人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:

全て表示


カンターミネは、部下の愚痴を聞いた後、お散歩に出かけた。
(a5) 2023/09/18(Mon) 18:02:43

『仕掛けた人間を先に行かせるとは』
『策に溺れる策士はどちらになるでしょうね』

『いますよ。しばらくは』

【人】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ

時刻は昼前、と言った所か。
この時間、子供は学校なんかでいないから、平和なものだ。
ピリついた空気と人の少なさ以外はいつも通りの、
少し暑気を纏った光度的にも明るい港街。

「……平和だねえ……」

心にもない事を呟きながら、散歩している。
口くらいはリフレッシュしていないと、
全身が腐りそうだ、なんて考えながら。
適当な屋台で買ったチリソース入りのサンドイッチに
うへえと舌をひりつかせて、ぶらぶら……。

「あ〜〜〜〜〜あ。冷たい珈琲も飲めねえし、
 考える事は多いし、暑いし、だるいし。
 三日月島にでもバカンスに行きてえ〜……」

欲望を口から垂れ流しながら、歩き続ける……。

#街中
(9) 2023/09/18(Mon) 18:11:33

【人】 うたかたの ダニエラ

>>9 カンターミネ

「……あーーー」

見回りの途中。丁度休憩にさしかかろうという頃。
遠目にそのライムグリーンを見つけた女は、間の抜けた声を上げた。
てってと後ろから近寄ると、食べ歩きのさなかであることも加味ひとつせずにその片腕に絡みついた。

「ミネだあーーー。」
「なにたべてるのお?おいしそお。」

笑顔をへらり、向けている。

#街中
(10) 2023/09/18(Mon) 19:16:27

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>1:155 ロメオ 1日目

「ああ、そうだったんだね。憧れの職場、みたいなものなのかな。
 目標を達成できることは、……いいことだ」

相手の風体を見る。自分よりかは当然、重ねてかなり年若くは見える。
ティーンエイジャーの残り香がやっと解けてきた頃……と思えば、よい目標だ。
嗄れたり衰えたふうには見えないまでも、男の目元には年数の積み重ねがある。
どうしたって、まるで目下のもののように見てしまうのは仕方のないことかも知れない。

「いい特技だ。客商売に向いているだろう。
 叶うなら私の職場にも欲しいくらいだ、なんて言ったら店主に申し訳ないかな」

――無為の問いかけではない。多少の、そうした意図はあった。
とはいえ、貴方だけを疑っているわけでもない。相手取っているものが相手であるから。
街に溶け込む"貴方がた"を追う以上、街の全てを疑う必要がある。
そしてそれらは、疑う相手である街を守るためでもあるのだ、だから。
この問いかけは決して敵対的なものではない。
付け加えるなら、引き抜きたいのだって少しくらいは本心だ。

「また来るよ。
 次もおすすめを教えてくれたら、嬉しいな」

勘定をすませたなら、小麦の匂いのする袋を持ち上げる。
少なくともこれで男は貴方の顔を覚えたし、貴方も男の顔を覚えただろう。
いつまでも客と店員であれるのが、一番だ。
(11) 2023/09/18(Mon) 19:17:52

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>2:94 リヴィオ

貴方の言い分は最もだ。
どれほど多忙でも食事や身なりには気を使っている男は、一度でもそのルーティーンを崩すと生活水準が崩壊する。全てに対して。
ここ5年はその様子を見せていないのでなんとか保ちたい。つまりは格好つけたままで生きていたい。

「お気遣い心染み入るね。
 ……はあ、……最高に美味いな……」

ストレスが来ていたか、貴方の顔が眩しいからかその味はここ数年で最高の味に感じる。
多分気の所為だが、気の持ちようというものを少しは信じていいかと思い始めた。占いとやらにもはまれそうだ。

「怪我、それ以上酷くなっていたらちゃんと医者に行けよお。
 子猫を舐めてると足元をすくわれるからな」

そうして完食したカップを見やればタイムリミット迫っていた。
この先の用も大事なのだ、別れを憂う気持ちはないが時間が無限に欲しくなる。

「さて、すまんが先に失礼する。
 帰り道は車の音を頼りにするのが一番だ。
 またな、リヴィオ」

されど一言をかけるのは忘れずに、貴方いわく猫のエキスパートは裏路地から去っていくだろう。
来たときとは違う道を随分と慣れた足取りで大通りへと向かっていった。

#路地裏
(12) 2023/09/18(Mon) 20:04:09
──取調室にて、マフィアとの関わりを詰められた男は否定も肯定もしなかった。
どころか事情聴取の間、殆ど口を開かずに黙秘を続けるばかり。
何も語ろうとはしない態度に怒声を浴びせられても、その視線は己の手を拘束する手錠に向けるだけ。

