人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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[ ──この先起こる現実を、たとえ後に知るとはいえ
     友が直接見なかったことは……

                   果たして幸か、不幸か。]

  
 

 
[ そして、舞台当日。

 ──立っているのも辛い。
   身体が熱い。苦しい。
   気をつけば意識が持っていかれそうだ。


 数日前から、体調が優れていない自覚はあった。 
 恐らく練習のし過ぎから来る過労、睡眠不足。 
 抵抗力の弱った体を病は見逃さない。

 完全な体調管理ミス。
 端役ならまだしも、代役は存在しない。
 自己責任、前に進むしか無い。

 やがて、幕が開くが──]
 

 
[ 当時の事は覚えていない。
 いや、心の奥底に封印したから記憶に無い。

 記憶にあるのは、始まって間もなく
 舞台の中央で意識が途切れたこと。
 観客のざわめき、同僚が駆け寄ってきたこと。
 怒号も聞こえた気がする。
 
 そのまま病院に運び込まれ、全てを知ったのは数日後。


   ──俺のせいで舞台は中断、続行不可能となったこと。] 
 

 
[ 団長は優しい人だった。
 体調管理が出来なかったことに注意はしても、
 責めることはしなかった。
 
 
──しばらくは受け入れられなかった。
   己の犯したことの重大さを。
   自ら、役者人生に泥を塗ってしまったことを。


 順風満帆、失敗しらずの人生を送ってきたからこそ
 現実を受け止められなかった。
 己のしでかした事の大きさを。

 そして、間もなく暇を貰い逃げるように姿を眩ました。
 団長には事前に告げておいたが、驚く程あっさり許可は出た。

 「分かった。だが、条件として連絡先を教えてくれ。
  また必要があれば、呼ぶかもだからな」とだけ告げて。


 思えば団長には可愛がってもらえていたのだろう。
 この後も「使わなくなったから」と
 様々な物品が贈りつけられてくることになる。
 同封された手紙は怖くて読めなかったが、捨てることも出来ず
 しばらくは棚の奥に封印することにした。

           
──こうして、俺の役者人生は、
             一度幕を下ろすこととなった。]*

 

【人】 舞台役者 ヴィクトル

 
[ その後、あの時何が起こったか。
 何故此処にいるのか、と告げようとした。

 ……が。

 出たのは言葉ではなく、嗚咽。
 あの時耳にしたものと、同じ>>114

 かつて視界に映った輝き>>0:820は既に飲み込まれ>>0:821
 子供のように、ただ只管に泣き崩れていた。
 
 
 暫くすれば落ち着きを取り戻す、までにはいかないが
 話せるまでに回復すれば、今度こそ、淡々と過去を告げ始める。]


 ……所詮俺は、この程度の奴だったってことさ……。
 俺みたいな奴と一緒にいれば、リーが腐っちまう。
 

     
だから、会いたくなかったんだ……。
   こんな姿を見せたくなかった……。


 
(135) 2019/04/14(Sun) 4:09:31

【人】 舞台役者 ヴィクトル

 
[ 愛想を尽かされるだろうか。悲しいが仕方が無い。
 自分が所詮それまでの男だっただけのこと。
 実際、黙って一人で姿を晦ましたのだから、当然である。
 
 
 それでも。
 友だからこそこんな姿を見せたくなかった。
 会いたくなかった、と思い続けていたはずだったのに。

 顔が見えて、声が聞けて。実際に会うことが出来て。

 無駄なプライドと意地がいかに邪魔をしていたのか。
 愚かだったのかを痛感する。
 

 ──涙は暫く止まることは無く。
 拒まれぬなら、友の胸元に縋りつき、泣き続けていた。]**

 
(136) 2019/04/14(Sun) 4:09:40
舞台役者 ヴィクトルは、メモを貼った。
(a26) 2019/04/14(Sun) 4:12:39


[ ピアノの音色をかき鳴らしながら
 脳裏に思い浮かべるのは数多の人の顔。
 この城で過ごした数十名の子供達。

 その中でも一際目立つのは陽の存在。
 月の名前を持つ子供の姿だった。

 ふと、開きっぱなしだった部屋の中に
 与えた本人の存在が増えた ]

  おはよう、セレン。よく眠れたかな?

[ 挨拶は極めていつも通りに。
 ピアノの手を休めれば彼に振り返った。

 彼の手にあるのは知恵の実
 それから棘の目立つ赤い薔薇の花だった。

 彼の言葉に男は目を伏せる。
 言葉を選びあぐねている様子だった ]


  それは、俺が触れていいものじゃない。
  それに、きっと君が持っていた方が喜ぶ。

[ 差し出された金貨一枚
 久々に他者から存在を生かされる今に
 男にしては少し苦い顔をしてみせる ]

  部屋がいつもの調子なのは、忘れられないからだ。
  いや、……忘れたくないのかもしれない。

[ ピアノに備え付けられた椅子に腰掛けた。
 男は飾られた赤い薔薇一輪に視線を向ける ]


  忘却は人にのみ存在するものだから。
  それから、俺が触れたくないのもある。

  彼らがここで生きた痕跡を、
  俺如きが穢してしまいたくない。

[ 組んだ指だけが落ち着きなく動いた ]

  ……その思い出が、記憶が、より胸を痛ませても。
  どの子供も悪い子供じゃなかった。

  中には俺の願いを叶えようとする子もいた。
  結局、逃げてしまったけどね。
  他には父のように慕ってくれる子供もいた。

  だが、みんな帰してしまった。
  残酷な望みを君達に架していると分かっているから。

[ 言葉を区切り、それから少年を見遣る ]


  君を特別扱いしたのは……、
  その金貨をお守りと持ち歩いていた子に
  君が少し似ていたからだ。

  どう。少しは、殺す気になれた?

[ よく見ると日に焼けたのだろうか。
 赤い頬は少し痛々しい。
 冷やしてやるべきだろうと彼を見つめ ]

  なんて。
  ……君に酷い事を願っているのも理解してる。
  君と俺を違うと枠組みを取り替える癖に
  君に同じ所まで堕ちろと
  それと同義の言葉を口にしているのだから。

[ 男自身の矛盾を形にした。
 困ったような眉はそのままにふと顔を上げ ]


  色々と、知ってくれたんだね。
  出来れば君が全て知った上で、
  承知してくれた上で、欲しいものだから。

  ありがとう。
  でも多くを見て回ったのなら腹が減るだろう。
  何か、用意しようか?

[ 彼が選んできた赤い果実を見て、尋ねた ]**

[段階を踏むということまでは知っている私
段階を踏むことすら知らぬ君

尚、その段階は小説の知識で
ぼんやりとした交わりについての君の知識は
漫画のものだと知るのは果たしていつの日か

――どんな姿でも、
嗚、君ならば何でも美しいのだと
こんなにも君を、求めているのだと

私が思うことを、知れば良い
]

[漏れる声に、体の奥がずくっと疼く
触りもせぬのに、君の声に反応しそうだ
などとは、恥ずかしくて言えもせぬ


素直な子には、ストレートに言った方が良い
とは、理解はしているものの

此方も恥じらう日本人なれば
性の前戯でストレートに押せ押せは難しく

少しばかりの駆け引きとともに
触れることは許してくれまいか

君の、可愛い痴態を見るのもまた
楽しみでは、あるのだから]

[ぽいやんの雷をあれほどくろうても
戦うことを諦めなんだ雄勇は、
快楽にはあまり強くはないのだな、と
身もだえる様から、思う

だがそれも、また愛いのだと
もっと自分の手で溺れてしまって良いのだと
言葉の代わりに、彼の雄を美味しそうに舐め啜る

抑えることを忘れた声が、耳に届けば
尚囀りを聞きたいと、奉仕に一層熱が入るというものだ]


 ん……


[とはいえ、絶頂も近い。と
脈打ち熱を持つ怒張から察したものの
それを口から離そうとされるのは本意ではない

だからこそ、彼の脇へと愛撫を行い、
出しても良いのだと、強く、啜って解放を促せば

熱の奔流が襲うのだ]

[クガネの絶頂は割と早めだと、学んで
叩きつけるような白濁が口内を満たす

小さく、くぐもった声をあげながら
喉に流し込もうとするが
これがなかなか、難しい


口の中に広がる雄の味
苦いし、粘つくものだと初めて知った
どちらかというと甘味の方が好きだが

愛しい彼の物だと考えれば、悪くはない

顔を覆い隠して、馬鹿と宣う彼を横目に
嚥下に四苦八苦しながらなんとか飲み干す。
少しばかり口端から白が流れるが
それも指で掬って、口の中

禁欲的に生きてきた彼を穢した、ことへの
罪悪感と高揚感をないまぜにしながら
私は小さく吐息を、零した]

[さて、これで終わりだと私は一言もいうてないのだが
……どうすべきかと思案をする
いい感じに力が抜け、くったりとしているから
慣らせば初めてでも受け入れることができそうな気もする

が。彼の本意はどうだろう
今日はこれまでとストップがかかれば生殺しだが]


 ……。


[手荷物をあさって香油を取り出し
指に纏わせ2,3程擦り合わせる
温度が多少移った頃に、窄まりに指を這わして―――

一度、襞に塗り込む仕草を見せた後、尋ねる]

 クガネや。続きは、どうするかね。
 君が疲れたなら今宵は、ここまででも良いけれど。


[我慢は常だ。慣れている
でもできれば―――できれば溶け合いたいのだと


心は殺して、常の無表情で尋ねるのだ**]

[ シロさんは「奥ゆかしき日本人」の体現者としても
 違和感はない訳では、あるが

 ――確かにストレートは難しいだろう。
 しかし、こういう駆け引きを交えた扱いをされてしまえば
 ある意味直球よりもタチが悪い。

 醜態晒すことを自制できず、
 例え神雷の中でも突き進んでみせた精神力の高さなど
 見るも無残な惨状となってしまうのだ。]


[ それは仕方のないことだ。
 何から何まで初めてで、だから悔しいけど
 己は翻弄されるしかないのだと。

 ――自らの経験の無さを免罪符に、
 恥ずかしき慾の存在を無意識に肯定も、したか 
]

[
人にやってもらうのが初めてだから
 この速度は正確じゃない!冤罪だ!


 ……などと、相手の思うことを聞けてたら
 それはもう全力で抗議したのだろう。

 しかし、そんな余裕など無ければ
 目伏せ必死に息を整えるのに精いっぱいだ。

 ――出したものを飲まれた、などという光景を見れていたなら、
 己は軽い眩暈のち「状態異常:大混乱」でも付与されてたかもしれない。

 目を覆い隠していたのは、幸か不幸か]


[ そして、たとえその光景を見逃したとしても
 この熱帯夜が終わる訳でもないのだ ]



  ひっ!?


[ 漸く息も落ち着いたかという絶妙なタイミングで
 後ろの――具体的には、尻の方から
 微かな、しかして確かな衝撃を感じた。 ]


  ( や、やるのか本当に…!? )


[ 覚悟はしていた。が、いざ目前に迫ってくると
 やはり僅かながらに恐怖が出てきてしまう。
 進むにしてももう少し、猶予が欲しいと
 身勝手ながらに思ってしまうのだ。


 ――ただ、それでも ]



  ……オレが「ここまで」って言ったとして
  シロさんは、どうなんだよ


[ 彼が此処まで来て、己に興奮してくれているかは
 わからない。

 わからないけど、己が逆の立場なら
 これ以上なく辛いとも、思う

 ……今の立場の己も十分辛いのだが ]



  遠慮すんなよ。オレ、そこまで軟じゃねェし
  ――進めて良い、から。



[ 眼隠しした腕をずらし、彼に同意の眼差しを

 これを言わせるなんてある意味羞恥プレイじゃないか?と
 思わなくもない。が

 悔しいが、ここで中断されてしまうのは己も嫌なのだ。
 ――溶けて溶けて、一つになるを望む 
*]

  ―日記 4頁目―

[ 薔薇の花が咲く場所を教えてもらったわ。
 大きな庭園にあるみたいだった。
 でも全然世話をしていないみたい。
 仕方がないから棘の処理をしてあげた。

 掃除も全然していないみたいだからしたの。
 食堂があるなら使うしかないじゃない?
 村には立ち寄れないけど
 お腹が空いた旨を伝えたらお小遣いをくれたの。

 足がないって伝えたら狼を紹介してくれた。
 彼の背に跨って街まで辿り着いて沢山お買い物して、
 荷物沢山に帰ってきた私をみてニクスは目を丸くしたの。

 帰ってくると思わなかったんですって ]


[ 私の家だから当然じゃない。
 言い切ってみたら困ったように眉を下げられたわ。
 本当にここで暮らすつもりか尋ねられたし
 そのつもりよって伝えたの。

 彼は少し悩んでるそぶりを見せたけど
 結局最後には諦めたように頷いたわ。

 だから私も覚悟を決めたの。
 ほんのり漂う血の匂いも仕方ないことだって。

 夕食は二人でとったけれど
 人の食事は彼には必要ないみたい。
 ただこれから生活するのは困りそうだから
 私が色々教えてあげないと ]*

  ―日記 5頁目―

[ 今日は村のみんなに手紙を書いたの。
 私は元気にしているって。
 
 元から飽き性の私でもよく日記が続いたものだと思う。
 でも最近サボっちゃったから、昨日の事でも残すわ。

 ここの生活にも慣れてきて、
 もう一月くらいは経っていると思う。

 あの日から私達はいつも通り変わる事なく生活しているわ。
 ニクスも流石に人は薔薇の花を食べて
 空腹を満たすなんて考えなくなったもの。

 一つ驚くことがあったのなら
 彼、ピアノが弾けたみたい。

 彼の部屋の中にある右隣の部屋を私が覗いた時、
 埃だらけのピアノを見つけたの。
 私が引きたがったから二人して掃除して
 それから私の部屋に運んでもらったのだけど
 調律なんて出来るものだから驚いた ]

