【神】 鳥葬 コルヴォ【ノッテアジト】 仕事が一段落して、またアジトまで呼び出される。 今度は誰の作った死体について陳述する事になるのだか。 詮無い物思いばかりが巡る道すがら。 「──ボスの?ああ、そうですか…」 道行く構成員からふと投げ掛けられたある言葉。 さて、あれは誰だったかな。 「御冗談を。買い被りすぎです。 烏だって、話を聞いただけじゃ遺体の事はわかりませんよ」 いつも通りの空疎な笑みのまま、それとなくあしらった。 そうしてたった一人の葬列はまた粛々と道を行く。 「それにしても、狙撃とはね……」 掃除屋は、身内の遺体を処分ではなく回収する事もある。 死因が狙撃とみられる遺体は、さて他に幾つあっただろう。 (G1) 2022/08/12(Fri) 2:12:05 |
【独】 鳥葬 コルヴォ/* ちょっと待って!?今回who素振りの儀式してなくない!? 恒例行事として特に意味の無いwhoを振ります 気にせんで <<ヴェルデ>>who <<アベラルド>>who <<ヴィオレッタ>>who (-23) 2022/08/12(Fri) 2:27:57 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 「ギムレットとカプレーゼ。サービスは遠慮しときます」 カウンター隅の席に着いて、注文は簡潔に。 装いは重苦しい仕事着のまま、けれど幾らかは崩した格好で。 「まだ仕事が残ってやがる。 上に夏季休業期間を設けるよう督促するべきですかね…」 よりによって、と形ばかり愚痴のような言葉を零しつつ 片隅で寝入る配達員(>>@0)の姿を横目に見た。 実に無防備と言うほか無いが、多種多様な人々が出入りする この場所で迂闊な事をする者も居ないだろう。 「いったい俺は何が悲しくて このクソ暑い中仕事しなきゃならないんだか」 続く言葉はやはり形ばかり、愚痴というよりは冗句のようなもの。 その実何とも思ってはいない。 掃除屋が夏に忙しくなるなんてのは、当たり前の事なのだから。 とはいえ、よりによってこの時期に、と思わないわけでもない。 零す愚痴があるとすれば、それは客より『ゴミ』に対してのもの。 (8) 2022/08/12(Fri) 18:50:06 |
コルヴォは、見なかった事にした。きっと人違いだ。 (a3) 2022/08/12(Fri) 18:53:05 |
【影】 鳥葬 コルヴォ廃倉庫に、硬く無機質な音が響く。 メンテナンスの為に分解された拳銃が、 汚れを除去され、注油を受け、また組み立てられていく音。 元は実に正義感溢れる巡査の相棒だったもの。 それが今となっては無造作に人間を手に掛ける輩の元にある。 何とも哀れなものだ。 「───全ては都合の良い幻聴だ」 カシャン。 最後にマガジンがセットされて、それきり静かになった。 (&0) 2022/08/12(Fri) 19:29:39 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → イル・マット フィオレロ珍しく、まだ日中と言って差し支えない時間。 掃除屋はあなたの経営するバールに顔を出した。 この後に急ぎの仕事が入っているから、それまでの時間潰し。 特別あなたに会いに来たというわけでもないけれど、 顔を合わせれば互いに話す事も無いなんて事は無いだろう。 そこにあなたの姿があったなら、暫し話し込む程度の時間はある。 居ないのなら、特に探すような事も無い。 何れにしても、時間を潰した後に仕事へ戻っていくだけだ。 人の巡り合わせというものは、良くも悪くもあるものだ。 それを恨む者など居やしないだろう。 (-49) 2022/08/12(Fri) 20:28:11 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 >>15 リカルド 向けられた視線と追及に、 ええ……? って顔をした。明らかに接点の無さそうな二人が雑談をしているなんてのは、 あまりに不自然に見えるんじゃないだろうかと思って。 これは気遣いだったんですよ。本当です。半分くらいは。 「……お気を悪くしたなら謝ります? 人の事をあまりじろじろ見るのも不躾かと思いまして…」 グラスを置いて、半身だけをそちらに向けた。 勿体付けたような言い回しは、いつにも増して他人行儀だ。 何せただの掃除屋と親しい人間など、殆ど居ないのだから。 「…随分甘い酒を飲まれるんですね。 見掛けによらず元々その方がお好きなのか、 それともお知り合いの影響ですか」 誰の事とは、言わないけれど。 ここで会話を終わらせれば、却って悪目立ちをするだろう。 だからあまり興味は無いけれど、 何より、外では他人同士の方が当然都合は良いはずだけれど。 仕方なく、少しばかり世間話に時間を頂く事にした。 (17) 2022/08/12(Fri) 21:00:03 |
