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【人】 医者 ノーヴァ── シップマン医院:診察室 ── [ジェインはひとしきり窓を布で磨くそぶりを見せた後、諦めたようにため息をついた。 キュラステルの宝とも言える病院の外観がこんなもので良いのだろうか、と。 その奥にあるドアのない小部屋で書類整理をしていたそこの主人は、看護助手兼メイドの女に声をかける。] そこまでにしておきなさい。 もうそれ以上綺麗にはならないだろうから。 [そう言えば、納得いかないといった顔で膨れっ面を見せることはわかっていたから。 苦笑いして両手をひらつかせ、マシンガントークが始まる前に降伏のポーズを示してやれば、彼女は不満げな呻き声を上げつつもしぶしぶ動きを止めた。 雑巾を握ったまま、行き場を無くした掌を腰に当てて胸を張る。代わりに出たのは大きなため息だった。] (24) 2022/11/04(Fri) 16:28:18 |
【人】 医者 ノーヴァ「……もう、先生! もう少し自分はここの開業医なんだって自覚を持ってもらわないと困ります!」 そんなことを言われても…… 自覚を持てってどうすればいいんだい?もっと掃除をしろって言うのかい?終わりなんて見えないのに? 「そういうことではなく……あー、もう結構です!言っても何も変わりませんし……」 [ひとまず今日の災難は免れたな、と思った。 隠れて肩を竦めながら、途切れた会話と空気の間に珈琲の香りを燻らせる。 ノーヴァ・アーネスト・シップマン。 キュラステル唯一の病院の主。種族を問わず患者を受け入れる腕利きのドクターだ。 その治療方法は独特で、軽い怪我なら額を当てるだけで完治してしまうとか。いってしまえば、魔人独自の術を持っていたのだ。] (25) 2022/11/04(Fri) 16:29:07 |
【人】 医者 ノーヴァ[形ばかりは小さな島ではあるが、最近では人の往来も増えており、彼を頼る人々も少なくはないだろう。 こんなに優雅なコーヒーブレイクを楽しめるのは珍しいことだった。 未だにぷりぷりと頭から湯気の上りそうな彼女も、仕事を奪われ手持ち無沙汰にしているようで。] ジェイン、今日はもう帰ったらどうかな。 ……安定期に入ったとはいえ、もう一人の身体ではないのだから。 [看護師のふっくらとしてきた下腹部を軽く見やり、気遣いの言葉を投げる。そこには彼女の旦那との子供が息づいているはずだった。 女は暫く躊躇した後、ぺこりと頭を下げて帰宅の準備を始めてくれたから、今度はこちらが安堵の溜息を吐き出した。 これで働き詰めの彼女に束の間の休暇を与えることができるだろう、とか、 今日はもうこれ以上彼女の小言は聞かなくて済む、とか。 そんな思いを、帰路を辿る彼女の背中さえも見えないくらいに曇った窓に向けながら。]** (26) 2022/11/04(Fri) 16:29:36 |
医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a5) 2022/11/04(Fri) 16:31:17 |
【人】 医者 ノーヴァ[額を合わせれば何もかもわかる。 君が何に苦しんで、どこを治せばいいのか。 腹を切り開けばいいのか、傷口を縫い合わせればいいのか、薬剤を注入すればいいのか、痛み止めを処方すればいいのか、それとも単に話を聞いてほしいのか。 …………君の弱いところを、僕なら理解することが出来る。 そうした小さな大切なところを、ずっとずっとこの手で、] (43) 2022/11/05(Sat) 2:49:50 |
【人】 医者 ノーヴァ[突如足元で耳をつんざく破砕音がした。 思わず丸くした目を下にやれば、粉々に割れたティーカップ。履いていたズボンは先ほど煎れた熱々の珈琲で湿ってしまっていた。 数秒遅れて空っぽの指先を摺り合わせ、……また数秒。 そうすれば感覚は遅れてやってくる。] ………… ぅあちっ! [ひりひりと脛に響くは火傷の痺れ。 湯気の立つ液体を衣服に被ったのだから仕方ない。 この後未だに熱を孕んだそれを着替えることになるのだが、不注意が招いた自業自得でしかなかった。 ジェインが未だ見ていたのならば、更に「自覚を持て」と叱りつけるのだろう。 これを一つの例とするならば、彼はよくものを壊す。先程のティーカップのように。] (45) 2022/11/05(Sat) 2:50:29 |
