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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ

「穏健派ね。……ま、そうだろうけど。
 参ったな、聞いてたより大物だったりする?」

肩を竦めて、試食を受け取る。

「んー? うん。 ゴミ捨て場で拾ってね。
 特に面倒見てるってほどじゃないけど。
 たまに餌やって、あと部屋貸してるくらい」

面倒を見ているようだ。
(-185) gt 2022/08/18(Thu) 21:26:39

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア

「あ


タイツに包まれた細い足がテーブルを強かに打ち、けれどあなたと違い純粋に筋力が乏しいだけの女の足はそのまま、反動とともに体勢を崩す。
息を飲み込む間もなく顔を打つ蹴撃。
痛みと熱が激しく弾け、視界がぐるりと回転した。

「…げほっ」


ひとつせき込み瞼をあげたときには、目の前に穴があった。
――鉄と血、硝煙。
鼻の奥に溢れ出す鉄の匂いに、全身が強張る。

怯えたような、顔。
鼻と唇の端に、血の雫をぼこり、と浮かべて。

「………、……、」


許しを請うように、両掌をあげた。
化粧でも隠し切れないような青ざめた顔で、
震える唇で──

↓[1/2]
(-199) gt 2022/08/18(Thu) 23:40:03

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア



『姉さんッ!』『アヤぁつけに来たんか!』


ん、と。

扉が蹴り破るように押し開けられ、ばたばたという足音が響いた。
店の奥から飛び出してきた従業員たちが、一斉に拳銃を構えあなたへと向ける。
――そこに、如何程の隙ができただろう。
女が倒れ込むように、銃口から身を反らす間はあっただろうか。
どちらにせよその後は、頭に血が上ったばかな女の、衝動的な捨て身の行動だ。

ハンズアップした掌で頭部をかばうようにかざし、あなたの銃口を避けて一歩踏み込
む。
――もうとする。

ぷ。
口の中で砕けた歯の欠片と、
鮮血と唾液が混じったものを吹きかけ
る。
――ようとする。


倒れ込んだ時にひび割れ、欠けた朱色のネイルの下から血がにじむのも構わずにグリップを握り締め、
銃口を跳ね上げるように両手で構え直
す。
――そうとする。


「くたばれ、くそがき」



あなたがどうしようと、その言葉だけは口にして。
引き金を、引いた。
(-200) gt 2022/08/18(Thu) 23:43:27
ビアンカは、引き金を引いた。
(a23) gt 2022/08/18(Thu) 23:44:05

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ

「本音。
 どっちがいいのかなーって。
 うん、ほんとにお店みたい。
 美味しそうなご飯の気配、そしてステキなワイン、美人の店員──……」

椅子をぎい、と傾ける。
ごめんごめん、と口では呟くものの、その瞳はあなたをぼう、と見つめて。

「私はね」


「お嫁さんなんだよね」


呟くような言葉。空調の音にすら、紛れてしまいそうな小声。
――笑いもしない。冗談ではないようで。
けれどグラスにワインが注がれると、にんまり、と楽しそうに笑う。

「――できたら通うよ?
 常連客、一名確保だね」

グラスを掲げる。

「二人の夜に」

これはもう、完全に冗談だ。
にやにやと笑いながら、グラスに満ちた液体を揺らした。
(-201) gt 2022/08/18(Thu) 23:49:49

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ

「ありがと。
 美人だと得ですね」

いけしゃあしゃあと言って、アマルフィの夜明けのような満面の笑みを浮かべる。

「それとも、やっぱりあなたが変なのかな。
 ……また来ますね」

するとスカートのどこかから、折りたたまれたユーロ紙幣を数枚取り出した。
それをカウンターの上にぱらりと重ねて、ひょいひょいと駄菓子を抱え込む。

「養ってなんかないから。
 全部あとで返してもらうつもり。
 ……この菓子代もツケとこうかな」

駄菓子で、さらに半額だというのに。
どうやら、守銭奴であることは間違いないようだ。
(-202) gt 2022/08/18(Thu) 23:55:09

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア

――ああ、まずったな。


銃声が響き、あてどなく放たれた弾丸がアンティークのランプを砕く。
降りしきる硝子の雨の中は、どばどばと放出されたアドレナリンせいでいやにゆっくりと落ちてくる。
後悔の色が、色濃く脳裏に滲んでいた。
ビアンカ・ロッカは育ちが悪い。
それでも、この街でマフィアに尻を振って傅く日々の中
まだ自分にこんな狂犬じみた部分が残っていたことに驚いていた。