コルヴォは、残りの半分は、言うに及ばず。 (a4) 2022/08/12(Fri) 21:00:51 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 暗殺屋 レヴィアカラン、カラン。 晩鐘のようにドアベルが鳴って、 喪服姿がアンティークショップを訪れた。 どうにも仲間意識の薄いらしいこの掃除屋がここに来た理由は、 親交を深めるだとか、そんな理由であるはずもなく。 ただ先日処分した『ゴミ』絡みだと、あなたにはわかるはずだ。 「どうも。客入りはどうですか」 実に事務的な声色で、言外に他に客は居るかと問う。 他に客が居るなら、今ここでする話でもない。 元よりこちらは急ぐ用でもないことだ。出直したって構わない。 (-53) 2022/08/12(Fri) 21:19:19 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ【港の埠頭】 「お兄さんも、釣り? って感じじゃあないか」 果たして貴方に話しかける声があったのは、誰某れと言葉をかわした後か。 どちらにせよ日の傾き始めた港はすっかり漁師以外は上がり、人の影は見込めまい。 とはいえ声までは届かずとも大きな動きがあれば目に留まる。 それくらいの人目、人の在り具合だ。 「オレのほうは仕事帰り! 漁師のおっさんから聞いたんだけどさ、このくらいの時間って朝と同じくらい釣れるらしいよ。 回遊魚が集会してくる時間がちょうど朝と、夕のこれくらいなんだって。 この時間荷運び手伝うと、ちょっといいやつ食わせてくれんの」 へへ、と笑う顔を向ける男が裏社会を歩く人間であることは、 その中でも余程に目鼻の利く者しか知らない話。相手がそのどちらかは、知らないが。 おそらくは少し場違いに見える姿が気になって話しかけたのだろう、 そういうふうにも見える。実情はどうだろうな。 (-55) 2022/08/12(Fri) 21:32:15 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー「死んじまった奴を悼んでたのさ」 徐々に鷗達の鳴く声も過ぎつつある港の埠頭。 返る言葉は、あなたと対照的に陰のあるもの。 夏らしくラフな格好であるとはいえど、 喪服じみた上下黒の装いには、随分妥当なように見えるだろう。 「この時期は、どうにも水難で行っちまう奴が多いでしょう。 釣りが趣味の知り合いは居るが、 俺はどうにも海で息抜きって気にはなれないな。とはいえ」 「辛気臭い面があって悪い事をしましたね、あんたには」 自分はそうでないだけで、人のそれを否定するつもりは無い。 はきはきと言葉を連ね、人懐こく笑顔を向けるあなたの方へ 徐に振り向いて、あまり重みのない詫びをひとつ述べた。 あなたの方が歳は上であるという事は、知る由も無い事だ。 そして、その笑顔が真であっても、偽であっても。 あなたが誰であろうと、今はどうでも良い事だ。 ここで海の死者を悼むというのは、もっともらしく思えるだろう。 何処ぞのボスの死を悼んでいるというよりは、よっぽど。 言葉に嘘の気配は無い。事実嘘は言っていない。 陰のある男は、少々変わり者のように見えるだろうけれど。 全てを疑ってかかっていてはきりがないだろう。誰だって。 あなたが詮索をしないなら、こちらにも詮索する理由は無い。 これはきっと、たったそれだけの話だろう。 (-61) 2022/08/12(Fri) 22:21:40 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 >>19 リカルド 「その場にそぐわないからって、 居ちゃいけないって道理も無いでしょうよ」 いつからここはドレスコードのあるリストランテになったんです? 小馬鹿にするでもなく、ただ軽口のように続けた。 あなたの悩んでいる事は、そういう事ではないのだろうが。 「お仕事、上手くいってないんですか。 そうでもないなら、別に焦らんでもいいでしょう。 任されたばかりの仕事を完璧にこなせる奴なんて居やしない」 「あんたはきっと真面目すぎるんでしょうね」 すっかり眉尻を下げてしまったあなたに無責任に言う言葉は、 飽くまでも上下関係も何も無い、他人としてのものだ。 