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【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド男はアルバの顧問だ。 ファミリーの全てに心を砕き、配り、人となりを知り、交遊する。時にはボスの友人にすらなり、その言葉を否定すらして見せる。その立場は、概して幹部より重い。 であるというのに、男はまるで中間管理職のように熱心に動き回った。その姿はただの善人、或いは各々の兄、親、友人のようにも見えたろう。その親しげな様子を煩わしく思う者も当然いたけれど、概ね好かれている様子だった。 きっとそれは、君から見ても。そして、君も。 二人の振る舞いは思慮に欠けているのかもしれない。 それでも、止めておこうだなんて言わなかった。 「祭りで羽目を外さないなんて損だからなぁ。うっかり危ないところに踏み込まなきゃいいんだけど」 君の気遣いを、 ────それとも最後の畏れを、 男は受け取ったのかどうか。機嫌が良さそうに笑っては歩みを進めた。追いつくように、その歩調を早めて横に並ぶ。 (-70) 2022/08/24(Wed) 19:32:50 |
【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ「Buona notte.Sogni belli.」 「レヴィア」 寂れた時計塔が、基部から爆発した。 いくつも、幾重にも仕掛けられた爆弾が、 連鎖的に爆発を起こす。 背中に熱と風を感じながら、魔女は去っていく。 最後に、天辺の大鐘の真下が、特大の爆発を起こして。 カラァーーーーン、カラァーーーーン…… 大きな鐘が、何十年かぶりに、その音を天へと響かせた。 (14) 2022/08/24(Wed) 19:34:22 |
ストレガは、ため息をひとつ。猫を迎えに、あの店へ向かった。 (a17) 2022/08/24(Wed) 19:35:42 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレ「孤児だったものですから。 その上で幸せな"家族"を見てしまうと憧れませんか」 よくある話だろうとばかりに。もうひとつ、あなたはどうですか?を込めた笑みが貴方を見やる。 こんな花屋の店先で出す単語でも返す話題でもないにも拘らず、 気にしていないのか、あるいはそう見せているだけか。 何の躊躇もなく会話のパスを返す。 「はは、いやまあ」 最初のワードで"結婚式"を単語にも出していた時点で、元々知っていたことは明白だろう。 隠しもしない緩い笑いから、小首を傾げて貴方の目を見つめる。 貴方が変えた姿勢に無意識に敵意はないとばかりにそれとなく腕で覆っていた姿勢を、開けたものに変える。 「あなた自身にもご家族がいるように見受けましたが。さて。 それに、好きな花 についての話は幾らでも聞きたくて。 特に品のある貴婦人ならよく見かけるんですが……情に厚そうなお兄さんが知っているのを見ると、つい尋ねたくなったんですよ」 (-71) 2022/08/24(Wed) 19:40:31 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 家族愛 サルヴァトーレ子供の頭にしては重たい頭蓋。肩先までしか届かないけれど、それくらいまで届いてしまう。 腕の中で愛される時代は終わり。まやかしの安寧があるだけ、夢を見ているだけ。 それにも関わらず、貴方の優しさを利用してこうして水底のように身を沈めているのだから、 顔貌に張り付いたあどけなさとは裏腹に、十分によく物を知っている大人の筈なのだ。 柱時計のように丁寧に規則的に注がれる愛に。 値するものかどうかなんて、誰にもわからない。 「ん、……今日は大丈夫。トトーの為に、空けられる。 だからもうちょっとだけ、居られるよ」 用事はない。誰某れに命じられた用事は。自分のための用事は、捻じ曲げたって構わない。 最後にもうひとつぶんだけ、ぎゅうと胸に頭を埋めてさんざんに甘えてから。 歩きやすいように一歩離れて、二人だけの為に間借りした休憩所から出る扉に踏み出す。 その日は太陽も高いうちに二人だけの時間を過ごして、普段どおりにわかれたのだろう。 互いの人生は深く交わらない。一つのいきものになることはない。 それが本当の別れになると知っていたなら、もう少しだけでも時間を割こうとしただろうか。 いつか斜陽の日が来る。 その、少し前のことだった。 (-72) 2022/08/24(Wed) 19:43:28 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「そうですよねぇ。まあ十中八九……でも気にしないでください。そもそも俺からすれば、そう言って貰えるだけで十分ですから」 言葉通り、誤解なんて一言で済ませられる問題でもない。 何より前ボスの判断だってあってこそだ。 己は一切の噓を語ったつもりはなくとも、こうして肩を持ってくれる人の存在がどれだけ大切だったかは理解している。続けて頭を下げた。 「いつか、かぁ。いつになりますかねぇ。 極東のハチコウとやらにならなきゃやってられないくらい待たされる気がしてなりませんよ俺は。そういうペースの人ですもん」 「若いですよ。なんたって享年23です。 若さを求められてもいましたし、それで許され……」 ません?と言い切る前に、突然流れとして出るには不自然すぎる単語を聞いて、おう。うん。とばかりに頷いた。 そも、先に単語を出したのはこの男なんだがそれはそれ。 「…………死後一番驚いたかもしれませんね。 覚えていらしたとは。てっきり俺がしくじった時点でゴミ箱に投げ込まれていたと思っていたので、今結構に動揺していますね」 していますね、と言っている顔が無表情なのが動揺に拍車をかけているのはとっくに知られていることかもしれない。 「甘やかす……甘やかされる……」と譫言のように呟いてるのは、逆に言えばこんな行動を録に起こした事がなかったのだろう。 (-73) 2022/08/24(Wed) 19:47:24 |
【秘】 金毛の仔猫 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ「……そ」 あなたがそう言うのなら、少年にはこれ以上、重ねられる言葉はない。 口が巧くはないのだ。 それに何より、元よりそこにないものを欠けていると認識することはむずかしい。 少年自身だって、そうなのだ。 それでも今、差し出そうとしている気持ちが届いたらと。 それは、ほんのささやかな我儘だ。 「無理に食べるのもかっこよくはないだろ」 「じゃあ、ええと――おれが」 「おれがほしいから、ちょうだい」 (-74) 2022/08/24(Wed) 19:47:59 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ「全くだ。ここら辺なんか、特に物騒なのにな」 そう言って、ついてきたのをちらりと見ては一つ浅く息を吐いた。 もう後戻りは出来ない。 暗く細い路地は当然と言うべきか、人の気配一つない。 夏の空気が湿気を伴って、建物の隙間に風となって緩やかに吹いていた。 転がっている何かの瓶を軽く足で横に蹴れば、 コンクリートの上を転がる硬質な音がした。 「ここでいいか」 何度か道を曲がって、進んで、待ち合わせた場所から奥まった位置に立ち止まる。そこだけはさっきまで歩いていた道より小奇麗で、ゴミも落ちちゃいなかった。 「もう少し綺麗な場所にしてやりたかったんだけど、そんなとここんな陰に無いもんな」 貴方に向き直して、気の抜けたように笑った。 その顔は酷く寂しがっているようにも見えるし、 酷く安心したようにも見えるだろうか。 「……傷は付けたくないんだ。銃もナイフも使わない」 ぱ、と顔の横で両手を上げる。 (-75) 2022/08/24(Wed) 19:54:28 |
【秘】 A88A― ヴィオレッタ → 坑道の金糸雀 ビアンカ>> ビアンカ 「いいえ、なんでも?」 落としたケチャップは次のオムレツで掬ってなかったことに。 愉し気な表情も、すまし顔でなかったことにして。 「えぇ、貸しにしておきます。 ですから――」 何処かへ行っても、連絡をくださいね なんて素直に言えなくて。代わりに、 「ですから、しっかり働いて返してくださいね」 などと減らず口を言って。微笑む。 できることなら、日の当たるところで 此処ではない何処か、この街の外なら。 あなたと……あの子なら。それができると思っていた。 けれど、それはあなたの矜持を貶めると知っていたから。 今は夜にしか鳴けない鳥も、 いずれは陽の光を知ると信じていたから。 ただ、あなたの話を聞いて、頷いて。 ……少しだけ眩しそうに、見つめるだけ。 [1/2] (-76) 2022/08/24(Wed) 19:58:13 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 坑道の金糸雀 ビアンカ「そう? ────君が言うなら」 やっぱり、そう。 