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【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 宣教用 ルツぱきん。錠のひとつが、割れて砕けて、落ちる。 「――…本当は、みんなとずっと一緒にいたい。 ずっと一緒に過ごしたい。 一緒にお仕事をして、食事をして、お喋りをしたい」 ぱきん。錠がもうひとつ、割れて砕けて、落ちる。 「わたしは、ごはんをたべたい。 おやすみなさいも、おはようもしたい。 抱き締めて、欲しい」 ぱき、 ぱきん。錠が、幾つも幾つも、割れて砕けて、落ちた。 「――――けど、目覚めたらお屋敷に帰る。 そこにみんなはいなくて、わたしはまた、ただの観賞用に戻る。 動いてはいけない、喋ってはいけない、そんな金糸雀に戻るの」 異常ばかりを検知して、囀ることの出来ない小鳥に。 ――錠は、あとひとつだけを残して全て砕け散った。 (-135) 2021/10/10(Sun) 16:11:06 |
【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 復讐者 スオでも、と唇が動く。 散らかしたのはわたしなのに、お手伝いしてくれる彼に全部任せるなんて。 けれどそれは声としては出なくって、申し訳なさそうに眉を下げ、 結局、大人しく下がった。 彼に任せて、端っこでちょこんとしゃがみこんでいる。 そうしながら彼の言葉を聞いて、 ……ベッドに寄って、スケッチブックとクレヨンを手に取る。 「記憶、 10秒しかないの?」 まずは一旦そう描いて、彼に見せる。 彼の話すことは難しくて、直ぐには理解できなかったから。 分かるところだけ、そうして聞いた。それから、 「 だから の続きは? 」 気になるのは、そこも。 (-167) 2021/10/10(Sun) 18:32:59 |
【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 宣教用 ルツ「――…これ以上、何も無くしたくないから。 だから、 …… 終わりたいのに」 君の我儘は酷く優しい。 医療用もとても優しかったけれど、それともまた違う。 どうしたらいいのか分からなくなって、傍にいるだろう医療用を見たりもした。 「わ たし、捕まっちゃうの? 離してくれないの? ふふ、 ふふふ」 ほろほろと泣きながら、笑った。 くしゃくしゃの顔で無理矢理笑うから、随分と不器用な笑顔になった。 名前を呼ばれて顔を上げ、君を見る。 瞳は不安の色にばかり揺れている。 「わたしを …… 攫う? 」 それは逃避だ。金糸雀が心の奥深くに仕舞い込んだ望みは、 片割れと共にかつての平和な屋敷に戻ることだ。 でも、それが叶わないことも知っている。 君がわたしを攫って、穏やかで心地いい場所に連れ出してくれるのなら、 ……逃避だとしても、今のこの現状の逃避よりも、ずっとずっといい気がした。 籠から出してくれる存在なんていないと思っていた。 だから此処で終わりたかった。なのに、 なのに。 (-173) 2021/10/10(Sun) 18:50:58 |
【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 宣教用 ルツ「一緒に、…… 居られるかな? 誰も、 欠けず? みんな幸せに、 なれる? ほんとう?」 君と金糸雀の、重なっている手に涙が落ちる。 何もさせて貰えなかった金糸雀の病的なほど綺麗な侭の手は、 何かに尽くした存在のように汚れる事が出来るかな。 そうなれたならいいと思う。 最後の錠に罅が入る。びきびきと耳障りな音を立て、割れていく。 「わたし、みかんの作ったごはんが食べたい。 スオに、髪を三つ編みにして欲しい。 アメと、たくさん遊びたい。 エマと、一緒に飴を食べたい。 他のみんなとも、 たくさん、 たくさん…… それに、 ルツに、抱き締めて欲しい」 ぎゅう、と強く目を瞑る。 目端に溜まっていた大粒の涙が、ぼた、と一粒になって溢れた。 「 …… たすけて、 くれる?」 ばきん。 一際大きな音を立てて、最後の錠が壊れて、落ちた。 (-175) 2021/10/10(Sun) 18:51:16 |