何も事情なんて知らない人間の言う、ただの一般論。 「その時注文するに適したものが思い付かないなら、 店員に聞いて、勧められたものを頼めばいい。 それなら合わないものが出てきても、言い訳が利くでしょう」 相手は本職なのだから、合わない事はそう無いだろうが。 真偽はどうあれ好き好んで頼んだわけでないのなら、 やはりあまり親身でもない言葉だけを投げ掛けた。 態々人様の面倒を見るような立派な人間ではないのだ。 (23) 2022/08/12(Fri) 22:53:57 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ「ああ……? それは、ご愁傷さま。気の毒なことだね」 虚を突かれたように目を瞬かせるも、見ず知らずの人間の死には哀悼を示そう。 今はまだ、相手が何者だか知らないつもり。もしくは本当にまだ知らないか。 それは相手が裏社会でどういう人間であるかに委ねられてしまうのだろう。 名さえ聞いたなら噂は聞いたことはあれど、個を持たない彼のことまでは知らないかもしれない。 かりそめの事情を聞いたなら、見上げる視線には同情めいたものが乗る。 実際にどれだけ情が乗っていようが、他人のそれは他人のそれ。 肩口ほどから見上げる表情は幼さもあり、時折見せる表情はハイティーンのようですらある。 この場で年上ぶろうってつもりもないらしいので、認識は年下に向けるそれで十分だろう。 「いいよ、憂いてる人の顔は切なくて好きだ。 けれどそうだな、オレもお兄さんの笑っている顔は見たいし、 見送られる人だって、最後にきれいなものが見たいんじゃない?」 口説き文句混じりの励ましがどれだけ受け止められるものやら。 なんの目的で声を掛けてきたのか、軽口を軽薄な笑顔が飾る。 気楽に振る舞うように足元にしゃがんで空を見上げ、 膝くらいの高さから相手に向かって話しかける。に、と満面の笑顔つき。 篭絡しにでも来たんだろうか。 (-63) 2022/08/12(Fri) 22:56:08 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー「どうも。あいつらも少しは浮かばれる事でしょう」 他人の死に態々哀悼や同情を表す様子には、お優しい事だと笑う。 あどけない律儀さに嫌悪は無く、けれど少しの呆れはあって。 その態度が形ばかりの可能性があるなんてのは、互いに同じ事で。 随分前の事だったのか、声色もどこかあっけらかんとしたものだ。 単純に既に割り切っている事であって、やはり嘘の色は無い。 掃除屋コルヴォ・ロッソは、弔われない死体を始末するものだ。 故に花屋に知り合いもありはしない。 敵であろうと生者に関心は無く、 つまりはあなたの裏の顔など知る由も無い事だ。 そしてあなたも、この男が人知れず行う仕事を知らない。 たとえ建前であっても、その均衡を保ち続ける限りは。 今この場で事を構えたいわけではないのは、きっと互いに同じ事。 そうであるなら、話す内容は何処までも他愛無い雑談でしかない。 (-74) 2022/08/13(Sat) 0:16:44 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー「そりゃいいね。俺としても、 陰気臭いだの文句を言われるよりはそれがいい。 とはいえ、死んだ奴にくれてやるのは──」 一度言葉を切って、足元にしゃがむ青年を見遣る。 見下ろす笑みは変わらず陰気なものだけれど、 これはあなたの望みに適っただろうか。きっとそんな事は無い。 何せ誰の為でもないのだから。 軽口を、励ましを、間に受けてはいない。 ただ調子を合わせて、その場限りの他愛無い話をするだけ。 事実ここまでの言葉は実に心にも無い事だけど。 きっとあなたは気にしないだろう。気にするなら、少し意外だ。 「墓石と、手向けの花だけで十分だ。それと」 「パスカル。その呼び方は、どうにもこそばゆくて仕方ない。 随分口の上手いあんたの名前も、良けりゃお聞きしたいもんだ」 当然偽名だ。名もなき掃除屋には、本名なんてものは無い。 掃除屋のコルヴォ・ロッソではない、ただの一般人としての名だ。 あなたがこの男をただのパスカルとして扱う限り、 この日以降も、その場限りの実に他愛無い話は続く事だろう。 (-75) 2022/08/13(Sat) 0:17:20 |
コルヴォは、呟いた。「あんたの愛想の良さを見習いたくてね」 (a9) 2022/08/13(Sat) 0:17:35 |