君はあの子を渡さないし、男も結局こう言うのだ。 寂しいと言うくせに、悲しいと言うくせに。 カタギにするだとかなるだとか、そういうことに関心はないらしい。 男は言葉を尽くした。女は多くを語らない。結局は、そういう戯れを楽しんで。 戯れが稀に真実を映すこともあったろう。 沈黙は金、雄弁は銀なんて言うけれど、それだけが全てでもない。 偉そうな格言は、大抵何の役にも立ちはしない。 「身に余る光栄だ、<cc dolcezza>お姫様</cc>」 最後まで止めない。 男は模範的な客ではなかった。客を待つ娼婦と話し込むことも多かったし、顔を合わせれば大抵出かけようと誘った。酷く親しげで馴れ馴れしく、いつだって恋人を呼ぶように君を呼んだ。 男は模範的な客ではなかった。それでも乱暴だけはしなかったし、君の見せる夢に溺れることもなかった。恋人役を冷静に愉しみ、その手を引いて逃げようなんて言うこともなかった。 「僕も愛してるよ、ビアンカ」 それでもこれだけは、真実。 朗らかに笑って手を振り、踵を返す。 女は娼婦だった。男はマフィアだった。 それはきっと、ありふれた話だった。 (-77) 2022/08/24(Wed) 19:59:06 |
【秘】 A88A― ヴィオレッタ → 坑道の金糸雀 ビアンカ「そんなお世辞を…… って、さっきも言いましたね」 二度目の照れ隠しは途中で止めて小さく苦笑。 代わりにグラスのワインを流し込んで、ほぅと吐息を零した。 「……いいですよ。 えぇ、あなたが望むのなら、 私でよろしければ、いつでも」 そう言って頬杖をついて、あなたを眺める。 今日は夢に酔ってるせいか、 アルコールの回りも早い気がした。 「…… ビアンカ 」だから、普段は口にすることのない名を呼んだのも、 きっとその所為だろう。 [2/2] (-78) 2022/08/24(Wed) 19:59:33 |
【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ「……そっか。 何もかもが過去形にばかりなったこの空間で、 一番聞けて嬉しい "だった" かもしれない、な」 果たして、例え話の人間になる事が幸せなのか。 死後にその欲望を知ってしまったが故に後悔を経験した己には、 終ぞ最後まで答えを出すことができなかったが。 「ラウラくん。君が人となったこともあるけど、それ以上に。 その答えを選んだ上で俺と違う道を歩んでくれた事が 俺が理由を言う何よりの一番の理由だ」 本当は、それこそを一番望んでいたのかもしれない。 なんて恩着せがましい言葉はそっと胸の内にしまって。 「……こちらこそありがとう。 その結末を見せてくれて」 貴方が知れた答えに、昔は祈りだったから今度は祝福を。 それから空の色を見て、何かを思案するようにして、 「夜が来る前に帰らなければならない時間だが、さて。 ──それじゃ、"また機会があったら飲もう"、か」 これからの有無を聞くよりも、きっとこの方が自分達らしくていい。 (-80) 2022/08/24(Wed) 20:03:07 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 愚者 フィオレロ「なんだ、真面目に考えてやってたのは俺だけか」 なんともないように、いいつつ。頭をかく。動揺していたのは同じだ。 まともに関係性を求められて言葉を言われたのはあなたぐらいだったから。 「テンゴに押し付けてやろうかと思ったらあいつも、俺にお前を渡そうとしやがった。 あっちにも惚れてるならやめておけよ、恋愛感情じゃなくてペット扱いで終わるのがおち。コルヴォも、ありゃだめだ。 だからノッテにこだわるのは……リックならましだったかぁ? わからんな。」 ぶつぶつ呟きながら手を伸ばせば伝わらない熱を掴む。 夢なら腰ぐらいどうにかなってくれや、と。 思いっきり貴方の脇をつかめば高く上へと持ち上げてやる。 そのまま重力に逆らわず地面に足をつかせれば髪の毛を乱すように掻き回してやった。 「適当な子供たちにはこれをやったら喜んだ。 俺はその理由を知っててやったり、やらなかったりした。 いつまでもその体を支えてやれない。 一緒に居続けるっていう約束もしてやれはない。 泣いたときに慰めるのは、俺じゃない。 そういい聞かせてるのに、喜ぶもんだから。 それが欲しいもんなんだって知ってた。 最期で悪いな、生きてたらもっと他のもんも考えられたが ……どうせこれ以上やれないんだ。 未練なんて消して楽になっちまえよ」 (-81) 2022/08/24(Wed) 20:05:22 |
