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人狼物語 三日月国


254 【R18G】星海のフチラータ【身内】

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視点:


【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

……作業を進める内に気になる物を見つけた。
作業の手を少し止め、やや思案の時間が挟まる。

「……」

ナル。ナルか。
このデータにも個人的な興味があるが――、
メンテナンス中にハッキングなんぞしようものなら、
さらにエラーが起こる可能性も0ではない。
痕跡が残ろうものならまっ先に怪しまれるのは自分だろうし。

今はやめておこう、と。
検出されるエラーを全て修復したのち、
もう一つ気になるモノ、人格データが納められているであろう
ディレクトリを覗かせてもらう事にした。
(-192) susuya 2024/03/29(Fri) 11:41:19

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「校正にCPU領域が割かれてしまうので修正していただけると」


負荷の方が問題らしい。
能動的に使える機能として実装されたらされたで
何だかんだと使うかもしれなかった。されないけど。

「聖なるもの、ですか」
「確かに希少性から神聖視されることも
 ところによれば自然なことかもしれません」

「私に使用されている流体金属は…
 このヴェスペッラが開拓船だった時代に
 発見した資源惑星から採掘されたものだそうです」

だから、ヴェスペリウム。
発見した事で得た命名権から、この船の名前が付けられた。
そんな他愛のない返答を返しつつ。
(-193) unforg00 2024/03/29(Fri) 12:42:06

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


あらゆる観点でも、ハッキングのリスクは高い。
今無理に見ようとするよりも、持ち主に直接掛け合う方が
きっと事はスムーズに進むことだろう。

ともかく、人格データの収められたディレクトリを開いたなら
まずわかる事はそれが8年と少し前から更新されていない事だ。
それが人格データの持ち主の死亡によるものである事は──
患った病のデータがあることから、容易に推察できる。

アルフォンソ・サントーロ。享年17歳。
ノッテファミリーの金庫番、
カルロ・サントーロ夫妻の実の息子。
周囲に愛され、周囲を愛した暖かなひと。

身体が弱く、宇宙そらとそこを往く船、
そのクルーの両親に憧れた、ごく普通の子どもだ。

その人格データがバンカーのメモリ内にある理由は、
(-194) unforg00 2024/03/29(Fri) 12:43:06

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「…………」
「それ、気になりますか」

そして、ふと。
暫しの沈黙が降りれば、口を開く。
技術屋が自分の中身を検めて気になるものといえば、
バンカーの役目には無用、場違いな人格データと想像──
推測する事はそう難しくない。

見られて困るものでもない。手を加えられるのは困るが。
見られる事すら憚られるものであるなら、
幾つかのデータと同様にロックを掛けている。
(-195) unforg00 2024/03/29(Fri) 12:43:50

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

わかってます、わかってますとも。
そんな相槌と共にしっかりエラーは修正されゆくのだった。

「そ〜なんだよ、珍しいし。
 流体金属の性質的にこう……ウチんとこの神様と
 なんとなく重ねられててさぁ」

「ふう〜ん。そしたら13年よりは前に出てきたやつか……
 この船の名前もそうだが、随分お綺麗な名前だよな」

浪漫のある話だな、なんてこちらも他愛ない返事を。

(-197) susuya 2024/03/29(Fri) 13:20:51

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ


「……ん? ああ」
「バレたか。 悪い、ちょっと興味があった」

「お前の中にあるのはちょっとだけ意外だったな」

見ていたことを誤魔化そうとはせず、
素直に謝り視線をそちらに直した。

「覗いちまったよ」
(-198) susuya 2024/03/29(Fri) 13:21:11

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「いえ。お気になさらず」

掛け違えていたラッチがかちりと嵌ったような感覚。
しっかりと修復の終わった喋りは実にスムーズだ。
それを確かめつつ。

「意外に思われるのも無理はありません」
「あまりないことでしょうから。
 故人の人格バックアップデータを、
 AIの学習データとして取り込むということは」

覗かれて困るものでも、隠し立てするものでもない。
興味があるというならば、
メンテナンスの礼としてでも受け取ってくれればいい。

「私のオーナー……カルロ・サントーロは」
「自身の子どもをいつか宇宙へ連れていくのだと
 アルフォンソ・サントーロの生前、
 そう聞いたデータがあります」

「それを、こういった形で叶えようとしたのでしょうね」

自分事ではないようで、けれどまったく他人事でもない。
そんな語り口だった。
(-200) unforg00 2024/03/29(Fri) 13:41:01

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「…メイドマン アウレア様は」
「興味があったと仰りましたが」

