人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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[手放すつもりなど最初からないのだから、
神様の御利益にあやかる必要なんて、本当はないのかもしれないけれど。
ひとつひとつの行動が二人だけの思い出になるから、縁結びの鐘も鳴らしておこうか。]


  ヴィク。

  ――君はずっと僕の特別で、
  一番大切なひとですよ。

  愛しています。


[観光客の足が落ち着いた、月と星々のみが見守る十字架の前で。
共に鐘を鳴らして、君の手を取って。
手の甲に口付けて、改めて誓う。

絶対に、君を手放すことはしないと。

眼下に広がる煌びやかな夜景も、君の前では霞んでしまう。
そろそろ部屋に戻りましょうかと声を掛けて、しっかりと繋ぎ直した君の手を引いた。]**



         
貴方

   ……だって、英雄がいなきゃ、
     
“私たち”

     あの世界は生きていけないんだもん。


 




( セレス達だって、滅ばないよ。
  “貴方”が信じる限り、此処にあり続けるよ。 )



 


[うまく膨らませられなかった、飛ばせなかったジェット風船を片手に]


 …もしかしてまだ酔ってます?


[そういえば球場で結構飲んでいた
勢いで、よくわからないが撫でられた気がするし、酔いは人を変えるんだなぁと冷めた目で見る
大丈夫大丈夫。未成年なのはわかってるし成人してもきっとそんなにお酒はのまない。目の前の大人を見つつこっそり心の中で決めた

This is プロ野球ってなんのことなんだろう…と少々呆れ気味に呟いて
歩いていく途中で近くの自販機を見つけ、水を買って押し付けた]
 


[野球道具は一応ホテルに取りに戻った。バットはいつもの。ボールは持ち運びできる5球セットのものだ。新しく買っても良かったが、球場で使ったお金を考えるとこれ以上の出費は惜しい

地図を確認して見つけた広めの公園
暗いこともあってかもう誰も居ない
これならボールを遠くまで飛ばしても、誰も文句を言ったりしないだろう]


 引っ張って

 引っ張って………?
 え、何を引っ張るんですか?バット?それとも腕?


[引っ張り打ち
言葉は聞いたことはあるような気はしたが、ラッセルはその詳しい意味を知らなかった
今までに話に出た時があったなら、「引っ張り?ああアレね。うどんでしょ。美味しいよね」という顔をして誤魔化していただろう]
 


[ストレッチを済ませてから始まったのは
普段の練習よりも激しい、文字通りの特訓だった
とにかくバットを振り込んだり
ボールを打つタイミング諸々について指導してもらったり
トスされたボールをひたすら打ったり
……持ってきたボールは少ないので、暗闇の中草むら掻き分けてボールを拾いに行ったり

時計を見る間もなく続き
何分何時間続けたか分からなくなってきた辺りで
これだ!…と思えるものに近い瞬間が訪れた]


 セスキャプテン
 もう一度ボール投げてもらって良いですか!


[声をかけて再チャレンジ
今度こそ、今度こそ…と思ってもまだしっくりこない]
 


[手元にある最後のボール
また拾いに行けば良い…それは確かにそうだけど
私としてはこの一球で決めたかった]


 キャプテン、いきますよー!


[近くが住宅地なら近所迷惑で訴えられるだろうぐらい
声を張り上げて気合いを込めて合図を出す

ゆっくり上げられたトスを、思いっきり叩く
大きく右方向へ飛んで行ったボールは、夜闇に吸い込まれていった

この後、このボールを2人で探しに行ったけど、どこにも見つからなかった
この辺に池があるらしいから…そこに落ちたのかもね。なんて
]*
 

[意識はとうに落ちているだろうその体。

乗っ取られた、―――というよりかは、
どちらかといえば一時的な侵食だろうか。

・・
中身が異なれば、どうやら浮かべる表情も違うらしい
…と断然いらない知識を得つつも
じりじりと焼き焦がして侵していく。
――それでも、向こうにはかなわない。


我慢大会、…といったわりには
己の分の悪さには笑えはせずとも。

無理やり口角をあげて余裕を保つことなど、朝飯前だ]


 おうおう、言ってろ神様風情が

 世界の仕組みだがなんだか知らないけどな、
 俺は一番"そういう"のがむかつくんだよ


[じりじりと侵す力は弱めずとも、
…このまま我慢比べを続けていたら
こちらが根負けすることは確実だろう。

血を吐いて倒れる―――とは言わずとも、
この身が燃えて灰になることぐらいは想像がつく]

[だからこそ、引きはがす術を探そうとして。
少女の目を閉じた、瞬間]

[突き刺された槍ごと
少女の体躯をそのまま己の方へ引き寄せる。

ずるり、―――と。
槍が身を貫通させる"痛み"よりも
存在の揺らめぎを感じてしまうが、
それは悪魔だからといっておこう。]

[そうして、引き寄せることがかなったならば。
そのまま、心の臓めがけて悪魔は"手を伸ばす"]

[伸ばした手は、少女が抵抗しない限りはそのまま心臓を突き破ることだろう。

それが幸いなのかどうなのか、まったくわかりはしないが。
問題なのはそのあとで。

―――ひとまず、そうだなあ。
突き破れたならば。手早く"契約の呪文"でもつぶやいておこうか]


[ さあ、"運試し"だ** ]

― 少し未来の、はなし ―


[嫉妬は嬉しいものだ。だが
蟹に対して嫉妬とは何故なりや?

大体別世界のランサーのせいなのだが
そのあたりに関しては記憶も何もないので
私にとってはどうして彼がそのように
ご乱心するかもわからない

動物でもなく、甲殻類に対して
寝取られるとは何ぞや。私はそこまで
特殊な性癖はしていないはずであるし
君に不安を抱かせるようにあちこちに
色目を使っているわけでも、ないのだが

それにしてもなぜ蟹。蟹にそこまで
敵愾心露にするのか。割とかわいい目をしていると思うのだが
昔海や沢で遊んだときに見かけた蟹
そういったのを思い出して、連れ帰っただけなのだが

何故それに愛を囁かねばならぬのだろう
どうしてそのような思考に至ったのか
――私の愛を伝える努力の不足か、となったわけだ
それは置いておいて]

[流石に連れ帰ったペットを雑炊にされるのは
たまらないわけである
何故、どうして。それをいったん落ち着かせて聞いた後

告げられた一言に真顔になっても仕方ないだろう]


 ……君は私を、何だとおもっているのかね。


[あたまがいたい。私は蟹に
欲情する男と思われていたのか。心外だ

でもまぁ。大体君の夢の中の私のせいなのだが
そこまで私がわかるわけでも、ないのだった

それはともかくとして
失言大魔王の君は、まさかの蟹が君の代わりになると
その様なことを私に告げる

そうかそうか
そんなに私には信用がないのか?

よろしい、ならば教えてあげよう
と、決意した私はそりゃもういい笑顔であったとか]

― 未来のやらかし ―

[ 確かにそうだよな!
 普通に考えたら
カニに寝取られる
とか
 まず考えねーわ!!

 そう、あの時とは何もかも違う
 違うのに、また彼が己の前から消えてしまうのではと
 幸せの最中にいたからこそ、焦燥感から
 あり得ない行動に出てしまったのだ


 シロさんに何の落ち度もないからこそ、
 これは全面的にオレが悪い


 ――悪いけどさ
 ]

ー やらかしの原因は未だ罪を知らず −

[しかし、どうして蟹に寝取られるという
考えに、なったのやら
ついぞわからない私は、何度も首をかしげるわけだ

でも、少しだけ不安はわかる
幸せだ。今が幸せだ
しあわせすぎて、それが現実味を帯びず
しあわせだからこそ、崩れるのが怖かった

その不安を君が感じているのだろうか
……でも浮気相手として心配する相手として
蟹はないと、思うんだ、うん]

[悪魔の見解は正しかった。


    
 
一時的な侵蝕


フリーレが弱り果てていたときを狙って現出した。
灼く尽くそうとはせぬだろうという心算で。

ただ無表情で見据えるのみ。

心理戦など意志ありながら意志もたぬ
この世界の摂理を具現化したものには無意味だろう。

”そういう”のが────と、悪態のごとき吐かれて尚

    己の優位を悟っていたがゆえに揺れず
    内から反撥する”少女”を知覚するのが遅れた。]

[貫通していた槍ごと引き寄せられる時も
未だ”フリーレ”意識は浮上していなかった。

魂の繋がりから
感じ取るゆらり、揺らめく陽炎のごとき。


引き寄せられた手は、獰猛な牙のごとく
身体を貫かんとした時に
────意識に纏わり付いていた鎖のごとき封じを弾いた。
]


       
シリウスッ!
 
《 やめろ! 》


[真名を叫んだ。
─名を掴まれれば悪魔が従属することなど知らなかったが。

多少なり威力が落ちただろう、見逃さずに軌道を反らして抉られた腕部分

痛みに顔を顰めて、間近の悪魔を睨み付ける。]


   
いっ…痛い!!

    このバカ悪魔殺す気か!?
  
 いや、殺す気だっただろうけどさ!!



   
却下!
 
前言撤回!
 
無し!!


[胸倉を掴む。
抉られた腕は痛むが素早く凍らせて失血だけは防いだ。
怪我の処置は後回しだ。


    
今、はっきりわかったことがある。
]


  
 
…………………〜〜〜〜〜〜〜〜……ッ



[自分が辛くて辛くて苦しかったことを
知らずに押し付けた。

  
クシード。

      
親代わりだったあなた。


  
どうしてあんなことを願ったのか
  今ならあなたの気持ちがわかるよ。


だけどそれ以上に、──────。
 ]


    ……ごめん。

[その場に座り込んで、ぼそっと呟く。]


  下らないことに、こだわるのはやめた。
  例え人間じゃなくなったって……

     
ぼくは
       ぼくがぼくであればいいや。


[この悪魔の──ロキの決死の想いを掬い上げて
ようやく、この暗い最中で見つけた。

  人間でなければ、見放されるんじゃないかって
  寂しがり屋の15の少女のまま

      
り固まっていただけだって気づいた。]


 
────…一緒に生きたい。


[望んでしまえば
互いのすべてが壊れてしまいそうで
怖かった。


だって互いに確かなものなんて何もない。
─魂が繋がっていようと分かち合えないものがあるように


この悪魔に対するものなんて

 共にいて誰より自分を曝け出せる
 それだけで、充分だろう? ]

― カニ事件から更に数日 ―

[ 茜色のあんちくしょうは、無事特別性の水槽で
 飼われることとなった。

 シロさんが取られることはないと理解してはいるものの
 未だちょっと苦手意識あるオレである

 ――そんなオレはというと ]



  う〜〜………


[ ぐりぐりぐり

 自室にてシロさんの背を頭でぐりぐりしていた
 どういうことかと問われれば、「…何となく」と答えるだろう


 あの日から、どうももやもやが止まらない
 シロさんに身も心も全力で示されて不安は無い筈なのに

 ――今までずっと幸せだったから
 ああして一滴でも落とされた水が、波紋のように
 心に広がっているのだろう。

 自分でもわからぬまま、ぐりぐりぐり *]

― 蟹事件から数日たって ―

 よしよし、可愛い子じゃの。


[割と世話焼き気質な面もある私は
水槽のクガニ(♀)に餌をやっていた

♀だと知ったのは、マスターを同じくする鶴姫に
雄雌の見分け方を教えてもらったからだ

……♀なのに、男の名前つけちゃった
すまない、クガニ
だがまぁ可愛いからいいか。と思う私の
ねぇみんぐせんすに突っ込んでは、いけない]

[それは兎も角]

[餌をやったあと、日課の本を読んでいたところ
背に当たる君の頭の感触

ぐりぐりする様子は何とも可愛らしく

されど、どこか子供が袖引くような
そんな危うさも感じるようで―― ]


(どうした、ときいても
 なんとなくと、返される

 正面から、ではなく
 後ろからずっと、であり
 
 まるでそこにあるかを、確かめるようであり)

[ぱたん、と本を閉じて
苦笑めいた様子で、君の方へとかんばせを向ける

少しだけ、腕を広げて]

 おいで。


[甘えるなら、こちらの方がよかろ?と
ハグの、ぽぉずである*]

[夢を みていた

     夢の中の私は
     壇ノ浦の時の私の後悔を

     文明開化を見れなんだ、無念を
     戦に狂う快楽を
    
     未来を守る、意思を

多くの私がまじりあってできた、存在であった


だからこそ、自分の感情に自信がなく
漸く、得たそれを
愛する者のためならと
躊躇なく海の底に沈めてしまう男であった


 それは、愛される自信がなかったこと
 愛するだけで、満足していたこと

伝えたい思いはあっても
それを伝えずとも君が幸せならそれでいいと
思えてしまう、潔さがあった もう1人の”私”]

[馬鹿じゃのぅ、私
悲しませることを知っていて

馬鹿じゃのぅ、私
それでも、最善を間違えた君よ]


 (でも”私”だからこそ理解はしているのだ
   ――――お前は、狡いなぁ)


 なぁ、”ランサー”

 お前、無意識であれ、こう思ったじゃろ?
 たとえ想いを伝えられずとも
 彼が生きられるならそれでいい

 ――自分の思いをためらいなく消して
 それでも、相手が少しでも自分のことを刻んでくれる

 その甘美な誘惑に、勝てなんだ
 最後の最後までともに生きることを、
 選べなかった、失望されるのが怖かったから

 お前は、彼の兄のような、先達のような
 そんな存在であって、弱さを見せられなんだ
 だからこそ、じゃろうなぁ

 最後まで、全てを頼れなんだ
 ふ、ふ。あいこじゃな。私もだ
 私も、あの時、クガネに頼ってもらえなんだ


[呟けばふつ、と夢は途切れる

  夢は、夢。端末の一部である君とは違い

私の場合はそれを記憶にとどめておけぬ

でも、夢の中の彼とは違い
私は、心通わせたその先をも、望む


     英霊は成長しないというが

     もしかしたら私とて、成長もするかもしれない
   いいのか悪いのかはわからねど

      わからねど*]

[ シロさんは読書中
 何だか邪魔するのも気が引ける

 ――けど、今はとにかく甘えたい

 大男が背をぐりぐりする図はとっても威圧感たっぷり
 でもシロさんなら大丈夫だとオレは(勝手に)信じてる故


 今のオレは、とても子どもっぽいんだろう
 胸に秘めた想いも、"夢"も、オレだけが知っている


 ――オレだけしか覚えていない


 シロさんも、アンネちゃんも、今川さんも
 きっと夢にも思ってないのだろうから ]

  ( それがどうしようもなく、寂しくて )

[ 理由なんてオレでもよくわからない
 ただただ、シロさんと一緒にいたかった

 ――応えてくれなくても、傍に居てくれれば
 それで良い


 そう勝手に満足すらしていた。
 だから ]


  ――!