[ 昔、少し弾いていた。

 そんな彼に誰かから教わったの?って聞いたの。
 彼は曖昧に笑ってばかりだったわ。

 この人の悪い癖。
 触れられたくないことは誤魔化す人。
 ただ今日は悲しそうだから黙っておいたの。
 二人してピアノを弾けば気分も少し和らぐかしら。
 隣で腰掛けて白鍵を鳴らしたら、
 少し驚いた顔をしたけれど拒まれなかった。

 そのまま二人で一緒に弾いたわ。
 困ったことに楽しかったの。
 化物だなんて村のみんなからは恐れられてる人は、
 私が思うより普通で、同じ人で、だから ]


[ ひとりぼっちだって、自分が思わず済んだ 
]*

  ―日記 36頁目―

[ このまま続けばいいのに。

 そう思うくらいにこの日々は楽しい。
 彼は相変わらず朝は眠り続けて
 昼も静かに息だけを繰り返して
 夜になるといつのまにか傍らにいたわ。

 曖昧に笑ってばかりの彼も少しずつ、
 いろんな表情を見せてくれるようになった。
 彼の知らないことを私は教えて
 私の知らないことを彼は教えてくれる。

 人と吸血鬼。
 そんな垣根を超えても私達は変わらない。
 そう思ったから伝えたら彼は悲しい顔をした。

 化物は世界から嫌われているから、
 神様に祝福されている私達とは違うって ]

[ 堪らなくなったから抱きしめた。
 死んだ人みたいに冷たい躰。

 息を吸うより簡単に溢れたわ。
 私はあなたが大好きだって。
 だからそんなあなたが傷つく世界なんて、
 私が壊してあげるって。

 本当に真剣に思ったから伝えたら
 彼は本当に困った顔をしたの。
 それでも抱き返してくれた。

 ありがとう、って ]

 
   んー…
   ぼくにも夢が見れたくらいには。


[ あてがわれた寝台は身に余る柔らかさで、
  記憶の上では初めて怯えずに眠れる夜だった。
   
  枕も毛布も揃う寝床がなんて幸いだなんて、
  この夜の怪物には想像が及ばないことだろうか。
  ごく短い時間を繋ぐように眠るのに慣れる程、
  他人の気配に怯えながらこれまで生きていたことも。

  夢を繋ぐなど、二重の意味で許されなかった。

  故に、問いかけには微かに柳眉を寄せて、
  謎かけのように、けれど実際には素直にそのまま答えて ]
 


[ その日から彼に血の気配が消えた ]

 
   そう……?

   でも、これは誰かに想われた子供の証だから、
   ぼくが持っていていいものでは、ないかな。


[ 掌の上の金貨は受け取られずに、
  落ちた言葉に白金の髪を不思議そうに揺らす。

  美麗な顔立ちを顰める様子に、
  思い出に浸ることすら苦痛なのだろうと察しはした。
  けれど日誌に綴られた金貨の正体は己から最も遠い物で、
  己の元では思い出を穢してしまうとでも言いたげに。

  冷たい指を動かすのを視界の端で捉えながら、
  とりあえずは金貨を楽譜台の上へと置き去りにして、
  彼を未だ知らないからこそ深い溝を自覚し、苦笑する ]
 

 
   あの子は太陽のようで眩しいひとだった。
   あんまりはっきり思い出せないけれど、
   ぼくと似てる場所なんてどこにも……


[ 男にしては細くて高い声音は少し似ているか。

  自声に関しては認識が歪んでいそうで、
  その想像すらも烏滸がましいと思える眩い陽の少女。

  シスターに心配されてお守りを貰うだなんて、
  双眸の物珍しさと年齢の都合だけで捧げられた己には、
  知りたくもない現実を突きつけられたかのよう。

  生贄としての立場は“おなじ”でも、
  そこにすら居場所はなかったのだという現実を ]
 


   ううん、ごめんね。
   貴方を殺す勇気はまだ出ない。

   貴方を殺してもいいなって思えるくらいに、
   早くなれたら……楽にしてあげられるのにね。


[ 故に問い掛けには、
  失望を伴うだろうとしても素直に答えた。

  拒絶され続けた世界で最後と信じた場所を失い、
  そのまま繋げられると思えるほどには、
  未だ彼を思いやろうとする感情には足りない。

  最初に触れられてなければ、
  この手を穢す躊躇いはなかっただろうか。
  誰もが疎んだ異色を躊躇いなく覗かれて、
  何かから一瞬でも逃れられたのだと安堵しなければ。


  考えても結論などは出る筈もなく、
  きっと、大人をひと匙混ぜた曖昧な笑いを浮かべて ]

 
   ううん大丈夫、でもありがとう。
   林檎は好きだし、これひとつで足りるよ。


[ 空腹に慣れているからこそ、林檎ひとつで十分。
  そう伝えて足は自然とピアノの椅子の傍らへ。

  彼の視線から逃れるようで距離を縮めたのは、
  もう一つ言葉を足す反応を間近で見たいから ]
 

 
   ……あなたの、食事は?
   

[ 人間は林檎で足りると伝えたのだから当然のように。
  血を啜ると噂に聞く夜の怪物に尋ねる言葉は、
  どうしたって残酷に響くのだろうと想像しながら。

  紅茶では到底、大人の身体は足りないだろう。
  見ていない場所で何かを食べているのならその理由を。

  陽が落ちて夜に満ちた室内では異色の双眸は真っ直ぐに、
  まるで人のような男を射抜いて、静かに問いかけた ]**
 

  ―日記 55頁目―

[ 最近のニクスは機嫌がいい。

 彼から踊りに誘ったり、ピアノを弾いたり
 夜の庭園を歩いたりしてくれる。

 でも、日に日に顔色が悪くなってる。
 風にでも吹かれたら消えてしまいそう。

 きっと食事をしていないんだと思う。

 彼に伝えたわ。
 でも、大丈夫だって笑うの。
 随分と綺麗に丁寧な笑顔を見せるの。
 薔薇の精気を吸っているから平気だって。

 嘘だと思った。
 だけど否定できなかった。

 君と同じ人になりたいなんて
 そんな事を呟く彼に言えなかった ]*

  ―日記 84頁目―

[ ごめんなさい。全部、私のせい。

 シスターに手紙を書いたの。
 どうすればいいって。

 返事はまだ来ない。
 返事はまた来ない ]
  

  ―日記 101頁目―

[ 血を吸ってもらわなきゃ ]**

【人】 舞台役者 ヴィクトル

 
─ 現在・車中 ─


[ 助手席で眠る友の様子を時折眺め運転を続け、早数十分。
 車中はラジオの音声と音楽が流れ続けるのみ。
 眠ったことに気付けば音量を下げる。
 エンジン音はデフォルトで小さい。
 先程、レクチャーを受けた各機能のことを思い返す。


 
( ──普通の二十代が新車で買うには
        結構な出費になるんだろうな。 )



 己の車といえば、劇団員時代に譲り受けた中古の安物だ。
 壊れてはいないから動く、使うならやると言われ使い続け早数年。
 異音が時折発生し、助手席のリクライニングは倒れないが
 一人で使う分には特に気にならなかった。
 それに当時は街中に住んでいたので、車に乗る必要が
 あまり無かったのもある。]
 
(158) 2019/04/14(Sun) 17:30:41

【人】 舞台役者 ヴィクトル


[ リーの車を運転したのは今回が初めてだ。率直な感想となると
 正直、この車と、俺が今乗っている中古を
 同じ車扱いにして良いのか、だった。

 当時は駆け出し下っ端で給料も雀の涙。
 新車を買う余裕など当然無い。
 己の身分を弁え、移動できれば良い、物を運べれば良い、
 程度の考えだった。 
 
 だが、収入も安定してきた今ならば
 新車を購入するのも悪くない、と思えた心地良さ。 
 今回この車を運転させて貰ったことに加え
 奴曰く「ファンは常に見ている」らしいから。
 
 引越しを終え、落ち着いてから購入の相談を持ちかけてみよう。
 饒舌に語っていた様子から、色々と詳しそうだ。]
 
(160) 2019/04/14(Sun) 17:30:48

【人】 舞台役者 ヴィクトル


[ 眠り続け、更に数十分が経過した。
 起こさぬよう音には気を払っていたが、沈黙が寂しくなる頃。
 眠れる王子様の瞳は未だ開かず、耳を澄ませば寝息も聞こえる。
 
 再び、ちらりと横目で表情を覗き込めば────
 思わずはっ、と息を飲む。



 
  見慣れた顔なのに──……やはり綺麗だ。

   なかなか鮮明に見えぬ赤紫の瞳は、それ以上に美しいが
   閉じても長い睫毛に筋の通った目鼻立ち、小柄な体躯。
   まさに白皙の美青年という言葉がしっくり来る。]




[ 家族の話を振られ、そういえばリーの家族のことは
 余り知らなかったと思い出す。弟がいるとは聞いていたが。
 
 既に隠すような間柄でも無い。
 どうせ俺も、奴と似たようなものを抱えている存在だ。
 故に話が聞きたければ隠すつもりも毛頭無いのだが、
 楽しさに明け暮れていた今する話では無いな、と止めたのみ。
 
 それこそ、旅行が終わった後。
 リーの家に寄った時>>118にでも語ろうか。]
 
(161) 2019/04/14(Sun) 17:30:53

【人】 舞台役者 ヴィクトル

 
[ 更に時は経過する。
 既一時間程度経った頃、静寂を破りアラートが響き渡る>>122。]

 
 
……──っ!!??? 



[ 完全な不意打ちだ。あまりにも唐突過ぎて変な声が漏れた。
 そういえば言ってたな、と数秒後に思い出せたが>>120

 そして俺では無く、リーの方が目覚めたようだ>>123] 


  よう、おはよう。ぐっすりだったな。
  寝られたのなら良かった。


  ……はっ、懐かしい。
  俺がお前の代わりに土下座して客に謝った夢か?
  それとも、互いの腕を持っていってでもしたか?


[ 今となっては笑って話せる過去の話を思い出し、笑みが漏れる。
 実際、当時の印象は相当に悪かった。

 
「誰も手に追えないから、お前が面倒見てやってくれ……。」


 と店長に泣き付かれなければ
 必要最低限以外の会話すらせず、避け続けていただろう。]
(163) 2019/04/14(Sun) 17:31:45

【人】 舞台役者 ヴィクトル

 
[ アラートの警告もあり、既に一時間以上が経過した。
 休憩がてら、提案通りサービスエリアに立ち寄ることに。
 
 目的地まではまだまだ遠い。休憩も大事。
 そして、サービスエリア巡りは旅の醍醐味のひとつでもある。

 ご当地品を眺めながら歩いていると、
 オレンジをしたソフトクリームディスプレイに目を惹かれ
 蜜柑の味ソフトクリームを頼むことにしたが
 リーは何を選んだのだったか。]**
 
(164) 2019/04/14(Sun) 17:31:50
[婉曲であっても、愛を伝える際に緊張しすぎて
気絶したこともある私だ。
ストレートなどできるはずも、ない

君を見つめ、触れて。思いを伝えることしか
今の私にはできそうにない
一見余裕がありそうには見えるだろうが、これでも
愛しい男を抱くのは初めて故に
いっぱいいっぱい、なのだ

だが、私は女性相手ではあるが経験者
ただでさえ、初めてに惑い怯えるおぼこ相手なのだ
その様な余裕のなさなど、見せるわけにはいくまいて

それに。愛撫1つで甘い声で鳴き、翻弄されて
自身の下にて、色香匂わすように
花開く様をじっと見るというのは中々にぐっとくるものだ

それこそ。今忍耐強い自分を捨てて
貪り喰らうてしまいたいくらいに、な]

[もしその心の声が聞こえたならば
では自身でシてみた時の正確な時間を
いえるかい?などと少し面白がって揶揄するかもしれない
全力の抗議と果たして何方に軍配上がるのやら

それはもしも、のIFであり
現実は浴衣を乱し、息絶え絶えに褥に体を横たえる
君が1人、いるだけだ

目を伏せているが故に、自分が彼の出したものを
四苦八苦しながら飲んでいたこと
気づかれなかったのは僥倖だ

見られていたら羞恥でやっぱりぶっ倒れていたかもしれないから
だが、それは彼にとって幸か不幸か

見逃したことにて、夜の熱は未だ収まる気配はなく]

[ふむ、やはり狭いか
と、指の先端を襞に沿わしながら
その固く閉ざされたものをみて、思案する

確か陰間やらは、香油を垂らした梁型でなじませるのだとか
だがそのようなものは旅行鞄に持ってきてはいないので
指でほぐしていくしかなかそうである


が、それも君から滲み出る恐怖を見れば
昂ぶりも少しばかり冷静さを取り戻すものだ

泣かせたくない、傷つけたくない
ゆっくりのほうがやはり良いのかもしれない
私が性急すぎたのが、まずかったか
あまりにもかわいい反応で、歯止めが効かなかったから
などと言い訳をしてもせんなきことよ

欲を抑えて、本日はこれまででもよいよ、と
問うたところ]

 ……そうさな。その場合は
 私は自分のものは厠で処理するだけだ。

 負担をかけすぎるのも、よくない。
 快楽を享受する代わりに、
 受け手のほうが体力的に辛いともいうしな。


[だから気にするな。と言いかけて
――数舜、迷った

その言葉に甘えて進めてよいか。泣かせないか
傷つけないか、と

腕の目隠しがずらされ、たった1つの瞳が
迷う私の視線をとらえたなら、腹は括れた]

舞台役者 ヴィクトルは、メモを貼った。
(a30) 2019/04/14(Sun) 17:33:26

[君の浴衣を肌蹴させ、胸元露にしたなら
君の脚から下履き取っ払って、致しやすいようにと
そっと枕を君の腰に挟んだ

再び指に香油をまとわせ、数度指腹擦って温めて
菊花に似た襞を1つ1つ、ほぐしてゆく]
 
 違和感があるときは、息を吸って、吐いて
 それを繰り返すと、よいという。
 
 いやな時はすぐ、言うのだよ?

