりにも疲れた。 あとはそうだね、……少し、自分の道を歩こうと思って。 何がしたいとか、何をしていきたいとか、 そういうものがあってのことじゃあないんだが」 もう少し生きようと思えるうちは、 レールを外れて歩くのも悪くはないかなって考えたんだ。 (-256) 2023/09/30(Sat) 2:18:28 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ男はこの仕事が好きだった。 人を助けることが好きだった。 悪い人間から人を守れるのが好きだった。 純粋な誇りに、今は既に別のものが滲んでいる。 椅子を蹴飛ばした貴方を、男は怪訝そうな瞳で見つめた。 随分と悪そうな具合を不審に感じた。殺すつもりはない。 身体を折るその仕草だって、一応の心配を誘っただろう。 だから。 だからこそ。 男はその実際を見ようとする。 掴んだ手は離さないまま、もう片方で上半身を軽く押す。それは顔を見せろという合図だ。 従わないならそのまま再び床に押さえつけられることになるだろう。強制的に背を床に付けさせてしまえば、背ける以外の抵抗はできなくなる。 ぐ。押す。彼女にも聞かれた問いだ。 「五人ですよ。」 ぐ。押す。彼女にも明かした答えだ。 「そうですね。」 ぐ。押す。もう終わった話だ。 「それがどうかしましたか。」 さて。 顔は見えただろうか。 (-259) 2023/09/30(Sat) 2:20:59 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ「……本当に大事なんだな」 なんだか自分が警察にいたらそんな事を言っただろうか。 少しぐらい責任感がついて、後輩たちを思いやって、 格好つけて、無理をして、笑って、辛い姿なんて見せずに。 無茶をして、いつかその終わりを夢見て。 けれどそんな悪夢の中に貴方は囚われていて、助かり方が分からなくなっている。 「リヴィオ。 俺は……お前が望まなくとも俺はお前の家族を調べようと思う。 この間も言ったとおりな、だから。 今後、彼らについて知りたくなったら、 見られるようになったら俺に声をかけろ。 そして、一緒にぶっ飛ばしに行くぞ。 お前が行かないなら一人でいってくる」 全く笑えない話を楽しげに話す。 もう死んでいるというのなら墓石でも蹴りに行ってやろうか、なんて。 (-260) 2023/09/30(Sat) 2:48:42 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ「それまでは俺がたまに夢の番でもしてやる。子守唄を歌おう。 声をかけてやる、お前は確かにその時は憎まれていたが…… 今はこんなに望まれて、愛されて、必要とされている」 「それを隣で教え続けてやる。友達として、ずっと変わらない」 俺はお前のことを本当に助けたいと思っている。 一人で助けきれない分は他の誰かの手をいくらでも使ってでも、 何人もの絆を用意してお前を勝手に何処かに行かせんと心に誓った。 「な、リヴィオ」 似た者同士なのだ、いつかの終わりを求めるものとして。 それを否定などしないが、せめて今はもう少し。 終わりの日が来るまで緩やかに、平和に過ごして、酒を一杯また飲もうじゃないか。 (-261) 2023/09/30(Sat) 2:50:50 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ保っていただけだ、不完全な仮面を被り直して。 保とうとしていただけだ、そうでなければ自らを守れない。 がくりと折った膝と曲げた体が掴む腕を離さない君と 反発し、折れた腕に相当な負担をかけていく。 離してくれた方がまだ、マシだった。 「ッ……なんだ、…そんなに、俺の、顔が……見たいかい」 照れてしまうなぁ、そんな軽口を返すものの。 あからさまに苦痛の声が混じっているのは確かだった。 動く右手で君の行いを止めようとする。 弱さを見せるのは苦手だ、笑顔で隠すのは得意だ。 だけど。 守るべき がない分、体調が崩れている分、守るべきものがある彼女より 脆さは出てしまう。「う、ぁッ……は、………そう、か」 ドッ と音を立てて背が床に付けられる。背けた顔は、抵抗する右手は君の力に敵いそうにもない。 「……いや、何…っ、流石にそれは、許せなくてね……ッ」 なんせこちらは病人だ。ここまで保っているのが異常で。 人の内を覗こうとするなんて無遠慮だなと笑いが込み上げた。 しかしその抵抗も長くは続かない。 君に見えるのは余裕もなく、苦しげに顔を歪め、 それでも笑っていようとする弱い男の姿だっただろう。 (-262) 2023/09/30(Sat) 2:56:31 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ絶え絶えの息に気を惹かれる。 様子を確認するだけ、それ以外の何かが男の瞳で閃く。 ぐ。幾度目かの力比べの結果は見えていた。力尽きるように倒れた貴方の腕から男はようやく手を離し、そのまま顎へと移動させる。 背けようとするのを無理矢理上向かせれば寄せた眉根の下の瞳に目が合った。 見たことのない歪み方をした貴方の表情が、男にとっては。 「ふ、」 愉快だった。 男は、貴方のことをよく知らない。 男にとっての貴方は、いつも何かよくわからないことに気を遣って、それでいて楽しそうでいる手のかからない先輩だ。 だから分からない。だから興味がない。 何故彼女を気にするかなんて気にならない。 気になるのはその顔色だけだ。 それがどう移り変わるのかは、興味があった。 ▽ (-265) 2023/09/30(Sat) 4:11:38 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ更に、更に抑え込む。それ以上の抵抗がないように。貴方が目を逸らさないように。 それが叶ったなら、男は自らの顔を貴方の方へと寄せいって。 こつん、と。 額と額を触れ合わせた。 「許せない?」 「ダニエラのことが?」 「どうして?」 話してみろ。 聞かせてみろ。 眼前に迫った金色は、そう急かす。 (-266) 2023/09/30(Sat) 4:11:52 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ折れて動かない左も、力比べによる消耗で落ちた右も。 まるで壊れた人形のようだと思考出来るだけまだマシだ。 そうして君 に 顔を見せない よう背け続けるが、顎に伸ばされ無理やりに向かされるようであれば、 それも結局、見え透いた結果しか齎さない。 「…………は、」 愉快そうな君に、精一杯の笑顔を返す。 それでも苦痛に歪む顔も余裕のなさも隠しきれはしない。 無駄な抵抗と言われればそれまでだが、 笑顔は己の心を守るための砦だからこそ崩せない。 せめてと、視線だけでもと逸らすことを試みるが それもまた、結局は無駄な抵抗となってしまう。 揺れる海が君の月に映し出される。 隠しきれない弱さが、間近で、 自らにも見える形で映されている。 男の部屋にある鏡は洗面台に取り付けられたものだけ。 本当はずっと、弱さを映すその存在がとても、苦手だった。 ▽ (-276) 2023/09/30(Sat) 5:22:38 |
【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ触れ合う額はきっと君に、男の異様な熱を伝えてしまう。 滲む汗だって触れ合うことになるだろう。 男にとってそれもまた、顔を歪めるひとつの要因。 気丈に振舞っていたのだと知られてしまうことが嫌だ。 己の弱さを暴かれていくことから、逃げ出したかった。 話し方を忘れてしまったかのように一度言葉を詰まらせ、 代わりに吐き出すのは熱い吐息だ。 それでも、急かす君に伝えなければならないのは、 「……ち、がう。許せない、のは……俺自身、だよ……っ」 それ以上に話すことはない。言っても分かるはずがない。 問われれば答える男ではあったが、 今この時だけは、その全てを晒け出すことはなかった。 男は、察しが悪い訳ではない。 だから、もしかするともう既に……と。 そう考えてしまう頭を、止めることが出来なかった。 それがより一層仮面を保つに障害となると知りながら、 どうしたって、自分よりも彼女を考えてしまうのだ。 笑顔がふ、と──ほんの一瞬、掻き消えた。 (-277) 2023/09/30(Sat) 5:23:41 |
