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【人】 アマミまぁ嘘の付き方なんて知らん方がいい。 はは。島の件は今でも悪かったと思ってる。 あの頃は少し他人に不信気味だったのさ。 ............いや。今も、か......? [顎に指を当て考える。 前よりマシになったというだけだと自覚しているつもりだったが、そのあたりはアマミの事を見てきたクラヴィーアの方が詳しいのかもしれない。 3年もかけて己の前にこうして姿を現している時点で大概じゃないだろうか、と。アマミが彼女の心境を知れば揶揄うことになっただろうが、それはさておき。>>0:149 仮面を被った自分とは違い彼女の表情の変化は実に分かりやすい。 おかげでアマミは余計な勘ぐりをしなくて済むというものだ。 傍にいても不快感を抱かない理由は彼女のこういう一面にあるのだ。] (7) 2021/04/03(Sat) 8:12:48 |
【人】 アマミ[互いの願いが一致した今なら>>0:150、「心が読める」と嘘をついても信じてもらえそうだが、残念ながらアマミは嘘が下手だ。 結局、自分がどうしたいかしか考えてはいなかった。 彼女に風邪をひかせない様に、など。 嘘ではなくとも彼女を家に留める口実に過ぎない。 隣を歩くクラヴィーアから向けられる感情はかつて己が願い、あの島で捨てた物を彼女に拾い上げられるようで。] 知ってるさ。 だが口実にするには上等だろう? [島の事を思い出してくすりと笑う。 「あの島を生き延びる人間に生活能力や免疫力が無いわけないだろう。何を言っているんだ。」 街を歩きながら、彼女をそんな風に揶揄って見せるのだ。] (8) 2021/04/03(Sat) 8:14:26 |
【人】 アマミあぁ、暖かい食べ物については同感だ。 それに、最近栄養も不足している気が するんだ。 [だからなるべく栄養価の高いものを彼女には頼むことになるだろう。料理のリクエストをしなかったのは、もてなされる者のささやかな礼儀だ。 食材を手に入れる時には費用負担について少々彼女と言い合うことにはなっただろうが>>0:152、結局アマミは自分が折れることを選ぶ。] あぁわかった。だがこれは俺の持論だけどね。 料理や家事をする事にも対価があって 然るべきだ。 礼くらいはさせてくれ。 [そう言えば彼女は納得してくれるだろうか?なんにせよ、その礼が何になるかは彼女次第のところがあるが。 先に家に入るなり、 おかえり と冗談めかすクラヴィーアは>>0:153なんとも可愛げのある姿だとアマミは思うのだった。]** (9) 2021/04/03(Sat) 8:16:34 |
【人】 アマミ[ところで彼女の使用人はやけに理解がある。 それどころかむしろ使用人は我々を見る時に何かを期待しているように思えて、彼女の家に寄った時にはアマミも流石にたじろいでしまった。 今でも使用人のにやけ顔がやけに気にかかっている。 その目はアマミからは利害を求めたものではなく、他者の色恋を囃し立てるある意味タチの悪いものに見えたのだ。 クラヴィーアの想い人である己が変人なのはいいとして。 使用人もまた変人なのだろうか? 普通もっと男側の己に対して厳しく当たるものでは無いのだろうか? アマミはそんな疑問を抱かざるを得ないのである。]** (10) 2021/04/03(Sat) 8:19:04 |
【人】 アマミ──買い物を終えて── [クラヴィーアが夕食の準備をしてくれている間>>0:165、アマミは当初予定していた執筆を足早に済ませていた。 構想は既に練ってるが為にこの印字の作業がなにより大変かつ面倒なもので、筆先を走らせながらも頭の中ではほかの事を考えるようにしている。 今考えていたのはあの島でのことだ。 失った記憶を思い出すことは出来ないが、記憶を失ったという事実だけは覚えていられる。覚えていてしまえるのだ。 それはきっと、クラヴィーアも同じなのだと思えばアマミは苦痛など微塵も感じはしないのだが。>>0:161 あの島での出来事に疑問がないといえば嘘になってしまう。] (11) 2021/04/03(Sat) 8:45:46 |
【人】 アマミ[疎まれ虐げられ、時には生命すら脅かされた幼少期。 記憶を抜かれた今となっては過去は苦痛でしかないが、 まこと皮肉であるのは断片的に記憶を残されている事だ。 記憶によって抱く感情は月によって淘汰され、そこには事実だけが残る。 己が何を感じたかなど。そこにはもう、無いのだ。 人の想いは記憶の奴隷なのだと、かのシェイクスピアは綴るが隷すべき記憶すらなければ何かを想うことも出来はしない。 それは感情を奪われたまるで機械の型番に等しい空虚なプロフィール。気分が悪いことには違いなかった。]** (13) 2021/04/03(Sat) 8:49:41 |
