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【人】 4年 犬鳴 崇─ ある朴念仁の失恋 ─ [如月大学に入り、それから映研に入った。 もともと映画が好きだということもあったし、他にこれといったものもなかった。 入部してすぐに、今と変わらず映画作品に対する造詣には定評があって、そういう方面において一目置かれていた。 そして知識や蘊蓄は、それに興味のある人にとっては魅力的に見えることもあるのだろう。] 「付き合おうよ」 その子のその一言で二人は恋人関係になった。 以前よりよく一緒に映画を見に行くなどはしていた。下心とかはなかったのだけど、そう、相手は“勘違い”した。 だけど付き合い始めて二人の関係にほとんど変化はなかった。 自分は相変わらず勉学と映画ばかり、だけどその女の子はもっと他のこともしたいと言い始めた。 映画ばかりでつまらないと、映画以外には無いのかと。そんなことは付き合う前からわかっていたのではないのかと思ったが、恋人関係という以上、彼女の要求を受け入れた。 そうして間もなく別れを切り出された。 “一緒に居てもつまらない“ それが理由、単純明快、わかりやすい理由に納得しかなくて、あっさりと首を縦に振ったら大層怒られた。 映画にもありそうな場面だったが、当事者になってみるとこんなにも面倒なのかと思った。 そんなようなことが二度もあれば、興味も失うというのも致し方ないのではないだろうか。 きっと、そう。 恋を失うと書いて失恋だ。 だけど、そもそも恋をしていたのだろうか。 恋人はいたのに、恋をしたことはない。 そう思えば安いラブコメディが出来上がりそうだ。]* (1) 2020/11/11(Wed) 0:01:20 |
4年 犬鳴 崇は、メモを貼った。 (a0) 2020/11/11(Wed) 0:03:56 |
【人】 4年 犬鳴 崇─ 朝 ─ ふぁ〜あ。 [欠伸混じりに部室へとやって来た。 流石に朝は寒いが、防寒さえしていればさほど苦にはならない程度。 だけど、季節は確かに秋も終わりに向かっていた。] おはようございます。 [この時間、他の部員に出会うことはあまりない。 コートを脱いで掛けると、さっそくDVDの棚を物色し始めた。目当ての何かがあるわけではなかったが。]* (6) 2020/11/11(Wed) 0:10:18 |
【人】 4年 犬鳴 崇なんですかこれは…… [思わず絶句した。 B級といえばそうなのだけど。 ゾンビに囲まれてたと思えば、どのからか取り出したバズーカをぶっ放したり、かと思えば突然サメが襲って来てチェーンソーで滅多切りにしている。] ……朝イチで見るものではないです。 [インディーズだろうか。 支離滅裂な展開と破茶滅茶な設定。 どこ産の作品かもわからないそのパッケージには── ホラー映画『サイファー』 と、書かれていた。 何だろう、頭が痛くなって来た。]* (13) 2020/11/11(Wed) 0:22:17 |
【人】 4年 犬鳴 崇おはようございます、井田くん。 すでに一つ見たのですが。 [あまりの酷さに途中で見るのをやめてしまった。 口直しの様な感じでまともな何かを見ようと再び棚を漁っていたら珍しい顔があった。] 僕はよく居ますけどね、朝。 どうしたんですか? [珍しいのは井田の方だ。]* (15) 2020/11/11(Wed) 0:27:25 |
【赤】 4年 犬鳴 崇─ ギャラクシークエスト ─ 前々から思っていたのですが。 高藤のチョイスは変です。 [当たりも有ればハズレもあるのは仕方ないとして、一体どこから選んでくるのかという作品なのだ。 かと思えばメジャーな作品も出してくるから趣味の幅が広い。] よくそのチョイスで面白いのを拾ってこれますね。 [一応念の為に言っておくと、褒めてるつもりではあった。]* (*1) 2020/11/11(Wed) 0:31:11 |
