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【人】 白昼夢 ファリエ「あのう。どうして私がこんなところに……」 協会に案内された女はこれから祭りが始まるという期待を忘れてきたような困り顔。 きょろきょろと周囲──その場に居合わせた人の顔ばかり──を窺っている。 冒険者が多いように思う。聖女の目に留まるような仕事を為した者なのだろうか。 思い巡らすうちに猶更居心地の悪さを覚えたけれど、見知った顔がある事に気づいて驚きと僅かな安堵を顔に浮かべていた。 「じ…自己紹介も必要なんですね。ファリエと言います。 皆さんは今年の聖女様の祝福を受けた方々ですよね? それじゃあ私のこれも気の所為じゃないんですね……」 公式の場に不慣れなことが見え見えのぎこちない動きで頭を下げた。 それから腰まで流した後ろ髪に右手を潜らせる。どうやら彼女の痣はうなじに焼き付いたらしかった。 (20) 2024/01/27(Sat) 11:04:21 |
【独】 白昼夢 ファリエ(痣を持つ人……つまり、私と同じように帰ることができる人ってことなの?) (みんな帰れたらと思うけど。お告げの通りならこの中に痣を光らせて邪魔する人も居るんだよね) (……怖い。誰にも相談できないのが余計に。せっかくのお祭りなのに全然楽しくない。早く終わってくれないかな) (聖女。聖女かあ……) (-24) 2024/01/27(Sat) 11:09:34 |
【人】 白昼夢 ファリエ「……お食事って」 「あの。集められて説明を受けただけで後は自由にしてて構わないんですか?」 同じ境遇同士で親交を深めろということなのだろうか。 勝手に出ていくのもできずに様子見。 (21) 2024/01/27(Sat) 11:16:07 |
【人】 白昼夢 ファリエ「…………ええと。それは悪魔の囁きではなく?」 ロキと名乗る少女を訝し気にみつめた。 見た目も言動もどうにも信用ならない。 悪魔なんて見たことがない。 死ぬまでに関わることも無いと思っていた。 「でもお咎めがないのなら」 アンジュの言葉と実例のお蔭で多少強張った肩が下りる。 自分よりもずっと若そうな少女に気遣われるとは。 普段は子供を相手にしているからこそ微妙な情けなさ。 「私も気張らないで良い、んですよね」 確かに孤児院という狭い世界の外を窓から眺めるだけでない。 きっとこれきりならば、魔法にかけられても。 祝福のかたちが贈り物だと思えるように。 (36) 2024/01/27(Sat) 16:44:38 |
【教】 白昼夢 ファリエ「あ……リッカ」 子供たちを寝かしつけ冬の重たい夜を享受していた時だった。 夜空に滴るミルクのような髪が視界を横ぎって目を奪う。 そうだ。女がここまで狼狽える理由は、何も不慣れな場に招かれたことだけ原因ではない。 何年も前から痣が光ったその日まで聞き続けた声。 それはすべての元凶の響きでもあって。 「…………楽しそう。聖女様の為のお祭りだもんね。 あなたにとっては誕生日のようなものなのかな」 楽しみだ、とすぐ答えられず。 白い息を吐く。歌うように踊るようにはしゃぐ己だけの■■を見る。 (/1) 2024/01/27(Sat) 18:56:33 |
【人】 白昼夢 ファリエ「普段通りに」 咀嚼するようにこくり。髪が前に垂れた。 無理に笑う風でもなく、口は自然と弧を描く。 彼女の中でも納得できたらしい。 「きっと聖女様も許してくれますよね。 私としてお祭りに参加して楽しめば、私が祝福されたお返しになる」 懸念は少なくない。けれど祭りとあらば言祝ぐのが正道だろう。 「アンジュさんも素敵な聖女祭りにしましょうね」 (43) 2024/01/27(Sat) 19:58:38 |
【教】 白昼夢 ファリエ「ただ単に賑やかなお祭りが楽しいの? リッカってほんとうにいつまでも子供みたい」 目の前の存在は神秘的。幻のようだけれど夢と消えず確かに其処に居る。 隣で無邪気に笑うあなたを見る目が、孤児院の子供を見るのと同じになったのはいつからだったろう。 幼子でなくなり、少女でなくなり、大人になったファリエ。 あなただけはずっと変わらない。 あなたとの関係性が変わるとすれば、間違いなく己が原因なのだ。 「そうね。お祭りというのは本来そういうものね。 ここではないどこか知らない世界に迷い込んだようなドキドキ。雪だって世界を彩るイルミネーションになるよ」 底の見えない冷たい瞳を覗き込んだまま、眉尻を下げて微笑んだ。 「私も昔は大好きだったよ」 過去にはふたりで揃いの喜びを分かち合ったものだけれど。 大人になるというのは知ることだ。 例えばどんな楽しい事もいつかは終わるだとか。 例えば祭りの後は物寂しいだとか。 だから女はあなたほど純粋無垢では居られない。 (/3) 2024/01/27(Sat) 20:17:39 |
