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人狼物語 三日月国


258 【身内】冬融けて、春浅し

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【人】 靖国 冬莉


[眼差しが逸れて 手元を見詰める彼は何時ものと同じく 表情を保ったまま。ひと時の沈黙、———彼の迷いも全て受け止めたいとそう思うが、直ぐ様の優しい否定がその口元から零れないことへ 僅かながら期待を覚えてしまう。
 凄い、と 自身へと目の前の彼は称するが きっとこのような己の底の浅さを未だ隠せているのだろう。彼を求めるが故に、彼の意思問わずに己の欲を押し付けようとする自身の浅ましさ。
 覚悟を伝えたのも、その浅ましさから彼を逃すための防御線だった。 ]
 
(5) 2024/05/10(Fri) 1:11:25

【人】 靖国 冬莉



 [——けれど、]
(6) 2024/05/10(Fri) 1:11:28

【人】 靖国 冬莉

[包まれる。]


   [その意に胸の内が温かく 満たされていく。]
(7) 2024/05/10(Fri) 1:11:30

【人】 靖国 冬莉



 そうそう、オムライスも作ってくれるんだろ?
 ケチャップソースで、中がチキンライスのオムライス。


[心地良さのままに お前さんの味、楽しみだ。≠ニ冗句に笑みを深めて。]


 ん、どうぞ。
 ……出会ったあの日から、これはお前さんのだ。
 
(8) 2024/05/10(Fri) 1:12:07

【人】 靖国 冬莉



 ふふ、勿論。
 いや、寧ろ本望だ。


[俺も最後のひと時まで、お前さんとの時間を手放したくなかったから。≠ニ愛らしい強請りを我儘と定義する彼に小さく首を振る。遠慮を常に表に出し、他者と一線を区切ろうとしていた彼のその提案から窺える 心の強張りも溶けて 少しでも此方へと身を預ける彼の変化を好ましく、——光栄だと思う。未来を歩くために、これからも、また一歩、一歩ずつ二人で歩幅を合わせて歩みを進めればいい。
 先は、長いのだから。 ]


 お前さんの家まで、でいいかい。


[なんて、素知らぬ顔で彼の家を知る為の足掛かりを暗に作り、———革のキーケースを手に取った。*]
 
(9) 2024/05/10(Fri) 1:13:05

【人】 靖国 冬莉


[下心をちらつかせた問いに眉を寄せる彼の、その表情の変化すらも愛おしく その沈黙の中で 彼の答えを待った。駅までと、そうだとしても 送迎を委ねられたことそのものに 彼との距離が縮まったのだと思える。———焦らなくても、何時か。急かすことなく、彼の言葉を手繰るように視界を薄める姿を見届けて。]


 ……勿論。その分、傍に居れるだろ。


[返答に、一層笑みを深めて 喜色を塗した素面を晒した。凛と立つ彼の甘える矛先に、自分自身が居ることへの光栄に身を浸しながら 続く行先に 相槌を打ちながら 携帯を取り出して、操作する。———その近くを前に車を走らせた覚えがあるが、念のために。 そして、行先を指し示す地図上の色味に、指先はブックマーク≠圧す。]


 ん、また 車の中でも教えてくれ。
 じゃ、行くか。


[携帯を仕舞い込んで、彼へと手を差し伸べる。別れで無しに、帰路を共に出来る幸福を噛み締めながら。*]
 
(12) 2024/05/11(Sat) 11:47:56

【人】 靖国 冬莉


  ふふ、やはりそうか。

 どうだろうな、この癖っ気も生まれつきだからなぁ。
 昔の写真、アルバムなぁ…… 今度探しとくわ。


[互いの日常へと帰った中でも 己を浮かべながら 遣り取りをしていたかのような彼の言葉回しに 愛おしさが込み上げて触れる指先は頬へと下っていく。僅かに歯切れが悪くなっていくのに、そっと輪郭へと這わせつつ 自ずとくすりと笑気が漏れてしまった。そっと取られた手が合わさり 、伝う温度を噛み締めるようにきゅうと握り締める。 ]


 ……ん?


