75 【身内】星仰ぎのギムナジウム【R18G】
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「……しくじった、かな」
誰かが聞いたかもしれない言葉。
今日も賑やかな朝食の席。
いつも『みんな』に、にこやかに挨拶をして回る
イクリールの姿は、そこには無い。
淡く脆い約束は、終ぞ果たされる事は無かった。
*朝食に行く前ホワイトボードを一人で眺める*
「シェン」
「あんたのこと好きだったんだ」
「だから、許さないで欲しい」
「"ボク"はいい子にならないと」
「いい子にならないと、」
「なりたい、大人になれないんだよ」
「……ぁーぁ。
………結局、ボクたちを"暴ける子たち"は消えちゃったぁ」
| 「――」
あれ、だなんて。何もわかってないふりをしてみせるのさえ。 できないほどに、寂しくて、しずかで、ああ、まだ夢をみているのだろうか? 食堂に入った入り口で立ち尽くして、いつも座る席を遠くの風景のように見て。
どん、と背中を押されて、食堂の入り口からよろけた。 生徒の顔は見てないけれど、昨日もそんなことがあって、ああ。 だれかが、それを咎めていたのを、それをどうしてと聞こうと思って、今みたいに、 それどころではなくなってしまって、聞けずじまいでいちにちを過ごして、 ああ、そのだれかが、ぼくのともだちは、もう、そのようにはしないのだろう。
どうして、ぼくのともだちは、あそこにいないんですか? (1) 2021/05/28(Fri) 20:07:48 |
洗いました。洗いました。洗いました。洗いました。身体も服も“身体の中”も。
『知らなかったこと』を教え込まれている。丁寧に、執拗に。
| スピカがいつも座る席を見た。 いっぱいに陳列棚から持ち出して、まるいちにちぶんみたいな食事を詰め込む姿がない。 シェルタンがいつも座る席を見た。 そのまわりにたくさんの子たちが集まって、彼の話を聞きに来る小さな上背はない。 ルヘナがいつも座る席を見た。 すぐそばのいっぱいの食事を見ておなかいっぱいになって、ちょっと遠慮がちにする呆れ顔がない。 イクリールがいつも座る席を見た。 ひとりひとりを大事に育むみたいに、声をかけて、ようやくそこに座る小さなきみが、いない。
「どうして?」
考えられない。考えたくない。 不安を頭の中から取り払うと、頭は空っぽになってしまった。 まだ、席にさえつかず、ひとりきりで立ち尽くしている。 (2) 2021/05/28(Fri) 20:15:02 |
| (a1) 2021/05/28(Fri) 20:17:44 |
| (a2) 2021/05/28(Fri) 20:21:13 |
| >>3 ルヴァ 「ルヴァ……」 そばで、折れてしまった彼を見た。耐えきれなかったのかもしれない。 でも、なら、ああ。まだ、自分は大丈夫なのではないか。耐えられるのではないか。 耐えられるのならば、自分にはすべきことがあるのではないか? ぐ、と唇を噛み締めた。その拍子に瞼からはぼろぼろと涙は落ちたけれど。 だめだ。ルヴァの周りに居たみんなが、シェルタンが、ルヘナが、イクリールが。 いないのなら、彼を一人にしたくないのなら。 「ルヴァ、ごめん、ごめん、ごめんね。 泣いていいよ、いいんだ。ねえ、いいんだよ。かなしいよ、くるしいよ。 いいんだ、ぼくらは、彼らを覚えていて、いいの、それで、いいんだよ」 そばに膝をついてしゃがみこんで、まだ年の近い彼からしても小さな腕を伸ばす。 (4) 2021/05/28(Fri) 20:25:59 |
/*
匿名呻きの連れて行って欲しい人へ。
狼陣営セキレイはぁ〜
いいよっていうけどぉ〜
最悪のメンツそろってるしぃ〜
優しさだったら残り二人でもいいかなぁっておもうから
おまかせするねぇ〜♡
| (a4) 2021/05/28(Fri) 20:27:21 |
「はははははは、ははははははははははははは」
壊れたように狂ったように部屋でも嗤っていたが、