室内にいる警官が異常に気付いたのは、そんな時間がしばらく過ぎた後のことだ。

ただ座っているだけの男の呼吸は常と比べれば荒く、頬は赤らんでいる。
雨が降る夜、濡れ鼠のままに連れてこられたその身体は随分と冷え切っていて。
些細なことで高熱を発症する奇病のトリガーとしては十分だった。

結果、この状態でまともに話を続けるのは不可能と判断され取調べは一時中断。
男は一度、檻の奥へと戻された。

#取調室

毛布一枚を渡されて冷たい床に頬を押し付けていると、なんだか懐かしい。
羽織るものがあるだけ、雨風を凌ぐ屋根があるだけ、あの頃より随分とマシだ。
蘇る記憶に苦しさは混じれど、暖かなものだって十分に思い出せる。
"
ねえさん
"と唇が動いてしまったのは、不調が呼ぶ甘えのせいだろうか。

誰を恨むつもりもない。
誰を憎むつもりもない。
馬鹿で愚かだって言われてもいい。
考えることも、迷うことも、信じることも、やめたくはない。

掠れた声で呟いた『だいじょうぶ』は、まるでおまじないみたいだった。

#牢獄

【人】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ

>>10 ダニエラ

どんな距離からでもライムグリーンの髪は良く目立つ。
日頃の子供だってそうだ、この色を見て先生だ!と叫ぶ。
叫ぶから即座に反応出来るのであって、
叫びがなくただ駆け寄るだけなら気付けるはずもなく。

「うーんからい……いやでも美味い……
 いややっぱから……
いっ!?


あわやチリサンドが落下寸前までいった。
辛うじて掴んで、ピューゥと口笛。

「……エーコぉ……久々に会ってそれかあぁ〜?
 トラメッツィーノだよ、から〜い奴。食うか?」

目の前で落下しかけたサンドイッチを軽く振る。
薄い食パンにレタスとチキン、そして
それぞれに赤いチリソースがたっぷり。
顔の傍に寄せれば刺激的な香り。
ドリンクなしでは少々厳しいような。
(13) 2023/09/18(Mon) 20:47:30
メッセージに返事はない。
代わりに暫くして、部屋の扉がノックされた。

開いているのだから勝手に入っても構いやしないのだろうけど。
家主がいるのであれば、一応の礼儀は示しておきたかった。

『着いた』

さまざまな可能性を考えて、屋外だから名乗るのもと思い 一言メッセージに代えた。

ルチアーノは、命の危機を感じている。
(a6) 2023/09/18(Mon) 21:42:03

【置】 徒花 テオドロ


気づきたくなかった、ずっと、気づきたくはなかった。
自分が羨むような、より優れた人間がいることを。
自分なんかを疎むような劣った人間がいることを。

凡庸を受け入れられればよかったがそれはプライドが許さない。かといえヒーロー足り得ない自覚は残酷にも刻み付けられている。

ひとつ。誰も懐に入れぬよう、幾つもの棘を背負った。
ふたつ。向いてるからと警察を選び、公務の為の鎧を纏った。
みっつ。本心を悟られないように、嫌味な笑顔の仮面をした。

本当は、結果的に周りに嘘をつき続けている。
俺はこんな人間ではない。ただ背伸びが上手いだけの、
部分的に、周りに比べて秀でた、秀でてしまっただけの男だ。

光を放つかのような、己の志を持つ者が羨ましかった。
その近くにいれば、眩さを保つように図ってやれれば、自分もまた照らされて、同じく輝かしい人間になると信じていた。

背中にはずっと──影が伸びていることからは、目を逸らし続けていた。

誰かを守れなかったときから。
誰かに自分の不出来を見せてしまったときから。
職に迷いを見出してしまった、そのときから。

自分に人々に誇れるような価値が無いことを畏れてしまった。
(L0) 2023/09/18(Mon) 21:43:58
公開: 2023/09/18(Mon) 22:00:00

