【人】 知情意 アマノ>>+32ダビー そう、男は"彼"と近しい手法であなたの顎を狙っていった。その速度は脚部パーツのサポートもあり速くあなたの腕を掠めることだろう。雷光は言わずもがな。 捉えた、その上であなたがどう出てくるかを男は注意深く探っている。模擬戦闘の時のようなヘマはもうしない。 それからあなたの言葉を聞いた男は。ほんの一瞬だけ、あなたという共益関係者を突き放した罪悪に思考が止まる。 男とて情を持つ人間。他者を傷付けるのは望んでいない。 しかし、人間であるが故に、不完全であるが故に、あなたを傷付けた。 その自覚くらいはあるのだ。 「……ッ」 先日は男の油断が、今は男の感情が、ほんの一瞬という致命的な空白を作ってしまう。 無数の杭から逃れるのがほんの僅かに遅れた結果、男は足を地に縫い付けられそうになったことだろう。それでも、杭を手や機械化された部位である程度は受け流して距離を置くのだが。 腹から、足から血を流す男の動きは鈍ってもおかしくないはずなのに、男は痛みに多少顔を歪めながらも変わらず立ち続けている。雷光を目で追うのであれば、男の脚部にその一部が流れ込み、男は機械による補助のもと強引な動作を可能としているようだった。 「……明かして排除される程よくないものなど、監獄では珍しくないはずだが。君は『それ』に気付いていなかったかダビー? ならばそれも学びとして持ち帰りたまえ、我等が皆ただ罪を犯しただけでここにいるわけではない」 罪が生じる理由が、思考があったからここにいるのだと。共益関係でなくなったはずの男は、そうあなたに語った。 (105) 2021/10/12(Tue) 2:17:03 |