[念入りに、入り口を傷つけぬようにと
花弁を濡らし、柔らかくし
それが吸い付くまでに解れたならば
1本、濡れた指が彼の中へと侵入する

指先が感じる温かな内部。第一の関節まで入れたなら
中を一周、掻きまわし
くにっと指曲げ、腸壁を押して弾力を確かめた]

[違和に苦しそうにするのなれば
―――もう片方の手を伸ばすのは、
再び、君の達したばかりの雄になろう

前の刺激でまぎれぬか、とばかりに
陰嚢を柔く揉んで 君の様子を確かめようか*]

[ 己があらゆることに未熟だからこそ、彼は自分を抑えてまで
 己と向き合ってくれるのだろう。

 それでも、現状はといえば
 ひたすら快楽に翻弄される初心が一人。
 できれば彼にだって慾に身を流してほしいと思うのが
 男として、恋人として当然の欲求だ。

 ――だからこそ、何もできないことを歯痒く思う

 確か男にとって不本意な女の状況を
 魚に例えたような言葉があった気がする。
 このまま何もできないまま終わりを迎えたら、彼に迷惑を
 かけないだろうか。 ]


  ( もっと勉強しないと…… )


[ 何を勉強するんだという感じではあるが、
 少なくとも、次の機会があれば己も役に立てるくらいには
 なりたいと思う、生真面目な一幕があったとか ]

[
え、いや、そう言われても……
 少なくとも今のよりは早くなかったような…?


 などとそんなイフがあれば
 真面目に回想し指折り数えてただろう。


 かつての日本には"陰間"なる場所があり
 そこは少年の風俗であったと己は知らない。

 ――ただ、その存在を知れば
 「……もしかして小さい方が色々良いのか?」
 などと某別人格の霊基を思い浮かべる一幕もあったかもしれないが。
 ]

[ 一口に"恐怖"と言っても
 尻に突っ込まれる未知以上に、貴方を落胆させてしまう恐怖の方が
 ずっと怖いと思う。

 ――だから、こういう時でも
 独りで何とかしてしまおうとする彼に
 一抹の寂しさを覚えたのも無理はない ]


  ……それはやだ。絶対にやだかんな
  オレばっかり気持ちよくなって不公平だ


[ 己だって知識と経験があれば
 シロさんがやってくれたみたいにできるのに。

 ――ただ、何も知らなかった初心の手淫など
 とてもじゃないが気持ちよくはないだろうから。


 ……秘めたる奥を暴かれる覚悟を決めた
 ]

[ 腰を枕によってあげられると
 その後ろまで彼によく見えてしまうのではと
 羞恥に顔がまたじわりと赤くなる。 ]


  うっ、違和感すげェ……


[ そこに入れられるものなんて普通なら
 座薬くらいだろう。
 ましてや指一本がすべて入るくらいともなれば
 やはり、最初は難しい。

 違和感と痛みに眉をしかめつつ、
 それでも恋人として弱音を吐くことはせず。
 アドバイス通りにひたすら息を吸って吐くことに集中した ]



  っあ、いきなりは…っ


[ 後ろにどうしても意識を向けてしまうものの
 萎えていた雄を再び握られれば
 苦しそうな吐息に僅かに色が戻ってくる

 目反らし瞑ってはいるものの
 手淫によって苦しさは先度より紛れたようだ。

 それでも早く準備が整ってくれと
 自分の身体の癖に願うばかり *]

[自分が自分を抑えるのは、もはや性分といっていい
君を優先してしまうことは
もはや当たり前になってしまったのだから
だから、彼の心情を知ればその様に、
歯がゆくなど思わなくてもよい、と言えるのだが

残念ながら私には読心のスキルは、ない

別に鮪であっても君ならよい、が
寧ろ今のように、性に対し無知な体を持つ君が
初心な反応をする様子にこそそそられる、ということを
きっと君は理解していないだろう

いうつもりも、ないけれど

ところで、私もある意味では男同士の交わりは
不勉強なのだから、君に勉強されてしまったら
私は大慌てになることであろうさ

そこで生真面目を発揮せずとも!と
絶叫することがあるかどうかは―――今後の2人しか知らぬこと]

[多少、くらいなれば矢張り早漏なのではないか。と
言い訳を聞くifあればきっと思うことだろう
疑惑は多分、晴れない

自分としては、小さすぎれば
抱き潰してしまいそうで怖いので
君くらいの体格が、ベストだと思う
その逞しい胸板も、対照的な淡い色の2つの胸の先端も
大きな体躯で恥じらうギャップもすべて
どすとらいく、というやつなのだ
つまり君の心配は全くの杞憂である


残念ながら私は別人格の霊基を知らないので
少年の君を想像することは難しいのだが
多分、少年の状態の君には突っ込めないと思う
こんないたいけな子を犯すとか無理!尻の穴切れてしまうではないか!
私が代わりに受け入れるから!とか
間違った保護者精神発揮して
斜め上の大惨事になっていた気しかしないので
やっぱりこの体格の君がいいと思うんだ。うん

……それにほら、大人の男のわしが喘いでも君が萎えるだけだしさ
やっぱかわいい君が鳴くのがいいと思うよ!
少なくともわしは興奮する
]

[私にとっては君が絶望するのが一番嫌で
君が悲しむのも、痛がるのも嫌で
だからこそ、自分のことは二の次にしてしまうが

そのこと自体を、寂しがるということに
心通じた今も、私は理解してないのだ]


 なぜそう、頑なであるのか……
 私は君の痴態を、見るのが楽しいから
  
 気にせず、とも。

[むしろ初心が一生懸命何かをするのが
最高にツボだということを君は理解していないし
私も言うつもりはない。それで負担を強いてしまうのは
元も子も、ないからであって

そのことが君に覚悟を決めさせたとは知る由もないのだが]

[本来排出する箇所に、ものを挿入されるのだ
指1本でも違和感は凄かろう
眉をしかめる様子を見れば、君の我慢は通じてしまうわけだ

だからこそ、躊躇わず君の雄を握る]


 よいでは、ないか。
 これに意識を集中、していれば
 気持ち良いらしい、ぞ。


[実際、されたこともしたこともなかったので
わからないのだが、そこは君がきっと
教えてくれるだろう。私の体の、下で

君から溢れる先走りと共に陰嚢を揉み、肉棒をしごきつつ
男が後ろでもよいと思う部分を探して、
君の中に入れた指は、蠢く

二度としたくない、と言われぬように
ぐにぐにと内部を拡張するようにほぐしていたところ

ふと、指先が固いシコリを捉えた

それをぐっと指先で押せば
今までとは違った反応が返ってきたやも、しれぬ
所謂前立腺であるそれを、加減を見ながら弄ぶ]

[ほのかに色づいた肌、浮かぶ汗
褥で耐える君の、姿よ

         
ああ、堪らない
*]




 
  浮かんだものは、また深くに仕舞い込んだ。

[初主演決定の報が届いたのはほんの数ヶ月前だった。
入団から僅か1年というのがどれくらい凄いことなのか、己にはよくわからなかった。

地道な努力が大輪の花を咲かせたに他ならない。
得るべくして得た、むしろ遅すぎるくらいの抜擢だと思った。

悲願の夢を実現しようとしていた彼は眩しかった。
友人としても誇らしかった。
彼ならばきっと、舞台を立派に成功へと導くだろう。

周囲の反発や風当たりの強ささえも、天真爛漫かつ穏便に乗り越えられるだろう。
足を引っ張りたがる輩など放っておけばいい。
くだらない嫉妬に費やす時間を自身の成長の為に使えない時点で、彼等は所詮そこまでなのだから。]


 『へぇ……! 凄いじゃないですか。
  是非観に……

  ……あ…………、

  …………すみません。
  その日は、どうしても抜けられない
  仕事があって……』


[電話越しにも、弾けんばかりの笑顔が見えるようだった。
断るのは心苦しかった。]

[それまで、彼の出演した作品は全て観に行かせてもらっていた。
どんなに端役であろうとも、都合を付けていた。
それなのに丁度その日に限って、どうしても予定を空けることが出来なかったのだ。

慢性的な人手不足を補う為の長期出張。
判事補である己まで駆り出されるほど、引く手数多な時期だった。]


  本当に申し訳ないです。

  ええ。
  次は――是非。


[ 無知が抗えぬ快楽に流され落ちてゆく様などは
 きっと、男にとっては望む光景の一つなのだろう

 問題はそれを受けてるのが大男な訳だけども
 オレに勉強されるのが嫌なら、シロさんは先手を打って
 勉強する必要もあるのではなかろうか

 少なくともこの瞬間、貴方の手淫やら口淫が
 強く記憶に残ってる以上は――これも一種の勉強だ ]


[ なお、シロさんがオレの身体をどう思っているか
 聞いた日には「ぐおお…」と盛大に身悶えたかもしれない。
 ある意味普段とは逆の立場だ。(貴方はほぼ鉄仮面だけども)]

[ ――いやでもさ、身体が大きいと色々不便じゃん
 これは後で知ったことだけど、そういう行為には
 それはもう沢山のたいい?があるらしい。
 中には受け手が小柄じゃないと成立しなさそうもあるし

 ……それに、恥を晒すにしても
 大男よりチビめな方がまだプライド的に救われる。

 シロさんを抱くのは……どうだろう
 シロさんは格好良いからなァ…でも、ちょっと見てみたいかも?とは

 少年がシロさんの精神と倫理に大ダメージなら
 せめて背を縮めたいなと、ある意味背の小さい人に
 喧嘩を売るオレであった。]



[ なお、大男なオレが喘いでる姿を「かわいい」と称された日には
 オレの全力宇宙猫顔を拝めるだろうよ ]

[ 今この瞬間、貴方の為すことを見て、聞いて
 染め上げられているのだ。
 そういう意味では、ある意味貴方のツボ通りに
 オレはなっていると言えるのではなかろうか ]


  う、あっ……


[ 自分でも笑えるくらい単純な体は
 あっという間に痛みから快楽へ
 享受する対象を変えてしまう。

 そのまま微かな嬌声を上げて
 意識が前へと徐々に逸らされていく。――筈だった


 深く探られるナカで
 一際目立つ塊に触れられる、その時までは
]


[ 『次』があると信じて疑わなかった。

 そんなもの、
  何の保証もないというのに。

    どんなに大金を積んだって、
     過去には戻れないというのに。 ]





  ひあっ!?



[ ごり、という感覚と共に
 ずぐんと重い衝撃が腰に走る。

 ――それ以上に、まるで電撃に打たれたかのような
 眩い衝撃がこの身走れば、
 普段よりも甲高い声が飛び出てしまう ]

[もっと連絡が取れていたなら。
顔色の悪いのに気付けたかもしれない。

過剰な稽古を止めることは出来ずとも、睡眠を促すことくらいは出来たのかもしれない。

舞台の開演予定時刻。
晴れ舞台の成功を祈りながら開廷して、

閉廷したのは終演予定時刻。
きっと拍手喝采を浴びている頃だろうと思っていた。]


 『初主演、お疲れさまでした。
  念願の花形、存分に楽しめましたか?