[ シロさんが此方振り向き、手を広げる

 たったそれだけの動作が、何よりも嬉しくて ]



  シロさんっ!



[ がばっとその広げた手に全力で甘えさせてもらおう

 飛び込んだ勢いは危うく彼を背後に倒すもので
 一応、抑えたつもりではある。

 ――"夢"で再会した時も、全力で飛び込んだっけ
 あの時はほんの一瞬で離れてしまったけど

 ……今は、離されたりしないよな?
 ]



  う〜〜……



[ そのオレにとって大きい懐の中、
 今度はその胸でぐりぐりをする

 痛かったりくすぐったかったらごめん
 でも、とにかく甘えたい気持ちが際限なく湧いてきて
 止められぬまま、やはりぐりぐり *]

違うぞラッセル、ボールだよ、ボール。まあ多分お前の考えてる「引っ張る」とは違う意味になるが……


[急に頓珍漢なことをいいだしたラッセルに、若干呆れつつも訂正する。今年に入ってから、だいぶ雰囲気が変わったかと思えばまだまだこういった面も残っているようで、残念な反面、少し安心もした]


まあようするに、お前の場合なら右方向に強く打つ為の技術を身につけるってことだ。言葉で説明するのもあれだから、さっさと始めるぞ!


[そういいながら、ストレッチは欠かさない。そして念のため持ってきておいた自分のバットを取り出し、軽く振ってみる]

違うぞラッセル!そんな後ろでミートするな!それじゃあ逆方向に飛ぶし、力も伝わらない!せっかくのパワーが意味をなさないんだ!


[ストレッチが済んでから、セスの指導が始まる。場所柄騒音による苦情を気にしなくていいことから、セスの指導もいつも以上に熱を持ったものになる。幾度となくスイング(と球拾い)し続け、2人とも体力の限界を迎えようとした、その時]

[超満員のスタンドを、白球が越えて行く。そんな光景を見た気が、した]

[それから、どれだけ探してもラッセルが吹っ飛ばしたゴムボールは見つからず。結局二人は捜索を諦めた。最後に探した場所の付近にある池。ラッセルがスイングしていた場所から、約1(1)1d90メートルほど離れているだろうか]


……まさか、な。


[認めたらえらいことに気がつきそうなので、忘れることにした……*]


[夜の運動公園は暗い
等間隔で置かれた明かりと、月だけが頼りだ

だということを含めても
カラーボールはどうにも1つ見つからない
最後に探した場所。池の辺りを見てから
思わずセスキャプテンの方を見た

練習も相まって、土ぼこりに塗れているのに
そんなこと気にもせずに彼の元に近付いて]


 キャプテン!
 今の!今の!!…どうですかね?


[自分ではこれだ!…と思ったのだが
キャプテンの思い描くそれと同じかは分からない

お互い、走り回って疲れているはずなのに
昼の野球観戦よりも昂った心を、ぶつけていた]
 



 [ 私は知らない
  かつて彼も同じように、この技を伝えられた事を

  そして
  彼がこのアーチの中に、不思議な光景を見た事を ]




[……ちなみに
この後ホテルに戻ったラッセルは力尽きた様に爆睡

翌日、帰りの便の時間はギリギリで
街中を信じられないぐらい全力で走るピンク髪の女子の目撃情報が数件あったのだとか]**
 



 ――――ぐ、ば、ばっかおまえ!


[投げつけられた真名の縛り
それは魂に直接命令を下しているようなもの。

突然かかった負荷に、抵抗なんてできずに。
えぐろうとした手は、そのまま軌道がそれて
少女の腕へと向かっていった]

[痛い、と文句を言った相手をにらんで
― 殺す気だった?頼んだのはそっちだろ! ―
少女の言葉を隠された面の奥、胡乱な表情で聞いていた]

[つかまれた胸倉は、
―――けれども、それ以上は何もなく。

…そのまま、座り込んだ姿を見れば、
唱えようとしていた契約の言葉はそのまま口の中へ押し込んだ]



 …………、


[少女の言葉は、されど叫びに聞こえる。

呆れるぐらい、不器用で。
呆れるぐらい、変わらなくて。

――――呆れるぐらい、少女は少女のままで]

[たっぷり82秒は数えたか。
聞こえた願いに今度こそ、大きなため息をついて
呆れたような顔で少女を見る]

[結局のところ、お互いがお互い、近寄れなくて、近づけなくて、それでも"一番"近い場所にいるのだから。

――――これで、きっとちょうどいいのだろう]

 
 
─ 回想・展望台 ─


[ 展望台への道で話していたことを思い出し、ふっと笑う]

  よく言うぜ。
  お前どれだけ俺に痛い思いさせて来たと思ってんだよ。
  ……ま、俺も、リーが痛い思いをするのは嫌だがな。


[ 想像を裏切らない突っ込みが飛来し。 
 突っ込まざるを得ない言葉を発する。

 勿論、当事者達には軽く笑い飛ばす程度の日常である。]
 

 
[ 展望台に着いてベンチで休むも、
 暫くは鐘の音が休む間も無く響き続ける。
 夜のこの時間でここまで大盛況とは多少意外だったが、
 美しい景色の下、待ち時間も全然苦では無い。
 肩に柔らかな頬が寄ってこれば、頬を一撫でしてから
 守るよう肩をがしっと掴み、支えよう。]

 
  忙しいと、空をゆっくり見る時間もないからな。
  でも、リーの家の近辺の近代的な光景も好きだぜ俺は。
   
  グランピングか、良いな。
  昔劇団仲間と行ったことがあるから、
  お勧めの場所も案内できそうだ。
 

[ 数週間後、自分の家になる場所の光景を思い出し、
 思いを馳せる。
 過去、グランピングに行った時も随分と星空が美しかった
 記憶は焼きついている。
 次も星が良く見える場所にしよう、と早速次の計画を建てる程に。]
 

 
[ ほんの軽い気持ちで問い掛けた質問への返事を
 手を握り締めたまま、黙って聞き続けていた。
 その間も、鐘の音は響き続ける。


 
──優秀な記憶力も然ることながら
   リーが俺のことを良く見ているのは、当然知っていた。
   だとしても、ここまで詳しくとは想定外。
   嬉しさと同時に、気恥ずかしさも僅かに沸いてくる。



 途中、握る手に力が篭ることも幾度。
 「それ誉めてるのかけなしてるのかどっちだ」、と
 反応箇所で理解出来ただろう。
 勿論、表情は嫌な顔一つしていない。]


  ……そうか。ありがとな。
    でも、相変わらず容赦ないところは無いよな、お前。


[ 出会った頃のハリネズミ状態を思い出し、ふっと笑みが零れた。
 あの時は容赦ない物言いと態度で、
 周囲も己も随分と迷惑を被っていたものだが。]
 


  質問に質問で返すのか?

  ん、……そうだな。
  俺は、リーの全てが好きに決まってるだろ?
  

[ 同じ質問を返されるとは思っていなかった。
 普段ならばこの程度の返しは想定している筈なのだが、
 理由を語られた直後、頭が回っていなかった。

 差し障りの無い返答を置くと同時に、
 闇の中、一際煌くレッドベリルが心臓を射抜いたかの様に、
 どきりと脈打ち鼓動を速める。]
 


[ リーは、出会った頃から常に輝き続けていた。


 出会った頃は、光量の調節が分からない
スポットライト。


  ( 時に荒振り、時に皆の目を覆ってしまい
   居るだけで、否が応にも目立ってしまう。)


 素直になってからは、ふわり優しい
間接照明。


  ( 光の調節方法を覚え、自らは出しゃばらないのに
   存在感と雰囲気で、接した人を心地良くさせる。)


 沈んだ俺を救い上げてくれた頃は、影の隣で静かに佇む


  ( 深淵に現れた救世主。この時、救いの手を掴まなければ
   今の俺も、リーも無かったかもしれない。)
 

 そして今は──……全ての存在に光を与える
太陽


  ( 存在するだけで皆が奴を慕い、近寄って来る。
   時に眩しすぎるくらいの輝きを放ち、
   あまりの眩しさに、最初は目を閉じそうになったことも。

   今となっては、この輝きが存在しなければ、
   俺は先に進むことは出来ない )]

 
 ……リーには全て知られてるから。
   片意地張らなくても済むのが、気楽でな。   
  
  これでも俺は役者、演じることが仕事だ。 
  ……俺はずっと、偽りの自分を演じていた。
  皆に嫌われないよう、好かれるように。
  『明るく頼り甲斐のある、好感度の高い兄貴』を
  演じてたんだよ。
  本当の俺は、あの通りだ。

  でも、リーの前では気取らなくても良いって気付いて。 
  そう考えると、凄く楽になってな。

  そのことを教えてくれて、
  且つ、こんな俺でも好きだと言ってくれて。

  
[ 余裕があるように見せて、子どもっぽいところ。
 強がりで、見栄っ張りで、プライドが高くて。
 それでいて脆くて、弱いところ。]


[ ── 先程、言われた時、手を強く握っていた箇所だ。
    変なことだが、そう言って貰えたことが、嬉しくて。]

 

 
[ 髪を下したラフなスタイルのまま、重荷を捨て自然に語る姿は、
 何処にでもいる一人の青年に戻っていた。

 手を握ったまま、星空を眺めていると気付く。
 いつの間にか、鐘の音もほぼ聞こえなくなっていた。]


  あの時、決めたんだよ。

  『ヴィクとリー』で、勝利を掴もう。
  そして……願わくば、俺の勝利を、リーに捧げたい、と。
  
  
[
 実際、後に主演として舞台に戻り、結果は大成功。
 奇跡の復活を果たすことに成功した。
 舞台を終えた後、真っ先にリーの下へ駆け寄り、
 あの雨の夜の再現の如く、ぼろぼろに泣き崩れていた。

 ──唯一違うのは、涙が嬉し涙だったこと。]
 
 

 
[ 漸く貸切となった鐘の下へと戻って来れば
 静寂の中、月に照らされた十字架は一層神々しさを増し
 光は祝福するかの如く、鐘を鳴らす二人を照らす。]

 
  ……俺もだ、リー。
  この先何があっても、一番大切で、特別なリーの傍にいるから。


[ 例えこれが祝福で無く、試練の始まりだとしても。
 どうせ波乱万丈の人生を送って来た身だ。
 多少の荒波がある方が面白く、燃え上がるというもの。

 それに、最愛の人が傍に居てくれるのだから。
 勝利の名を冠す俺達を打ち負かすものは──無い。]


[ 手の甲に誓いを刻まれれば、しゃがみ込み目線を合わせ、
 愛する人の顎を指先でくいっと持ち上げる。

 じっと覗き込めば、レッドベリルは夜でも輝きを失うどころか
 月の加護を受け、一層妖しさを帯びた美しさを増幅させていた。]
 

 
  俺の全てを、リーに捧げよう。  
  ……どうか、生涯、俺と共に。
 
  
[ 今度は己から、誓いの口付けを手の甲に落とす。



 
──大空に、流れ星が降り注ぐと同時に
   恋人達にも、永遠の愛が降り注いだ。
]
 

 


[ これから帰るかと歩き始める直前。
 ひょい、腰と脚を掴み両腕で抱きかかえ──お姫様だっこを。]


  よっ─…と! ほら、よく見えるだろう?