【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノヒュッと、自分の喉から聞いたことのない音が出た。 翠眼は緩やかにさまよって、そうしてもう一度、君を見る。 「……止めても、無駄なんだろうね」 出来れば、知りたくない。そして、知られたくもない。 聞かれれば答える男ではあったが、 知らない答えまでは君に渡せないからこそ そうするしかないのだと、理解はしているが。 声をかける日なんて、あるのだろうか。 知りたいと思える日なんて、来るのだろうか。 お互いにその領域を侵さなければ、まだ。 何も変わらず、今と同じ"平和"で居られるはずだって。 悪夢を見ることの何が平和か。 そうでないことくらい、もうとっくに知っている。 それでも別に、恨んでいる訳じゃない。 だって顔は知らない、声だけの存在だ。 亡霊を恨んだって何も変わることなんてない。 …だからこそ、 この苦しみを向ける場所はどこにもなかった。 ▽ (-278) 2023/09/30(Sat) 5:52:44 |
【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ望まれて生まれたかった。 愛されて生まれたかった。 必要とされて生まれたかった。 ずっと、ずっと──生きていくのが、苦しかった。 涙は出ない。泣き方の辞書なんてとっくの昔に置いてきた。 代わりに浮かぶのは、泣きそうなほど顔を歪めた笑顔だ。 俺は要らないものだった。もうずっと、昔から。 ようやく手に入れた居場所でも結局また、 必要とされない、価値のない存在だった。 それでも生きてきたのはきっと、 本当は誰かに、その言葉を否定して欲しかったのだろう。 夢は終わらない。 これからもまだ、変わらない時間が続いていく。 それでももう少し、生きようと思えたのは───。 「……本当に君は、俺のことが……好き、だね」 破滅願望はきっと消えない。 いつかにきっとまた、終わりを求めてしまうのだろう。 それを否定されることは望めないし、変えられない。 それでもまだ少し、あと少しこれから先の未来を、 友人と、君達と、緩やかに、平和に過ごすとしようか。 「……ここを出たら、酒が飲みたい気分だ」 (-279) 2023/09/30(Sat) 5:55:54 |
リヴィオは、君と友人であるリヴィオは、柔く微笑み君との未来を思い描いた。 (a27) 2023/09/30(Sat) 5:58:09 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「大丈夫だよ、あいつらは。」 此処に来ていても、来ていなくても 話をしていても、していなくても。 同じ言葉が、男からは返ってくる。 もう彼らは上手くやれるから。 そこに己は関係ない。いや、関係ない側に置いて欲しい。 A.C.Aに身を置く時に既に決めていた事だ。 大切ではあるが、手を離れて欲しいからこそ、なのだろう。 「むしろ今の俺に、あいつらは関わるべきじゃない。 余計なもんが降り掛かりかねんだろ。」 何を選ぶにせよ、どうするにせよ、だ。 「そうか。適当にもう暫く、な。 警察…は続けなさそうだよな。やっぱり辞めるのか?」 きっとルチアーノが何か言ったのだろう。 少なくとも死ぬ気が今はなさそうであることにホッとする。 緩みそうになる本音を、そっと抑え込んだ。 (-287) 2023/09/30(Sat) 9:15:58 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ「……いいことを教えてあげよう、ニコ。 大丈夫だと、そう決めるのは君じゃない」 何を思うであれ、アリーチェの姿を見ていた男は、 あれを大丈夫などと口にしたくなかった。 だから話せ、そう言っている。言わなければならない。 「上手くやれるから話さなくていい、それは違う。 だからこそ、話をしておくべきだって言ってるんだよ」 と、そこまで言って男は右手をぶん!と横に振る。 避けなければ君の頭にヒットする予定だ。 ついでに言うと痛み分け、男も自らの傷で顔を顰める。 その場合はかなりの間を置くのだが。 「………あぁ、そうか。それなら俺が彼らに話しかけるか。 今の俺は本当に無敵だよ、何せ肯定されまくってるからね。 A.C.Aだった俺を肯定する甘い人間が多いんだ」 困ったものだね。そう口にする男の口調は柔らかいものだ。 上手くいかないなと何度思ったことか。 「で、警察を辞めるかどうかだったか。 …もうとっくに辞めてるよ、有給届と叩き付けてきた」 真っ当に警察をやってきた男は、 去り際に真っ当ではない辞め方をしてきたらしい。 当然色々とあったがどうせ、この腕では暫く働けそうにもないのだ。 (-298) 2023/09/30(Sat) 10:32:51 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「そりゃどういう… あだっ!? 」言葉を返す前に、頭に貴方の右手がヒットした。 思わず、という様子で頭を抑えるその表情は 何とも訝し気な様子だ。 この男は、頑張る、と前を向いたアリーチェしか知らない。 止めるなよ、と足を踏み出したテオドロしか知らない。 だから大丈夫だ、と思っている。 右手の薬指に、目線が落ちた。 ネイビーブルーはまだ、そこにある。 「ちょっと見ない間にそんなことになってるのか。 馬鹿だなぁ…首謀じゃないとはいえ 街中を混乱させた法に従った奴らだってのに。」 苦笑いが零れ落ちる。 「分かった、分かったよ。 後でちゃんと様子を見に行く。 けど、ままならねえな。」 「お前じゃないが、俺も消えるつもりで居たってのにさ。 そんな風に言われたら、おじゃんだ。」 貴方の前では、ただのニコロでも許されるだろうか。 (-302) 2023/09/30(Sat) 11:31:40 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロどういうも何も詳しい話はしてやらない。 何も出来なかったことを悔いる気持ちは知っているが、 その奥底、確かな思いまでは分かってやれない。 だけどそれは、そう思うのは君だけじゃないってこと。 最後に見た姿が確かさなのか。 それを言うなら、俺がA.C.Aでなければ君は "いつも通り"の俺に大丈夫だと言うんだろうな。 まぁこれは、持たざる者としての妬みだろう、きっと。 痛みに顔を顰める間、そんなことを考えていた。 「……人間っていうのは案外、そういうものなんだろう」 ふと、彼女と語った出来すぎた未来を思い出す。 形は違えど、これもまたその未来なんだろうな。 「それに、それなら俺に道を作らない方が良かったな。 そういう甘さが、未来に繋がっているんだよ。ニコ」 『兄』として、『巡査部長』として、 『いいおまわりさん』として、 そのどれかでいろと頼んだ覚えは一度だってないんだ。 後悔したくないのなら迷わずそれを選べ。 選ぶのは"君"で、"君"がどう在りたいかが答えだった。 …あぁ、勿論。"全部受け入れる"とは言わないけどね。 (-306) 2023/09/30(Sat) 13:40:20 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ以前だったらかっこいいを届けた後はそうだろうと言わんばかりに頷いていた貴方が、少しそわつく様を見ればなんだか微笑んでしまった。 咳払いも誤魔化しだと伝わってしまって、さらに笑みは深まっていたことだろうか。 ベンチ上では大人しく問いの返答に耳を傾けている。 最後までを聞き届けてから、目を細めて見上げる顔はやっぱり微笑んだまま。 「そっか、ならオレとお揃いだ」 「オレもさ、警官やめないといけなくなったんだけど……じゃあ戻りたいかって言われたらそうじゃなかった。 