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【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「たまにあいつらのことは見えてた。 おれのこと見て、心配そうな顔してんだ。 寂しくってマボロシ見てンだなァって思った。 ――あいつらが死んでたの知った日からかなァ、 これまで静かだった癖、口きく様になっちまって」 右の耳介を一度なぞる。 捨てようとした銭の代わりに色取り取りの石を選んだ理由。 “死人に強請られたから”なんて言える筈も無かろう。 「おれの頭がオカシイからだと思ってた。 ……今もちっとはそう思ってるけども」 商人の頬の辺りに伸ばした手が、空を切る。 触れられないのは本当の本当にそこに居ないからで、 全て妄想でしかない可能性だって大いにあるのだけど。▼ (-147) 榛 2021/07/10(Sat) 17:17:16 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「でもお前サン、おれの頭ン中から 出てきたにしてはややこしいんだよなァ」 指の先、透けた耳飾りを見てヘラリと笑う。 まさかこんなものをつけて死んでいるとも、 つけた儘出てくるとも思わなかった。 「このとおり、おれには後も先もねェんだけども。 納得してくれるかねェ、お前サン」 (-148) 榛 2021/07/10(Sat) 17:18:11 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 突然掴まれた手に、ビクリと肩を震わせる。 熱を失った、冷たい手。 ジッと見つめて、確かめる様に緩く握り返す。 「……お前サンきっと、 頼んだらこの手で殺してくれんだろな」 そうしてその“最後の価値”とやらを差し出して、 跡形も無く消えてしまうのだろう。 「――もらわねェよ。ちいせェガキじゃねェんだ、 手ェ引いて連れてってもらう必要はねェや」 握られた手から力を抜いて、笑いかける。 いつものカラリとした笑い顔―― ――を作ろうとして、眉の下がってしまった様な顔。 下手くそに笑った顔の儘、質問を一つ投げかける。 「……ひとつ、言ってもらいてェことがあったんだが。 “誘う”ってのに、そいつは数えられちまうのかなァ」 殺してくれと死なせてくれは、似ている様でまるで違う。 ――欲しいのは、望むのは。 少年一人分で欠けて、広がった。理由を埋めてくれる事。 (-156) 榛 2021/07/10(Sat) 19:19:58 |
【人】 遊惰 ロク>>17 >>18 >>19 【調理室】 少年の言葉に、僅かに笑みを濁らせる。 この状況だ。言っている意味は直ぐに分かった。 「そうかい。せっかく焼いてくれたんだ、 “会いに”いくのはこれ食ってからにしようかねェ」 イタダキマス、と皿の上に手を合わせてから。 薄い肉を一切れ、口に放り込んで咀嚼する。 ――嚥下しづらいのは、込み上げる嘔吐感は。 久しぶりの食事に体が驚いたからかもしれないし、 肉の正体を思って心が拒絶していたからかもしれない。 ……どちらでも良いと思った。 この場で男が口にしたのはきっと、その一切れだけだ。 空腹を満たすための食事では無いから。 (20) 榛 2021/07/10(Sat) 19:38:48 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、ハ、」 端の吊りあがった口から、 笑いとも溜め息ともつかぬ吐息が洩れる。 クロスグリの瞳がグシャリと歪む。 「……、自分の分まで生きてくれってさァ、言われんだ。 恨んじゃいねェって、そればっかし、」 胸が塞がって、喉が詰まる心地がする。 らしくも無く訥々と、途切れがちに言葉を紡ぐ。 「――おれはもう、終いにしてェのに。 これ以上、生きてたって。しかたねェってのに」 死人の言葉は呪いだ。それを捻じ伏せるに足る理由も、 生きている人間が一人減る毎、薄まって―― いつの間にやら、消えてしまった。 最早これは、誰かの為の死では無くなってしまった。 ……男が死なずとも、残った子どもは生きていける。▼ (-161) 榛 2021/07/10(Sat) 22:27:38 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 昔々に死んだ子どもらも、ここで死んだ少年も。 優しい事ばかりを口にして、 誰一人として言ってくれはしなかった。 「 『死んじまえ』 って、言ってくれ。