【人】 白昼夢 ファリエ「変な場所に痣が現れた方は大変ですよね。 目立ちますし、かと言って蔑ろにできませんし」 「私もあまり露出なんてしたくありませんから、何事もなく終わってほしいです……普段通りじゃ全然なくなっちゃいますよ」 (45) 2024/01/27(Sat) 20:23:09 |
【教】 白昼夢 ファリエ「言うと思った」 あなたの体に触れようと手を伸ばしても空を切るばかりで。 あなたの心に触れようと言葉を尽くしても木霊するばかりで。 虚像をすり抜ける刺すような冷気を感じているのはきっと私だけ。 ひとつ。またひとつ。 一緒に居れば居るほどにすれ違うような気がした。 そのどれもが劇的なひとつでなくとも、積み重なって隔たりを生み。 そうして何者も入る隙の無かった筈の距離は、一人分よりも広い空虚が占有してしまった。 それでもか細い糸を切らないで居るのは、あなたと二人きりの時間が女にとって孤独のどん底だったから。 あなたは世界で祀られる聖女だけれど、私の世界はあなただけだった。 ──思う。 あなたと私は『ずっと一緒』だと祈った言葉は置き去りにしてきて良かったのだろうか。 なんて。帰るのを望んでいるのは私の方なのにね。 (/8) 2024/01/28(Sun) 19:33:27 |
【教】 白昼夢 ファリエ「一緒に?リッカってそういうことできるの?」 無邪気な言葉に大きく首を傾げた。 毎度のことながら今回は更に突拍子もない。 時間だとか、他人の目だとか、そもそも何をすれば良いのか。 疑問は尽きない。 だからだろう。また"いつもの"だと先入観が本当に無邪気か判別させなかった。 「はあ……私が考えることじゃないよね。 リッカだったら何でもアリなんだろうし。 いいよ。一緒に行こう」 疑問を隅に置けばあっさりと了承。 誘いそのものは断るつもりは無かった、というよりは諦めていた。 無意識にまるで頭を撫でるかのように持ち上がりかけた腕が止まってだらんと垂れた。 たとえ相手が正真正銘の聖女でも子供のお願いには弱いのがファリエという女だった。 (/9) 2024/01/28(Sun) 19:35:50 |
【人】 白昼夢 ファリエ>>59 エミール 「お構いなく。わざわざ隠してるのをまた包帯巻きなおすのも手間でしょ? あなたがそこに在るっていうなら、私にはそれでおしまいです」 深く追求はしなかった。 たとえ嘘だとしても構わないと思う。 どこに痣が刻まれていようと、結局聖女に祝福されたという事実は覆らない。 「はい。教会に呼び出されるなんて初めてでこんなに簡単に終わると思っていなかったから、今日は1日お願いしていますよ」 人里離れた森林のような凪いだ瞳に優しさを見て取る。 明るく愛想を振りまく訳ではないけれど、子供たちに注がれる確かなそれは何度も見てきた。 どうやら、己の事を気遣ってくれているらしいことは伝わってくる。 子供のことよりも自分自身のことを考える時間を用意してくれる、のだろうか。 確かに今一人になって思考に耽っても生産的な結果になるイメージが浮かばないのは事実で。 「それじゃあ後で連れて行ってもらいましょうか。 いつも通りに戻るために」 見慣れた物分かりのいい子供のような微笑み携えて。 ひとまずはこの状況にひと段落つけられそうに見えた。 「──もちろんあなたの奢りですよね?」 (95) 2024/01/28(Sun) 19:55:34 |
【人】 白昼夢 ファリエ「この痣ってただのしるしなんですよね? 祝福なのに聖女様がそんな風に施すとは考えたくないです……」 また嫌な想像をしてしまった。 憶測でしかないのだから、聞きたくない情報は遮断できたら問題ないのだけれど。 女はそこまで器用ではない。 (97) 2024/01/28(Sun) 20:00:04 |
【教】 白昼夢 ファリエ女にとってそれは然程特別ではない。 特別な関係だからこそ、普通。 まだ変わらないでいる部分はあなたの望む言葉を紡ぐことができた。 紡がれた細い糸が結び目をつくる。 「うん。約束よ」 もう腕を上げることもない。 簡単な提案は簡単な口約束で済ませた。 まるで念押しのような言葉にも聞こえて違和感を覚えつつも。 女は聖女とともに祭りを楽しむこととなった。 (/12) 2024/01/28(Sun) 23:40:43 |