  落ち着いたらお祝いに、
  ステーキでも食いに行きましょう。』


[会話アプリでメッセージを送信した。
返事がなくても、返信する暇さえなくなるくらいに評判が良かったのだろうと決めつけていた。

……というより、
返信が無いのに数日間気付かないほど、此方にも余裕がなかった。

連絡先を交換させられていた劇団員からのしつこいメッセージを『またか』と開いて、初めて君が本番中に倒れたことを知った。]



  や、あっ!?
  やだ、そこやめっ、ひっ、なんで…!?んあっ


[ 雄を握られた時とは比べものにならないその快楽に
 声すら抑えられず、脳は混乱に揺さぶられるばかり。

 ――初めてで感じるには相応の"才"がいる。
 元より敏感さを見せていたこの身であるが、
 愛しき人に暴かれてるにしても、その反応は
 明らかに才あるそれであった、か。


 ……己の出自のあやふやさも
 もしかしたら影響はあるかもしれない。
 いずれにせよ、不本意ではあるが"痛みなく"
 何とかなりそうなのは、確かだ ]

[ 混乱によって生み出される涙が林檎のような頬を撫で落ちる。
 髪を掻きむしるように身悶え、その快楽から
 逃れるよう身体を動かすが――

 その一方、じんわりと心犯す快楽が
 その逃げを消極的にも、していて
 *]

[ヴィクと同じ劇団に所属する彼女からのメッセージは、大体が茶や食事の熱心な誘いだった。
ろくに会話もしていないのに、一体何がお気に召したのか。

ヴィクに近付くための足掛かりとしたいならばお門違いだし、仮に己に気があるとしても相手をしている暇はない。
かと言って、彼の同僚であるから無下にも出来ない。
誘われる度仕事を理由に断っていた。

画面に記された文面はこうだ。]


 『貴方のお友達は気の毒だったわ。
  相当疲れを溜め込んでいたのね……、

  ダブル主演だったとはいえ、
  やっぱり新人にはまだ少し
  荷が重かったんじゃないかしら。

  あたしが主役の公演は、観に来てくれるわね?
  完璧な舞台をお届けしてみせるわ。』



[あの自信は一体どこから来ていたんだろう。
今までは適当にスタンプを投げていたが、その時ばかりは携帯電話ごとソファに投げ付けてしまったのをよく覚えている。

その日も仕事がありますのでと断りかけて、舞台を観るかわり、情報の提供を求めた。

ヴィク本人と連絡が取れなかったからやむを得まい。
何と声を掛け直せば良いか悩むうち、君は音信不通の行方知れずとなっていた。]

[どんなに取り繕っていても、
演者本人の性格や癖はどうしたって仮面の端から滲み出る。

彼女の芝居は成程完璧で、確かに巧かった。

でも、それだけ。
心動かされることは無かった。


彼の芝居で、この作品を観たかったと思った。


もう少し早く彼女からの連絡を確認していれば、もっと気の利いた言葉が掛けられていただろうか。

団長さんはいい人だった。
僕の姿を見つけるなり、ヴィクと連絡が取れているか、可能なら様子を見に行ってやって欲しいと声を掛けてきた。
新居を教えてくれたのも、団長さんだった。]*

[私は何度、君の可愛い痴態に内心で身悶えたら良いのだろう
―――表情には、出ないけれど
抗えぬ快楽に堕ちる様子も、声を我慢しなくなってゆく様子も
どれもが私の目を、楽しませているのだから

寧ろ逞しい肉体の君であるからこそ、
自分の手により乱れていく姿が美しく扇情的なのだ

……そうか、私が先に勉強する。その手があったか
だが、正直まんが?とやらだと刺激的過ぎて気絶しそうなので
矢張り君より勉学の吸収率は遅くなるかもしれない

実地での、勉強までしている君の方が
婀娜めきながら私を掌の上で
転がせるようになる方が先かも、しれない]

[普段と逆の姿を見られるのはきっと役得であろうが
流石にすとれぇとに君の肉体美を称賛するのは
日本人だから、恥ずかしい
こんな時自分が鉄面皮でよかったと常々、思う]

[私は四十八手をして君に負担をかけるつもりはないので
床を共にするときの体系はあまり関係がないので、あるが
君がしたいというのなら、腰に負担をかけても
駅弁とやらを頑張ってもよいのだぞ?だから
遠慮なく言うが良い。これでも鍛えておるのでな
などと現在進行形でがっつくのを我慢する獣は供述している

体躯の大きな男が初心な乙女の如く
恥じらうのがいいのだが、いいのだが
――そのあたりの男心は、君のプライドと反比例なのだろう

ちょっと見てみたいだ、と……?君は勇者か。
面白くはないと思うが、
まぁ、君が言い出すのなら葛藤しつつも良いぞ、と
私は了承するであろうが

―――正直に言おう。その場合の乱れた私に
引かれないかがとても心配です。
別霊基のように蟹を消されて意気消沈しているような私に
某アルエゴクガネからのドン引き視線みたいなものを
送られたら、私生きていけない
失望せぬなら考えないでも、ないが。

影法師前の私はチビだったものだから(150p)
それはきっととても羨ましい願いだと思う。思うぞ?]

[尚、宇宙猫顔をするなら。その唇を甘咬みしてしまおうか
にゃぁお]

[この手の中で色づいていく愛しい人
なんて可愛く、いじらしく、美しいのだろうと思う

今だけは、君は私のものだ。
運命(Fate)にすら、渡したくない
―――なんて醜い心根を、君が知ることはないようにと
願いながらその痴態を引き起こし、
君の中を暴いてゆく手は。囀るその声に
より熱心に君を嬲っていたのだ

―――それが聞こえた時の私の歓喜よ
君が啼く姿は、何よりも可愛い]

 —― 好い声、ではないか。
 やだ、っていうのは、善い、の間違いだろう?

 ほら、この兆しもより固く、なって、おる。

[先走りの蜜がより溢れるのがその証拠、
とばかりに、君の陰茎を弄んでいた、濡れる手を
ちら、と見せようとするが
今もまだ、目隠し鬼であろうか


逃げようと見悶える、君を追いかけて。
君の股の間に正座し、座り込んだ太腿の上に彼の震える両脚を
開脚させて膝上に乗せながら
執拗に後孔への愛撫を続けよう。君が今

――反応した、部分を執拗に押し潰して、引っ掻いて
責め立てて]

[君の内壁は熱く、吸いつくようで
指に縋りまとわりつくそれは、散々良い箇所を嬲ったあと、
一度引き抜こうとすれば艶肉は惜しがるように絡みついて
なるほど、名器というやつだなと
得心したように、一度目を細めた

引き抜く際、僅かに曲がったままの指腹が縁に引っ掛かり
ほぐれてきた花弁の縁の肉を弾き、震わせ
そして先程までの行為をなぞるが如く、
次は二本の指で丹念に押し揉み、時には揺らして解す

惑う声が。真っ赤に熟れた頬が
見悶えるそのさまが。君が快楽を感じているのだと
如実に表しているのにぞくぞくとした優越感を抱く

嗚   でも。な]

 駄目だよ、クガネ。

       もう逃がして、やれぬ。


[淡々と紡ぐ声。されどそれは普段よりも甘く
確かに慾を抱いて君の鼓膜に届いたか

一度出したというのに、回復の兆しを見せる
君の雄を掌で包み、竿を緩く擦り
丹念に、君が快楽しか感じなくなるまで
或いは。執拗に君に断続的に快感を与えて
一種の責め苦にもにた途切れない愛撫を君に施そう

君の入口も中も蕩け。
君が受け入れる準備が整うまで

       ――あとは、一押し

蕾が綻び、己を誘うかのように 指に絡むのを感じれば]

 ……どうしてほしい?これから。

[もっと気持ちよく、君の中を満たすもの

 欲しくは、ないか?

―――私ばかり求めるのを見せるのは、流石に恥ずかしく
相手から強請らせようとする、ズルい大人がここにいる*]

[ 貴方がオレのかわいい(?)姿に心揺さぶられてるのなら、
 己は貴方の「いけめん」な様相に心かき乱されるのだろう

 例えば、どんなに心で律していても
 オレを喰らおうと虎視眈々と慾滲ませた瞳
 貴方自身に見えずとも、それを真正面から受けてるオレは
 心臓が何個あっても足りたもんじゃない!

 ――ちょっとえっちな漫画を見ただけで
 気絶してしまうシロさんと、果たして同一人物なのか
]


[ でも、オレが勉強したとして上手い具合に誘えるようになるには、
 まだまだ時間と勇気が必要だ。

 一つ、酒みたいなので理性を飛ばせれば早いんだろうけどね。
 "キュクロプス"は酒には滅法弱いんだ
 シロさんは…どうなのだろう。
 ]

[ 一体どこのモノ好きが48もの手段を考えたのか……
 興味惹かれるのは事実である。ある、が
 「シロさん、死にたいのか…?」
と某駅弁に関しては
 全力で遠慮したかもしれない。

 誰だって、プライド持つ男なら「かわいい」に
 少しの抵抗あるのはおかしくない。
 ……でも、表面では混乱して否定しても
 心の奥底は、最愛の人に褒めてもらえたと歓喜で揺れる。
 意外とチョロいのは否定しないよ。

 ……そして加えるなら、オレはどんなシロさんも好きだ。
 だからこそ、逆転した立場に立った日には
 シロさんがオレを「かわいい」と評する謎も解けるかもしれぬ、とは。]

[
「そういうとこだぞシロさん!!!」



 そんな素のイケメンムーブをされた日には
 キスのち心からそう叫ぶだろう。何回惚れさせたら気が済むんだ! ]

[ 止められない嬌声を恥に思えど、
 今、魂分かつ最愛の人に暴かれてるのだと思うと
 ぶわりと心を興奮が支配して、おかしくなってしまう。

 前も、後ろも、同時に責められて
 頭がどうにかなりそうだ。
 ぽろりぽろりと多く水を零しながら
 それでもオレは――逃げられない ]


  やっ、みせんなっ!


[ 呼びかけに応じ、つい緩めた手の先に
 暗闇でもてかりと光るそれを見てしまえば
 ぶわわと顔を赤に染め上げ、再び視界を閉ざすだろう

 シロさんのいじわる!と威力無しの罵倒を心の中でしながら ]



  あ、ああぁっ……


[ 一度引き抜かれかけた時、反射的にその喪失を恐れた。
 追いすがるような吸い付きは、例え当人が無意識でも
 貴方には悟られてしまうだろう。

 数を増やされ、器用に掴まれてしまえば
 ますます乱れ――自分という枷が崩壊していく。

 最早理性の壁など意味すら為さず
 それでも最後の抵抗をしたのだ。 ]



  ―――っ


[ ――けど、それすらも
 貴方の"欲"に縫い留められるなら

 頭が溶ける。意識がどろどろと
 雄も、秘奥も、どちらも甘い飴しか与えてくれない。
 徐々に思考も落ち、飴(快楽)のことしか考えられなくなる。


 口だけは嬌声を続けながら
 片目はぼんやりと宙を見つめている。 ]



  ( あつい、ほしい…… )


[ 何を?  
――この上ない、最上の蜜を 
]



[ 熱浮かされた頭に、彼の問いが投げられる
 散々導き、溺れさせ、最後の最後に鞭を打つ

 嗚呼、ひどいひとだ
 ひどくて、つらくて、はずかしくて

 ―――それでも、口を閉ざせる訳がない 
]


  しろさんが、ほしい

  もう、何も考えられないくらいに、溺れたいんだ


[
だから、シロさんをくれよ


 とろけた瞳で、乞うような甘い響きで
 餌待つ鳥のように、慾は大きく口開く *]

[勇敢で、心優しい君の心をかき乱せていると知れたなら
それはどんな甘味よりも私の心を満たすであろうさ
仲間想いで、皆に愛される君が
ただ、私のことを考えて頬を染め上げ
体を火照らせ可愛い反応するのを見れば

自然、口角も上がるというもの

 —―勿論その表情は浮かべる私自身には見えない
 だからこそ、その表情が、君を射る眼差しが
 君の心を乱しているなどとは知らないのだ、けれど


 
ふぃくしょんだと客観的にみるから恥ずかしいんだよ!
 言わせるな、クガネ
]

[時間はいくらでも、あるのだろう?
なら君が可愛く誘ってくれる日を、何時か待つことにするさ

……酒はやめよう。私はあまり顔に出ない性質だが
多少(という名の面倒臭い)絡み酒になるので、
一緒に飲むのはあまりお勧めはしないぞ?]

[松葉崩しとかは中々に絶景な体位であるが
駅弁は……耐久Dだと厳しいかもしれない
だが、護国献身使えば(※ライダーの場合は筋力が上がる)
何とか行ける気がするのだがどうだろうか?
と、期待のまなざしを向けてみるがさてはて

男に矜持(ぷらいど)あるのは十分承知
――だが、腕の中で可愛く啼く姿を見て
でぇとの時の輝く笑顔を見て
囁きに恥じらう顔を見て。可愛いと言わずして何という
特に、ほめられるとうれしそうな顔をするのだから
いやよいやよも好きの内、であろう?

 可愛いよ、愛しい人

……きっとそれを正面から伝えられた日には
私が腰砕けになってしまいそうだな

逆転した立場に立って謎が解ける日が来るのかどうかは、
君の成長と勇気次第で、あろう。な]

[多く涙がこぼれてゆくのは
瞳からも、前からも―――後ろからも]


 まるで”人魚姫”とやらのようだな
 雫を流しすぎて、泡となって消えて、しまいそうだ。

 
 逃がさぬ、がね。


[一度閉じ込めた可愛い人
逃がしたくないという獣が舌なめずり

こうして時折不意打ち気味に見せる
初心な反応が、たまらない

だからこそつい、意地の悪いことをしてしまうだが
そんな私でも、好き、なのだろう?