【秘】 A88A― ヴィオレッタ → 郵便切手 フラン>>フラン 「いえ、」 ゆるく首を左右へ振る。 あなたに間違いはないと。 「迷惑だなんて。ただ――」 私には、それを受け取る資格なんてないのですよ、フランさん 本音は心の奥へしまい込んで、 「ただ、そんな高価なもの。 気安くいただく訳にはいきませんので」 建前と仕事道具で誤魔化す。 「それにそれは誰かの為のもの、でしょう? ふふっ、いけませんよ? 女性を口説くのならその人の名で贈らないと」 くすくすと笑って、誤魔化してみせる。 そういった品ではないと知りながら。 (-82) 2022/08/24(Wed) 20:14:59 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → ザ・フォーホースメン マキアート「それでもさ。子どもなんて、長いこと抱いていないから」 両の手に目をやる。大きな手をゆっくり握って、開く。 マフィアという組織に身を置いていれば、どうしたって生より死の話題が耳につく。やれ誰が死んだ、殺した、殺された、自分の組織のことではなくても、ないからこそ日常茶飯事だ。 だからこそ家族は新しい命の誕生を喜んだ。男も例外ではなく、きっと周り以上に。 喜びをよく顔に出す男だった。 寂しさも素直に口にする男だった。 「そう? それなら信じよう。君は僕に嘘なんかつかないし」 にこりと笑んでは、その身体を軽く引き寄せて。 軽く頬に口付けて、「君は偉いね」。 それから元通りの位置に収まって、アルコールを一口。 「聞きたいことはもう一つあってさ。君の可愛い後輩のことなんだけど────」 「どう、あの子は。先輩から見て?」 (-83) 2022/08/24(Wed) 20:15:37 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォまだ僅かな陽のあるマジックアワーの中に浮かんだ、黒い輪郭を目にする。 足音のない生き物はゆっくりと近づく。相手の言う通り、さながら死人の影が揺れるようだ。 例えば拳銃の間合いであれば届くもの。ナイフであれば、もう少し。 その僅かな違いの手前で、爪先はぴたりと止まる。静けさの中に声はよく通った。 そのくせ風に流されてしまって、互いの距離から離れてしまえば、きっとなんにも聞こえない。 「……アンタは、金と手間さえ払いやすりゃ、やってくれるの。 その名前の通りの、仕事っていうのをさ」 口の中に氷を詰めているように声音は冷え、されど鋭さも無く川底に落ちたよう。 少なくとも以前まで話していたような表稼業の柔らかさは持たず、けれど仕事中の張りもない。 いちばん、ペルソナの何もかもが剥がれた中央にあるもののような無防備さだ。 青年の、外装の無い振る舞いを目の当たりにした人間てのは、そう多くはないものだろう。 両腕は下がり、隙こそないもののその先に縋る刃はない。今こうしているうちは、傷つけることはない。 それを示すように、薄暗がりの中で手袋をした指がふらふらと揺れている。 冷えた唇から飛び出した言葉は、相手からしてみれば出し抜けに聴こえるものだろう。 昨日まではもう少しばかり、青年の姿には不穏当な意気があったはずなのだ。 「オレより先に、用事のあるのが、いるんだ。 ……誰にも見せてやりたくない。死体を、処分してくれるんだろう」 手荷物があるわけではない。今この場に、"用事のある者"はいないのだろう。 一応は相手とは敵対する間柄の筈だ。どれだけ互いの素性を聞き及んでいるかは別にして。 それを戯言のままに聞き流すか、仕事、或いはお願いとして捉えるかは、相手次第だ。 (-84) 2022/08/24(Wed) 20:17:33 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ「話せるったって、運が良ければだがな。口寄せは女の方が適性が高いようでな。男の俺ではそう簡単には聞けんよ。」 言いながら、貴方の言葉を最後まで聞く。 聞き終えれば、ふ、と笑うのだ。 「お前さんはそうだろうな。死んだ後に俺に未練を託す無様は晒してくれるなよ。嗚呼、その銃も何も、全て覚えておいてやろう。故に、だ。」 → (-85) 2022/08/24(Wed) 20:27:03 |
