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【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* さてどうやって殺しましょうか!! アナタのお好みは何かしら やってやるわよ! (-13) wazakideath 2021/07/08(Thu) 1:05:50 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクこの男は、商人と取引をした事がない。 しかし金銭に拘る、というよりは等価交換に拘る様に思っていた。 そんな商人と貴方の関係など、微塵も知らなかったから。 歯に衣着せぬ言葉で問いかけた。 「……僕は今、貴方が殺したと仮定して話しています。 つまり貴方が遺体にピアスを着け、 首を縫いつけたと捉えて良いんですか?」 あの少年が人を殺すならもっと衝動的な筈だ。 もし計画するなら、自分に相談をする筈である。 あの少女が殺したにしては、手段が難しい。 首を斬るには相応の力が必要だ。 では姿の見えない人間はどうだろうか。 クレイシならばもっと上手く縫う筈である。 ……タマオはわからない。 彼なら首を斬る力があるが、動機が思い当たらなかった。 目の前の貴方を疑ったのは、ただの消去法だ。 死者を知覚できない男にとっての。 (-16) wazakideath 2021/07/08(Thu) 2:06:22 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* わかる…… 今浮かんだのはセナハラ先生による ・首絞め実習 ・刺殺実習 の2択ね ジワジワ死ぬまでメイジくんをヨシヨシするのもアリかなと思ってるわ お父さんの死因わからないけど、お父さんの死因と合わせたさあるわね (この流れで撲殺だったらあまりにも絵面がアレなので上記2択かな…?) (-30) wazakideath 2021/07/08(Thu) 6:12:43 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク「……気が滅入っている方が多いですね。 ああいや、ミロクさんから聞いたんでしょうか」 手術室で見た事に関して、あの時口止めをしなかった。 既に商人は死を決めていたし、 それに思い至る余裕さえなかったから。 霊魂を頑なに信じない男は、 貴方達が見聞きしたものを信じない。 「この病院に阿片は置いていませんし、 何より彼自身から 明日死ぬ と言われていました。自殺だと思っていたので、 まさか協力者がいるとは思いませんでしたけど」 (-35) wazakideath 2021/07/08(Thu) 12:57:38 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク「まず、この病院に阿片はありません。 在庫を確認なさっても構いませんよ」 血が乾き始めたシーツに鼻を寄せる。 鉄錆の中に、覚えのある臭いがあった。 「……それに。 死体というのは、見るだけで心を病みますから。 子供達には見つからない場所で、 見つからないようにやります」 ──白々しい嘘だと、自分でも思う。 自ら協力を申し出たとはいえ、 明治明に殺人と食人を教えたのは自分なのだから。 (-36) wazakideath 2021/07/08(Thu) 13:02:12 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* OK! ミロクおじさんから「You死なない?」(要約)されたので 良い感じに話しかけます (-38) wazakideath 2021/07/08(Thu) 14:34:58 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ心の隙間に入り込んだ甘言が、じくじくと痛んでいる。 塞がった筈の傷が、少しずつ開いていた。 貴方が使う部屋の扉、その隙間に一枚の紙片を挟む。 『手術室に来てください』 差出人は書かなくても伝わる。 だから、書かなかった。 (-40) wazakideath 2021/07/08(Thu) 14:59:19 |
セナハラは、走っている。 (c1) wazakideath 2021/07/08(Thu) 15:49:28 |