なら。沢山可愛い所を見せてもらおうか
と、私が思うのも道理であろうて]

 まるで、指に縋るような声よな。
 気持ちよさそうで、何より、だ。


[お前が快楽に従順な姿を見るのが
こんなにも満たされるとばかりに、
喘ぐ様子に瞳の中の慾はちろ、ちろと焔の様に
燃えて、私を昂らせてゆく

最後の抵抗すら猫の甘噛みにも似て
ますます、嗜虐の心を煽るだけだというのに

天然の、誘い上手とはこのようなものか
などと思いながら

最後の一歩、転げ落ちるなら
自ら飛び込んでこいとばかりに


促しを、1つ]

[逃げ場をふさいで、彼の口から求めさせ
”ひどい大人”は、君の無垢を奪い去ろうとするのだ

もう真っ白には戻れない、戻さない
どうか私を、より強く求めてくれとばかりに
ずるい心が、君をより強く捕えようとして


強請る言葉を聞いた時


   心に飼った
が歓喜に、震えた]

 好い子だよ、クガネ。
 ほんに、よい子だ。


[私がけしかけたことではあるが
良い子は、ほめてやらねばと
指を引き抜きがてら、くぱりと内壁見える位に
蕩けた入り口を、開き確認する

熟れて。美味しそうで。これなら切れる心配もない
そう判断すれば、触れてもいないのに
ズボンの金具を外し、緩めた下履きの中から
兆しある自身を取り出して
2、3扱いて硬くさせたあと
君の片脚を抱え、その逞しい腿を私の上体に
押し付けられるほどに上げてしまえば
露になった秘所が触れた外気に、蠢くのが見える

所謂丸見え、というやつではあるが
この体位が一番楽だろう
流石に両方抱えるには私には筋力が足りないし
君も赤子のおむつ替えのようだと抵抗してしまうやもしれないから

入口に先端、押し付け
覆いかぶさるようにして、ゆっくりと
君の中を、暴いていこうか]

 —―  っ、は。

[丁寧に、時間をかけて沈ませる先端を
菊座はしっかり花弁を開き。迎え入れて吸い付いてくる
雁首も、肉筒をも飲み込んでゆくそれの締め付けは
きつい。ほぐしたつもりであったけれど
処女故、食いつき離さぬのが心地よい
貫く際に、止めていた息を吐きだせば
感じる吐精感を押しとどめる
(挿入だけでイってしまえば、早漏と君を揶揄もできなくなる)

涙で濡れる頬に、上体屈めて口づけて
触っていた雄を互いの腹に挟んで、擦って刺激する

推し進める腰が、君の肌に触れあう程になれば
其れで漸く、君も私の肉筒が
君の中に納まったのを知るのだろう

―――深く、深くつながって
このまま1つに溶け合えてしまえればよい

君が質量になれるまでは少しばかり、このままで]

[君の息が整うのを確認すれば
より強く腰を押し付け、彼の内壁を抉る
―――そして確認、するのだ]


 そろそろ、動いてよいか?*

 

[ ――早く、どうなれたらというのか。 >>$82

  まるで人のような姿をして苦しみながら、
  人を殺す怪物の領域へ誘う彼を嫌いに?

  それとも、この手で殺してやれるほど、
  自分を殺せる程に彼を特別に思えたら……?
  
  夜の城に送られた子供たちの様々な痕跡は、
  好いたか懐いたか彼の笑顔の記憶だったり
  決意の刃であったり、流れた涙の痕だったり ]
 

 

[ それぞれは小さな断片でしかなくて、
  ひとりきりで生きた己の想像しか及ばない。
  
  まあ、明るいものでないのは確かだろう。

  断片たちはみば涙に濡れた謝罪で終わり、
  死にたがりの怪物は未だ死を願っている以上は ]
 


   悪いことを聞いちゃった……?


[ ふふ、と息を抜くように笑う。
  子供の無邪気さが罅割れた、乾いた笑い。

  潤いなど知らないからこれが本来の笑いだった。
  だからごく自然に。
  双眸は相変わらずニクスを見たままで、
  指だけが鍵盤の上へ、ぽろぽろと高い音を響かせながら ]
 

 
   あなたはぼくが幼くて、
   誰かが愛してくれるかもしれない。
   諦めは早いよ心配してくれたでしょう……?

   ……でもね。
   それを知ることがあったらきっとここに居なかった。
   陽に弱くてろくに陽射しを歩けない、
   瞳はちぐはぐで、互いの視力もよくはない。

   抜け落ちた色の髪も陽の下じゃただの白髪で、
   要らないってずうっと言われ続けてここに送られて、
   ここがなくなったらどこにも行き場はないんだ。
 

 
[ 責める口調ではなく訥々と事実だけを重ねて、
  それこそ本心から不思議そうに。
  食事をとらずに顔色を悪くしていった彼が、>>$85
  人になりたかったらしき彼が、
  もし、今も……いまも、食べていないなら?

  ただの想像でしかない。
  この問いが彼の逆鱗に触れるのかもしれない。

  けれど、自分は彼の事が知りたかった。
  知りたいからこそ惨めな過去を伝えた上で言葉にし、
  それこそ“期待”するのならと、狡く ]
 

 
   そういう子供だから気にしなくていいんだよ。
   ニクスさまも、食事をとればいいんだ。

   それとも、あくまで人でありたい……?
   ぼくに、そういう貴方を殺させたい?


[ 日誌に綴られた彼女の想いをなぞるように。
  過去にはほんのりと漂うはずの血の匂いよりも濃く匂う、
  薔薇の香気を纏う彼の食事はどうしているのか。

  答えが想像できてしまうせいで、
  響かせたピアノの音まで物悲しく感じて苦笑し、
  だからといって疑問を飲み込んだりはせずに真っ直ぐに ]
 


  ……あなたのいちばんたいせつなものって、なに?


[ 己の過去にはなにもなかったからこそ。
  その疑問を彼へ、そっと、柔らかく投げかけた ]*
 

[ ――そうだ、確かにまだまだ時間はある
 この休暇も。休暇が終わった後も。
 オレとシロさんはずっと一緒に居れるんだ。

 だから、それまでに
 臆病な己にも勇気が湧いてくれたら、良いな


 ……成程。シロさんに酒を飲ますと
 鉄の精神が崩せそう、と。
 それを知ればオレはさぞやあくどい顔をするだろう
 (尚、一緒に呑む場合はオレが先にダウンするかもしれない)
]

[ そんなことでスキルというか魔力を使うんじゃあない!
 でも松葉崩しなどされた日には正常位よりも羞恥やら何やらで
 身も心も大変なことになりそうだ。

 ――そしてまァ、己の中の"好奇心"は健在
 知ってしまった蜜に酔ってしまったのなら、
 貴方の期待の眼差しに応えてしまう日も、いつか来るのだろう
 (でも駅弁とやらをするならやっぱり小さくなりたい…)

 ぐずぐずに溶けた顔や体も恥ずかしいとは思えど、
 貴方がそう言ってくれるなら、己はたちまち羞恥忘れて
 歓喜に打ち震えるのだろう。


 好きで、大好きで、愛してる ]



  なに、いってんだよ……っあ


[ 刹那の恋に身をゆだね、泡沫へと消えていった童話の姫
 オレはそこまで儚い存在ではないけれど、
 今、この身から溢れる"涙"は悲しさからではない。

 貴方に求められ、徹底的に甘やかされている。
 その"嬉しさ"からくるものなのだから ]


  (ああ、そうさ。どんなシロさんでもオレは好きなんだ)



[ だから、どんなに意地悪をされても
 オレはそれを嫌いになれない。
 寧ろ、癖にすらなりそうで。

 ――促し一つで呆気なく
 理性の壁は粉微塵へと消えていく]

[ どんなに慾溺れても、訓練された犬のように
 彼からの褒め言葉には反応してしまう。
 頬赤らめ、汗と涙にまみれた顔で
 その時ばかりは子どものように笑みを浮かべていた。か ]


  んっ


[ 穴から引き抜かれ、心に寂しさを感じる
 されど、響く金属音に次に何が起こるか分かれば
 心はたちまち期待に揺れ動くのだ

 そうして、足を抱え上げられ
 貴方に弱点晒すような姿をさせられれば
 羞恥は、一瞬

 ――秘所に口づける"それ"に、心臓が一際大きく撥ねた

 そして ]



  っ、ああっ、ああぁ……!


[ 快楽に揺蕩っていた頭を一気に揺り戻すかの如き衝撃
 それまでぼんやりしてた意識は響く痛みに覚醒し、
 ぎゅっと目を瞑ってその衝撃に耐えようとした。


 ――それでも、裂ける程の痛みではなく
 あくまで慣れないが故の、であったのは幸いだろう]



  はぁっ、はい…った?


[ やがて、一番きつい部分を超えれば後はゆるやかに
 熱棒は収められる。
 身を屈め、互いの雄同士を擦られれば
 零れるはずだった嬌声も、口づけに呑まれゆく。


 ――奇妙な感覚だった


 本当に入っているのか、と意識を腹に向ければ
 確かに感じる彼の形に、また思考が溶けていく。

 痛みと息を今しばらく収めれば
 ようやく、準備も整っただろう。


 ……そして、はしたなくも
 彼の熱を自覚してしまえば ]



  も、うごいていい、からっ……!


[ 早く溺れたいと、期待に突き動かされ
 オレは乞うてしまうんだ *]




 ( ――――調子が狂う、 )



[そもそもとして、先に崩れたのはどちらか?…うるさいな]



 『お前さんにはさあ、
  人情っつーもんがなんか足りねーんだよなァ……
  被告の未来少しでも考えたことあるか?

  勿論、冷静さは大事だよ。
  平然としてられるからこそ仕事が早くて、
  結果出世出来てる訳だがね』



[昨年の年末、慌ただしい師走の半ばのこと。
所長から突然のお呼び出しを食らい、直々に何を言われるのかと思えば開口一番これだった。

法に照らし合わせ判例を参考にして、妥当な判決を下しているつもりだと答えた。罪人に慈悲はない。
「何か問題が?」と尋ねると、所長は何か思案するように顎に手を添えた。]


 『ん〜……いや。何も。

  そういや面白い仕事があるんだが、
  手の空いてる奴が居なくてな。

  お前さん、やってみねえか?』


 



  仕事でしたら。
  僕で宜しければ、何なりと。


[よく確認もせず常の業務と変わらないものと思い込み、受けてしまったのが全ての発端だった。

渡された資料にレインボーポップ体で踊る、
』の文字。
随所に散りばめられたもちっとした狸のイラストは、マスコットキャラクターのつもりであるらしい。

面食らって思わず糸目が点になってしまったあの日を、僕は一生忘れないだろう。]

[何せ僕は、初めて彼が渋々声を掛けてきてくれた時、]


  お役目ご苦労ですね。
  店長の忠犬君。


[最初から喧嘩腰での挨拶をした。
一発殴られても何の文句も言えまい。

今は共通の笑い話である、懐かしい昔話だ。]*


  夢、か。
  様子を見るに悪夢じゃなくてよかった。
  どうせ夢を見るなら優しい夢がいいだろう?

[ 夢を見ることすら許されない環境  
 彼女から聞いていた村と
 彼から少しずつ明らかとされる村の様子では
 大きく異なっているように見えた ]

  君がまるでそうじゃないといった具合だ。

[ 誰かに想われた子供の証
 彼は違うというのだろうか ]

  君達は知り合いだったのか?
  あの子から聞いていた話と君から知った話、
  随分と違うような気がしてしまうけど……

[ 彼の態度は謙遜ではなく本音だろうか ]


  確かに君とあの子は違う存在だと思う。
  君は正しく月のようだよ。

  どちらも優しいことには変わりない。

[ 励ますような言葉を向けたのは何故だろう。
 落ち込んでいるように感じてしまった。
 負い目を得ているようにも思えたからだ。

 中途半端な微温湯を与えてどうするのだろう。
 彼の答えを耳にして落胆の色は隠せないが ]

  待つことには慣れてるんだ。
  大丈夫だよ。
  俺にはその可能性があるだけで随分……

[ 救われているから。

 人に殺される事で贖罪となるかだなんて
 男にとっても最早分からない。
 唯の自己満足に彼を付き合わせている。
 そんな自覚だってあった ]


  ……そうかい?

  こう見えても慣れているから、
  口にしたいものがあればいつでも願って。

  それから此処にある果物も食物も、
  君の好きに持っていっても構わないよ。

[ 日常を思わせる会話は眩しい程に人らしい対話であった ]


[ そう、人に憧れた化物がかつて望み、興じたやりとりだ ]


[ だが、続く彼の言葉は、
 化物を化物として突き落とす尤も簡単な台詞だった ]

  ……そうだね。摂らなくてはならない。
  君が来る前に訪れた少女からも
  随分と得ていなかったから。

  俺は薔薇の精気だけで生きられる程
  人のように愛を知った生き物ではないから。

[ 冗談、だったのか、どうか
 砂の城のように溢れる音色に儚さを感じ
 自然に笑う少年に何とも言えない顔をする。
 泣くのを我慢する子供とよく似た表情だった ]


[ その表情は彼の境遇を知り、
 より深く眉を下げさせる一因となった。

 彼は、要らない子として訪れたのだという。
 淡々と述べられる言葉に男は唇を引き結び
 事実だとばかりに言い切れた彼の過去に憐憫を感じた。

 だからとても、気にしないなんて、
 この男には出来なかったのだ

 彼は確かに彼女と違う。
 彼女は運命に翻弄されたが神に愛されていた。
 その彼女の息の根を手折ったのは他ならぬ怪物だ。
 彼女に何の罪もなかったのだ ]


[ しかし彼にも何の罪もない。
 眸の色や髪の色が物珍しい。

 ただそれだけで過酷な日々を送ってきたのだろう。
 それこそ男が目を背けたくなる事も
 彼が息をする為には必要だったのかもしれない。

 だが、それだから良いと言い切れないのは何故か ]

  そんなもの、答えでも何でもない。
  この世に生まれて不要な命など、ない。

  ……俺、は。

[ 答えられない。
 顔を背けて目を閉じて口を噤もうとした。

 しかし、それよりも早く彼が問うた ]


  大切、大切な、もの?
  セレン。
  そんなもの、怪物には……。

[ ないんだろうか。

 今も尚たった一人の少女の死を引き摺り
 彼女と同じ名を持つ少年に運命を押し付け
 彼の境遇を知って尚、死にたい想いに囚われている。

 そんな身勝手な男にとっての大切なもの。

 男は、何故、人の真似事をしたのだろう。
 考えて、考えて、考えて、
 それから困ったように笑ってしまった。

 自身のどうしようもなさに胸が焦げ焼けてしまいそうだった。
 いいや、灼かれてしまえばよかったのだ ]


  同じに、なりたかったんだよ。

[ ぽつりと、独白めいた呟き。
 まるで懺悔室で囁くように男は指同士を絡めた ]

  君達と同じように、人のように。
  
[ 視線は落ちる。水の底に沈むように ]


  …………生きたかった、のだろうね。

  私は私の中の化物を殺して、それから
  ……きっと、同じになって死んで、
  そばに、いたかったんだ。

[ 自嘲気味に笑う男は彼にどう映るのだろう。
 どうしようもない顔をしている。
 だから男は自分の表情を隠すように
 また一つ、一つ、笑みを浮かべた ]**

 
   貴方は、悪夢でも見た?
   

