203 三月うさぎの不思議なテーブル
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[寝息まで可愛いの、何でなんだろうね……。
とにもかくにも二人で朝食を食べて、洗い物は食洗器に任せる。
特別な人が作ってくれたものが美味しくないわけない>4:>+226、
それは普段からよーく知っているけれど、
相手にとって自分の料理も、とお墨付きをもらうと改めて嬉しいものだ。
浮かれて開催した気の早さ選手権では無事ぶっちぎりで優勝だったようで、賞品に彼女のお部屋計画を聞かせてもらった。
狭い部屋に所狭しと彼女の可愛いアイテムが増えて迷子になるのも楽しそうだけれど、抱き合うスペースがなくなるのは困るから、やっぱり引っ越しは早目に検討しといた方が良いかもしれない。]
本気にしてくれなきゃ困るよ。
食器も白で揃えたいしね。
[手始めに、最近マーマレ(以下略)で溜まったパンのシールで2枚ほど、白い皿を交換しに行こうと思う。]
やっぱり僕は白が好きだよ。
昨日「白は何色にも染まる」って言ってたけど、
一方的に染めるんじゃなくて――
同じだけの量を混ぜたら、もう片方の色が薄くなって新しい色になるでしょ?
そうやって、ふたりで新しい色を見つけたいから。
[自分の「色」がピンと来ていないから、「染めたい」という発想にならないのかもしれないけれど。
どんな色と混ざってもその色を淡く目に優しくしてくれる白が傍にいてくれるなら、
自分がどんな色になっても薄めてくれそうだなと思っている。
食レポ以外の語彙力に自信はないから伝わらなかったら単に恥ずかしいポエムを言っている男に見えているかもしれない。
伝わっていて欲しい。]
[スウェットを所望されて、慌てるあまり口走った内容は誤解を与えてすれ違う。]
両方?!
僕、今日何着て寝ようかな……
[自分の着て寝たものと、彼女に貸したものの二択、のつもりだった。
これは持ち物に嫉妬した自分が悪い。
いやでも本体を選んでくれるなら!
と前のめりになりそうになって、彼女の家が女性向け物件だったということを思い出したのだった。
完。**]
―― うさぎの兄妹の一幕 ――
[事故物件(過失)のこれからは
もう一波乱ありそうだけど。
あの食いつきを見ている限り、
話はまとまりそうなものだがどうだろうか。
心の中の突っ込みは、口に出さないままだったから、
大咲の可愛らしい駄々を拝見することはなかった。
まあ、それは彼女の大事な人が見ればいいので割愛。
それでもまあ。
表情にはあからさまに拗ねている気配したので。
珍しいものを見れたな、と。
機嫌を直したい反面、可愛がる為に置いた手を、
髪が乱れない程度に、数度撫でてから。]
[気恥ずかしさそうな笑いが零れたなら、
笑みを深めるよう、目を細めたけれど。
妹から持ちかけられた相談は、
女の子らしい恋にちなんだもの。
聡い彼女の予感が当たっているとは、
その時はまだ気づかずに、緩く首を傾げて。]
……そういえば大咲からそういう話
聞いたことないけど。
居るの?彼氏。
[返り討ち。……ではない。あくまで。
自身のことはひとまず棚に上げて、
気を回してくる妹へ打ち返しながら。]
[少し視線を流した先には、
デザートの写真を撮っていた姿が遠目に目に映る。
無意識に零れた笑みは、
話していた妹なら拾えたかもしれない。]
今はまだ分からないから。
……出来たら、話すよ。
大切な人。
その時はよろしく。
それまでは、美澄の面倒見てやって。
[気が合うらしい教育方針を
持ち合わせている妹は頼もしい。
自分の背中を見て育っているのなら誇らしくもあり。
最後に明るい髪をもう一撫でしたなら、
手を離して、向かう先はカウンターキッチンで。
幸せそうに表情を綻ばせている人の元へ。*]
後ろに人を乗せていたら、
スピードも出せないんじゃないかと思って。
[それでも不慮の事故などは防げないが。
少なくとも、その時、
彼を一人にすることはないだろう。
往路でも話した温泉宿の話が出たら。]
……そう、ですね。
[少し、間を置いてから頷いた。
さっき話した時には、深く考えなかったけれど。
湖を後にした今では、意味が多少変わってくる。
口を噤んで。キャスケットがない代わりに
ヘルメットを被ったのは、
滲んだ赤を見られないように隠したかったから。]
[すっかり落ちた太陽の姿が見えなくなって。
風が冷たくなっても。
彼が用意してくれた
グローブとヘルメットで守られているからか。
それとも身を寄せ合っているからか。
頬は冷たくとも、じわりと灯るような
温
かさがあった。]
[それから。
此方から向けた提案には
すぐに返事は帰ってこなかったか。
他人にキッチンを使われることを
煙たがるタイプも居るので断られたなら。
普通にコンビニ飯を買えばそれで済む話だけど。
料理器具の話になって別の方向かと思い至る。
なるほど、あまり家で料理はしないらしい。]
ガスコンロとレンジ。
それに切れる包丁があれば、十分ですよ。
[了承代わりの頷きに笑う。
調理姿ならいつも目にしているだろうに。
場所が変われば、また違うのか。
……まあ、違うか。
今更ながらに流れで頷いたものの。
プライベートな場所に踏む込むを許されている。]
[同性同士だからこそ返って通じ合うこともある。
下心
、も。あると言っていたけれど。]
いえ、作るの好きなんで。
[そこまで考えているのかどうかは、
今はまだ、考えないように頭の隅に追いやった。]
[Madam March Hareよりも小さいコンビニのフロアを、
買い物かごを片手にゆっくりと物色していく。
出来合いの焼き鳥にパックの白ご飯。
冷凍の青ネギ。
カップスープに食パン。
チーズ、卵、ロースハム、牛乳、etc、etc……。
少しだけ置いてある生の野菜コーナーも立ち寄り。
キャベツや白ネギを手に取りながら。]
家では、全く料理しないんですか?
調味料とかあります?
[そう問い掛けながらも、
小分けにされた調味料も籠に入れていく。
味付け用の塩や胡椒に顆粒タイプなんかは、
家にあったとしても、増やしても困らないだろう。
もしかすれば、これからも
作りに行く機会はあるのかもしれないのだし。
]
[昼飯を奢られたのを思い出したものだから。
ガソリンの代わりにこちらを払うことにして。]
何か、買っておきたいものとかありますか?
[彼がどこかで留まっていたなら、声をかけて。
何もないようならば、このままレジヘと向かっていく。*]
[貝沢さんは黙って俺の話しを聞いてくれて。
『好き』て気持ちを返してくれた。
まるで互いを互いにプレゼントするかのような特別な言葉
嬉しくて、幸せで、ふわふわする。
続いた言葉に、ふと我に返る。
カッコつけるってどうしたらいいんだろ?教えて神田さん!!
でも。ちゃんと。頷いてくれたから。]
良かった。嬉しい。
[ちょっと張っていた、肩の力を抜いた。]
[そうして俺は神田さんではなく。
目の前の人に質問してみることにした。]
あの……さ……?
カッコつけるって。どんな事したらいい?
[これはガチで分からんから。
分かる人に教えてもらおう。]
[風が吹いて。少し貝沢さん体が震えた気がした。
まだ夜は少し肌寒い。
俺は並んで腰掛けているベンチから腰を浮かして。
もう少し貝沢さんの方に距離を詰めた。
肩と肩を寄せ合って。
……でも手とかどこに置けば良いのか分からない。
いっそ抱き締めてしまえれば良いのだろうけど、ベンチってそれも難しいね!!]
くっついてたら……
[俺は手持ち無沙汰な手を、ようやく彼女の肩に回して。
少し抱き寄せてみた。細い。柔らかい。どうしよう……温かい。
めちゃくちゃドギマギして、自分の心臓の方が煩くなって。
あ。ちゃんと話したい事あったんだけどなって。ぐるぐるして。]
か、貝沢さん!!
[変な声出たぁ。泣きたい。]
……今度デートしない?
お弁当と水筒もって。
俺、佑一や神田さんにお金無くても楽しいスポット色々教えてもらった。こことか。
……貝沢さんと行きたい。色んなとこ。
色んな事やってみたい。
貝沢さんやってみたいこととか、行ってみたい場所無い?
[くっついてるから。
俺の心臓がバクバク煩いのも、伝わってしまうだろうな。*]
[こちらからも目を見て気持ちを伝えれば
安堵したように彼が肩の力を抜く。
酷く嬉しくて。くすぐったくて。幸せ。
そんな気持ちに浸っていれば、ふいに尋ねられて。]
え、えー……?
具体的に聞かれると悩むなあ。
たとえば……うーん…無理しないって前提で。
私がお洒落してたら気づいて褒めてくれたりとか。
私が重い荷物持ってたら代わりに持ってくれたりとか。
全然高価なものじゃなくていいから時々ささやかに贈り物くれたりとか。
そういうこと…かな?
[別に恋人になったからって
急に何か変わってほしいとか、
そんな風には思わないんだけど。
結局はいつか後輩に語ったことに帰結するのかも。
私が喜ぶことを想像して、君が何かをしてくれればそれがうれしい。]
[考えているうち、風が吹いて。
心は温かいけれど少し肌寒くて、身を震わせた。
隣で身じろぎする気配がして、もう少し距離が近くなる。
触れ合った体から体温が伝わってきて。]
――…… うん。
[少し遠慮がちに手が肩に回って、
ドキリと心臓が跳ねた。
私よりも広い肩幅にそっと凭れ掛かって
こてりと頭を傾けるように寄せる。…あたたかい。]
は、はい!
[そんな中で不意に名を呼ばれてびくっとして。
一体何かと思えばデートのお誘い。
なんだ、とまた力を抜いて笑む。]
もちろん、いいよ。
私も栗栖くんと色んなとこ行きたい。
お弁当持って出かけるのいいね。
[ばくばくと伝わってくる、早い心音が心地よい。
ここ、と言われてそちらを見つつ
行ってみたい場所を聞かれれば
ああそうだ、と思い出した。
結局送れていない彼宛のメッセージ。]
んっとね。
実は、つてでこの間アクセサリー作り教室の招待券貰って。
一緒に行かない?って誘おうと思ってたんだ。
ほんとは材料費とかいるっぽいんだけど、
券があればタダなんだって。
作ったアクセは貰えるらしいから……
もしそういうの嫌じゃなければ、どうかな。
[反応を伺いながら。]
あとね。やってみたいことっていうか…
場所はどこでも、なんだけど。
次のデートの時は一日中、一緒に居たいです。
[と、少し気恥ずかしそうに頬を染めて付け加えた。**]
[貝沢さんがカッコつけるための具体的アドバイス
をくれた。素直な俺はすぐ実行しようね。慣れない事満載だけど。]
…………今日の服も似合う。
貝沢さんが着てる服は、何時も貝沢さんに似合ってる。
自分を知っていて、選ぶ目もあって。
貝沢さんは本当に素敵な、良い女だよね。
好き
[思った事を正直に述べて。
重い物とプレゼントはまた今は無理だなーって。
プレゼント買って無いし、貝沢さん重い物持って無いし。]
[心臓バクバクさせながら肩に手を回したら。
貝沢さんが身を任せてくれて。
よりいっそう心臓が煩くなった。
俺の出した大声で、びっくりさせてしまったみたいだけど。
肩の力を抜いてくれて。デートに快諾してくれた。
良かった……
そうして。貝沢さんの申し出に、思わず考え込む。
アクセサリーの手作り教室。
俺はすぐには返事出来なくて。]
[考え込んだ後で、ポツリと答えた。]
…………行く。
行きたい。
あの。さ……。
[う。顔が熱くなってきた。
何が正解なのか、何もかもまるで分からない。]
あのさ。……貝沢さんは……
こういう手作りアクセサリーとかプレゼントされたら
…………嬉しい人?
[無料とか。相手に誘われた物だとか。気にしちゃうかな?
でも俺。せっかくアクセサリー作るなら貝沢さんにプレゼントしたいし。でも身に着ける物って拘りあるかもだし。
おそるおそる、尋ねて。]
[続く言葉
に固まった。
え?それどういう意味???
そう考えた時点で思った。これが下心か!!!
思った瞬間慌てた。顔が赤くなるの止めたい。
正直過ぎる自分の表情筋が憎い。
貝沢さんはそんな事一言も言ってない!!
]
……う、ん。
うん!!
[おかしくなって。吹き出して。]
一日中一緒に居よう?!
