260 【身内】Secret
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おー、縋っとけ。
イく時に落ちたら危ないしな。
[上等で広いソファでも、寝台よりは心許ない。
強い快楽に翻弄されている様を見れば
もしかすると絶頂もそう経験がないことかもしれず、
それなら衝撃で跳ねた身体が落ちてしまうかもしれない。
自分は少し息苦しいが、縋ってくれる方が安心して
蜜壺を攪拌できる。]
[ちゃぷちゃぷと音が鳴り、腕まで蜜が滴ってくる。
指はもう3本を楽に飲み込み、挿入に合わせて
形を覚えようと内壁が締め付けてくる。
譫言のように「すき」と繰り返す声が
耳から脳を犯しているようでクラクラした。
一度彼女を高みに押し上げようと思っていたが限界だ。]
はぁ……、
ルミ、もうちょっとお尻こっちに
寄せられるか?
[ルミが上肢を此方に傾けた時に
自然と臀部は外に突き出すような形になっていた。
指を出し入れするにはそれでも問題なかったが、
生憎自分の持ち物は腕程長くはないので。
意図に気づいて身構えられるより先に、
寄らせた尻を落とさせる。
次からは避妊具をちゃんと用意しよう。]
っ、
[つぷ、と太い部分が媚肉を掻き分ける。
ルミの腰が落ちるのが先か自分が腰を突き上げたのが
先か――
ぷぷぷぷ……と驚く程スムーズに幹も呑み込まれ、
ふたりの肌が吸い付くように合わさった。]
あー……一気に入れちゃったな……。
……痛くないか……?
[因みに生で女性の膣に挿入するのはこれが2回目だ。
1回目は先程のルミの暴挙である。
信じられない程気持ちがよくて、
気を抜くとすぐに出してしまいそうだ。**]
[ あの頃の無邪気な笑い声が、
いつしか呻き声にしかなれなかったように。
変わってしまったことなら数えきれないほどあって、
変えられないまま重ねたことも山ほどある。
今から、なら。
ここからなにが増えて、どう色を転じていくのだろう。
分からないことは恐ろしい。
守るよりも壊してしまう方がずっと簡単だ。
けれどそうしないことをふたりで選んだから、
写真という楔を重ねていく。 ]
[ 女心と秋の空という言葉がある。
ならば、複雑だという男心にはどんな言葉が似合うだろう。
「ふうん…?」と理解しきれないように首を傾げ、
果たして昔の少年もそんな気配はあったか、と
思いを馳せかけて、止まった。
それよりも先に動いた喉仏が、
確かに彼が大人になったことを示すようで。 ]
…………お兄さんも難儀だね……?
んー、……えっと……。
……ぎゅうしよ。えい。
[ 傷付けたい、ずっと抉り続ける、と言っておいたくせ
へこんだと訴える彼を抱き締めるなんて、
負けず劣らずこちらも勝手な話だ。
男の人を可愛く思う恋は重症だとよく聞くけれど
あながち間違いではないのかもしれない。 ]
ふふ、うん。
……待つよ、ずっとね。
[ 永遠に等しい時間が、永遠に形を変えるだけ。
死ぬまでの間。
或いは死んでも貴方のひかりを探すのだろう。
同じ深度で愛を交わせなくても良い。
ただこの奇跡が一夜限りの幻ではなく
地続きの今になれば、それだけで。 ]
[ ──とはいえもしその夢すら手元に残るなら、
自分は喜んで毒林檎でも何でも食べてみせるだろう。
十数年、甘く煮詰めたこの愛と
同じ苦さを彼が抱えてくれるというのならば。
" ひつじ "がいいと無邪気に言ったあの頃。
取り零していく日常や時間にも気が付かず、
ただ毎日ばかみたいに与えられる日々を待っていた。
家がどんな風だったかはもう忘れた。
何となく、正しくない家だったことだけ覚えている。
傷付いたことも、憎んだことすらない。
────あのひとたちのおかげで、
わたしはひとつの愛を抱え続けて死ねるから。 ]
ッこんな、かお、見せるの
お兄さんにだけ……。
[ 彼らがしたかったのはあくまで性欲の処理であり、
自分とのセックスでは無かっただけだ。
例え丁寧に扱われても、
こうやって感じてやれなかった気がしてならないが。
好きにしているなら、彼はこっちの方が好きなのか。
──と、勝手な解釈をまたもや進めながら、
遠慮なく彼の肩へ縋りつく。
────やっぱり服を脱がなければよかった。
着たままでいれば、布擦れの音で
この粘着質な水音を掻き消せたかもしれないのに。 ]
、よせる……こう……?
