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![]() | 【人】 ニナリス[ほとんど無意識のまま男性の姿を見ていれば、 彼が振り向き視線が交わった。 瞬間、胸の奥がかすかにざわつき始める。 カップを握る指先に、思わず力が篭る。 こんなこと、今まで一度もなかった。 その瞳の色は、紅ではなかった。 けれど、] (1) 2026/03/17(Tue) 11:45:04 |
![]() | 【人】 ニナリス[声を掛けられて初めて、フード姿の彼が 自分の目の前までやってきていることに気付く。 肩が揺れ、思わず上擦った声で問い掛けに返す。] あっ、空いてます、けど……? [口にしたあとでやらかした、と内心で頭を抱えた。 悪癖が、出てしまった。 いつも「思わせぶり」と言われてしまう原因。 思わず人をじっと見つめてしまうのと、 言われたことに、素直に頷いてしまう、癖。]* (2) 2026/03/17(Tue) 11:48:36 |
![]() | 【人】 フラウアホント?よかった。 これだけ混雑してると席を見つけるの 結構大変でさ。 [人のいい笑みを浮かべる。 大抵、こういう笑顔を作れば相手が緊張を解くか 親しげに話しかけてくるようになるのは、 経験上よく分かっていた。 それが彼女に適応されるかどうかはさておき。 椅子に座って、じっと見つめる。 口にしたカフェモカはいやに甘く思えて、 少し飲んでまたすぐにカップを机の上に置いた。] えっと、……ここにはよく来るの? [口にしてから、なんかナンパみたいだなと思う。 ちょっと会話の口実を探していただけで、 普段はもっとうまくやるはずなのに。 なんでか分からないけれど彼女相手には そういうことが上手くできないようだった。]* (3) 2026/03/17(Tue) 13:14:02 |
![]() | 【人】 ニナリス、……この時間はわりと人、多いですから。 [向けられた笑顔は人好きのするもので、 殆どのひとなら緊張を解くところだったろう。 でもなぜか、そうはならなくて。 胸のざわつきばかりが勝手に大きくなっていく。 視線を落とし、カップを見詰めた。 だいぶぬるくなってしまったカフェモカの表面は、 店内の照明を反射して煌めいている。 彼からの視線には気付いているが、 暫く顔は上げられなかった。 ただ、見られていることに、嫌悪はなかった。] ……え? [これはナンパ? ナンパなの? 戸惑いながら顔をあげると、 当の本人も困惑しているようだった。 自分のほうから聞いておいてそんな様子になるなんて、 ちょっと面白くなってしまって、口の端を緩めた。] あ、は。自分で言ってびっくりして…ふふ。 ……週に一回は来ます。 [そして、またしても素直に応えてしまったのだった。]* (4) 2026/03/17(Tue) 13:47:25 |
![]() | 【人】 フラウア週に1回は、ってことはそれ以上も? ってことは結構常連なんだ。 ここのお店好きなの? おすすめは、今飲んでるソレ? [笑われたことにバツ悪そうな顔をする。 けれどそれで少し緊張が解れたのならば、 それは不幸中の幸いと呼ぶべきだろう。 週に一回、と聞いて軽く考える。 そういえばここら辺はあまり来たことがなかった。 大学から少し離れた場所で会いたいと言われて 普段は来ない場所までわざわざ足を運んだから、 というのが実の真相ではあるのだけど。 だから会わなかったのか…と考えて、 そんな自分の思考に少し違和感を覚える。 どうしてそれほどまでに己は 彼女と出会おうと思うのか。 嫌な頭痛が急に襲って、少しだけ目を細めた。]* (5) 2026/03/17(Tue) 14:14:48 |