[まだ微かに赤味の残る顔で。俺は満面の笑みを浮かべた。*]
―― 春が訪れた頃に ――
[その日は鴨肉が良く出ていただろうか。
速崎の作った鴨のローストに
美澄が手を加えたリゾット。
信州の方で出ている細そばが
仕入れのリストに並んでいたのは
鴨南蛮を頼んでいる神田からの要望だったらしい。
その日の俺はといえば。
遅れて鳴ったドアベルの音に気づいて、
彼の姿を見つけたなら、
カウンター越し、いつものおしぼりとお茶を用意する。
いらっしゃいませ。
と、いつものように出迎えながらも。
少し表情は柔らかくなっていたかもしれない。
彼も鴨を頼みたそうだけど。]
初鰹も美味しいですよ。
[もうひとつ、選択肢を増やして。
悩む姿を楽しんでいたかもしれない。]
[ちなみに。
高野との関係が変わったことは、
まだ杏にも、誰にも話していない。
それは彼の職業柄、
あまり公言していいものではないと判断してのこと。
人の口に、戸は立てられないから。
杏も、うさぎの同僚たちも。
店によく足を運んでくれる常連の方たちも。
ある程度、親しい間柄の人たちには信頼を置いている。
言い触らすような人たちではないことは、
築き上げてきた関係性から疑っては居ないけれど。]
[ 誰にも知られずに、
彼とだけ
秘密
を共有している。
そういう優越感もなくはないので。 ]
[彼が誰かに伝えているなら、それはまた別の話。
高野が信頼を置いている人であるなら、
心配はしていない。
自慢するような恋人になれているか
自信があるわけではないけれど。
誰かに聞いて欲しい気持ちも、
それはまた理解できるから。
白うさぎのように聡いお客様が一人。
……いや、もう一人。
居ることには気づけないまま、
杏が顔を出すようなら、手伝いに向かおうか。*]
[かっこつけてほしいこと。
具体的に口にすればすぐさま実行してくれて。
]
あ、……あり、がとう……。 嬉しい……
[この素直さが彼の美徳であり、好きな所の一つであり、
そして破壊力が高い。
褒められるのにだってそれなりに慣れてて
普段なら無邪気にやったーって喜ぶのに
やっぱり"好きな人"の言葉だけは特別。
自分でねだったくせに、かあああ、と顔が熱くなってしまい。]
ちなみに栗栖くん、ってさ。どんなかっこが好み?
こういうの見てみたい、とかあれば、
次は寄せてみたりしますけども……
[これは自分を曲げて無理に合わせるとかではなくて。
私もやっぱり君に喜んでもらうために、ちょっとはかっこつけたいから。]
── ある日の夜 ──
[俺の『内緒』探しはまだ続いていた。
『高野景斗
』で検索しても何も出て来ないのだ。
そして難航したのにはもう一つ理由があった。
俺は今、戦隊物に嵌っていた。
だって検索してたら誘導されるように出て来たんだもん。
一話見てたら高野さん出て来なくて。
出てくるまで続けて見てたら面白くて。
はまっちゃったんだもん!!
ラジオは聞き流せるから、勉強のお供にかけてる。
しかしテレビは流し見しながら勉強には向かなかった。
今日はここまで。1話見終わったらスマホを置いて。
ラジオに切り替える。]
……勉強しよ。
[空を見て。月を見上げて。
貝沢さんも同じ月を見てたりするのかな?
離れてても、同じ物を見られるってなんかすごいな。
『月が綺麗ですね。』なんて言われたら。
月を見上げるたびに、思い出しちゃうね。
なんて思ってから、空気を入れ替えて机に向かった。]
[ラジオからは軽快なトークと音楽が流れてくる。
その日のラジオで『高野景斗』が誕生日の話題
に触れた。]
あ!!
俺、貝沢さんの誕生日知らない……
[『ローレライ』の公式情報になら載ってるかもしれないけど。学生時代の俺は、プレゼントを贈る余裕なんて無かったし。それに……
貝沢さんの口から聞きたい。
貝沢さんを想ってプレゼントを贈りたい。
貝沢さんが喜んでくれるもの。好きな物。
その日までに、もっと色々知っていきたい。
小さく微笑んで。貴女を想って。
今度こそ真面目に、机に向かった。*]
[そしてアクセサリー教室に誘ってみれば
何やら考え込むような素振り。
うーん、あんまり好みじゃなかったかなあ。
花より団子じゃないけれど、フラワーアレンジメントよりは
形に残るものの方が思い出になるかなって思って
こっちの招待券を貰ったんだけど。]
……ん?
[少しの間の後。ぽつりと言葉が返ってきて。
顔を熱くする彼にぱちぱちと瞬きをし
意図する所に思わず笑みが零れる。]
……、嬉しい人です。
[にっこり目を細めて答えながら。
もうひとつ、おねだりをすれば一瞬彼が固まる。]
[赤くなって、慌てて。くるくると変わる表情。
何考えたかなんて野暮なこと聞かないけれど。
だってほら、人類は下心で繁栄してきたからね。]
んっ。じゃあ、約束ね。
……次の週末とかがいいかな?
[満面の笑みに、こちらも屈託なく笑いながらそう返す。
未来の約束が嬉しくて、待ち遠しい。
そうして二人、身を寄せ合ったまま。
甘く優しい時間に暫し浸っていた。**]
[貝沢さんを褒めたら喜んでくれた。
やっぱり嬉しいな。
俺が容姿や服装を褒めるのが苦手なのは、生い立ちにも関係してるけど。でも、そんな俺の言葉でも、喜んでもらえるんだ。
俺の言葉でも良いんだって。思わせてくれる赤い顔。
好みに寄せてくれるって言うから。
俺は迷わず答えてた。]
俺ね。貝沢さんの大きく口を開けて笑う姿が好き。
あのね。遠慮なく、屈託なく、朗らかに笑う姿が好き。
も〜〜〜って拗ねたり。口尖らせたりするのも好き。
可愛いなぁって思うし。
揶揄われたり、言い返したりするのすごい楽しい。
だからね……
貝沢さんが、遠慮なく、そんな姿で居られる服で。
俺と一緒に居てくれたら。すごい嬉しい。
[貝沢さんってTPOをきちんと意識する人でしょう?
だから俺は、俺の前で居て欲しい貝沢さんについて語ってた。
そしたらきっと貝沢さんも、そんなお洋服を選んでくれるよね。]
[手作りアクセサリーは、プレゼントされたら嬉しい人だって。
明らかに意図は透けてるけど。俺も嬉しくて。
貝沢さんを見て、にこっと笑った。
……俺の下心はね。バレバレですよね。バレバレ。
でもほら。見ないフリをしてくれてます。ありがと。]
次の週末大丈夫だよ。
朝から待ち合わせしようか。
……俺、お弁当作って来ても良い?
遠藤さんのレシピと、後、母さんにも聞いて。
お料理チャレンジしてみる。
そんなの怖いわって言うなら、やめとくけど。
[くすくす笑って。
今度は、待ち合わせ場所も決めよう。
時間だって。朝から会おう。
アクセサリー教室ってどんなところだろう?
楽しく話せば時間はあっという間で。
自分は一人で平気だったはずなのに。
彼女と別れるのが、少し寂しくて。後ろ髪を引かれた。*]
一人でも、今日とそう変わんないよ。
法定速度、ちょいくらい。
それに、
[ 一度言い淀むようにして口を噤むが、
今日はずいぶん自分の話をしたし、開放感あふれる
場所であることも手伝って、再び口を開く。 ]
二人、の楽しさ知っちゃったからね。
[ 連休が取れたら、と添えた言葉への返事に
君は少しの間を要して、頷いたのは
おや、と思うものの、すぐにヘルメットを被って
しまったので、それ以上の言葉は交わさないまま。
滲む赤が見えたわけではない、が
それでも意識しているであろうことは伺えたので、
に、と笑ってしまったかもしれないな。 ]
[ 別にすぐにどうこう、は考えていない。
男女だってそう変わらないだろう。
それでもいつかは、相手をみる目に
劣情だって滲むだろう。
今はまだ微弱だったとしても。
精神的な繋がりを重視するとか、
余程潔癖であるとか、触れ合う事を
厭う理由がない限り。
互い、同性である故に、
男女のそれと同じにとは行かないが。
一泊旅行に、友人同士のような気軽さで
頷かれていたら、苦笑いしていたかもしれないので
あの反応は、俺を少し調子に乗せたし、
喜ばせたのは間違いない。 ]
ガスコンロもレンジもある、包丁も。
ほとんど使ってないけど、オーブンも。
[ あとは探せばある程度のものはあるのだが
なにせそれを購入したのは何年も前だし、
何ならパッケージに入ったままのスライサー等が
あることなど、本人はすっかり忘れてしまって
いるもので。 ]
うん、俺も好き。那岐くんの作るご飯。
[ 休日まで働かせてしまうようで、
気が引けるのは本当だけど、
相手から言い出してくれたこともあり、
ほとんど誰も入れたことのないプライベートな
スペースに存在する、君に強く惹かれた事もあり
お願いしてしまうことにした。
――その瞬間、次に買い物に行ったときに
買うものを決めた。
エプロンだ
。 ]
[ コンビニに入ると、カゴを片手に
あれこれと回っていく。
カゴに詰められていくものが
何を作るためにそこにいるのか
やっぱりどうも、わからないから
ほぼ後ろをついていくだけになってしまったかな ]
最近は思うとこあって、ほんとにちょっとだけ
でもほとんどしないと思って間違いないな
調味料、味噌と醤油、ドレッシングは三個くらい
…あとは覚えてないから多分、ない
[ どうしてその三つがあるかというと、
出来合いのものを買った時に使うから、である。
買っておきたいもの、と言われ思い出したように ]
あ、うち野菜ジュースと水と、
酒しかないから、飲み物あったほうがいいかも
コーヒーマシンはあるけど。
[ そう言って飲み物をいくつか、カゴに
入れた。冷蔵庫開けたら、並ぶ野菜ジュース。
その冷蔵庫より本領発揮してるワインセラーには
ワインが数本、
ベッドサイドの冷蔵庫にはミネラルウォーター。
という有様なので。 ]
―― 自宅へ ――
[ 駐車場にバイクを止め、
オートロックの玄関を抜けて、
エレベーターに乗り込み9階へ ]
どうぞ、ちょっと散らかってるけど
[ 扉を開けると君を招く。
キッチンは目と鼻の先、一番奥にベッド
リビングには人を駄目にするという
謳い文句のソファと大型テレビ。
テレビ脇の本棚には、雑多な本。
演技指導の本から、役作りのためだけにある
医学書や解説本など。
ソファ横のローテーブルには
広げたままのデートスポットの特集雑誌、
それにレシピ本未満の初心者向けの本。 ]
好きにくつろいでって言いたいとこだけど
先に確認しないと、
[ キッチンの収納扉を開けて、
今ある調理器具を見てもらい ]
足りそう?
[ 聞いて足りなさそうなら?
買い出しでもなんでも、行くとも。
しかし、自宅に自分以外の誰かが居る
という見慣れない光景にすこし、見入って
しまっていたかもしれないな。* ]
―― いつかの夜 ――
えぇ、そういう事を言う……
[ 散々悩んだ後に、鴨南蛮と決めた時だった。
誘惑の一言
が舞い込んできたのは ]
うーん……
じゃ、品数も料理も素材も
全部任せちゃおうかな。君に。
[ 関係の名前が変わっても、
ここへ通う頻度は相変わらず。
仕事に支障がでない程度に。
会いに来ている、も正しい。
食事をしに来ている、も正しい。
以前と変わらず隣に誰か居れば談笑するし
なにがしかの報告があれば聞いただろう。
彼氏彼女になった皆さん、情報お待ちしています。
]
[ 特に何を決めているわけでもない。
言うも言わないも。
大事な人に知っておいてほしいなら
それもいいし、誰にも知られたくないなら
それもそれ。
言いにくい事であることは理解している所だし
相手もそうだろう。
――人前で平気で好みのタイプ聞いたり
しといて今更ではあるんだが。
ただ、特定の曜日に休みが集中しているとか
そういう事を聞いていたら、こちらも合わせて ]
遠出もいいけど、だらっと過ごすのも
いいよね。気になってたけど見てなかった映画
そろそろ配信始まるんだ。一緒にどう?
[ 友人同士の距離に見えるだろうことを
敢えて利用するように堂々と、デートの約束
取り付けたりも、してただろう。 ]
[ ――尚。 ]
マジだった、しつけぇ
[ これは店で起きたか、それ以外の場所だったか
やたらとうるさいスタンプ爆撃が本当に
来たとしたら、 ]
葉月、前に、
俺好きな人とじっくり話したいからって
店先で捨ててきたんだけど、
根に持ってるのか教えろってしつこい。
[ 愚痴まじりにそう零した事もあったはずなので
そのうち、葉月には言う、と前もって
君には伝えていただろう。* ]
[オーブンがあるのに使わないとは勿体ない。
とはいえ、
それを使うには今日は手間が掛かりすぎるから、
オーブンの出番は次の機会に。
軽く投げられる『好き』に微笑む。
料理人として、作ったものが喜ばれることは
常に嬉しいことだと感じているから。]
店で出すものより
かなり、手抜きになりますけどね。
[そういえば、店に来る時以外の
食事はどうしているのだろうと、考える。
毎日外食している訳でもないだろうけれど。
余り作らないというのなら、
出来合いのものを買うことが多いのだろうか。
買い物かご片手にスーパーに居る高野の姿は、
……確かに余り想像出来ないな。
]
思うとこ?