[ 不思議そうな顔で、考えるより先に指示へ従った。
震える膝をどうにか立てて、
背中を伸ばし、身体ごと彼に近付ける。
何をするのかと伺うように彼を見上げた。
言葉で問いかけようと口を開いて──── ]
────ッッ、…………ぁ、ふ…ッ
[ 入り込んだ彼の熱の先端が、浅いところを擦り
その刺激で身体からかくんと力が抜ける。
蜜ですっかり潤った媚肉は抵抗もなく、
容易く熱を奥まで呑み込んだ。 ]
[ 自分で自分を支えられず腰が落ちてしまえば、
突き上げられる衝撃から逃げることも出来ない。
とちゅん、と奥まで穿たれたような感覚に、
視界がちかちか瞬いて呼吸を奪われる。 ]
……ッ、……ぃ、たく、ない……けど…っ
おなかの、おく、あつい……っ
[ 跨って彼のモノを生で挿れた時は、
こんな感覚が襲ってくることは無かったはずだ。
中にある熱の存在を意識すればするほど、
勝手に膣が収縮を繰り返すのを止められない。
彼の肩を弱く掴み、「きす、して」と囁いた。
混乱をすこしでも頭から逃がそうと、
支えになるものを求めて。** ]
[あの頃技術がもう少し発展していれば、
社会情勢が今と近ければ、
母親のガラケーに頼らずとも自ら気軽に
2人の写真を撮れていたかもしれないし、
連絡先が繋がっていればこんなに何年も
断絶していることはなかったかもしれない。
この10数年だけでも、2人だけではなく
環境そのものが大きく変わっている。
きっとこの先も思いもよらない変化に
晒されることになるだろう。
だがこれからは2人でいるから。
撮った写真が後悔とならないように、
重ねた思い出に囚われないように、前へ。]
[何せ考えなしに排泄物の名称を連呼していた小学生男児だ。
その頃には男心なんて複雑な精神構造はしていなかった。
ルミからすればピンと来ないのも無理はない。
説明すべきかと口を開きかけたら、
ルミなりに解釈ではなく解決策を考え付いたようで。]
わ。
[小さい頃のように無邪気な勢いで腕が回された。
あの頃より大きくなって、でも自分よりは小さくて。]
はは、参った。
ぎゅーーーーー
[傷つけられた訳ではなく、むしろ癒されているのに
鼻の奥がツンとする。――愛おしい。]
[約束は破らない。
「ずっと」と期限を区切らずにいてくれたルミが
待ちぼうけにならないように、その日はきっと近い内に。
こうしている間にも雪のように想いが
自分の中に積もっていく実感がある。
作られた運命の一夜でも、世間的に正しい始まりの
初夜ではなくとも、2人にとっては今後絶対に
なかったことにならない「一回目」だ。
二回目も――百回目も、数えることを放棄した後も、
その都度深まる想いを言葉にしていくと内心誓う。]
[何度、何人と、こういうことをしたのか、
聞いたり探ったところで事実は覆せない。
今は、「お兄さんにだけ」という言葉に煽られて、
吐息を乱すだけ。
素直に体勢を変えたルミを串刺しにして、
ルミの「最後の男」に成りにいく。]
っ煽んの、じょーず、
[乞われなくても唇を迎えに行った。
艶やかな果実をしゃぶるように派手な音を立てて吸って。]