【墓】 諦念 セナハラ霞む意識の中、何かから逃げていた。 しかしどうにも足が重く、思う様に進めない。 一歩踏み出す度に、泥中の意識が浮上していく。 逃げなければ殺される。 逃げなければ生きられない。 ────そういえば。 ──何から、逃げているのだろうか。 (+1) wazakideath 2021/07/08(Thu) 15:49:48 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク空笑いと問いを、真っ黒な瞳孔が映している。 共犯者の存在が明るみになっていると知るや、 やはり遺書を書いておいて良かったと、安堵した。 あの書き方をしておいて良かったと。 しかし。 どうやら、誰かが潜み暗躍しているらしい。 「あら、そこまでご存知で? すみませんね、彼は扱い易かったもので。 少し脅せば、直ぐに頷いてくれました」 脅した事などただの一度も無い。 そして贄川を選んだのは彼であり、 贄川に致死量の麻酔を与えたのは、自分だ。 彼のかつての行いをも庇えるならば、それでいい。 (-51) wazakideath 2021/07/08(Thu) 20:35:25 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク贄川が自身に懐いていたことは知っていた。 その気持ちを裏切ると知りながら、犯行に及んだのだ。 「……腹を満たせばそれで良し。 ええ、ええ。そうに決まってるでしょ。 もしかして、仲良く飢え死にをご希望でしたか? でしたら申し訳ない。 僕は集団自決ってのがね、大ッ嫌いなんです」 どうせ死ぬなら家族と。どうせ殺されるなら、大切な人に。 死ねばそれまでだ。 過去も思い出も、全て始めから存在しなかったことになる。 「誰か一人だけでも生きるべきだ。 全員で生き延びることができないなら、全員で死ねと? 未来ある子供達に、生きたいと願う彼らに、死ねと? 」敢えて返答に悩むような物言いをした。 貴方の言うことは正しい。 しかし自らの言うことも正しいと、確信している。 どちらかが間違っているのではない。 これは主義主張の問題であり、 相容れることも、両立することも不可能であるだけだ。 (-52) wazakideath 2021/07/08(Thu) 20:36:04 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ「……ああ、良かった」 貴方の声に顔を上げる。 これから己が吐く建前を思い返し、眉を下げて笑った。 「メイジくんにね、 もうひとつ教えておきたいことがあるんです」 腰掛けていた椅子からゆっくりと立ち上がる。 生きることが億劫だとでも言うように。 「誰しもがニエカワくんのように、 薬を飲んでくれるわけではない事はわかりますよね。 嫌だと暴れる人間に麻酔を施すのは難しい」 聡い貴方なら続く言葉に察しがつくだろう。 セナハラは狡い大人だ。 しかし貴方の前でくらい、良い大人でありたいとも思っている。 「人の食べ方はもう教えましたね。 ──最期に、人の殺し方を教えましょう」 だから、はっきりと口にした。 (-59) wazakideath 2021/07/08(Thu) 21:18:40 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク男の見てきた戦場とは。 大人が大人を殺し、大人が子供を殺し、 子供が大人を殺し、子供が子供を殺し、 醜く未来を奪う合う、そんな場所だった。 殺人はどんな経緯であれ、理由であれ、 罪の重みに変わりはない。 命は大人も子供も等しく軽い。 一歩、距離を詰める。 「賢くて立派な大人が、こんな事するわけないでしょう。 僕は、ただの生き恥曝しです。 そんな人間の言葉で良ければ言ってあげますよ」 さらに、一歩。 「ええ、 そうです 。そうでもしなければ、生きられない。 全てを選ぶことはできない。 未来とは、誰かの可能性を食らうことでしか行けない場所だ」 僅か下にある貴方の双眸を、底無しの深い黒が覗いている。 その視線は黒い雨のように冷えきっていた。 幸福とは限りある資源だ。それを知らないとは、言わせない。 「……もしもできるのであれば、」 (-67) wazakideath 2021/07/08(Thu) 22:54:12 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク「──僕だってねえ、生かしたかったですよ。」 彼の未来を叶えることができたら、どれだけ良かっただろう。 誰ひとり犠牲にならなければ、どんなに良かっただろう。 選ぶことには慣れていた。 同時に、誰しもが選択できないことを知っていた。 否定と選択。難しいのは、圧倒的に後者だ。 だから選んだ。 他の誰かが、こんな苦しみを味わわないように。 (-68) wazakideath 2021/07/08(Thu) 22:55:25 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ知りたくないのが本音だと、わかっていた。 その上で、気付かないふりをする。 人を殺したくないというのは、誰だって持っている筈の真っ当な感情だ。 「……ええ、勿論」 壁に寄りかかり、ずるずると床へ腰を下ろす。 招くように、緩く手を広げた。 「刃物を使っても良いですが、血の片付けが大変ですから。 