[少し引っかかったものに、小さく首を傾げた。]
……じゃあ、砂糖も必要か。
[後半は独り言。砂糖をかごに足して。
こんなものかと、かごの中身を確認する。
足りなければ、その時また考えれば良い。
飲み物ばかり口にする様子を見れば、
多少、冷蔵庫の中身と
普段の食事生活が気になったものけれど。]
コーヒーがあるなら、嬉しいです。
よく飲むから。
[酒を飲むことになるとするなら、
つまみも必要だろうか?
彼が飲むつもりなら、多少は付き合うつもり。
足されていくかごの重さが
両手にで支える程にならなくてよかった。]
[二人乗りの楽しさをまた分け合った後、
案内されたマンションは、
俺が住んでいるワンルームよりも
セキュリティもしっかりしているようで。]
――お邪魔します。
[小さく頭を下げてから、開かれた玄関に一歩踏み出す。
男の一人暮らしにしては、整頓されている部屋。
ものは余り多くはなさそうだけれど、
困るほどもでもない物量の家具。
それから、仕事柄か紙媒体が多かっただろうか。
巨大な四角いような丸いようなブロックを見つけたら、]
……あ、駄目にするやつだ。
[とか呟いて、歩みを進ませながら。]
[キッチンへと案内されたなら、後を追って。
余り汚れていないキッチンカウンターに、
買ってきたばかりの荷物を置いた。
隣に並んで、開けられた収納棚を覗いたり、
調理器具の仕舞われた引き出しを確認する。
店よりも自宅よりも、
随分と空きスペースがあったけれど。
あまり、使われていない器具を手に取りながら。]
これなら、なんとか。
作りものをアレンジするくらいですし。
[多少、足りなくともなんとかするのは。
俺の手際の見せ所。]
運転、疲れたでしょう?
座っててもらっていいですよ。
すぐに出来るものは、先に出すんで。
[そう告げて、今日の防寒の役目を終えた
ジャケットとフリースを脱いだなら、
トレーナーの袖を捲くる。さあ、料理を始めよう。*]
[裕福な家庭ではなかった、ということは知れても
その詳細まで玲羅は知らない。
彼の生い立ちについても
また詳しく聞かせて貰える機会はあるだろうか。
ともあれ今は、その言葉に耳を傾けて。]
そっかあ………
[大きく口を開けて笑うのも、拗ねたり口を尖らせるのも。
別段意識してやっているわけではなくて
彼と居る時は自然体でそうなっているわけなので。
ほこほことした気持ちになって、照れたように髪を弄る。]
うん、わかった。
覚えとくね。
[彼の前で素敵な自分で居たいと、
そんな気持ちで選んだ服なら、どんな姿でも嬉しいと。
そう太鼓判を教えて貰えたような気がして。]
[そうして色んな思惑は次回に持ち越して。]
うん、了解。
え!お弁当作ってくれるの!?食べたーい!!
[軽く言うけどお弁当作るのって大変ですよ。
普段あまり料理しない人なら猶更だ。
ぱっと期待に目を輝かせる。
怖いわ、なんて言うわけない。
君だっていつだって私が勧めた料理を文句言わずに食べてくれる。
何より彼が一緒に楽しみたいと言う気持ちから
申し出てくれたことに、嬉しい以外の感想があるはずなくて。]
じゃあ、待ち合わせ… は、駅前とかでいいかな?
お弁当持ったままだと荷物になるから
公園とか散歩してお昼ご飯食べて、
そのあと午後からアクセ作り行こうか。
[なお手作りアクセサリー教室について
駅から徒歩10分程の店舗内でやっているようだ。
何時来店してもいいけれど事前予約が必要で
制作時間は作るものにもよるけど1~2時間くらい。らしい。
大体の時間を決めたならそちらはこちらで予約しておこう。
待ち合わせ時間と場所も決めて、
その場で暫く話したら、
ほどなくして解散の流れになっただろうか。]
じゃあ、またね。
今日はありがとう、楽しかった。
[別れるのは名残惜しいけれど、悲しくはない。
またすぐに会える。これからたくさん、楽しいことをするんだから。]
……好きだよ。
[もう一度、そう告げて。彼に手を振ろう。**]
多分俺の考えてる手抜きと、
那岐くんの手抜き、全然違うと思う。
[ 大体にして、調理するという手間が
あるだけでも手抜きとは言えないと思うが。
あれだけ出来る彼の手抜きとは
一体どういうものなのか、別の方向に
興味も湧いて。
そもそも、コンビニ食や、出来合いばかり
食べている身なので、自宅で手作り、
というだけで贅沢極まりないし。
掃除はそれなり行き届いているつもりだけど
食器、食材の少なさ、プラ容器のゴミ箱の
中身なんかで察されてしまうものはあるだろう。
スーパーに寄るのは人の少なくなる八時以降
惣菜なんかを買いに。よくある。 ]
君もだけど、皆楽しそうに料理しているから
やってみようかな、ってだけ。
そんな深い意味はないよ。
[ 思うとこ、に疑問を呈されたなら、
すぐに答えを示して見せた。家に付けば
開きっぱなしのレシピ本などもある。
役に立っているかというと怪しいが。 ]
それならよかった。
食後に飲もう。
[ 酒について、この時点では飲むつもりはなかったな。
そうしたら送るのが朝になってしまうし、
そうしたいとゴネる自分も想像できるし、
恋を知った自分の自制心にも、正直自信がないし
酒が入れば尚更に。 ]
どうぞ
[ 礼儀正しく頭を下げ、部屋に入って
ソファを目に、呟いたら ]
そう、それほんとにダメになる
[ 笑って、言う。そう、俺もだいたいそこで
だめになっています。
到着そうそうだが、買い物袋を手にキッチンへ。
もう一度出かけるようになるなら、早いほうがいいと。 ]
そっか、良かった。
必要なものあったら買いに行こうと
思ったけど、なさそうで。
[ なんとか。できると言うなら有り難く。
この場は彼に任せるとしよう。 ]
全然。
でも、そうさせてもらおうかな。
[ 座ってていいと言われてしまえば
もう自分に出来ることはないに等しい。
ので、ジャケットを脱ぎ、ハンガーに掛ける。
クロゼットの中から、ゆったりしたタイプの
部屋着を取り出し、手早く着替えると
料理をを始める君を、座って眺めることにした。
ダメになってるところ、見られるのは
ちょっとまだ、忍びないので、あまり
使っていなかった折り畳みの座椅子に
腰掛けて。* ]
[俺の言葉でも伝わったみたい!
次はどんな貝沢さんが見られるんだろう?
次の約束が楽しみで……
お弁当はね。詰めるのは毎日自分でやってたし。
料理自体も学生時代から手伝ってはいたから出来ます。少し。
人様にお出し出来る出来かと言われればNOだけど。
友人からは色が無い弁当だと言われていたっけ……
でも作っていきたかったのは。
自分の事を、知って貰いたかったから。
言葉を尽くすより、きっと分かりやすい。]
[ぽんぽんと決まる当日の予定。]
公園でお弁当とか、楽しみ!!
……当日楽しみにしてるね。
[貝沢さんに笑いかけて。]
[別れ際。小さな囁き声が聞こえて。
立ち去る貝沢さんに思わず声をかけていた。]
貝沢さん!!
……玲羅って、呼んで良い?
[言ってから。急に恥ずかしくなった。]
── デートの日 ──
[遠藤さんのレシピと、母さんの味。
分量は計ったけど、2人の味どちらとも違う味が出来た。
なんで味を知ってるか?味見しました。
週末まで我が家に毎日豆腐ハンバーグが並んだのは愛嬌です。
お豆腐のハンバーグと卵焼き。
それから塩むすびを幾つかラップに包んで。
う〜〜〜〜ん。白い。
ミニトマトはまだ実をつけていない。
背伸びをしようか一瞬悩んだけど……
このお弁当は、自分を知って貰う意味もあるから。と。
白と黄色だけのお弁当にした。
おにぎりは塩むすびだけど、塩梅だけは良いと思うんだけどな。俺の手で握ったから少し大きめ。
水筒に熱い玄米茶を注いで。お弁当の準備完了。]
[俺の服はだいたい何時も同じ。
白いシャツに、黒いセーターやベスト。
スーツも全く同じ色型の量産品を数着。
悩む必要が無いし、着れなくなった時最小限の交換で済む。
……ちょっと味気ない。
でも幸いな事は、どこにでも着ていけるから。
貝沢さんがどんな格好で来ても、浮きはしないだろうこと。
貝沢さんの事を思うと、心が浮き立った。
珍しく鏡の前に長居して、身だしなみをチェックした。
そんな自分の変化が可笑しくて。嬉しくて。
待ち合わせの10分前に着くように乗り継ぎを検索したのに。
少し早めにと考えて家を出たら。
乗り継ぎがスムーズに行き過ぎて。
30分くらい前に到着してしまった。
時計を見て、一人で笑った自分はちょっぴり不審者。**]
…………?
手抜きに違いなんて、あるんですか?
[そう聞いたのはさっきのコンビニでのこと。
初めて使うキッチンで、まずは手を綺麗に洗う。
あまり使われてなさそうだけれど、
洗い終えたプラ容器やペットボトルが
干されているのを見れば、普段の生活は察せるか。
片や、カウンターテーブルに残されたままの
開かれたままのレシピ。
これは作ろうとした名残か、何か。
そういえば以前にもそんな話をしたような。
血に塗れることのなかった包丁を取り出し、
思い出して、ふ、とまた笑みが零れた。
今度は包丁の持ち方から教えようか。
そんなことを考えながら、
開かれたページに今日のレシートを挟んでおく。
今日はレシピ本には休んでもらおう。]
[レジ袋から買ってきたものを取り出して、
シンクに並べていく。増えた調味料は、
既に並んでいる調味料の横へ並べて。
まずは手始めに小さな鍋を借りて水を沸かす。
コーンクリームのカップスープは湯に溶かすだけ。
湯が湧くまでの間にまだほとんど綺麗なままの
フライパンを借りて、熱くなったら、
食パンにこんがり焼け色がつくまで強火で焼く。
麦の香ばしい香りが立ってくる。
スープの粉末はしっかりと溶けるまで掻き混ぜたら、
コーンの粒が浮かび上がってくる。
仕上げに焼き上げたパンを9分割にして、
コーンクリームに食パンを入れるだけの一品。
スープが好きだと言っていたし、
風で冷えた身体には温まるだろうから。]
[テーブルに運んで、まずは一つ目。
家主はいつのまにか着替えていたらしい。
さっきまでの身体にフィットした皮のスタイルよりも、
ゆったりとした自宅用のラフなスタイル。
店ではなかなか見ることはない姿に、
口元を綻ばせながら、
ことりと湯気の立つカップを置いた。]
気持ちいいですか、それ。
[使われていないソファを横目に。
そんな会話を交わしながら、キッチンヘ。
少し、動いたとしても会話は成り立つぐらいの距離。
ときに、書棚へ視線を投げたり。
自分の家にはない大型のテレビに
目を向けたりしながら、キッチンへと戻っても。
話は、続けられただろう。*]
[別れ際、手を振って立ち去りかけて。
ふいに呼び止められて振り向く。]
――ー…
[虚を突かれて驚き、ぱちり、瞬きをして。
その後すぐにニッと目を細めて笑った。]
― 週末:デートの日 ―
[そうしてあっという間に月日は流れ、
待ちわびたデートの日がやって来た。
上は白いニットにカーキのデニムジャケットを羽織り
下は春らしいピンクの花柄ミディ丈スカート。
タイツにフラットシューズで合わせた。
公園デートでそこそこ歩くことも想定して
カジュアルさと可愛さを取り入れたくて。
前日に爪先を彩り、
春の新作コスメで華やかにメイクして、
バッグを肩にかけて家を出た。]
おはよ〜〜!!
お待たせ!早いね!?