――ちょっと脅すつもりだったのに。プロじゃねえか、こいつ。


足元を刈り取られ、肩から床に叩きつけられる。
潰れた肺から空気が絞り出されて、喉が締まって――

、ぁっ…」

脳を貫くような衝撃に、再びぼたぼたと鼻血が落ちた。
あえぐように伸ばした手が掴まれて、爪を立てる間もなく伸びて──

ばき、ごき。
伸びきった間接が軋む音は体内を伝わり、妙に確りと聞こえてきた。

、、ッ、
、ぇあ
あ あ
!!」


痺れるような破裂音と、骨の内側から感じる熱。
錯覚だ。
一瞬遅れて、もう痛みとだけは認識できないような激痛が走る。
壊れた玩具のように、押さえつけられた格好で絨毯を転がって――

↓[1/2]
(-209) gt 2022/08/19(Fri) 0:48:26

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア


がくん、と。
その体が、持ち上げられる。

「っ、……ぁ、――ち、……──ぃぎ、、ぁっ、……ぅ、え…ッ」


釣りあげられた雑魚のように、足をばたつかせる。
床に散らばった硝子でずたずたになった肩口の肉が、暴れるたびに鮮血を溢し、
モノトーンの服をワイン・レッドに染めていった。

「……、……っ、」


かふ、と乾いた呼吸に、ぼごりという汚らしい水音が混じる。
血の泡が唇の端に浮かんで、絨毯を汚した。

「……、…〜〜!」


たん、たんと。
首を絞め揚げるリボンのふちを、掌がタップする。

「……、……わが、……った、…、も、…やめ、……て、…」


こちらを向く従業員たちの目と銃口は、戸惑うように揺れている。
ビアンカはそちらに向けて、掌を下に向けて振った。
――ばらばらと、銃が床を向く。

「……、あけ、…るから、……はな、……、ってよ……」


涙でぐしゃぐしゃになったアイシャドウが、充血した瞳を不気味に彩る。
肩越しに無理矢理振り返った横顔に、抵抗の意思はないようだった。
(-210) gt 2022/08/19(Fri) 0:49:39

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ

「ゆさぶって出てくるようなものは、女の子が欲しいものじゃないの」

くす、くすと零れる笑みは、喉の奥のふるえ、筋肉の動き、そしてこみ上げる喜びすらもてずから作り上げたつくりもの。
手を引かれることを、本当は望んでいたの
かもしれない。

けれど、手よりも先を預けるつもりはなかった
のかもしれない。

本心は、自分だけ。
どれだけ血とごみと、裏路地の泥にまみれても、籠の中の薄汚れた小鳥一匹だけを抱えて離さない。
――そのことを彼女は誇り、そして蔑む。

そのままに付き合ってくれるあなたを、彼女はわりと、好きだった。

「理想はね、何も言わずともくれるものだし」

塗り固めたような笑みが、透き通るような微笑へ変わる。
瞼が僅かに伏せられて、あなたの笑みを受け止めた。


「――ええ。
 信じてる。

 もちろん、次はたっぷりサービスしてあげるから」


次、なんて言葉に。
 いつだって、甘えていた。
(-390) gt 2022/08/20(Sat) 15:54:34

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ

「お客さんでもないのに、嘘なんかつかないよ──…」

揺れるワインとグラスの面を、透かすようにあなたを見る。
瞳が。いつだってそれは、透かしたような玻璃の向こうに、
僅かに潤んで、掠れて、消えていく。


「うん。
 ──……そうなったら、とても素敵。
 ワインはそんなに飲まないからね、あなたに任せて──……
 ふふふ、あっちはどうだったかなあ」

夢、なのに。
まるで、そこに誰かを見ているかのよう。

夢と酒に酔う彼女の瞳に、あなたならもうすっかり見慣れたであろう色がにじんでいる。
――落としてきた過去。もう二度と戻らない、決してつかめないまぼろし。

彼女の夢は、もう叶わない。多分、ずっと昔には、もう。


乾杯と共に揺れるグラスに、艶のある唇が触れる。
流れ込む液体が、こくん、と一度喉を鳴らして。


「……おいし」

今日の彼女は、くるくると表情を変える。
この笑顔も、そうだ。
少し驚いたようなどこか子供っぽい笑顔を、あなたに向けた。
(-395) gt 2022/08/20(Sat) 16:19:36

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア

「げほっ、…げほ…」


涎とともに零れ落ちた血反吐が、大きく開いた胸元とフリルワンピースのドレスを汚す。
同時に、ばたん、と扉が閉まる音。
従業員たちが今更ながらに声をあげ、後始末のために駆け回りはじめた。

ビアンカはあなたという嵐が去った後、踏み荒らされたカーペットの上に頽れる。

「……ぇほ、……げほ………」


従業員や娼婦たちが、気づかわし気に声をかけてくる。
――かけられる言葉。
  喧騒。
  痛み。
肩の手当てをされながらも、それらすべてがどこか、遠い。

↓[1/2]
(-398) gt 2022/08/20(Sat) 16:53:04

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア


「……何も、…ねぇか…」


充血し、涙をたたえた瞳が床に散らばる硝子を見つめる。
ばらばらと散らばったひび割れの中に、
いくつもの、幾重もの自分の顔が映っている。
――そうしてその瞳に映るのは、くろぐろとした淀みと澱。