【置】 徒花 テオドロ

その暗い部分は誰にだって見せたくはないのだ。
だから俺はもう二度と失敗してはならない。

もっと価値のある人間にならなくてはならない。

善良でも有能でもなんでもない俺が警察として胸を張って生きていくためには、こんな努力ではまったく足りないのだ。
その努力も見せる気にはならない。自分の足りない部分は、とてもじゃないが人には見せられない。

だからこの心の内を誰も覗かないように祈っている。
こじ開けられないように心の奥底にしまっておく。
この荷物を何かの気の迷いで預けてしまうことすらできないように。

変に救われてしまって、自分と向き合うことをやめてしまったら、いつか──一人で立てなくなってしまうじゃないか。

その時、真の意味で、自分の価値が一つもなくなってしまう気がして心の底から怖かった。
(L1) 2023/09/18(Mon) 21:46:15
公開: 2023/09/18(Mon) 22:00:00

【置】 徒花 テオドロ


警部補であるなら大抵の留置担当者よりも階級は上だ。多少無理は利く。
何かろくでもないことがあったらこの手で誰かを助けてやろうと、そうして漸く誰かの役に立てるのだと。

あの日見たマフィアのように誰かを助けられたら、
少しでもこの心の慰みになると、そう思っていたのに。

今の俺にはもう無理は働けない。
もう、理解しているつもりだ。此れだけ棘のある振る舞いをしておいて、誰かから反感を買っていないわけがない。

半端に人の心に敏く、分を弁えることを知ったせいで、
こういうとき無謀な行動に出る方法も忘れてしまった。

そうしてまた自分の首を絞めるのだ。
理由はもう分かっている。見栄えがどれだけよかろうと、
皆の為ですらない、自分の為に動いてきたから。
(L2) 2023/09/18(Mon) 21:48:27
公開: 2023/09/18(Mon) 22:10:00
テオドロは、「───じゃあ、今の自分には何ができる?」
(a7) 2023/09/18(Mon) 21:48:52

【置】 徒花 テオドロ

希望や夢は最初から持っているわけもない。
この身体にはまだ、ほんの少しだけの自由が残っている。

何かを成し遂げることは難しくても、
みっともなく足掻いてやることは、できるはずだ。

できるはずなんだよ、なあ。
(L3) 2023/09/18(Mon) 21:49:36
公開: 2023/09/18(Mon) 22:30:00
カンターミネは、この二日ぐっすり寝たおかげで、誤らずに済んだ。
(a8) 2023/09/18(Mon) 22:01:50

『律儀ですね』
『空いてますよ』
『罠は玄関にはありません』

此方は終始、真面目に返してはいるものの、
どこか適当さが滲んている文章であった。

気を遣わなくてもいい、そう示しているようで。

【人】 うたかたの ダニエラ

>>13 カンターミネ

「んふふー。ごめんなさあい。」

ぺろりと小さく舌を出す。
そんな中、鼻先に刺激的な香り。…辛いんだあ。これ。

ちらりとあなたを窺う。少しだけ、悩む素振り。
結局ぱくりと食いついた。
ひん。口の中が痛くて熱い。涙目だ。

「からいぃ……。」
「ミネー、こんな辛いの、よく食べれるねえ…。」

女は子供舌だった。
さっきと違う意味で、また舌を出す。

#街中
(14) 2023/09/18(Mon) 22:18:03
牢の中にいる。しかし、自分のいるべきはここではない。

【人】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ

>>14 ダニエラ

「謝れてえらい。」

子供を相手にするような発言だ。
実際の所は身長も年齢もあなたの方が上だけど。

「お、チャレンジャー。……まあそうなるよな。
 そりゃあ刺激物満載のが脳にキくからなあぁ〜。
 ……いやまあ、俺でも普通に辛いんだけどさ」

多少慣れていてもカプサイシンは平等だ。
一緒になって舌を出し、ヒイヒイ言いながら
ドリンクの屋台でも探そうか。
程なく見つけた屋台でアイスコーヒーをご注文。
エーコは?と奢る構えを見せた。
(15) 2023/09/18(Mon) 22:32:16
「そう、なら安心してお邪魔出来るわね」