  でもな……、俺の王子様の方が、月や星よりもよっぽど綺麗で
 ずっと俺を輝かせてくれているけど、な。


[ 見た目より鍛えているリーでも、特段重くは感じられない。
 一応言っておくと、俺は力はあるが瞬発力が無いだけのこと。

 帰り道歩くのはさすがに無理だ。人も居ない鐘の下、
 偶にはお姫様が王子様を抱っこしてもいいよな?

 
──……つまり、したかった気分だったんだよ。

 
 結局すぐに降ろすことになったが、唐突の悪戯に
 へらりと少年っぽく微笑みながら、部屋への帰路に着くことに。]
 

 
 
 
[  ──今宵も、月が美しい。 ]*

 
 

 
 
─ ホテル・スイート ─


[ 恋人繋ぎで手を握りながら、スイートルームへと到着。
 初めてこの部屋に足を踏み入れてから、早数時間が経過。
 太陽が灼けるような日差し、白が映えていた部屋は
 シャンデリアが青白色を灯していた。]


  ふーっ、流石に疲れたな。
  明日は寝坊しないか心配だな。


[ 珍しく真面目に、荷物の片付けと明日の準備を行っていた。
 明日は早朝から、プールから見えたラベンダー畑に向かう予定。
 万が一寝坊しても済まんな、とは申告済みだが。
 何分夜行性なので朝には弱い。陽の光にもあまり強くない。
 
 とはいえ、少しすれば片付けの手も止まり
 普段のように、キングベッドにごろりと寝転がってしまう。]


  リーは疲れてないのか? 片付けとか明日でも出来るだろ?
  早く寝ないと明日起きられないぜ?


[ 既にベッドの主と化し、嫌味無く格好良いポーズで横になり
 ──暗に「此方に来いよ」と目配せを。]
 

[君しか知らない、夢の中の私たちは
一体どんな人物だったので、あろう

今の私に似ていて、今の私と違う
(私は蟹を口説きはしない。絶対にだ)

君をそこまで不安がらせると知ったなら
よろしいならば戦争だ、と
別霊基に喧嘩売りに行くことだって
あったかもしれないけれど

――――今は、こうしてはた目からは威圧感たっぷりでも
いじらしく甘えてくれる可愛い子に
目いっぱい、甘えてもらえたらと思うのだ]

[私にとっては、こうした甘えが嬉しいと思う

応えてくれずともなんて思わず
かまって、と示してくれたら
恋人としてはとてもきゅんとするものであろう

私とて、君を甘やかしたい心があって

   夢のなかのわたしは
   抱きしめること1つ、叶わぬ臆病者で


故に、全力で飛び込んでくる君を抱き留める

少しばかり、後ろに倒れそうになったので
今度筋トレしようと決意する筋力Cであった]

[今度は背でなく、胸元で、
頭をぐりぐりする甘えん坊

ああ、可愛いなぁと腕を君の背に回し
優しく、落ち着くように。或いは安心してもらえるようにと
撫でて、なでて


  
両腕のある、うちに
]


 今日は甘えん坊、だの。
 愛いことよ。


[囁き、小さく笑みをこぼすのだ**]



[ 生まれた時からただ一つ、定められていた。
  詠まれた予言。いずれ起こると定まった未来。
  肩口の傷痕は、それほどの意味を持っていた。


  たかが一つ、されど一つ
  四年半、僕はそれきりで杖握り立っていた。

  予言が果たされ、示された指針も今はなく。
  これからは自身で指針を探さなきゃならない。
  足許が覚束なかろうが前向きゃ勝ちならば、
  失われた記憶を抱えて、歩まなきゃならない。


  ……いずれ、僕という物語が幕を下ろすまで。
  それが何時なのかすら、霧の彼方でも。
 ]

 



(  …… この僕に、出来るか、と
   持てる力の欠片を貸してくれた人もいた。

   清廉さよりは闇すら強く感じる黒炎であれ、
   あの時ばかりは、ひとりじゃなかったから。
   頼ってもいいのだと、ようやく思えたから  )


 

[ 夢の中のシロさんは…
 今のシロさんと同じくらい?拗れてたんじゃないかなァ
 それでも最後には、ちゃんと向き合ってくれた。
 だから喧嘩を売らなくても大丈夫大丈夫

 (思い切りがつくと大胆なのも、シロさんと同じだ) ]



[ 胸に飛び込み、頭を押し付けるオレは
 さながらペットか子が甘えるそれだろう。
 恋人らしい甘やかさ、はまだまだ足りないかもしれず

 頭を大きな手で撫でられ、心地良くなる
 それは恋人になる前に、自然と出来た行為の一つだった ]


  シロさんはさァ…優しいよなァ


[ 背に回る両腕の暖かさに、少し不安が和らぐ
 そうしてオレも、ちゃんと無事な両腕で
 彼の背をよりいっそう掻き抱いた ]



  ………


[ そう。シロさんは優しい

 優しいから、オレの我儘も聞いてくれるし
 欲しいものも買ってくれる。
 寧ろ先んじて、オレの世界を広げてもくれるのだ ]


  ( こんな優しいシロさんはもてもてだろうなァ… )



[ 彼の生前の女性との関係などもそうだが
 (アレは色々と事情があるのだが、オレ自身はまだ知らない)

 シロさんは容姿と相まって非常にモテる。

 この間の休暇の時もオレがちょっと離れてる間に
 女性に話しかけられてたし。

 あの後誤魔化されたけどオレ知ってるぞ
 あれ「ぎゃくなん」って言うんだ!


 シロさんがオレだけを見てくれるのは百も承知。
 だが、シロさんを狙う人が他にいるとも限らない。
 ほら、「にくしょくけい」って最近流行ってるみたいだし…… ]

[ 我ながらびっくりするほど重い心の奥底に
 思わず自嘲したくなった。

 これは果たして、子の我儘に数えられるのだろうか
 人間一年生未満の己は、感情を持て余してやまない。

 …それでも、この衝動を我慢するのも難しいから ]


  ( シロさんも同じくらい重かったら良いのに…な! )


[ そんな自棄に似た思考の元
 唐突にがばりと顔を上げれば、彼の肩へと近づき― ]



   [ がぶり ]

 
 
 

[ 最初の一口は走るような痛みを伴って

 服越しでも伝わるそれは、己が噛みついたからだ
 唾液でべしょべしょに濡れるのも構わず
 今度は甘噛みのように暫し肩を食んでいたか ]

[ マーキングか、甘えの発露か、それとも――

 わからないけど、とにかくそうしたかった。に尽きる *]

[なにを、口にしようとしたのか。
フリーレは理解出来ない。
ただ”ろくなこと”ではない、気がした。

―きっとその心奥の思惑など覗かせはしなかっただろう。


死にたくない
って。
生きたい
って。

どうしたって言えなかった。
それは”人間”であるのを捨てるのを、躊躇した。

きっと拘っていたのは、自分だけ。

自分が自分をたらしめるのは
人間という種の枠組みなんかじゃあない。きっと。

きっと。……この悪魔は気づいてた。
気づいてて
何も言わずにフリーレの望みを快諾しようと、した。
]

[悪魔となった魂は、憎悪しか持たぬと少年が言う。
それなら、それで。

の繋がり
         零れる
こころ


泣いたり
笑ったり
喜んだり


――――こちらから流してやれば
         少しぐらいは、感じ取れるだろう?
 ]

[夢の中の私は臆病者で
それは現実の私、よりも尚
自分の感情に自信が持てなかった分余計に

でも、夢の中の私は知るまい
私のほうがずっと、ずっと
恋人に執着しているのだということを、だ

頭を撫でつつ、その幸せそうな様子
或いは満ち足りたように見えるかんばせに
なごんでいれば、我が体掻き抱く君の逞しい、腕 ]

(――――ああ、そうそう
 私は自分の容姿には無頓着ではある

 そういえば東京でクガネがトイレに行っている間に
 女性に話しかけられたことがある
 どうやら道に迷ったらしく、
 私も旅行者なのでと話していたら
 何故か知り合ったきっかけにと飯に誘われた

 先程軽食を食べてきたから、と断ったが
 らいんとやらの交換を持ち掛けられたところで
 クガネ、帰宅

 道案内を頼まれただけだぞ?というたが

 何故かジト目で見られた。どうしてだろう)



[そんな一幕があったとか、なかったとか]

[今日は特に甘えたよな。と目を細め
抱き着く君を可愛いとのんびり
 腕の中に留めていたものの――


 突如、だ]




[ ―――
痛み
が、走った ]

[これでも、幕末を駆けた英霊だ
痛みはあれども、声を上げるほどではなく
それが甘噛みめいたものにかわったなら
まるで猫のまぁきんぐ、或いは
甘えたさんのようじゃなぁ、とばかりに


喉が鳴った]

[服が濡れようが、かまわなかった
それが彼が、私に対する執着を表しているかのようで

彼の頭を、肩噛みつかれぬ方の手で撫でる

嗚。可愛いものよ]


 なんだ、もっと強く。それこそ
 血が出るほどに味わうても、よいのだよ?


[君は無邪気だから
時々、その無垢さから知識を、経験をより積んで得た時に
私よりももっと、人格的に優れた人物に
君が傾倒しないかいつも私は不安である

君を好きになり、君を愛するようになったからこそ
その無言の咢に歓喜する]

[君が思う以上に、私の思いは重いものだ
 
 それは君が良く知っているだろう?お前のためなら
 私は命も何もかも捨てられるほどなのだから]


 (無論、今は思い通じるようになって
  君と別かたれるが惜しいと思うようには
  なってしまったのだが)



 ――― どうせ噛むなら、痕にすれば
 よかろう、ものを。

[なぁ。と君の耳元に唇寄せれば
 常よりも吸う力、強く

 鬱血とまではいかぬものの、緋色の痣が執着めいて
 君の蟀谷の下に咲く]

[ シロさんが女の人に話しかけられてた時、びっくりしたんだぞ!
 「これが噂の…!」と戦慄しつつ急いで駆け寄ったんだ
 女の人は驚いてすぐに立ち去ってくれたけどさ。

 こういう時、オレの背がでっかくて良かったって思うね ]


[ 付き合う前は寧ろ出来ていた膝枕とか
 頭なでなでとか、逆に頻度が減っていたのだ

 それを加味しても、確かに今日のオレは
 甘えたなのかもしれない。

 (こんな奇行をしてしまうくらいには)
 ]


[ シロさんの肩を噛む力はそれほど強くない
 だって傷つけたくないし。
 でもむずむずと噛みたくなって、気づいたら
 こうしていたんだ。 ]

[ 
 ――ふと、耳元で何かが鳴った気がした
 ]

[ さながらじゃれる犬を甘やかす飼い主のような
 そんな風にも見えるだろう。
 こんな状況でも頭を撫でてくれるシロさんに
 余計にそう思ってしまう ]


  ひやふぁ(嫌だ)
  ――シロさんを傷つけたい訳じゃない


[ 彼の優しすぎる(然して、実際はより重いを込めた)言葉に
 オレはもごもごと抗議する

 ……嗚呼でも、その誘いは凄く魅力的だ ]

[ シロさんにオレの印を刻み付けて
 もう二度と離れられないんだぞと、それこそ
 悪鬼のように笑えたら――どんなに気持ち良いだろう

 ……例えオレがそうやったって
 優しいシロさんは離れたりしない
、よな?
 ]


[ シロさんの隠された重い
(想い)

 きっと全て伝わらずとも、少しずつオレの中へと
 浸透してゆくのだろう ]


  あと……? ―――
っ!