【人】 4年 犬鳴 崇そうですか。 いえ、僕はいつものコーヒーでいいです。 [電気ポットに作り置きしたインスタントコーヒー。 香りなんてものは飛んでしまって苦味と酸味ぐらいしかない、コーヒー好きには飲めない代物。 ボタンを押してジャーとマグカップに注ぐ。 湯気が立ち上って温かさだけは本物だった。] そういえばさっき何か入れてました? [いつの間にか設置されていた冷凍室付きの大きめの冷蔵庫。誰がおいたのかはわからないが、何のためかはよくわかる。]* (19) 2020/11/11(Wed) 0:40:40 |
【人】 4年 犬鳴 崇そうなんですか。 鍋も馬刺しも美味しそうですね。 [何た言ったが、この男は食に無頓着だった。 面倒が続けば一週間毎日マックとかやりかねないほどに。] 井田くんは調理できないんですか? [素朴な疑問。 自分が扱えない食材を買ってきたのだろうかと。 と言いながら『サイファー』を取り出して、新しいディスクを入れる。 入れたのは車で無茶苦茶するシリーズの最新作。 元プロレスラーのハゲと、世界一かっこいいハゲが悪に立ち向かう作品だ。]* (28) 2020/11/11(Wed) 1:00:58 |
【人】 4年 犬鳴 崇おはようございます、高藤。 [ちょうど『スーパーコンボ』をセットしたところで高藤がやってきた。] 今日も元気ですね。 [当たり障りのない普通の朝の挨拶。]* (29) 2020/11/11(Wed) 1:02:52 |
【人】 4年 犬鳴 崇そうなんですね。 [社交性も高く、ストイックで気もよく回る。 同じ男として嫉妬、は覚えないがいい男だと思う。] 井田君はなぜ彼女がいないんですか? [疑問に思ったのでどストレートに投げつけた。 井田ならこっちのこともよく知っているて、面倒な反撃はこないし。 スピーカーからはテンポの良いヒップホップが流れていた。]* (33) 2020/11/11(Wed) 2:24:52 |
【赤】 4年 犬鳴 崇─ ポルノ映画 ─ [日活ポルノやピンク映画の話題が出た少し後、一つの作品を見つけ、それを“面白い”と思い購入した。もちろん部費で。 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』 恋愛映画とされるが、実質的にポルノに分類していいと思われる。実際、映倫のレーティングでは「R18+」だ。性的倒錯、愛情と契約、支配と従属、他人への要求と受容、その限界。そして葛藤。 青年実業家のグレイ、そして女子大生のアナ。 二人は惹かれ合うが、徐々に性的倒錯を抑えられなくなるグレイ、アナもまたその倒錯に染まりつつもその全てを受け入れることができないと、互いを受容することの葛藤に苦しんで行く。 グレイは言う「自分には50の歪み(fifty shades)」がある、と。 比較的人の少ない夜。 犬鳴は、ジっと真剣な眼差しでそれを観ていた。]* (*5) 2020/11/11(Wed) 2:52:50 |
【人】 4年 犬鳴 崇─ ある日の自室 ─ [とある人物の伝記的作品を二つ観た。 一つは『Jobs』 もう一つは『Steve Jobs』 Appleの創業者スティーブ・ジョブズの映画だ。 前者は2013年に公開され、バタフライエフェクトの主演を務めたアシュトン・カッチャーがジョブズを演じている。 Appleの創業から追い出され、そして復帰するまでを伝記的に描いている。何よりこの映画のすごいところはビジュアルだ。ラストのクレジットで役者と本当人物が並べられるのだが、これがよく似ている。 初めて観たときはアシュトン・カッチャーがイケメン過ぎるのではと思ったが、若いジョブズは全然負けていなかった。 なお、Apple関係者からは「もっとくずだ」と不評であった。 後者は2015年に公開され、原作はジョブズや関係者に取材して製作された伝記「スティーブ・ジョブズ」で、Apple関係者からはかなり実像に近いと評されていて、実際見比べるとこちらの方が格段にクズである。 どちらが面白いから賛否分かれるところだろう。 前者はエンターテイメントとして見る分にはいいし、伝記として見るなら後者ということになる。] どのみち。 “クズ野郎”ですね。 [だが、世界で最も偉大な経営者の一人であった事実は変わらない。]* (34) 2020/11/11(Wed) 3:10:49 |
