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【人】 紅柱石 アンドレアス―広場― [>>0それだけ一緒に、と望んでくれるのだから、出来ればそれに応えたい。 同意を示すような頷きに微笑んでみせた。 けれど子を生む時期、と明かせば、彼は驚いたようだ。 “人間の男は子を生まない。” 青年もそれを初めて聞いた時にはひどく驚いた。 宝石人間(ジェム)にとっては当たり前の事だからだ。] うん、宝石人間(ジェム)は皆、一人ずつ子供を生む。 人間と違って時期が決まっているけどね。 [幸いにも青年の郷で帰らない者はごく僅かなので、脈々と紡がれているが。] ん?あぁ、四人いるよ。 もう皆成人して、私よりしっかりとしている。 [聞かれれば、素直に応えた。 きっと彼らの方が首長に相応しいだろうと思っている。] (4) 2021/10/03(Sun) 1:51:04 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>1人間の国にいる間、家族への便りを商人に託す者もいるが、運良く会えるとは限らない。 だから、青年がそうした手段を取る事はなかった。 そうしている間に誰かが探しに来るかもしれない。 今回は普段よりも青年の帰りは遅いのだから。] 同じ時期の生まれの者は故郷で準備を始めている頃だろうね。 [泉に沈む時間は三年になる。 その前に言伝てや引き継いでおく事などを仲間や家族に済ませてしまうのだ。 一緒にいる時期について、彼は考え込んでしまう。 時間を決めておいた方が良いのだろうが、何年でも納得が出来る気がしなかった。 例え、十数年後戻ってきた自身の事を彼が受け入れてくれるとしても。] (5) 2021/10/03(Sun) 1:52:26 |
【人】 紅柱石 アンドレアス……うん。 [>>2青年は頷いた。 宝石人間(ジェム)の存続も大事。 けれどそれと同じくらい、彼と過ごす時間も大事だった。 この先、何があったとしてもこの旅行だけはお互いが満足のゆくものにしたい。] うん、そうだね。 だけど一泊だけで大丈夫かい? [彼にとっては大事な研究の為の調査だ。 一泊で戻って来られるものとは思えない。] (6) 2021/10/03(Sun) 1:52:43 |
【人】 紅柱石 アンドレアス (7) 2021/10/03(Sun) 1:53:28 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―広場― [>>8 親も子供も兄弟も皆、青年と同じくらいの見目で成長が止まり、後は過ぎた年月が異なるだけ。 そういった環境は人間の彼には想像が難しいのだろう。 違う生き物なのだと感じさせられて少し寂しくはあるが、生まれは変えようもない事だ。 ガラーシャとの年齢差を考えれば、ひ孫の子くらいになるかと思うと、彼を混乱させてしまいそうだ。] うん、そうだね。 [そうして子孫を残す宝石人間(ジェム)も、育つ過程で、あるいは生きていく中で青年より若くして死ぬ者もいる。 幸いにも青年の子は壮健だが、兄や友人の子などにも夭折した子がいた。 その辺りは人間と変わらないように思う。] (12) 2021/10/03(Sun) 14:03:50 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>9一泊で問題ないのかと聞けば、ガラーシャが考え込む。 懸念事項は宿代との事。] だったら、荷物だけ預かってもらうのはどうだろう。 預かり料は支払う事になるけど、そうすれば少しは抑えられる。 よくない宿屋だと荷物を取られる事もあるけど、あそこは良心的なところだと思うよ。 [荷物を収める部屋もあったので、大丈夫ではないだろうかと。 そのような提案をしてみたが、どうなったか。 ともかくも馬車の手配は必要なので、手配所へと向かう事にする。]* (13) 2021/10/03(Sun) 14:04:11 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―小さなオアシスの村― [>>10日暮れ近くに目的地に到着する。 荒野と砂漠の中にあるオアシスの中に作られた村だ。 見晴らし用の塔に、干し煉瓦の家屋。必要最低限の宿と店。 サルハドと比べればずっと人も少なくて寂しい気がするが、こうした村の方がずっと多い。] そうだね。 [隣で青年も伸びをしながらのんびりと応じる。 サルハドで必要な物を買い、最低限の荷支度で馬車に乗った。 数時間の馬車旅は、荒地や砂漠に近付いていくだけあり、砂埃がよく立つ。 けれど、グラジアを発つ時と比べればずっと心は軽かった。] (14) 2021/10/03(Sun) 14:05:23 |