何がしたいも、何がしていきたいもわからない、でも……」 「── 自分の道を、歩いてみたい 」耳にしたばかりの言葉たちは、簡単に自分のものとしても形作ることができる。変な感じだ、だけどそれがうれしい。一人ではないようで。 「……ねえ、オレたちって本当に似ているのかも。引き取られた先に振り回された同士ってやつ、せんぱいもきっとそうでしょう?」 「がんばってきたんだよね、その中でオレにかっこいい姿もたくさん見せてくれてた。 ……だから今もさあ、やっぱりせんぱいってすごいなって思うんだ。せんぱいがそうしてくれていたから、立つための勇気を貰えたオレがここにいる」 「ずっと感謝してる。 ……改めて、ありがとうを伝えたかったんだ」 "大丈夫"を幾度繰り返したことだろう。手渡してもらえたおまじないは絶えず胸の内にある、きっとこの先も。 (-308) 2023/09/30(Sat) 14:57:21 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオあなたは騒動の後、署に出向く機会がいくらかあっただろうか。 それともあなたの友から話を聞く機会があっただろうか。 いずれにせよ、あなたが教育係を務めたひとつ下の後輩が、銃に倒れ入院しているとの知らせだ。 怪我の詳細は肩関節損傷、鎖骨下動脈損傷。 噴水のように吹き上がった赤い鮮血は、その場に居合わせた警官が圧迫止血を施し命をとりとめたらしい。 あの日仰いだ協力の約束。 その仕事の最中、署長代理逮捕の大金星との引き換えにしては大きすぎる代償だ。 あなたがその病室を訪れるのはいつ頃だろう。 1週間以内の事ならば、ベッドの上の男はあなたににこやかな笑みを浮かべて迎えるはずだが――――― (-312) 2023/09/30(Sat) 16:19:35 |
【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノお揃い、果たして喜んでいいものか。 男は薄く微笑んだまま、君の話を聞き、頷いている。 やがて、緩慢に口を開いて。 「…君が、そうして笑って道を考えられるようになって 多分俺は、凄く嬉しいんだと思う」 あの日もここで語り合いはしたけど、 あの日の君は迷路の中で、とても苦しそうで。 まるで、自分を見ているようだと思った。 「君なら大丈夫、そう思ったことも嘘じゃない」 「………本当に、俺達は似ているのかもしれないね。 俺は尊敬や感謝を貰うような人間じゃない、けど。 あの日の君の"希望"になっていたのなら、良かった」 振り回されたとは言わないし、あの日のように、 君の頭を撫でる手はない。代わりに少しだけ身を寄せて、 君の肩にトンッと少し触れようとする。 「きっと君はこれから大変だろうし、 自分の道で歩む分、色々と考えることも増えるだろう。 だから、大丈夫じゃないって少しでも心が揺れたら、 いつでも──俺に甘えておいで」 どこまで頑張れるかは分からない。 だけどもう少し、頑張れる間は君を見守っているつもりだ。 (-329) 2023/09/30(Sat) 19:01:24 |
【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ署に出向く機会も、友人に聞く機会もあっただろう。 そのどちらかは明かすことはないが、 ともかく、君の病室に出向くのは確かで。 それはきっと一週間以内のこと。 ガガッ。…ガッ、………ガラガラ。 扉を開ける音が外から響く。 何やら、少し手こずっているような様子だが。 暫くすればドアは開いて、君の知る男の姿がそこにある。 とは言っても無事とは言えず、左手は三角巾で吊り、 右手は包帯で巻いて、左耳にはガーゼが貼ってある。 しかしそれを感じさせることもなく、 「やぁ、エル。…随分と、無茶をしたようだね?」 何となくいつも通り、 しかし少し異なった印象を覚えるような冷静さで問う。 「……約束、守れなくてすまなかったね」 そうして、二言目は謝罪だ。 もしもあの日君の約束を果たせていれば 君は、そんな怪我を負うことなどなかったのかもしれない。 考えたところで、仕方のないことだけど。 (-331) 2023/09/30(Sat) 19:20:00 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ>>-331 「……!?」 慣れぬ左手でスマホの操作をしていたときだろうか。 急に不器用に扉を開く音が部屋に響いて、びくりと肩を震わせた。 「誰かと思ったら……。 先輩こそ、僕とそう変わらない大怪我に見えますよ」 一週間がもうすぐすぎるとはいえ、未だ何本もの点滴を受けながらベッドで過ごす身の上としては、話し相手になってくれる人が来るのは喜ばしい。 リハビリは早い方がいいというから、明日にはおそらく始まるのだろうが。 なにせ暇なのだ。 寝るだけの日々というのは。 「良いんですよ。 先輩は先輩の仕事をしていたんでしょう?」 「それで十分です。けど、その傷は……何があったんですか」 確かにあなたが居ればこの怪我は負わなかったかもしれない。 それでもこの傷はあなたのせいではない。 自分への不幸ならば、このように考えることが出来るのに他人の不幸はそう考えることができない。 男の思考は何処か歪だ。 (-337) 2023/09/30(Sat) 19:33:49 |
【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ同じように入院している誰かさんのように 何を言っているんだ? と首を傾げたり、緩やかに閉まっていく扉に足を挟む、ことはない。 素直に病室内に入り、ベッド際へと近づいていく。 「はは、俺はデートをしていただけだよ」 嘘、とも言えない。 その詳細までは言えないが、確かに彼女とデートをした。 女性を誘うには些か、 いや、かなり色気のない場ではあったが。 そうして、怪我のことを問われれば、 落ち着きを見せた表情からパッと切り替え笑って。 「デートに心が弾み過ぎてね、ついうっかり 階段から足を踏み外してそのまま転がってしまってね……」 いやぁ、君も気を付けた方がいい。 男は笑顔のままそう付け足して、傍にある椅子に腰掛けた。 これは嘘。しかし必要な嘘だった、と考えている。 誰を守るためか、誰を隠すためか。 そんなことは、どうだっていい話だ。 (-339) 2023/09/30(Sat) 19:51:42 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ>>-339 「デート、ですか。 まぁ良いですけどね、相手は美人でした?」 あなたが【A.C.A】の人間だったことは聞いている。 それでも男はあなたへの態度を変える気はなく、今もたったひとりの先輩だと思っていた。 そのあなたがデートだと言ってはぐらかすならば、それは詳しく聞かないほうが良いということなんだろう。 それでも怪我の方については、明らかに嘘だとわかってしまった。 そんな、笑顔で心配させまいとする下手くそな嘘だ。 デート相手よりも気になる事だったけれど、そう言われるとやっぱり、あまり追求はできない。 「それはあまりにも不用心が過ぎるでしょう……。 言いたくないってことなら、深く聞かないことにしますけど……もう少し後輩にも心配させてくださいよ」 男は何も知らない。 あなたと同じように、自分が教育係を務めた後輩がその怪我を負わせたこと。 行方不明となって、その捜査も手打ちになってしまっていること。 その他も、全部だ。 (-341) 2023/09/30(Sat) 20:04:04 |