![]() | 【人】 ニナリス常連、なのかな。 週2来ることはあんまりないけど。 ここのお店は外の景色が綺麗に見えて 好きなんです。 カフェモカも、他のお店より甘くておいしいから。 [言いながら彼の手元のカップに視線を落とせば、 たぶん同じものを飲んでいるだろうことは 察しがついた。 ここに通う理由はすでに口にした二つが主だけれど、 住んでいる場所がこちら方面だったのもある。 が、さすがにこれは口には出せなかった。 彼に視線を戻して、不躾にならない程度に 表情や佇まいを観察する。 たぶん、年齢は自分と変わらないくらいだろう。 もしかしたら、同じ大学の可能性もある。 マンモス大学なので学部が違えば全く会わないのも 普通のことだ。 そこまで考えて、どうして会わなかった理由や、 彼の所属を気にしてしまうのか、内心で首を傾げた。 そうしていると、細められる瞳が目に入る。] あの、どうかしました?* (6) 2026/03/17(Tue) 14:41:33 |
![]() | 【人】 フラウアなるほど、景色か。 カフェにきて外の風景とかそういうの、 あんま気にしたことなかったかも。 ていうか俺たち同い年くらいじゃない? 敬語使わなくていーよ。 これでそっちが年上だったら悪いんだけど。 [この馴れ馴れしさも”慣れている”と言われる所以だろうが モテない奴らの僻みについて聞くつもりはなかった。 カフェモカ。確かにこれは、甘い。 好きな女子も多そうなのは納得だ。 きっと、遊ぶ女の子を連れてきたら喜ばれるんだろう。 そんなことも容易に想像はできた。 頭痛に反応して細めた瞳を見咎められて、 少し笑みを浮かべてなんでもなーいと返す。 まぁ所謂見栄ってやつなんだけど。] (7) 2026/03/17(Tue) 18:07:24 |
![]() | 【人】 ニナリスそうかな? 案外楽しいですよ。 勝手に世界が流れていくって感じで。 たぶん、同じくらいの歳だとは思いますけど。 20歳、で大学生。 [大学の方向を指で示せばたぶん伝わるだろう。 きみは? と小さく首を傾げて尋ねてみる。 返ってくる答えはきっと自分と同じような言葉だったろう。 歳が変わらないとわかったなら、敬語は外した。] んー。何でもないならいいんだけど。 [少し苦しそうに見えたから。 その言葉は続けずに飲み込んだ。 浮かぶ笑みに感情の温度は見えない。] (8) 2026/03/17(Tue) 19:49:48 |
![]() | 【人】 フラウアんじゃ、同い年か。 ……あ?学校も同じかも。学部違いか。 アソコ広いしなんでもあるもんな。 [まぁ、だからこそ選んだのだけど。 人間が多ければ多いほどいい。 埋まらない穴を取っかえ引っかえで埋めるのにも 人数が多い方がいい、という理由だけど。 なんでもないの言葉に言及されなくて 見えぬようにほっと息を吐き出した。 何も初めての頭痛じゃない。 何かを無理に思い出そうとすれば、 或いは深く知ろうとすると時々起こるものだった。] (9) 2026/03/17(Tue) 20:35:26 |
![]() | 【人】 ニナリスきみが理工学系なら学部棟自体が違うね。 何でもありすぎて、迷っちゃうのが 玉に瑕だと思うの。 [それくらいにとんでもなく広い。 つまり知らない人のほうが圧倒的に多い。 学部が違えば生活サイクルも使う棟も全く変わる。 会わない人には絶対に会わないままだ。] (10) 2026/03/17(Tue) 20:52:04 |
![]() | 【人】 フラウアでも色んな奴いて面白くない? サークルとか、そういうのも多いし。 学校にいて、毎日新鮮だし。 [理工なら、と言われて正にその通りと頷く。 ここまで話す感じで己の悪行は彼女の耳へは 全く届いていないようだ、というのが分かった。 今頃なら授業の自分と、空きコマの彼女。 それだけでも時間の流れが違うのはわかる。] (11) 2026/03/17(Tue) 21:29:28 |