[ 耳元でささやかれた言葉に
 首傾げると同時に――ちくり、と ]



  ……いつかぜってー覚えてやんからな


[ その、小さな花咲かす術を

 後で自分の腕でも吸ってみようかと思いつつ
 まだ経験値が足りない己は、今はこれで満足してやると


 ――彼の服をぐいっと引っ張り
 その肩口に、尖った歯を突き立てるのだ ]

[残念ながら噂に疎い私は
君が察知した危機を知らず、回避させて貰ったのであった
尚、私はこの時呑気に、
そんなに走らずとも置いて行かぬよ。可愛いなぁと
阿呆全開だったのだとか。閑話休題]


[片方が無意識の時にはできていたことも
互いが意識してしまえばぎこちなくなる
触れただけで想いが伝わりはしないか
重くはないか。呆れられないか

恋とは、人を幸せにし、臆病にするものだ

恋人の寄行は、寧ろ可愛らしい甘えに私は映り
だからこそ、こうした甘噛みにも笑みが浮かぶというものだ

まるでじゃれる子猫を、膝の上に乗せたような感じで]

 (それと同じく、誘われているような心地も、また覚え)

 (無垢な君故にその意図はきっとないのだろうけど)


[喉を一度鳴らし
          切り替えて]

[頭なでつつ、君に悪戯めいて囁くが
傷つけたいわけではないのだと、抗議する君よ

嗚、無垢だ。とても無垢だと
私は彼に思うの、だが
 ――彼が内心、こんなことを考えているとは
 思いもしない

 寧ろ知れたら、歓喜してしまう
 君が人食いの鬼の頃からずっと一等大事だったのだ
 今更そんな面を見て、惚れ直すことはあれど
 離れるものか。離すもの、かよ]

[重い想いが伝播するように
私の愛も、伝わってしまえばいいのに。
伝わることに羞恥を感じることもあれば
いっそ。と思う時もある。まこと人の心は
とても複雑、なのだ

   そう、君が印刻まぬことに焦れ
 逆に私が、君に痕を刻む位には]


(後で、羞恥に襲われて
 頬を真っ赤にしてしまうのは避けられないと、してもだ)

 はは、何時か君が披露する、時を
 楽しみに、しているよ。

[ずっと先だろうと思っての私は、笑っていたのだが

――――  引っ張られた服。
カッターシャツから見える素肌

       君を抱くときも、決して晒さぬ服の下]

[ 恋を自覚した結果、逆にぎくしゃくしてしまった
 …というのはまんがの題材でよく見るし、
 実際己も最初のころはそうなった。

 ――でも、それでも
 シロさんに甘えたい気持ちも、甘やかしてほしい気持ちも
 それで押さえつけられるほど生易しいものでは、ない ]


[ 確かに"誘う"ことを自覚してはない

 ――けど、求め喰らってくれることは
 何よりも望んでいる ]

[ その欲望すら、今はあやふやの無意識だけど ]

[ 時として、愛の欲望は何よりもどろどろしている。
 シロさんに向けたこの感情を自分から伝えるのは
 どうにも怖くて……

 いっそシロさんがエスパーなら良かったのに

 でも、それだとオレはますますシロさんに任せっきりで
 良くない気もするから ]


[ 離すものか、と言ってくれていると
 知れたら。…それこそ、心歓喜するやもと ]

[ 照れるならやらなければ良いのにと
 そう思うことは微塵も無い。

 …寧ろ、シロさんが積極的に愛を示してくれることが
 何よりも嬉しいのだ。

 ――だから、己も遠慮なく愛を刻もう
 時が経って消えたなら、際限なく刻めば良いのだから ]


[ オレの宣戦布告を笑って流す
 その大人じみた余裕を剥がしたくて

 ……オレの
を突き立てた
 彼自身の隠された肌に向けて
 ]

[ある日の練習中]

[二人が野球観戦から帰ってきて数日。ラッセルのスイングが、ガラリと変わっていることをマナは見逃さない]


……面白い振り方してるじゃん、よーし。


[セスから教わった、ラッセルのスイングを見て、ニヤリと笑う。そして、昔使っていた「あるもの」を手に、ラッセルに近づき]


ラッセルー、暇ならバッティングピッチャーでもしてあげようかー?


[だれかさんに似た悪い顔をしながら話しかけた]

[マウンドの前にネットを立て、ピッチャー返しに備える。まずは右投げで、軽く、打ちやすい球を]


正直さあ、あんたがここまでやるとは思わなかったわ。……とぼけないの、そのスイング。あの人のでしょ?


[投球の合間に指導中のセスをチラ見する。練習中の軽口は減らないものの、目は真剣だ。軽く投げていたボールは、いつしか真剣味を増していく]


去年まであんなに初心者してたのに、みるみる上手くなって。
フライだってとれるようになって。
そんなスイング身につけちゃって。
ほーんと、参っちゃう、わ!


[普段から、肩が強いとは言えないマナが投げているとは思えない、気迫のこもったストレートが、ストライクゾーンにビシビシと決まっていく]

[数十球投げたところで、一度投げるのをやめ、汗を拭う。


よーし、遊びは終わり。……ラッセル!あんたにこの球が引っ張れるかしら!?これくらいきれいに飛ばしてくれないと、そのスイングにあんたが殺されるわ……


[そういいながら、グローブを今さっきまでボールを握っていた手に着ける。そして、ボールは左手に]


アンタにそのスイングができるか、あたしが確かめてあげる!……行くわよ!


[かつてボールを投げていた利き腕。かつて多くの打者に見せてきた左からの投球フォーム。大きく振りかぶり、まずはど真ん中へ*]

[互いに思いを通わせあったら
次のステップを求めたくなる
人は誠に、欲深く。見守ることだけで満足だったのに
甘やかしたい。もっと君の顔を見たい
君に触れたい、抱きしめたいと
際限なく欲が大きくなってゆく

――― 嗚。きっとこんなにも
重い気持ちをぶつけられたら困惑されるだろう
と、思うのに。抑えようとするのに
漏れる気持ちは、君を見つめる眼差しにしっかと

同じように、君もまた
私に対して望んでくれているとおもってよいのだろうか

と、都合よく考えてしまいそうだ

 純粋だからこそ、美しい君の本質に
 触れてしまえば戻れない
 まるで天神様の細道のように ]

[残念ながら私は察しがよくない男
それは君も十分承知の上、だろう
知れたら歓喜することも
知らねばただ、2人臆病に手探りで相手に
ひそやかに隠そうとするか、伝えようとするだけだ

それできっと、1歩1歩歩み寄ることになるのだろう
ふれなば、溶ける雪のように
きっかけさえあれば。きつと

君の本心を見つけて。私は胸を熱くさせるのだろう、とも]

[奥手の多い、日本人
それでも成人したおのこゆえ、恥ずかしがってばかりで
心を隠し続けるというのは相手を不安がらせると知っている

恥ずかしがりながらも、君に朱を咲かせ
甘噛みする子猫に、君も刻めばよいとばかりに
服に守られ、日に焼けぬ肌を晒して
宣戦布告を一笑。子の戯れのようなものだと

余裕を抱いて、いたものの

決死の一撃。或いは慢心穿つ一撃に
自身に噛みついたのは子猫ではないと、知るのだろう]

(それこそ、猛獣と呼んでもよいような、
 立派な、1人の男であつたのだ、と)

─ 回想・展望台 ─



  それはお互い様でしょう。
  自分の事は棚に上げて。

  ……これでも、なるべく痛くないようにと
  配慮はしてるつもりなんですよ?


[想定通りの突っ込みに笑んでしまう。

君を傷付けられるのは、僕の特権にしておきたい。
代わりに僕はこの身体を喜んで差し出そう。

もう直に共に暮らすことになる自宅へと話題が移れば、]


  そうですね……、
  好きになって貰えると嬉しいです。
  これからは、君の家でもありますから。

  ――知っての通り、眺めは良いですよ。
  僕らの暮らす街を一望できます。


[若かりし日に憧れ、征服欲に溺れて選んだ天空の城。
今は、窓辺から見える眼下の景色は、
己の守ろうとする人々の確かな営みを、身近に感じさせてくれる。]

[握られた手に、力が籠るのを感じたから。
僕がもし彼を不安にさせているのだとしたら、その憂慮を取り除いてやりたいと思った。

態度で、行動で、
触れることで示しきれない部分を言葉で。
想っているだけでは伝わらないのだと、
今の僕は知っているから。


良くも悪くも、感じていたことをありのまま言葉にして伝えたつもりだ。]


  ……?

  ふふ。僕は正直なだけですよ。

  質問にはちゃんと答えましたから、
  いいでしょう?
  僕も、君がどうして僕を好きでいてくれるのか
  気になりますから。


  ……全部、ですか?


[「全部」というのも些か気恥ずかしい。
本当に?
そう問い返したくなっても仕方ないだろう。]

[何を隠そう、こう見えて僕は僕が結構好きだ。
誰にどう思われようと構わないし、自分を偽ってまで相手に気に入られたいとも思わない。
だからこそ、学生時代は周囲に手を焼かせた。
……否、今も焼かせているのかもしれない。

故に、万人に好かれはしないと解っている。
君と出逢った頃の僕は、君にさえどう思われようと構わないと思っていた。
そんな僕が、今は


    
――君に嫌われるのが一番怖い。



君が心細い時には、寄り添う
ランプ
となろう。
君が道に迷う時には、航路を導く
となろう。
君が疲れてしまった時には、羽を休める
灯台
となろう。

 だから、どうか、

   どうか僕から離れて行かないで欲しい。


――そんな風に思ってしまう。
我ながら情けない話だ。]



  ……うん。

  君は、どうしようもなく臆病で。
  寂しがり屋で、意地っ張りで、
  誰よりも人に愛されたがっていた。

  自分を偽ってまで愛されたい君の気持ちが、
  正直なところ、僕にはわからなかった。
  でも、……今ならわかります。

  ……君に嫌われたら悲しいし、
  好かれていたいと思う。

  そしてそれ以上に、
  本当の僕を知ってくれている君だからこそ、
  素のままで安心出来るところがあるんです。僕も。

  だから、
  君は君のままで良いんですよ。


[最も過激な問題児であった頃の己を知っている上で、それでも僕のことを好きだと言ってくれる君ならば。
心の壁を取り払って、本音で語り合える。

仮面で隠されていた真実の姿は、むしろ魅力だと思った。
一見完璧であるように思われた彼にも、弱い一面があった。

それを知れたことで、僕は君に惹かれていったのだから。
]

[悩み苦しみもがきながら夢に立ち向かい、懸命に生きている青年。何処にでもいる普通の、けれど僕にとっては特別な人。

何年も前に彼を救いたい一心でかけた言葉が彼の声で耳に届いたなら、目を丸くして。
自分でも表情が驚くほど柔らかくなるのを感じた。]


  ……それ、

  懐かしい。
  覚えててくれたんですね。

  上手いこと言えたなって、
  自分でも思ってはいたんですけどね。


[長く暗いトンネルを潜り抜けた後の、待望の復活公演。
不死鳥の如く舞台へと蘇った彼は、見事大成功という名の勝利を魅せてくれた。
終演後団長さんの計らいで楽屋にお邪魔すれば、いつかの雨の夜のように泣き崩れる君がいた。

どんな宝石より美しい、歓喜に満ちた涙だった。
護りたいと思った。]


  はい。
  たとえ嵐の航海であっても。
  ……君となら、


[ 例えこれが祝福では無く、試練の幕開けだとしても。
最愛の人が傍に居てくれるなら、何にも負ける気はしない。]

[/17不意に顎を持ち上げられて、心臓がどくんと跳ねた。
月光のような蒼い瞳を、見つめられるままじっと覗き返す。

ここまで真剣に、真摯に語りかけられて。
信じられないなんていう方が失礼というものだ。]


  ……っ、

  また先に言われちゃいましたね。
  不束者ですがよろしくお願いします。

  僕と、――共に生きてください。


[口付けを受けた手で彼の手を引き寄せて、もう一度強く握り締めた。

――北極星に誓い、流星雨に願おう。
君と僕の共に歩む未来と、永遠に続く愛を。
]*

[――さて。
ロマンチックなムード漂う恋人の集う丘で愛を誓い、大きなダブルベッドの待つホテルのスイートルームへと戻るべく、僕は颯爽と彼の手を引いたはずだった。
気付いたら何故か彼に抱き上げられていた。]


  え、…………っ
  おおお降ろせよ
恥ずかしいだろ!!


