三階の、階段を上がってすぐの教室。
まばらな通知音が鳴る。
猫は置いていかれたスマホをてしてし。　
なんやわれーやんのかー。

てしてし、猫のやわこい肉球によって絡まれているスマホ。

本来、この場所にあるはずがないのに。
もう充電なんか切れているはずなのに。
通知を鳴らしても、それを持ち主が聞く事は無いのに。

それでもまだ、虚しく通知音を鳴らし続けている。
いっとき此岸と彼岸が交わるこの時が終わってしまうまでは。

その横に、夢川の持っていた鞄が置いてある。
血に汚れたインスタントカメラと、生白い上紙の本と
あとは雑多なものが入っているくらいだけど。
かの有名な液状の猫用おやつも入ってる。まだ傷んでいないかも。

>>a16

猫は、おやつを見つけたが開けられませんでした。にゃん……。

猫は屋根裏部屋。おやつの袋もいっしょです。

猫はお外、校門のところ。
小さく口が開けられたおやつの袋を舐めています。

　てし、てし。がじがじ。

猫だけじゃうまく全部出せないね。
きっと、誰かにちゃんと食べさせてもらえました。
この後に、ここを通る人はいるものですから。

猫は「とらや」と呼ばれると寄って来ます。実はね。
トラだけでもけっこうお返事くれるんです。