【人】 紅柱石 アンドレアス陽が射している間は、まだどうしてもね。 [>>11砂漠や荒れ地は植物が殆ど生息せず、大地も水分を留めておけないので気温差が激しい。 山育ちの所為で、こうした場所にはじめて訪れた時には難儀したものだ。 それでも此処はオアシスのお陰で幾分か涼しい。] ……ふむ、調査に出るのは夜だよね。 テントがあれば、夜通し砂漠を観察する事も出来なくはないか。 灯りは……当てはあるよ。後はランプか何かがあればいい。 今日は宿に泊まるのなら、それでも問題ないよ。 [それを維持する為の道具があれば、火を熾すくらいは問題ない。] 私の経験が役に立ったなら良かった。 [苦笑いする彼には笑って応じる。]** (15) 2021/10/03(Sun) 14:05:57 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―オアシスの村― [>>16荷物の預かりを提案すれば、それは受け入れられた。 稀に引き取り手が現れず、宿屋が困る事がある仕組みではあるが、こういう時には役に立つ。 今、青年は偽りの身分でもなく、ただのアンドレアスとして彼の隣にいる。 ここに至るまでに彼の事を傷つけてしまった分、彼に笑顔でいて欲しいと思う。 そうして、少しでも長く彼と共にいられたらと。 懸念事項はあるが、今はそこから目を逸らして。] (18) 2021/10/03(Sun) 17:38:18 |
【人】 紅柱石 アンドレアスうん、任せて。 [>>17獣をよける為にも、気温が下がる砂漠で暖を取る為にも、火は不可欠。 そして青年にはその当てがあった。 テントの設営中に夜闇に包まれてしまっても、辺りを照らせるような強い光。 宝石人間(ジェム)が精霊に近しい、と言われる所以は、その生態以外に魔力を持つ事にある。 それを使って火や光を生み出す事も可能だった。 維持をするのは少し手間だが、そこは道具の力を借りるとしよう。] あぁ。 だけど陽が落ちるまでにテントが張れるのが一番だから急ごうか。 [確認するように見てくる彼に向かって笑顔で頷いてみせる。 そうして、必要な道具の準備に回る事にした。 ここでも値段交渉を行って、少しでも財布の負担が少なくなるように立ち回った。]** (19) 2021/10/03(Sun) 17:39:23 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―オアシスの村― あぁ、親身に相談に乗ってくれる人で良かったよ。 [>>20砂漠でテント泊をする者は少数ながら、いるらしい。 お蔭で店主のアドバイスを受けながら道具を揃える事が出来た。 天気は問題ないという見込みにも安心した。 砂漠は水を溜めておける環境にない為、雨が降ると、地面の上を高いところから低いところへ水が滑る。 故に少ない雨量でも、場合によっては溺死するような事態もあり得る。 交渉も上手くいって青年は満足だ。 何度か様子を見ていれば、彼も交渉が出来るようになるだろうと思う。 こういった事は経験だ。 彼が自分でもやりたいと言えば、後ろで見守る心算だ。] (24) 2021/10/03(Sun) 22:03:35 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[借り物のザックに荷物を纏める。 よく使うものは上に、衣類などは下に。 テントは彼が持ってくれるとの事なので、簡易の調理器具はこちらに引き受けた。 試しに背負ってみたが、上手く纏まったように思う。] ガラーシャの方が早かったね。 [彼の方が先に荷造りが済んでいたようだ。 視線に気付けば、腰のベルトを締めて問題ないと笑ってみせる。]* (25) 2021/10/03(Sun) 22:03:52 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―荒野の馬車の道― うん、だけど流石にこちらは日が長く感じる。 [>>22砂除け用に、口元も布で覆って歩く。 太陽はゆっくりと落ちてゆき、砂漠も夕焼けの色に染まっていった。 美しい、と見惚れているわけにはいかないのが少し残念だ。] (26) 2021/10/03(Sun) 22:04:13 |
