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人狼物語 三日月国


258 【身内】冬融けて、春浅し

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【人】 葛切 幸春


[その声掛け>>-0 は、再びこの部屋を出る間際の事だった。
思い出すまでも無い既視感。
数日前の光景が脳裏に巡る。>>0:1

光を反射する銀色は、あの時と何も変わらない。
変わったのはきっと己の心だろう。
]


 ……、


[鍵から視軸を移し、目の前の相手を見る。

――此方へ問いかける面差しは何処までも優しい。
面白い筈もない他者の躊躇や怖れを、隣で立ち止まって手を差し伸べる彼の温かさは矢張り眩く。日向の似合う存在だと、今でも思いもする。]
 
(0) 2024/05/09(Thu) 21:55:32

【人】 葛切 幸春



 [――けれど、]
(1) 2024/05/09(Thu) 21:57:09

【人】 葛切 幸春

 [手を伸ばす。]


   [彼の指先ごと、鍵を包み込んだ。]
(2) 2024/05/09(Thu) 21:57:42

【人】 葛切 幸春


 俺の健康管理を任せる代わりに、
 あんたの胃は俺が請け負うと言ったからな。

[指先へ仄かに力を籠めて、少しの冗句を声に混ぜる。]

 俺も、あんたと未来を生きたい。

        ……受け取らせてくれ。
 
(3) 2024/05/09(Thu) 22:01:25

【人】 葛切 幸春


[暫時の間。
身体を離し、言い淀むよう唇を濡らす。]


 それと………、我儘を承知で、
 あくまで体が大丈夫そうならなんだが。


[歯切れ悪く言い足すには、]


 送ってくれるか。……もう少し、あんたと居たい。


[己なりの、一歩と呼ぶにも笑える話だが。
あんたなら呆れずに居てくれるだろう?*]

 
(4) 2024/05/09(Thu) 22:07:05

【人】 葛切 幸春


[此方の意を汲んで、返される響きが心地好い。>>8]


 ……ああ、大事にする。


[噛み締めるように呟いた。
出会ったあの日から
――余りに無防備で、これ以上に情の深い話はない。迷いながら手を伸ばせなかった己の前へ、未だ選択肢は此処に在ると示すかに 何度も鍵を差し出してくれた彼の心を思う。
その線引き>>5 は知り得ない。唯今日まで、歩幅を合わせるかのような自然な厚意を幾度となく感じて来た。そしてその優しさに救われた己が居る。仮令彼が彼自身を如何思っていようとも。]
 
(10) 2024/05/10(Fri) 21:57:38

【人】 葛切 幸春


[多分に甘さを含んだ軽やかな受諾>>9 に 安堵染みた笑みを刷く。ものの、次いだ提案に眉をぐうと寄せる事となる。]


 いや駅までで……いいんだが、………。
 

[言い掛けて、先程よりも長い沈黙。
先程本望だと応えてくれた彼の柔らかな、或いは嬉しそうな表情を瞼の裏に反芻するように。手の内の鍵を握り締めて頷く。]


 甘えてもいいか。駅より、幾らか遠いが。


[この最寄り駅から三,四駅分隔てた距離に在る己の住処安いアパートまで。残り時間を惜しむように、行先を告げた。*]
 
(11) 2024/05/10(Fri) 22:08:19

【人】 葛切 幸春


 アイコン。ああ、可愛いだろう?
 少し癖っ毛の、ふわふわとした毛並みで。何となく冬莉に似ていると思ったらつい。あんたの小さな頃はあんな感じだろうかと……、まあ……。

[犬と人間で在るからには雰囲気の話ではある。だが一目見て変えずにはいられなかった事を、髪へ触れる柔い指先に背を押されるように点々と語って手に手を重ねた。尤も 文字の上で繋がっていた数日に相手を思い起こしていた事実を白状するようで、最後には言葉をやや濁しもしたが。]


 ――変えるのか?