[彼の言葉に、小さく首を傾けつつも 続く言葉に 一層笑みが深まってしまう。可愛らしい、と自身を毎度定義するのはさておき、名残惜し気な声音で問う彼が余りにも愛らしくて。]


 なら、止めとくか。

 ずっと、あのアイコンなんだわ。
 ……まあ、眼鏡付けてるから、眼鏡って安直だがな。


[彼を模した画像を探すのは、お預けにしよう。また何時か、別の形で用いることができたら良い。可愛いのはお前さんなんだよなぁ≠ニ小さく漏らしながら、繋いだ手を引き寄せる。 ]
 
(16) 2024/05/11(Sat) 22:14:46

【人】 靖国 冬莉


[頬に伝わる口付けの余韻に薄く笑みを敷いて、玄関へと赴く。互いに支度をしては、扉を開けば 閑散としたテラスのような廊下が続いていた。見慣れた視界が、建物から覗く空がより澄み切っている。
 僅かに重ねた手が手の内の中で浮く。まるで、手を離さねばならない時に備えるような所作で。彼へと視線を向ければ、表情の薄い彼ではあるが、———少しずつ分かってきたこともある。少なくとも、二人だけの空間での素面の笑みには強張っていた。]


 ………大丈夫だ。


[その手を握り締め、離れていくことの無いように 彼との存在を繋ぎ止める。小さく頷きを見せて、———きっと 手を離さんとするのは配慮からだろう。繋いだ手を後ろへと隠して、手前からは見えないように 歩いていく。 ]
 
(17) 2024/05/11(Sat) 22:15:14

【人】 靖国 冬莉


[エレベーターを降りれば、また 繋いだ手を背へと隠して 彼との関係を世間の目から逃していく。
結局、誰とも会わないままに駐車場へと辿り着き、———助手席へと乗るように促しては。]


 っと、じゃあ ナビゲート 宜しくな。
 ……向こうなら、此処から左に曲がった方がいいかね。


[なんて、緩やかに車を発進される。名残惜しく、二人過ごした空間を後にしながら。*]
 
(18) 2024/05/11(Sat) 22:15:54

【人】 靖国 冬莉



 そうか?楽しみにしているお前さんが可愛いから直ぐにでも見つけたいが、……無かったらすまん。

 お前さんの小さい頃は……嗚呼、可愛かったな。
 叶うならもう一度、見てみたいが。


[思い起こすは 先週の施設でのとある一幕。少々険しそうに眉を寄せるもあどけない 幼い姿は、彼の愛らしさの面影を宿していた。あの施設の浴湯は 果たして何処のものだったのか。否、通説や常識から逸れた現象が幾つも生じていたあの場所を杓子定規で測るのも水を差すのと同義か。此方もくすりと笑みを落とし、 続く言葉に上機嫌に吐息を零す。]
 

 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。
 ………ずっと、思い出してくれてたのか?


[言葉の揚げ足取りになってしまったのは許してほしい。だが、触れずにいられるほど、寛容では無かったらしい。扉へと進み行かんとする歩を止めて、柔い声音でそう問えばどのような声が返されただろう。感謝の意には 頬への口付けで返したのが、未だ外界を分け隔てた部屋での話。]
 
(22) 2024/05/12(Sun) 13:57:18

【人】 靖国 冬莉



[人混みに覆われていた昨日とは異なり、疎らに他者が行き交う通りを窓越しに見送りながら 車を走らせる。彼との逢瀬に後ろ髪を引かれているからか、法定速度すれすれに落として 車内の時間を取っていく。我ながら、彼のことになると その欲深さに驚くも、その心境の変化は心地よい。赤へと、目の前の信号が転じていく。ルームミラーへと視線を向ければ、———彼の向ける表情の、その方角に薄く笑みを敷いた。
 再び、車を発進させる。硝子越しに景色が様変わりしていく中で、僅かに声を上げる彼にすいと目を細める。]


 そういうことも、あるっての。
 次で右に曲がったら、リカバリーできるかねぇ。


[彼の声音に、ハンドルを切る片方の手を少しばかり彼へと向けて、優しくぽんと頭を撫でては 指し示された道へと指示器を鳴らす。彼との時間が少し増えた中で、少し疲れたか?≠ニ柔く尋ね。*]
 