【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ「…あぁ、とても美人で俺には勿体ないくらいだった」 本当。それが誰だとは言わないし言えやしない。 でも君はきっと聞かないでいてくれる。 そう信じているから、男は緩やかに微笑んだ。 それで怪我の嘘、その笑顔は "いつも通り"に振舞っていたつもりだが、 君が察してしまうのなら何も言えるはずがない。 だとして、その詳細を明かすことは一生、ないだろう。 聞かれたら答える男ではあっても、 それだけは語ってはならない真実だった。 「はは、これが真実だよ。俺を疑うのかい? こんなにも正直者で無敵の俺だと言うのに」 今まで散々リヴィオ・アリオストに騙されてきたんだ。 君は、何も知ることなく未来を歩いていくべきだ。 例え歪んだ道だとて、その道が途絶えない限り、ずっと。 ただ、出来ることなら本当は、 その歪みがいつか、真っ直ぐになればいいと。 君のことが大切な先輩は未来に期待している。 例えその未来を、この海のような翠に映すことがなくとも。 (-345) 2023/09/30(Sat) 20:34:04 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ>>-345 「デートついでに病院まで連れて行ってもらったらいいんですよ、先輩は」 まさか本当にそうなってたとは、流石に思ってないが。 それでも手当をされている様子を見れば、病院に一度は行ったのだろうからとりあえずは及第点だろう。 「そういう事にしておいてあげますよ。 僕の周りは皆すぐ無茶をする人ばかりだ……あ、そういえば先輩、イレネオ知りませんか。 連絡が取れないんですけど……アイツ、釈放ちゃんとされてますか?」 勿論正直に答えなくて良い。 答えるべきではない質問だ。 ただそれでも、それを知らぬ愚かな男は、可愛い後輩を純粋に心配をしていただけ。 「……先輩?」 どこか遠くを見ているようなあなたに気づいて、ベッドに寝かされたまま不思議そうに、その顔を見上げた。 (-348) 2023/09/30(Sat) 20:56:00 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「そういうもんなんだろうな。」 良くも悪くも。 今回にあっては幸いとも言えよう。 「そうだなぁ。 俺の甘さが全部今になってる。 でも、後悔はしてねえよ。」 貴方の言葉に、頷いて笑う。 全くだ。甘く計画性もなく。だからふらつく。 けれど後悔はしていないのだ。 貴方が小突いてくれたから 目が覚めたような気がした。 「お前の手を引っ張らない方が良かったなんて そんなこと絶対言ってやらねえ。 リヴィは、俺にとって必要な、大事な奴だから。」 離さないと誓った。 「だからこれからも、一緒に居ても良いかな。 友達になるのか、俺もまだ良く分かんねえけどさ。」 (-349) 2023/09/30(Sat) 21:19:01 |
【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ「はは、病院デートなんてつまらないだろう? 今度は埋め合わせとしてカフェに行く予定さ」 嘘、本当。ぐるぐると混ぜて、分からないようにする。 それが今までのリヴィオ・アリオストという男で、 無敵という仮面は剥いでしまったとしても リヴィオもまた、都合の悪いことは覆い隠していく。 それが上手く出来るからこそ、 "リヴィオ・アリオスト"は20年近く生きていた訳だ。 「…イレネオ?いや、俺は知らないな。 ばたばたしたまま警察を辞めてしまったからね」 本当。行方すらも知らない、生死だってそうだ。 でもそのひとつを考えない訳ではない。 答えは結局分からないから、箱の中に仕舞われたままだ。 元気だといいねと呑気にも語るのは、願いか、あるいは。 「あぁ、あと君は"僕の周りは"と称するが 今の現状を見ると君が一番無茶をした人間だからね。 それを忘れず、見舞いに来る人の有難みを噛み締めてくれ」 「君がこうなる事で悲しむ人はちゃんと、いるんだからね」 これに懲りたら無理はするな。 今回は仕方がないとはいえ、命がいくつあっても足りない。 不思議そうにこちらを見る視線に笑いかけて、 ゆっくりと、腰掛けた椅子から立ち上がった。 (-350) 2023/09/30(Sat) 21:25:37 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ後悔はしていない。それは男もまた、君と同じ。 そうして甘さも同じだ。 目的は違えど確かに同じ道を歩いていたらしい。 「……はぁ、君ってやつは本当に」 「ひとつだけ、ひとつだけ明確にしておこう。 これは、俺の譲れないものだから」 そう、君が誓おうともこれは男の譲れないもの。 俺を大切にしようと思うのなら、果たせと願うもの。 絶対に、言っておかなければならないことだ。 「……俺は、 次 があれば君を連れて行きはしない。そして、君はそんな俺を追いかけてはならない」 友達になるのか、何になるのかは分からない。 だとして、これは男の提示する一緒にいるための条件だ。 頷かなければ、こちらも君に頷くことはない。 人を掴むなら、君自身が幸せになれ。 それが願いだ、それが望みだ。 俺に"希望"をくれた君に──叶えて欲しいことだ。 「約束、してくれるかな?」 (-351) 2023/09/30(Sat) 21:35:55 |
リヴィオは、本当はとても、狡い男だ。 (a36) 2023/09/30(Sat) 21:36:16 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ>>-350 「え……本当に連れて行ってもらったんですか」 埋め合わせと言うくらいだから本当にそうだということだ。 冗談のつもりだったのに。 誰だか知らないが、相手の女性に少しだけ同情してしまった。他意はない。 「そうですか……。 携帯にかけてるんですけど、繋がらなくて。 ……まぁ、いいです彼も忙しいんだろうし……って、ええ? 警察やめた? 」どうして、という言葉はあなたの笑顔に封殺されてしまっただろうか。 なんとなくだけど、答えてくれる気がしない。 答えてくれたとしても、それもまた、はぐらかされたような答えに違いない。 「僕のは運が悪かっただけで……。 まぁ、死にかけたのは確かですけど…………」 あなたより傷は少ないけれど、この一つの傷が致命傷になりかけた。 それは本当だ。 けれども、僕は。 僕はあなたの後輩だから。 「でも」 「それブーメランですからね」 僕だって、心配するんですよ。 ねぇ? 先輩。 (-355) 2023/09/30(Sat) 21:59:49 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ「あはは。 尊敬とか感謝は、勝手に手渡されちゃうんだよ。 貰うべきじゃないって思っても……貰って? だってせんぱいがしてきたことの結果なんだ」 例えそれが貴方が本当に見せたい姿じゃなかったとして。 その中で救われた人間がいたことをどうか覚えていてほしかった。 肩に触れられるのを拒んだりしない、あの夜と同じ。 誰かに触れられるのはずっと怖かったけれど、今は目を瞑ることも震えることもない。 時計の針がようやく動いた気がした、だからこちらからも体重を少し返す。 「……うん、ありがとう。 せんぱいの大丈夫のおまじないは、効くからなあ」 「でも大丈夫じゃなくなっても、すぐには来れないかも。 オレ、この街を出ようと思っててさ。 事情は〜……ややこしいんだけど、居ない方がよくって。 顔を知ってる人に色々見られるのが困るっていうか……」 見回りだけは元気に行っていたものだから、警官としてのニーノを知る住人は多い。顔見知りも。 彼等にはニーノは死んだことにしないといけない、提出された死亡診断書が真実となるように。 だから。 「……だからね。 今までみたいに毎日って会えなくても。 忘れないでいてほしいし、……見守ってくれてたら嬉しいって、なんというか」 「こ、心で……?」 言葉通りの見守りというよりかは、心持ちというか、こう……言葉が少しふんわりした。 (-357) 2023/09/30(Sat) 22:20:19 |