【人】 紅柱石 アンドレアスうーん、もう少し歩いても大丈夫だと思うから、場所の目星を付けるのは君に任せようかな。 [>>23手元で地図を広げる彼にはそう応える。 天気に問題がないのであれば、出来る限り彼の調査がしやすい場所が望ましい。] ふむ、分かった。 あの辺りかな。 [青年は彼の問い掛けに首肯してみせた。 この時間に馬車は通らないだろうし、 馬車道から離れ過ぎないのであれば、いざという時に迷う危険性も少ないだろう。 目的地を見据えると、二人は歩き始めた。]* (27) 2021/10/03(Sun) 22:05:00 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―砂丘― あ、此処で前に誰かが野宿したみたいだ。 [やがて辿り着いた頃には空の色は夕焼けからゆっくりと夜に移り変わろうとしていたか。 焚火の痕跡を見つけると、青年は頬を緩める。 誰かが野営をしたという事は、此処でのテント泊も無理ではないという事。 そろそろ灯りの準備が必要だ。 荷物を足元に下ろすと、青年はランプを手にする。 焚き木の準備をすると、乾燥した藁を丸めたものに手を添えた。] ……秘密だよ? [彼に向かって口元に人差し指を立ててみせる。] (28) 2021/10/03(Sun) 22:05:55 |
【人】 紅柱石 アンドレアス...Jalın [一つの呪文を紡いだ。 するとそこに炎が出現し、藁が燃え始める。 その火を細い木に燃え移るのを確認すると、青年はランプに火を灯す。] ……これが私の当てなのだけど、驚かせた、かな。 [火のついたランプを掲げながら、眉尻を下げて彼の様子を窺った。]** (29) 2021/10/03(Sun) 22:08:11 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―砂丘― いいや、大丈夫だよ。 [>>30彼も旅の初心者なのだ。 危ういようだったら声を掛けただろうし、青年には灯の当てがある。 故に、首を垂れて謝る彼にはそう伝えて。 念の為、周囲に自分達以外に誰もいない事を確かめてから魔法で火を熾した。 宝石人間(ジェム)は小規模ではあるが魔法を使える。 故郷では当たり前のように使っているが、正体を隠す人間の国では滅多に使えない。 故に、ちゃんと人間と同じように火を熾す方法も学んでいた。 人間の前で使ったのは勿論、彼が初めてだ。] (33) 2021/10/03(Sun) 23:31:17 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>31魔法でついた火は、基本的に通常の火と変わらない。 精霊のものであったなら、また違うかもしれないが。 上手くいった事に安堵する。 これで不発だったら格好悪いところを見せるところだった。] うん、そうだよ。 こうやって火を熾したり、桶一杯分の水を満たしたり。 そういった事しか出来ないけど。 [彼は初めて見る魔法に驚いているようだった。 事前に話しておいた方が良かっただろうかとも思ったが、陽の落ちてからではいけない。] (34) 2021/10/03(Sun) 23:31:33 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>32彼は何かを言おうとした。 けれど、テントの設営を優先したようだ。 未知のものを見たのだから、そのような反応でも仕方ない。] うん、分かった。 ランプを反対側に置いておくよ。 私はもう少しこちらを整えておくから、手が必要になったら声を掛けてくれ。 [温かなものを腹に入れれば落ち着くだろうか。 鍋を置けるように石の高さを少し調整し、テントの設営を手伝ったりしている内に日は完全に落ちていった。] (35) 2021/10/03(Sun) 23:32:00 |
【人】 紅柱石 アンドレアスこれで夜が越せそうだね。 取り敢えず、夕食にしようか。 [買い込んだ食糧の中から選んだのはノンに腸詰めと野菜を入れたショルポ。 クルトと、燻製肉を一口大に切り落としたものは同じ皿に乗せた。 それにチャイとハミ瓜。 店のような品数は作れないが、量は多めに。 ハミ瓜は瑞々しい内に食べておきたいが、ショルポなどは余ったら明日の朝に持ち越してもいい。]* (36) 2021/10/03(Sun) 23:33:18 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―砂丘の上― [>>37彼はテントの設営、青年は食事の準備。 スープの下拵えが済めば比較的手は空くメニュー。 ハミ瓜は魔法で桶に溜めた水で冷やしておき。 進行状況を見て、テントの重り用の袋を彼の許へ持っていく。] やぁ、見事なものだ。 [ショルポの味見をしている頃。 暗がりから手を振る彼の声に振り向けば、テントが出来上がっている。 青年は感心したように友人とテントを見た。] (41) 2021/10/04(Mon) 20:49:46 |
