【ZRNニュース速報】

2XXX年　児童連続殺人事件　迷彩サリ被告　死刑確定　最高裁

『特集の途中ですが速報です！速報が入りました。……えー、迷彩サリ被告に、死刑判決です』

『最高裁が上告を棄却した為……、死刑が確定ですね』

『この事件は2XXX年から2XXX年にかけて発生した児童連続殺

……コマーシャルに切り替わる。家族が車に乗り、海の見える道路を走っていた。

『しかしこれ、保険は適用されないんでしょうか？』

児童福祉の専門家が目配せをする。会話が途切れた直後、すぐさま口を開いた。

『迷彩被告の息子……さんの場合は、病気か異能かの判別ができませんでした。ですので健康保険と異能保険の適応外だった、と聞いています』

『詳細が判明していない異能というのは、未承認のものも含めると────、欧米では──』

スタジオに少し割れた音声が響く。電話の音声のようだ。
画面端のテロップには、大学病院の名前と声の主の名前が表示されている。

『今ご覧の皆様の中には、異能抑制剤を服用している方もいらっしゃると思います。ですがご安心ください』

『────用法・容量を守ってさえいれば安全です』

『最近多いですねぇ、こういう危ない異能の事件』

『異能って、本来こういうものじゃないですよね。
　人類学的にも何か進化が起こっているということ何でしょうか？』

視線を向けられた専門家が沈黙する。
当然だ。彼の本業からはズレた話題なのだから。
出演者全てが学術的な区分を知っているわけではない。
しかしこのスタジオにおいて、最も近い分野にいるのは確かであった。

『迷彩親子の場合は──異能ではないんじゃないですかね。
　そちらの専門ではないので、断言はできませんが』

『それでは……』

『ええ。どちらかと言えばこのケースは、』

言いにくそうに、かつ、それが伝わるような間の後、言葉は続く。

『��障害�≠ﾅ

……コマーシャルに切り替わる。静かな学習塾で、複数人の子供が机に向かっていた。