【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ連れて行ってもらったのか。 さて、笑顔に隠されたものはどちらだろう。 混ぜて隠して、本当の答えは箱の中。 椅子から立ち上がった後、ぐっと背を伸ばす。 傷んだ骨に若干響いたが、これくらいじゃ笑顔は崩れない。 辞めた理由を問われれば「A.C.Aだったから」の一言。 他の理由はもしかすると、まだ、あるのかもしれないが、 複数回答を求められた訳じゃあないから、内緒のままだ。 「おや、君は一体いつから先輩に言い返すようになったのかな。 俺は無茶ではなくてデートの結果さ、同じじゃない」 「棚上げは良くないよ、エルヴィーノ」 包帯の巻かれた右手を伸ばす。 その手は、君の背……ではなく、軽く肩を叩いて、 それから身を反転。都合の悪いことは知らないフリ。 「君とも今度、約束の埋め合わせをしよう」 君の心配を背に受けながら ひらひらと手を振り、緩慢な足取りで扉の前に。 「あ、しまった」などと呟いているのは、多分気の所為。 両手が不自由ってのは本当に──不便なことだ。 (-359) 2023/09/30(Sat) 22:24:46 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ「……。分かった。 約束するよ。次があったら、お前の言葉に従う。」 言葉を飲み込んで、少しの間があって。 男はこくり、と頷いた。 貴方が譲れない事ならば、それは受け入れねばなるまい。 「ちゃんと、俺自身のことも考える。 アリーチェたちの事も、勿論。」 「でも、行く時は言ってくれよな。 じゃないと、多分、追いかけちまうから。」 急に居なくなられたらきっと。 主に置いて行かれた犬のように、探してしまいそうだから。 もしもそうなったら、と言うだろう。 尤も。 次なんて、来させないつもりで居るのだけれど。 (-361) 2023/09/30(Sat) 22:31:09 |
【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ勝手に手渡されるものを突き返すのは難しい。 結局、こういうところが"悪役"になれないひとつなんだろう。 でもそれに後悔はない。後悔は、しない。 だから、君からの言葉。ちゃんと受け取るよ。 触れる肩。拒まれなかったことに安堵の息を吐き 海の色は視線だけが空に向いて、 少し、何かを考えるようにその双眸を閉じた。 「俺も、」 「………俺も、この街を出ようと考えているんだ。 友人に頼めば、いい物件を探してくれそうなんでね」 A.C.Aに所属していた、それだけが理由じゃあない。 今の家は与えられたもので、職も与えられたもので。 名前も、何もかもが"リヴィオ・アリオスト"のためのもので。 それは、愛されていたからじゃない。 引き取った以上、そうするしかなかったのだろう。 だから俺が俺として、彼らが彼らとして生きていくために、 今このタイミングで選ぶことが必要だった。 「………まぁ、だから」 「忘れることはないし、見守っている……が、」 ▽ (-370) 2023/10/01(Sun) 0:37:59 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ瞳を開き、深く、息を吸ってから。 吐いて、少し躊躇って、………それでも。 「── 暫く 、俺と一緒に暮らすかい?」声にする。言葉にする。 自分を受け止めてくれた人達のためにも。 抱いた本音や想いを語って、生きていこうと考えている。 これは、その一歩──のうちのひとつ。 「勿論、既に決まっているなら断ってくれて構わない。 行き場がまだないならって話でね」 「……どうやら俺は、君のことが心配みたいだからさ」 ひとりで歩くのって、きっと大変だから。 その一時の支えを担い見届けて、満足に死ねたらいいなと。 狡い考えを笑顔に隠し、君の隣を 少しの間 歩こうとする。「情けない俺も見せてしまうだろうけど、 それは、……出来れば、許してくれると嬉しいな」 (-371) 2023/10/01(Sun) 0:39:15 |
リヴィオは、君と同じ空を見ている。 (a37) 2023/10/01(Sun) 0:40:35 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ「あぁ、…約束、してくれ」 君には、ちゃんと"幸せになって欲しい"。 そしてこれは、身勝手な願いなんだろうと思う。 しかし、だとして。願わずにはいられない。 これは、仕方のないことだった。 だから、それでいい、そういうように頷いて。 「……君、言っても言わなくても同じじゃないか? 約束してくれと言ったところだろう?」 「精々その時の俺に祈っててくれ。 その約束はあまり、したくない」 君と俺は"対等"で、主と犬じゃあない。 気まぐれに消えた友人か知人か。 それを想って探すなど、やめておいた方がいい。 一方的に、身勝手に。 狡い言葉を並べ続けて、君を縛り付けるやつなんだ。 だけどそれが俺で、この約束を後悔することは一生、ない。 それでもきっとその時、俺は君のことを 考えずにはいられないのだろうなと──そう思うのだ。 「………さて、そろそろ俺は行くよ。 伝えたいことは伝えられた」 (-373) 2023/10/01(Sun) 4:12:10 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ「…同じじゃねえよ。」 唇を少し尖らせて。 ほんのちょっぴり、拗ねた顔。 「分かってて見送るのと 知らないうちに居なくなってるんじゃ、全然違う。 好きな奴が急に居なくなったら、心配する。それだけだ。」 そもそも、貴方が気づいたら居なくなるなんて 考えたくも無いのが本音だ。 それくらいには貴方の事を好いている。 守りたくて、笑っていて欲しくて、自分は此処に居ていいと そう思って欲しいと願っている。 だからこれは、我が侭。 (-379) 2023/10/01(Sun) 10:59:18 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ「怪我が治ったら、酒でも飲もうぜ。 ルチアーノを誘っても良い。」 貴方が去るのならば 男は見送る。次の約束を取り付けながら。 「その時には、色々片付けておくからさ。」 警察は辞めないだろう。 まだやり残したことが多くあるし、何より―― そうしろと、背を押されたような気がしたから。 (-380) 2023/10/01(Sun) 11:07:39 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオどうやら貴方も同じように街を出るつもりらしい。 そんなところまでお揃いなんだなあって不思議な心地に微笑んでいたのだが。 躊躇いがちに何か言葉を続けようとしているの気付けば、なあにとでも言うみたいにその瞳を覗き込む。 なんでも言ってくれて構わない。 なんだって受け止めるつもりだ。 どんな言葉だって、隠さずにおしえて。 そう願い、続きを待っていた……ら。 「────……、……」 刹那、双眸がまあるく見開かれる。 何も言えず、貴方を見つめたまま、固まってしまって。 ……思い出し、過る。 家を出たあの瞬間、どこまでも続く星空に。 途方のない孤独を感じたことを、寂しさを。 それでもおまじないを繰り返し、歩こうとしたことを。 提案が嫌だったわけじゃない。 むしろとてもうれしくて、堪らなくて、だからこそ。 ──『大丈夫』がほどけてゆく。 あの夜みたいに一粒、また涙が落ちていった。 [1/2] (-381) 2023/10/01(Sun) 11:25:18 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ「…………く、らす」 夜空を覆う厚い雲はもうないのに、 ぽたぽたと零れ行くそれは通り雨のよう。 「……せんぱいと、暮らし、たい」 感情が形となり溢れてからようやくに気付く。 本当はずっと、ずっと、苦しくて哀しかったんだ。 「オレ、……オレ、ほんとは、」 おまじないが解けた先にあるのはちっぽけな自分。 誰かの人生をなぞるために置き去りにされた、小さなこども。 そのありのままを隠さずに貴方に見せながら。 「………………ひとり、さみしくて、やだ……」 縋る先をようやくに見つけた指先は、 貴方の服の裾を強く握っていた。 [2/2] (-382) 2023/10/01(Sun) 11:27:01 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ"同じじゃない"。 