目元の涙をぬぐって。
「はぁ……。いやぁ。
本当に、今『俺』は、最悪で、最高の気分だよ。
『裏切者』冥利に尽きる。
そこで見た景色を、迸る怨嗟を、
重なる絶望を、抗いがたい恥辱を。
……俺はすでに知っている」
顔を袖で覆い。
「大好きだったよ。
これは嘘じゃない。
……ありがとう。
これも皮肉じゃない。
ごめんなさい。
――これだけは偽りだった。
もう俺は、手に掛ける誰一人に対しても、
赦されようとも許されるとも思っていないからな」
セキレイ、赤ずきん、
共に終わりまで行こうと再び嗤った。
大人達の手によって隠されている。それでもなおイクリールに恐れる事は無い。
中庭。
誰もが目を背けるなかで、
一人バイオリンを弾いている。
誰もが耳を傾けなくても構わないという風で。
バイオリンを弾いている人影がある。
周りには誰もいない。
「……やめてください」
『―――――』
殴打音。
「っ……」
どうして自分があんなに食べなければいけないのか、わかっていた。
自分の身体だ。
――風紀委員の身体は、消耗も回復も、早い。
だから、多少乱暴に扱われても、平気だ。
身体は。
| >>3:6 シトゥラ 「――……そう、そうだね、ああ、ぼくら、調子がわるいのかも。 ……しんらいできるひとのところで、ルヴァ、みてもらおうかな。 おなかいたいのかもしれないから、ちょっとおやつ、もっていかなきゃ。 ぼくは、ここに、残るから」 涙で腫れたまぶたはじっと貴方を見る。 それから、食堂にメレフがいないことに気づいた。彼も、いや。確かめないと。 毅然とした表情で立ち上がると、陳列棚に目を向けた。 (7) 2021/05/28(Fri) 20:42:36 |
| サルガスは、ヌガーにりんご、牛乳ポット、とにかくなんでも、ひっつかみました。 (a7) 2021/05/28(Fri) 20:43:30 |
| (a8) 2021/05/28(Fri) 20:46:53 |
殴打音。
殴打音。
布が擦れる音。
肉がぶつかる音。
もう風紀委員だなんだなんてことは、関係なかった。
多少無理をされてもすぐに"治る"病気。
今は、己の身体を、少し呪った。
*朝食の後*
「昨日みたいにミスはしないようにしないとぉ〜
って、もうボクにならなくてもいいんだった。
『魔術師』
もここに来て欲しかったな
……ああ、仲間になってくれた子供の名前=B
ちょっと大人から聞いたんだけど
やけに調べるのが上手で普通なら知れないことまで
わかってしまう才能がある子供がいるって言われてて
欲しかったんだってさ。
やっぱり、そういう才能のある子が大人に愛されるんだな」
「羨ましい」
| >>3:9 ルヴァ 「……よわむしなぼくで、ごめんね。きのう、きっときみと、もっと話していればよかった」 人に囲まれているということは、満たされているということで。 人がいなくなるということは、それが欠けてしまうこと。 いつだってひとりぼっちの自分とは、きっと落ちる崖の高さも違うのだ。 「シトゥラの言うとおり、きっと、ここは、つらいでしょう。 ぼく、おべんとうみたいに食事をもっていくよ。どこが、いいかな。 高等部の子のへやがいい? それとも、ぼくのへや、なかにわ、なんでも、いいんだけど……」 見ないふり、触れないふりを出来るものたちに囲まれて食事をするのはつらいことだろう。 そして何より、彼を守らないといけない。そのために、何ができて、どこへ。 自分よりも背の高いきみを、かばうように両腕をのばしたまま立ち上がる。 (10) 2021/05/28(Fri) 20:59:15 |
イクリール。危ない事はしてはいけないよ。
イクリール。誰がそんな事をしたんだい。
イクリール。よく我慢したわね。
イクリール。もう近付いてはいけない。
イクリール。
イクリール。
イクリール。
「ええ。わたしは平気よ、『せんせい』。」
イクリールは『大人達のお気に入り』だ。
そんな噂を流す生徒も居ただろう。