かちゃり。控えめな音を立てて、扉を開ける。
他人の家だからと見て回ったりはせず。物音でもする方へと向かって歩いていく。

「ごめんなさいね、テオ」
「どうしても一人でいる気になれなくて」

とはいえ、アジトに行く気にもなれなかったのだけれど。

「ああ、その通りだよ」
「だからあいつらのことを調べたくても調べられなかった」

直接口で聞きに行く馬鹿な真似もしたなあ、と。
お陰で望まない逮捕劇を起こすことにもなったわけだが。

貴方の爪に刻まれたマリーゴールドに目を細めた。
ここ数日たわいない雑談の端々から、貴方はこの行為を責め続けてるのだと気づく。
その色に含まれた意味に気づけずとも、信じられる一つ一つがあれば自ずと答えは導かれた。

「まあ俺のその信用は期間限定だがなあ。
 この事件が終われば直ぐに掌をかえすんじゃないかとか疑っちまう」

「だから態々調べんでも、んん……まあ」

一種の信頼であると、何か貴方に気付かされてしまったような気もする。
好いた人間が悪者だと知りたくないヘタレを無理矢理綺麗な話にしようとしていないか? と自問自答だ。

「げ、……っ、あー……」

あなたのその笑顔に頭を抱えそうになれば、
思わず腰を上げて立ち上がる。条件反射だった。

「……
あんたわかっててやってるんじゃないだろうな


何処かで聞いている
奴ら
には言い訳を用意しておこう。
頼むから俺を女にするのは止めてくれ。
女の笑顔がわからん男じゃ無かったんだ。


「お嬢さんの信じた奴らがどんな奴だろうと、
 こんなにいい娘に嘘をついて居たわけなんてないさ」

自分の事は棚上げをして安い言葉で励ましてやる。
小さな嘘も裏切りも貯まっていけば傷になることを誰よりも知っているから。

そこまで離れていない距離であるのに目の前まで行くのに随分足は重く感じた。

「悪者もなあ、はなから悪者のやつなんてそんなにいないんだ。
 そいつらと過ごした時間が最高だったから守りたいんだろ?
 もう、できてるじゃねえか。
 ちょっと過激だが、それぐらいの女の方が魅力的ってもんだ」


迷い迷って己の手を柔らかな金髪へとのせる。

「ダニエラ・エコーは裏切り者じゃない」

「俺は、そう信じている」

だから泣きそうな顔をするな、と同じような笑顔を返してやった。

2023/09/18(Mon) 23:25:31

【人】 うたかたの ダニエラ

>>15 カンターミネ

ひとつ歳上だろうが何だろうが、褒められるとやったあと声を上げる。
そこに関しては、相手が旧知のあなたでなくともほぼ変わらないのだが。

「うー。ミネ、胃とか傷めないよおにねえ。」

時すでに遅しな気はする。
トラメッツィーノは一口だけで御遠慮させていただいて。
ただ元来は戴けるものは迷わず戴く女だったので、歳下だろうがお言葉に甘えるらしい。

「あたしもお、コーヒーでえ。」

この子供舌の女は、コーヒーに砂糖をふたつ放らないと気が済まない。
…きっと、あなたもとうの昔に知ることだろうが。

#街中
(16) 2023/09/19(Tue) 0:18:55
これは男が逮捕されてすぐの話。
取調室で男は散々吼え立てた。そんな事実はないと声を荒げた。

自分はやっていない。
自分がするわけない。
皆が証言するはずだ。
そんなはずはないと。
イレネオ・デ・マリアが、
あの男が、
マフィアと手を組むなんて!


その必死さはまるで主に捨てられそうになった犬のようだった。
酷く叱られ遠くに置き去りにされようとする犬の姿に似ていた。
低く唸り、呻き、哀願することさえして見せた。
けれど当然、聞き入れられるはずなどなかった。
結局、男にかけられた嫌疑が晴れることはない。

