【神】 光彩楽禍 テンガン>>5:+32 ラサルハグ 研修 名を呼ばれ、人の温もりが焦ったく肌を滑っていくとそれだけで心は悦楽が満ちる。苦い顔をしてかぶりを振り、どうにかその感情を払って。 続く言葉に──頭に冷や水がかけられたような感覚に陥る。楽に?自分が? もう一度、怠惰さの現れであるような彼の瞳を見る。また熱が戻ってくるまで、意図を探り、言葉を探して── 「……お前が楽そうには見えない」 ぽつり、と呟く。 長時間労働の証である眼元に視線がいって……何杯も珈琲を飲んでいた姿を思い出して。それが根拠では、馬鹿みたいな話では、あるが。 少なくとも抜け殻だった時の自分は、“何も考えなくていい”という状態は、苦しいことが何も意識できなかっただけ、だった。 一瞬だけ冷静になった思考を、だが近づいてくる中性的な顔が埋め尽くしていき。唇が重なれば、跡形もなく吹き飛ぶ。隅々まで粘液が染み込んだ口内に、抵抗の余地もなく舌が潜りこんでいくだろう。 二枚舌の教唆に頭が蕩け、息が詰まり。常軌を逸した快楽が、最早この身の全てを徹底的に包み、“溺れること”を何処までも叩き込まれていく。 どうにか顔を背けようとしても、身体が意志に反して、甘美な快楽を欲してしまう。嫌だと思っているのに。痛み一つでさえあれば楽なのに。 激しさを増す抽挿と、弱いところを的確に突く愛撫。そして何よりその口辱が、摩耗した精神を絆すような、暖かさすらも感じて。身体を丸めて、何度目かわからない絶頂で果てる。 目は蕩けて、酸欠で焦点も定まらず。精も根も尽き果てた、といった様子で触手生物にしなだれかかった。 (G1) 2021/07/10(Sat) 13:51:53 |