【人】 紅柱石 アンドレアスうん、大丈夫そうだ。 此方が楽をさせて貰ってしまったかな。 ありがとう、ガラーシャ。 [>>38一度テントから戻ってきた彼は水袋を持ってきた。] あぁ、ありがとう。 これでチャイでも入れようか。 [言いながら小鍋に水を注ぎ、茶葉を入れて火にかける。 ノンはその前に軽く火で温めておいたから、軽く香ばしい匂いがするだろう。] いただきます。 早速肉を、頬張るガラーシャに笑いながら、青年はノンを千切って食べ始めた。]* (42) 2021/10/04(Mon) 20:50:24 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―夜の砂漠― [>>39腹も膨れた頃、自己流で作ったチャイの入った器を持って、青年も足を投げ出す形で座っていた。] そうだねぇ。 [のんびりと満天の星空を見上げながら、青年も応じる。 近くに明かりはないようだから星空を二人占めしている気分だった。 きっと新月の所為もあるのだろう。 いつまでも見上げていたい程の美しさだ。 星が何十年後かに無くなってしまうかもしれない、と思っていたという彼の話に、青年は懐かしそうに目を細める。] 昔、私も気になっていたよ。 だけど、星もあの空のずっと向こうで新しく生まれるのだってね。 [それを発見したのも人間だった。 つくづく彼らの歩みには感心する。 戯れに手を伸ばしてみるが、星に手が届くわけもなく。] (43) 2021/10/04(Mon) 20:52:25 |
【人】 紅柱石 アンドレアス……君は、何かを願った事があるのかい? [>>40星に願い事をするというおまじないは青年も知っているが、星に願った事はなかった。 母親と一緒に旅をしていた頃に願いが叶うわけがないと思い知った、と彼は言った。 彼は星に何を託したのだろう。 答えはあったか、それとも。 彼は競うように落ちていく二つの流れ星に意識が向いたようだ。] 私は、星に願いを託した事はないけれど。 そうだなぁ、 [また一つ、落ちるまでに三回願わないといけないのだったか。 空を滑るように落ちていく星を見ながら考える。] (44) 2021/10/04(Mon) 20:53:05 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―夜の砂漠― 十年程前だったっけ。 どれくらい入れ替わってるんだろうね。 [>>45星はあまりに沢山あるから、半分入れ替わるには十年では足りないかもしれない。 青年も此処で空を仰ぐのは初めてなので、変わっているかは分からない。] そんなに沢山。 [明かされた願いは思ったよりも多かった。 子供らしさの感じられるものもあれば、日々の暮らしに纏わる切実な願いもあった。 それだけ、満たされない事があったのだろう。] (48) 2021/10/04(Mon) 22:30:07 |
【人】 紅柱石 アンドレアスそうか、それなら良かった。 [>>46叶った願いもあったと聞けば、安堵した。 青年が星に願わないのは、起きる事を楽しむ性質であるのもあるが、まじないに縋るような切実な願いを持った事がないからだ。 足りないなら足りないで何とかしてきたし、多ければ足りない人に分け与えたりもした。 そうして青年の世界は回ってきた。 けれどもし星に託すとしたら。 青年は少しでも長くを望む。] (49) 2021/10/04(Mon) 22:31:34 |
【人】 紅柱石 アンドレアス……うん。 [>>47星空を見ながら彼が話し始める。 何か言おうとして、やめた彼の顔を思い出していた。 ガラーシャは人間と宝石人間(ジェム)の違いを、青年が魔法を使った時に感じたのだという。 砂漠で彼ら親子を救ってくれた光に青年の熾した火を重ねた。] 精霊はもっと神聖なものじゃないかい? [冗談めかして言ったのは、彼の不安が少しでも晴れるようにと願って。 宝石人間(ジェム)は人間のものと幾分か違うが、もっと俗っぽいものだと思っている。 少なくとも、自分は此処にいて。掻き消えるような事はない。] (50) 2021/10/04(Mon) 22:32:21 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―夜の砂漠― ふふ、そうだね。 [>>51言った方が早かった、という言葉には笑って頷いた。 此処にいる事を伝えるように手を握ってみせれば、彼が手の向きを変えて握り返してくれた。 青年のものとは違い、人間の手は触れた傍から温かい。] どういたしまして。 お互いに、一緒にいられるように頑張れば大丈夫さ。 [彼を見限るような日は想像できないが、そう言って。] (54) 2021/10/04(Mon) 23:58:49 |