(23) 2024/05/12(Sun) 13:58:09

【人】 靖国 冬莉



 ん、それなら良かったわ。

 何、お前さんこそ疲れただろう、……後始末までして。
 お互いゆっくり休もうな。


[触れる指先の その髪質の感覚は最早馴染みのあるものと化しており、———— 趣向で無しに、五感も全て 彼自身を馴染ませることができたら。僅か数舜の触れ合いの後に、手は空を切って ハンドルへと舞い戻る。他者を思い遣る言葉に、彼らしさを覚えながら 薄く笑みを敷いて 部屋の中で彼の指し示した場所の近くに辿り着く。周囲の景色に対して既知だったのは、此処までだった。]


 成る程、……駅が近くて良いな。


[告げられた彼の住居へと視線を向ければ、小さく頷きを入れて 傍の駐車場へと入り込む。装飾を排したシンプルな建物は機能性のみを意識したような佇まいで、最小限に身持ちを整える自身としては好ましい ————いや、彼が此処に住んでいる、その事実だけでも 酷く魅力的に見えるのだから盲目なのだろう。彼の指示で空いているところへと止めながら。]


 気にすんな、お前さんの処を知りたいと急に強請ったのは俺だ。
 ……次は此処に来ればいいか、お前さんを誘うときは。


[なんて苦笑する彼をルームミラー越しに一瞥しつつ、柔く笑みを零せば 車体は白線の中に入り込み エンジンを止めた。]
 
(27) 2024/05/12(Sun) 22:02:10

【人】 靖国 冬莉



 ん?……いいよ、幾らでも。


[彼の言葉に 緩く頷きながら、階段を上る彼の背を見送る。規則的な音の後にやがて、影一つ見えなくなって。ふと、運転席の中で 周囲を見渡す。———この景色を、何時も彼が見ながら 世俗に呑まれているのだと思い起こせば また一つ 知らない彼を理解できたような気がして 自己満足に耽った。

返事を待ち遠しく思ったのは、初めてだ。


 先刻の彼の柔らかい素面に、きっと 日常を少しずつ己が侵していることに 喜悦が滲み出ていく。彼を構成する一つ一つを知りたいと、———あわよくば それに自身を滴らせたいと思う強欲さに自嘲を浮かべながら 彼の帰り≠待つ。* ]
 
(28) 2024/05/12(Sun) 22:03:15

【人】 靖国 冬莉


[頬杖をつきながら 景色を眺めている中で 硝子越しに響く規則的な音に 視線を向ければ 降りてくる彼の姿に緩やかに笑みを傾けて出迎える。ノックに、窓硝子を開けば 言葉と共に 差し出される彼の手。
 それは、つい先ほどの自身と同じく 彼の領域を侵すためのもの。受け取ることに初め、躊躇していた彼が 自らの意思で 手渡すそれは 日陽に照らされて 柔く暖かみのある色味を放っていた。]


 ………嬉しいねぇ。


[自ずと素直に 込み上げる感情のままに言葉が出てしまう。受け取っては胸元へと運び、きゅうと握り締めた。これは、これまで 周囲に溶け込まんと己を排して藻掻いていた 愛する人からの、信頼の証だ。そして、退路すらも自らの手で絶った、覚悟の顕れ。]


 幸春。


[思いのままに顔を寄せようとするも、俗世の中で彼はきっとそれを善しとはしないだろう。彼を見上げながら ふわりと笑みを深めて。]
 
(31) 2024/05/13(Mon) 0:01:56

【人】 靖国 冬莉



 じゃあ、また着いたら連絡するよ。
 ……また会うまで、無理すんなよ?


[手のひらの中の鍵をキーケースに仕舞い込み、 顔を上げて 別れの挨拶を紡ぐ。彼はどんな表情をしているのだろう。目を細め、その愛おしい顔を目に焼き付けては、エンジンを掛けた。後ろ髪の引かれるままに、———されど 続いていく関係の中での信頼の元で ハンドルを動かしていく。]
 
(32) 2024/05/13(Mon) 0:03:42

【人】 靖国 冬莉



[未だ空いた窓から 頬を擽る風に、僅かな陽気を覚える。それは心情故なのか、それともこの先の季節への兆しなのか。何れにせよ、きっと互いにとって 息のしやすい日々になればいい。
 冬が融けて、春浅し。緩やかに閉じていく窓硝子の先にある木々の枝、その先端には桜の蕾が芽吹いていた。*]

 
(33) 2024/05/13(Mon) 0:09:02
 




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