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人狼物語 三日月国


75 【身内】星仰ぎのギムナジウム【R18G】

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【人】 小さな心 サルガス

「――」

 あれ、だなんて。何もわかってないふりをしてみせるのさえ。
 できないほどに、寂しくて、しずかで、ああ、まだ夢をみているのだろうか?
 食堂に入った入り口で立ち尽くして、いつも座る席を遠くの風景のように見て。

 どん、と背中を押されて、食堂の入り口からよろけた。
 生徒の顔は見てないけれど、昨日もそんなことがあって、ああ。
 だれかが、それを咎めていたのを、それをどうしてと聞こうと思って、今みたいに、
 それどころではなくなってしまって、聞けずじまいでいちにちを過ごして、
 ああ、そのだれかが、ぼくのともだちは、もう、そのようにはしないのだろう。

 どうして、ぼくのともだちは、あそこにいないんですか?
(1) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:07:48

【人】 小さな心 サルガス

 スピカがいつも座る席を見た。
 いっぱいに陳列棚から持ち出して、まるいちにちぶんみたいな食事を詰め込む姿がない。
 シェルタンがいつも座る席を見た。
 そのまわりにたくさんの子たちが集まって、彼の話を聞きに来る小さな上背はない。
 ルヘナがいつも座る席を見た。
 すぐそばのいっぱいの食事を見ておなかいっぱいになって、ちょっと遠慮がちにする呆れ顔がない。
 イクリールがいつも座る席を見た。
 ひとりひとりを大事に育むみたいに、声をかけて、ようやくそこに座る小さなきみが、いない。

「どうして?」

 考えられない。考えたくない。
 不安を頭の中から取り払うと、頭は空っぽになってしまった。
 まだ、席にさえつかず、ひとりきりで立ち尽くしている。
(2) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:15:02
小さな心 サルガスは、メモを貼った。
(a1) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:17:44

サルガスは、涙を流しました。
(a2) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:21:13

【人】 小さな心 サルガス

>>3 ルヴァ
「ルヴァ……」

 そばで、折れてしまった彼を見た。耐えきれなかったのかもしれない。
 でも、なら、ああ。まだ、自分は大丈夫なのではないか。耐えられるのではないか。
 耐えられるのならば、自分にはすべきことがあるのではないか?

 ぐ、と唇を噛み締めた。その拍子に瞼からはぼろぼろと涙は落ちたけれど。
 だめだ。ルヴァの周りに居たみんなが、シェルタンが、ルヘナが、イクリールが。
 いないのなら、彼を一人にしたくないのなら。

「ルヴァ、ごめん、ごめん、ごめんね。
 泣いていいよ、いいんだ。ねえ、いいんだよ。かなしいよ、くるしいよ。
 いいんだ、ぼくらは、彼らを覚えていて、いいの、それで、いいんだよ」

 そばに膝をついてしゃがみこんで、まだ年の近い彼からしても小さな腕を伸ばす。
(4) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:25:59
サルガスは、ルヴァを抱きしめようとしました。
(a4) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:27:21

【秘】 小さな心 サルガス → 壊れかけの ルヴァ

「ごめんね。ぼく、愚かなままではいたくないよ。
 ぼく、ちゃんとおぼえてる。おぼえてるよ。
 ヘイズも、スピカも、シェルタンも、ルヘナも、イクリールも。
 ぼくらは、ぼくらは。
 言っていけないなんてことはない、触れてはいけないなんてことはない。

 ねえ、ぼく、ぼくだけになっても。かれらのことを、さがしているから。
 どうか、ルヴァ。きみだけは。ひとりきりに、ならないで」
(-11) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:29:09

【人】 小さな心 サルガス

>>3:6 シトゥラ
「――……そう、そうだね、ああ、ぼくら、調子がわるいのかも。
 ……しんらいできるひとのところで、ルヴァ、みてもらおうかな。
 おなかいたいのかもしれないから、ちょっとおやつ、もっていかなきゃ。