【人】 アマミ[しばらくして、執筆に勤しみながら思想に耽っていたアマミを現実に引き戻したのは、彼女が持ってきてくれた食事から漂ういい匂いだった。>>0:166 ありがとう、といつも通りクラヴィーアに礼を言うとまた彼女と食卓を囲む事にするのだが。 ちなみに味の方は完食した皿を持って答えとした。 ]味に対する絶対的な信頼、という方が正しいかもしれない。 ワインか......久しく飲んでない気がする。 せっかくだから貰うとしよう。 君も一緒に飲むか? [彼女にワインを見せられるとグラスを取りに行くのだが、いつか買ったワイングラスは少しだけ埃っぽい。その為一度洗って食卓にグラスをふたつ置いて、ワインを揺らしながら乾杯を告げることになるだろう。 教会からの貰い物らしいが、ワインは高級品だ。それ故に貰わない方が失礼というものなのだ。] (14) 2021/04/03(Sat) 8:51:09 |
【人】 アマミ[喉を通る酸味と渋みはクラヴィーアの作ってくれた煮込み料理に良く合う。 貴族共の真似事はゴメンだとワインは敬遠していたアマミであったが、これを機にワインをまた飲もうなんて考え始めすらしていた。 一口ワインに喉を鳴らす>>0:166クラヴィーアに何気なく] リアンの育てた林檎でりんご酒を作ったら きっと美味いんだろうな。 [と話題を振ってみるのだが。 おかしい。ちゃんとした返事が返ってこない。>>0:167 アマミは思わず目を丸くしてしまった。 なんとも間抜けな 本人に言ったら怒られそうだが 様子のクラヴィーアは、いままで見たことがなかったものだから。彼女の新しい、しかも滅多に見ることが出来ない一面が垣間見えたと思うと自然と笑みが零れてしまった。] (15) 2021/04/03(Sat) 8:54:53 |
【人】 アマミ[体力の消耗や疲れの蓄積は酔いを煽る。 もしかしたらクラヴィーアは今日のことで疲れてしまったかもしれない。 そう思えばアマミにはクラヴィーアをみっともないと糾弾できる訳もなく 椅子に深く座る彼女にそっと腕を伸ばして。] いつもありがとうクラヴィーア 今日はゆっくり休むといい。 [彼女を労いながらその華奢な体を抱き上げ、普段自分が使っていた寝室のベッドへと運ぶ。 どのタイミングで彼女が意識を手放したかは定かではないが。 彼女を寝かせた後は優しく頭を撫でた後、アマミはソファーで眠ることになるだろう。 多忙期にはベッドで寝ることなどほとんどないこの男には、寝床など関係ないのだ。 朝になれば今度はアマミがクラヴィーアに間抜けな姿を見せることになるだろう。]** (16) 2021/04/03(Sat) 8:56:46 |
【人】 アマミ[アマミが見る夢はいつも陰惨であった。 幸福な夢など見たことは無い。 正確に言うならば、彼女との時間こそがアマミにとっての夢に等しいもの。 だからアマミにとって、夢を見る必要などないはずだった。]** (17) 2021/04/03(Sat) 9:27:52 |
アマミは、メモを貼った。 (a5) 2021/04/04(Sun) 16:51:41 |
【人】 アマミ──回想:三年後 アマミside── [実際のところ、あの島でアマミがクラヴィーアに告げた3年という時間は縁切りのようなものであった。 それは火が自然に収まるのを待つかのよう。 そもそも婚約や恋愛など政略の利害に基づいた極めて合理的なメソッドに過ぎない。 それはアマミが人生を経て培った持論のひとつであったが、その持論は極めて非合理な少女に3年の刻をもって壊されることとなった。 元来アマミにとって、自身と添い遂げようとする女達は皆金や名声にがめつく蛇でしかない。 長年培い続けた持論を直ぐに手放すことは出来ず、アマミは少女にあの言葉を告げた。>>0:81 未熟なEveは蛇に唆され、リンゴを食べて堕ちた。 未熟なリンゴは果たして毒か、蛇か。あるいは両方か? アマミは3年も経てば、糸は切れると思っていたのだ。 そして想定では3年経った頃にはもう二度とクラヴィーアに会うことなどないはずだった。] (34) 2021/04/05(Mon) 6:42:57 |
【人】 アマミ[しかし、それがどうしたことか。 少女は心身共に成長を遂げ、自身の前へと現れた。 あの時アマミは自身が培った経験や想定の中ではありえない事が起きたと、彼女には見えないお面の奥目を丸くしていたのだ。 「アマミさん、私は貴方が好きだ。 貴方の側にいさせて下さい。」 そう頬を赤らめながら告げるクラヴィーアを前にして、アマミは思い知らされる。 彼女は蛇なんかではなかったのだと。 『未熟だったリンゴ』は毒など微塵も入ってはいないのだと。 自身の想定した二者択一の中には ]そもそも正解なんて存在しなかったのだと。 (35) 2021/04/05(Mon) 6:45:42 |
【人】 アマミ[彼女を前に己の経験など何の役にも立たない偏見に過ぎないと気づいた時、アマミは彼女を家に招き入れることを決めた。 「君にはまいったよ。」 そう冗談交じりに彼女に告げたアマミだったが。 あの時の彼女に対する心象はそれに尽きるのだと、アマミは今でもそう言うだろう。 らしくないのは承知の上で、運命とはこういうものなのだとすら思えてしまったのだ。]** (36) 2021/04/05(Mon) 6:54:08 |
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