人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:人


【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>110

がたがたと歪んだフレームの隙間から、さんざめく潮騒が聞こえてくる。
フロントガラスから回り込むように、
海面が反射する橙の光が覆っていく。
ぐるりとハンドルを回して、半開きのゲートをくぐる。
するすると滑り落ちるように向かう先は、港湾施設に併設された倉庫群だ。

「俺の部下にも引き継ぎなんて必要ねぇけど!?
 俺のやってた仕事なんざ、あることをあるようにしただけだ。
 もっとうまくやるまであるね」

張り合っているのかなんなのか、それとも誇らしく主張しているのだろうか。
確かなものなど何一つなく、空々しくすらあるがなり声が車内に響く。
葉巻の先端を視界の端にだけとらえながら、

「セルフサービスだ。
 お前の人生に俺からくれてやるものなんて一つもねえ」

アクセルをがん、と蹴りつけるように踏む音。
速度を増した車は、舗装された斜面を跳ねるように降りて、
ある倉庫の陰へと向かう。
──そこは、カポ・レジーム"黒眼鏡"が管理する倉庫群。
治安組織もファミリーの監視も、少なくとも普段はほとんど及ばない
この街の空白地帯。

#BlackAndWhiteMovie
(111) 2023/10/01(Sun) 1:38:23

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>112
「ぬかせ。お前よりよっぽどいい上司してたわ」

本気の舌打ちをぶちまけながら、バックミラーをぐいと捻る。
根本から明後日の方向を向いた鏡は、もう背後の街並みを映し出したりはしない。
視界に広がるのは風の割には穏やかに揺れる海面と、
それを無機質な倉庫の陰が無機質に、参差として遮っていた。

助手席が開くの音に覆いかぶさるように、
蹴り開けるような勢いで扉が開く。
ところどころ穴の開いたスーツの裾がばたばたと、
忙しなく海風を孕んで揺れていた。

「一服する間くらいは待ってやるよ」

ばん、と力任せに叩きつけられたドアは、しっかりとは閉まらずに中途半端にずれ・・た。
車越しににらみつけるアレッサンドロの片目もまた、押し当てられた布切れを赤黒く滲ませている。
銃弾が掠めたのか、あるいは貫通したのか肩や腿にはごわごわと乾いた血液の痕が張り付いていて、特に左腕の動きが鈍い。
それでも、

「おめえが何やったか、よく見てなかったンだけどよ」

フィアットの天板に、ごとん、と肘を乗せて。

「んなもん、どうでもいいから。」
「これからぶっ殺すくれえ殴るから、死んでも文句言うなよ」

  ――笑った何もかもどうでもいいくらいに

#BlackAndWhiteMovie
(113) 2023/10/01(Sun) 2:30:45

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>114

「そりゃこっちの台詞だ、あんたが大人になっちまう・・・・・・・・日が来るとは思っちゃいなかった」

車に体重を預けながら、悪餓鬼のような笑みを浮かべる。
怒りと苛立ち、嘲りと――仲間意識。
そういったものがないまぜになって、ぐつぐつと、
耐えがたいはずの悪臭を放ち煮えたぎるような凶相。
なのにそれは、どこまでいっても笑みと表現されるものだ。

「──俺だってガキじゃあいられねえ。ただ、どーでもよくなる時だってある」

はるか遠くを過ぎゆくプレジャーボートのエンジン音が、波を伝い足元にまで響いてくる。
そうして、あなたの漏らした言葉には、一瞬きょとん、と目を丸くして。

「──ハ」

気色悪いこといってんじゃねえよ同じこと思ってんじゃねえよ

ははは、ははは、と。抑えきれなくなったような哄笑が、途切れ途切れに漏れ出して。

「──オッサン、コラ。ノンビリ吸ってんじゃねえぞ」

かつては大人と子供ほどに離れていた年齢は、今やすっかりと希釈された。
それなのに、その口調は悪態をつく子供のようだ。
ポケットに片手を突っ込んだまま、車に手をついてゆっくりと回り込む。
おぼつかなかったはずの足取りは、舗装された足元を引きちぎるかのように重く、強い。
ぴりぴりと、引き絞られたか弓矢のように、それは放たれる時を待っている。

#BlackAndWhiteMovie
(115) 2023/10/01(Sun) 9:41:54

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>116
ガキみてえなことのけ反って蹴足を避け
  言ってんじゃ車の側面を蹴り跳ねあがって        
         空中に飛び上がり
            ぇえぇえええエエエエエよッ足を引き絞った!!!」



葉巻が撃鉄のように落ちて、
そらすら待たずにばね・・は動いた。
ほぼノーモーションで放たれた蹴りを避けられたのは、同時に動き出していたからにすぎない。
だ、だん、と鋼板をへこませる音と同時に、アレッサンドロの長身が車の天板よりも高く飛び上がる。
大きく孤を描き放たれる、横殴りの足刀。