【秘】 イル・マット フィオレロ → 鳥葬 コルヴォ「あっれ、別に珍しくもないけど。いいタイミング」 先日の別れがあの流れだったにもかかわらず、 普段と何ら変わらない、ある種一部にしか見えない 気安さを存分に振舞いながら、治外法権とばかりに"一応"のこのバールの現オーナーが煙草を吸いながら歩いてくる。 「今祭りのせいで人持ってかれたから、 人呼んどいてってスタッフに泣きつかれてて。 そんなわけでナイスタイミングだコルヴォくん、 一点サービスしてやろう。 "あちらのお客様からです"もできる」 何がいい?とばかりに勝手にカウンターの向こうに入るが 就任半年のオーナーだ。知識もそう多くはないが 恰好だけはいっちょ前についているのは、 顔と仕立てたスーツのおかげだろう。 (-76) 2022/08/13(Sat) 0:17:36 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 >>31 リカルド 「人の意見を素直に聞けるんなら、悪いようにはなりません」 「あとはそうやって堂々としてりゃあいいんですよ。 そうしたら、そのうち文句を言う奴なんて居なくなる」 目立つのは仕方ないと割り切ってしまうのも手だろう。 自信の無い様子を見せる方がずっとまずい。 怪しいと思わせる要因は、多くは落ち着きの無さなのだから。 「よくバーに出入りするお知り合いが居るなら、 それとなくお作法を聞いてみるのもいいと思いますよ。 あんたが何の仕事してるのかは知りませんけど」 「名前も知らない他人の事に首突っ込むのも野暮でしょう。 俺はこの辺で失礼します。次は楽しめるといいですね」 余計なお世話でしょうけど、と。 残った酒を乾して、会計を済ませて席を立った。 徹底した他人行儀。諜報活動は不慣れとはいえど、 その意味がわからないあなたではないだろう。 (32) 2022/08/13(Sat) 2:32:23 |
コルヴォは、その後は素知らぬ顔でバーを後にするだけだ。 (a11) 2022/08/13(Sat) 2:32:48 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → イル・マット フィオレロ「どうも」 どうにも先日の事など互いに気にもしていないらしい。 そちらが気安く声を掛けたなら、 こちらも素知らぬ顔で愛想のない答えを返す。 「運が良いってのは恐ろしいもんですね。 この皺寄せで、明日には死んでるかもしれない」 どちらが、なんてのは言わずと知れた事。 縁起でもない話だけれど、そう考えてしまうような人生だ。 「最後かもしれないんだ。ならあんたに任せますよ」 今日のおすすめは?バリスタさん。 カウンターに肘をついて、軽口は何処までも白々しく。 面倒だったらエスプレッソ一杯で構わない。 ミルクも砂糖も無し。この男はいつもそうだった。 (-87) 2022/08/13(Sat) 4:26:24 |
【秘】 イル・マット フィオレロ → 鳥葬 コルヴォ「まぁねぇ。それはあるよねぇ。 って言いつつ20何年生きてる訳ですけども……」 作り置きのアイスコーヒー、……ではなく。 淹れたての熱いエスプレッソを氷と砂糖入りのシェーカーに入れ、カクテルを作る動作で混ぜる。 シェイクを終えフルートグラスに注いだものを、 手慣れた動作で貴方の前に差し出した。 「どうぞ、カフェシェケラートですぅ」 最もこの国出身の者たちなら何てことのない、通常のアイスコーヒーみたいなものだ。 とは言え、喉越しの良さから夏の風物詩とも呼べるのも嘘じゃないので、"おすすめ"で出しているのも事実だった。 なお、砂糖はあえて入れたままで出した。 「……まー、本当に最後かもと思うところはあるなぁ。 それじゃ最後なら最後らしい話と洒落こみましょうよぉ。 話題浮かばないなら何でも1個ずつでもいいけど」 (-88) 2022/08/13(Sat) 5:11:22 |
コルヴォは、立ったばかりの席の方から聞こえた声に若干損をした気分になった。 (a14) 2022/08/13(Sat) 8:38:44 |
コルヴォは、 ……まあ、いいか…。 諦めとその他諸々が勝った。 (a15) 2022/08/13(Sat) 8:44:19 |