【秘】 郵便切手 フラン → A88A― ヴィオレッタ「誰かのための、ものでした」 ポケットに掌を重ねる。 小さな硬い感触が布越しに伝わった。 「……あなたの名で贈ったら、」 "価値"に見合う信頼を築けたら。 贈って、受け取る"資格"を互いに得たら。 「今度は受け取ってくれますか」 賭け金も残ってない自分には、場が流れたって関係はないとばかりに言葉を続ける。 そういった 品ではない。今は。いつか、があるならそうなるかもしれないけれど。 今は、どこかに消えてしまいそうなあなたの無事を願う御守りだ。 重ねた影が新しい像を結ぶなら、それは間違いではなくなるだろうか。 (-86) 2022/08/24(Wed) 20:28:29 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ「誓おう。この血に、ノッテに掛けて。」 「お前さんがくたばった後も、生きてやる。俺がそうなったら、精々長生きしてくれよ、兄弟。」 (-87) 2022/08/24(Wed) 20:30:42 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 銀の弾丸 リカルド【隠された医療施設】 「…それでこそ、だ。」 「俺は早々くたばるつもりはない。誓ったからな。」 なあ、兄弟。と零す。 意識が戻ったとは言え、傷は深く。 脂汗を滲ませて、息を吐いた。 「お前さんが作り上げたこの施設の連中は優秀だ。そうだろう?だから心配はするな。お前の為すべき事を為せ。」 安心させるように、貴方の手を軽く握った。 (-88) 2022/08/24(Wed) 20:35:46 |
ヴェネリオは、聞こえない挨拶を。「Addio、兄弟」 (c18) 2022/08/24(Wed) 20:40:30 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 愚者 フィオレロ結局は徒労に終わるとわかっている努力を、誰が続けられようか。 当然、他人からすればそんな事情は知った事ではないだろう。 だからこの腹の底は誰に話す事も無い。 片手の指の数にも満たない人間だけが、知っている事。 他人にとっては、誰に話す程の過去も無い、つまらない人間だ。 「……努力して、報われるなら。 生きる事をやめようとしてやめられるのなら、 きっと俺は、とうに終わっていた人間だよ」 とはいえ、今は回りくどく慎重すぎるやり方をしている。 その事だって今はもう嫌というほどわかっていて、 だから今後の進退を決めるなら、きっと今が岐路なんだろう。 けれど、それでも。 「人はいつかは死ぬ。死んだ奴に頼らなきゃならないほど、 俺もやりようが無くなったわけじゃない。 たとえいつかお前が引き金を引く時が来たとしても、」 「それは今じゃない」 死に損ないは、今を選ばなかった。 それが良い事だったのか、悪い事だったのかはわからない。 何れにしても、その賭けが行われる事は終ぞ無く。 それ故に、互いに淡く脆い期待を裏切られる事は無かった。 ただそれだけが、確かな事だった。 (-89) 2022/08/24(Wed) 20:44:55 |
【独】 郵便切手 フラン/* 先輩後輩の間に挟まりたくない 恋愛には発展させたくない 丸く収まれ丸く収まれ丸く収まれ プラトニックの間に挟まったやつから死んでいくんだぞ!!!!!!!!!!!! (-90) 2022/08/24(Wed) 20:48:10 |
【置】 A88A― ヴィオレッタ【Pollo Nero】 「……。」 半時間ほど前から、一人の女がグラスを傾けている。 来店から暫くはキャストがついたが、 最初の注文以外は喋ることもなく、 話しかけてもにっこり微笑むだけ。 数人が入れ替わったのち匙を投げられ、 独りでワインを飲み続けている。 煙草を吸うでもなく、スマホを触るわけでもなく、 ただグラスの赤いワインを 減らしては注いで。注いでは減らして。 そして時折、ぼんやりと店内を見回すだけ。 喪服のような黒いドレスは何処か場違いで。 微笑を湛えているのに昏さを感じる顔は不気味で。 時折漏らす吐息は人を近寄らせない雰囲気は重くて。 店の片隅で居ないものとして、扱われていた。 そして、その扱いに女は満足していた。 [1/2] (L1) 2022/08/24(Wed) 20:51:13 公開: 2022/08/24(Wed) 21:00:00 |