[ 何気ない日常を綴るのと同じに、
  擽るような呼気の混じる声音を鈴のように響かせて。
  慰めを感じて目許を緩めて見せはしたものの、
  唇が綴る言葉が的を射抜いているなどは気付かずに。

  うん、と肯く稚い仕草。
  揺れる髪をさらさらと肩から落として、
  問いのどれに対する仕草かは言葉で静かに継いでいく ]
 

 
   そーだね、多分、違うんだと思う。

   あのこは誰かに愛される素質も、資格もあって、
   ぼくはなにも無かったんだ、そういう違い。
  
   同じ場所にいても違うなんて不思議だよね、世界って。


[ 慣れていることだ、これも。
  故に憐憫を誘おうとしているわけでも何でもなく、
  ただ事実だけを伝えているに過ぎない淡々とした口調で。

  穏やかな笑いは崩れることなく、
  子供らしからぬ諦めを宿し、笑顔は保たれたまま ]
 

 
   どれくらい待ったのかな?

   ……なんて、そんなことも知らないのに、
   貴方にもう少し待って欲しいって。

   自分勝手にも言えちゃうんだ、ぼくは。
   ニクスさまが辛そうなのが凄くわかるのにね?


[ 月のようだなんて綺麗な言葉に、
  滲んだのは自己否定の言葉の羅列ではあった。

  物心というものを知った頃から奴隷で、
  否定され続け、やがて憶えて深く沁み込んだ記憶。
  だからこそ睫を震わせただけで流して、
  双眸を細めて言葉を受け取ったことだけを知らせつつ。

  寂しそうな夜の怪物に己の醜悪さを伝えて、
  日誌に残されていた少女の優しさと重ねる違和感を誘う ]

 

 
   ぼくを飲んでいいんだよニクスさま。

   貴方がぼくに殺されることを望んでるなら、
   吸いつくして殺しちゃうなんて間違いはしないでしょう?


[ そうして、応えるように林檎をひと齧り。

  蜜の入った酸っぱい甘さに目を細め、
  子供らしく意識を散逸させた食事の仕草を模して。
 
  ほら、美味しいと、双眸を細めて訴える。

  己の感覚であっても飢えの痛みを知るからこそ、
  何より、日誌に綴られた切実を知ったからこそ。 ]
 


[ あのこの代わりには、きっとなれないけれど ]
 

   
[ 不要とされたから売られて、
  都合がいいから生贄に選ばれて。

  ここにいる子供の前で綴られる言葉は、
  どれも優しい残酷さに満ちてはいるけれど。

  彼がそれを否定するならそう受け止めるしかない。
  己も不要ではないなら何のためにあるのか、
  不器用でも導き出した答えを囁いて、誘って。

  不要ではなかった子供だというのなら。
  未だ殺せない手のかかる子供に価値があるのなら。

  ピアノの椅子に並んで座る喉は白く、無防備に ]
 

 
   怪物とか、人間とか、関係ないよ。
   

[ 彼が手を伸ばせば直ぐに届く距離のまま、
  零れた独白に共鳴させる音は、細やかな響き。

  邪魔をしてはならないと身に染みている。
  彼の心の内から滲む色合いは複雑で、
  だからこそ添えた言葉は肯定のような否定で。

  彼がなんであってもいいのに。
  ここに来た子にとってはたったそれだけの話なのに。

  そんな風に思うも彼が割り切れないことも、
  抱えた感情の重みは彼しか知らないのも理解して ]

 


 
[ 笑顔の仮面に何を隠しているのかは、未だ。>>$104
  手を伸ばせば届く距離だからこそ、
  想像でしか埋め得ない感情の行方を探るように ]


   ……ぼく、頑張るから。

 
[ 指を伸ばして撫でるように触れたのは歪に笑う頬へ。
  過去の記憶を振り返ってもたったひとつだけ、
  己が唯一知る他人からの優しい仕草を写して返す。>0:216

  彼はきっと意識していなかっただろうけれど、
  己が人に優しく触れられた経験は、これしかなくて ]
 


[ 人のようになりたい怪物を――
  人を殺していないから怪物とは違うと諭す彼を、
  殺せば己は何になるのだろうかと考えながら。

  その思考の意味のなさに、すぐに気付いて散らす。
  夜にしか生きられない月の子供は、
  夜を失えば消えるしかないのだから答えは自明だ。
 
  だからあとは死なない為に生きて来た己を殺し、
  たいせつなものに縛られた夜を、
  眩い陽へ還すための感情を産む時間を作るだけ ]

 

  
[ 解放が、赦しが、殺すことなら。
  そうしてもいいと想う感情とはなんだろう。

  何もなかった己が抱いた疑問の答えこそが、
  きっと、己のたいせつなものなのだろうと考えながら ]
 


   あなたが何であっても殺せるように……
   皆みたいに、思い止まらないよう頑張るからさ。


[ だから大丈夫と囁いて仄かに笑いながら。

  何が大丈夫かを――その解釈を夜に託して、
  大切なものを知らない子供らしく無邪気を装う。

  そうすることくらいしか己にはできないのだから ]**
 

[可愛い、いとおしい
――告げるのはなんとも気恥ずかしいが
それでも君の笑顔を見れるなら
閨の時くらいは、すとれぇとに言っても
良いのではないか、と思う

視線が交わる。潤んで蕩けた君に
私は、慾を抑えきれそうにない]

[破瓜の悲鳴に一瞬、躊躇う
その切っ先をうずめてよいか?
―――いたがりはしないか?ほぐしたのだ
大丈夫とは、思うがと

だが、目を瞑る彼の様子に惑う心を押さえつけ
中途半端よりも、全て納めた方がなじみやすかろう、と

それを止めることは、しなかった]

 入ったよ。大丈夫。
 —―ほら、わかるだろう?


[君の中を貫くものが、腹の中に確かにあるよと
身を屈めれば自然、形がダイレクトに
君にも伝わっただろうさ

なじむまでの時間、意識を飛ばすは自分を包む感覚だ

挿入した雄に絡みつく内壁は甘く吸い付くき
きつい締め付けをもたらして
初めてでこれほどまでに、己を受け入れてくれるのだから
回数を重ねればどれ程喜ばせてくれるのか

初々しい反応も、焦れるといった様子も
堪らなく可愛らしく、己には映った

新雪を踏み荒らす、或いは白のカンバスを私の色で穢す
その様な背徳感と興奮が背筋から昇るようだ

匂いたつ、君の色香に無意識、舌なめずりをして
隠していた獣が、鎌首を擡げた]

[優しく蕩けるように抱くのも、忍耐が必要だ
がっつきたい思いは、初めての彼にはこれ以上の負荷となろう
今日は、慣れてもらおうか。と
ゆっくりと律動を開始する

軋むベッドのスプリングの音
こういった交わりを行うのは畳の上の敷布団が
一般的だった影法師の前、生前の江戸末期
ぎしり、という音とともに君の体が動く
君が突かれるたびに歪むシーツが、まるで波のようで
少しばかり口元が、上がった

奥まで挿入したものを、ゆっくりと引き抜き
先ほど見つけた良い部分を雁でこすってまた、奥へと押し込み
その際に聞こえる肌が触れ合う音と、彼の嬌声
もっと聞きたくて、緩く腰を振れば
かき回される水音が、響いた


自分が快楽を与えるはずが
与えられているのは自分なのだと
自覚するのは、君の艶姿に興奮し火照る体を、自覚したから

汗で張り付くカッターシャツ
ぽたり、と顎から零れる一滴の汗
君の晒された肌は色づいて、籠った熱を想像させる

触れれば溶け合えてしまわぬだろうか、などと思いながら
痴態に煽られ、生み出される熱が、止まらない]

 ふ、ふ。なんとも、可愛いな。


[小さく、笑って
彼の腿をつかみながら、腰を打ち付けるは幾度になるか
合間に腰を引きつつ、また切っ先を押し込んで、と

その際に君の様子を確認するのは忘れない
―――何せ気持ちよくなってもらうのが、目的故に*]

[ 己を可愛いと称された当初は恥ずかしく、何でだろうと思ってすらいた。

それも重ねるように愛を囁かれ、徹底的に甘やかされもすれば、
段々と脳が馬鹿になってしまう。


……今では不思議と、その愛の囁きを照れることなく受け取れる。


全てが終わり魔法が解ければ、寧ろ前より照れてしまうかもしれない。

でも、今だけはーー愛しい貴方のくれる甘い蜜に、溺れていたい]

[痛みに極端な反応を示せば、優しい彼はまた躊躇してしまう。
それは嫌だ。ここで終わらせるなど、
自分も彼も幸せな結果にはなるまい。


だから、悲鳴を必死に押さえつけ、全てを収めた時には
言葉で言い表せぬほどの充足感を得られたほどだった。

己の中の有様が、初めてにしては少々特殊だとは知らない。
知ってしまえば恥ずかしさのあまり自分を律する方に動いてしまうだろう。

しかし、この焼け尽くすような熱き愛を覚えてしまった今ーー
その我慢とやらは果たして続くのかどうか


目の前の獣の色香漂わす男はまだ本性を表していない。
…その事実も知らぬ己は、まだまだ無垢だ]

[ そうして、柔らかな地を揺らし始まる律動は
瞬く間に思考を蜜の海へと溶かしてゆく]


あっ、ひぁっ、やっ、んんっ……


[彼が最大限配慮してくれた優しい交わりに、
初心な己はなす術なく、甘き声を上げ身を委ねるのみ。

下から聞こえる水の音が嬌声と吐息に混じってやけにはっきりと響き渡る。
腰に甘く染み渡る痺れが癖になる程心地良くて、
なるほどこれは毒でもあると、
ぼんやりした頭で一瞬思いもしたか


……何より、目の前で汗を滴らせ
その白いシャツを濡らしながら、己を喰らう彼の顔が
余りにも真摯で、それでいながら普段は見れない
獰猛さも見え隠れして


ーーその格好良さに、ますます落ちてしまいそうだ
]




んあっ、あっ、しろさっ、キスして……っ



[制御できない口は慾をボロボロ零し、そんな願いを口にする。
すっかり蕩けきった白の色は、貴方だけに彩られている
**]

[君の魅力を囁く当初の、惑う様子も
それに慣れ、受け入れる時の君の
伝える想いに慣れてくれた姿を見るのも
同じくらいに、愛しく思うのだ

西洋の御伽草子のしんでれら、は
0時の鐘が鳴った時に魔法が解けたというけれど
君に恋し、可愛いと思う魔法は永遠に解けぬものなのだろう

自らの愛を注ぐ海で溺れさせたい、私が
つかんだ君の手、離せはしないのと同じこと]

[自分が経験したことはないが
受け入れる方の負荷が高いことは知っていたから慎重に
君がなるべく痛がらぬようにとしたのと
君が耐えたことにより、男相手は初めて同士、ではあるが
1つになれたことが、堪らなく嬉しい


ところで、もっと。初めての子は痛がると小説には書いてあるが
あまり苦しむ様子はないのを確認し、少しだけ思案する

―――つまりはクガネに素質があるというやつなのだろうか

それは良いことだ、と。志士はポジティブに考える
痛がるより、気持ちよくなってもらう方がずっといい
どろどろに煮詰まった獣慾を。溢れんばかりの愛情を
君に注いで、触れた個所から想いが伝わってしまえばよい

そんな男心を隠して、気遣うように君に触れ
内壁に亀頭を擦りつけつつ、ゆるく抽挿を開始する

自分が揺さぶるたびに甘く啼く君
それがまた、己の中の慾を連れてくる呼び水となる

腰が疼く。もっと食らってしまいたい
でも、これからを考えれば
君が慣れるまでは。甘い蜜の中に浸らせてしまいたい

触れるだけで満足だったはずなのに
満たされれば次を、渇望してしまう
人とは。否己とはなんと欲深いのだ]

[声に導かれるように、交わった視線に強請られるように
君の唇に噛みつけば、僅かに
先ほど飲み込んだ精の味も移してしまったやもしれないが

その魅力的な、誘う唇が悪いということで
許しては、呉れまいか

一度、君に達してもらおうと
先端が遠慮なく前立腺を突く]


 —― クガネ。今のお前はほんに、綺麗じゃの。


[ぽつ、と零れる長州弁で
自身にもあまり余裕がないのは知られたかもしれないが

今なら素直に、想いを吐露できそうだ
愛しい君と1つになれて。いまとても、幸せなのだ、と
*]


[ 悪夢への問いに対しては
 忘れたよと嘘ばかりを重ねる。
 少年の諦観に男はいよいよ同情したが、
 それをどうしてやればいいか分からず ]

