81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】
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| 三途病院連続殺人事件:犯人Sの遺書(抜粋) これはよくある話でござります。 日夲男兒は戰ひ死ぬ事を譽れとしてをりましたから、生きて歸る事は恥とされてゐました。 さう教わり、さう思つてゐても、空腹には逆らゑぬものです。 命が紙くず程の價値しか無かつた時代、倫理もまた價値のないものでした。 私は腐つた肉を食べ、蟲を食べ、紙を食べ、土を食べた後。再び肉を口にしました。 人を食した者は皆壹樣に口を閉ざしてをりますから、その全容は未だ見ゑません。 併し私が知る限り、同じく人を食した者は大勢をりました。 ですから、よくある話なのです。
これはよくある話でござります。 内地に入り銃聲が聞こゑなくなつた後も、私の戰爭は終わりませんでした。 雷でみつともなく泣き喚き、毎晩惡夢に魘され飛び起きる。 醫者と身分を僞つて働いてゐた頃、さう云つて藥を求める患者が多くゐました。 戰場から歸つた者は、正氣を失う事が多かつたやうに思います。 ですから、よくある話なのです。
恥の多い生涯を送つて來ました、と申すべきでせうか。 尤も、「~樣みたいないい子」ではござりませんでしたけれども。 2021/07/13(Tue) 0:00:24
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