今までも、そしてこれからも。
イクリールは、恐れる事など何も無い。
だって、それが悪い事だとは
ほんの少しも、思ってはいないのだ。
「大人からの内通者だったら、いけないからぁ〜
真面目にいい子のボクになってたんだけどぉ……
わかんなくなってきちゃったぁ、あーあ。
おかしい、本当におかしい。
どうして、みんな大人におかしくされちゃうんだろう。
そうしてさ、ボクのこと見なくなるんだ。
……ルヘナだって、イクリールだって。忘れるに決まってる
大人に愛されて、大人に大切にされて、……気持ち悪い」
*今日の封筒を開ける人*
(1)1d2 赤ずきん、裏切者
ルヘナが宿した病は
『知識に対する渇望』
もしくは『本の虫』。
正確に病の詳細を述べるのであれば、
三大欲求を『知識を得る』プロセスで代用できてしまう
病だ。
知識を吸収する際、直近で満たした三大欲求を満たしたのと同様の効果が得られる。
(睡眠欲なら眠気に微睡むような心地良さ、食欲なら何かしらの味覚とそれに対する満足感、性欲なら内股からふくらはぎを介して爪先まで走る快楽)
『三大欲求いずれかの行為』と『知識の吸収』を同時に行うと更に高揚感が生じることも分かっており、食事の際に読書を行っているのはそのためだ。
「……っあ、あは、ひ、っうあ、」
首筋の赤い鬱血痕は、
大人のもとに来る"前"に刻まれた
。
その誰かから"愛された"痕跡を、唇が、舌が、蹂躙して、
いつまでも湧き上がる快楽と高揚にほのかに色付いた、
あばらの浮き出た身体が、無邪気な笑い声とともに跳ねている。
模範的な子供であれと、言われたのはいつだっただろうか。
ここにきて、
『スピカ』が『風紀委員』になってから、
こんな目には合わなかった。
だから、ここはお家よりも好きだったし、
ひどい目にあいそうな子には目をかけてきた。つもりだ。
『風紀委員』は、ただの幼い『スピカ』だった。
大人から愛されることに対する執着からは逃れられた。
歪んだ性欲を愛と感じてしまうほどに、
心に空洞が多く。それ自体が病だったから。
だから、結果的に“治療”は正しい方向に働いている。
「まだできることはあるはず。
まだ……やれることがあるはず。
こうなったら、ただ探すだけだ」
中庭に吹く風は、酷く冷たい。
冬の訪れを予感させた。
イクリールが居なくなる少し前、ある生徒の事について
大人や生徒に尋ねて回る姿を見た生徒も居るかもしれない。
それが原因かは定かではない。けれど
イクリールは現状、寮の自室から出る事を許されていない。
治療を受ける必要は無い。
少なくとも、大人達の目がある間は。
それを不満に思う事は無い。
その必要があれば、抜け出す事は厭わないけれど。
イクリールは、大人達の事が好きだから。
大人達が、自分を心配してそうしていると
わかっているから。
本当にそれだけのはずがないのに。
イクリールは、それでも良かった。
ああ、『風紀委員』だけが、
私の居場所だと思ったのに!
結局、どうしたって世界は変わらないのだ。
こんなものが治療であるはずがない。
スピカは、判断を下した。
【――それでも風紀委員でいたほうがマシだ】
抵抗する。制止しようとする。
そんな態度だから、大人の治療は激しくなる。
平気だ。私は『風紀委員』だから。
そして、この体は多少の暴力を苦にしない――
でも、心は?
赤ずきんはすぐに来ない。
ボードの隅には黒白の丸が4つかかれていた。オセロかな。
開封済みの封筒が、ボードの後ろに隠されている。
*今日の襲撃先*
<<カストル>>who
治療(もしくは研究)は、
いつまで続くのだろうか―――
「そういえば、こっちはボクだけの手紙だったような……」
めくって、そしてそこに書かれている文字を読み上げた
シェルタン : 水仙や古鏡の如く花をかかぐ
「?」
「あとで図書室行くか……」
昔の人のたとえはわからない
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