「故人の人格バックアップデータを
 このように扱うことを、どのようにお考えですか?」

特別深い意味は無い、
ただ気になっただけの──AIらしからぬ問いだ。

人によっては、あまり良い顔はしないかもしれない。
そういうものだ。人格データの取り扱いというのは。
(-201) unforg00 2024/03/29(Fri) 13:41:48

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

「ん〜……まーね。ヨソじゃああまり見ないから」
「怒るヒトもいるだろうし。
 こーいうのはデリケートだからさ」

「……死後なお夢を叶えさせてあげるために、か」

果たしてデータと化した彼が、
このように学習データとして、
バンカーの内部に護られ宙を旅している。
あなたの身体であれば、エラーに侵されることはあれど、
病に侵されることはもう無いだろう。

それが「叶った」と言うかどうかもまた、
人に寄って意見は分かれるのだろうが。

(-206) susuya 2024/03/29(Fri) 14:47:41

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

「……俺様ちゃんはな」
「いいと思ってるよ。そういう事」

本来のシスターであれば冒涜的などと言うのだろうか。
少なくともアウレアの答えは、そうではなかった。

もういいぜ、とあなたの背を軽く叩いた。
メンテナンスは終了。恙なく、何の問題も無く。

「いい時代になった。バックアップさえ取れれば、
 肉体のしがらみからはおさらばだ。
 身体が使えなくなったってある程度の記憶と心は残る」

「それは
一種の魂の解放
だよ。次のステージだ」

「まあイレモノがないと解放どころか動けないんだけどね。
 アルフォンソくんはいい旅が出来ているようで何より!
 旅っつか今漂流してんだけども」

すらすらとそう語るアウレアの言葉は、
まるで聖書を読み上げるように粛々と、明朗に。
一点の曇りなく、そう信じているようだった。
(-207) susuya 2024/03/29(Fri) 14:49:20

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


ぽすんと背に触れた後、メンテナンスの終わりが告げられれば
露出していた記録媒体を覆うように、
流体金属はまた元の形へと戻る。

酸素が無くとも活動できる金属の身体に、格納庫のバンカー。
システムθからも独立した、この船で最も安全な場所のひとつ。
そういうふうに作ったのは、
我が子に再び不幸を味わわせまいという
親心というものなのだろう。

「…魂の解放」
「そうですか」

あなたの語った言葉を確かめるように繰り返す。
淀み無く語られる言葉に嘘は無い。ならばそうなのだろう。

外見こそ変わってしまったけれど、病に苦しむ事も無く。
宇宙の何処までだって行ける身体で、
再現エミュレーションされたアルフォンソは確かにここメモリに居る。
メインシステムはバンカーのものだとしても、確かに。
(-213) unforg00 2024/03/29(Fri) 15:41:03

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「…でしたら」
「メイドマン アウレア様。
 仰る通り、現在星間航行船ヴェスペッラは緊急事態
 漂流と言って差し支えない状況にあります」

「緊急運転モードによって
 環境制御・生命維持システムは維持され
 最低限の機能こそ生きていますが、
 ここはスペース・サルガッソー。いつ難破ロストするとも知れません」

「それでも、機械なら、何が起きても。
 船外活動ができる。あなたたちの記憶と心を、
 どんなに小さな事でも忘れずにいられる。だから」

「現在のあなたの人格バックアップデータを、
 私のメモリに保存したい、というお願いも」
「…許していただけますか?」

バックアップの保存先は、幾つあっても困りはしない。
この状況を脱したなら、削除するようにと言えば
ストレルカは迷わず頷くだろう。

ただ、叶う事ならあなた達を守りたい。
そしてあなた達が『今』生きている事を、
忘却の彼方へ置き去りにしたくはないのだ。
(-214) unforg00 2024/03/29(Fri) 15:41:36