  …………ちっ、


[思わず本性が現れてしまうのは、やはり照れ隠し。
抱えられたまま両手で顔を覆った。

辺りは暗く、月明かりと心許ないいくつかの街灯しかない。
顔が紅くなってしまっている気がするが、然程目立たないだろう。

不甲斐ない王子は、姫に暫し大人しく身を預けた。
高身長な彼に抱き上げられたことで空は確かに近くなったけれど、月も星も全く目に入って来ない。

歯の浮くような台詞が息をするように自然と吐き出されるのは、役者故か。かっこいいな畜生!!
しかし姫抱っこされながら王子様と呼ばれても微妙だ。
行動と台詞が一致していない。

お前今絶対僕のこと王子とは思ってないだろ。解ってんだぞ。
まったく、……心臓が幾つあっても足りない。]



  ……君の方がよっぽど綺麗ですよ。
  馬鹿。


[重いでしょう。
無理はいけません、降ろしてください。
少年のような笑みを浮かべた彼の頬を柔くつねった。
その笑顔を、好きだと思った。



地面に降り立ち手を握り返しても、心音は煩いままだった。
君と並んで見る月は、狂おしいほどに美しかった。]*

─ ホテル・スイート ─


[薄暗い室内を照らすのは、シャンデリアの淡く青い明かりと、窓辺から射し込む月光のみ。
部屋に戻ると真っ先にシャワールームへ向かった。
備え付けのバスローブに着替えてから、先刻も座った真珠貝を模したソファに腰を落ち着ける。

本当に長いようで短い一日だった。]


  ……これは寝坊しますね。
  まず間違いなく寝坊コースですね。


[何せ彼が珍しく荷物整理をしているのだ。
明日の準備までしっかりとおこなっているのだ。
未だかつてこんな光景を目にしたことがあっただろうか。

天気予報は見ていないが、下手すると明日は朝から大雨かもしれない。

もっとも、
もし雨なら折角のスイートルームで寛ぐだけのこと。
本来朝に弱く日光に弱いのは、己も同じなのだから。

ちゃんと片付けられてえらいですね。
そう声を掛けようとした時には、彼はベッドに寝転がっていた。
やはり早々に片付けに飽きたか。
けれど、その方が彼らしい。
思わずくすりと苦笑が漏れてしまうのは止められなかった。]



  いえ、疲れては――

  ……ううん。やっぱり、疲れました。
  ヴィクの言うとおり、
  明日出来ることは明日に回すことにします。


[ダブルベッドを既に我が物顔で占領している、主の元へと向かう。

スイートルームの名に相応しい、キングサイズの高級ベッド。
遠目で見ても、生きとし生けるもの全てを優しく包み込んでしまえそうな柔らかさが伝わってくる。
そんなベッドにも、彼は違和感なく馴染んでしまっていた。

傍に腰を下ろし、身体を捻り、寝転んでいるヴィクを暫し眺めてから、彼の耳脇すぐのシーツにとすっと手をついた。
壁はベッドに、立場は逆になっているけれど。
道中の思い出話が懐かしくて楽しかったから、いつかのお返しをしてみようと。

そのまま押し倒すような形で覆い被さり、見下ろす。]


  ――お待たせしました。
  そろそろ腹が減って来たんじゃないですか。


[頬を撫で、距離を詰めて蒼の瞳を覗き込んだ。
そうして彼が何事かを言うより先に、額に掛かった前髪を払いのけて、額に唇で触れた。]


[プロの世界の戦いが白熱し盛り上がってくる頃
草野球の世界もまた、熱い日々を迎えていた

そんな日々のうちの一幕、練習中
打率はまあ、ともかくとして
あの特訓の日からラッセルはたしかに強くなった
今まで外野手の上あたりに打ち上げただけだった打球が、塀の向こう側に入るようになったのだ]


 ……ホントですか?!
 ありがとうございますマナさん!


[ティーバッティングをしているところにやってきて話しかけてくれたのはマナさんだ

なんだかやたらとニコニコしている気がするが
…何かいいことでもあるのだろうか?]
 


[最初は山なりに、ど真ん中に来る打ちやすい球
軽く弾き返して、ボールは高く遠くへ飛ぶ]


 とぼける?何のことですか
 セスキャプテンに教えてもらったんですよ


[隠しているつもりなんてない。素直に答えながらバットを振った

バッティングピッチャーと言っていたはずなのに、途中から明らかに打ちにくいボールが飛んできている
厳しいコースに投げられたボールに首を傾げつつも文句は言わず
当てただけの内野ゴロが量産されていく]


 何に参ってるんですか
 ポジションも選手としての在り方も違うし

 そもそも私がどれだけ上手くなったとして
 それがマナさんに何の関係あるんですか?


[当てることすらできなくなって
ボールが過ぎた後に思いっきり空振り]
 


[なんで自分には○○できないんだろうって
 私は何度も何度も通ってきた道だった

 学生時代お遊戯、工作、人間関係、受験戦争
 不器用だから遠回りばっかりしてきた
 どれだけ頑張ってもダメなことも多かった
 だけどずっとその”不器用さ”と向き合ってきた

 今だってマナさんが何を思ってるのか分からない
 怒ってる?悲しんでる?それとも嫉妬?
 分からないから、]
 





[ 
全力でぶつかるだけだ
 ]



 


[一回、2、3歩離れて間を取った]


 殺される……?

 自分が真面目にやったことに殺されるなら
 私はそれで構わない


[元から丁寧なプレーなんてできない
たとえそれが憧れだとしても、届かない

だから、自分に出来ることを極める道を選ぶ
これがダメなら、その結果を黙って受け入れるだけだ]


 この1打席勝負
 私は…負けるつもりはないですよ


[左手にボールを構える姿
初めて見る姿だが、勝負への集中力で驚きの感情は湧いてこない

打席に戻る…その瞬間
いつもはやらない行動を、間に挟む

ライト側の空をバットの先で指し示す]
 


[ど真ん中に来たボール。早い
いつもの守備に見るときの送球はゆったりめなのに、まるで人が違うかのようだ

狙い球を絞らないと厳しいだろうか
苦手な低めの球は捨てる事に決めた


次のボール、ゾーンから逃げていくカーブ
変化球まで混ぜてくるなど…まるで投手じゃないか
それが何を意味するかは今は置いておく。勝負だけを見るために


その次、まっすぐ…と見せかけてゆっくり沈むチェンジアップ。
タイミングをずらされて空振り
あちらも本気で打ち取りに来ているのだろうことを改めて実感し、息を呑んだ

4球目、高めのイン寄りに来たボール
…これだ。

直感的に理解した。これを外せば後がないことも

教わった通りに、バットを振る
腕にそのまま伝わってくるピリッとくる衝撃、そして相手の熱
ボールが押してくる力が、普段より強く長く感じた

負けない。負けられない。
負けたくない
]
 


[振り抜いたバット。舞い上がる白球
先程指し示した方角へと、消えていく]

 ……マナさん

 練習に付き合ってくれて、ありがとうございました


[ボールが作った虹の残像見上げて

素直に、真剣勝負をしてくれたお礼を込めて軽く頭を下げた]*
 

【人】 マスター代理 リウビア

─お会計─

[さて、それは恐らく
まだヴェーチェルとマスターが話し込んでいる時だったか。

レジの方へと向かう客を見つけ、目配せで自分がするのを伝えた。>>177]


  ありがとうございました。


[お会計でお釣りが出るのは日本円だが
Danteはいつかこの仕組みに気づく日が来るだろうか。

それはそれとして、だ。
あの娘、前に来た客によく似ている。男だったけど。
顔とか姿もだが、その内の血縁なるものの気配というか。

どっちが嫁だとか、どっちが指輪買うとか騒いでた客いたなぁ、
と適当に思い出すリウビアであった。]*
(192) 2019/04/25(Thu) 14:10:55

【人】 マスター代理 リウビア

─ セドラの配達>>@21

[珍しくドアからまともに訪れたセドラが興奮気味に捲し立てる。
恐らく徹夜テンションなのだろう。

落ち着くまでリウビアは静かに待った。割と慣れている。

ひとつめに取り出された
硬度を自在に変えられる機械の説明を聞く。

蛇口に取り付けハンドルをまわす。
硬度がプラス、マイナスされるらしい。

珈琲や紅茶を際立たせる硬度は実のところわからないので
調べ物が増えた。>>@22

紅茶はハーブティーに関しては、Danteに聞いてまた逐一メモを取った。]
(193) 2019/04/25(Thu) 14:32:39

【人】 マスター代理 リウビア

[仕組みに関しては機械に疎いリウビアはさっぱりだった。
脳内で要約するに、モンスターを退治して得た鉱石が原動力らしい。

そしてセドラは技師である。
そんな危険場所のモンスターを退治出来たものだ。]
 

  ……そう、ご苦労様
 ヴェーチェルの分もお代は後で払うわ。


[なお人探し機のほうは無論ヴェーチェルからの給料天引きである。
人払いを頼まれれば否やはない。>>190

娘が見つかったら、早晩出ていくのだろう。
またリコリスは人手不足に陥りそうだと肩を竦めた。]*
(194) 2019/04/25(Thu) 14:33:00

【人】 マスター代理 リウビア

[モンスターとか火山地帯とか
聞き逃す術でもリコリスは掛けられているのだろう。きっと。

お代とは別に腕を振るまいたいと言えば>>198
勤勉な店員の願い出たこと、リウビアに否やはなかった。

そうして軟水と硬水の違いを教えて貰い
熱心に記憶に刻み、ノートにも書き留めた。>>199

聞きながらもどこか落ち着かなげにしているDanteに
不思議そうに首を捻った。]


  ああ、早速試したいのね。
  もちろん、いいわよ。


[リウビアの許可を取るところが律儀だ。>>203

そうして彼の出身地のパスタの拘りを垣間見た。
ノートはDanteが来て以来増える一方だが
活用するのは主にリウビアであった顛末は目に見えていただろう。]
(216) 2019/04/25(Thu) 19:50:56

【人】 マスター代理 リウビア


  ダンテは本当熱心ね。


[リウビアも驚くほどの熱心ぷりに関心を示した。
科学技術が余り発達していなかった世界の出身ゆえに

軟水と硬水という考えも無かったが、それは明かさずに
キッチンで熱心に研究する姿に、倒れない程度にね、ぐらいは声を掛けたか。]*
(217) 2019/04/25(Thu) 19:51:09
[ 察しが良くないのはオレも同じ
 特に告白する前のあれそれなんて最たる例だ

 ――それでも、交わらない想いはない

 あの、互いを想いながらすれ違った日々も
 その僅かな一歩一歩で今に至るのだ。

 だから、これからも
 貴方に心揺らされていたい ]

[ ……気づいた時には肩は惨い状態になってるわ
 首に青あざがつくわで、シロさんには
 華麗な土下座を披露したことだろう。


 おかげでくすぶっていた想いはすっきりしたものの、
 何だかいけない扉を開いた気もしなくないオレだった。

 (そして噛み癖はすっかり定着してしまうのだが、
  これはまた、別の話**)
]

[心揺らす君を見つめるのが良いと
或いは、私によって変わってゆく姿を
世界に触れて、成長してゆく姿を
眺めることができるのは
とても素敵なことなのだろう

僅かな1歩、踏み出したならあとは時と経験で
仲も互いへの理解も、
きずなも深まってゆくのであろう

それが今から、楽しみである]

[さて、君の土下座はなんとも美しく
一体どこで学んだ。私の記憶からか?などと
考える英霊、ここにあり

かんばせあげぬ彼に対して―――私は ふ、と笑んで
その顎に指添え、くぃと上向かせたならば


囁き1つ、落として]

[と、傷口を流し見たあと、口角上げて君を見つめたのであった

後日、私は益々長袖などを着込むことになるのだが
まぁそれもしあわせ、の1つなのであろう**]

― エピローグ:これから先も、貴方と ―

[ 楽しかった休日も終わり、いつもと変わらぬ日常が訪れる
 途中、シロさんがカニを持ってきたり、
 オレの新たな癖が開花したりと色々あったけど

 ――とても平和で、優しき日々だ ]


  ふんふーん…


[ 鼻歌交じりで廊下を歩くオレ
 その手には、小奇麗に包装された箱一つ

 つい昨日、己の得意な鍛冶で完成させた"これ"を
 アンネちゃんに手伝ってもらって丁寧に包んだのだ。

 ――気に入ってくれると良いんだけど ]



  シロさん、今ちょっと良いか?


[ 夜、既に風呂に入った後であろう彼に
 いつもの元気さ…ではなく、照れつつ問いかけたか ]


  へへ。あのさ、この前の旅行のお礼に
  シロさんにプレゼントをしたいなって思って

  でも揃いの指輪もあるし、刀は駄目っぽいって
  今川さんが言ってたから迷ってて。

  でもさ、この前のぱふぇの時に良いモン思いついたんだ!

  だからこれ!シロさんにあげるな!


[ はい!と勢いよく差し出す包装された箱
 それを開けてみるのなら―― ]

[ そこには、銀に輝くデザートスプーンが一匙
 デザートフォークも同じくとなりに収まっていたか ]


  「好きなものを一緒に食べれたら嬉しい」って
  あの時にやっと気づけたんだ。

  ――これがあれば、いつでも好きな時に
  一緒に食えるだろ?


[ まるで食い意地張ってるような主張だが、
 一緒に食べることは幸せなんだ。その幸せをいつでも
 味わいたいと思う。我儘なオレである

 慣れない食器づくりに手間取って渡すのが遅くなったけども ]



  だからさ、これからも一緒に美味しいもん食べて、
  ずっと楽しく過ごそうな!


[ 己らは英霊だ
 その終わりはいつ来るか。もしかしたら明日かもしれない

 ――そんな戦乱の最中であっても、
 この誓いは決して色あせない。 ]

[ 共に生きたいと願う人がいる限り、
 「生きる」ことは何よりも一番大切な
 目標となるのだから。]


[ そうして、「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」と
 1ページに刻まれる日を夢見ている。]



 星図表なんて、"らしくもない"ことしやがって。


 …………ばかだな、本当に



 
  
─ ホテル・スイート ─


  冗談のつもりだったんだがな。
  大体、寝坊したらリーが起こしてくれるんじゃないのか?