【人】 医者 ノーヴァ[決まって、いつも大切そうにしているものばかりだ。 金をはたいた高級時計だとか、買ったばかりの魔道具の子機だとか。 ……誕生日にジェインから貰った青い薔薇模様のティーカップだとか。 今ではすっかり謎の紋様に変わってしまった陶器の欠片たちはすぐさま箒でかき集められてゴミ箱行きだ。 ( 彼女に見つかったら、なんて言おう? ) 終わらない悩み事を増やしながら、自嘲混じりに頭をかいた。 掃除はまめにする方だ。ワイングラスは時折磨くし、仕事道具だって衛生管理はしっかりしている。 全体的に整った部屋の中にいるのに、時折ものの扱いがずさんで、結果何かが壊れてしまう。仕事以外の肝心なところでは老人の様に気が抜けている───……それが彼に対する周りの印象評価だった。] (46) 2022/11/05(Sat) 2:51:03 |
【人】 医者 ノーヴァ[そのせいか……あの銀鷹公も最近、「コレクション」に対する彼の「貸出依頼」を矢鱈と渋るようになってしまった。純粋に研究に──これからの医学のために使用したいというだけなのに!] 困ったなァ、どう書けば通るだろうか。 「これからの現代医療のために」……いや、 「今も苦しむ患者のために」……これでもないな。 「今、アプリカでは10秒に1人、 ジャングルで命を落としています」……いや、 どんどん論点からずれていっている。ふむ…… [黒いズボンから赤紫colorのものに履き替えた彼が相も変わらず頭を抱えているのは、そんな頭の固い島の主人の許諾を得るための書類作成が原因であった。 どれだけありふれた言葉を並べようと、あのお固い親父を動かすには何かが足りないような気がして。] (47) 2022/11/05(Sat) 2:51:17 |
【人】 医者 ノーヴァ[切り裂かれた沈黙は再度修正され、この部屋を覆い尽くす。思考にはぴったりの空間だった。 誰も見ていなければきっと真実は覆い隠される。 先程彼はティーカップから目を離してなどいなかったこと。遊ばせた指先のわずかな隙間をすり抜けて、カーペットまで落ちて罅割れるところまでみていたのかもしれないこと。 ……誰も見ることのできない、外界から隔たれたような曇った硝子が、その姿を覆い隠していたこと。] [まるで一切知らずに机に向かう子供が如く、 彼は思考の海に身を委ねている。 来客などがあっても 数十秒なくては気づかないくらいに。]** (48) 2022/11/05(Sat) 2:52:13 |
医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a9) 2022/11/05(Sat) 2:52:17 |
【人】 医者 ノーヴァ[老いた肉体は脆く、壊れやすいものだ。 年月を過ぎる度に持ち得た耐性は擦り切れて、ないも同然になる。 そこに這い寄る病魔の手に落ちる寸前の彼等の瞳には、失うものなど何もないかのように見えることもある。 眼前の老婆の目に映る僕の姿は─────…………] (92) 2022/11/06(Sun) 2:18:33 |
【人】 医者 ノーヴァ ……噫、チグサさん、これね。 年のせいだと思いますよ。 特にここ、腰の炎症。筋肉が弱ってますね。 [毎度のように額を突き合わせ、困り眉で笑みを浮かべる。 常日頃の繰り返しのようなものだった。けれど、億劫な顔は絶対にしない。 些細なことで、長い人生は急に途絶えてしまうものだから。 「どんなちいさなことでも、私たちを頼ってくださいね」 カルテを抱えながらそう言葉をかけるジェインは、嘗てマリッジ・ブルーになった時、彼女に悩みを聞いてもらっていただろうか。 異性でもあり、身体的なことしか口を出さない己にはどうしようもできない問題だったから、助かったこともあるのかもしれない。 ……もう長くはない彼女の終わりを惜しむ人は山ほどいるのを知っているから。] (93) 2022/11/06(Sun) 2:18:56 |