 ぼくは、ここに、残るから」

 涙で腫れたまぶたはじっと貴方を見る。
 それから、食堂にメレフがいないことに気づいた。彼も、いや。確かめないと。
 毅然とした表情で立ち上がると、陳列棚に目を向けた。
(7) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:42:36
サルガスは、ヌガーにりんご、牛乳ポット、とにかくなんでも、ひっつかみました。
(a7) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:43:30

サルガスは、一目散に食堂を飛び出しました。
(a8) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:46:53

【秘】 小さな心 サルガス → 懐疑心 メレフ

 扉を叩く、扉を叩く。誰も、彼も。いなくなった皆。
 最後に叩いたのは、貴方の部屋の扉。

「メレフ! メレフ! おねがい、返事をして」

 奇異の目で見られはしても、見ないふりまではされていない。
 少年は、いなかったことにはされていないのだから。
 柔らかい拳が扉を叩く。まとめたケープにいっぱいの食事をまとめて。

「おねがい、ルヴァをかくまって。きみしか、信じられないの。
 ぼくが、みんなをさがしてる間に。きみに、彼をまもってほしいんだ」

 まだ、当人らの言葉は、聞けてさえいないのに。空回りは、まわりつづける。
(-15) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:49:39

【人】 小さな心 サルガス

>>3:9 ルヴァ
「……よわむしなぼくで、ごめんね。きのう、きっときみと、もっと話していればよかった」

 人に囲まれているということは、満たされているということで。
 人がいなくなるということは、それが欠けてしまうこと。
 いつだってひとりぼっちの自分とは、きっと落ちる崖の高さも違うのだ。

「シトゥラの言うとおり、きっと、ここは、つらいでしょう。
 ぼく、おべんとうみたいに食事をもっていくよ。どこが、いいかな。
 高等部の子のへやがいい? それとも、ぼくのへや、なかにわ、なんでも、いいんだけど……」

 見ないふり、触れないふりを出来るものたちに囲まれて食事をするのはつらいことだろう。
 そして何より、彼を守らないといけない。そのために、何ができて、どこへ。
 自分よりも背の高いきみを、かばうように両腕をのばしたまま立ち上がる。
(10) redhaguki 2021/05/28(Fri) 20:59:15

【秘】 小さな心 サルガス → 懐疑心 メレフ

「……そうか、まだ……ごめん、急に押しかけて。
 どう、しようかな……いや、ああ、でも。あそこで知るくらいなら」

 食堂の様子を知っている。見ないふりをされているものたちの姿を知っている。
 それを見たものがどれだけ心を締め付けられるか、よく、思い知っている。

「おちついて、聞いてね。
 シェルタンがいないんだ。ルヘナも、スピカも。それに、イクリールも。
 ルヴァを守ってあげられる人が、だれもいない。
 ――レヴァティとブラキウムと、シトゥラは、いつもどおりなんだ……」

 すりきれそうな喉から絞り出すように。ひとりひとり、大事そうに名前をあげる。
 それなのに、どうしてこうも、差ができてしまうのだろうか。
 たった一日で、どうしようもない壁ができてしまったかのようだ。

「でも、メレフも、つらいよね。いいよ、だいじょうぶ。
 つらくて、くるしいなら、むりには言わないから。
 ぼくのへやでも、どこでも。すこしこわいけど、ルヴァを匿っておくことはできる」
(-20) redhaguki 2021/05/28(Fri) 21:05:25

【秘】 小さな心 サルガス → 壊れかけの ルヴァ

「……ルヴァは、きのうみんなを率いて、さがしものをしてくれたよね。
 もしかしたらルヴァはべつのことをしようとしてたのかもしれないけれど。
 でも、みんなに機会をあたえてくれていたよね。ぼく、きいてたよ。しってたよ。