[ この男、言葉の意味を素で受けている。
 朝から大雨の危惧をされていることには当然気付いてない。
 
 その後、奴の苦笑が見えて、漸く真意を察せたのだが
 実際否定出来ずにいたので、むすりと頬を膨らませていた。]

  はっ、そうだろ? まだ始まったばかりだ。
  明日もあるんだからのんびり行こうぜ。

  よーしよし、近うよ──……


[ ベッドに来れば、手招きし冗談めかしていたのも束の間。
手を突き、上に覆い被さるような姿勢を取ったと思えば
 もう片方の手が頬を撫でる。]
 

 
  ……っ……!!! びびったじゃねぇか……。 


[ 予想外の行動に余裕の表情は瞬時に消え、心音が
 激しく加速する。胸に耳、もしくは手でも当てられれば
 鼓動を容易に感じ取れそうな程に。]


[ 同時に、過去に壁ドン(失敗)を食らわせた過去を思い出す。
 それが功を奏したのか、抵抗もされず
 キープアウトテープの出番も無く、結果オーライかと思いきや
 後で店長に「この壁何があった」と問われた際の言い訳が
 大変だったことを思い出す。
 
「パイプ椅子を移動させた際にぶつかった」という言い訳を聞いた
 時の店長の表情は、未だに忘れられない。]

 

 
 
─ 夜明け前 ─


[ 目が覚めると、隣にリーの姿があった。
 昨日の傷跡をまず確認するところから始まる。
 目立ち難い場所を選んだつもりだったが、
 流石といったところ。昨日の傷跡もほぼ治っている。
 
これならもう少し別の美味い場所にしても良かったか、と
 思ってしまうのも、常に食欲と衝動に駆られている身の性。

 一方、己の傷口も確認をしてみるが。
 此方も綺麗に目立たなくなっていた。
 随分と慣れたものだ、と昨日の痛みと快楽を思い返し。
 
 未だ眠ったままの愛らしい寝顔を眺め、髪に軽く口付けを落とし
 普段よりも殊更白く見えた美しい肌を、ぺろりと舐める。

 これで目が覚めても良い。
 偶然俺の方が早起き出来たのだから。

 一人ベッドから立ち上がり、プールサイドへと足を運び
 昨日花が見えていた場所を双眼鏡で覗き込む。

 ──まだ、間に合いそうだ。]
 

 
  おい、リー!
  花咲いてるぞ、早く起きるんだ!!!


[ 昨日の血の宴があったとは思えぬテンションのまま
 身体を揺らし起こしにかかる。 

 
  ──── これから、二人の生活が始まれば 
        毎朝、こんなことが起こるんだな。


 そう、旅行から帰っても、すぐに幸せな生活が待っている。
 実際、今回は俺が偶然早く起きただけのことであり。
 リーに起こしてもらう日々も割とありそうな気がするが。

 さて、愛しの王子様は起きてきただろうか。
 起きていたならば、さぞ上機嫌な表情が見られただろう。
 起きて来れば、来なくとも。
 頬に軽く目覚めのキスをプレゼントして。

 準備を終え、ラベンダーの咲き誇る花畑へと向かうことにした。]*
 

[インハイに投じた渾身のストレートは、フェンスを越えて行く。いわゆる、予告ホームランだ]


……まったく。あたしどころか、キャプテンまで超えていったんじゃない、あんた?


[ラッセルがライト方向にバットを向けたとき、打たれる予感があった。それでも真っ向勝負をしたかったのだ。結果として予告通りに打たれたが、マナの心の中にかかった靄が、どこかに引いていった気がした]

あたしの方こそありがとうね、ラッセル。お陰で……

[頭を下げるラッセルに、笑顔で言い返す。……ひどく鬱血した左肘を、身体で隠すように、後ろに回しながら]


んーん、なんでもない。ほら、休憩行くよ!


[痛い、ちぎれそう。こんな感覚は、左投げを捨てたあの日以来だ。エースとしてマウンドに君臨し続けていたのに、あの日から全てが……]


……これでサヨナラだね、サウスポーでエース張ってたわたし。


[悪い方向に変わってしまったはずだが、なぜか今、心は晴れやかで]

[練習後 とある河原]


ほ〜た〜るのぉ、ひぃかぁ〜り、まぁどぉ〜のゆぅううきぃぃぃ……いや、こう言う感じじゃない。


[ホームセンターで買ってきた、コンクリートブロックが8枚。同じくホームセンターで手に入れた消火器。河原に落ちてた、乾いた木の枝がたくさん。家にあった新聞紙を、ちぎって丸めたものが大体新聞紙1日分。そして]


あーおーげーばー、とーおーとーしー、わがーしのーおんー……そう、こう言う感じでいいや。


[先程まで、ラッセルとの勝負でつけていた両手用のグローブ。それを、キャンプファイヤーでもするかのように組み合わせる]


おーしーえーのー、にーわーにーも、はやーいくーとせー……


[ブロックを組み、枝を組み、グローブを入れ、新聞紙を入れる。そして、タバコに火]

……ふぅー。おーもーえーばー、いーとーとーしー、このーとしーつきー


[一服した後タバコを口から離し、そして組み上げたキャンプファイヤーに落とす。タバコの火は新聞紙、木の枝と伝わり、やがてグローブをも覆う炎となる]


いーまー、こーそー、わーかーれめー、いーざー、さらーばー……


[歌い終え、そのまましばらくマナは微動だにしない。そのまましばらく、グローブが燃え尽きるのを待った]

[後片付けを終え、灰となったものを全て土に埋めた。そして]


……ありがとね。


[8年ほど共に戦ってきた相棒に、今別れを告げた]



( 始まった以上こうなるだろうって
  きっと分かっていたはずなのに
  すべてが終わった後の君の顔は苦しそうで
  到底見てなんていられなかったんだもん。

  生まれつきの傷だけで変に責任背負わされて
  一気に肩の荷下りてしまえばまたお先真っ暗。
  足枷のように記憶を抱えて、落ちてゆくだけ。
  ……だけど、なんだかそれも気分が悪いからさ、

      指針だとか、使命だとか、関係無し。
      好きに生きてみたらいいんじゃない?
      自分は本当は何がしてみたかったのか
      自分は本当はどう生きたかったのか )

 




  ( どんなものになりたかった とか。 )



 

[「球追荘」 セスの部屋 ドアの前]


……ついに、か。


[ドアの新聞入れに、白い封筒が一つ。差出人はかつて所属していた……いや、今も所属している「こと」になっている会社の名前。封筒を手に取り、部屋へ]

−帰還命令書−



○○課 主任 セス・グライシンガー殿

2026年9月21日を持って、異次元転送装置 テストメンバーの任を解く
以後、上層部の指示に従い期日以降速やかに本次元に帰還すること


○○○○○○○○株式会社
社長 ◇▽□◎

ったく、もう少し待ってくれよ。
まだ、終わってないんだよ……


[嘆けども、恐らく、命令は変更されない*]

[とめどなくあふれる水のように
つながった先から感情がこぼれてくる

それはきっと不都合であり
それはきっと、―――都合もよかった。

憎悪しか持たないはずの心が、魂が、
……なぜか満たされていくのだから]

[きっと飽きもせず
様々な感情をこちらにぶつけてくることだろう。

こちらはそれに呆れもするし、
めんどくさがることも大いにある。

そんなこと初めからわかっているのにどうしてか
"離れる"という選択肢はなかったのは、―――…]


[月日は秋空の雲のように
どんどん流れていく
球追カットバースは勝利を重ね
今年もリーグ優勝街道を一直線に進んでいた

キャプテンから引っ張り打ちの極意について伝授された私は
攻撃面でチームの戦力として期待される日々

今年が始まる頃には
こうなるとは全く考えられないことだったのに
いつの間にやら、ここまで進んできたようだ

…流石にキャプテンを超えたなんてのはまだまだお世辞だろうとは思っているけれど]
 


[キャプテンは
「逃してはならない機会もある」
…と言っていたっけか

あの野球観戦のチケットを
先に他の人に渡したり金券ショップに売っていたら
今、こうとはなっていないかもしれない

そもそもチケットが当たっていなかったら
あの時買い物に行かなかったら
怖気付いてカットバースに飛び込まなかったら

あの野球観戦でみた
とある選手
がこの星に来たのは偶然だとか
とあるチームメイト
が肘を壊さずに投手をしていたらだとか
とある人と
キャプテン
が出会っていなかったらだとか
……そこまでは知らない話だけど


誰もが一度は考える
パラレルワールド説。もしもの話
考えるだけで、ifの自分に会えたりはしないから
ただの空想の域を出ないけれど

唯一確かな事は
旅行費の一部を受け持ってくれてまで
“逃してはならない機会”を掴んでくれた
キャプテンにはいつか、恩返しをしたい]
 


[彼が言ったプロ野球選手になったら払ってくれは
流石にただの、ちょっとした意地悪発言だとと思っていた
社会人野球のチームでも入れたらな…と、ぼんやり見据えていた未来の形

バイトと大学の授業に時間を追われつつ
野球の練習もちょこちょこ挟む…カットバースに入った当初から変わらないサイクルのまま過ごしていく

そう。今日も
バイトがあったから練習時間には途中参加で
急いで練習着に着替えてグラウンドに入って
そんなドタバタな日だった]
 


 [変わらぬものなんて何もない


           またひとつ、分岐点が
             近くに迫っているだなんて]*

 

― Epilogue とある日のカルデア ―

[1週間の休暇は終わり、
私たちのいつもの日常は帰ってきた

マスターについて特異点の修復に行ったり
今川さんのお部屋に首狩りボーナスを得にいったり
それ以外にもなんやかんや、あったけれど
平和で、幸せな日常を過ごしていた

そんなある日の、ことである

私は風呂上り後、日課のクガニに餌をやり
読書に勤しんでいた

今はハーブティーに纏わる本を幾つか買い漁っており
何時かまた、あの店に来店した時に
あの店員と会話したいものだと
それまでに、上手に淹れられるようにならねばと

まずは知識を蓄えねば。そう考えて
彼から聞いた話を記したメモと見比べながら
頁をめくっていたところ……]

 む、クガネか。
 かまわないよ。ハーブティーでも淹れるか?

 ……ん。

[常のような元気溌剌ではなく
照れつつの問いかけに、首を小さく傾げ
君の言葉を待っていたら……

差し出された箱が、あった

ありがとう、と告げ受け取ったもの
君の前で開ければ、銀色のデザートスプーンとフォークがあり

それは奇しくも、あの時喫茶店で見た
銀の輝きを、思い出させるものであった]


 美しいな。
 ……きっと、この匙やらで食べる甘味は

 きっと特別な、味がするだろう。
 ありがとうな、クガネ。

 ―――無論、だ。之からも
 君と共に。美味しいものを食べ、美しい景色を見て
 楽しく、日常を過ごしたいと思うよ。

[君が私の為に、作ってくれたことがうれしい
共に食卓を囲みたいと、言ってくれるのがうれしい

ああ、君は何度私を喜ばせるのだ]

[私たちは英霊だ。永遠に共にいられる保証はない
だが、それでも君となら。最後の時まで
きっと幸せ、なのだろう

―――願わくば、それが永遠に続けばよいのだが]



 さて、礼にもならないが。
 温かいハーブティーでも淹れようか

 折角なのだ、鶴姫が土産に買ってきた菓子が
 冷蔵庫にあったはずだから。
 それを茶受けに、之を早速使わせてもらって
 かまわないかね?


[尋ねつつ、銀の匙を持ちつつ 笑う
だから、ねぇ可愛い人]

[9月12日 無料トークアプリ GINE 「球追カットバース」グループライン]


セス<お疲れ様です。リーグ優勝が決まりそうなタイミングですが、個人面談を行おうと思います。練習中から練習終わりの時間を利用して、21日までに終わらせたいのでご協力お願いします。

[9月20日 GINE ラッセルとのトーク画面]

セス<お疲れ様です。練習のない日ですいませんが、明日どこかで個人面談をする時間は空いていますでしょうか?)


[練習も片付けも終わらせて
自転車に乗ってスーパーに寄って
テキトーなお惣菜を買って家に帰って食べる
この辺りまでは日常的な、風景だった

スマートなフォーンのロックを解除すれば
GINEのアイコンの上に赤い通知の印]


 個人面談かー…


[知らせは、球追カットバースのグループラインから

去年はあったっけ。あったとしても記憶がどうにも薄い
面談といっても派手に時間を取ったりはしないだろうから
忙しい私でも時間はなんとかなるか。と踏んで]
 


[そして約1週間後。20日
個人面談は21日までと聞いていたが一向に気配がない
…そろそろ流石に連絡が来るはずでは?

もしや私の存在を忘れられているのではと
疑問を持ち始めた頃に再び連絡はくる]


 もっと早く言ってくれたら良いのに…


[ちょっとした愚痴をこぼしながらも
指先を動かし返事を書いていく]


ラッセル< こんばんは。いつもお世話になっています。明日のお昼頃なら空いています)*
 

─ ホテル・スイート ─



  そうしたい気持ちは山々ですけど……
  もうこんな時間ですよ?

  それに、
  君と居るとつい気が抜けてしまいますから。


[ベッド傍の置時計を指差した。それなりの深夜だ。
早朝の散歩を予定しているとはとても思えないような。
この後すぐには寝付けないだろうことも、容易に想像が付いた。

ご所望のモーニングコールは出来ればしてやりたい。
が、彼の起床前に起きて二、三の仕事を片付けることさえ、明日の朝は出来るかどうか。

油断しきったベッド上の彼に覆い被されば、
素っ頓狂な声が上がった。
驚いた顔も可愛らしくて、思わず愉悦の笑みが零れてしまう。]


  ふふ。
  ……そんなに驚きました?