その色は、たくさんのものが混ざり合っていた。
ただその中央を、一筋の感情が縫い留め束ねている。


「なわけ、ねぇだろ、…くそがきが」



――怒り、だ。


くしゃくしゃになった紙幣を、血に濡れた細い指が掴む。
あなたの後を追うようなことはない。
ただ、ぶすぶすと燻るような視線が、扉の向こうに消えていく背を一瞬だけ、かすめた。
(-399) gt 2022/08/20(Sat) 16:54:20

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ

「そう?」


何もなかった。
意味もなかった。
ゴミ捨て場に倒れるこどもを見た時、なぜ傘を差し伸べたのだろう。
なぜ、その手を引いて連れ帰ったのだろう。

きっと、疲れていたのだ。
つまりは、ただの気まぐれだ。
何の道理も通らないし、
何の意味もありはしない。

ただ、かつて失ってしまったものが、
もう決して手が届かないはずのものが、
そこにあるような、気がしただけ。


「ま、あんたがそういうなら」

――子供は嫌いだ。
けれどまあ、意味のないことなら。

「いいかな」


別に、そうしてもいいだろう、と。
隣にきたあなたを見下ろして、笑うのだ。

↓[1/2]
(-422) gt 2022/08/20(Sat) 19:08:44

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ



「…あんた、でかくなったねえ」

あの時、ただ引いた力ない手は。
ほんの少しだけ、暖かくて。



――もう二度と、失いたくはないと思っていたのだ。
(-423) gt 2022/08/20(Sat) 19:09:01

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ

「あはは、あーりがと。
 それじゃ、これもらってくね」

どこからか取り出した布のバッグを、ぽふんと広げる。
その中に駄菓子をからからと放り込んだ。
軽い音が鳴って、からっぽのバッグをほんのすこしおもくする。

「はいはい。それじゃ。
 ──ありがとうございました」

傘とバッグを抱え直して、入り口まで。
――そこで、急にぴしりと背を伸ばすと、深々と頭を下げた。


「また」


背を向ける。
どこかノスタルジーを感じさせる店内を最後に見た横顔は、寂しげだった。
(-424) gt 2022/08/20(Sat) 19:12:52

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ

酒が入ると、ビアンカはいつも口癖のように言っていた。

マフィアなんて嫌い。

けれど、金のために体をうる自分は、もっと嫌い。
――そうとしてか生きられず、そうである今に安心してしまっていることが、はらがたってしょうがないから。

「んー、…ふふ」

もうかなわない夢は、この先も叶わない。
力も、金も、学も意思もないひとりの女は、
いまさらかたぎの仕事に戻ることすらできないだろう。
グラスの水面に映る顔に、曖昧な笑みを浮かべ直す。


「ああ、……素敵。
 ワインも、料理も。
……友達も



グラスを片手に持ったまま、空いた片手で手慰みに、手入れの行き届いた机をつんと突く。
一本、二本。指遊びをするかのように、白く細く指が、朱色に彩られた爪が互い違いに机に触れる。

「んー」

何かあったのか、と聞かれたら。
まだ酔ったわけでもないだろうに、甘く熱い息を口の端から漏れさせて。

↓[1/2]
(-428) gt 2022/08/20(Sat) 19:20:56

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ



「もういいかなって」

答えにはならない、それが答えだった。
(-429) gt 2022/08/20(Sat) 19:21:29
ビアンカは、もう、どうでもよかった。たった一つのこと以外。
(a42) gt 2022/08/20(Sat) 19:21:52

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

大通りから一本逸れた場所。
石畳の上のベンチに、ひとりの女が座っていた。
モノトーンのフリル・ドレスに、傘が一本。

俯いたその横顔は十分に整っているといえるもので、
多少濃いメイクも夜の街灯の下、女の流れるような鼻梁や大きな瞳を美しく彩っていた──本来なら。

今はそんなメイクよりも目立つ大きなカーゼで、顔の左側が覆われてしまっている。その下の頬はどす黒く内出血していて、美しい輪郭の半分を醜くゆがめているようだ。
さらに骨折でもしたのか、包帯とガーゼで巻かれた右腕をサポーターで吊っている。気取ったようなネイビーのアームカバーが、ゴシックな服のうえですっかりと浮いていた。

――それでも、祭りの陽気と酒精に浮かれ、声をかけてくる男もいた。けれど、そんな物好きな男も。

「見せもんじゃねえぞ」

顔をあげた女のどろりとした瞳で睨みつけられて、愛想笑いをして去っていった。

クソがVa a cagare

そちらを見もせずに悪態を投げつけて、充血した眸をまた降ろす。
左手に持った携帯端末をじっと睨みつけたまま、女はずっとそこに座っている。
ただ、何かを待つように。
(58) gt 2022/08/20(Sat) 19:37:16
 




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