──だが本命は、その陰。

先ほどまでポケットに突っ込まれていた拳が緩く握りしめられて、空中に身を躍らせた直後──
蹴りとワンテンポ遅れただけの奇妙なタイミング、そして間合いで突き出される。

当たるはずも牽制になるはずもない、ばたつかせただけのような手。それがぱ、と開かれて、

ばさり
、と。

握り込まれていた粉末・・が、
掠れた音とともにぶちまけられる。
派手な蹴撃に紛れて放たれるそれは、
アルミ片を削った・・・金属の欠片。

粘膜を容易く傷つける無数の礫が、潮風に逆巻きながら、顔面を狙ってぶちまけられた。

#BlackAndWhiteMovie
(117) 2023/10/01(Sun) 10:25:28

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>118

爪先が何かを掠めて、あるいはまったく空振りをして、
けれどそんなものはどうでもいいと引き戻す。
格闘戦において、自らの肉体を伸ばしたまんま相手の射程内に置いておくほど愚かしいことはない。
──そんなものを分かっているとばかり、即座に叩きつけられた拳と脚刀がぶつかりあう。

「っ、っだ、」

膝裏を鉤のようにひっかける指を上から押しつぶすように、
器用に全身のばねをたわませてもう片方の足を叩きつける。
技術というにはあまりにも稚拙で力任せなそれが、
もつれあうようにして互いの手足をはじき合った。
人間が滞空していられる時間は、そう長くはない。
アレッサンドロが辛うじて両足を地面に着地した時には、
そんな一瞬の攻防を経て、互いが姿勢を崩したままだった。

No
僅かに、無茶な動きをしたアレッサンドロの方が姿勢が悪い。
それを補うように、咄嗟に距離を埋めるように左手の拳が突き出される。
──ちか、と。
金属の輝き。

握り締めた拳の指と指の隙間、
そこに握り込むように金属片車の鍵
拳から突き出す先端は猛獣の爪のように、防御すれば肉を裂き骨を打つ。
距離と間隙を埋めるように鋭く二度、三度、狙うは当然顔面、あるいは傷を負った胸元や肩口。


#BlackAndWhiteMovie
(119) 2023/10/01(Sun) 11:03:51

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>120

極至近距離での白兵戦で、完全に攻撃を避けることなど不可能だ。
姿勢を僅かに整えるまでの数瞬に、
殴打は筋肉と骨で、刃は服の表面で受ける。
みしりという音が体内で響いて、足先が思わず溢れ、
それでも牽制を幾度と放ち、
そのまま押し込まれることを防ぎ切る。

体躯では負けている。
体重ウェイトというものは格闘戦において絶対だ。
それでも、正面からぶつかり合う。僅かでも腕のうちに潜り込むように身をかがめて、

「っ、づ」

抉りこむような蹴りが、突然そこに現れたかのように肉を打つ。
ばぢん、という音を遠くに聞きながら僅かに体を引いて、
じんと痺れる足をかばうよう片足でかるくステップを踏みながら、ノックするような軽く早い拳をフリッカージャブ叩きつける。

体力と血液を絞り出すかのように打ち、打たれ、削り合う。
喧嘩でも殺し合いでもある、それはひどく原始的な闘争だった。。

#BlackAndWhiteMovie
(121) 2023/10/01(Sun) 11:39:49

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>122

「ッダ、…っあぁ゙あ!!」

振り上げられたナイフに対し、踏み込んだのは本能的な反射行動だった。
刃ではなく、それを握る腕を止める。
それもガードと呼べるものではなく、飛び込み、胸板で受けるだけ。
どんという衝撃が肺を貫き呼吸を止めるが、
構わず、かじりつくようにナイフごと腕を抱き込みひっつかむ。

「……
っラ、
ぁ゙!!」

命を振り絞るような格闘戦では、ぱたた、と水音が響くものだ。
それは汗か涎か、血か、あるいは髄に近いものか。
生命の雫が撒き散らされていくように
二人の足元になにかが飛沫く。
笑顔はない。
だが高揚し、滾り、燃えていた。
その勢いのままに大きく体を捻り、
砲弾のようなストレートが放たれる。
技巧も戦術も殴り合いの中に消えていき、
あるのはただ肉と骨を叩きつけるような気迫だけ。

#BlackAndWhiteMovie
(123) 2023/10/01(Sun) 12:19:44

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>124

振り抜いた腕が、拳が、びきびきと軋む。
指がひしゃげてしまったかのような衝撃。
─構わず、再び握り込む。

「…、っ、お休みしてンじゃ、ねえぞおっ!!」

ナイフの音、体勢、隙。
それらを自覚しながら、けれどどうでもよかった。
2度。3度。その一撃一撃で殺すつもりで、
拳を叩き込みながら前に出る。

突き進む。
もつれ合うほどに飛び込んで、めちゃくちゃに殴りつける。
どちらのものかもわからない液体が飛んで、びたびたと落ちていく。

それらすべてを振り払うように足を振り上げて、
そのまま蹴倒す様な前蹴り。
姿勢を崩せば、あとは絞め殺してやるだけだと、

前へ。

#BlackAndWhiteMovie
(125) 2023/10/01(Sun) 18:22:36

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>126
がつがつと頭蓋骨を殴りつける拳が、恐らくは指としての機能を失いつつある。
だとしてもそれは打突部位として、最後までそこに在る。