【人】 4年 犬鳴 崇おはようございます、わかちゃん。 [今日は朝から人がやってくる日だ。 天音も何やら冷蔵庫に収めているし、意外と大人数になるのかもしれない。] いってらっしゃい。 [そうして忙しなく出て行く天音を見送った。]* (42) 2020/11/11(Wed) 5:39:11 |
【人】 4年 犬鳴 崇─ 現在・部室 ─ [スーパーコンボが終わった。 スピンオフのはずなのに、続編を意識した終わり方で少しもやっとしていた。最近はこう言う終わりが多くて、スッキリ完結しないことが多い気がする。 興行的には正しいのかも知れないが、1作品のあり方としてどうなのだろう。] さて、僕はそろそろ。 [空になったマグカップを洗って、掛けてあったコートを手にした。 さて今日はどこへ行こうか、何をしようか。]* (61) 2020/11/11(Wed) 11:51:39 |
【赤】 4年 犬鳴 崇─ ポルノ映画>>*16 ─ [いつの間にか小鳥遊がいた。 たまに思うのだが、部員の女の子、というよりこの小鳥遊という女の子は少し無防備ではないだろうか。ピンク映画を一緒に見に行くとか行かないとかの話のときもそうだが。] 元は、投稿サイトの小説らしいです。 日本だとケータイ小説みたいなものでしょうか。 『恋空』とか。 [日本でも確かにこの手の原作が投稿サイトというのはそこそこ耳にする。ストーリーは単純で、構成は稚拙に感じるが、場面や心情はぐっと心にくるものがある、らしい。] アナは少し愚かに見えますが、 きっと等身大の女性ということでしょうか。 逆にグレイは想像上の人物って感じがします。 [恐らくその辺りにヒットに繋がった要因がありそうな気がした。そもそも恋愛映画をあまり見ないので、何がいいとか駄目とかはピンとこないけれど。] 非日常的なグレイの嗜好と、リアルなアナの悩みや葛藤。 そこに感情移入してしまうのかも知れませんね。 続編。 特に見たいとは思いませんが。 [ズズっとコーヒーを啜った。]* (*20) 2020/11/11(Wed) 12:11:54 |
【赤】 4年 犬鳴 崇─ ポルノ映画>>※23 ─ む……誤解を招きましたか。 グレイが想像上の、 何かしらのシンボルや理想に対し、 アナが等身大というだけで、 男女の立場が逆になっていれば、 今度はグレイが愚かになってたでしょう。 作者が女性というのが関係者しているかもです。 [男女のどちらが愚かなのかという話ではなく、どちらかが現実的で、どちらかが想像というだけの話。] どうでしょうか。 ヒットした理由が共感ならば、 もしかしたらそうなのかも知れません。 [グレイの性的嗜好についていけなくなったアナ。確かにそれは、まるで自分の経験と重なっているようだった。] 現金なひとですね。 [誰の金であっても、続きに興味がなくなってしまっていて、きっと見ないだろうと思っていた。]* (*25) 2020/11/11(Wed) 12:54:17 |
【人】 4年 犬鳴 崇[朴念仁らしい。 もしかしたらそうかもしれない。自分への好意に鈍感かと言われればまた否定はできないし、そもそも面倒に感じているところもある。 かと言って、人に対して必ずしも無神経というわけではないと思う。思う。] 面白そうですね。 [井田がどういうつもりで干渉してきたのか何となくわかる。こういうところが出来る男なのだろうけど。] ですが、今日は予定があります。 明日はどうですか? 井田君も明日なら空いてますし。 [そう、だからこれはある意味意趣返しだった。 “行かないならこの話は流します“ 井田ならば向けた視線に込めたメッセージを受け取れるだろう。]* (80) 2020/11/11(Wed) 13:55:02 |
【人】 4年 犬鳴 崇他に誘いたい人はいますか? みんなでワイワイやるのもいいかもです。 今日みたいに。 [それが好意でないということぐらいわかる。朴念仁らしいが、朴念仁と言われたからこそわかる。 なら二人きりでない方がいいのだろうことも。]* (84) 2020/11/11(Wed) 14:23:57 |