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

「現在の俺様ちゃんの人格データを?」

……思わぬ提案だった。
ふざけたハートフレームの奥の瞳を大きくして、
それから再び思考を巡らすように口を閉じた。
口元に手をやり、しばし。

「まあ……大丈夫か。お前のメモリ容量を少し圧迫するけど」
「嬉しい申し出だ。お前になら任せられる」

「が。一つ質問させてくれ」

ぴ、と人差し指を立ててそのまま続ける。

「ストレルカ。お前には俺がどう見えてる?」
「どんな人物で、どんな印象を抱く」

と、そう貴方に問うた。

アウレア。
気まぐれで奔放、振る舞いも所作もその場その時ですぐに変える。
子供のような事を言ったと思えば、大人びて。
無責任だと思えば、誠実であり。
さっきまで怒っていたと思えば泣き始める事もある。
勝手な人間だと思われるかもしれないし、
掴み所のない人間だとも思われるかもしれない。
人にとってこの女に抱く印象は変わるだろう。当然の如く。

あなたにとって『アウレア』とはどのような個体なのだろうか?
(-216) susuya 2024/03/29(Fri) 17:13:00

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「記憶容量に余裕はあります。
 私は膨大な貨物の入搬出を記録できるのですから」

申し出る以上は、それをできるだけの自負がある。
セキュリティ上も、そう易易とは破られないとも。

とはいえ、もしかすれば。あなたのそれは、
想定よりは大きなデータになるのかもしれないけれど。

「──どんな人物か、ですか」

そうして、問い。
機械AIは嘘を吐かない。
人ならばおべっかを使い得る所でも、そうはしない。
ストレルカは嘘を吐く事ができる。そうしようと思う事が無いだけで。


「そうですね」
「とても複雑な方です。私には予測がつかないほどに
 明るく、けれど時に冷静に。感情豊かで、
 そして聡明で、私たち機械を丁寧に扱ってくださる」
(-220) unforg00 2024/03/29(Fri) 17:54:53

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


あなたのおかげで安心してアクセスできるようになった、
人格データを参照し、バンカー自体の思考プロセスも使い。
そうして自分なりの答えを導き出す演算する

「優しい方ですよ」
「とても」

いずれにしても、共通する答えはそれだった。
(-221) unforg00 2024/03/29(Fri) 17:55:31

【秘】 黄金十字 アウレア → バンカー ストレルカ

「…………」「そっかあ」
「答えてくれてありがと。それじゃあ、あー」
「オトモ君。こっちに」

静かに横に浮いていた小型ドローンオトモ君を手元に呼ぶ。
アウレアは両の手の内でオトモ君をキャッチして。

「人格データのエクスポート申請。最新の一つを除く」
『申請:承認しました』
「悪い、ちと形式が特殊でな。S社のを使ってないんだ。
 ウイルスとかつまらないものは入れてないから安心しろ。
 受け渡しの形式は何が都合良い?」

……そのドローンの中に人格データが納められているらしい。
機械音声が承認を告げたのち、
小さな稼働音を少し大きくする。

「なんか褒められた気がするな。
 アウレアちゃんちょっと照れちゃった」
(-224) susuya 2024/03/29(Fri) 18:39:07

【秘】 バンカー ストレルカ → 黄金十字 アウレア


「なるほど」

様々な理由によって、
S社とは異なるルートでバックアップを取る者も居るだろう。
裏社会の人間であれば、尚の事。

「そのままこちらへ通信を行えるなら、それで。
 バンカー・ストレルカ、ポートを開放……いつでもどうぞ。
 生のデータを渡していただければこちらで処理いたします。
 通信時間を短く済ませるならば、有線接続でも構いません」

オトモ君、と呼ばれたドローンを見遣る。
あなたにとって大切なものである事は窺い知れたが、
まさか人格データまで収められているとは。

有線接続を行うならば再び記録媒体を露出して、
そのまま直に接続する事になるだろう。
無線であれば比較的に時間は掛かるが、
接続の為の線を出す必要は無くなる。

「褒めたつもりですので」

AI嘘吐かない。
(-225) unforg00 2024/03/29(Fri) 18:56:49