男はそう口にする君の顔を見て、翠を瞬かせる。 「……そうか、違うのか」 腕が自由なら、その手は口元を覆い 考えるような仕草をとっていたはずだ。 「………あまり、期待はしないで欲しい、が。 ……メール一通くらいは送る、かもしれない」 約束は出来ない。約束にはしたくない。 その日がいつ来るかなんて、男にも分からないから。 くるりと身を反転させ、君に背を向ける。 そのまま扉まで歩いて、 来た時とは違い器用に扉を開いてから。 「………代わりに、その約束は叶えてもいい。 そのために精々ルチアーノを口説いてみてくれ」 「それじゃあ、ニコ── また ね」ひらひらと、君に向け振る手はない。 それでも確かに未来の約束を結んで、君にまたを告げよう。 好きも嫌いも、愛も恋も分からない。 だけど君の気持ちは嬉しいと感じられたから、暫くは君と、 その関係を楽しんでいくのも悪くはないだろう。 (-387) 2023/10/01(Sun) 12:33:54 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ見開かれた双眸から落ちていく一粒を、 空に浮かぶ星々よりも綺麗だと感じたのは 君が君だからこそなんだろう。 「…あぁ──…一緒に居よう」 そうっと、大事な宝物に手を伸ばすみたいに 右手を伸ばして、君を軽く引き寄せようとする。 もしも君が拒まずにいるならきっと 間の子猫はにゃあと鳴いて、まぁるい瞳をこちらに向ける。 だから男は、少しだけ許して欲しいなと子猫に微笑んで、 夜空の下、二人と一匹で熱を分け合うのだ。 「哀しい時は泣いていい。苦しい時は吐き出していい。 俺に抱えられるものはきっとそう多くもないけど」 「俺の前では大丈夫じゃなくていいんだよ」 ほら、シンデレラも時間になれば魔法は解けるだろう? おまじないはあくまでおまじないで、 『永遠』に続く万能さを持つものじゃあない。 しゃんとして、着飾っているのも悪くはないけど、 ひとりの人間である俺達は、本当であっていいんだ。 (-388) 2023/10/01(Sun) 13:31:45 |
【置】 きみのとなり リヴィオ好きも嫌いも、愛も恋も多くのものを知らないまま。 それでも、誰かを、何かを大切に出来る心はあった。 それは、こんな自分を慕ってくれた君やエル、 こんな自分に何となくでも贈り物をくれたダニエラ君、 こんな自分でも友人になってくれたルチアーノや、 同じ立場で、落ちる前に手を掴んでくれたニコのおかげだ。 破滅願望はあるけど、 それでも、生きているうちくらいは前を向いていよう。 俺はもう、ただのリヴィオなのだから。 (L3) 2023/10/01(Sun) 13:33:26 公開: 2023/10/01(Sun) 13:35:00 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → マスター エリカ向けられた瞳を感じながら 皿の中身がなくなるまでは、ただ、静かに。 君の、貴方の変わらない態度が確かな救いだった。 友人でもない、時折寄る店のマスターである貴方に、 俺は、確かに救われていたんだ。 そんな話、この先誰かに話すこともないだろうが。 抱いた思いは偽物じゃなく、ずっと確かなものだった。 やがて、皿の中身がなくなる頃。 手にしていたスプーンを置いて、両の手を合わせる。 「ご馳走様でした」 その一言に含まれるものが僅かな感謝ではなく、 今までの全てを含むことを知っているのは、男だけ。 だけどそれでいい。これは男の、勝手な思いなのだから。 「……それじゃあエリカさん、落ち着いたら、また」 そう言って立ち上がり、 きっちり値段分のお金を君に渡して扉に手をかける。 そうしてそのままその場を後にする──のではなく、 「…あ」と何かを思い出したように振り返り。 「今度は、具沢山のシチューを食べに来るよ」 (-389) 2023/10/01(Sun) 14:44:54 |
リヴィオは、貴方の作る料理を大層、気に入っている。 (a41) 2023/10/01(Sun) 14:45:57 |
リヴィオは、柔らかに微笑んでから店を後にする。それは──5日目の午後のことだった。 (a42) 2023/10/01(Sun) 14:47:07 |
【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ熱い身体だ。 一人、いたな。そういうのが。 彼は治療を受けただろうか、と脳裏を過った。 受けたのなら、近くまた会うこともあるかもしれない。 歪む表情。 無敵とは程遠いその様子。 けれどそれを崩し切らないあたりが、この男の趣味の悪いところを擽った。 湿って熱い吐息が好かった。形のいい唇が引き攣るのが好かった。 ああ。 いいな。 片手は貴方の顎に。もう片手は転がしておいた器具に伸びる。 合わせた額はまるで慈しむような優しさでいて、愛情の発露のように鼻先が擦り寄せられる。 金色が海の底を微かに映している。 そして、そのまま。 貴方の震えを食らうように男の唇が押し付けられた。 丁寧さも何もない。欲情の荒っぽさもない。秘密を引きずり出そうとする求めもない。ただそれは、この男が、昼飯を食う時にするような仕草。 食に拘りのない獣が、食べられるものを見つけたから口をつけた。それだけの仕草だった。 ▽ (-390) 2023/10/01(Sun) 14:54:09 |
【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ「可哀想に。」 哀れむ声には愉快さが滲む。 もう一度軽く口づけて至近に寄せた。それからようやく身を離し、場違いな恭しさでその手を取った。 口を開く。閉じる。弧を描いた。もう一度、開く。 「ダニエラが」「心配ですか」 「それなら」 「貴方が頑張れば」 「ましになるかもしれませんね。」 嘘だ。 彼女の責めは、もう終わっている。 (-391) 2023/10/01(Sun) 14:54:24 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ「……えっ、ぅ……う…………」 貴方の言葉が魔法を解いてしまったから。 涙と嗚咽は堰を切ったように。 溢れてやまない、いろんな感情が。 とうさま、本当は抱きしめて欲しかった。 かあさま、本当はオレを見て欲しかった。 叶うことなら最期まで、ずっと一緒にいたかった。 浮かび上がる多くの言葉は声にはならず。 ただ大きな背に手を回し、肩を震わせるだけ。 不安だよ、不安でしかたないんだ。 これからなにをしたらいいのかな。 探しても本当に、オレはオレの道を見つけられるかな。 誰かに言いたくて、でも誰に言えばいいかもわからなかった。 心配をかけたくなくて、あなたたちを大切に想えば想うほど。 寝台上の笑顔に平気だと笑った、あの癖がずっと抜けなくて。 ひとりになりたくない。 だれかといっしょにいたい。 でも何を返せるかな、オレなんにもないんだ。 後悔しない? ねえ、せんぱい。 やっぱり自信なんて全然持てないんだ、自分に。 だけどもうどうにも、ぬくもりから離れられそうにはなかった。 [1/2] (-392) 2023/10/01(Sun) 15:15:58 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ────ずび。 「………………」 涙が落ち着いた頃、鼻を啜って。 あまりに泣きじゃくりすぎて頭がぼんやりしている。 落ちてくる涙になんだこれとなっていた子猫もまた瞼を落としていて。 その姿をぼんやりと眺めた後、ゆるゆると顔を上げた。 「……いっぱい……泣いちゃって、ごめんなさい……」 とりあえず謝罪と、あと。 「あの……誘ってもらえたの、ほんと、うれしくて。 だから、えっと……一緒、ぜひさせてください」 改めてお願いしてから、あと。 「いろいろ決めることあるよね。 でもとりあえず、せんぱいの身体落ち着いてからかな。 ……あ、しばらくって言ってたけれど、どれくらい?」 先程溢れた感情に引っ張られてできなかった確認をいくつか。 泣いて縋って、いたくなかったかな。 