リヤは、鳥籠の扉を開けた。 (c35) 2021/10/10(Sun) 18:51:54 |
【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 復讐者 スオ「わたし、大丈夫だよ」 消耗なんてしてないよ。 でも撫でてくれるのが嬉しい。 片付けなんて後でもいいし、何ならこのままだって構わない。 「10秒で記憶がなくなるなら、昨日のこと、覚えてないの?」 これは純粋な疑問。 スケッチブックを一度置いて、彼がしてくれるのと同じように、 金糸雀も彼の頭を撫でてあげたい、と…… そう思ったけれど。動きかけた手は、結局またスケッチブックに伸びた。 「話したくないのなら、聞かない。 でも、話してくれるなら、聞きたい。 話すことでスオがつらい思いをするなら、聞かない」 (-177) 2021/10/10(Sun) 18:56:15 |
【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 宣教用 ルツ「それは、……こわいなあ。 わたし、楽しいになれる? 現実でも? 本当に、 ……もう一度、信じていい?」 君の傷付いた手は、とても綺麗。 傷も汚れもない金糸雀の白い手よりも、ずっと、ずっと。 金糸雀は君の手を見ている。憧れを宿して、見ていた。 「一緒、 ……が、いい。 でも、 ……離れることで、みんなが幸せなら。 欠けなければ、……いい。 うん……」 君たちが誰一人、不幸に落ちた侭命を失ったりしなければ。 そう願う中に、自分自身も含めて。 金糸雀も、他の仲間も、しあわせに生きられるのなら。 こく と小さく頷いた。 「約束。 約束して、ルツ。 わたしが、ぼくのように壊されてしまう前に。 わたしがまた、お屋敷で置物になって、 駄目になってしまう前に、 ……攫いに、来て」 おねがいだよ、って縋るような声が言う。 ぎいと重たい音を立てて開いた扉から、崩れ落ちるように金糸雀が飛び出る。 君に手を引かれて、君の胸に飛び込む。 そのまま君にぎゅうとしがみついて、暫く、君の胸でわんわんと声を上げて泣いた。 (-196) 2021/10/10(Sun) 20:49:55 |
リヤは、大きな声で泣いた。暫くして落ち着くまで、ルツから離れなかった。 (c40) 2021/10/10(Sun) 20:50:34 |
【墓】 忘却の金糸雀 リヤルツに酷いことをして、それでも優しい言葉を貰って。 金糸雀は一頻り泣いたあと、優しい医療用へと目を向ける。 あれだけみんなで一緒に死にたいと叫んだ癖に、この体たらくだ。 申し訳なさそうに、医療用を見ただろう。 「ユー …… ユーサネイジア。 一緒に…… 帰れる? 今じゃなくてもいいの。 夕飯を一緒に食べて、 ……おやすみなさいを、したいの」 (+33) 2021/10/10(Sun) 20:52:52 |
【秘】 忘却の金糸雀 リヤ → 復讐者 スオ思考を続けながら記憶をなぞり、その上で今を新しく記憶していく。 金糸雀には想像もつかないことだけれど、きっととても大変なことなんだろうと思う。 だから少し心配そうに眉が下がって、 ……でも、そこで君が金糸雀を大きく撫でるから。 目をぎゅっと瞑ってそれを受け入れた。 髪が乱れたって構わなかった。 「すおう。 すおう? 漢字、書けないけど…… すおう。 覚えた。 それで呼んでもいい?」 絵本を読んでくれたならきっと喜んだだろうけれど、 行くところがあるって言うなら止めはしない。 だから、金糸雀はまた文字を書く。 「お片付け、ひとりで出来るから。 行って、いいよ」 大丈夫だよ、って言うみたいに笑ってみせる。 謝らなくたっていいのに。君はきっと悪いことをしていない。 髪留めをつけて貰う間もおとなしい。 静かに、……いや、ちょっとだけそわそわはしたかな。 それでも邪魔せず髪留めを付けて貰う。 鏡を見ないと良く確認は出来ないけれど、嬉しかった。 子供みたいにへにゃへにゃの笑顔を作って、小首を傾げる。 「ありがとう。 みつあみもうれしかったの。 ありがとう。 すおう いってらっしゃい」 (-202) 2021/10/10(Sun) 20:59:20 |
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