 ルヴァは、いつもやさしいね。そばにいるひとを、大事にしてくれるよね。
 いまも、傷ついて、苦しんで。ぼくは、きみがそうあることを、守りたいとおもうよ。
 きみのほんとうのきもち。ぼくに、守らせてほしいんだ」

 それだけ悔やむことがあることを、悔やむ想いがあることを。
 サルガスはしっかりと受け止めて、抱きしめた。大事な、少年のともだち。
 守るために何が出来るか、必死に頭を巡らせて。

「メレフがもし、匿ってくれるなら。せめてちょうしょくだけでも、メレフのへやでいい?
 こわい、信頼していいかわからないなら、べつのところでもいいよ。
 ただ、ぼくが。メレフはきっと、力になってくれるって勝手におもってるだけだから」
(-22) redhaguki 2021/05/28(Fri) 21:20:00

【秘】 小さな心 サルガス → 懐疑心 メレフ

「わかった。また、あとで……動けたら、だけど。おはなし、しようね。
 ぼくは。まだ、みんなをさがすから。
 ぼくだけなら、教員棟も入れるはず。
 こんなにたくさん、いなくなったのだもの。それに、ヘイズみたいに隠されてるわけじゃないかも」

 ぱた、と足音が少し離れたような気配がして。それから、もう一度だけ戻ってくる。
 すこしばかり声をひそめて、扉の向こうの貴方に聞こえるように。

「メレフ。むり、しなくていいんだ。
 きみがおもってるより、きっときみは弱っているし、
 きみがおもってるより、きっとぼくは、強いから」

 まっすぐな声の調子でそれだけ告げて。少年は、廊下を駆けていった。
(-26) redhaguki 2021/05/28(Fri) 21:32:32
サルガスは、自分の部屋にいっぱいの食料を詰め込みました。
(a12) redhaguki 2021/05/28(Fri) 21:33:59

サルガスは、食堂に駆け戻ってきました。
(a13) redhaguki 2021/05/28(Fri) 21:35:19

【人】 小さな心 サルガス

>>3:7 >>3:10 再び、食堂
「ルヴァ、ぼくのへやに、食料いっぱい置いてきたから。
 なんでも、していいからね。ずっと、そこにいなくちゃいけないわけじゃないし。
 ほしいものがあるなら、もっていくから。お話したかったら、こえ、かけてね」

 ケープいっぱいにくるんだ食べ物を自分の部屋に詰め込んで、
 おもいきり振る舞える場所を用意した。
 いちおう、なるべく小声で彼にだけ囁いた。耳の良いものは聞いてしまうかもしれないが。
 小さな体をなんども、あちこち、ぱたぱたと急くように動かして。
 息を切らして、ともだちに寄り添おうとする。
(12) redhaguki 2021/05/28(Fri) 21:41:21

【人】 小さな心 サルガス

>>3:14 ルヴァ
「いつもどおりに過ごすのって、むずかしいことだよ。
 ありのまま。きみのままでいいんだ。だって、ルヴァは、ルヴァだから。
 ……いつだって。ぼくは、話を訊くから。ひつようなときに、そばにいられるようにするから。
 きみのともだちで、いさせてね」

 柔らかく、包み込むように。そうあれるように、心がけて。
 最後にぎゅうと抱きしめて、少しだけ、弱りを振り払うようにすする声が聞こえたかも。
 まだ満面の笑みにはなれない。それでも、口元に笑みをつくって。
 じっと、瞳はシトゥラとカストルを見た。この場でどんな振る舞いをするのか見るように。

「また、あとでね」
(15) redhaguki 2021/05/28(Fri) 22:15:39

【人】 小さな心 サルガス

>>3:a6 >>3:8 ブラキウム
 喧騒を終え、激励を終え。貴方の元に来たのは、時間が経ってからだった。
 朝にしては少し汗っぽくて、疲労の色が見えて。そんなことは、見えていないかもしれないが。