[伸ばした指先を耳元へと滑らせれば、早鐘を打つ彼の拍動が伝わってきた。
そのまま脈を辿って首筋を落ち、肩を過ぎ、胸元へ掌を置く。
より確かな鼓動を感じるために。]

[己の心臓もまた、同じくらいに激しく高鳴っていた。


 件の壁ドンで微破壊された元バイト先の壁だが、
 当時僕にまで疑いの目が向けられていたことを
 恐らく彼は知らない。

 店長視点、容疑者は二名。
 まして片方は素行の甚だ悪かった僕だ。

 どちらがより器物損壊の犯人らしいかと問われたなら、
 誰もが僕を指差しただろう。

 ヴィクのあの細い腕のどこにあんな力があったのか。
 僕自身、この目を疑ったのだから。

 「レーナルト先輩が壊しました。」
 正直に答えても、店長は全く信じてくれなかった。
 ヴィクも事情聴取は受けていたようだったけれど、
 彼の言い訳は恐らく、
 僕を庇う為の証言と思われていたと思う。



あの日の暴魔が、今ではこんなにも愛らしい表情を見せてくれているのだから。
鬼生何が起こるかわからないものだ。]


 
─ 夜明け前 ─



  ふぁあっ……?


[髪に触れた優しい熱と、肌をぬるりと滑ったやわらかな感触に驚いて目が覚めた。
こんな可愛らしい悪戯を仕掛けてくるのは、世界にただ一人しか居ない。]


  んむ……、
  ……ぁ、ヴィク…………?
  おはよう、の……


[愛する人に伸ばしたはずの手が、空を切ってシーツに落ちた。
重い瞼をこじ開けて声のする方に目をやれば、
プールサイドで双眼鏡片手にはしゃぐ姿。
黎明の光を受けて、金の髪が燦然と輝いている。

彼の方が先に起きていたのは予想外だった。
てっきりこちらが起こさねばならぬものと思っていたのに。

朝っぱらから元気だなぁ。
己の身体を確認してみれば、喪った箇所は元に戻り、どこに傷が与えられたかさえよく分からなくなって、むしろ肌つやが良くなってさえいた。……愛の成せる業だろうか。

身体を揺すられゆっくりとベッドから身を起こして、開けたローブを整える。]



  ……随分早起きですね…………、
  被告人ヴィクトル・レーナルト。
  ちゃんと起きられてえらい君には、
  こーしてあげます。

  僕直々に、羽交い締めの刑です。


[半分夢うつつ状態のままよろりと立ち上がると、
正面からぎゅうっと抱きついた。
見上げれば上機嫌な君が居て、頬に優しいキスが降ってくる。]


  …………っ、
  …………

  ……どうせならこっちの方がいいです。


[頬へと手を伸ばし踵を上げて、唇に唇を重ねる。
姫の胸に身を預けながら二度寝しそうになって、眠い目を擦った。

流れでぺたぺたとヴィクの身体を触診する。
昨夜確かに付けた傷痕も、奪い去った指先も、何も無かったかのように元通りになっていた。
むしろ、やはり彼も昨夜以上に血色良く見える。]

[ ── これからは、毎朝こんな風に一緒に居られるのだ。
想像するだけで頬が緩んでしまう。]


  では、
  ――向かいましょうか。


[手早く支度を済ませると、
甘い香りの漂う花畑へと、連れ立った。]*

― ラベンダー畑 ―


[風が吹く度、甘く柔らかい香りが鼻腔をくすぐる。
一面を埋め尽くす青紫は美しく、蝉の鳴き声さえ清々しい。

そして――
眠い。

立ったまま眠ってしまえそうに眠い。
鎮静作用のあるラベンダーといえば、最も有名なのは安眠効果。ただ眺めているだけでは美肌にはなれない。

設えられた散歩道を昨夜のように恋人繋ぎで歩きながら、自然と降りてきそうになる瞼を必死で持ち上げた。
ひんやりとした静謐な空気を肺いっぱいに吸い込み、目を醒まそうと試みる。少し肌寒い。

ヴィクは水を得た魚のように元気いっぱいだったから、多少足元が縺れても助けてくれただろう。

暫く歩くと、休憩所らしき小さな販売所に辿り着いた。]


  ラベンダーソフトクリームに、
  ラベンダーティーですって。
  ……流石にこの時間、まだ開いてないようですけど。

  僕、紅茶は
  ラベンダーミルクティーが一番好きなんです。
  ヴィクは何が好きですか?


[こんな他愛ない会話も、今後は気軽に直に交わせるのだろう。]

[大切なことも、くだらないことも。
共通する話題も、相対する話題も。
嬉しいことも楽しいことも、悩めることも辛いことも。

沢山話をしよう。
時には喧嘩したっていい。
君となら、嵐の夜も超えてゆける。


夢見心地で花畑を後にして、ホテルへと戻ろう。
朝食バイキングを目と舌で楽しんで、さて、お待ちかねの海へ行こうか。

小さいけれど憧れていたクルージング船に乗って、
シャチやイルカの尾を見て二人ではしゃいで。
岸へ戻り海水浴場に着けば、サマーハウスで海の幸を堪能して、日が落ちるまで浜辺で遊んで。

そうしてくたくたになって戻ってきた真珠貝ソファの上、
蒼の光揺らめくシャンデリアの元。
きっとまだ大海原へと想いを馳せている君に、声を掛ける。]


  ヴィク。
  左手、出して貰えませんか。

  ……失くしたら泣きますからね。


[この旅行中に渡そうと思って選んでおいた指輪。
インサイドストーンにアイスブルーのダイヤモンドがあしらわれたそれを、薬指に嵌めて、唇に永久の愛を誓った。]**

[待ち合わせ場所 集合時間30分前]

……どうするかな。本当のことを言うか、ごまかして消えるか。


[答えは、今日まで出ない。ただ、ある一人を除いて他のメンバーには真実を隠してある。一応他言無用とは言ってあるが、どこまで守られるだろうか]


……迷ってても、しょうがねえやな。表で真実を話す!


[運命のコインが掌へ。開けば、coinの面が]

[ぼくだって
ぼくの望みになんて気づいてやしなかった。


       
気づかないように蓋をしていた。


  一緒に
”生きたい”

         
”殺させたくない”


人間であろうとしたのは
  
ぼくがぼくでありたかっただけ。


悪魔がフリーレを殺す決意して
( 嗚呼その後、無茶なことをしようとして )

 ────少女はようやくそのことに気づいた。


願いを叶えて貰いたいなんて
出会った時から一度も思わなかったけど。]


   
ふーん、あっそ。



[言わないなら、いいや。
何だか色々吹っ切れて
普段よりも幾分穏やかな笑みを浮かべる。

───…それでも、まぁ
この先苦労をしないかどうかで言えば
自分で買った苦労だろう。


   
  
 ほら、

            
        いま
             も
  ]


  
 そう……。



[ この世界を守るだけに存在するものは
             容易に諦めて

新たな勇者《いけにえ》を求めるのみ

  転移が行使される刹那に
  精霊の王はフリーレの内から、離れた。]



( おまえの方から”行くぞ”なんて
        はじめて聞いた気がする )



[たったそれだけで少しはしゃいだ気持ちに、なった。]

[ 渡った世界でも少女は少女のままで。
  悪魔は悪魔のままで

  勿論この世界でも名前は違ったけれど
  青白き炎のごとく星があった。


   時折夜空を見上げては、指を差す。 ]


   あ、なあなあ!シリウス〜

         シリウス見つけた!

[よしこれで方向がわかると言えば
何に対してか呆れたような顔をされて

  むかつく顔するな!って
  いつものように理不尽に

        ぶつけたのは特大の火玉 ]


あはは! 
ざまーみろ!馬鹿ロキ!!



[ 少女が、従属のために真名を呼ぶことも
       
あれ
以来、生涯なかった。 ]**

……来たか。済まんな、急に呼び出してしまって。それじゃあ始めようか、個人面談を……


[待ち合わせ場所の河原にラッセルが現れたのを見て、微笑む。そして、2人が話す最後の時間が訪れた]


……皆には言ってあるが、俺は明日からチームを離れなければいけない。海外への、急な出張でな。


[他のメンバーに話した、偽りの理由を語る。嘘をついたセスは、ラッセルから顔をそらした。深緑色の髪を、秋めく風が揺らす]

……ってのは、嘘でな。実は俺、なんと言ったらいいのか……


[嘘を押し通そうとしたが、色々な意味で良心が傷み、本当のことを話し始める。そして、再びラッセルの方を向いた]


……なあラッセル。もし、俺がこの世界の人間ではないとしたら。俺が元の世界に戻らなくちゃならないとしたら……


[押し殺すように、あるいは絞り出すように語りだす。それでも、今度はラッセルから視線を逸らさない]

ほら、これが証拠さ。……って、こんなのが証拠にはならないと思うけどな。


[あの日、ドアに差し込まれていた手紙を見せた。ラッセルがそれを読んでいる間、足元の石を川に向かって放り投げる]


……これから俺は、元の世界に帰る。もう、カットバースの一員ではいられないんだ。


[足元の石が、水面に波紋をたてたのを眺めながら、少しだけ悲しそうに、そう呟く]

俺がやっていた監督と代表者業務は、マナに引き継ぐことにした。あぁ、本人の了解は得ているよ。……で、キャプテンなんだが……


[持っていたカバンから、何かを取り出す。それはいつもセスがつけていた、キャプテンマーク付きの背番号「10」のユニフォーム]


……お前が、引き継いでくれ。今のお前なら、周りのみんなも認めてくれると思う。だから、お願いだ。


[ユニフォームをラッセルに押し付けて、深々と頭を下げる。果たして、彼女はこの提案を受けてくれるだろうか]

……それじゃあ、これでサヨナラだ。元気でな。お前なら、きっと……


[何かを言いかけて、やめる。ここから先の言葉は、言う必要がない気がした]


じゃあな!カットバースを頼むぞ!……あっ、そうだ!もし、俺のそっくりさんがチームを見に来たら、是非歓迎してやってくれ!


[別れに涙は要らない。そう信じるセスは、ラッセルに背中を向け涙を流すことなく、その場を去った*]



 (  背に庇われるのはめっぽう苦手で、
    目くらましの術でもかけられたみたいに
    背筋が冷える心地さえしたけれど。
 
      …… 大丈夫、あの時とは違うから  )


 



[ ──────
ぱッ、ちん!


  独特の音を立てて、その姿は掻き消える。
  カラマツの杖が二人をどこへ導いたか、
  それは僕の知るところじゃあない
 
  記憶についてちょっとした融通がきいても、
  これ以上のデバガメめいた真似も、野暮だから。 ]*

 


 
─ ラベンダー畑 ─


[ 準備を済ませ花畑へと。
 男二人で見に行く場所としてはやや浮いてはいるが、
 早朝で人影もまばらな故、それ程は気にならなかった。
 逆に、女性観光客達からは何やら噂されているのが聞こえる。
 その内容は、かつてのカフェでよく耳にしたような内容で、
 当時を思い出し笑みが漏れた。

 手を繋ぎ青紫の世界へと辿り着く。
 早朝の風は一際快適であり、ラベンダーの香りも手伝い
 一層心地良い。]


  ……おい、大丈夫か? 寒いのか?