首の絞め方を教えます」 (-83) wazakideath 2021/07/09(Fri) 10:10:12 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク共犯者にだけ話したことがある。 ニエカワを救助まで生かしたいなら、 全員分の食糧を掻き集めなければならないと。 薬だけで病は治らない。 それには体力が必要で、その体力を維持させるには食糧が必要だ。 「……言わせんですか、それを」 言わなければ。 肯定しなければ。 「…………そう、ですよ」 絞り出すような声で、漸く、一言呟いた。 天秤が傾いた方を優先した。 ただ、それだけ。 技師が亡き今、自分が一番年嵩だ。 たとえ大人と呼べる歳だろうと、 貴方だって男からすれば子供である。 あの少年一人の未来と命は。 貴方達全員の未来と命より、ずっと軽かった。 (-84) wazakideath 2021/07/09(Fri) 11:26:02 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ教えるだなんて白々しい。 本当はただ死にたくて、 死ぬ勇気も無いから、殺されたいだけだ。 「じゃあ、復習になりますね」 首に触れる子供の手に、自らの手を重ねる。 喉の両側から、軽く力を与えた。 「……ここ、脈打ってるのわかりますか。 この辺りを両側から押し込んでください。 気道ではなく、脈から絞めると容易です」 微笑んだ、筈だった。 笑うのは得意な筈なのに、自信がない。 (-94) wazakideath 2021/07/09(Fri) 18:00:31 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクその言葉に顔を歪め、強く首を振った。 まるで死者から直接聞いたかのような言葉が、心の傷口を開けていく。 「──……ぁあ、五月蝿い 五月蝿い!! 作り話なら結構だ!さっさと出て行け!!」 肯定されるのが何よりも苦しい。 自分が殺した人々が、最初から存在しなかったように思えてしまう。 否定され、人でなしと罵られる方が何倍も良かった。 男はずっとそう言われながら、これまで生きてきたのだから。 (-99) wazakideath 2021/07/09(Fri) 18:50:52 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ「怖くは、……怖かったんですけど。 何故でしょうね。今は、安心してます」 ぐ、と力が込められる。 頭がじわりと熱くなったような錯覚があった。 「……ッ。気を、失っ……ても。そのまま、……ね、」 その笑顔が、どこか泣いている気がして。 滲む視界の中、手を伸ばす。 以前の様に頭をそっと撫で、褒めようとしたのかもしれない。 「 、」 「 」 尤も。 頬に触れた直後、手から力が抜け──…… それは、叶わなかった。 (-109) wazakideath 2021/07/09(Fri) 21:53:33 |
セナハラは、約束をした。 (c3) wazakideath 2021/07/10(Sat) 0:23:26 |
【独】 諦念 セナハラア〜〜〜〜〜〜〜〜〜おしまいですおしまいです エ〜〜〜〜ンこれメイジくんやっぱり自殺ルート入ってませんか??(一端を担う人) (-115) wazakideath 2021/07/10(Sat) 4:16:48 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ死人は語らない。 貴方に語りかける、優しい声が返ってくる事は無かった。 「……」 いつのまにか、貴方の触れる首から脈拍が消えている。 未だ人肌の温もりがあるが、鼓動だけがどこにも無い。 ずる、と座っていた姿勢が崩れた。 「…………」 貴方が手を離せば、支えを無くした身体は横たわる。 そこにあるのは、ただの死骸だった。 (-117) wazakideath 2021/07/10(Sat) 5:20:01 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクそうして部屋に静けさが戻る。 肩で息をする男が、一人残された。 「……嫌いじゃないってねえ、言われても」 「好かれる様に笑ってるんだから、当然でしょうよ……」 吐き捨てる様に呟き、作業を再開する。 遺体をシーツで包み終えれば、毛布でさらに覆った。 火葬もできない今、腐敗臭をなるべく広めないようにするしかない。 出来る事と言えば、これくらいだ。 「結局誰に殺して貰ったんですか、貴方」 骸にひとつ問うた後、男も部屋を後にした。 (-118) wazakideath 2021/07/10(Sat) 6:33:42 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク/* やあ墓友オネエ! アンタの死体、発見された部屋でシーツ(血塗れ)やら毛布で包まれた状態になってるわ。 