  これまでとこれからは違うだろう。

[ 彼にとって慰めとなるのかならぬのか
 分からない台詞を口にした。

 先程から彼は彼女と比較するような物言いばかり ]

  誰だって自分勝手だ。
  だから君が選んだ答えが未来を閉ざすものではない限り、
  俺に君を責める権利はないよ。

  気にかけてくれるのは嬉しいけどね。

[ 彼の言葉を知らぬふりする。
 しかし隣に腰掛ける彼の白い首筋に
 こくりと喉奥が嚥下させてしまった ]


  君の言う通りだよ。
  あの子にだって言われたんだ。
  何であっても構わないって。
 
  だからこれは俺のエゴなんだろう。

[ 人であり続けたいなんて、
 別に誰にもそうであれと願われた訳でもない。

 ただ、木漏れ日の元に生きることを許された人間に
 この男が情景を抱いてしまっていただけだ ]


  セレン。
  俺は君を生贄にしたくない。

[ 頑張ると告げた彼に対して
 この言葉はどのように響くのだろう。

 彼の胸中を知れたのなら
 何か変わったのだろうか、どうだろうか。
 献身的な少年の指に双眸を眇めた ]

  君の前でも人でありたいの望むのは、
  強欲なんだろうか、傲慢なんだろうか。
  それとも怠惰なんだろうか。

  愚かである事に変わりはないんだろう。

  今までだって、二度過ちは繰り返さないと
  食事をする事だってあったのだから
  今更なんだ。そんな事は、分かっている。
  自分が飢えてしまえばどうなるかも、痛い程。

[ 淡々と落ちる声は小さく、
 困ったように笑みは消えないまま ]


  セレン。
  どうすれば正解なのだろうね。

  ……困った事に、いつだって、渇いてる。
  喉が張り付く程に。

  それでもそれよりも心が痛いんだ。

[ 心などないはずの化物だと自負しながら囁いて。
 白い柔肌から視線を逸らすように白鍵を見つめた ]**

 
   けんり……


[ 陽は沈み夜気の冷たさが焼けた肌に触れる中、
  交わす言葉の重みに震えるように、意味を探る。
  
  彼の言葉は不思議な響きがあった。

  生贄には未来など最初からなかっただけの話で、
  その生贄に彼の永遠の幕を引けと願う傍ら、
  己が未来を諦めればそれを責める権利があると云う。

  これは優しさなのだろうかと首を傾げた。
  彼は世界からいなくなるのだから、
  残った子供の行く末など気にしても仕方がないのに ]
 

 
   難しい、な……権利……。
   ぼくは貴方に責められちゃう……?


[ けれど、だからといって。
  これまでがそうだからこれからは違う筈だと、
  夢を語る彼を否定までは出来ずに眉尻を下げる。

  その心こそが人間らしく眩く、遠くて。

  人らしく生きようとする夜の中には、
  陽のように輝く月が浮かんで彼を照らしているのだと――

  そう理解できてしまう彼から滲む寂寥もまた、
  仄かではあれど勇気の欠片として己の胸に宿るから ]
 

 
   でも、そうだね。
   だってぼくにそんなことを言う人なんて、
   初めて会ったから――もしかしたら、違うのかも。


[ だから、鎖された未来を懇々と語ることはせずに、
  この諦観が瞳に宿ることはあっても声音は努めて明るく。

  生贄にしたくないと拒む彼に、
  ただ壊れそうな笑みを浮かべる事しかできない。
 
  そんな、儚い努力ではあったけれど ]
 
 

 
   強欲でも傲慢でも怠惰でもなんでも。
   貴方があなたであることに変わりないし、
   ぼくはそんなニクスさまが嫌じゃない。
   
   今まで見てきた人間たちと同じだ。
   たいせつなものがあって添って生きてる。
   だから愚かだとは……思わないかな。

   ちょっとだけお腹が空く貴方を前にしたら、
   ぼくが……そう、
ぼくが
、悲しいだけ。


[ 生贄を生贄として扱わないのなら己の価値は。
  彼の幕を引くための従者か、或いはただの子供か。

  それを尋ねてもいいのだろうか。
  また、この手を払われたように、
  問いをはぐらかされ、流されたなら……?

  己ひとりでは怖くて出せない答えだった。
  自分が何なのかを理解できないままに育った子供は、
  曖昧な笑いを浮かべるしかできなくて俯き、
  髪でそれを隠す狡さを以て壊れそうな何かを自衛する ]
  

 
   ニクスさまは、
   正解をたぶん知ってるんじゃないかな。


[ けれど小さな響きに自然と手は伸び、
  無意識に彼の背中を撫でて柔らかく叩いて見せて。
  
  喉を震わせ紡ぐ言葉まで漣とならないよう苦心し、
  大切なものを既に抱く彼へ柔らかな囁きを返す 
 

  
   あなたなかの化け物は、ぼくが殺してあげるから。
   心配しなくてもいいよ……いいんだ。

   ニクスさまが飢えで苦しむことなんて、
   “誰も”望んでいなかった……そうでしょう?


[ 嘘は、言わない。
  裏切りもしない。

  ただ誓うようにして綴る言葉が、
  己を罅割れさせて乾いた声音に変え大人びさせて。

  彼の優しさを利用するようなものだろうか。
  飢える苦しみを知っている。
  けれど、彼の痛みだけは想像にすぎないからこそ、
  彼を良く知るだろうし彼もよく知るセレスを匂わせる。

  あの子は彼の怪物を赦していたのだろうから ]
 


  ……我慢できなくなる前に、言ってね。
  

[ 選んだ言葉はごく軽く未来の約束に繋げるもの。
  曖昧に濁されても心が痛まない自衛手段でもあるけれど、
  彼にとってもこの話題を先に延ばせるのは良いことだろう。

  急ぐ気はなかったのだから。
  だから、今は、話題を柔らかく変えて ]
 


   ぼく、ニクスさまに聞いてばっかりだね。
   貴方が知りたいことって、ある?


[ 自分のことを知りたがるものなど居なかったけれど、
  他に話題にできるようなものは彼を傷付けるだろうから。

  己には何もないと認識する痛みを無視して問いかけた ]**
 

[八つ当たりに近いものをぶつけようとして止めた
別段ここが店の中だからとかじゃあない。

でも、そろそろ外の空気が吸いたくなってきた。
……何となく店に入ってから様子がおかしい。]

[ このような甘き熱帯びた一時の中、貴方がその身全てで愛を囁き、己の全てを包み込んでくれる。

生前掴み得なかった愛する人からの"愛"は
どのような魔術や魔法にも勝るほど、オレを虜にしてしまうんだ。

愛に溺れ、馬鹿になってしまっても
貴方がこの手を絶対離さないと信じているよ]



[もう貴方無しでは、この海は泳げない]

[ 漏れ出る声はすっかり桃色に色付いてしまっている。
シロさんの紳士的な献身が功を奏したと言っても良いくらいだろう。
少なくとも、この交わりが互いの新たな心的外傷にはならなかったのは幸運だ。

……しかし、しかしだ。
素質があるというと喜ばしくはあるのだが、
己の乱れ様は誠実な日本人からしたら忌避物ではなかろうか、と。
この後理性取り戻すなら、そう諦め悪く
悩む時も来るのかもしれない。



ーー実の所、その捉え方はちょっとズレている

自分の出自由来も多少はあるかもだが、
それでもこうして初めてでも溺れられるのは]


(……他でもない、貴方が導いてくれるからだ)



[奥深くに挿れられ、その雄が敏感な場所を掠める度に、声はより蕩けてゆく。
愛する者からの愛だからこそ、より深い快楽を得られるのだと。
そう気づくのはまだ先の話だ]

[より甘い蜜を求め、乞うた唇に彼は答えてくれる。
塞がれ、交わる唾液にほんの少しの苦味を感じれば、
されどその正体には気づかぬまま。
口付けの甘さにますます溺れてゆく。

だから、その時の己は一種無防備であった]


ーーーー
っ!?



[耳元で囁かれる、何にも隠されない直球の愛の言葉
意味を理解した瞬間、目は見開かれ頬はより赤く染められて。
それだけでなく、まるで反応するかのように、
己の秘奥がきゅぅと締まった。

嗚呼、ダメだ。
もう無理だ。愛が溢れてしまう。
全てわからぬほど、馬鹿になってしまう


言葉だけでも反応してしまうのに
それを狙い澄ましたかのような一槍を打たれてしまえばーー
一気に ]




ひっあっ、あああぁぁぁーーー!!!




[ 身体仰け反らせ、絶頂を迎える。
視界が白に明滅し、何も見えない。
腹に飛び散る白濁の感覚すらやけに過敏に感じられて。


愛の言葉囁かれ、後ろだけでイッてしまうなんて
想像以上にオレはもう色々とダメらしい
*]

[虜になったのは君だけではない
私もまた、痴態見せる君の虜だ

馬鹿になるとしたなら互いにか
だがそれも、悪くはなかろう?]

 ―― 好い声だ。

[何度も、そう思う
淡く、惑うた声もいい
色に染まり、慾を孕んだ声もいい
私から与えられる快楽に、乱れる声もいい

お前のものならどれも、美しい

いいことを教えてやろう。恋人が乱れる様が嫌いな男はいない
日本に、何故妓楼があったと思う?
彼らがマグロなわけも、あるまいて
誠実で、奥ゆかしいといえど
閨の中は話は別というやつなのだ

―――悩むなら、お喋り鴉を殺して
ゆっくり朝寝の合間に話でもしようか?などと
君の考えが読めたら。もしくは零れ落ちたのを拾えば
そう提案する日も来るかもしれないが

なぁ、クガネ。私は
どうしようか。何度も君のためならと命を懸けたが
今度は置いて逝きたくなくなってしまう。
一度、君を知ってしまって。繋がって

君とともに居たくて―――――君のために死ねなくなる。

そうなりそうで 怖いよ]

(自分に自信がない私は、君が乱れる様を見て
 君はこんなにも名器だというのに
 百戦錬磨ではないのが申し訳ないとこっそり思う

 今度男色跋扈してた戦国時代出身の今川に
 色々話でも伺おう、とかこっそり決意する私は
 いまだに、君がこのように敏感な理由を知らないのだ)

[口づけとはこのように心躍るものだったか
もっと、したいと願うものであったか
白粉も、紅の香もしないのに
寧ろ私が、精を飲んだことで苦みすらあるはずなのに

今はひたすら、甘く感じるのだから

それをごまかすかのように
或いは、その甘さに背を押されるように
常は言えない。君への愛の囁きよ
本当はいつも、思っている

優しい人、強い人。愛しい君よ
誰よりも好きだよ、何よりも愛しいよ
染まる頬も、目の前で恥じらうように
或いは反応するかのように締まる正直な体も
何もかもが、私を虜にするよ

だから、最後に一挿し、してしまったのは
この犯されて尚、愛らしく無垢な君に自身を
刻み込みたいからに他ならなかったのやも、しれない]

[絶頂を迎えた時の君の高く、蕩けた声と締め付け
飛び散る白は、君の腹だけではなく私のシャツにも飛び散る


小さく、息を押し殺す
そうでなければ君の中で果ててしまう
それでは


あれだ。確か中にぶちまければ、
腹を下して、しまうというから
(このあたりは小説で読んだ。最近の小説は過激だ)

彼が絶頂を迎えた後
体が弛緩するのを確認すれば、ずるりと引き抜こうとする
その際に疑問を抱かれたらそう、説明するだろうが

私は確信する。
君には才能がある、間違いない。
……今迄悪い輩に襲われなくてよかったと、心底思うのだ*]



  やっ、ちがっ―――


[ 好い声、などと言われれば
 忘れていた羞恥を僅かに思い出し、いやいやと首を振る。
 それすら煽る燃料でしかないと主観では気づくこともできない。

 実際、何の反応もしないマグロなるものと比べれば
 己の在り方は恋人としては合格点だろう。

 好きな者の痴態を好むは万国共通
 しかして、己が所謂"びっち"なるものなのかと
 余計な知識をつけてつい零す日が来るのなら
 烏さん絶滅からの朝までお話コースかもしれない。

 ――それにしても、貴方がオレを想う余り
 命投げ捨ててしまうことを如何せんと思っていたが。
 まさか、こんな形で解決の糸口が見つかるなんて ]

[ どうか、貴方も愛に溺れてほしい
 互いに馬鹿で良いなら――別に構わないだろう? ]

[ それについては別にシロさんだったら
 練習などしなくてもオレの痴態をどんどん晒してしまうだろう。
 でも、男のプライドについては理解できるので
 それを止めることは、ない

 ――まさかオレとの性事情まで
 今川さんに言ったりしないよね?ね? ]

[ 普通の口づけすら、より己を高める興奮剤なり得るのに
 その先の、もっと深く長いものまでされた日には
 一体どうなってしまうのか。少なくとも、己はまだ知らない

 でも、今はこのくらいで良い
 この理性崩されながら壊れる一線までは行かないような
 丁度良い塩梅こそが"初夜"として良いのだろう


 だから、虜になったまま
 もっともっと、幾夜を共にさせてくれ。愛しき人

 オレがオレ自身ですら愛せるようになる、そんな日が来るように
 そして、貴方が自分の魂を愛の一つとして大切にできるように
 ]



  はぁ、あっ……


[ 大きく息整え、絶頂の余韻に酔いしれる
 これは劇毒だ。癖になってしまいそうなほど
 オレを魅了させる甘やかな海だった。

 ……と、その時だったか

 己の中からずるずると杭引き抜かれる感覚がする
 それを認めた瞬間、反射的に失いたくないと
 後ろが吸い付くように力籠った ]



  しろさん、なんで……?