牢獄に戻された男は、酷く憔悴していたという。

#取調室

【人】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ

>>16 ダニエラ

いい気分にさせるのが上手いよなあ、そう思う傍ら
こういうのを指していたのかもしれんな、と内心で零した。

「安心してくれ、健康診断は毎年引っかかってる」

ダメそうな気がするが、当人は大丈夫と言っている様子。
大丈夫なら大丈夫なのかもしれない。

「はいよ。おっちゃん、アイスコーヒー二つ。
 片方はダブルで。あれ?トール?まあいいやデカいの。
 もう片方はスティックシュガー2つつけてくれ。」

そうして受け取ったものを片方渡して、
砂糖もさっと流し込む。これくらいは年下の義理だろう。

「今休憩中?折角久々に会ったんだから近況でも聞きたいが、
 時間取っちゃってもアレか。後で電話でもするか?
 俺はもうちょい散歩する予定だけどさあぁ」

のんびり、友人の隣を歩きながらの雑談だ。
(17) 2023/09/19(Tue) 1:00:32
さらに、これは男が逮捕されて暫くの話。

男は、牢から姿を消した。
男が収容された牢はもぬけの殻になった。
けれど、誰もそれを大事にはしなかった。
巡回の刑事も、問題なかったと報告した。
そこにはただ、しんとした牢だけがある。

#牢獄

さらに、さらに、その後の話。

十数分の空白の後、男は自ら牢に戻ってきた。
素直に牢に入り、鍵が閉まれば腰を下ろした。
その足取りは確かだった。瞳は前を見ていた。

イレネオ・デ・マリアの牢は、酷く静かだ。

#牢獄

【人】 月桂樹の下で ニコロ

重苦しい朝礼の後のこと。
何故か警察署に以下のグッズが増やされていた。

・タコヤキ機
・ホットサンドメーカー
・ホームベーカリー
・フードプロセッサー

どう考えても職務に関係のないものばかり。
犯人は外回りによく出ていく巡査部長の男だった。

「…俺は使わないから使ってくれよな!」


空気も相まって大変ヤバイ人に見えるだろう。

#警察署
(18) 2023/09/19(Tue) 1:39:25
「…好きなんですねえ、みなさんのことお」

裏切られたくないというのはそういうことだ。
同意を得られたことで女は確信してくすりと笑う。
あなたにとっても大事な人達なのだ。それを知れただけでも女には大きな収穫だった。

「ふふー。そおですかあ。」
「あたし、結構うさんくさいかなあって思ってたんですけどお」

聞かれなければ言わない、聞かれたとしても答えないつもりだったことの数を数える。
幾らでも不審に思える要素なんて、あっただろうに。

だけど、『捕まって欲しくない人』の話をした時くらいから、あなたのそれには気付いていたのかもしれない。
…少なくとも悪しくは思われていないこと。それくらいは、女にも。

急に立ち上がったあなたにはぱちくりと――することもなく、女はただその瞳でにこりと笑う。
何のことやらぴんと来てはいなくとも、そこには多分に母の影響も残されていた。
…女について調べなかったあなたが知るはずもないけれど、女の母は、娼婦だったから。

励ましの言葉には少しだけ浮かぶものがあった。
誰か
にとっても、いい娘でいられていただろうか。
使い勝手のいい駒だとしても構わなかったけれど、…そう思われていた方が、ずっと嬉しいのなんて当たり前だった。

そうする間に徐々に近寄るあなたに今度こそきょとりと目を瞬かせた。
だってまさか、思ってもいなかったから。
それも今『人を信じられない』といった男の口から。

「――あ」

その手が髪に触れた時。
多分誰かの手の平とも重なって。

それは本当に似ても似つかなかったと思う。
粗雑で下手くそなあの手とあなたの手では、
きっと昼と夜ほどにも違うSono differenti como la note e il giorno


だけどそれだけが理由じゃない。
見透かされた心地への動揺と、何より、何も知らないあなたからその言葉を貰えたことが。
――まるで本当に
認められた
みたいに思えてしまって、ゆらりと視界を歪ませた。
どっちつかずの蝙蝠が、居場所をひとつ認められてしまったように感じられた。

「……っ、ごめ、なさ……」

元からいろんなことが重なって溢れる寸前のグラスだった。
溢れ方も分からなくなってしまったから溢れず済んでいるだけだった。

しとりしとりと、雨粒のように頬を伝い落ちる。
急に泣いたって困らせるだろうに。今度は止め方の方がわからなかった。
慌てて眼鏡を取り払い涙を拭う。
それでも簡単には、止まってくれそうにない。

路地の花 フィオレは、メモを貼った。
(a9) 2023/09/19(Tue) 3:50:10