[水を差すとは知りながら残念そうな返事になった。]


 あの眼鏡のアイコン、あんたらしいと……
 ……可愛く思っていたんだが。


[この数日で慣れ親しんだ画像に少々愛着が沸いた事を許して欲しい。]
 
(13) 2024/05/11(Sat) 20:04:35

【人】 葛切 幸春


[彼の喜色が深まった笑顔を眺めて、また一つ選択を許された気持ちになる。儘に吐露すれば、>>0:-27対等で在る事を説いてくれるかも知れない。昨夜を思い出しながら携帯を弄る横顔を眺め――横から其処だと示した地図の上、確かに保存された己が住処を知り 頬へ一度口付けていた。]


 ……ああ。


[靴を履き、相手の隣へ立つ。
あの日一人だった帰り道を二人で辿る喜びに笑い、重ねた指先を絡めて扉を潜った。]
 
(14) 2024/05/11(Sat) 20:05:15

【人】 葛切 幸春


[―――扉を出た後でこう思いもする。]


 
( 他の住人と擦れ違う可能性があるのでは。 )



[擦れ違う人影が無い慌てて手を離さずに済むことを願って。]
 
(15) 2024/05/11(Sat) 20:05:39

【人】 葛切 幸春


 生まれつきか……。
 ふ、あんたは小さな頃から可愛いだろうな。間違いない。

 昔の写真? いいのか、楽しみにしておく。
 

[幼い時分もさぞ愛らしい事だろう。目の前の相手に、まろい輪郭を想像するように重ね見て思わず僅かに声が弾む。若干抱いた決まりの悪さも、アルバムと聴けば霧散するのだから我ながら調子が良い話だ。穏やかに空気を揺らす彼の笑みに釣られて、そっと目を細めた。]


 安直でも何でも、あのアイコンを見るとあんたの顔を思い出して……愛しくなってな。

 止めてすまない。だが有難う。


[長く使っていた画像を、己を切欠に変えようとしてくれた心自体は嬉しくもあったのだから己は欲深い。小さな呟きは耳に入らず僅かに首を傾いだが、追究する事無く戸を潜った。]
 
(19) 2024/05/11(Sat) 23:25:42

【人】 葛切 幸春


[幸いにして廊下は静寂に包まれていた。扉を閉める相手の横で微かに安堵の呼気を逃す。外に出るまで浮かれていた己が内心を正すように、何時でも離せる準備をと絡めた指先の力を弛め―――逆に力が籠められた事を知る。寸刻、息を飲んだ。]


 だが………、


[穏やかな声を咄嗟に否定し掛けて、しかし次ぐ言葉が続かない。万が一の遭遇で何より困るのは此処に住む彼自身だ。にも関わらず絡んだ儘の指先は温かく、此方の逡巡を敢えて流すかのように配慮と共に相手は歩み出す。半歩遅れて 足を踏み出した。]
 
(20) 2024/05/11(Sat) 23:26:07

【人】 葛切 幸春


[何事もなく乗り込んだ助手席で、任された、≠ニ頷いたのが少し前。滑らかに走り出す車は、矢張り無駄な振動を感じさせず心地好い。走りには人柄が出ると良く云うが彼の運転は出逢った時から穏やかだ。

硝子向こうに流れていく景色よりも 惜しむように相手の横顔を眺める最中、もう“あれ”は無いと知りながらルームミラーをつい視線でなぞった。部屋と同じく殺風景になった車にも何か贈りたいところではあるが――黒い犬が思い付くのだから、元居た犬と重なって少々眉が寄る。
悔しい話ではあるが、彼に犬を贈った女性とは或る意味気が合うのかも知れない。
そんな事を考えていたものだから、]


 あ。

 今のところを右に曲がっ……、
 ……もう遅いな。すまない。


[ナビゲートの任を了承しておきながらこの為体。
申し訳無さに僅か肩身を狭くして、次の道を示した。*]
 
(21) 2024/05/11(Sat) 23:28:15

【人】 葛切 幸春


[また何時かがあればな。
不可思議な事が往々にして起きた件の施設。半ば夢だったのではないかとさえ感じるが、掴んだ縁が確かに此処に有るのだから化かされた訳では無いのだろう。アルバムに関する彼是は敢えて笑むばかりに流す事で、心待ちにする姿勢を暗に伝えた心算で。]


 ……、あんたのことを考えない日はなかった。
 返事を待ち遠しく思ったのは、初めてだ。


[扉を潜る直前だっただろうか。思わぬ形で掬われて一瞬肩を揺らしたが、顔を上げて頷いた。正直に溢す言葉が 彼が示してくれた愛情への一日遅れの返答に成り得たなら良い。0:-26]
 
(24) 2024/05/12(Sun) 20:03:50

【人】 葛切 幸春

[緩やかな速度の所以を知らずとも、二人の時間が増えるのならば否やはなく。眺める横顔の中、薄く笑みを刷く口唇へ焦点を添えて目を細めた。運転の最中に手を出す程不道徳ではなくとも、エレベーターで最後に交わした口付けの感触を思い出すように自身の唇へ触れる。扉の開く最後まで情を示してくれる誠実さも、彼の人柄を指し示すようで愛惜しかった。
キーホルダーを残した女性達とも、そうした逢瀬を楽しんだのだろうか。有るか如何か不明だと言っていたアルバムは誰も見ていないと思いたいが――
己も大概、嫉妬深いと自嘲する。]