ルミだから、こうなってんだからな。
[薄い腹を撫でて軽く押した。
他者と比べたことはないが、平均的なサイズのものが
その奥で堅さを主張している。
手淫で育てられた先程よりも育っているが、
ルミの裡も十分に整っているので傷をつけることはないだろう。]
ん、 む、 ……。
ルミ、 っ、 すき、だ、
[再び唇を重ねた。
今度は舌を差し込んで、上と下とでルミの粘膜を摩擦する。
こうすればきっと響く水音がどこから生じたのか
わからない。
右手でルミの背を支えつつ、左手は
腹を撫でた後に下に伸ばした。
挿入で快感を得にくいタイプなら、同時に秘芽を
弄った方が蜜も分泌されやすいかと。
少し押したまま左右に動かして、
喘ぐ呼吸の邪魔をしないようにキスから時折解放する。*]
[ あの頃も今も、彼はいつだって自分より大きい。
どんなに自分が成長しても追いつかなくて、
同じ目線で世界を見ることは出来なくて。
だからひつじになりたかった。
もふもふで、きっと誰にでも可愛がられて
誰のことも傷付けない。
食べられて、お腹に入って血肉になる。
横に並べないなら、そうしてでも一緒が良かったの。
ああでも、ひつじにならなくてよかったな。
貴方を抱き締める二本の腕も失うし、
言葉じゃない愛を伝える温もりも消えてしまう。
何より貴方が言ってくれた。
ずっとわたしの名前を呼んでくれる、って。 ]
[ 作られた運命も、本物の顔をしてそこに在り続ければ
いつかきっとただの運命になれるはず。
どこかに転がっている片道切符。
わたしだけが書き換えられるふたりの未来。
────彼の本当の運命は御愁傷様ね。
王子様を好きになった白雪姫みたいに、
物語は、人の心を強く奪った相手と生きるのよ。 ]
[ 探られれば当然教えることは出来るだろう。
それは逆も然り、知ることならいくらでも。
最初の相手になることはもう出来ない。
上書きして、自分の色を明け渡し続けて、
誰かが付け入る隙すら埋めて最後になる。 ]
ん、っぁ、……うれしい
おにいさんの、さっきより、おっきぃ……
[ 薄っぺらな腹を軽く押されると、
中の堅さを肌で感じて、なんだかぞわぞわする。
撫でられる時の刺激もあいまって、
皮膚がびく、と僅かに震えた。 ]
───っふぁ、あ、ン……ぁ…ッ
[ 唇が重なり、差し込まれた舌を迎え入れる。
キスの経験も少ないのが見て取れる拙さで、
粘膜を擦り合っては甘い声をこぼした。
水音が鼓膜の奥で響いている。
目が眩むようないやらしさと性の匂い。
腹の奥を突かれ、浅いところを熱が行き来するたび、
ゆるやかな快楽が神経を伝っていく。
────きもちいい、と蕩けた目をすこし細めて
完全に伏せようとしたその時に。 ]
ッひぁ、ン、 ふ…ぁぅ……っ!
や、それ、あたま へんに、なる……ッ
[ 強い刺激に意識を掬い上げられ、
たまらなくなって、思わず頭を振り言葉を紡ぐ。
充血したままの秘芽を同時に弄られると、
穏やかだった快感が脳髄を蝕むものに変わって。
媚肉がキツく収縮し、その度に蜜を溢れさせる。 ]
ン、ふぁ んン、ゃ、あ……ッ!