今更のように思えばそっと貴方の腕を撫でたりもしていた。 [2/2] (-393) 2023/10/01(Sun) 15:17:10 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ「ん、分かった。 アイツのことだ、すぐ乗るだろ。」 不測の事態になったらそれはそれ 男も飲み込むんだろう。 そこまでは、貴方に強制するつもりは無いと頷いた。 「ああ、またな、リヴィ。」 手を振れない貴方と反対に 此方は無事な方の手を振るだろう。 この関係にまだ名前は付けられないけれど いつかきっと、素敵な未来につながると信じて 男は前を向いて歩くのを決めるのだった。 (-394) 2023/10/01(Sun) 15:36:21 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 法の下に イレネオ合わせた額も、擦り寄せられる鼻先も。 己を映す金も……顔を歪める要因ではあれど、 動揺を誘うような何かはなかった。 ただ、そこから先が 良くなかった 。「……………ん、ッ」 押し付けられた唇の感触に男は目を見開き、 瞳をより一層強く揺らす。 それはきっと、長い時間ではないのだろう。 だとして、この男にとってはそうではなくて、 落ちた右手をまた持ち上げ、 君の体にその手を当て 弱々しく 押し返そうとする。「……ふ、……………」 動揺で思考がぐちゃぐちゃだ。 自分がどのような表情をしているかさえ分からない。 ただ、目の前の君だけを感じることしか出来なくて、 自らが零す声にどうしようもなく弱さを感じて、 そんな自分がとても、とても、 嫌で堪らなかった。 ▽ (-398) 2023/10/01(Sun) 15:55:39 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 法の下に イレネオやがて一度目が終わる頃、何かを言おうと開いた口は 二度目によって音もなくまた、閉じられてしまう。 体が失った酸素を求めて、激しく上下する。 自分は知らぬうちに息を止めていたのか。 そんなことをぼんやりとした思考の中、考えて。 取られた手を、僅かに虚ろな瞳が追いかける。 あぁ、心配だよ。だって俺が連れてきたんだ。 友人に任されたこともあるけど、俺自身が彼女を心配で。 ここはいい場所とは言えないが、それでも。 彼女には少し、少しでも──休んで、ほしくて。 ぐず、と……胸の奥で何かが渦巻いた。 愉快そうな声も、弧を描くその唇も。何もかもが 信用に値せず、提案に乗っていいことがあるとも思えない。 それでも、欠片でもそれが"本当"であるなら、 「………………わかっ、た」 首を、縦に振る以外に出来ることはなかった。 せめて彼女の左手の小指にだけは触れないでくれと、 愚かな男は愉しげに笑う君に──願いを乞うた。 宝物のように大切に撫でるあの仕草が深く、印象に残っていて。 あんな風に何かを大切に思う気持ちは──彼女から、貰ったものだったから。 (-399) 2023/10/01(Sun) 15:57:58 |
【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ半端な抵抗はこれを煽るだけだ。 弱りを強調するだけの手はむしろこちらの勝利を知らせた。 取った手の熱さが愉快だった。冷たいよりよっぽどよかった。 命を甚振ることを、この男は楽しんでいる。 からん。音がして器具を床から攫った。 高尚な道具なんてない。手にした器具は飾り気のないペンチ。 貴方が耐えなければ、彼女の整えられた爪が、こんなもので台無しにされることになる。 もう終わったことだ。 従順な様を褒めてやりたくて、けれど空いている手がない。 仕方なくもう一度額を合わせてから、ゆっくりまばたきをした。 本当なんてここにはない。 提供された聴取内容も。 貴方が吐かされる“真実”も。 傍から見れば慈愛か、情欲に見えそうな男の態度も。 本当なんてひとつもない。ここにあるのは偽物ばかり ────痛みを除いて。 ▽ (-401) 2023/10/01(Sun) 17:33:43 |
【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオはじめは右の小指から。 そこは彼女の宝物にもっとも遠い。 指先に単純なつくりの金属が宛がわれる。 塗り上げられた黒の表面がぐ、とひしゃげさせられる。 そして。 ば づん 。一気に、引き剥ぐ。 (-402) 2023/10/01(Sun) 17:34:49 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ君に手を伸ばしてしまったのは、 『自分』を見てしまったからなのだろう。 多くの感情を隠し、縋れなかった先を知っている。 だから、そうなって欲しくはなくて。 君には真っ当に、真っ直ぐに、生きて欲しいと願って。 身勝手な願いのまま、 暫く なんて半端に手を取って。でも、後悔なんて、微塵も湧いてこなくて。 引き寄せた背を撫でながら、 逸らすことなくありのままの君を翠眼に映し出す。 誰に何を言えばいいのか分からない。 迷惑をかけたくない。 平気だと笑っていれば、きっと『大丈夫』だ。 本当の願いを飲み込んで、 本当の不安を隠し続けて、 それでも『大丈夫』だと──真実を箱の中に閉じ込めた。 そんな人間を、俺はよく、知っている。 そうしてそれが"普通"ではないことも、理解している。 無敵だから『大丈夫』なんて、そんなこと、在りはしないのだ。 だけど、『何にもなかった俺』は、そうするしか選べなかった。 ▽ (-405) 2023/10/01(Sun) 18:32:03 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ涙が落ち着いて、君が顔を上げた頃。 男は君に気にしなくていいというように微笑んでいた。 謝罪にだって、首を横に振る。 涙というものはそうなのだと、知っているから。 泣かないことが強さじゃない。 だから、涙を流せるのなら我慢せず泣いたっていい。 「…勿論、一緒に行こう」 「決めることは……うん、少し友人に確認してみるよ。 落ち着いてからだと君の暮らす場所に困るだろうし、 それに、俺も今の家から早く移動がしたくてね」 ひとつひとつ、君の確認へ答えを返していく。 最後については少し、悩むように撫でられる腕を眺めて。 「それで期間は………そうだな、」 「…君が、一人で歩いていけるようになるまでかな。 暫くとは言ったけど、あんまり詳しくは考えてないんだ」 1年か、5年か、あるいは10年か。 どれほどでそうなれるのかが分からない男は、 のんびりとした口調で、そんな答えを返すのだった。 (-406) 2023/10/01(Sun) 18:33:03 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 幕の中で イレネオ煽るつもりなど、この男には微塵もなかった。 思考の乱れた頭では考えようもなかった。 ただ逃げたいと思う心が、そこにあっただけだ。 冷たい金属の音が響く。 何をされるかなんてもうとっくに、理解しているのだ。 こんなのはもう、取調という枠から外れていることだって。 最初から、そうではなかったことだって。 理解していて尚、逃れることは出来なかった。 君に、正しさを教えることなんて叶わなかった。 虚ろな瞳は天井に向いて、 合わさる額と金の瞳をぼんやりと眺めてから 離れていく君の影を見送った。 それでも、最後の抵抗だと言わんばかりに 君が居る方から視線を逸らし、その表情を隠そうとする。 引き結んだ口は不器用な笑みを懲りずに浮かべて、 宛てがわれた金属の感触を、指先に感じた。 痛みには、慣れている──けれど。 ▽ (-408) 2023/10/01(Sun) 19:13:27 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 幕の中で イレネオ「 ぎ 、ッ……あ゛ あ゛ あ゛ッ゛ ッ゛〜〜〜!!」絶叫。