【置】 A88A― ヴィオレッタ更に少しの時間が経つと、 ボトルで頼んだBiancaVignaが空になる。 その最後の一杯。それを軽く掲げた。 「…… あなたの方が、酔えましたよ―― 」呟いた名が喧噪に溶けると、グラスを置いて店員を呼ぶ。 訝し気に、でもそれを精一杯隠した店員に、会計を告げる。 店内の幾人かのほっとした雰囲気を感じながらも何も言わず、 素直に支払い女はバーを後にした。 この不気味な客の去った後には、空のボトルと 注がれたままのワイングラスだけが残されていた。 [2/2] (L2) 2022/08/24(Wed) 20:53:40 公開: 2022/08/24(Wed) 21:00:00 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 銀の弾丸 リカルドふっと笑うような声が漏れる。嘲弄にしては柔らかなものだった。 哀れみなんだろうか。成すがままにされている相手への、男にとっては不可思議な状況への。 どんな想いで相手がここへ訪れたのかなんて、考えやしない。思いを巡らせたりもしない。 冷えた妄念だけが足と頭を動かして、この数日を組み立ててきたのだ。 今までに何度もやってきた手口を繰り返してなぞるだけ。自分自身の傀儡のようだ。 「そうだったら。自分で自分を追い詰めているなら、なんだって言うんだ。 目的も見失って、狂っているんだとしたらなんだって言うんだ。ほかに何も持ってやしない。 その全てを持ってるアンタに言われたくない。全部掻っ攫っていったのはアンタのほうだ」 指に絡んだ精液を拭うように雁首に指を擦り付ける。僅かに濃度の平坦でない滑りが流れる。 ソファに乗り上げ、息の掛かるほどの位置で囁く。陰湿な喜びに、歪んだ笑みを浮かべた。 小さな声で吹き込む唇は、件のアイオライトのすぐ傍で動く。微かに耳を、熱のある肉が揺らす。 「返してよ、リカルド。 ……ね、今楽しい? 望んでやってきて、こんな目に合わされて」 高揚したように吐息が音を立てる。それが何に依るものかなんてのは、わかっちゃいないのだろう。 乾いた左手が頬に触れる。冷えたジェイドの瞳が、貴方の目を輝きを見つめ返して。 酒で腫れて深い赤に染まった舌で、まだ強気な言葉を投げかける唇をそうっとなぞった。 「ちょっと転がすね。……こんな姿勢、女相手じゃしやしないでしょ。 女みたいにされるのは初めて? 大事にされてそうだもんね、アンタはさ」 体温を帯びた頭がゆるく、上体の上を滑るように離れてソファから身体を起こす。 肩口をまだ体液の付着した手で掴むと、内側に押し込むようにぐるりと体勢を変えさせた。 相手の頭はクッションの上に、身体は丸ごとソファの上に。 下肢は奥に押し込められ、背中を反らせて腰を天井に突き出させる。 衣類の剥がされた下肢のその付け根に、く、と体液と唾で濡れた親指を宛てがい浅く愛撫する。 乱暴に指を突っ込んだりはしない。その方がマシな気分だったかもしれないけど。 (-91) 2022/08/24(Wed) 20:58:12 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 鳥葬 コルヴォ長い長い沈黙の後、この手が貴方を基軸とした何もかもにも触れられる事は永遠に無いと知った。気付いた。 「…………そうか」 その上で、零れた言葉はそれ一つ。 薄々こうなる事をわかっていたのか、感傷が全てを塞き止めたか。 「振られに振られてここまで来たな」 「他人に何かをしてやるなんて事は烏滸がましいと理解していたが──それでも、何か一つでいいから、」 "お前の手助けがしたかったよ" なんて、幼少期からずっと押し付け続けていた余計なお世話も、これで全部終わりだ。終わるからには立ち去らねばならない。 ああ、格好悪いしみっともないったらありゃしない。 結局己は不用意に労って、逆に昔馴染みを傷つけ続けただけだ。 『stronzo!!』なんて叫んでやりたくすらなるも、最後の最期だ。どうせなら嫌がらせの限りを尽くしてやろうとして、 「うまく死ねよ。そうでないと、」 「次に会うときは本当のfratelloになるよう願ってる俺の願いが叶うぜ。──じゃあな」 一番最初、本当に出会ったあの日に貴方に望んで。 再開した後の貴方をみて、遂に望みを言葉にできなかった"迷惑"を全部ぶち撒けてから──永遠にその場から跡形もなく、男は消え失せた。 (-93) 2022/08/24(Wed) 20:59:18 |
【独】 デッド・ベッド ヴェネリオ/* ぶっちゃけいまのうちに独り言を書きためておくべきでしたが無理でした。時間がねえ、生きてるって本当大変だな Addio!!! (-92) 2022/08/24(Wed) 20:59:45 |
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