保管場所が無いので移動させたり、特に手は加えてないわよ! 一応報告しとくわね。 (-120) wazakideath 2021/07/10(Sat) 10:11:43 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* あ、メイジオネエへ セナハラの死体ってどうする?手術室に置いとくかしら? そろそろメモに貼っとこうかと思ってるわ! (-122) wazakideath 2021/07/10(Sat) 12:24:20 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* 了解!手術室にあるよ〜って書いても大丈夫かしら。 死体見られたくないなら書かないでおくわ! (-127) wazakideath 2021/07/10(Sat) 12:55:07 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「……ええ、わかりますとも。 霊魂の存在を改めて思い知りましたよ」 じっと貴方の首元を見やる。 あの縫合痕は残っているだろうか。 「ねえ、貴方を殺したのってロクさんじゃないんですか? 自殺するとは思っていましたが、 まさか協力者がいるとは考えてませんでしたよ」 (-128) wazakideath 2021/07/10(Sat) 13:03:44 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク笑いかけられると、つい笑い返してしまう。 幼い頃、身に付いた癖だった。 「……まあ、時間はありそうですからね。 僕も、貴方には聞きたい事がありますから」 窓の外に目を向けた。 恐らく自分には、気が遠くなる程の時間がある。 逃げたくても、逃げられやしない。逃げる資格も無い。 貴方の話の中で、タマオやロクの事も少し知れるだろう。 そんな予想の元、耳を傾けた。 (-131) wazakideath 2021/07/10(Sat) 13:39:01 |
諦念 セナハラは、メモを貼った。 (c4) wazakideath 2021/07/10(Sat) 13:46:02 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「……、…………。………………」 途中から あっ人選間違えたな とは思ったが、最後まで相槌も打たず聞いていた。「……まあ、貴方の生い立ちは理解できるかもしれません。 価値なんて人によって違いますし、 何より恩義や信頼という感情は強い。 金銭で買える品ではありませんからね」 最初の印象通りだと思った。 取引という形に固執していたのは、ただの結論。 経緯を見れば、商人としての生き方しか知らない子供の様だった。 商業を学ぶ前から自分の芸を売っていたのだから、 恐らく、物心つく前から商人だったのだろう。 きっと人との関わり方を、取引以外に知らないまま死に絶えたのだ。 → (-149) wazakideath 2021/07/10(Sat) 17:48:21 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク貴方が本当に望む物は金銭や価値などではなく、 人との交流において得られる感情そのものではないかと。 心を動かす何かではないかと。 「貴方がどんな人生を歩んで来たかは知りません。 けれども話を聞いて、納得はしました。 もし僕が同じ立場にいたら、同じ事をしたでしょうね」 そう思い至りながらも、口にはしない。 互いに死んだ身だ。 指摘した所で、何の益にもなりやしない。 「その取引をしたの、ロクさんでしょう? 彼は正しく、真っ当な倫理を持っていますから」 これまで自身の付加価値だけを求められ、 応じてきた人間“そのもの”を要求するなど──蜘蛛の糸を垂らす事に等しい。 それをあの青年は、理解できなかったのだろう。 → (-150) wazakideath 2021/07/10(Sat) 17:49:40 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「さて。貴方に合わせるなら、 僕も何か話した方が良いですかね?」 自身が死んだ時の話を求められていたが、 忘れたふりをする。 この少年のような男に話すには、 あまり気が進まない経緯だからだった。 (-151) wazakideath 2021/07/10(Sat) 17:50:33 |