「ごめんね、ブラキウム。ばたばたしてて……。
 なにがすきかとか、わからなかったから。いっしょに食べれるものにしたの」

 いつもどおり、同年代の子供に比べるとすこしばかり足りない食事。
 そこに、白いマスカットを添えたトレーを抱えて、席の近くまでやってきた。
 ……返事があるまで、認識してもらえるかわからないから。座るまでは、いかないけれど。
(18) redhaguki 2021/05/28(Fri) 22:28:19

【秘】 小さな心 サルガス → 壊れかけの ルヴァ

 あなたをこわれものみたいに大事にして、ぎゅうと抱きしめていった小さい体。
 見上げて、見下さなくては目線の合わない体はすこしばかり温かい。
 とくとくと、小動物のように心臓は高鳴り、鼓動は疾く走っている。

 ネズミの心臓は、貴方から離れていきました。
(-36) redhaguki 2021/05/28(Fri) 22:31:38

【人】 小さな心 サルガス

>>3:21 ブラキウム
「……うん。おはよう。いっしょに食べよう」

 咎めは多くなく、覚えられていないわけでもなく。少しだけほっとしたようだった。
 昨日のように隣の席にのぼって、自分の食事を並べた。
 量には多少の差があるけれど、同じもの、それと、"お願い"の対象。
 張り詰めた空気の中で、いっときくらいは緊張を忘れるように。そろそろと、息を吐いた。

「いまはブラキウムといっしょだよ……。
 きのうはちょっと遅くまで起きてたから、おきてくるのもちょっと大変だったの。
 きょうも、じゅぎょうもあるし、医務室にもよらなきゃだから、うとうとしちゃだめなのに」

 まるで日常に帰ってきたような言葉。いいえ、今も、日常のはずではあるのだけど。
 これほどまでに、肌のすぐ近くで表面化しなかっただけ。
 それでもすこし表情には疲れが見え、貴方の顔を見て、落ち着いたようだった。
(22) redhaguki 2021/05/28(Fri) 23:01:52

【人】 小さな心 サルガス

>>3:25 ブラキウム
「にんきものなんかじゃないよ。ぼくが、みんなと……なかよくしたいだけ。
 ほんとは、ちょっと気が引けていたけれど。みんながぼくと同じにされるの、いやだから……」

 誰彼と構わず降りかかる頼み事。からかい、転ばせ、背中の張り紙。
 それらは、けれど、大人など関係ない。根拠のない。いたずら心。
 それは、貴方と話す朝食の時間からは廃絶されたものだから。今は、少し気が楽だった。

「そうなんだ? やっぱり、あまいものいつも食べられると、いろいろ知ってるね。
 ぼくはこっちに来てから食べるものばかりだから……。
 実は、ここに来てはじめて出てきたくだものが、このしろぶどうだったんだよ」

 干してもいない、絞ってもいない。まるのままの新鮮な果物!
 これがどれだけ珍しいものか、もともと育った土壌が違えば感覚も違うかもしれない。

 さりげない心遣いで食べやすくされたマスカットと、いつもの糖蜜パンを見比べて。
 遠慮とか行儀とか、色んなものと葛藤して。
 皿にころりと並んだマスカットを一粒大事そうに掴んで、口の中に入れた。
 皮だけつまんで、透き通った実を噛み潰して。わっと広がる甘みに目を輝かせる。

「おいしい!」
(26) redhaguki 2021/05/28(Fri) 23:43:17

【置】 小さな心 サルガス

 新学期の空気。秋風。サルガスがここに来たのは、それからもう少し遅れた頃だった。
 サルガスの家は、多くの裕福な生徒達と比べるとずいぶん"ふつう"だった。
 平民の子で、小さな頃から仕事を手伝って。どちらかといえば窮していたかもしれない。
 高名なギムナジウム、そこから排出される医学の見地。それは薬学だけでは追いつけなかった。
 同じくらいの尺度の人々には評判はよかったけれど、高貴な人々の寵愛など、とても。