【人】 医者 ノーヴァ[自分が精神を治すことが出来ないように、彼女も肉体を治すことは出来ない。 常日頃から顔見知りでもあり、つい日中にワクチンを投与したその住職が急患として運び込まれてきた時は、流石にこちらも動揺が隠せなかった。 「チグサさーん、大丈夫ですかー? 返事はできますかー? この光が見えたら教えてくださいねー!」 冷製を装った呼びかけに応じられることもなく。 嗄れた指が暴れるようにシーツを這い、薄く、みるみる閉じてゆく瞳には光がない。>>63 微かに痙攣する症状、今までの患者の生活態度から逆算し、心当たりはそれしかないと推測を立て。 額を押し当てる前に、やれる限りの対策を立てた。 思いつく限りの解毒じみた薬品を用意させ、管で繋いで。オペの有無を必死で試行錯誤して。 何十年にも感じられる一分一分、時間との戦いだった。 薄く開かれた老婆の瞳孔が広がらぬようにと心の中で祈りながら。] (94) 2022/11/06(Sun) 2:19:18 |
【人】 医者 ノーヴァ[まだ眠ってはいけません。力尽きてはいけません。 ……“あちら側”へ行って仕舞えば、二度と戻れなくなるから。 貴方はきっと、誰かの“大切”なのでしょう。 刹那、漸く額を押し当てて、腕の方へと擦り寄っていく。 注射針の跡が薄く残る左腕に触れれば苦々しげに唇を噛み締め、適切な処置を施したのだろう。 ……誰かの、人の“大事な”命は失われるべきものではなくて、それを守ることが自分の仕事なのだから。] (95) 2022/11/06(Sun) 2:19:30 |
【人】 医者 ノーヴァ[───……夜。 全てが終わり、見回りに訪れた自分の視界に現れたのは、苦しそうな姿勢で手を合わせる住職の姿だった。>>65 なんとなく恥ずかしいような、照れ臭いような、さまざまな感情がごちゃ混ぜになって思わずランプを追いやるように腕を真横に伸ばしていた。 きっと今の自分はその炎よりも赤い顔をしていただろうから。] ……そんなに拝まれるようなことはしていませんよ。 貴方が無事で本当によかった。 身体は暫く不自由でしょうが、 通常通りの生活が送れるようになるはずです。 ……これからは、 ワクチンについてもしっかり考えていきましょうね。 僕も拝むことができるように。……なんて。 [いつもよりも辿々しい口調だが、医者らしい言葉はかけられたはずだ。 今はただ、ひとつの限りあるものを救えたことで胸がいっぱいで。 戻った後、疲れの残るクマを目元に刻んだ儘涙ぐむジェインに爆笑されないかだけが心配だった。 心の救済者のメシアになれるのは、自分だけの特権なのだろう。] (96) 2022/11/06(Sun) 2:19:52 |
【人】 医者 ノーヴァ[……そんな思い出を浮かべたのは、昼を告げる鐘の音が自然と耳に入ってきたから。>>50 >>89 そういえば昼餉の時間だと思い立ち、直後貯蔵庫に蓄えがなかったことも同時に思い出す。 そそくさと軽い上着を着込みつつ、簡単なものを買いに外へ繰り出すことにした。 ……この魔族、医師にしてすごぶる寒さに弱いのである。] [仕事詰めで世間を知るには時間が足りず、 情報源といえば少しお喋りな看護助手や 訪れる患者との会話でしか得ることはできない。 銀鷹公からも警戒対象として見られているせいか、 島の新たな訪問者のことは聞くこともなく。>>3 ] (南京錠?“僕は”壊した覚えがないからなぁ……) [秘密裏に進む、襲撃者たちの無差別な崩壊遊戯のシナリオも、医師として足掻く術もない運命も。 今ここにいる存在全てが掌で転がされていることになど察することなどありもせず。**] (97) 2022/11/06(Sun) 2:20:05 |
医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a18) 2022/11/06(Sun) 2:21:36 |
(a19) 2022/11/06(Sun) 2:21:48 |
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