【教】 白昼夢 ファリエ教会に呼び出された日に、祝福を受けた者たちの中で女は思い巡らせていた。 果たして彼女には望みというものがあるのだろうか。 女は望みがあった。 時間とともに変化しつつも、望みをあなたに投影してきた。 世界にそれができるにはあなたしか居なかったから。 人間らしく自分勝手に傍に居た女は、あなたに感謝する気持ちも皆無じゃない。 あなたの考えを問うた事は今まで無かった。 一方でいつもこうして密やかにパズルを組み立てるような時間で代替する。 どうして己のところにだけ現れるのか。 信仰心に篤い者は他にも数えきれないほど居る筈。 全能の聖女の気まぐれなのか。 それとも満たされる何かを求めているのか。 ちっぽけな人間の尺度でしか図れない女にとっては、そんな思考も堂々巡りになるばかり。 約束の日まで結局いつものように、まあいいかと不揃いのパズルを放り出して終わった。 (/13) 2024/01/28(Sun) 23:41:14 |
【人】 白昼夢 ファリエ>>108 エミール 「はっきり言われるとなんだか……変な感じ。 こんな事件でも無いと、私達って食事をすることも想像できないというか。 あなたもそう思いませんか?」 無論これからそういう会に赴くのでもないのだけれど。 物心ついてから孤児院に根を張っている藻女と気まぐれで子供の面倒を見に来るあなたとだなんて。 ボタンを掛け違えるような、可笑しさを覚えてしまう。 「いえいえ十分です。お言葉に甘えて」 そうは言いつつもちゃっかり奢りの現地は取って笑みを深めた。 言い方が少し意地悪だっただろうか。冗談のつもりだったのだけれど。 それから背で手を組んでその場での話は切り上げただろう。 適当に時間を潰すだけでも、ある程度は落ち着ける。 きっと、突然の事が多すぎて呑まれていたのだ。 友人と呼べるほどの間柄でもないけれど、顔見知りであれば多少は日常を意識する手助けになる。 いつ振りだろうか。 子供の相手をしない時間を独りで費やさないのは。 暫し教会の大きな女神像に何かを訴えるような視線を向けていた。 (111) 2024/01/29(Mon) 22:03:25 |
【秘】 白昼夢 ファリエ → 寡黙 エミール「──それで。 どこに連れて行ってくれるんですか?」 教会での話し合いが粗方終わった後。 向かう足は孤児院とは逆方向。祭りの前だというのに既に人々の興奮が漏れ始めているのを肌で感じる。 同じ都市に住んでいるのにまるで別世界の住人のように眺めていた。 (-102) 2024/01/29(Mon) 22:18:14 |
【秘】 寡黙 エミール → 白昼夢 ファリエ「……考えてみたんだが」 「俺は、女が喜びそうな洒落た店は知らないから、美味い飯が食える食堂か酒場になるけど。 ……どっちがいい?」 子供のことを1日考えなくていいなら、たまには酒を飲むのもいいだろう。 ……が、それを良しとするかは決めてもらったほうが良いだろうとそう考えて、2つの選択肢を提示する。 どちらにせよ、個人的に料理が美味しいと気に入っている店で、治安もいい。 多少賑やかではあれど、周りに聞き耳を立てるような人間もいないから、落ち着いて会話を交わすことくらいは出来るだろう。 そんな事を説明して、やっぱりこういうのは慣れないなと小さく息をついた。 (-110) 2024/01/30(Tue) 1:25:40 |
【秘】 白昼夢 ファリエ → 寡黙 エミール「もしかしてその場のノリじゃなくて、本当に私を女扱いしているんですか?」 似合わないなあと聞こえるように口にする。お互い様だ。 だとしたら味の方は期待できそうだ。 外食もお酒も子供の誕生日を祝う回数より少ない。 それを損だとは言わないし積極的に求めることもしない。 「飲んじゃいましょうか。 五月蠅くなくて、甘いお酒が美味しくて、ご飯が美味しいところに連れて行ってください。 聖女の祝福に選ばれたお祝いに浸れるような」 だから、女も少しだけ羽目を外すことにしたようだ。 日常のためのほどよい非日常。 誰の誘いにでも乗るほど軽くはないけれど、あなたという距離感の知り合いは都合が良かった。 「それからエミールの話も?」 他愛のない話でも構わない。 一生に片手で数えるほどの外の世界を楽しむ肴を。 (-131) 2024/01/30(Tue) 20:50:06 |
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