[電車に乗り、到着はきっちり15分前。
駅前の待ち合わせ場所に
彼の姿を見つければ笑顔で手を振り、
ストレートに降ろした長い髪を揺らして
元気よく駆け寄った。
30分前に到着したなんてもし知ったら
ちょっと笑ってしまったかもしれないけれど。**]
[キャベツはハーフサイズのものがあって良かった。
半分に切り分けて、片方は千切りに。
もう片方は、手でちぎって形を残していく。
次に取り出したのはツナ缶。
少しだけ汁気を切って、残りは使う。
マヨネーズにごま油。
それににんにくチューブを入れてよくかき混ぜたら、
千切りにしたキャベツをプラス。
ツナが少し甘い分、
仕上げのブラックペッパーはたっぷりと振りかける。
器は手のひらサイズのものと、
もう一回り小さなものを借りてそれぞれに盛り付けていく。
ツナとキャベツのコールスロー。
小さな器の方は、
冷蔵庫で冷やして後日に食べてもらうとして。]
[調理器具の中に埋もれていた、明らかに貰い物らしき
シリコンスチーマーがあって良かった。
時短は大事。夜が更けてきたなら尚更。
料理をすることは苦ではないけれど。
彼と話す時間も、できるだけ長く取りたいから。
便利なものは使っていくに限る。
ちぎったキャベツとしらす干しをスチーマーに入れ、
顆粒タイプのコンソメを振りかけ、
サラダ油を大さじに一杯分。
箸でスチーマーの中を掻き混ぜて下味をつけるように
中身が行き渡れば、チーズを散らして。
後は、レンジで加熱するだけ。
時間が経つにつれてレンジの中で溶けていく
チーズとコンソメがキャベツから出た水分と絡んでいく。
しらすとキャベツの蒸し料理。
体型を維持したいと言っていたのは、
聞いたから、蒸し料理でヘルシーなものを一品。]
[顆粒コンソメは割りと便利なもので、
もう一品役に立って貰うために
そのままシンクに残しておく。
薄切りのハム、とろけるチーズを1cm角の長方形に刻む。
白ネギは5cm幅に一度切ってから、縦に四等分。
解けた白ネギが短冊のようになって、チーズと並ぶ。
片手で卵を割るのが格好いいと、
杏を見て思ったのは何歳の頃だったか。
今は慣れた手付きで出来るようになったもの。
卵は二つ。一度溶きほぐしたら、
今度はコンソメと牛乳を入れて混ぜていく。
そこまでで一度手を止め、]
……高野さん、耐熱用の容器ってあります?
[くつろいでいるであろう彼に一言。
彼が来るのを待ちながら、食器棚を眺める。]
[あまり食器は揃っていなかった。
一人暮らしの、料理をしない男性の佇まい。
そこに、前の恋人の影はなかっただろうか。]
……今度。
食器、増やしていいですか?
[探しものを見つけてくれたであろう彼に。
そう、次を匂わせた一面もあっただろうか。]
[無事手に入った耐熱容器は二人分。
ハムとネギは交互に重ね入れて、一番上にはチーズを。
そこにコンソメで味付けされた出汁を注いで、
ラップをふわりとかけて、またレンジへ。
電子レンジは革命だ。
これ一つさえあれば、初心者の一人暮らしには困らない。
美澄が引っ越すというのなら、
引っ越し祝いはグリエレンジにしようか。
なんて、考えているうちに出来上がりの音が鳴る。
一度、軽く加熱した後は、
今度は弱めにじっくり10分ほど。
表面のチーズが蕩けてきて、
出汁が柔らかさを残したまま固まっていく。
これは洋風の茶碗蒸し、といえばいいだろうか。]
[さて、副菜がいくつか出来たなら。
茶碗蒸しが冷めない内にメインを軽く、お手軽に。
パックのご飯をレンジで解凍している間に、
出来合いの焼き鳥を串から抜いていく。
ねぎまもあったのでちょうどいい。
先程使ったねぎの余りも軽く焼いて足しておく。
ほかほかのご飯を丼に盛れば、湯気がほわほわと温かい。
ご飯の上に、焼き鳥とねぎを乗せて。
鶏ガラスープの粉末をふりかけて湯を注ぎ入れる。
既に味付けされた焼き鳥とねぎから滲み出る味。
湯に溶けていく鶏ガラスープと相性はいいはず。
小口切りにしてある小ねぎを上から、
ぱらぱらと振りかければ彩りもよく。
焼き鳥スープ丼、メインも完成だ。]
[玲羅の言葉に、笑み崩れて。その日の月も綺麗だった。]
[料理の合間に先に出来たコールスローと、
蒸しキャベツは先に運んでおいたから。
先に食べ始めているかもしれない。
待ってくれているのなら、一緒に。
今しがた出来あがった料理をテーブルに運んで。]
……そういえば、昼は気づかなかったけど。
一緒に飯食うの初めてですね。
[いつも料理を食べてもらうことはあっても。
食卓を囲むのは初めてのこと。
座椅子が置かれた、斜め隣に腰を下ろして。
先に彼が食べ始めるのを眺めながら。**]
── 週末のデート ──
[玲羅を一目見て。胸がいっぱいで言葉が出なくなるかと思った。]
……おはよ。
今日も可愛いね。良く似合ってる。可愛い。
……ふふっ。可愛いね。
[ごめんね。俺の語彙力なんてこんなものだ。
でも。柔らかな色のニットもスカートも可愛いし。
デニム地のジャケットは玲羅の明るさや芯の強さを表してるようで良く似合う。
俺は目を細めて。可愛いってたくさん言った。
だって本当に可愛かったからね。]
[時計を見て見ればまだ15分前だ。]
玲羅だって早いじゃん。
俺はアレだ。本当は10分前に着くつもりだったんだけど。
余裕をもって家を出ようとしたら、アレよアレよと乗換が上手く行って、30分前に着いてた。
あははっ。楽しみにし過ぎ。
遠足前の小学生かっての。
[笑いながら。]
[ふと。このまま歩き出すのが躊躇われて。
手を差し出した。]
……行こう?
[手を繋いで歩きたいと思ったんだ。
とても自然に、そう思った。
俺は今胸がいっぱいで。
本当にコレお弁当入るのかな?とか頭を過ったけど。
きっと彼女と2人で食べれば、弁当も美味しいだろう。*]
―― 鴨が流行った夜 ――
[誘惑の一言に戸惑った反応を見て、
くすくすと笑いを零してしまう。
うちのシェフの腕は誰しもお墨付きなので。
どれを選んだとしてもオススメできるのだが。
『おまかせ』は、腕を信頼された証。]
かしこまりました。
鴨は神田さんと同じ鴨南蛮でいいですか?
[店長の腕はランチでも保証済み。
今は滅多に表に出てこないけれど、
俺に料理を作る切っ掛けを教えてくれたのは彼女だった。
鴨南蛮に使うロースはランチが終わった後に、
しっかりと、薄皮と脂を取り除いて、
じっくりと、焼いて煮込んだものがある。
鰹は美澄が作ったタタキを少し、分けてもらおう。]
[杏の手元で綺麗にスライスされていく鴨ロース。
食べごたえがあるぐらいの厚みを残している。
切っただけで、少し肉から染み込んだ汁が溢れる。
隣に並んで青い部分を切り落としたネギを
斜め切りにして。
フライパンを用意したなら杏がその前に立った。
投入されたネギに焼き色がついていく。
同じフライパンで鴨肉を焼けば
ネギの風味が肉にも移っていく。
その間にこちらは細打ちの蕎麦を茹でる傍ら、つゆ作り。
だし汁と醤油とみりんを足して濃い目に。
そこに焼いたネギと鴨肉を合わせたら、
味が染み渡るまで、少し時間を置いて。]
[ざる上げしたそばを、シンプルな白の器に盛る。
熱々のつゆとたっぷりとつゆを含んだ
ネギと鴨肉を乗せたなら、]
鴨南蛮です。七味はお好みで振ってくださいね。
[待ちかねていた神田と高野の前に、それぞれ置いた。]
[カツオは美澄が途中まで仕上げたタタキを貰う。
しっかりと焼き目の付いたカツオに
摩り下ろしたにんにくと酒を行き渡らせて、
そこに醤油と生姜汁を少し。
しっかりと和風の下味を付けた後は、
汁気を軽く切ってから、片栗粉をまぶして。
170度の油で揚げていく。
ぱちぱちと小さくなる油の音。
カラッと仕上がるようにあまり時間は掛けずに。
軽く茹でたグリーンアスパラと春人参は
箸休めに一緒に添えて、レモンも。
つけ塩にはオススメの琉球で取れた『雪塩』を乗せた。
その後もいくつか料理は頼まれただろう。
和食が好きなことはもう知っている。
その度に、彼が喜びそうなものを考えるのは、
好きな時間の、一つになる。
]
[料理を提供する側とされる側から、
少し、変化があった後。
またひとつ、仕事の合間に挟まれた誘いの言葉。
その時は、彼の家に招かれた後だっただろうか。
配信機能は最近ではネット回線を繋げれば、
テレビでも観れるようになったとか。
自宅で独りで見る時には、
タブレットを使っていたけれど。]
どんな映画ですか?
[観るとするなら大型のテレビがあった
彼の家になるだろうか。そんなことを考えながら。
また、一つ、約束を交わして。]
[そんな、いつかの帰り道。
早上がりで珍しく一緒になった帰路の時間。
振動が続くスマホに今にも舌打ちしそうな高野から、
その通知の数の多さの原因を知ったなら。
仲の良さにくすりと笑って、
隣を見上げただろう。]
別に、いいですよ。
葉月さんなら。
[度々、店内で二人がテーブルを共にする風景を
目にしていたので、嫌だと拒否する事もなく。]
[春先の
桜
の下を歩きながら。
人気の少ない夜道。
そっと、手を伸ばして
彼の指の隙間に自身の指をするりと、
絡
ませる。]
なんて、紹介してくれるんですか?
[通りすがる人も居ないから。
傾けた首の先、そんなことを尋ねながら。
月明かりの下に浮かぶ横顔を眺めていた。**]
― デートの日 ―
ふふふふ。ありがと。
[会うなり可愛い、を連呼する彼に
自然と表情が緩んでしまう。
照れくさそうに頬を染め、
目を細めて礼を言った。]
いや私も早く着いたけど、それ以上に早いじゃん。
30分前!あははは。
いや余裕もって家出るのはいいことだし
それだけ楽しみにしてくれてたのは嬉しいけどさ。
[からからと一頻り笑った後。
ごく自然な仕草で手が差し伸べられる。]
………うん。
[一度顔を見上げてその手を取り、
するりと指先を絡めてきゅ、と握る。
いわゆる恋人繋ぎと言うやつだ。
大きな掌のぬくもりに気分が浮つくのを感じながら
今日晴れてよかったねえ〜
などと笑いかけ、のんびり歩き出す。
目的地の公園へは駅からバスに乗って少し。
ぽかぽかと温かい気候の中桜も更に花開いて、
きっとあの日の夜桜とは
また違う風景が広がっていることだろう。
そう、絶好のお花見日和。というやつだ。**]
― ところで ―
[恐らくこのデートの日よりはあとのこと。
玲羅は普通にあれからも、
別段デートの名目ではなくとも
会社帰りに一人でうさぎ穴に顔を出すだろう。
そしてその時高野が居たのなら、
(そして取り込み中ではないのなら)
やっぱり気楽な調子でカウンターの隣席に座って
彼から貰った招待券が無事役に立ったこと、
あの日の恋の相談が上手くいった報告などをすると思う。
飲みながら、高野君の方は最近どう?デート誘えた?と
進捗を聞いたりもした。そんな夜があったかもしれないな。**]
[
ちょっと?!指とか絡められたんですけど?!!
差し出した手に自然に指が絡まる。
俺は玲羅を見て、手を見て、それから真っ赤になった。]
も〜〜〜〜〜〜。
[ヤバい。どうしよう。急に手汗とか気になって来た。
さっきまでは、遠慮なく朗らかに笑う玲羅
と一緒に笑ってたのに。
赤い顔でジト目で見ても、俺が負けるんでしょ?
知ってる。経験者は語るだ。だいたい俺は玲羅に勝てない。
それでも負けず嫌いは反抗くらいするぞ。
ジト目で見て……
それから愛おしくて笑み崩れてしまった。]
[バスに乗って向かった公園は大きくて。
広々とした緑が広がっていた。]
晴れて良かったね〜。
[俺もそう返して。]
日頃の行いかな。
[とか。戯けた事を返した。
どっちの?両方のです。
暖かな春の陽気の中で、のんびり歩いて。
お花見をしながら、ここでも手は繋いでた。
あんまり歩き回って、靴擦れさせても嫌だから。
歩きやすい道を、ゆっくり歩こうね。]
……綺麗だなー……。
[俺は青空の下の桜を見上げて。ポツリと呟いた。
公園とか、神社とか、緑の多い場所は好き。
聞かれたら玲羅にもそう答えるし。
玲羅の好きな場所も聞きたい。]
玲羅は、公園とか好き?
……他にも好きな場所とかあったら、教えて?
たくさん知りたい。玲羅の事。
[のんびり歩きながらお隣に微笑んで。
お弁当を食べるのに良さそうな場所も見繕う。
椅子に座っても良いし、敷物を敷いても良いよ?
玲羅スカートだから、ベンチ探そう。
ぽかぽかの陽気。隣に好きな人。幸せだなって思った。]
[ふと。キスしたいなって思ったけど。
これ歩きながら突然したら怒られそう。
キスのTPOとか知りません。
お店じゃ無いし許されるかな?
思わず繋いだ指先をすりっと撫でて。
玲羅の事をみちゃったけど。
目が合ったら愛おしくて。幸せそうに笑った。*]
[スウェットのひと悶着を経て、車で一駅先の真白の家へ。
仕事先が郊外のこともあるので買った白の新車は小回り重視の軽自動車。
ハイルーフだから、小柄な彼女が乗ってもそんなに窮屈ではない筈。
消臭剤はアクアの香りとパッケージには書いてあった。
自分はもう慣れてしまったので何も感じないが、彼女の嫌いな香りでなければ良いなと思う。]
車酔いする方?