【独】 鳥葬 コルヴォ/* くそが。気を遣って損した。でも後が面倒になるし聞かなかった事にしよう。 そんな感じのその他諸々。 吁〜PCの態度と性格が悪い〜PLは皆の事が大好きですよ どうして… (-95) 2022/08/13(Sat) 8:48:38 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → イル・マット フィオレロ「最後らしい話、ね…… 俺には今更話すような事なんて何もありませんけど」 どうも。また素っ気無い礼を言って、 差し出されたグラスを取って、一度口を付ける。 砂糖の甘みには、度を越したものでなければ何も言いはしない。 面倒だから、普段は態々自分で入れはしないというだけの話。 「何処ぞをほっつき歩いてた間の事でも 今になって話す気になりましたか?あんたの方は。」 数年前の失踪による空白期間、 或いはそれより以前、幼少期に袂を分かった後の事。 周囲を取り巻く状況がこうなってしまった以上、 改めて話すなら、早いに越した事は無いだろう。 いつも通りに空虚に笑い、言外にそう示して その傍らに、眇目だけが音も無く緩慢に店内を見遣った。 初めの口振りからすれば、客も店員も今は少ないものだろうが。 もし仮に第三者の存在によって、 剣呑な話をしようものなら面倒になる、と踏めば この掃除屋はきっとまた核心を避けるだろう。そういう人間だ。 (-97) 2022/08/13(Sat) 10:27:32 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 冷たい炸薬 ストレガいつかの時、アジトでの事。 ふとあなたの居る所に通りがかった掃除屋は、 これまたふと思い出したように、懐中時計の修理の依頼を持ち掛けた。 文字通り蓋を開けてみれば、特別な事など何も無い。 故障は単なる部品の劣化が原因だ。 とはいえ素人には適切な部品の調達も一苦労というもので。 つまりは専門家に任せるのが一番、ではあるけれど。 いくら腕の確かな修理屋とはいえど、『仕事』の道具でもないそれを 何も、今このタイミングであなたに頼む理由は薄いはずで。 あなたがもしもこの掃除屋にその理由を問うたなら、 恐らくはこう答えたことだろう。 『──死んだ知り合いから拝借したものなんですよ。 だからできれば信用できる人に預けたかったんです』 『手を付けるのは、他の仕事の後で構いません。 あんたが忙しい事は重々承知の上ですし、 別に大して急ぐものでもありませんから…』 言葉に嘘は無いが、然して深刻そうでもない。仮にあなたがこの依頼を断っても 使い走りの掃除屋はただ、そうですか、と言うだけで。 引き受けたなら、時計を預けてさっさと引き上げていくだけ。 料金はそちらの提示する分だけを。つまりは言い値だ。 修理を終えるまで、互いに生きていたら、なんて。 そんなわかりきった前提など敢えて言う必要も無いだろう。 きっと互いに、無駄話は無用の人種なのだから。 (-99) 2022/08/13(Sat) 11:26:54 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ喩い上っ面ばかりの言葉であったとして、それさえ繕わない言葉を吐く必要もない。 男は組織で得た役割上、他者に融和して協調性を示し、良き隣人として振る舞うに長けていた。 他人と社会に望まれる態度を振る舞うことの出来ない人間に裏稼業なんてのは出来ない。 人間誰しも己の思考は外に出す時に糊塗するもの。その裏を探り、突く方が野暮だ。 街の潮風に簡単にかき消される程度の、生花のみずみずしさを伴った香り。 身振り手振りの多い話しぶりのたびに、季節を思わせる蜜の匂いが柔らかく風に乗った。 蹴り転がされても海に落ちないくらいの位置では在りつつ、海面を見下ろして眺むる姿は、 素性はどうあれ男が普段何と戯れているかを思わせるには、十分だった。 見上げた先の表情に曲がりなりにも変化があったなら、 男はそれが形ばかりのものであるにも関わらず、満足そうに笑って返した。 こちらは目を細めいっぱいに口を引き伸ばし、文字通りの満面の笑みだ。 「それなら、多少はご用向も聞けるかもね。オレは表の通りで花屋をやってるんだ。 ああもちろんオレの店じゃないよ、従業員ってこと。 ソニーだよ。ソニー・アモリーノ。名前教えてくれて嬉しいな。お近づきになりたかったから。 賑やかな時でも厳かな時でも、いつでもウチの店にご用命ください!」 相手の素性は明確に知っているわけではない。 影のある振る舞いから、市井や祭りに足を運ぶような人間ではなさそうだとはわかるかもしれないが。 それでも、構わない。今出会った、今目の前にあるものを踊りに誘うように。 立ち上がり、握手を求める手はやっぱり、生花の濡れた匂いがする。 (-107) 2022/08/13(Sat) 14:30:00 |
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