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【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ>>102 テオドロ 0日目 「時には人にコストを支払わせるというのも、もっと気軽な手段としてしまえるといいんだろうけどね。 理屈としてはわかっているんだろう、きっと。手としては候補に上がらないかもしれないけど」 言われずともということではあるだろうけど。肩をすくめる。 迷惑をかけることに慣れろ、と言ってすぐに馴染めるものではないとわかっているからこその、 こうした遠回りの物言いだというのも優秀な人間には悟られてしまうものだろう。 続く話題には、もう少しばかり確かな頷きがあった。 市民に安心を与えるのは盤石たる制服姿の正々堂々とした立ち振る舞いだろうし、 同じ警官たちの士気を高めるのもまた肩を並べる自分たちの姿だ。 それを意識することの大切さは皆、制服を着るまでの道のりで厭になるほど叩き込まれる。 ただ。 「周りが優しいから、そうして気にかけられるのだというばかりでもないだろう。 君を頼りにしているからにこそ支えさせてほしいというのは、彼らからの寄りかかりだ。 周りに立つ人間に甘えさせてやるというのは、そういうやり方もあるのだと、 私も年を経るにつれて目上に教えられたものだったよ」 ね、と。デスクを挟んで話す時よりはきっと多少柔らかいだろう態度を指して言う。 そうしているうちに革靴の足跡は商店の並ぶ方へと近づいていく。 #街中 (141) 2023/09/14(Thu) 8:19:28 |
【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ>>99 ロメオ 市場に面した店ならいざ知らず、焼きたてのパンの品質はガラスで秋の空気とは区切られている。 同じ消耗品を売り捌く店でありながら、自然声をあげてアピールしなければいけない種とは異なる。 静かな店の中にある姿は合ってはいる……それを熱心と呼ぶかは、まあ、人に依るか。 「私かい? ああ……職場の子達が話題にあげていたかもしれないな。 実際のところ外回りの途中に、どこかで聞いた気がして気になって覗いてみた次第でね。 普段の刷り込みというのもばかにはならないね」 尋ねられれば頭の中を探る。いつのことだっただろうか。 何かしらねらいがあったわけでもなく初めての来店であるのは確かなようだ。 ここで顔を覚えたことがあとでどんなふうに響くか、なんてのはお互いでさえわからないことだ。 「……にしても訪れる客のことまで覚えているんだね、店員さん?」 #パン屋 (142) 2023/09/14(Thu) 8:31:02 |