平気なら、今度ドライブもしようよ。
歩きだとちょっと難しいけど、
車があるなら山桜も見に行けるし。
シーズン終わる前にいちご狩りもしたいな〜。
[話すのはデートの計画。
そのデートが「彼女が希望して取る2日間」のことを指すのかは言わない。
連休を取るには予め交渉が必要だろうから、今月の話にはならないかもしれないし。
それに、その二日間の前にも休みがあって、特に彼女に予定がないならその時間を貰えたら嬉しい。]
[いちご狩りの農園は車で2時間くらい。
収穫したいちごでオリジナルケーキボトルを自分で作ったり、
ジャムに加工して持ち帰ることができる。
ケーキボトルに対しまだ真白に抵抗感があるならば、
摘んだいちごは加工をせずにそのまま持ち帰ってふたりで食べれば良い。
近くに温泉もあるから、帰りに寄っても良いかも。
そんなことを話しながら、ラジオから流れてくる曲を無意識に口遊んだり。
「ピュアマーメイド」の曲が流れた時には二人で同じ人物を思い浮かべたか、信号待ちで目を見合わせて笑った。]
今日は仕事も片付けたいし夜は仕事先で食べるから、
Madam March Hareには行けないや。
迎えに行きたいところだけど、
仕事先の予約時間考えたら厳しいかも。
[最初に送っていった日に、「無理はしない」と約束した。
とはいえ初めて二人きりで長く時間を過ごした後に逢えない時間が長いのは寂しくて無念が声に滲む。
もう少しだけ一緒にいたい。
だが昼間から路上駐車を長く続けるわけにはいかない。
彼女が外したシートベルトが戻る音。]
マシロちゃん、
[周りを素早く確認し、ヘッドレストに手をかける。]
―――――――、
[
ふ
、と零れた吐息。
真白の歯磨き粉は自分とは異なる銘柄だとわかる距離。]
……僕がいないお店で、他のやつが近づかないように、魔除け。
[悪戯っ子のように、にっと口角を上げて笑った。**]
[いやいや、これに関してはさ。私に非はないでしょう。
なんせ付き合いはじめて最初のデート。
微笑みながら手を差しのべる恋人。
この流れでむしろ恋人繋ぎ以外あります????
なので少しびくっとする気配がして
不思議そうな顔で見上げれば
少し高い位置にある彼の顔が
みるみるうちに赤く染まり。
照れてるんだな、ということはすぐに悟れて
牛になりながらジトッとこちらを見る彼を
にやにやしながら見上げた。]
え〜〜、なぁに〜?
……イヤだった?この繋ぎ方。
[イヤ、とは恐らく返ってこないだろうと踏んだうえで
わざとらしく首を傾げ、上目遣いでじっと彼を見つめ。
その後であはは、とおかしそうに笑おう。]
[駅前からバスに揺られ。
たどり着いた公園は広々としていて、
緑の中に花開いたピンク色が景色を彩っている。]
ね〜。
ふふふ、そうかも。
日頃徳は積んでおくもんですなあ。
[軽口にはふざけて同調しながら
のんびりした歩調で桜並木の下を歩く。
そこまで人は多くなく、時折カップルや親子連れ、
犬の散歩をしている人なんかとすれ違いながら
春の陽気ののどかさを感じていた。]
うん、綺麗。
公園好きかって言われたら
大人になってからはあんまり来る機会なかったかも。
友達と一緒だと街で遊ぶことが多いしさ。
でも、こうやってご飯持って、
好きな人とデートしに来るのは
のんびりできていいなー、…って思う。
だから今好きになった。
[正直に思うところを語りつつ、ふふ、と笑って。
彼は公園とか神社とか、自然の多い場所が好きみたい。
好きな場所を尋ねられれば]
私もねー、神社とかお寺とかは結構好き。
別に信仰とかはそんなないんだけど、
なんだろ、空気が澄んでる感じしてさ。
自然だと海沿い歩いたりするのも好きかな。
夏もいいけどシーズンオフも。
あと割と動くの好きだから、
ぶらっと電車乗って小旅行みたいなことたまにする。
街でご当地グルメ買い食いしたり、観光スポット見たりさ。
[そんな風に話しつつ、手を繋いで少し歩いて。
ちょうどよく腰かけられそうなベンチを探すだろう。]
[そんな中で不意に指でくすぐられ。
じっとこちらを見る視線に気づく。]
ん?
[どーかした?って首を傾げれば
幸せそうに笑う顔があって。
内心は分からないものの、つられて破願した。**]
――鴨肉の日――
[遅くに行く習慣が出来て、葉月とは少しすれ違いが続いていた。
まだ高野のインタビュー記事の感想も伝えられていない。
彼と栗栖とは3人で料理をシェアした日にグループを作ったけれど、せっかくならば直接伝えたい。
彼が自分の記事について直接褒めてくれた時、本当に嬉しかったから、自分の言葉でどれだけ彼を喜ばせることができるかはわからないが、気持ちを返したかった。
そんなことを数日考えていたある日のこと、「三兄弟」のトークルームに通知バッジが点灯した。]
えっ 何、カクテル……?
キレー……
[タップして表示された写真を拡大してみれば、グラスに咲いた八重桜まで潰れることなく写っている。
使ってるアプリはあれかな〜なんて予想しつつ反応を投下した。]
『桜カクテル?オリジナル?
セパレートの境目がはっきりと分かれてるのでも
完全に混ざるのでもないラインが絶妙で、すごいキレイ!
味は?気になるので詳細plz。
グルメライター葉月くんの食レポを
おにーちゃんはお待ちしてます♡
タッグ組みたい?愛いやつめ♡』
[
弟
が採用されるような食レポを送ってくれたなら、今日の自分の注文にカクテルが追加されることとなる。]
[その返事から暫くしての来店、座るのはカウンター席。
黒板を見ながら悩んでいる高野
に向かって手メガホン。]
貴方の……耳
に……直接呼びかけています……
一緒に鴨南蛮を……啜るのです……
一人で啜る音を立てるより……二人で啜る方が恥ずかしくないですよ……
[悪魔(?)の囁きは成功したと思われたが、強力な天使の囁きにも抗えなかったらしい。
すべての注文は天使に委ねられることになっていた。]
高野さんも最近この時間?
ちょっと前はもう少し早い時間に会ってたけど。
[出てくるのを待つ間、何の気なしに水を向ける。
反応が少し見てみたいから何となく察しながら聞いたけれど、隠したいなら詮索はしない。
パパラッチにはなりたくないからね。
ああつゆが煮詰まる良い匂い。]
やったーありがとう!
七味はちょっとかな。
[好みもあるけれど、朱い色は少し足されていた方が写真映えはするから。
供された白い器から出る湯気を少し手で避けて、タイミングを見計らって写真を撮る。]
こないだたけのこの天ぷらに使ってた下味もこの「秘伝」のつゆなんでしょ?
たっぷり吸いたいなって思ってたんだよね……。
[まずは熱さに負けず器を持ち上げて、つゆを飲む。
食べ方としては邪道だが、他の味が入らない状態でつゆを味わっておきたかったのだ。
ほう、と溜息をついた。]
うん。 ――うん。
だしが良いのかなー、なんだろ。
濃いんだけど、「うまみ」が主張してくるから飲めちゃう。
[次にそばを持ち上げて、つゆと一緒にずるると音を立てて食べる。
日本では麺類は啜る文化だけれど、ここは蕎麦屋ではないので気持ち控え目な音で。
生そば特有の風味がつゆに負けずに鼻に抜けて、暫く夢中で数口啜った。]
っはー……しっかりコシも残ってる茹で具合、てんさい。
そして南蛮こと焼きネギ様!
ネギって焼いたらなんでこんなに甘くなるんだろうね……。
で、満を持して鴨なんだけど……
これぜんっぜん脂っぽくないね?!
たべやすーい、しっかりローストしてあるのに固くもないし、
つゆとの相性最高……。
[うっとりと鴨を堪能し、最後に箸で摘まんだネギをストローのように咥えて先につゆを吸い、噛んで味わった。
つゆは残ったが、全部飲み干したら流石に塩分過多が心配なので。]
うーん、つゆ飲んだら思いの外お腹がいっぱいになってきたりして……。
鰹は重いかもしれないな……。
何か軽く摘まめるもの、頼める?
[桜のカクテルを頼むことになったかは、葉月の食レポ次第。*]
[分かってて聞いてるよね?分かってて聞いてるよね??]
嫌な訳ないでしょ〜〜〜?
[玲羅の楽しそうな笑い声
に。
俺は全面降伏したのでした。]
[軽口に返ってくる軽口が心地良い。
のどかな陽気の中、ゆっくりお散歩して。
『今、好きになった。』って。
何それ嬉しくない?]
俺と一緒に居て、好きなものが増えてくれたんだ〜。
何それめっちゃ嬉しい。ありがとぉ。
幸せ。
[嬉しそうに呟いて。]
[玲羅の好きな場所を一つ一つ聞いて行く。
]
空気が澄んでる感じ。俺もおんなじに感じる。
ふふっ。
冬の海はめちゃくちゃ寒いけど、俺も好きだよ。
小旅行良いねぇ〜……
…………いつか行きたいな。俺も。玲羅と。
お金貯めてさ。ちょっと。いやかなり。背伸びが必要だけど。
よしっ。それ1個目標にしよ。
そだ。玲羅。誕生日教えて?
[くすくすと笑って。問いかけて。]
[愛おし気に微笑んだ。顔に向けられた笑顔には。]
なんでもなーい。
[と。明るく笑った。]
[他愛も無い話しをして。ベンチを見付けたら。
お弁当を広げようかな。]
俺ん家ねー。あんまお金無くて。
弁当何時も白か茶色だった。
夏はトマトの赤が来たけどねー。
そんな我が家のお弁当を再現してみました!
でも、味は俺流ね?
遠藤さんのレシピを元に、母親に料理指導受けたんで。
誰のものでもない味になったけど……
美味しいよ?
どうぞ召し上がれ。
[そう言って。彼女に笑いかけた。*]
[ 彼の理性を折ってやろうとか、そんな気概は一切なく
けれど、自分のなんてことない一挙一動へ
単なる店員と客だった頃では見れなかった顔を、見れるのが
堪らなく楽しいと思うのは、許してください。
恋心の大きさ以外は何もかも平凡的と言うけれど
そんなにも人を──ううん、私の、こと
好きでいてくれる貴方のどこが平凡なんでしょうね?
私の世界に映る貴方の話は、また近い未来で、きっと。
好きな人には可愛く思われたい乙女心がかわいいものなら
格好いいと思われたい男心も、格好いいものですよ。 ]
[ 限界に達したら舌が少し回らなくなってしまうところや
向けられる欲を嬉しがっていることがバレているのは、
知ってしまえばきっと
「わすれてください……」と言って、また耳まで赤くして
顔を覆ってしまう気がするので。
堪えてくれたのはお互いきっと大正解。
────ああ、もう。ほら。 ]
……ぁ、ぅ……
[ なんでそんなさらっと格好いいこと言うんですか!
しっかりその顔も欲も受け止めさせていただきますが、
こちらは恋愛初心者なので。
ちょっと手心を加えてほしいな、……なんてこと
本当は思ってもいないのに、照れ隠しで考えてしまうの
……それも貴方を煽ったりしてしまうかな。* ]
― そんな翌朝の話 ―
[ 自ら据え膳の皿へ乗っかったうえに、
理性を抑えさせながらすやすや眠った呑気な白うさぎは
とんとん拍子に進む"一緒に暮らす"という未来予想図へ
あたふたしながらもへにゃりと笑った。
よく考えなくてもこれは、同棲と呼ぶものでは?
…………やった、と、心の中で呟いて。
ぱちり。瞬いた。
]
……ふふ。そうですね。
二人だけの色、見つけたいです。
私だけしか知らない夜綿さんの色も欲しいし
もちろん、その逆も。
[ トレードカラーの白色。
真白と書いて白、冬に降る雪
の白。
ずっと白いままでしかいられないと思っていたけれど
──そっか、二人でなら。
混ざり合うことも出来るんだ、と思い至って
私は自然と咲っていた。 ]
[ それはそれとして。
家を出る間際のすったもんだはお互い混乱して
綺麗に意図が擦れ違った。大咲とっても恥ずかしいです。
うさぎの穴に埋まっていいですか?
しかも"夜綿さん本人"を自然と二択で考えていたあたり
同棲計画に浮かれちゃってたの、丸わかり、では? ]
ん、んと……えっと
一番ほしいのは、夜綿さん本人なので……?