【人】 紅柱石 アンドレアスそうだね……。 踊っているように見えたと言う話だから、石や植物よりも生き物ではないかと思っていたけど。 [>>52青年も周囲に視線を巡らせてみたが、それらしきものは見えなかった。 光る虫もいるにはいるが、どちらかといえば水辺に多いだろうか。 光る苔や菌糸類とも縁遠い環境である。 出会えたらと思ったが、そう上手くはいかないらしい。 彼は残念に思っているだろうか、と様子を窺うと。] ……成程。 意思のある精霊だったら、考えられるね。 [ガラーシャの解釈に一つ肯いた。 そうして、何処かで誰かを救っているのかもしれない。 一度、軽く手を握られた後、離れていったが寂しさは感じなかった。 彼がすぐ傍にいるのが分かるから。] (55) 2021/10/04(Mon) 23:59:23 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[そのままガラーシャは立ち上がって背伸びをした。 >>53笑みと共に向けられた言葉に青年も頷く。] うん、そうだね。 寒くなるから温かくしないと。 [そうして、青年も立ち上がる。 飲みかけのチャイを飲み干して。] それなら良かった。 ……私もありのままを明かして良かったと思えたよ。 先の事は、これから二人で話していこう。 そうすればちゃんと道は見つかる筈さ。 [随分と気を揉ませてしまったが、その分はこれから返していきたい。] (56) 2021/10/05(Tue) 0:00:21 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[そうして付け加えられた言葉には目を丸くして。] ……え? ふふ、熱烈だな。 [そう言って朗らかに笑う。 場合によっては煙たがられる行為だが、悪くない気分なのは彼が相手だからだろうか。]** (57) 2021/10/05(Tue) 0:02:02 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―夜の砂漠― 君がそう言ってくれるなら、出来る気がするな。 [>>58二人がそうしたいと思っている内は自然とそうなる。 ガラーシャの言葉に肯きながら、青年はそっと胸を押さえた。 成熟期の時期を越えた先に何があるか。 分からない事はあるけれど、彼と一緒なら何とかなる。 いや、何とかしたいのだ。 同胞達とではなく、彼と共に生きる選択をした。 家族宛の手紙を書いて商人に託そうと考えているが、それでどうなるかは予測がつかない。 納得されるような気もするし、問い詰められそうでもある。 身内からは、根無し草のようだと言われてきた。 故郷を預かる首長という役割も、青年を郷に居つかせる為のものだったのかもしれない。*] (60) 2021/10/05(Tue) 22:46:00 |
【人】 紅柱石 アンドレアス― →砂漠の朝― [>>59片付けを終えると、獣除けの火だけは維持する事にした。 火がある場所に遠吠えの主は近付かないだろう。 風が吹いても消えないよう、そしてテントの方は出来る限り眩しくないように配慮した心算だが、馬車と徒歩での旅の疲れもあって気にならなかったかもしれない。 数時間おきに火の様子を見なければ、と思っていたのだが、青年の方も疲れていたらしい。 青年が目覚めたのは、太陽が地平線から顔を出した頃だった。] ありゃ……。 [薪の様子はと見れば、やはり消えていた。 運が良かったのか、あるいは焚き火がぎりぎりまでもって動物を遠ざけくれたのか。 鍋を置くように組んだ石は冷めていたが、砂漠では夜間に気温がぐっと下がるので時間経過の判断材料にはならない。] (61) 2021/10/05(Tue) 22:47:13 |
【人】 紅柱石 アンドレアス目も冴えちゃったし、もう一度火を入れるか。 [今度はちゃんと道具を使って火を熾す。 野菜とラム肉を丁度いい大きさに切っている間に、火の勢いは安定し始めた。 テントの入り口が風に煽られて動いている。 上体を起こせば、少し開いた入口から青年が玉ねぎを鍋に敷き詰めているところが目に入るか。] やぁ、ガラーシャ。おはよう。 [布から零れた青年の髪は、朝陽を受けてきらきらと輝いていた。]* (62) 2021/10/05(Tue) 22:48:55 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―砂漠の朝― [>>63テントの入り口からガラーシャの姿が現れた。 横目に日の出を収める。 空は刻々と赤や橙色から青に移り変わってゆく。 少し目を離せば全く違う色になっているのだから、まるで魔法のよう。 余韻を味わってから声をかければ、彼が空からこちらに目を移した。 ふわりと風が吹いて、髪を浚ってゆく。] うん、そうだね。 君も焚き火に当たるといいよ。 [玉ねぎの上に人参やジャガイモを乗せようとすると、手伝いを申し出られる。] ありがたいな。 じゃあ、そこのラム肉を取ってくれるかい? [その間に野菜を入れてしまい、火から離していたラム肉を受けとれば、次は串に肉を刺して焚き火にかける作業をお願いする。 香辛料で味付けをし、キャベツで蓋をしてお湯を注ぎ、イモが柔らかくなった頃が完成だ。 出来立ての料理は二人の腹を芯から暖め、満たしてくれる。] (66) 2021/10/06(Wed) 21:15:57 |