【人】 4年 犬鳴 崇[井田を引き込むことに成功はしたものの、当の山田が辞退してしまった。] そうですか。 残念ですが、次を楽しみにしています。 [立ち消えてしまったものは仕方がない。] 井田君、振られてしまいましたね。 [なんて残して、部室を後にする。 入れ替わりでやってきた小鳥遊に「おはようございます」と挨拶を残して。]* (89) 2020/11/11(Wed) 16:29:51 |
4年 犬鳴 崇は、メモを貼った。 (a16) 2020/11/11(Wed) 16:40:43 |
4年 犬鳴 崇は、メモを貼った。 (a18) 2020/11/11(Wed) 17:03:11 |
【人】 4年 犬鳴 崇[ワイワイと賑やかなのが苦手なわけではなかった。 部室に入れば自然と人が集まってきて、いつのまにか大人数っていうことも珍しいことではないし。 だけど、予めわかっている場合には避けることがよくあった。 人との交流は映画とは違って傍観者ではいられない。 皆が騒がしくしているのを見ていることは好きだった。楽しそうに笑って、馬鹿な話に興じて。 ただ、自分はどちらかというと傍観者でいる方が好きだった。] (95) 2020/11/11(Wed) 18:16:40 |
【人】 4年 犬鳴 崇─ モールの映画館 ─ [まさか連日やってくることになるとは思っていなかった。だが、たった1000円で往年の名作が大スクリーンで観られるのはお得ではないだろうか。] 何度か食事を省けばいいだけです。 [それは若きパイロットの物語。 腕は確かだがルール違反を繰り返す天才マーヴェリックとその相棒グース。彼らは米海軍のエースたちが集まり腕を競い合うトップガンに選出された。 そこで繰り広げられる友情、恋、そして別れと挫折。 『トップガン』 これはそのデジタルリマスター版。 米海軍協力の元に製作されたこの作品は、海軍への士官希望者を大いに増やしたという。 その、続編が近々数十年ぶりに公開されるのだから、ぜひ復習しておくべきだ。] 劇場で観るのは初めてですね。 [さあ、コーラとポップコーンを持って観劇といこう。]* (111) 2020/11/11(Wed) 18:50:32 |
【赤】 4年 犬鳴 崇─ 愛すべきオタク? ─ それならゾンビランドです。 [ゾンビだらけになってしまった世界で元引きこもりのゲームオタクがゾンビ世界で生き残るための32のルールを実践しながら、両親の住むコロンバスへと向かう。] ジェシー・アイゼンバーグの演技が光ります。 [後にソーシャルネットワークでFacebookの創業者、マーク・ザッカーバーグを演じたり、グランドイリュージョンなどに出演。] あと、エマ・ストーンがとても可愛らしいです。 [彼女は、アメイジングスパイダーマンのヒロインや、ラ・ラ・ランドのヒロインも務めている。] 内容はゾンビもののコメディ映画で、 全編にわたってメタが多用されてますね。 面白いので未視聴なら是非。 ホラー要素はほぼ皆無です。 [つい最近、10年ぶりに続編が公開された。] (*38) 2020/11/11(Wed) 19:05:52 |
【赤】 4年 犬鳴 崇ざっくり低予算ならB級でいいですよ。 元々は長編と短編の二本立てにしていたときに、 短編側のことを指していました。 それ専用の撮影所が“B地域“だったようです。 長編用は“A地域“ですね。 [それが大凡低予算であったこともあり、ハリウッドが長編大編にシフトして行く中で、低予算で制作される作品を“B Picture“と称したのが由来らしい。] 転じて、小規模や低予算、二流や、 あとはニッチな作品なんかを、 『B級』と、呼ぶようになったようですね。 [つまるところ、総じて低予算で作られた作品。 蔑称としては二流の作品への呼称だ。]* (*39) 2020/11/11(Wed) 19:14:02 |
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