 小さな頃は、家に居た頃は。何もさせてはもらえなかった。
 動けば、叱られた。手伝おうとすれば、たしなめられた。
 病室のようなベッドから飛び出し、自分のことをしようとすれば、ひどく怒られた。
 家のことはさせてもらえなかった。わがままを言うたびに、嘆かせ、泣かせてしまった。
 父も、母も。弟達も。弱りきった小さな体を、ずっと大事にしてた。
 とくとくと、律動する鼓動。漲る血のままに動けば、体は消耗しすり減ることを。
 医を齧った父も、母も。わかっていたのだ。

 文字より先に数字を覚えて。遅れて読み書きを自分のものにして、本をたくさん読んだ。
 少しでも、父を楽にできますように。少しでも、母を楽にできますように。
 それがやくだつとき、自分が働けるときなど、訪れるかもわからないのに。

 だから。ギムナジウムの誘いは、天啓のように聞こえていたのだ。
 ひそやかにされた真の姿など、中流までは下りてこなかったのだから。
(L1) redhaguki 2021/05/29(Sat) 0:21:04
公開: 2021/05/29(Sat) 2:00:00
サルガスは、お昼休みは教員棟の構造を調べるらしいです。
(a23) redhaguki 2021/05/29(Sat) 1:01:32

【人】 小さな心 サルガス

>>3:27 ブラキウム
「うん。……明日も、ブラキウムといっしょに朝ごはん食べられたらいいね。
 くすりになるようなもののことはわかるけど、こういうのって、わからなくて。
 ぼく、すっぱいのより、とろとろ甘いやつのほうがいいなあ」

 マスカットを食べて、時折思い出したように元の食事に手を伸ばして。
 味の違いで新鮮に感じる果物を味わったり、いつもより甘く感じない牛乳にむうと唸ったり。
 こんな朝でなければ、いつもの風景。努めて、いつもどおりであることを確かめるようだ。

 聞こえた声に顔を上げて、けれど、その意図をうまく捉えきれなくて。
 悩みはてながらもちらりと目をうつした、つやつやの青りんごに目がいった。
 マスカットの皿を相手の方に少し返して、二人で手の届く位置に置いてみて。

「ブラキウムも、おいしい?」
(28) redhaguki 2021/05/29(Sat) 1:21:00

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

*/
お疲れさまです。
前日までの秘話に関しては、以降継続は無しの方向になりますでしょうか?
今後の身の振り方も考えたいので、回答いただければ幸いです。
(-75) redhaguki 2021/05/29(Sat) 7:12:49

【置】 小さな心 サルガス

 昼刻。
 また、高等部の生徒に嘘の頼まれごとをしたような……ふりをして。
 教員棟の周りをちょろちょろと探し回っている。人目にはなるべくつかないように。
 ヘイズは、特に。ほかの皆も、噂さえ立たないのだからどこにいるのか、探しようもない。
 ひょっとしたら、自分の部屋にいるのかもしれない。けれども、今はまだわからない。
 せめてもいなくなった理由だけでも探そうと、足は隠されたさがしものへと向いた。
(L2) redhaguki 2021/05/29(Sat) 7:19:21
公開: 2021/05/29(Sat) 7:20:00

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

/*
了解しました。方針などあれば、一言添えていただけるとありがたいです。
ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
(-77) redhaguki 2021/05/29(Sat) 7:30:53

【独】 小さな心 サルガス

 無謀にも教員棟の裏手に回って、ひとけの様子を確かめてみた。
 授業の準備をしているからか、よくみる先生は中にこもってしまっているよう。
 時々、知らない大人と出くわしそうになっては、小さい体をさっと隠した。
 危うげな探索を続けていて、ふと見上げた目線に映るもの。
 鍵もかけず、窓戸を締めてもしまわずに。白いカーテンが揺れている窓。