【人】 紅柱石 アンドレアスうん。私も手伝うよ。 [>>65この後の事について、ガラーシャが語る。 砂漠で精霊と出会えなさそうなら、別の手を考えなければならない。 古い話なら、村の年寄りなどに話を聞くのがいいだろうか。 もっとも皆、青年よりも若いが。] それもいいね。 距離的にも無理なくいけるだろうし。 温泉……行きたいな。 [低山からの景色も、温泉の持ち帰りも興味を素直に示すことができた。 あわよくば浸かりたいとも。 ひとり旅だったなら、秘境でもなければ出来ないこと。] ──ん? (67) 2021/10/06(Wed) 21:16:30 |
【人】 紅柱石 アンドレアス─ラバン山脈─ [村での調査を終えて、青年達はラバン山脈の低山を上っていた。 未だに雪を残す程に高い山頂には興味があるが、手を出すには時間も装備を足りないだろう。 今は避暑目的か、或いは高山植物や星の観測を目当てにした登山客とすれ違い。] やぁ、少し上っただけでも空気が違うね。 [空気はしっとりと湿気を含んでおり、豊かな水の気配を感じる。髪が少しだけ重たくなったような感じがする。 青年はきょろきょろと辺りを見回す。] あ、あそこなんかどうかな。 [少し他の場所よりせりだした場所を見つけると、近づいていき、そこから臨む景色を眺めた。] (68) 2021/10/06(Wed) 21:20:07 |
【人】 紅柱石 アンドレアス絶景だ……。 [眼下には上ってきた山、森、そしてサルハドの街が見える。 中に入ればそれなりに広く見えるが、こうして上から見れば存外小さい。 その向こうには荒れ地や砂漠、東や南、北に伸びる馬車道があった。 ガラーシャは何処にいただろうか。 違う場所にいたなら、何か見つけたかと聞いてみよう。]* (69) 2021/10/06(Wed) 21:22:40 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―ラバン山脈― [>>70難易度2とはどんなものなのだろうか。 案内所で聞いてみれば、青年達の年齢なら問題なく日帰りで帰って来られるだろうと言われた。 見た目から推察した年齢なのだろう、と笑って聞いておいた。 難易度1は子供が保護者同伴で行楽として登っても問題ない。山の景色を楽しんでいる内に山頂に着くのだと。 難易度3からは、山の規模によっては山小屋などで一泊する事も念頭に入れなければならない。 装備に加えて山を登る技術なども要求されてくるのだという。 道は整っていて歩くのに難はなく、登りながら見える景色も素晴らしい。 良い場所だな、と思う。 山の奥深くで育ってきた青年は、澄んだ空気を取り込むようにして息を吸った。] うん、本当に。 [晴れて良かった、という言葉には一つ肯く。] (73) 2021/10/06(Wed) 23:00:30 |
【人】 紅柱石 アンドレアスあはは、本当だ。 あれは命綱がないと無理だね。 [>>71ほぼ垂直のように見える背後の山脈は明らかに上級者向けだった。 舐めてかかれば手痛いしっぺ返しを喰らう事になるだろう。 すれ違った重装備の登山客の中にはあそこを登って来た者もいるのかもしれない。 そうして今も、挑戦している誰かがいるのだろう。 今は山登りに適した時期だ。 久々の山という事もあってか、青年の歩みの方が早く、展望するによさそうな場所を見つけると惹かれるように歩いていく。] (74) 2021/10/06(Wed) 23:02:09 |