[ 時折がたり、とふらつきを見せる様子に立ち止まり、
 バランスを崩しそうになれば腕を握り掬い上げて。
 大丈夫か、と目線を合わせ顔を覗き込む。

 昨夜の影響だろうか。互いに本日の睡眠時間は長く無い。
 既に傷、損傷箇所はほぼ見当たらなくなったとはいえ、
 久々の反動は大きかった。
 更に夜を共に過ごしたとあらば、多少のふらつきも致し方ない。

 寒そうならば、ベージュの薄手のジャケットを肩に掛けて。
 サイズ的に合わずぶかぶかに見えるが、俺から見れば
 その姿すらも愛らしい。]

 
 開いてないのか、残念。だが折角だから休憩するか。

[ 丁度小さな販売所が見えたので、営業前だから丁度良いと
 椅子に座れと促して。
 座ったことを確認すれば、隣に座り、手を重ね暖めた。]

   
  ラベンダーミルクティーか。何だか美味そうだな。
  俺? 俺の推しは
エクストラバニラホイップアップルアプリコットダージリン



[ カフェバイト時代、ダブルryが原材料品切れにつき
 飲めなくなってしまった俺が嘆き、代わりに考案した品の名を出す。

 同時に、当時の記憶がふわりと蘇える。 

 「二人は仲が良い」と客に嬉しそうに言われ、
 苛立ちを覚えていた時のこと。

 距離が縮まってから、ダブルry勧めたら酷い顔になったこと。

 何時の間にか店の看板コンビになっていたた俺達の
 撮影用はめ込みボードが出来たという、前代未聞の出来事に
 遭遇したこと。

 ──全てが懐かしい。罵倒し合ったことも。
 早く辞めてくれないかと内心思っていたことも。
 当時の俺が、数年後こんな風になると聞いたら
 絶対に信じないだろう。]

 
[ その後体力は順調に回復し、今日も二人で楽しい時を過ごした。
 かつて乗ろうと約束した、クルージング船の乗船が叶った時。
 出発前から見たいと言っていた、イルカを発見した時の
 リーのはしゃぐ姿を見ると、思わず俺が保護者のような気分になり
 「あまり乗り出すなよ」と頭を掴んで引き戻したり。


 
──ああ、ここに来れて良かったな、と。
   俺が見たかったもの。欲しかったものは
   リーの嬉しそうな、幸せそうな姿なのだから。
   ずっと、見ていられる。

   そして、その隣に俺が居るのだから。



 今日も楽しい一日は、あっという間に過ぎ去っていく。
 旅程の残数が少なくなればなるほど、寂しさを感じてしまうのだが。
 ──同時に、引越しの日は着実に近付いている。]
 

 
[ 再び部屋に戻り、先程の興奮覚めやらぬまま
 外の景色をぼうっと眺めていた時。]

 
  ああ、構わないが。

  …… ……これは。

[ 声を掛けられ、言葉のまま左手を差し出す。
 昨夜糧となった二本の指は、既に以前と変わらぬ状態に戻り、
 色艶を取り戻していた。
 

  
  左手を出して欲しい。
  失くしたら泣く。

  この二つの言葉、昨日の誓い。欲した二本の指。


  
──── 結論に辿り着くのは、容易だった。]

 

 
[ アイスブルーのダイヤモンドの指輪をまじまじと見つめる。
 結婚指輪は給料何ヶ月分とよく言うが、
 改めてリーの経済力を思い知る。
 流石二十代にして都会の高級タワマンに一人暮らしする男。

 以前から結婚はとと友人に茶化されていたことはあったが
 はぐらかしていたのは、俺がもう少し甲斐性をつけてから、と
 密かに思っていたのはあった。
 確かに以前に比べ主演も何度か経験させて貰い、
 テレビや雑誌等にも出させてもらえるようになった。
 それでも、リーの隣に立っても良いのか、並べるのか、と
 いう思いは常に残っていた。

 それでも、昨日星の下で永遠の愛を誓ったのは。

 ──やはり、俺はリーのことが本当に、本当に大好きだから。

 絶対に離れて欲しくない。ずっと俺と共に歩んでいきたい。
 生涯を共にしたい。
 だから上手く理由をつけて、リーの家に押しかけることにした。

 俺のちっぽけなプライドなんて数年前に消え去っている。
 ただの弱い小者だ。だからこそ、プライドか愛
 どちらを天秤に掛けるかと言われれば、答えは言うまでもない。]
 

 
  ありがとう……。
  ……今日ほど嬉しい日は無い……。
  何だか、信じられなくて……でも、本当にうれ……。


[ 指輪を指に嵌め込まれる際の擽ったさに、あっ、と一瞬
 声が漏れたりもしたが。
 こんな時に気の利いた言葉が出てこない自分がもどかしい。
 普段ならば甘い言葉もすらすらと出て来るのに。
 もどかしさを抱えている間に無事、左手の薬指に
 指輪が嵌め込まれ、新しい指と輝く指輪をじっと見ていた時。]


  
……ん、っ……。



[ 唇と唇が触れ合った。
 一見普段と同じ、でも違う特別なキス。
 
 自然と腕を背に回す。
 言葉が上手く紡げないのならば、思いを伝えれば良い。
 
 最初は背を、髪を労わるように撫で下ろし。
 徐々に力を混めていく。
 離さない、これが俺の思いの強さだとばかりに。]
 

   
  ……無くすはずないだろ。
    最高の、最愛のプレゼントをさ……。
 
  リー、愛してる。これからも、ずっと一緒だから。
  改めて……これからもよろしくな。


[ 腕の中の愛しい、かけがえのない人を強く抱き締めながら。
 この時が夢では無いのだろうか、とは未だに思う。

 しかし、腕の中の温もりは何時までも消えること無く。
 その後も、愛する人の存在を確かめ合い続けていた。

 たとえこれが夢だとしても。
 目が覚めたらこの夢を現実にすれば良いだけのこと。

 俺達なら、それをきっと叶えることが出来るだろうから──。]*
 


[待ち合わせの場所は河原だった
何故河原なのかは分からないが、彼にとっては何かある場所なのかもしれない

遠くで、キャッチボールを楽しむ子供達の声が聞こえる中
個人面談は始まった]


 海外への出張?
 社会人の人って大変ですね…


[セスキャプテンは社会人だ
会社でそう言われたなら従うしかないのだろう
…と、素直に受け取ろうとして
嘘、という事を知る]
 



 話しにくい事なら無理しなくていいですよ
 嘘だってみんなには言わないですから


[自分でもわかるぐらい明らかに何か大きなものを抱えているようだった
こちらを見つめる目線を返す。心配そうにキャプテンの顔を覗き込む。

別の世界から来た話は…理解できなかった
したくなかったのもあったのかもしれない
それでも嘘だとは思えなかった

見せられた手紙が、確信を後押しする]
 



 いじげん、てんい、そうち…


[やっぱり意味わかんない
裏で何が起こってるかも知らない]


 ……よくわからないですが
 とにかくもう、キャプテンとはお別れって事ですよね


[悲しいとかそんな感情が来る前に
何も考えられなかった

そんなことになるなんて、昨日まで知らなかった
どうして最後にいうぐらいなら、先に教えておいてくれなかったのか
言っても仕方のない言葉が、漏れる]
 



 私が、キャプテン……


[あまりの怒涛の流れに理解が追いついてない頭で
ぼんやりと見つめるのはCマークのついたユニフォーム]


 ……わかりました。”預かります”


[押し付けられたユニフォームを丁寧に畳んで腕に引っ掛けた

言葉を選んだことは、バレてしまっているだろうか]
 



 
( ごめんなさい
 本当は引き受けたいけれど
    私には…時間もないし
    人を率いる才能も勇気も無い


       それに目指すべきものが、今見えたんです
       不器用な私には
       今はそれを目指すことしかできないから…… )


 


[去っていく姿に
さようならと無理矢理絞り出したが
ちゃんと声になってくれただろうか

聞きたかった言葉の続きも聞けないまま
何処かに行ってしまった姿は直視できない


抱えていたユニフォームの裾を濡らそうとしたものは
秋風に乗って飛んで行ってしまった]*
 

[室内練習場]

……以上が、キャプテンからのメッセージです。メッセージに従い、監督と代表者は私が引き継ぎます。キャプテンは……今のところ、空位とします。


[セスから預かっていたビデオテープを再生し、真実を知らされなかったメンバーに改めて真実を伝えた。静まり返るメンバーに]


セスさんがいなくても、私達は頑張らなくていけません。今こそ一致団結し、元の世界に帰ったセスさんに、「貴方がいなくても大丈夫」、そう言えるように勝ち抜いていきましょう!!

[そう、セス譲りの熱意を交えた甲斐もあって、沈んでいたメンバーの気分が再び高揚する。その様子を笑顔で見つめて、次の言葉を発する]


さて、今日は我がカットバースへの入団を検討されている方がいますので、皆さんにご紹介します。……どうぞ、入ってください!


[そう言い終えたのを聞いて、はいってきたのは……*]

[ここで待つように、と監督さんに言われ、しばらく。湿っぽい空気になったかと思いきや、すぐに熱気あふれる空気に変わり、ドアの外のセスは震えることしかできなかった]


大丈夫なんだよな……あー、帰りたい……
でも、ここで逃げたらダメだよな。色んな人にも世話になったし……


[そんな考え事をしていると、監督さんが入ってきてと言ったのが聞こえる。その声に、セスは意を決してドアノブを掴み]


よし、行くぞ……!


[回して、引く]

皆様初めまして!体験入団のセス・グライシンガーと申します!



ポジションは、バッテリー以外どこでも守れます!あまり上手くありませんが何卒宜しくお願い致します!



[深々と首を垂れたセスに聞こえたのは、驚愕の声か、歓迎の声か、それとも……*]

 
 
─ 数週間後 ─


[ 引越の日が来た。
 逃げるように数年足らず住んでいたあばら家を離れ
 リーの家(高級タワマン)へ荷物ともども転がり込むことに。
 リーの助言(小言?)もあり、荷物は大分減らし、大量に処分した。

 引越し当日も手伝って貰い、搬入だけなら午前中でさっと終了。
 事前にリーが家の受け入れ態勢を準備してくれていたのもあったが。
 さすがにきめ細やかさには定評がある。]
  


  な、新しい家、今度一緒に探しにいくか。
   

[ 荷物を開けていた休憩中。兼ねてからお気に入りだった
 ソファーに身体を投げ出し、リーに尋ねる。
 とても今日越してきたとは思えない住人っぷりである。

 
 そもそも、俺は『家が見つかるまでの居候』という名目で
 越してきたのである。
 見つかれば、自動的に家を出ることになるのだが。


      ──既に、その必要は無くなっているようなもの。]

 

 
  ああ、でも俺もリーも全国駆け回る仕事だから、
  別荘があれば楽かもしれないな。
  その際にまた色々な場所を楽しめるだろうから。

  それだけじゃない。
  前言ってたグランピングも、都合のつきそうな日教えてくれな。


[ ただでさえ多忙の二人、満足に片付けをする時間も無く、
 さらに新婚生活とあって大忙し。]
 

 
  あ、それと。
  左手出してくれるか?


[ 此方に来いよ、と指輪が光る左手を振り
 再び椅子の上から呼びつける。
 
 来てくれたならば白く細い指を幾度か撫でた後、
 インサイドストーンにスタールビーのダイヤモンドが
 あしらわれた指輪を、丁寧に嵌めこんだ。]


  ほら、これと対になってるように見えるだろ?


[ リーは既に自分用の結婚指輪を用意していたかもしれない。
 いや、している可能性が高いだろう。
 
 だとしても、どうしても贈りたかった。
 結婚指輪が余りにも嬉しかったから。

 何なら普段使い用で使ってくれれば良い。
 勿論使ってくれれば嬉しいに越したことは無いのだが。

 ──『ヴィクとリー』の日々は、これからも、ずっと続く。]*
 


[3年後]

[あの時スタンドから見ていた景色は
今ではグラウンドから見上げるものに変わった

今日の試合は交流戦。あの時と同じスタジアムにて。
初めて野球観戦をした日を思い出す
教えてもらった引っ張り打ちを武器に私はここまでやってきていた]
 



[あなたが帰ると知った日


私は、あなたの夢を叶える決意をしたんだ
それがきっと、あの日の1番のお返しになる
]

 


[そしてあの地で偶然にも打った右方向への初本塁打が決勝打になって
チームはその日勝ち星を掴んだ

帰ってきたホームランボールを手に
ヒーローインタビューで聞かれた事
「このホームランボールは誰に渡したいですか?」

定番なら親、あたりだろうか
両親に渡したい気持ちが湧き上がるよりも先
何故だか私はこの問いに即答していた]


 私の、恩師の人に渡したいです


[ナイター球場のライトと、カメラのシャッターの光が眩しい]
 


[自分のサインを入れたプロ初のホームランボール

キミは私の言う
あの時を知らないかもしれない
だけどどうしても渡したかった

グラウンドの中を駆け抜ける
深い緑色の髪の後ろ姿を見つけて、笑顔で声をかける]
 




  待たせてごめんね
     ……これ、”あの時”のお返し。**


 

― それから数週間後 ―


[愛する人に生涯を誓う指輪を贈り、
望み通りの反応を得た旅行から数週間。
予定通り、ヴィクが家に越してきた。

毎日「行ってきます」と「おかえりなさい」を言い合い、
同じベッドで眠りに就ける、夢のような日々。
ヴィクの嬉しそうな、幸せそうな姿を眺める度に、こちらまで幸せな気持ちになる。

自分一人の家でなくなったのを機に、二人用の大きなベッドを購入した。
旅先で共に過ごしたキングサイズのベッドには及ばずとも、それなりに質の良いダブルベッドだ。

今朝も彼は、未だ夢の世界の住人となっている。
相変わらず多忙な日々を送っているから、疲れが溜まっていたのだろう。

隣に寝転んだまま愛らしい寝顔を眺め、
額に掛かった前髪を払った。

額へと軽く口付けを落として、
起きる様子がなければ、耳元へと囁き掛ける。]




  ――ヴィク、朝ですよ。
  起きてください。

  起きないと――ーー…………


  食べちゃいますよ?


[スタールビーのダイアモンドがあしらわれた指輪を嵌め込んだ左手を、そっと彼の左手へと重ねて。
指を絡めて、ぎゅっと握り込む。

――さぁ、起きてください。
『ヴィクとリー』の為の、新しい家を探しに行こう。]**

 




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