「ひょっとして入ってしまえる、かな?」

 思い立ったら試してみずにはいられなかった。落ち着いて、考え直せなかった。
 それは幼い浅慮のためではなく、巡る血の急く思いのため。
 毛細血管をはじけさせるような圧を逃がすように、体はいつもじっとしていられない。

 一階の窓……から、姿が見えてしまわないように、その脇を通って。
 雨樋をのぼって、絹をはためかせる二階の窓に向かって、懸命に手を伸ばす。
 腕の力だけでなんとかとりついて、空いた窓の中を見る。

 なにか、うごめくようなものがあって。暗くて、中は見えなくて。
 誰で、何が、なんにもわかりはしないけど。頭の中に危険を知らせる鐘の音がなる。
 これは見てはいけないもので、何かどうしようもなく悪辣な何かで。
 ほとんど影しか見えやしないのに、なぜだか背筋を寒気が伝い。

 冷や汗で滑った指先が、雨樋をつるりと取り落し。
 小さい体は、落下して。
(-104) redhaguki 2021/05/29(Sat) 11:16:13
サルガスは、窓から落ちました。
(a33) redhaguki 2021/05/29(Sat) 11:16:21

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

*/
はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。
(-105) redhaguki 2021/05/29(Sat) 11:16:57

【人】 小さな心 サルガス

>>3:29 ブラキウム
「やっぱり、そんな感じに見えちゃうのかな……ぼくね、やりたいこと、むずかしくて。
 ぼく、だれかの役にたてるのが、うれしいんだ。ここは、何にもしちゃだめって、言われないから。
 それ以外ってなると……ううん、なんだろう」

 ひとよりは少しすくない食事、それを少しだけ時間をかけて食べる。
 ゆっくりと食べているようには見えない。スピカのように健啖家らしいのに、一口は小さい。
 自分の姿に、変わらぬものを求められていることなどつゆ知らず。
 小さい頬にゆで卵のクロケッタをいっぱいに詰めて、じっと見つめて。
 そればかりはお行儀よく、ちゃんと飲み込んでからからっぽの口で問いかける。

「ブラキウムは、好きなことややりたいことって、なあに?」
(30) redhaguki 2021/05/29(Sat) 11:42:09

【人】 小さな心 サルガス

>>3:31 ブラキウム
「……ブラキウムは。やさしいね」

 彼の言葉に宿るもの。ここで、育っていくにあたって、そしてここを卒業してから。
 うまくこのギムナジウムを渡りきって、その先につなぐものを、ずっと考えているのだろう。
 "サルガス"がいなくなってほしくないから、いなくなると思いたくないから。
 その先に、未来があるように見つめてくるのだ。

「そっか。……じゃあ、ぼく、がんばるね。
 同じクラスの、ふたりだもん。ぼくも、ずっといっしょにいたいな。
 思い出たくさんつくれると、いいね。ふふ」

 無垢にも思えるような返答に、自然と頬がほころんだ。同じ気持ちであることが嬉しい。
 少しばかり年は違って、追いつくまでに時間はかかってしまうけれど。
 みんなで、そして三人で。いっしょに過ごせたらと。少しだけ、声に出して笑った。
 
そのためにも、解決のために頑張らないと。
(32) redhaguki 2021/05/29(Sat) 12:35:23
サルガスは、誰かに運ばれています。
(a36) redhaguki 2021/05/29(Sat) 13:22:14

【独】 小さな心 サルガス

 痛い。痛い。背中の真芯を打ってしまうのは、体をねじって避けたけど。
 首や脊髄を守ろうとして、半身に重みがかかってしまった。呼吸が苦しく、ひゅうひゅうする。
 大きな怪我になっていなければいい。そう冷静に考えるのも厳しいくらいに、痛い。痛い。
 心臓はいつも以上に高鳴っている。怯えたような鼓動が耳の裏まで響く。