あの 帰るの寂しくて、ちょっとだけ
夜綿さんを家でも感じられたらなと思ってしまって
…………えへへ……。
[ 寝る時に着たら、昨日の夜みたいに
まるで彼に抱き締められているような気分になれるので。
スウェット借用はいったん保留。
その代わり、今度パジャマをお揃いで買いたいです。
そんな風に遠くない未来の話をしていった。 ]
料理する時点で手抜きじゃないって
考えるから、俺は。
[ コンビニでそう答えたことの意味。
それはきっと自宅に招いた後に、
知れることだろう。
ほとんと手つかずのキッチンの様子を見れば
普段料理をする人間なら余計に。
そもそもこの物件に決めたのは、
セキュリティ面と、駐車場の存在、
それから浴室が広い事、くらいで。
現在の生活を思えばこんなに立派な
キッチンなど必要もなかったのだけど、
慌ただしく引っ越しをし、よく選びもせず
店員の薦めるままに買った冷蔵庫やなんかも
完全に持ち腐れていたので、彼らは今日
涙を流して喜んでいるかもしれない。
当時忙しくてゆっくり選ぶ時間もなかったもので。 ]
[ 本来なら家主であるのだから、
手伝いの一つでも申し出るべきだったの
かもしれないが、足手まといどころではなく
邪魔になりそうだったので、
着替え終えると、先に座らせて貰い
スマホ片手に、今日一日滞らせていた
返事などしつつ、時々手帳を開いて
研究生のスケジュールの確認など、していたかな。
時々意味もなく、――いや意味は大いにあるのだが
キッチンに立つ、恋人っていう
今までにないシチュエーションを、眺める。
ぐっときた、時には想像だったものが
目の前にあるので、遠慮なく。 ]
[ キッチンからは絶え間なく、
いつも聞いているような音がする。
鍋とフライパンも、家電同様
店員に取って大変良いお客様
(と書いてカモと読む)
になっていたことが幸いしたようで。
初めて立つキッチンだろうに、
やはり彼の手は淀みなく、動いている。
そのうち、麦の香ばしさ
が漂ってくると、
自室なのに、本当に自分の部屋だろうかここは
だとか、考えてしまった。 ]
離れられなくなるよ、
食べ終わったら座ってみるといいよ。
あ、スープ。嬉しい。
ごめんね、先に頂きます。
[ 本来であれば出来上がるのを待っても
良いところ、一つ目を運んで来てくれたので
ごめんねと断ってから、手帳を閉じてスマホを置いた。 ]
なんか、ホッとする。
[ スープに浸されて尚、かりっと食感の
パン。これがひと手間の違い。
――あれ?手抜きって言ってなかった?
そんな顔をしつつ、スープを傾けていると
声が掛かり立ち上がる。 ]
あるある
[ ほとんどすかすかの食器棚の
左奥から耐熱皿を。……尚箱に入りっぱなし
でしたね。当然だね。一度も使っていないもの。
出処は母親です。つまりこれも貰い物。 ]
時々、来てくれるなら
いくらでも。
食器と言わず、必要なもの
あれば置いてってくれると嬉しいかも
君がふらっと寄りたくなるくらい。
[ 以前の恋人の影を見ようとしていたとは
全く気づかず、嬉しそうに言って
箱から取り出した皿を一度洗い、拭き取って
二枚手渡した。
キッチンに備え付けの食洗機はあるんだけど
すぐに使うだろうから、と。手伝いをしている
振り、みたいな気持ちもあったかな。 ]
[ その後は手伝えるようなことがなければ
座椅子に戻り、大人しく出来上がるのを
待っていた。
運ばれてくる料理の数はどんどん増えていく
この短時間で一体何品作るのだろう。
最後の料理を運び終えたようで、
斜め隣に腰を下ろす ]
そうだよ、
この部屋で誰かとご飯食べるのも、初めて。
コンビニで用意した食材とはとても
思えないな、おいしそう。
いただきます。
[ スープだけは先に手を付けてしまっていたが
手を合わせると、コールスローから
口に入れた。 ]
うわ、うま、……え、なにこの味
[ 作り方を聞いたところで、同じように
作ることは出来ないだろうが、何が入っている
だとか聞いただろうし、にんにくチューブが
入っていると聞けば、 ]
にんにく、好きだったのかも俺。
この味好き。
つまみにも良さそうだよね
[ 店で言うことと、あまり変わらないような
事も言ったかな。気取らない分、 ]
レンジ……?レンジって
料理できるものなの
すご。……そして旨い。
や、プロの料理だから当たり前
なのかもしれないけど
[ いつも以上に素直すぎる感想を漏らした事も。
シリコンスチーマーを発掘したと聞けば
家主の方が、どこにそんな物あったんだ
と首を傾げる始末だった。
キャベツとしらす干し、それにチーズ。
レンジで調理したと聞けば驚いたし、
思わず皿の中を見つめたりもした。 ]
ん、っふふ……ごめん
ご飯が美味しくてさ、
しかも、そのご飯、恋人が作ってくれてさ
自分の家に、恋人いてさ、
幸せだなって、思ったら笑っちゃった。
[ メインのスープ丼も半分ほどは消えた頃
食事を続けていたであろう君を見ていたら
急に溢れ出てきてしまって、笑い声を上げて
しまったので、言い訳するように、言って。 ]
帰したくなくなりそうで、困るくらい。
[ 最後にそう言ったのは本音だけれど、
冗談のように思われるくらいの、言い方
だったと思うよ。* ]
―― 店内にて ――
[ くすくすと笑う。
こういう顔、最近増えてる気がする。 ]
うん、鴨南蛮食べたい。
[ 二人だけの空間の中でも、
店内でも。
――その横顔に恋してしまうようなそんな表情。
かと言って、口には出せない。
狭量だと思われたくはない、微妙な男心。 ]
うわぁ、いい匂い
いただきます。
[ はちょっとあまりにも格好がつかないので
君にも悟られたくはないな、と思う。
やがて、こんがりと焼かれるネギと、鴨の
匂いが漂って来たと思えば、
今度はつゆの方からも、甘い匂いが
漂って。
完成したときにはすっかり、
待ってました、って顔してただろうな。 ]
[ 油の爆ぜる音を聞きながら、
そばを啜る。
絡むつゆもまた絶品だが、
そば本来の味もしっかりと感じられて
あとから、神田くんが口添えしたと聞けば
神田くんに親指立てて、見せたかもしれないな。 ]
前評判からやな予感しかしなかった
怪獣倒した後どうするか、みたいなのとか
ホラー・サスペンスの巨匠の最新作とか
あと、昔の仲間がメガホン取ったのとか。
[ 今度は映画を、だとかは自宅で
会っているときにも、きっと口にしていたと思う。
ので、この話が二度目だったら、
余程、そうしたいと思われていても
仕方ないとおもう。忙しい合間を縫って、
生まれた隙間には片っ端から、君と会う日
敷き詰めて行きたかったから。 ]
……言ったらあいつ、那岐くんにも
いらんお節介焼いたり、構ってきそうで
それはちょっと。
[ 面白くないと言いたげな顔を浮かべる帰り道。
いいですよと言われても、
ちょっと渋い顔を見せた。
のだけどね。
夜道、人気の少なさを知った上で
伸ばされた指が絡めば、ふっ、と笑ってしまうの
だから、敵わないな。 ]
そりゃ、恋人だって言うし、
俺の大事な人だよっても言うよ?
[ 問いかけるように語尾をあげる。
伺うように、隣を見る。
言葉にすると、嬉しそうにするとこ
見るの、好きだから。
少し照れくさくも、あるんだけどさ。* ]
[降参とばかりに恨めしそうな視線を向ける彼に声をあげて笑い。
礼を言われながら幸せだと微笑まれれば
此方もひどく照れくさいような、むず痒いような気持ちになって。
話題は好きな場所の話へ。]
旅行、そりゃ、瑛斗がいいなら行きたいけど。
せっかく行くなら一泊二日くらいでさ。
ホント???やった。じゃあ楽しみにしてよ〜。
[一つめの背伸び目標はそれに決めたらしい。
未来の約束に喜びつつ、誕生日を問われ。]
誕生日?6月7日だよ。
瑛斗は?
[と、問い返そうか。]
[そんな他愛ないやり取りをしながら
ベンチに腰かけて、本日のメインの一つ。
お手製弁当を広げるのを見つめる。]
わー、待ってました〜!!
へえ、じゃあこれは瑛斗のオリジナルハンバーグなわけだ。
なんかそれ食べさせてもらえるのも光栄だな。
[決して彩り鮮やかとは言い難い、
白と黄色のお弁当。
素朴な色合いは本当に彼が普段馴染んでいる
ありのままの弁当なのだろうことが窺えた。
いただきまーす!と手を合わせ。
割り箸を手に、まずは目玉の豆腐ハンバーグを頬張る。
もぐもぐと咀嚼して。]
うん、美味しい!美味しいよ!!
[どこがどう、とかは分からないものの
確かにうさぎで食べたものとは少し違う感じはするけど。
しっかり焼かれたふわふわのハンバーグは
何だか手作りの温かい味がする。
満足そうに目を細め、卵焼きにも箸を伸ばしながら。]
ね。
そういえば瑛斗のご家族ってどんな感じ?
兄弟とかいたりするの?
[お金がないお金がないと
何かとエピソードを口にするけれど
その実家族のことを語る彼はいつもどこか楽しそうで
きっと仲の良い家庭で育ったのではないか、と思うから。
もしよかったら聞かせてほしいな。なんて。**]
― そんな一騒動を終え ―
[ 車には全く詳しくないうえ、免許も持たない大咲は
タクシー以外で誰かの車に乗るのは初めてだった。
彼氏の車で朝帰り。
響きだけならとても怪しい雰囲気がするけれど、
というか言葉にすると自分でも流石に察しますが
「待て」をしたのもまた自分。
申し訳なさも若干はありつつ、爽やかなアクアの匂いに
ふ と息を緩めて。 ]
車酔いは…今平気なので、多分大丈夫です。
ドライブ良いですね。したいな。
運転、任せっきりになっちゃいますけど……
……いちご。
[ 他愛ないデート計画に出て来た「いちご」という単語へ
すこし、すこしだけ、大咲の目は輝いた。
何を隠そう実を言えば好物なのだ。好きです、いちご ]
[ 連休の調整は、しっかりした新人も入ることだし
元々大咲本人が人が足りている日にも出たりしていたから
迷惑を掛けない範囲でなら、出来るはず。
どうして連休にしたのかは、まあ、
お察しください。とてもじゃないけど言えません。
単日での休みなら勿論あるので。
貰えたらどころか、寧ろ貰って欲しいところだ。 ]
……あのね。
ケーキ、きっともう、大丈夫です
過去のことを引きずって、思い出を増やせなくなるの
私が嫌なので。
作りたいです、ケーキボトル。一緒に。
[ 温泉も良いですね。二人でゆっくりしたいです。
後、ちょっと憧れてた、
恋人同士の遊園地デートとかもしてみたいな。
交わした未来の話は、果たされる約束になるだろう。
随分懐かしい歌が流れてくれば
声って案外変わらないものですよねぇ、と笑ったり ]
[ 紡がれた言葉に、笑顔で頷いた。
最初に二人で決めた約束事。無理はしないこと。
声音へ滲む寂寞が、彼の無念を表しているのは伝わるけど
自分の為に無理をして欲しくはない。 ]
大丈夫です。
もし終電無くなったら、タクシーで帰りますから。
お仕事、頑張って来てください。
[ 守れない約束はしない主義。
そう言っていた彼の誠実さが好ましい。
代わりに自分も、歩いて帰るなんてことはせず
彼が安心出来る手段を選ぶことを約束しよう。
もう少し、あとすこしだけ一緒に、と願っても
時計は全世界へ平等に進んでいくばかり。
ゆるやかな手つきで、「慣れなくてもたつくフリ」をして
シートベルトを外した あと。 ]
────…はい、?
[ 振り返る。
何事かを問う前に、ヘッドレストへ彼の腕が伸びた。
すっかり固まった自分に、車内なのに影が差す。 ]
…………… ッ
[ 少しでも身じろげば、睫毛同士さえ触れ合いそうな。
一気に早まる心拍数がうるさくて、
まるで悪戯を終えた後のように笑う貴方の顔を
少しの間、何も言えずに見ていたけれど。 ]
……そ、んな人、いませんよ……夜綿さんのばか……。
[ いてもちゃんと躱せます、と拗ねてみせるけれど
独占欲めいたそれを堪らなく嬉しく思ってしまっているのも
やっぱり、すぐにバレてしまいそうだ。 ]
…………ねえ、夜綿さん
今日他のお店で美味しいご飯を食べても
……"つまみ食い"の味、忘れないでくださいね
[ うさぎの穴は良いのだ。皆の料理が美味しいのも
スタッフが店を愛していることも含め、
大咲はうさぎの穴を味わう彼が好きだから。
他のお店に行かないで、なんて言うつもりは無いし
お仕事や趣味の邪魔をしたくはない。
代わりに、"味見"を盾に、少しの独占欲。 ]
送ってくれて、ありがとうございました
また連絡しますね。
……好きです。
[ 貴方の職業を知っても、記事を調べていない理由。
うさぎの穴以外のお店や料理に嫉妬してるんです、って
そんな嫉妬心もありますが。
努力で貴方の胃も心も掴んで離さないつもりだから
どうか、末永くよろしくお願いします。
……うさぎは寂しいと、死んでしまうので。* ]
― ところで白うさぎの赤ペン先生編 ―
[ ええ、色々なことがありましたとも。
友達兼同僚と気まずくなったり、初恋が実ったり、
同僚はお肉大好き栗栖くんが好きだったことを
どう回避しようとしても知ってしまったり。
据え膳へ乗っかった挙句気付かないまま
彼氏の理性をひたすら壊していた(らしい)大咲は
栗栖くんの答案用紙を受け取ったら。 ]
『 栗栖くんの鈍感野郎。馬に蹴られろ。
ジャスト二十字、花丸です。
でも私も栗栖くんを揶揄えないくらいには
自分絡みの恋に関しては鈍感でした。
先生役、クビです 』
[ そんな風に、宿題にはお返事をすることになるだろう。
いや本当、鈍感天然って揶揄えるくらい察せた筈なのに
私はどうしてあそこまで気付かなかったんでしょう…* ]
[旅行は一泊二日になるらしい。
それじゃお金も貯めなきゃね。
お誕生日が6月7日なら……]
あと3か月かぁ……
そこまでにはお金貯めたいね?