![]() | 【人】 ニナリス面白いとは思うよ。授業も楽しいし。 ……サークルは、馴染めなくって 辞めちゃったんだけど。 [全く会ったことが無いのなら 理工系だろうと推測したけれど、正解だったようだ。 だから当然、彼の「悪行」は耳にしたことはない。 そして彼もきっと私の「悪癖」を知らない。 ……いや、私は普通に接しているだけなのだけど。 ふと腕時計に視線を落とす。 次の講義まであと30分ほどだ。 そろそろ店を出ないと。] (12) 2026/03/17(Tue) 21:57:53 |
![]() | 【人】 フラウア馴染めなかったんだ? まぁ、向き不向きとかもあるし…… 多分合うの1個くらいありそうだけど。 こんだけ大きい大学なわけだし。 [自分は所謂飲みサーだとかヤリサーなんて 呼ばれるところに所属している、ということは 勿論だけれど言ったりはしない。 彼女と違って普通に接しているわけではないのだから。 時計に視線を落とす仕草を見て、 次の時間に講義があるのかなと予想する。 そしてそれは、的中していたようだった。] (13) 2026/03/17(Tue) 22:18:41 |
![]() | 【人】 ニナリス今は勉強とバイトのほうが楽しいんだ。 だから、サークルはもういいかなって。 [友人と一緒に文芸サークルに所属していたことはある。 けれど、「悪癖」のせいで気まずい思いを 何度かしたうえ、その友人とも疎遠になってしまった。 なるべく思い出したくない黒歴史その1である。] (14) 2026/03/17(Tue) 22:44:01 |
![]() | 【人】 フラウア────ねぇ、ニナリスって知ってる? ニナとか呼ばれてるかもしんない。 [あの日から、数日。 男はベッドに座り、抱いた女に尋ねた。 年上の彼女は確か文系だったはずだと記憶している。 聞かれた女は煙草に火をつけて呆れたような顔をした。 事後に他の女の名前なんて無粋だろうに、なんて。 それから記憶を手繰るようにして女は考えていた。 そしてそのあと、思い出したように声を漏らして 彼女にまつわる”噂”を聞かせてくれた。 曰く、思わせぶりな行動を取っておいて拒否するとか。 恋人と呼べる相手もいたようだが、皆それで離れたとか。 ふーん、と興味なさげな声を出したら、 事後で他の女のことを聞いた上にその態度は、と叩かれた。] (15) 2026/03/18(Wed) 1:36:28 |
![]() | 【人】 フラウア[女に謝罪を述べて、機嫌を取るようにキスをする。 埋まらない穴は今日もまた、空いたままだった。 ねぇ、今日泊まっていっていい? 甘えるような声で、男は女に尋ねた。 ひとりで居たくない。 寂しさに押し潰されそうになるから。 そんな気持ちを抱えて、ずっと生きている気がした。 まぁ、その結果。 何の因果か君との再会は、朝帰りの現場だったわけだが。]* (16) 2026/03/18(Wed) 1:45:26 |
![]() | 【人】 ニナリス[授業のあとは、そのまま大学図書館のバイトへ向かった。 返却本を書架に配架するのが主な仕事で、 シフトによってはカウンターにも立つ。 私が担当しているのは文系書架のフロアで、 利用者の多くは文系の学生だ。 理工系の学生は専門書のある別館を使うことが多い。 利用者は多いはずなのに、 本を借りてすぐに去っていく人がほとんどのせいか、 このフロアは意外なほど静かだった。 黒縁の伊達眼鏡をかけ、 髪は後ろでひとつにまとめて作業する。 知り合いが来ても特に気にされることもなく、 こちらも気にしないでいられる。 この静けさが、カフェと同じくらい好きだった。 たまに、こちらに気づいた学生が ひそひそと話していることもあるけれど、 作業に集中していればすぐに気にならなくなる。 それもまた、心地よかった。] (17) 2026/03/18(Wed) 9:17:29 |
![]() | 【人】 ニナリス[穏やかで代り映えのしない日常を繰り返す。 そのうち、彼のこともあまり気にしなくなっていた、 ──はずだった。 今日は朝から授業が入っている唯一の曜日だ。 大学へ向かう道すがら、 たった一度見ただけの姿に気付いてしまう。 胸がざわついて、思わず足が止まる。] (18) 2026/03/18(Wed) 9:18:33 |