だったら、十分だ。

いつのまにか取り落としてしまった車のキーは、もう見当たらない。
苦し紛れのように腕時計を外して、それを握り込み、
僅かに重みを増した拳を何度も何度も叩きつける。
油断は、しない。慢心も、しない。
このまま殺しきるつもりで打ち、殴り、叩き、蹴る。
呼吸することすら忘れ繰り返す打擲の末、

「っ、お」

先ほどナイフを握る掌を受けた時の、逆回しか。
蹴りが威力を発揮する前に受け止められ、
ぐわんと体が持ち上がる。不味い、と体を引く――

より
、も、
そんなことよりも。


「…っがッ!!!」

一撃入れる・・・・・ことばかりが、脳を焼く。
持ち上げられた肩口に重心を預けて、倒れるに任せて。咄嗟に跳ね上げた軸足を折りたたみ、

  ――顔面に、膝を叩き込む。

踏みとどまるつもりは、なかった。もろともに海へと叩き込むその狭間に、がづん、と。
#BlackAndWhiteMovie
(127) 2023/10/01(Sun) 18:56:14

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>128

「てめえ」

口を大きく開いて、
    赤い飛沫が白波を横切り、
橙の燦光が瞼を過り、
    視界と天空が回転する。

「なあ」

がづん、がづん、がづん、がづん。
   肉と骨が打ち合う衝撃が、今も続いているのか、
それともずきずきと鈍く残る残響なのかもわからないまま。
  誰も逃れられぬ運命のごとく、
                重力が追いついてきて、

 

    「──ふざ」







#BlackAndWhiteMovie

(130) 2023/10/01(Sun) 19:18:23

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡



   音も衝撃も、感じなかった。

   気が付いた時には、全身に泡がまとわりついていた。

   どちらが漏らしたものかもわからない
   気泡が全身を覆って、
   海面で乱反射する夕日が薄暗く差し込んで、


がぼ。



この泡は、自分の口から出たものだ。
それだけを自覚しながら、

  ごぼ  ごぼぼ。

  ――握り締めた拳を、そ
の顔面に
叩き




#BlackAndWhiteMovie

(131) 2023/10/01(Sun) 19:19:32

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>130 >>131


      
ごぼ。





(132) 2023/10/01(Sun) 19:20:01

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

(133) 2023/10/01(Sun) 19:20:32

【人】 黒眼鏡

>>133 >>*2



   
ばぎん、と。

   海中で一発、その鼻面に拳が届いて。





#BlackAndWhiteMovie
(134) 2023/10/01(Sun) 19:25:01
黒眼鏡は、ヴィンセンツィオとケリをつけた。 #BlackAndWhiteMovie
(a44) 2023/10/01(Sun) 19:25:35

【人】 黒眼鏡

>>-419

──PIPIPIPIPIPIPIPI.


潮騒に紛れて、電子音がする。
壊れた赤い車の後部座席からだ。
すっかりと扉が拉げたそこから、
けたたましくアラームが鳴り響いている。
(135) 2023/10/01(Sun) 20:17:59

【人】 黒眼鏡

>>136

後部座席に忘れ物・・・みたいに置かれていたのは、電話だった。
──アレッサンドロが使っていた、小さくて黄色い電話。

PIPIPI、PIPIPIと、鳴り続けている。
発信者は、「G」とだけ。
(137) 2023/10/01(Sun) 20:28:45

【人】 黒眼鏡

>>138

『…もしもしPronto?』


その電話を取ると、
男の声が聞こえた。
──君はきっと、よく知っている。
思い出せるかは分からないが、思い出してもおかしくないくらいに。

    
……あのジェラート屋の店主だ。


『──ああ。ええと。今日、あんたから電話がくるか、
 あんたが電話に出たら、こう言えと言われてます』


彼はあなたの声を聴くと、
何も尋ねることなく、

『「俺が一番好きなのは、カップのバニラ」って』
『お届けしましょうか、なんて聞いたんですが、いや、食いたいわけじゃないと……』


咳払い。

『すみません、私が首を突っ込むことではなかったです。
 それだけ…ああ、その電話はやるから好きにしろと。
 それだけ伝えろと言われていますので、伝えました。

 あ、私は姿を晦ましますのが、店は娘が継ぎます。
 今後とも、ごひいきに』


がちゃり、と電話がきれて、それきり。つー、つー、つー、という電子音だけが聞こえた。
(139) 2023/10/01(Sun) 20:36:14