[笑いかけて。]
俺はね。7月1日。結構近いね。
どーしても7日に間に合わなかったら。
2人のお誕生日の間をとって、給料日の後にしてください。
旅行の計画。
[そんな事を言って。
『いつか』で終わらせる気は無かったから。
お金たーめよって心の中で思ってた。
不思議なことにさ……
もったいないとか、白けるような気持ちは。
一片も湧いてこなかった。ただ。楽しみで。
喜ぶ顔や、旅先の普段と違う顔が見たいなって。それだけ。]
[玲羅は俺の料理にも喜んでくれる。]
オリジナルって言ったら大袈裟だけど……
[苦笑しながら。でもね。
うさぎの穴は、俺がただいまって帰る場所で。
俺の第二の家庭の味だから。
俺を構成する2つの大切な場所の味。]
まあ。家庭の味?????
ははっ。オリジナルとは到底言えないから。
リスペクトってことにしといて。
[母親と遠藤さん。2人に敬意を表して。]
[美味しいって受け入れて貰えて嬉しい。
俺は塩むすびを大口あけて食しながら。]
ん?俺の家族??
兄弟は居ないよ。一人っ子。
親父が超がつくお人好しで。
友達の借金の保証人になって逃げられてね?
でも未だにその人の事友達だと思ってるんだって……
いっつも身体の心配してる。
ちゃんと食べてるだろうか。眠れてるだろうかって。
母親はお肉料理は作ってくれなかったけど。
何時も俺にお腹いっぱい食わせてくれた。
後ね。こないだ真珠の事聞いたよ?
そしたら。好きになった切欠は確かに俺だけど。
真珠が好きな事は本当だって言ってた。そんでね。
親にお金を使うより、自分のために使って欲しかっただけだって。言葉が足りなかったねって。
……2人とも俺の自慢の両親。
[屈託なく玲羅に笑いかけて。]
玲羅は?
兄弟とか居るの?
ご家族のこと、好き?
[あんまり聞いた事無かったなーって。
もしも『好き?』て質問に躊躇うようなら。
別の話しを聞こう。
でも、この芯の強い人を育てた環境には。
やっぱりとても興味があったから。知りたいって、思った。*]
── これゼミでやったことあるやつだ! ──
[宿題には花丸がもらえました!!
あんまりもらっちゃいけない花丸ですね。]
……先生役がクビなら。
これからは同士としてよろしくお願いします!!
[これもあんまりいかんヤツですね。]
神田さん超頼りになる優しい人だから。
お幸せにね。
俺は嫉妬されないよう時々空気になります!!
流石に色々学びました!!
神田さんには
『俺は玲羅一筋だ』
って言っとくね。
でも……
それでも妬いちゃうのが、おもちみたいだからねぇ〜。
[ここら辺はとっても難しいのです。
栗栖くんでは分からない範囲なのです。
まだ習ってない!!
けれど流石に末っ子佑一との出来事は堪えてるから。
長男にまでそっぽを向かれないように。
大咲さんとも長男神田さんとも。
仲良くしたいなって思ってはいるのでした。**]
── お兄ちゃんにご報告 ──
[そうして俺はしっかりと。
お兄ちゃん(神田さん)に。『恋人が出来ました。』の報告をしましたよ。相手が玲羅だってこともね。]
神田さんが教えてくれた散歩道すごく綺麗だった。
ありがと〜〜〜。
それでね。あのね。えっとね……。
神田さんもおめでとう。
[耳元でこっそりと。
いやだってあのクッキーのくだり、俺の真横でやってたんだぜ?
気が付かないのは無理がある。
全部を全部見ないふりで流した俺は褒められるべき。
誰が褒めなくても自分で自分を褒めます。
そう言って笑った俺は。
『ところでもう登山誘ったの?』とか聞きました。
確か手が繋げるんだっけ???なんてね。**]
―― 隣の席 ――
そうだね普通に、隣から聞こえるし、
鴨南蛮食べるよ。
麺、啜るの恥ずかしいの
[ ボケ殺しもいいとこですが、
知ってて声かけたよね。
結果的には鴨南蛮も食べることになったので
悪魔の囁きげに恐ろしき。 ]
そうだね、ずっとってわけじゃないけど
この時間だと、チャンスがあったりするから。
つい、ね
[ この時間?と問われれば、
なんのと聞き返されそうな答えを放ったが。
聞き返すよりも先に、鴨南蛮が届いて
しまえば、一度はその話題は流されただろうね。
だって南蛮蕎麦なんて、熱々じゃないと
美味しくないでしょう?
思惑通りか、やったーと
神田くんが声を上げたなら、自分も蕎麦を
啜り始めた。* ]
―― いつかの ――
へぇデート上手く行ったの
あの子でしょ、喋ったことはないけど
お肉大好きな子。紹介してくれてもいいよ
彼氏。
[ 隣に座る先輩に
実は見かけたものですから。
うさぎの穴でのお食事デート。 ]
誘えた。最高の日だったよ
[ 話が長くなりそうなら、今日は
日本酒とか頼んで、ゆっくりしても良いかもしれない。
彼氏が飛び入り参加しても、面白いなって
俺は思っているんだけどね。* ]
[彼が『ヒーロー』だった頃は知らない。
その名残がこの部屋にあったとしても。
今は、まだ。
あまり使われていなさそうな電化製品。
冷蔵庫には飲料ばかり。
不規則な時間の仕事。
人気に左右される商売。
何もかもが違い過ぎるから、想像がつかないこともある。
ただ、今みたいに部屋で
ゆっくりとくつろいで居る彼は、
自身と余り変わらないような気がした。
もし、広い浴室があると聞いたなら。
自身の1ルームに設置されている洗面台と一緒の
ユニットバスと比べて、羨むくらいはしただろう。
今はまだ、そのことは知らないまま。]
[離れられない。
どこかのラジオで言っていたのと似た台詞に笑う。
許可を貰えたのなら後で体験してみることにして。
スープの感想を横目に戻った後。
食器棚の前で佇んでいれば、慣れた家人がやってくる。
箱に入っているから気づかなかった。
少し高い位置にあったものを取ってもらったものを、
受け取りながら中を確かめる。
うん、これなら使えそうだ。
食器の有無には色良い返事が返されて。
必要なもの、と聞いて思い浮かんだのは、
今日ではとても使い切れないだろう調味料達。]
良かった。
今日だけじゃ使い切れそうにないから、
使ってもらっても……、
[……と、そこまで言いかけて。
後から入ってきた情報と
遅れて繋ぎ合わせてようやく理解する。]
[『必要なもの』の意味。そこには。
俺が増やそうとした食器と同じ意味が含まれていて。]
ああ……、
そうですね、その内。
[噛み締めるように感嘆を漏らした後。
改めて、実感する。これからの意味。
次に訪れる時には、食器以外にも。
共にゆっくりと過ごせるようなラフな服を持って来ようか。]
[テーブルで隣り合いながら、言葉を交わす。
店で立って眺めているのではなく、
今日は一緒に食事をしながら。
初めて、と言われたなら少し目を丸くしたけれど。
使わせてもらったキッチンを思えば納得は行く。
さっき脳裏に過ぎった以前の恋人は
この部屋には当てはまらないらしい。
味は好評のようで、
彼の目が丸まり、感想が零れたなら。
遅れてようやく自身も手を付ける。
最初の一口は、自分ではなく
誰かに食べて欲しい。味見は別の話。]
それ、冷蔵庫にも入れてあるんで。
明日以降にまた食べてくださいね。
[にんにくが効いているコールスロー。
評判がよければ目を細める。]
[食べる度に驚くような声に、小さく笑った。
店のように手をかけなくても喜んでくれることに。
少し擽ったいような心地を覚えて。]
スチーマー便利ですよ。
コンビニでも売ってるベジタブルセット買って、
肉重ねておくだけで蒸し料理になりますし。
ポン酢で食べると、旨いです。
[宝の持ち腐れになっていたスチーマー。
使い方を簡単に説明しておくのは、
彼の普段の食生活を気にしてのこと。
そんな中で不意に零れた笑い。
目許を綻ばせてそんな感想を零す彼を見ながら、
先程、話した食器の話を思い出す。
その時に感じた、噛み締めるような何かを、
彼も感じたのだと分かったら。]
ここの方が店に近いから、
朝、起きる時にゆっくりできそうですね。
[冗談混じりの言葉に、そう答えただろう。*]
[葉月の食レポによって桜カクテルのもう1杯の売り上げはなしになった。]
『色味が綺麗に出てるね。さすが●●製アプリ』
『人について書くのはあんなに「読ませる」のに、
なんで食レポは』
(やれやれと両手を挙げて首を横に振るうさぎスタンプ)
[送ったのはここまで。
店内では、写真を撮る以外でそう長くスマホを弄りたくないのだ。
料理に向き合いたいのもあるけれど。
「店員の白うさぎさん」である彼女の姿をできるだけ沢山見ておきたいもので。]
[彼女は自分の「魔除け」に対し、「そんな人はいない」と拗ねてみせたけれど。
明るく笑顔で客を迎えて、いつも客達が楽しく過ごせるような工夫を考えていて、何より料理が上手で優しくて可愛い、そんな彼女にとって「特別な客」でありたいと思う人々は絶対に多くいる筈なのだ。
それは彼女が躱せないだろうと疑っているのとは別の話。
他の客のことを、自分は全く信用していないので。
ああそれにしても拗ねた顔は可愛かったなぁ。
店員と客の立場から変わっていなければ、彼女が言う「ばか」
があんなに甘い響きなことも知らなかった。
「単なる店員と客だった頃では見れなかった顔を、見れるのが
堪らなく楽しい」
お揃いの感情が増える。
一緒に時間を過ごす内に、きっと、もっと。]
[彼女に施した魔除けにはリターンがあって。
仕事は勿論手を抜くことなく恙なく終わったし、
あれからも何件か取材をしたけれど、
頭が仕事モードから離れる度に、「つまみ食い」の味を思い出しては突っ伏したくなっている。
ただでさえ、あの日からずっとしつけ糸並みの強度の理性でぐらぐら綱渡りをしているというのに。]
[この日のフルーツはメロン。
鴨南蛮だけで珍しく満腹感を覚えてしまったから、結局後はメロンをそのままカットして出して貰った。
スプーンですくって食べるのも好きだけれど、少し硬い部分にフォークを刺して食べる時の果物と野菜の境界のような味が好きだ。
柑橘も好き。
りんごもバナナもぶどうも無花果も。
中でもとりわけいちごが好きになったのは。
いちご狩りの話をした時の彼女の反応が可愛かったから。
運転していたけれど、助手席で真白の目が輝いたことには気づいていた。
反芻して喜びを確かめようとする癖が彼女にはある気がする。
もう少し観察して答え合わせを楽しみたいから彼女自身には言わないが。]
――あの日の車内――
うん、じゃあ一緒に作ろう。
いちごと、スポンジと、ホイップクリームと、
砂糖で出来た花やハートのトッピングなんかも
用意してあるみたい。
[大丈夫、と彼女が口に出したなら、「本当?」と確かめる言葉は出さない。
過去を思い出さないようになるなんてことはまだ無理だろうが、
避けていてはずっと「ケーキ作り」が嫌な思い出だけになることを、
もう彼女は何年も身をもって経験しているだろう。
自分と一緒に作る思い出を増やしたいという気持ちが
「作りたい」という言葉として出たことが、とても嬉しい。]
移動時間もあるし、温泉も入ろうと思ったら
結構ゆっくり時間がほしいところなんだけど、
いちごの季節が過ぎたらできないことだから、
日帰りなら次の日のシフトが夜だけの時にしようね。
[「お取り置き」の受取日がいつになるのかはまだわからない。
真白を一番幸せにする日、
とっておきに可愛くしたいという想いがあるならば、
どんな風に過ごすかは彼女の希望に寄り添いたいから、
いちごを摘んでケーキボトルにする日でも、
遊園地への憧れを叶える日にちょっと良いホテルを取っても良い。
他にやりたいことがあれば勿論なんだって、
自分にできることが彼女を幸せに出来ることが幸せで堪らないから
その約束はまたじっくりふたりで話すことにしよう。]
[とりあえず次に昼間時間が取れる時には「お揃いのパジャマ」を買いにいこうと誘った。
真白が思う自分に似合う色が知りたい。
何ならパジャマだけではなくて、他にも彼女の見立てで何着か買い足せるなら。
自分の部屋が彼女の色で染まることが楽しみで仕方がない。
浮かれた自分のポケットには今、小さな封筒が入っている。
先日は急なことで用意が間に合わなかった。
銀色の小さな金属を渡された真白の反応を想像して緊張している。
閉店まであと、 ――――**]
[テーブルで睦まじく談笑していた二人は先に退店していたようだ。
良い時を過ごせるように心の中でエールを送る。
うれしい結果が聞けたのは、また後日の話。**]
[未来の旅行計画を立てる彼に。]
ふふ、そうだねえ。
それ用の貯金箱でも作る?