……頼むから、 おれのせいで死んだクセ、 “死んでほしくない”なんて、 そんな、……ッ、訳のわからねェこと、言わねェで」 たった一言で良いんだ、 楽になれる そうすりゃ全部を振り払って、漸く死ねる。 「……もう、痛いのも、苦しいのも、……いやだ……」 俯いて、左手で目元を覆う様にして。 草臥れ切った大人の様な、怯え切った子どもの様な。 消え入りそうな声で幽かに呟いた。 (-162) 榛 2021/07/10(Sat) 22:28:33 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「――――ッ、」 胸の底を温く満たす様な、 柔らに撫ぜる様な慰めの言葉。 『聞きたくない』とばかりに力無く首を横に振る。 ――そんな大層な人間じゃ無い。 どんな行いをしたところで、何にもならなかった。 実を結んだのは、ロクでもない事ばかりで。 『 』 ゆるりと顔を上げる。 揺れる十字架の、金具の擦れる音が響く。 そう錯覚する程の静寂。 幾らか上方の琥珀色を見つめる。 齎されたそれは求めたものと近い癖、少し違っていて。 ――この兄サン、意地悪だなァ。 人生に納得するのなら、だなんて。 虐げられて、騙されて、喪って。 拾い上げる先から取り溢し続ける様な人生だった。 こんなもの、納得なんて出来ようものか。 ……けれども。 ▼ (-178) 榛 2021/07/11(Sun) 14:52:43 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロクけれども、恐らくこれ以上は、無い。 今このとき以上の幸いは、やってこない。 それで、終いにするには十分だろうと思った。 目を細めて、酷く満足げに、 これ迄で一等嬉しげに―― 「ありがと、兄サン」 満たされ切った顔して笑う。 それが、青年の出した答えだった。 ――これはきっと“納得”とは違う。 今ここで、生を手放すことを許された。 そんな身勝手で手酷い、 の受け取り方。 ……漸く、空いた穴が満ちた。 (-179) 榛 2021/07/11(Sun) 14:53:11 |
ロクは、とある日の事。ヒラヒラ手を振り見送った。サヨウナラ、お兄サン。 (a5) 榛 2021/07/11(Sun) 16:03:18 |
【人】 遊惰 ロク>>30 >>31 【手術室】 「まァ、そうそう信じられるモンでもないわなァ。 おれも正直、自分のアタマは信用ならねェ」 だから気の違えた男の戯言と思ってくれても構わない、 そんな風に前置いて。 「“友達”だってよ。責めないでやってくれ、だと」 少年に向かって語る合間、少女の方をチラリと見る。 知らせぬ儘、聞かせぬ儘でいた方がいいのかもしれない。 けれどもきっと、遅かれ早かれだ。 その時に、只の罪として背負うくらいならば―― 「……病気で先が長くねェこた分かってて、 どうせ死ぬならお前サンらが助かる方がいいってさ。 食ってやらねェ方が恨まれちまう勢いだったなァ」▼ (32) 榛 2021/07/11(Sun) 16:29:13 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、問題は、まァ、ねェけども」 目を逸らし、歯切れ悪く答える。 好意とやらは肌慣れず、どうにもこうにも据わりが悪い。 「……そンなら暇つぶしの相手、してくれ。 もうちっと――助けがくるまでは生きねェとだろうし。 ……あの子らほっぽり出して死んじまうのは、さすがになァ 」ぼやく様に呟いてから、ヘラリと笑いかける。 肩の荷を下ろした、年相応の緩んだ笑顔。 「――そンじゃ、なにから話すかねェ」 暫くは傍に居るらしい彼と、終わりの時まで。 好きなこと、嫌いなもの、他にも沢山。 互いのこれまでと、限りのあるこれからの事なんかも。 暇さえあれば、どこででも話しているのだろう。 (-186) 榛 2021/07/11(Sun) 17:41:10 |
遊惰 ロクは、メモを貼った。 (a9) 榛 2021/07/11(Sun) 18:01:59 |
遊惰 ロク(匿名)は、メモを貼った。 榛 2021/07/11(Sun) 18:02:21 |
【神】 遊惰 ロク「――……だよなァ」 「アハ、そいつは……」 「……お前サン、……――」 いつかの時間。 視線を上向けて、 商人 と話をしている。死人の姿が見えない者からすれば、 虚空へ向かって一人で相槌を打ったり、 語り掛けたりしている様にしか見えない。 (G0) 榛 2021/07/11(Sun) 18:52:03 |
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