ここまで出来る限り笑顔に隠して、 それで、苦痛さえも閉じ込めていたけれど。 どうしたって、抗えないものはある。 体が跳ねる、左手の指先が床を掻く。 足は ダンッ と床を叩いて、右手の指先が君の手に縋るようにきゅうっと力が入る。 目を見開いて、流れる汗は床へと落ちて。 そうして、めいっぱい開いた翠から一粒の雫も落ちていく。 「ぅ、あ゛あ゛…ヒュッ、は………っふ、……あっ、あ゛」 泣けるような男ではなかった。 泣き方なんてとっくに忘れてしまった。 それでも、それは生理的なもので、止めようがない。 落ち着けようと大きく吸った息は、 カヒュッと男の喉から詰まるような音を鳴らした。 既に異常とも言えるほどに、堪えてきた痛みもあった。 だから、それら全てが集約し、爆ぜて。 そこから先はもう止められない。 それでも、君へと頷いた以上嘘には出来ない。 男は、真面目だった。それでいて、愚かだった。 (-409) 2023/10/01(Sun) 19:15:21 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ貴方が嫌がる顔は想像していなかったけれど。 変わらず微笑んでくれていることにはやっぱり安堵してしまった。 だから泣いたばかりの顔は無理に隠したりしないまま。 ひとつひとつ返る答えには頷いたり、相槌を打ったり。 思っているよりも早くその日は来るのかなとか考えたり。 していたところ、最後の期間については少しだけきょとんと瞬いた。 何かの想定があるからの暫く、だったのかと思ったけれど。 そういうわけじゃなかったらしい、なんだ、なるほど。 それからもう少し瞬きを繰り返した後、唐突に。 「……あはは、それじゃあ」 声を揺らし笑えば、腕を撫でる手を止めて。 貴方の瞳をじぃと見つめて、笑って。 [1/2] (-414) 2023/10/01(Sun) 19:34:42 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ「オレが大丈夫じゃないままなら、 ずっと一緒にいてくれるんだ?」 「…………なんて」 なんて。 そんなのきっと困っちゃうだろうな、わかってる。 目を細めてからもう一度、貴方の肩へ額をとんと押し当てた。 「……じょ〜だん」「…………でも、ほんとかも」 「オレって甘えたらしいから、気を付けてね」 勿論貴方が大切な人と共に生きていきたいと、 望むような日が来るなら止めたりはしないのだけれど。 そんな言い方をされたら、そんな風に返したくなってしまった。 だってオレ今、一人で歩ける未来なんてうまく想像できないから。 みゃあ、と目を覚ました子猫が鳴く。 ちょっとずるい顔しているのバレたかな、内緒だよ。 そう伝えるみたいにちいさな額を指先で撫ぜて。 「じゃあ、今日はとりあえず帰ろっか。 落ち着いてからじゃないっていっても、ちょっとでも早く身体治して欲しいから」 「家まで送るよ、せんぱい、…… …………リヴィオさん?」 そうしてぱ、と顔を上げた頃、濡れた瞳はそのままに。 変わらず微笑みを浮かべていたことだろう、うれしげに。 (-415) 2023/10/01(Sun) 19:35:32 |
【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ「 く ふ 」その声に。 男はぱっと口を抑えた。手の下の唇は笑みの形に歪んでいた。 自分の体温もかっと上がった気がした。それが男は不思議だった。 だけれど、それをただ不思議がる大人しさは生憎持ち合わせていない。 男が持っているのは、ただその情動に身を任せる愚かな素直さだ。 剥がされた小指の爪を眺める。裏を表を返して見る。白、黒、赤の三色が人工の光を弾いて光った。くく、く、と喉から笑いが漏れる。 喘ぐように息をする貴方に目を映す。 時折は咳き込み、逃避にもならないように身を震わせる貴方を見る。 瞳はそのまま。 貴方の顔に向いたまま。 男は次に手をかけた。 ▽ (-424) 2023/10/01(Sun) 20:31:38 |
【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオみち。 肉とその被膜が引き剥がされていく。 みち。みち。みち。 上下に裂かれる神経が悲鳴をあげる。 みち。みち。みち。みち。 壊れた玩具かなにかのように貴方が叫ぶ。 駄々をこねる赤子のように頭を振る。 「あはっ」 縋るように握り込まれる指。 瞳ごと溶けるように零れる涙。 男は笑っていた。 「はは…… ふ ふっ 、く」笑っている。 「 く ふ、ふ ふ、 あははっ、 あははは!」 壊されていく貴方の上で。 これはずっと、笑っていた。 笑っていた。 (-425) 2023/10/01(Sun) 20:33:42 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → きみのとなり リヴィオ「ああ無駄だね、俺はしつこいんだ。 ……心配するな。何があっても俺がついている」 貴方の事を望んでいる。 貴方の事を、まあ、愛している。 貴方の事を、守りたいと思っている。 その生が苦しい者でないように、楽に息が出来るように。 あなたがいつか安らぎの中で涙が流せるようになれば良い。 「何度言わせれば分かる、その顔が俺の願掛けだ。 勿論、顔が潰れても、オーラはなくせんよ」 その終わりが見えている。 貴方に求められてはきっと叶えられてしまう。 望んでくれるというのなら、きっと悲しみながらも、 あなたに休んで欲しいとその穏やかな声は告げるのだ。 それはきっと一つの愛で、紛うことない情の形。 それでもまだ少し、あと少しこれから先の未来を、 平和を祈った語らいを思い出して、過ごしていこうじゃないか。 「勿論一緒に行くぞ、それまでに好きな店を探しとけ」 (-427) 2023/10/01(Sun) 20:34:41 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ何だか悪戯っ子のようだなと、 笑う君に少しだけ眉を下げて笑う。 答えは上手く返せなかったし、君もそれを分かってる。 自分はこの問いに困っているのだろうか。 それとも、それ以外もあるんだろうか。 なんだか綯い交ぜになったような感情に僅かに首を傾ける。 その間に肩にとん、と軽い衝撃を感じて。 言葉はまだ、返せない。 聞こえる小さな声に眉を下げたまま、また、笑った。 「………はは、…そうか」 そうしてそれ以上、言葉は出てこなかったから。 止まってしまった手でもう一度、君の背を撫でる。 自分は、そう長くその選択を取れないのだろうと思うけど。 だからといって、そうだと君に明かすのは、まだ先の話だ。 再び君が顔を上げる時、その言葉に頷いて。 回していた腕を外し、緩慢にベンチから立ち上がる。 「頑張って治療するよ、困ることも多いからね。 君に迷惑をかけることもあるだろうけど……あぁそうだ。 俺には色男で猫のエキスパートの友人がいてね。 今度紹介するよ、家の話も彼にする予定だからさ」 「──それじゃあ、帰ろうか」 (-428) 2023/10/01(Sun) 20:37:56 |
リヴィオは、「ねぇ、ニーノ。………いや、えっと」 (a45) 2023/10/01(Sun) 20:38:03 |
リヴィオは、署内での"ニーノの話"を思い返して悩むような仕草。しかし、言葉は続く。 (a46) 2023/10/01(Sun) 20:38:11 |
リヴィオは、「俺達はまだ、お互いに知らないことも多いからさ。落ち着いたら話をしようか」 (a47) 2023/10/01(Sun) 20:38:21 |
リヴィオは、言えること、言えないことがあるだろうけど──それでも、話すべきことがあるから。 (a48) 2023/10/01(Sun) 20:38:31 |
リヴィオは、「あぁ、そうだ。晴空の下の散歩も忘れずに行こうね」 (a50) 2023/10/01(Sun) 20:38:41 |
(a51) 2023/10/01(Sun) 20:39:32 |
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