[ キスから解放されるたび、
抑えられない喘ぎが空気を揺らした。
生理的な涙で瞳を潤ませながら、彼へ縋って、 ]
───……ま、って、やだ……っ
おなか、おかしぃ……っ
[ 不規則に強く熱を締め付ける媚肉は、
絶頂が近いことを知らせるように蠢いている。
それがなんなのかを経験していないが故に、
焦ったように彼へそう囁いた。** ]
[選ばれなかった運命など、きっと潰えることを含めた
運命に違いない。
つくられたものでも、継ぎ接ぎでも、無理矢理でも。
最後まで遂行できた道だけが人生となる。
地獄は日常と同じ色をしている。
すぐ傍に潜んでいても気づかないくらいに
溶け込んでいる。
どの色が地獄かもわからないのだから、
この色を運命と言っても嘘にはならない。
ルミのお気に入りのワンピースの
黒
、
あの日間接キスをしたりんご飴の
赤
、
雷の光と雪に共通している白、
強欲にどれも自分たちの色だ、と運命を主張しよう。]
[自覚もあったが、受け入れるルミの方も
昂りが先刻よりも力を得ていることに
気づいたようだ。
胎を埋める圧迫感を嬉しく思ってくれることが嬉しい。
過去ではなく今の自分を
性的な意味でも好きになってくれたのだと
実感できる。]
あぁもう、可愛、 ん、
[応える舌はややぎこちなく、経験の乏しさを物語る。
それを導いて追いかけてもらうのが男の支配欲を擽った。]
[キスで幸福度を高めていれば、挿入行為が
好きになれなくても誤魔化せたかもしれないが、
欲張りな心がルミの快感をもっと引き出したいと
男の手を動かした。
充血して膨らんだ秘芽への刺激は
セックスにより快感を得ることを覚えたばかりの
ルミには強過ぎたかもしれない。
悲鳴のような嬌声が上がる。]
おかしくない。
ちゃんとルミの身体がセックスで
イきたがってるってことだから。
ナカ、俺がすきって締めてくれてる、
……出したい、から。
俺の、奥でちゃんと呑めるように、イッて。
[ふ、ふ、と荒く息を吐く。
潤んだ瞳の近くで涙を吸う仕草も見せて。
ルミが縋りつき掻き乱す自分の髪は
ライオンの鬣のように爆発しているだろう。]
[絶頂の近くまで導いて、
でも一人では越えさせない。
ぬるついた指を離して細い腰を掴む。
ぐ、と押し込めば柔らかい内臓に食い込んだのを
先端が知覚した。]
ルミ、ごめん、結局薬飲んでもらぅ、
っナカで、出したい、
[掴んだ箇所はルミが強く反応した脇腹と尾骶骨のライン。
男を歓待する内壁の蠕動に導かれて、重力に逆らって
精子が昇るのを感じた。]
[こじ開け、捻じ込み、ぶちまける。
避妊しない挿入が2回目ということは、
膣内射精はこれが初めてのことだ。
薄い膜でも、ないだけでこんなに違うのかと
搾り取られるように数度放熱しながら感心した。
薬があるとわかっているからとはいえ、
こんなにも暴力的な胤付け願望をぶつけてしまう
自分の乱暴さが恐ろしい。
射精感が一旦止まっても、ルミの内部を犯す楔は
穿たれたままの硬度を保っている。
こんなことも初めてで、
一度「終わった」のに離してやれそうもない。**]
[ ──好き、が二文字で良かった。
どんなに苦しくても、その二文字ならきっと音になる。
人はひとりでは生きていけない。
地獄は日常と同じ色をして毎日に溶け込んで、
気付けば傷だらけになっても息をして。
同じ傷を分かち合えるひとを、わたし達は運命と呼ぶ
感情も縁も、地獄さえ目に見えないから
言葉に意味を宿して意義を抱える。
死の間際まで誰かを愛していたいから、
わたし達は愛を" 好き "の二文字に込めたのだろう
────それぞれの色を宿しながら。 ]
[ 彼の紡ぐ可愛いという言葉はまるで麻薬だ。
与えられるたびに頭がぽやんと蕩けて、
雛鳥のように" もっと "と求めたくなってしまう。
────たくさんの人に与えられた可愛いよりも、
ただひとりの可愛いだけで
こんなにも、こころは満たされるものなのか。 ]
おにぃ、さ、
[ 快感と浮遊感で頭がくらくらする。
瞳に滲んだ涙が彼の体内に迎え入れられるのを、
どこか惚けたような気持ちで感じていた。
──ああ、頭がばかになりそうだ。 ]