【人】 3年 櫻井 快人―― その夜 ―― [部室で3年生会議と言う名目の飲み会を終えて。 以前と比べれば随分と片付いた部屋へと帰った。 あの頃僕は、少しだけ広すぎる部屋が苦手で、僕が手放しがたいものをひたすらに詰め込んで狭くした巣でとぐろを巻いていたのだけれど。 少しずつ、すこしずつ、もういらないものを捨て始めて、漸く“まぁ独り暮らしの男ならこんなもんだよね”で許される程度の部屋になっている。 上面の見えるようになった机の奥に、百均で買ったコルクボードを置いた。 そこに、推しピンで留めた写真は、多分これから増えていく。 先のメールには、返事があったかなかったか。 つついとスマホの表面をなぞり、簡潔なメールを送る。] 『舞ちゃん まだ起きてる?』 [今日、3年生会議と言う名目で、飲むことは先に伝えてあった。 だから多分、お休みのメールは送れないかも、と。 だけど、やっぱり、ちょっとだけ、ちょっとだけ。 多分僕はまだ、舞ちゃんの前ではあんまりお酒を飲んだことがなくて、舞ちゃんはまだ、僕が酒に酔わないことを知らない。*] (63) 2020/11/17(Tue) 23:37:36 |
【人】 3年 櫻井 快人[送ったメールに程なくして返ってきた文面を確認する>>80とほぼ同時、指先は連絡先を開いてお気に入り欄の一番上をタップしていた。 数度のコール。 思ったより長かったかもしれないし、短かったかもしれない。 けれど繋がったら。] ただいま、舞ちゃん。 …電話しちゃった。 声聞きたくて。 [送られてきた短い文章は、短すぎる故に多くのことを語っていた。 多分、話したいことたくさんあるんだろうなぁとか。 きっと、飲み会だからと遠慮して…我慢してたんだろうなぁとか。 待たないでって言っておいたのに、待っちゃってたんだろうなぁ、とか。 そんなことを思ったら、電話せずにいられなくなってしまった。] さっきは、急にメールしちゃってごめんね。 びっくりしたでしょ。 でも…… [舞ちゃんが引き受けてくれて嬉しいな、って。 素直な気持ちを伝えるのは、関係を良好に保つ基本だなんて、そんな都合の良い理屈を盾に、伝える言葉に躊躇はない。 僕はただ、この子をひたすらに甘やかしたくて堪らなかった。**] (85) 2020/11/18(Wed) 13:53:04 |
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