シオン・グレイヴスはこの日、学校には登校しない。
電話やSNSにも連絡はつかないだろう。

市川夢助は、強い異能が欲しかった。

だから、この薬が頼みの綱だったのだ。


ずっとずっと、ずっとほしかったものだ。

本日の吊り対象
・鏡沼 創
・御旗 栄悠

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（メモをはがした）

「あたしは女子高生探偵、笹原絵莉。この間知り合った後輩の透 静が、黒ずくめの生徒達の怪しげな取引現場に巻き込まれているのを目撃した。取引を見るのに夢中になっていたあたしは、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気付かなかった。あたしはその生徒に薬を飲まされ、目が覚めたら──」

（メモをはがした）

『不覚を取った。暗い闇へ落ちていく。

泥の詰まった鍋をかき回すかのように、意識が、記憶が混濁する。

頭が痛い。けれど、それ以上に、両目が痛い』

ろーでぃんぐ　なう

人魚姫の最後、尾を失った姫はただの人間でしかないのだろう。
だからこの効能は一種の運命なのかもしれない、なんて。
実際のところは何もわからないけれど。

ただ、青年があまりにも無防備過ぎたのは確かなこと。
体育祭が目前に迫る中、ころりと騙されてしまった。
一日二日もすれば治る代物ではあるのだろうけれども。