![]() | 【人】 ニナリス[ふ、と。 普段は夢の中でしか感じないはずの視線が、 一瞬だけ背中に滲んだ気がした。 これを運命と呼ぶのは、何だか怖かった。 思わず瞠目し、息を整えてから 何もなかったように声を掛ける。] ……おはよう。 (19) 2026/03/18(Wed) 9:19:38 |
![]() | 【人】 フラウア[かけられた言葉に振り向く。 同じ学部の誰かかと思っていつもの笑みを浮かべ 視線を向けて、ぴたりと止まる。 おはようと言いかけた口もそのまま固まった。] ……あー、うん。おはよう。 [その言葉に若干の気まずさが混じったのは、 隣にいる女との関係性もそうであるが。 つい昨日、ニナリスについて聞いたのもある。] (20) 2026/03/18(Wed) 11:48:48 |
![]() | 【人】 フラウア[誤魔化すようにして口にした言葉。 けれどそれは、案外本気で。 この後時間があるなら、この前のカフェとかどう? そんな風に誘ってみようか。]* (21) 2026/03/18(Wed) 11:51:29 |
![]() | 【人】 ニナリスこの後、2コマ授業なの。 そのあとでいいなら。 [終わったら連絡するね。 告げて、彼の前から離れた。 授業は半分くらい上の空だったかもしれない。 連絡を入れてからカフェへ向かう。 ……会って、何を話すつもりなんだろう。 私は、何を話したいんだろう。 いくら考えても、わからなかった。]* (22) 2026/03/18(Wed) 13:16:42 |
![]() | 【人】 フラウアおっけー、じゃあその後に。 俺も遅れそうなら連絡する。 [一瞬授業が入っていそうな気もしたけど、 正直それよりも優先すべきはこちらだった。 そもそもにおいて授業が大切かと言われると、 大学には勉強を目的としていたわけじゃない。 ……などと、意味の分からないことを思いつつ。 彼女と別れていつものように授業に取り組んだものの、 話の内容は何一つ聞いていなかった。 そうして向かったカフェ。 視線の先に彼女がいることに、酷く安堵した。]* (23) 2026/03/18(Wed) 22:24:52 |
![]() | 【人】 ニナリスカフェモカホット、ショートで。 あと、ミックスサンドもお願いします。 [注文を終え、オーダー品を受け取ってから いつもの窓際の席に腰を下ろす。 カップに手を添えて外を眺めていれば、 カフェへ歩いてくる彼の姿が見えた。 胸のざわつきは起こらなかったけれど、 視線の気配が背中に滲んでいるような気がした。] (24) 2026/03/18(Wed) 22:55:46 |
![]() | 【人】 フラウア[頼んだのは、カフェオレだった。 甘いものは苦手だけれど、ブラックも同じくらい苦手。 どっちもダメならそもそも飲むなよ、なんて 大学の友人たちからは言われたけれどやめなかった。 多分俺は、そういう性格だった。] ごめん。遅れたつもりはなかったけど、待った? [彼女の前に座りながら尋ねる。 どうしてだろうか。こうしているだけで、 ずっと埋まらなかった穴が少し埋まった気がした。] (25) 2026/03/18(Wed) 23:06:04 |
![]() | 【人】 ニナリスううん。私もさっき席に座ったところ。 [お昼には少し遅い時間帯だけれど、 彼の前にはカフェオレだけ。 よかったら半分食べる? と、 ミックスサンドの皿を少しそちら側へ寄せた。 それからカップを口に運び、チョコの薫りと 甘い味を堪能する。] (26) 2026/03/18(Wed) 23:21:26 |
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