あ、そうなんだ!夏生まれ。
了解。じゃあ間に合ったら個別に祝うし。
間に合わなかったら旅行しながら一緒に祝お。
[彼の誕生日もそこまで遠い話じゃない。
その時は何をしようかな、何をしたら喜ぶかな。
少し先の予定を考えながら、そんな話をしていた。]
[そうして豆腐ハンバーグ。
遠藤に彼がレシピを窺っていたのは聞いていたけど
どこまで参考にしたのだろうか。
ネギ類の甘味に豆腐のなめらかさ。
彼も気に入ったらしい
ワサビは付いているのかな。
リスペクトだと少し苦笑しながら話す彼に
目を細めてもぐもぐと食べる。]
うん、でもほんとに美味しいよ。
ありがとね、作ってくれて。嬉しい。
[シンプルな塩むすびを一緒に食べながら
ず、と温かい玄米茶を啜る。
ああ、なんか。幸せだな。しみじみ。]
へえ――…
[そうして、聞くのは彼の両親の事。
お人好しで心配性な父と、
家計を切り盛りするしっかり者の母。
いつかの真珠の件の答え合わせも聞いて、
微笑ましさについ微笑みが零れる。]
そっかあ。
…良いご両親なんだね。
[感想は心から。
断片的なエピソードだけで
二人とも善人なのだろうことや
愛を受けて育ってきたのだろうことは窺えるし
その環境が彼の屈託のなさを形成したのだろう。
こどもから自慢だと、胸を張って言われる親は良い親だ。
そうでもない家庭も玲羅は多く知っているから余計。]
うち?
うん、好きだよ。兄弟はいない。一人っ子仲間だね。
[好きかと問われれば特に衒いもなくYESと答える。]
パパはね、普通の会社員。
私が一人娘だからかめちゃくちゃ親ばかで過保護で、
私には甘々。
実家出る時もすっごい寂しそうだったけど、
押し切って出てきちゃった。
[あ、余談ですが玲羅は社会人になって以降一人暮らしです。
また変なファンにストーカーされたら…と狼狽える父は
いい加減子離れしろと母に一喝されていた。
思い出して少し笑いそうになってしまいながら。]
ママは子供向けの音楽教室の先生しててねー。
私が歌とかダンスとか好きになったのはママの影響。
パパが甘い分容赦なくずけずけ物言うから
小さい頃はよく喧嘩したりしてたな。
大人になった今は友達みたいな感じだけど。
…でも、私がアイドルになるって決めた時も、
急にやめるって決めた時も、何も反対しなかった。
[玲羅がよく考えて決めたなら好きにしなさい。
悩んだ時には私たち親を頼ってもいいけど、
自分の選択に責任は持ちなさい。
あなたの人生なんだから。
そう真顔で諭した母のこと。
時には厳しく思えた母の
それが確かに愛だったのだと知ったのは、
きっと大人になってから。]
良いご両親だよ。うちもね。
[なんて冗談めいた口調で、けれど心から笑った。**]
[旅行用の貯金箱とか何それ楽しそう。
未来の約束に、心が躍った。
レシピはまるっと参考にしました。
でもプロの味にはならないし、監修は母だしね。
山葵つけたよ。2人で気に入ったもんね。
『美味しい。』と。食べてくれる人は嬉しい。]
また作る。また一緒に食べよう。
[ああ。幸せだなって。
熱い玄米茶を飲み終わった彼女の手から。
コップを受け取って。]
[愛おし気に目を細めて。玲羅を見詰めて。
怒られるかな?]
[怒られてもそうじゃなくても。
胸が満ち足りて幸せだった。]
[玲羅のお父さんとお母さんの話し。
聞いていて、目に浮かぶようだ。]
玲羅を心配したんだね。お父さん。
お母さんは、玲羅を信じてくれたんだね。
『玲羅なら大丈夫』って。
信じてもらえるくらい。
玲羅は頑張ってきたんだね。
俺の勝手な憶測だけど……
良いご両親だね。
[目を細めて。微笑みかけて。]
[お弁当を食べ終わったら。
そろそろ手作りアクセサリー教室に向かおうか。]
アクセサリー教室ってどんな事するんだろう?
どんな物が作れるのかなぁ?
ああ。そうだ。お弁当食べてる時に気付いたんだけどね?
玲羅。爪も綺麗だね。お姫様みたい。
玲羅はどんなアクセサリーが好き?
[屈託なく笑いかけながら。
軽くなったお弁当箱を、しまっていった。*]
[ 訪問客もほとんどなく、友人が遊びに来ることも
あまりない。外で会うことのほうが多いのは、
互いのため。
故に面白いものは特にない自分の部屋だが
羨むような言葉があれば。君の部屋にも
興味が湧いた。
調理具の数は比べ物にならないだろうし、
日頃過ごす部屋の中には、趣味趣向が
色濃く、出ているだろうから、まだ知らない
相手の好き、が埋まっているような気がするから。 ]
[ 食器を増やしても、との打診に
告げた言葉の意味については、
正しく受け取られたようで。
その内と返される。
二人分の食器、それから服、部屋着、
枕、洗面用品等、数え切れないくらい
君の私物があればいいと思う。
自分の家だと錯覚するくらい。 ]
本当?嬉しいな
[ ささっと短時間で作ってくれた一品は、
冷蔵庫にも保存されているらしい ]
[ プロの手に掛かれば、調理器具など
数えるほどしかなくてもこれほどの料理が
出来るということに、いちいち、感動してしまった。 ]
さっぱりしてて、美味しそう。
だし、俺でも出来そうだね。
[ 授けられた知識は、技術力を要さない
簡単なもの。次に君がこの部屋を訪れる時には、
使用頻度が増えている証拠に、キッチン台の
手に取れる場所に、スチーマーはあるだろう。
冷蔵庫の中にも、多くはなくとも
食材は増えているはずだ。
出来ることが少しずつでも増えていけば
いつか、キッチンの中、狭いなんて言いながら
共に立てる日もくるだろうか。 ]
[ 茶碗蒸しなんて、家で作るものとは
思わなかったものだし、洋風の味付けが
とても気に入って、瞬く間に空にしてしまった。
表面の溶けたチーズと、コンソメの
組み合わせが絶妙に食欲をそそったもので。
好きだと以前言ったことを、
覚えていてくれたからこそ、作ってくれたであろう
スープも、スープ丼も。
体を内側からあたためてくれた。
加熱されて溶け出したネギの旨味が感じられる
スープを吸った米が、また美味だった。 ]
今日はさすがに冗談だけど、
次は泊まってね。
[ もちろん、店に近いからという理由
でもいい。君がここに居てくれるなら、
理由なんて、なんでもいいので。 ]
[ それから食事を終えれば、
片付けは自分がと申し出た。
ほとんど食洗機が片付けて
くれるし、君にもこの部屋で
ゆっくりして欲しかったから。
片付けを終え、コーヒーを手に
戻れば、君は何をしてただろう。
ダメになるソファに吸い込まれたり
していたなら声を上げて笑ってしまって
いただろう。
深夜と呼ばれる時間になる前には、
送りたいと言い、再びジャケットを羽織った。
帰り際玄関で、頬を撫でながら
いい?と問いかけた後、どうなったかは
君の返答次第かな。* ]
―― 鴨の日 ――
[カウンターに響く蕎麦を啜る音が二つ。
七味を振りかける神田と、
そのままを楽しむ高野を交互に眺めながら、
二人の水を注ぎ足しておく。
神田からの問い掛けには。]
はい、そうです。
[天ぷらは確か大咲が作ったと記憶している。
ゆっくりと味わうように器を傾け味わう。
そこから漏れた感想に、さすが、と微笑んだ。]
厚削りの鰹を使ってるんです。
[だから、今日も一つ答え合わせを。]
血合いの入った厚削りのものと、
それから、香り付けに薄削りを後から。
醤油は……何を使っているかは、秘密で。
[なんといっても店の特製なので。+109
大体の回答は出したようなものだが、
肝心なベースとなるものは伏せておいた。
ネギも鴨も好評のようで、
いつもの流水のように流れるような感想を楽しむように
耳を傾けながら二品目を頼まれたなら。]
はい、かしこまりました。
そうですね……、新じゃが使ってもいいですか。
[一言断りを入れて、作り出そう。*]
[二人の蕎麦を啜る音は、揚げる音と重なれば、
いくらか相殺できただろうか。
一方で口数の少ない高野に目を向けたところで、
微細な感情の揺れまでは気づけなかったけれど。
目が合ったなら、自然と細めて返していた。
竜田揚げに彼が手を付ける頃、
カウンターキッチンに戻れば、映画の話。
邦画はあまり観ることがないから。
説明されたものは欠片程度は聞いたことはあっても。
観たことがないものだったけれど。
一日では観られそうにない量に、
思案するように伏した瞳を、ちら、と向けたなら。]
配信なら、映画じゃなくてもいいんですよね。
……だったら、『戦隊モノ』とか観れます?
[タイトルまでは知らない。
けれど、彼にならそれで何が観たいかは伝わるだろう。]
観てみたいです。
『ブラック』が活躍するところ。
[今はプライベートな時間を楽しんでいるだろうから。
名前は伏せたまま、好きになったカラーを口にした。*]
[そんなリクエストを願った日だっただろうか。
帰り道で、葉月の話題に触れた時。
何故か顔を顰めたのを見たら、
機嫌を取るように、絡めた指に少し力を篭めて。]
葉月さんとは話してみたかったから、
俺は構いませんが。
[構われるのが嫌なのだろうか?
彼は純粋に高野のことが知りたそうに聞こえたけれど。
お節介についてはまだ葉月の人となりを
深く知らないから、微かに首が傾く程度。]
[指先から温度が伝わって、零れた笑いが見れたなら。
心配する必要はなさそうだ。
ねだるような問い掛けに返された応えは。
期待通りの、いや、それ以上のものだったから。]
『お父さん』の相手が『お父さん』だったら、
……驚くかな。
[少し崩れ始めた敬語には自分では気づかない。
はにかむ姿につられるようにして、双眸を緩めた。*]
―― 二品目 ――
[新じゃがを手に取ったら、まずはよく洗う。
皮がついたまま使いたいから念入りに。
一口大ぐらいになるように、大きさは6等分ぐらい。
手を入れた後は、
キッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取って。
牡丹海老はお腹の殻を剥いてから尻尾へ。
そうすると頭も尻尾もちぎれることなく綺麗に剥ける。
頭と尻尾をそのままにするのは、
見た目にも楽しんでもらいたいという思いから。
こちらも下処理を済ませた後、水気を取って。
彩りにはアスパラを。根本を切り落として。
固い部分はピーラーで剥いて、5cm幅に。
次に手にしたのはスキレット。オリーブオイル。
勘のいい人ならばもう何を作るかは察せるだろう。]
[みじん切りにしたにんにくとアンチョビを
アスパラと一緒に入れ、いい香りがしてきたら。
新じゃがが柔らかくなるまでふつふつと。
後から海老を入れたら、今度は赤く色づくまで。
仕上げにパセリを少し散らして緑を深めたら。]
海老と新じゃがのアヒージョ。
こちらもお好みで、七味をかけてください。
[熱々のスキレットを木板に乗せてテーブルへ。
食べれない海老の部分は、殻入れを一緒に添えて。*]
うん、楽しみにしてる!!
[また作るという彼に元気よく頷いてそう答えた。
ちなみに自分もお返し的なものを
したいという気持ちはちゃんとあるんだけども
それは今は心のうちに秘めて。
玄米茶を火傷しないよう飲み干し、
コップを彼に手渡した。]
――――、
[一瞬虚を突かれて、ぽかん、としたあと。
間近で微笑む彼の表情と台詞に
ドキリと大きく心臓が跳ねて。]
〜〜〜っっ、!!
[ぶわわ、と頬が熱くなった。]
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