大広間にずっといた。
骨の頭には瞬時の反応はできない。

*電球の彼は、自室の机に突っ伏すように息絶えています。
*背中を数度、鋭利なもので刺された痕があります。

*大きい抵抗の痕跡はあまり見られませんが、ペン先が紅く紅く濡れた万年筆が、彼の椅子の近くに落ちています。

*そして、突っ伏した机の上には、彼が読んでいたであろう本が置いてあり、
*その横に、一枚のメモが遺されていました。

*メモには、ペンなどで何かが書かれている訳ではなく、
*電気が走ったような焼け焦げが、文字のように浮かび上がっていました。

『ユングは違う　モノオキも違う
　　　　冷静さを失わないで
怒りに目を眩ませないで
　　あちら側へ逝くのは、私で最後にしてください』

*そう、書かれていました。