【人】 紅柱石 アンドレアスそうだよ。 テントを張ったのはあの辺りかな。 南には、初めてこの国に来た時にあの道を通って行ったよ。 海が見てみたくってね。 [>>72青年は彼の言葉に答えながら懐かしそうに目を細める。 もうあれから百年以上経ってしまったのかと思うと感慨深い。 強過ぎず、心地よい風が頬を撫でていく。] 鏡池、か。見れると良いね。 山頂の手前ならあと少しってところかな。 [池について聞けば、目を輝かせ、目測で頂上までの距離を測る。 手前であれば、十分もあれば辿り着くだろう。]* (75) 2021/10/06(Wed) 23:02:24 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―ラバン山脈― だけど、あの砂漠に泊まったのは君とが初めてだよ。 何度か通りはしたけどね。 [>>76すごい、との言葉には微笑みと共にそう返す。 別の国の砂漠でテント泊をした事は何度かあるが、あの砂漠は移動の過程で通り過ぎる場所だった。 だから、“初めて”は探せばきっとまだ沢山あるのだろう。 それを彼と体験できるなら、幸せだろうと思う。 深呼吸する彼に倣うようにして、青年ももう一度息を吸い込んだ。 彼の誓いを聞いたなら、自分こそ頑張らねばと笑うだろう。] うん、もうちょっとだけ見てから進もう。 [鏡池はとても気になるが、此処の景色も美しいもの。 他には周辺の自生植物を見たりと、暫くその場で過ごしてから歩き出した。*] (82) 2021/10/07(Thu) 0:44:51 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―鏡池― わぁ……。 [>>77登山道より少し下の、開けた場所に池はあった。 道行く人々も、皆、池を囲むように池の水面を覗いている。 透明度が高いのだろう、確かにこれは鏡のようだ。 まるでそこにもう一つ空があるように見える。] うん、見事だ……。 [池を囲む観光客の集まる場所が山脈を映すという本命の場所なのだろう。 行こう、というガラーシャに頷き、そちらへと向かう。 期待感から、自然と歩調は速まっていた。] (83) 2021/10/07(Thu) 0:45:45 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>78山脈を映す池を覗けば、一枚の風景画のような美しい光景が映っていた。 白冠を残す山の緑に、抜けるような青空、淡く山脈にかかる靄。 まるで、池の向こう側にも同じ光景があるかのよう。 全て、想像を上回っている。 隣の彼も言葉が出ないようだった。] ……? [行ってみたい、という彼の視線の先にはまだ泉があったか。 彼の心は何処に向いているのだろう。] (84) 2021/10/07(Thu) 0:46:47 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―鏡池― [>>85知っている場所なら彼と共に行く事で思い出が増えるし、知らない場所なら二人ではじめてを経験する。 きっとこんなに楽しい事はない。 青年は未来への希望にに胸を膨らませた。] どういたしまして。 [感謝を告げる言葉には笑んで応じてみせて。 そうして帰り道。] うん、私の故郷はもっと西北の国の国境を隔てる山脈の中にあるんだ。 このラバン山脈のように山道は整えられていないし、結界で囲まれているから人間が見つけるのは無理かな。 ……残念ながら、ね。 宝石人間(ジェム)の郷には必ず光る泉があるものだけど、あれは魔力によるものなのかな。 [身を寄せて聞いてくる彼に、普段から淡く輝いているが、成熟期を迎えた宝石人間(ジェム)が身を沈めていると一際明るく光るのだと伝えた。]* (86) 2021/10/07(Thu) 21:18:42 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―帰り道― うん、そうだね。 半月くらいはかかる予定だった。 [>>89サラハドから故郷までの旅程はそれなりに長いものとなる。 それを最後の旅とする予定だった。] そこは五十年、六十年と言ってくれないかい。 長生きをしてよ。 百年だって私は構わないんだから。 [未来に不安を残す形ではあるが、この時は自身の身に起きる事など想像もできておらず。 彼を看取ってから故郷に戻る心算でいた。 家族にはしこたま怒られるだろうと、笑ってさえ。] (97) 2021/10/07(Thu) 22:25:48 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>90光る泉の話をすれば、彼の関心を引いたようで。 新しい視点の論文になりそうだという。] 精霊の正体が、宝石人間(ジェム)だった可能性、か。 砂漠に一人きりだったら、するかも……? もしくは、君達に希望を与えようとしていたのかもしれないね。 光の色は……、そうだな。アイスグリーン? 普通の水の色よりも少し緑がかった感じかな……。 [彼から投げられる質問にのんびりと答えながら、危うげなく下山をしていった。]* (98) 2021/10/07(Thu) 22:26:38 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―サラハドの最後の夜― [>>100ラバン山脈からサラハドへ戻り、翌朝になればまた馬車旅が始まる。 