 ああ、いや。すまない。大丈夫だ。


[柔らかな促し、頭に触れる手に現へ意識を戻す。]


 俺よりあんたの方が疲れている筈だ。
 運転も世話になって、……身体の方も。
 今夜はよく休んでくれ。


[一日穏やかに過ごしたとて、昨夜の負担は未だ残っている事だろう。目線をそっと身体の線へ添わせて、自然と脳裏に描き掛けた彼の艶姿。今思い返すには場が悪いと 首を振るって目を瞑った。]
 
(25) 2024/05/12(Sun) 20:09:13

【人】 葛切 幸春


[その内にやがて己の依拠も見える筈。駅からの利便性と、その中でも家賃の低さを重視した安いアパート。
男一人の暮らしだ。住めればそれで良いと、これまでは特に気にも留めていなかったが、高層マンションとは比べるべくもない住まいに些か気不味さを覚えもする。]


 上がっていってくれ、と言えたらいいが……何の持て成しも出来なくてな。


[微かに眉を下げて苦笑し 過ごす時間の終わりを惜しんだ。
だが車が付近に辿り着いた折、別れる前にふと――少しだけ待っていてくれるか≠サう言い残して 二階の一部屋に暫し姿を消すだろう。*]
 
(26) 2024/05/12(Sun) 20:13:47

【人】 葛切 幸春


[少し口の端を弛めて軽く首を振る。恋人と睦み合った後、託された肢体を気遣う事を疲れと思う筈も無い。口数多く語りはしないがそう伝わればいいと目線を交わし―――辿り着いた駐車場で車が完全に停まった後、ハンドルを握る手指をするりと一度撫ぜ、礼を言って車を降りた。]


 ……此処まで来て貰うのは悪い。
 あんたの所まで俺が行くさ。


[車でなくて悪いがな。@U導したのは来客用の一角であり、自身が借りている駐車場は無い。その場に残した彼が、頭の中で如何思っていたかを知る所ではないが。至って普通と云うよりも若干古びた建物でさえ在る。部屋を守る唯一の鍵は当然ディンプルでもなく、極一般的なシリンダー錠だ。彼の住まいのセキュリティに比べたら頼りないと言うべきかも知れないなと頭を過った考えに少し笑って扉を潜った。]
 
(29) 2024/05/12(Sun) 23:23:30

【人】 葛切 幸春


[幾許かの間。
階段を下りる音を響かせて、再び駐車場に戻った時に彼は如何していたか。運転席側の窓を覗き込むように数度ノックして帰りを知らせ、]


 ……これを。
 あんたも、受け取ってくれないか。
 そう使う事はないかと思うが……俺の気持ちとして。


[掌の上、銀色の鍵を差し出した。*]
 
(30) 2024/05/12(Sun) 23:24:15

【人】 葛切 幸春


[差し出した鍵を、喜びと共に受け取って貰えた事に安堵し──己が躊躇った二度の折、彼の心情は如何だったのかと改めて思う。

それでも此方の選択をその儘受け入れてくれた優しさに、この先で報いて行きたいと願いながら。胸許で大切に握り込まれた鍵を、その柔らかな笑みを描く相貌を、細めた眼差しで暫し眺めた。]
 
(34) 2024/05/13(Mon) 0:35:45

【人】 葛切 幸春


 あんたも。
 ……気を付けてな。


[眦を和らげて、短い言葉に有りっ丈の愛惜しさを込めた。

エンジンの音に、一歩 足を退く。
窓硝子に掛けた指先だけが、惜しむように遅れて離れた。緩やかに発進する車に軽く片手を挙げる。やがて道を曲がって見えなくなるまで――否、その音が聴こえなくなるまで、ずっと。その場に立っていた。]
 
(35) 2024/05/13(Mon) 0:37:27

【人】 葛切 幸春


[暫し噛み締めた余韻を、近くを通る人々の話し声に区切って首を振る。再び階段を上って部屋に戻る最中、建物の脇に咲く桜の木が小さな蕾をつけているのを知って足を止めた。目を細める。
嗚呼そうだ。いつの世も――――]
(36) 2024/05/13(Mon) 0:40:00

【人】 葛切 幸春



    [優しい冬の隣に、春が在る。**]
 
 
(37) 2024/05/13(Mon) 0:40:43
 




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