【独】 諦念 セナハラフジノちゃんと全然話せなかったのが悔しいぜ…… 絶対家庭環境最悪だもん 父親ってやつはこれだからよ バラして食べちゃおうね (-164) wazakideath 2021/07/10(Sat) 22:32:32 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク独りの人間が生きていく難しさは知っている。 つい先程、諦めた立場だった。 「何でも、って。夕飯じゃないんですから」 何か面白い話は無いのかと、 子供に強請られているような心地がした。 苦笑を零し、心中でそっと後悔する。 こんな状況でなければ、彼のことも貴方のことも、 助言くらいはできただろうから。 こうなる前に。 「夢や目標なんて大層なものはありません。 困ったことと言えば、夢見の悪さくらいですかね。 ……僕は大人で、貴方達の善性を守りたかった。 ですから、ええ。聞かれても答えませんでしたよ」 物言いは過去のものだ。 死んで失うものなど無いのだから、今は違う。 (-165) wazakideath 2021/07/10(Sat) 22:40:16 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「僕の人生はあまり聞いて心地の良いものではありません。 そうですね、……医者を志した理由に関わることだけ。 以前は誤魔化してしまいましたから」 湯を沸かした調理室で問われた事だ。 貴方達が自分よりも年嵩であれば、あの場で話しただろう。 「僕が外地で生まれ育った事は話しましたね。 彩帆という場所です。 海のずっと先にある、淡い緑の海が美しい島でした」 努めて思い出す事ではない。 あの島での思い出は、全てが苦痛に満ちているから。 それは決して誰のせいでもない。時代のせいだ。 地平線に辿り着くよりも早く沈む疎開船を見て。 溺れているであろう母と姉と妹を見て。 父は“ここにいろ”と言った。 「……美しい島でしたが。戦争が始まれば、 そこは内地よりも過激な戦いが繰り広げられました。 内地からの物資も届かなくなってしまってね。 ほら、海も空もアメリカーに取られちゃいましたから」 僅かに訛りが現れた。 自覚しつつも、続けていく。 (-166) wazakideath 2021/07/10(Sat) 22:42:53 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「銃も、手榴弾も、服も、水も、食べ物も、全て。 底をついたんですよ。 畑は燃えてしまったし、空爆で建物は全て、 跡形も無くなっていました。 しかしそれでも腹は減る 。食べ物と言えば、共に逃げる生き物くらいで。 ……父から食べ方を教わりました」 その生き物は二本足で歩き、言葉を扱うことができた。 共に励ましあい、笑い合うことができた。 そんな、生き物だった。 「……、問題は戦争が終わって、平和になってからです。 毎晩夢に出るんですよ、よくも食ってくれたな≠チて。 血肉の色が、味や臭いが、忘れられない。 だからね、それを日常にすることにしました。 鉄錆の臭いも、冷えた人肌も日常にしようと。 上書きしたかったんです、あの日々を」 (-167) wazakideath 2021/07/10(Sat) 22:43:32 |
【墓】 諦念 セナハラこれはどこかの時間。 死んだ男は、手術室で自分の死体と少年を見つめていた。 聞こえないと知りながら、返事をし続ける。 「きみは何も悪くないんですよ」 以前のように頭を撫でようとして、 己がさせたことを思い出せば、手を下ろした。 「いつか、助けがきますから」 どうせわからないのだから、撫でてもいいとわかっている。 しかし、そんな資格は無い。 「……」 いや、自らそれを捨てたのだ。 ──貴方は良い子だから。 ──自分の我儘に付き合ってくれると、信じていた。 「ありがとう、」 「ごめんなさい」 あのとき伝えたかった二つの言葉を、小さく呟いた。 (+21) wazakideath 2021/07/11(Sun) 1:10:45 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「当人達がどう思ってるか、なんて決まってるでしょ。 飢えてりゃ皆心が狭くなります。 親だって子供が煩わしくなる。 自分さえ助かりゃ良くなるんですよ。 それに。 遺族にとっては、終わった話じゃあない」 眉を顰めた後。 決め付けるような物言いと、 吐き捨てるような抑揚で言うのだった。 その時その場所における真実が、今もそうであるかのように話す。 男の刻は止まったまま、死に絶えたのだ。 「解決は、……しないまま終わりましたね。 縁もあったらこんな事にはなってないですよ」 人を信じない男は、 自身を求める少年の言葉も未だ嘘だと思っている。 それは戦争の後遺症であるが、気付けぬまま。 (-193) wazakideath 2021/07/11(Sun) 19:49:38 |
セナハラは、幸せが何よりも恐ろしい。 (c8) wazakideath 2021/07/11(Sun) 20:52:02 |
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