それまでに、時間を惜しむようにして彼方此方を巡った。 街外れにある温泉が、午前は人気が少ない事にガラーシャが気付いてくれて、一緒に浸かった。 楽しくてついつい話し込んでしまい、うっかり湯あたりしそうになった。 地図で崖のようになった山の等高線を見、登山ルートの険しさに驚かされたし、 二人で広域地図を広げながら、互いの旅の話をした。 祖父への土産を探すガラーシャの傍らで、青年は手紙用の紙を買い求めた。 商人伝いにはなるが、彼らの横のつながりは馬鹿に出来ない。 宝石商人の手に渡るように駄賃を渡し、手紙を渡した。] (103) 2021/10/07(Thu) 23:40:00 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[陽が落ちれば、初日にガラーシャと行った酒場へ夕食を食べに行った。 馬乳酒での乾杯は、初日に来た時と全く気分が違っていた。 心が痛む事も、隠し事もない。 気が抜けたのか、青年の方もそれなりに酔っぱらっていた。 宿屋についてベッドに腰を下ろす。 ベッドに横になったガラーシャも今晩はいい酔い方で終えられたようだ。] そうだね、私も。 君と此処に来られて良かったよ。 [にっこりと微笑んでみせる。] (104) 2021/10/07(Thu) 23:41:18 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>101不意に、ガラーシャが寝返りを打つ。 問われた内容に、青年はしっかりと頷いてみせた。] 勿論さ。 君は私が帰りたいと言っても何度でも引き留めようとしてくれるんだろう? だったら、君がこの世からいなくなるまで一緒にいるさ。 [彼を失う時の事は考えないようにしていた。 別れが訪れる時はきっとずっと先の事なのだから、今はそれでいい。] 良かった。 [ガラーシャは顔を隠すように上掛けを被ってしまった。 それが少しだけ微笑ましくて、つい笑みが浮かんでしまう。] (105) 2021/10/07(Thu) 23:41:53 |
【人】 紅柱石 アンドレアスそうだね、明日からまた馬車旅だ。 ふふ、それもいいね。 年を重ねれば、きっと感じるものも違うだろう。 君の足腰が弱らないうちに。 [>>102青年も明かりを落としてベッドに横になる。 上掛けを掛けながら、少しだけ想像する。いつかの事を。 年の離れた二人旅を見て、周囲はどういう関係かと思うかもしれない。 けれども、周囲の事は気にしない。 ガラーシャは老いない青年を受け入れてくれると言ってくれたから。 理解してくれる人がいれば、きっとずっと先も、青年は幸せなのだ。]* (106) 2021/10/07(Thu) 23:42:46 |
【人】 人間 アンドレアス―n年後・グラジア― [カーテンの隙間から朝陽が差し込む。 青年は起き上がると、天井に向かって伸びをした。 昨日は少し飲み過ぎてしまった。 この身体は年を重ねるたび、無理はきかなくなっていくというのに、未だに昔の感覚が抜けきらない。 顔を洗いに洗面所に行き、家主と顔を合わせれば、青年は微笑んで。] やぁ、おはよう。ガラーシャ。 君は二日酔い、大丈夫かい? [昨夜は昔の旅の話で盛り上がったものだから、ついつい酒が過ぎてしまい。 部屋に戻ろうとした以降の記憶が飛んでいた。 彼に迷惑をかけていないと良いのだが。] (107) 2021/10/07(Thu) 23:44:18 |
【人】 人間 アンドレアス[あの旅から二年後に人間になってしまい、お互いに混乱や葛藤があった。 けれど数年経った今ではそれも解消されたと信じている。 今ではサラハド行きの話を、酒を飲みながら話せるようになったのだから。 青年はこれまでの経験を生かして紀行文を書き、アンダルシア名義で幾つか本を出している。 けれどそれだけでは生活の糧としては危ういので、翻訳や通訳の仕事などを請け負っていた。 青年は人間になる際に視力が落ちた。 眼鏡がないと日常生活が危うい程。 けれど人間の技術とは素晴らしいもので、眼鏡も改良されて使いやすくなっている。 故に、生じた代償も幾分かは負荷が小さくなっていた。] (108) 2021/10/07(Thu) 23:45:49 |
【人】 人間 アンドレアスねぇ、君の仕事が落ち着いた頃でいいから、またサラハドに行かないかい? [アンバー色の瞳を細めてそう問いかける青年のかたちは、人間になってから重ねた年月を感じさせるものだった。]** (109) 2021/10/07(Thu) 23:46:44 |
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