[ 彼には気持ちよくなってほしい
 でも、彼が言うには中に出してしまうと
 腹をくだしてしまう?とのことで

 ――しかし、己はどうも実感が持てない

 己はサーヴァントの類だし身体も丈夫な方だ
 それなら腹を下す前に掻き出せば良いではないか。
 だから、シロさんが出したいなら出してくれても良いのに、と。]

[ ……己は知らない。
 仮に中に出して掻き出すとして、その際に頼る先は
 シロさんなんだぞと。羞恥プレイまっしぐらだぞ、と。

 本当にシロさんの配慮には頭が上がらない。
 オレは巨体だから小説によくある事後気絶した恋人を運んで…みたいなことは
 どうやってもかなり難しいから
 (しかし、そうなるとますます身長を縮ぢませたくなるあれそれ)]

[ いずれにせよ、彼が根気強く説得してくれれば
 しぶしぶといった形で緩めるかもしれぬ、が ]


  ――次は、ちゃんとシロさんも一緒にイってくれる、か?


[ 諦め悪く、そう不安げに問うたのは許してほしい *]

[無意識に、定期的に君の羞恥を煽ってしまう私は
首振る際に、シーツに広がる赤に見惚れる
戦いになれば勇猛になる姿と
今の、白の海に溺れながら恥じらう姿
どちらも君で、どちらも私の心を捉え離さない

尚、びっち―――日本語的に言えば婀娜のような
心配を抱くのであるならば
それを聞いた日には鳥さんも絶滅、
お昼過ぎまで滾々とお話しするこぉすになることは
想像だに難くないわけで

今迄何度言われても治らなかった悪癖ともいえる
自己犠牲の献身が、揺らぎそうな事態
まさかのことに実は混乱しかけているのは
君に知られることがなければよい

何時かほろりと寝物語に漏らすかもしれないが
その時の君は一体どんな顔するのだろう]

(嗚、もうとっくの昔に。君への情で
 溺れた私はすでに阿呆だよ、きっとな)

[自分が相手に与える影響というのは
実は全く分からない私だ
だからこそ命すてがまれるわけなのだが

……ん?
包み隠さずいうつもりだが

どうしたのだ、当たり前だろうクガネ(まがお)]

[初めて同士だ。幾夜もこれから重ねていく中でなら
これくらいが丁度よいのだろう、互いに

理性も何もかもはぎ取って
獣のように交わる日だって

海に抱かれるように
穏やかに互い溶け合う時だって
きっといつかやってくる

そんな予感とともに、君と褥を共にする

何時か君が、君自身を愛する時が来たのなら
その時私は、傍にいたいのだ
]

 (いわゆる絶景という、やつか)

[君が絶頂する様を、弛緩する姿を
目に収めれば多幸感に胸が満たされる

少なくとも苦しんだ様子はない
と、いうことにほっとしつつ
引き抜こうとしたとき

――事件は、発生した

油断したところに急なそれは、耐久力を大いに削るぞ
つまりとても気持ちいい。思わず暴発しそうになるほどに]

 馬鹿、クガネ、今締めては……っ

[唇をかんでなんとか耐える。
”ごむ”とやらを買ってこなかったのは失策だ。
それがあれば幾らでも君の中を満たせたのに
アンネあたりからエチケットよ先生!とか
お説教を食らいそうである

ということで、何とか彼の中から引き抜こうとするが――

何故、そのような切ない声で言うかなお前は……
後の君の、苦しさとか羞恥とか度外視で
ぶちまけたくなるではないか。雄を煽るでないよ]

 よいか、クガネ。
 君の中から。掻き出すのは、私だぞ。
 今の君はその場から、動けるのか?
 姫抱きはスキルを使っても流石に無理なので、
 風呂まで背負って、行くことになるが。
 その振動に耐えられるか?

 その後、しゃわぁの湯で、君の尻の穴の中を
 洗浄するのは、私だが
 それが難しいなら、君が自分の手で中を掻き出すことになる
 更に処理を終えた君を、褥まで私が運ぶことになるが

 耐えられるか?

[恥ずかしがり屋の君に]

 —― それでもよければ、
 私としては染め上げたいがな。

[不安げに問われるからこそ、
その悲しそうな顔を。諦め悪く告げる言葉を聞いて

本当にそれでも良いのなら。
このまま果てても良いのだがと、ゆだねる選択肢
ああ、知ってる。私はいつも君には甘い

どちらがいいかと、最終確認
――しつつ、正直かなり限界が近いので
早めに決めてほしいものである。と思う、私だった*]

[ 彼が所謂"ギャップ萌え"なるものに心乱されてるとは
 まさか夢にも思うまい。
 本当に、此処まで乱した責任を取ってほしいものだ

 ――何時か、その本心を聞けることがあるのなら
 その時こそ己は、悲願成就を一つ達成したと
 破顔し、或いは少し、嬉し泣きもするかもしれない ]



[ ……尚、機密漏洩されたと知った日には
 おうち(座)に帰らせて頂くコースもあり得るのだが、
 果たして彼は分かっているのだろうか?? ]

[ 頂き至った己は、全身を脱力し
 その顔は汗やら涙に塗れ、さぞや扇情的だったのだろう。
 客観的に見ることがあれば、それこそ生きていけない。
 だから、やっぱり貴方以外には見られたくはないな。と

 ――それはそれとして
 いきなり締めてしまったのは許してほしい
 事故だ事故。大事故にならなくて幸いではあるが


 その締めたことで感じた熱い杭の感触に
 「んっ」と感じ入ってしまったのも、ついでに事故として欲しく。]

[ 世の中では"せーふてぃせっくす"が声高に叫ばれている
 己らの身体がサーヴァントであっても、それは同じだろう。
 さりとて快楽に弱い巨人さんは、諦め悪い表情もしていた。

 ――していたが
 流石に懇切丁寧に中出しの危険性を説かれれば
 顔が赤くなったり青くなったりしながらも
 納得せざるを得ないのだ]


  ……むりです


[ シロさんの羞恥を煽る攻撃!こうかはばつぐんだ!]



  う、わかったよ。今回は、それで良い

  ……なら、せめてオレに何かできないか?


[ それでも、彼だけ自慰で果てるようなことは
 やっぱり恋人として認められない。

 中出しはシロさんに迷惑をかけるからあきらめるとして、
 ならば己が何かできることはあるだろうか。
 ――彼のお願いなら、何でも叶えたいと
 未だ起き上がれぬまま、そう健気に思うのだ *]

[君が体を乱れさせているのなら
常に私の心を乱す責任を取ってもらいたいものだ
……などと反論するかもしれないが
今は君に触れて、1つになって
それに満足している私は、小さく熱籠る吐息をこぼす

何時かの日が、きたのなら
その時は気まずげに君の頭を撫でるのだろう
それは何時か起こりえる未来の、1つかもしれない]


[大丈夫、痴態まではいわないから!いわないから!!
おうち直行コースの場合、どうしようね
私も座に還ろうかな……ってなりそうだね]

[客観的に見ても、けだるげな君は
何とも色っぽいと思う。思わず再び抱きたいと思うくらいには
だが、初夜なのだ。大事なことだから二回言う。初夜なのだ
序に、彼は今の今迄男を受け入れたことはなかったわけだ

そんな彼に第二回戦、など
いう男がいれば鬼畜以外の何物でもない
まだ足りないと思うくらいが丁度良い

―――が、事故は兎も角。
その小さく喘ぐ声は心臓と下半身に悪い
だがそれがいい、という奴だけれど。閑話休題]

[せえふてぃせっくす。大事です
英霊だから大丈夫かもしれないが
万が一で彼が腹を下せば、この残り6日間
でぇとのさ中でも君が気まずい思いをしてしまう
それは、いけないことだ。
君には思いっきり羽を伸ばしてほしいし

私と一緒にいて、つらい思いをさせたくないという
恋人としての私の、我儘だ

なので諦め悪い君に、懇切丁寧に
事後の、後処理の仕方を教えたことで
漸く、君は諦めてくれた模様

まぁ、惜しいと言えば惜しいし
無知を逆手に取り、君の中を染め上げることだってできた
――が、それは私が。大事に思う君を傷つけることになる
それだけは、決してできなかった

と、ひと段落したと思っていたら]

 なにか、とは。
 む、そ、れは……。


[では果てるのを手伝って。など
そんなことを言ったら
恥ずかしがって座に還ってしまいそうだ

というか自分が達するところを見られて
幻滅されたらそれこそ私がおうち(座)に帰る状態だ
と、ここでぴんとひらめく。やはり知識は大事だ。

自分の羞恥が煽られず
更に互いが傷つかぬ方法で
彼にとっても、願いをかなえるという達成感を
齎す、ものを]

 では、そうだな。股を貸してくれ。
 ついでに。手伝うから、
 俯せになってくれれば尚良い、のだが。


[みられるのは恥ずかしい。所謂素股である
尚、体面でもできるといえば、できる
私が羞恥で赤面するだけではあるが
何をするのか聞かれたら正直に話すだろう
体面でもできる、ということもついうっかり漏らすかもしれない
その場合は、事後の色っぽい気味が悪い
と、責任転嫁しておこう

正直、疲れているのだろうから
私としてはゆっくり休んでいて欲しいと思うのだが
……健気な彼の提案を断るすべは私には、なかった*]

[ そんなことなったら仲良く座に帰ることになるのか…?
 共に居たいと思った次の瞬間にはあわや破局の危機など
 中々に混沌としている。オレらクオリティ

 勿論、別れる気など微塵も無いが。]



[ 確かに、今宵は一度だけでいっぱいいっぱいだった
 始まりもなし崩しのような形だったので
 次はちゃんと心の準備をしてから挑みたい。
 ――その方が、貴方も心の欲を押さえつけずに済むだろうし 

 しかしまァ、初めてでこれだけ心地よかったとなると
 案外次は遠くないかも……と、だけ
 ]

[ そう、セーフティセックスを守らずに苦しむのは己だし
 せっかくの休暇を初日以外全滅させてしまうのは
 最悪手でしかない。何よりシロさんを傷つけたくない

 チョロくて無知なオレを謀れば貴方は本懐遂げれただろう。
 勿論、それを一等嫌う心もわかるから ]


  なんだよ。はっきり言えって


[ 一度達し、賢者もぉどなるものに入れば
 いつもの調子が戻ってくる。
 ここで今までの行為を思い出せば悶えるコースなのだが
 今はシロさんの怒張を鎮める手伝いをすることで
 頭が一杯故。

 そうして、彼が羞恥無きまま目的成し遂げる
 方法を悶々と考え――思いつく]



  股を?
  ――わ、わかった。うつ伏せで良いんだよ、な?


[ 己に素股の知識は当然無い
 故に、言われたことをそのまま素直に受け取って
 律儀にうつ伏せになるだろう。

 ――対面もあると言われた日には…
 やっぱり、普段の調子取戻しかけた今となっては
 顔を真っ赤にして「うつ伏せが良いです!」と
 叫んだかもしれない *]


[ 引導を渡せと強請る癖、
 彼に人並みの幸福をと願う矛盾を自覚する。
 化物ならば殺めても罪悪感など抱かないと
 男は頭の先から足の爪先まで思っていた ]

  責めたりなどしない。
  残念には、思うけれどね。

[ 彼が結果としてその首を撥ねたり
 心臓を打つ事が出来なくとも
 男はきっとこれまで通り日々を殺す ]

  君にとっての初めてか。
  セレン。
  君は君や世界が思うよりおかしくないのにね。

[ 人とは異なる感覚を持つのは化物らしさ故か。
 彼の境遇にますます不憫に思えて ]


  セレン。
  そんな時は無理に笑わなくていいんだよ。

  君にだって泣きたい夜くらいあるだろう?

[ 気休めにも似た台詞を口にした ]


  人間と同じだろうか。
  人の血を糧に生きるしかない俺なんて。
  世界に憎まれているとしか。

  だが、どうして君が悲しいんだろう。

[ 生贄としての価値
 それが男にとってどれ程のものか判らず

 また霞み行き消える問いかけに対しても
 男は疑問にすら思えなかった ]


[ 正解なんて分からなかった
 相変わらず笑ってばかりの男の背に手が伸ばされた。
 男の眸は見開かれ、彼の言葉に時が止まる。

 一瞬だけ。ほんの一瞬だけ。
 男は薔薇の棘に刺されたような痛みを得て
 血色の双眸を揺らめかせた ]

  ……ありがとう。
  それなら、安心だ。

  君なら……任せられる。

  でも、あまり優しくしないで。
  ……そんな価値なんてないんだ。

[ 男がたった一言返せた台詞だ。
 我慢出来る時など考えたくもない。
 だが、その時こそが決別の日なのだと考えた ]


[ 知りたいこと
 彼に問われて初めて男は彼について
 知らなさすぎていることに気付いた。

 初めて出会った時、彼は様々な芸当を磨いていたという。
 しかしこれまでの話から不当な扱いを
 受けていたように思えた ]

  君に尋ねたいこと、は色々ある。
  思えば俺は君がいくつかも知らないし、
  好きな食べ物や、嫌いな食べ物も耳にしていない。

  俺の事を知れと言うくせに
  君の事を知らないのは不平等だし
  俺自身も君の事を知りたいとは思う。

[ 言葉を区切ってそれから視線を戻した ]

 




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