 騒ぎを聞きつけた誰かが、転がっている体をかかえあげた。
 けれども少年の視界はちかちかとして、それが誰であるのかもわからない。
 痛みが視覚にまざりこむように、黒と赤に明滅するのばかりが見えて。
 どこを、どのように通ったのかも、よくわからない。
(-123) redhaguki 2021/05/29(Sat) 13:34:23

【人】 小さな心 サルガス

>>33 ブラキウム
「ブラキウムは、――ブラキウムは、いつも、上に立つ人らしく、してるよね。
 じぶんはつよくて、こわくて、だれにもばかにされちゃいけないと思ってるよね。
 でも、こころのいちばんしたからぜんぶほんとうにそうだったら。きっと、ぼくに声をかけない」

 それは真ではないかもしれない。少年の善性が、そう思い込んでいるだけかもしれないだろう。
 人の心の何もかもを水鏡のように見透かすことなど出来はしないのだ。
 ましてや、まだ未熟な子供にそんな芸当など。そう思いたいだけなのかもしれない。
 それでも、少年は貴方の中に厳しさも強さも、何もかもが育まれていることを信じている。

「ブラキウム、ぼくのともだちの、ブラキウム。
 ぼくも、きみが心配なの。きみも、きっと知らないところで、危険なことをしてるでしょう。
 でも、だいじょうぶだから。
 ぼくが、きみをだれにも連れて行かせない。ぼくがきみを、守るから」

 ああでも、だからこそ。約束は結ばれない。
(35) redhaguki 2021/05/29(Sat) 13:41:36

【人】 小さな心 サルガス

>>34 メレフ 昼頃、昼休みは過ぎ去って
「はい!」

 まるで授業中に指されでもしたかのような、大人しいながら元気いっぱいの声。
 けれども扉が開くまでには、少しだけ時間がかかってしまった。
 尋ね人が誰かもわからないのに、重いものでも運ぶように両手で頑張って扉を開けて。
 見上げた顔が貴方であるのを見て。ほっとしたかと思えば、すぐに眉を下げた。

「メレフ! たいちょう、だいじょうぶ? しんどそうだったでしょう。
 どうしようかな、まだ、朝のたべもののこってるんだけど……」

 気遣わしげに部屋の中をちらりと振り返る。
 隙間から見える風景には、ちょろりと残ったクッキーやヌガー、お茶のポットが置きっぱなし。
 朝、人を匿おうとして積み上げた食料をまだ消費しきれていないのだろう。
 少しだけ、青い草と土の匂いがする。
(36) redhaguki 2021/05/29(Sat) 13:49:32

【人】 小さな心 サルガス

>>3:37 ブラキウム
「ブラキウム……」

 脅迫に近い言葉なのだろう。命令に近い言葉なのだろう。
 それでも、それそのものには恐怖は感じられなかった。
 もっと怖いのは、自分が手を振り払ったことで、彼がなにかになってしまうこと。

「……わかった。ブラキウムに、頼めそうなことがあったら、ぼく、おはなししにいくね。
 まだ、急にいろんなことになっちゃったから……まとまってないんだ。
 わからないことばかりだから。わかったことがあったら、あとで相談しにいっても、いい?」

 確約できてしまわないことは言及を避けておきながらも、ようやく、頷いた。
 きゅうと、指先が貴方の指を包むように一瞬だけ動いて、そうっと離れた。
 食器は、ほとんどカラになっている。
(39) redhaguki 2021/05/29(Sat) 14:50:37

【秘】 小さな心 サルガス → わるいおとなの ラサルハグ

/*
先生こんにちは!
教員棟の二階の窓から背中から落ちたので、もしお手すきだったら部屋まで運んでくれませんか?
エッチな展開にするつもりはあまりないので、めちゃくちゃ注力して頂く必要はないです。
主に名前がチラ見することで人間がハラハラする事を狙いとしています。

内蔵破裂してるか、打撲で済んでいるかは考え中です!
(-145) redhaguki 2021/05/29(Sat) 15:00:20