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【秘】 葛切 幸春 → 靖国 冬莉[労わるように頭を滑る指先が在る。慣れない感触に一時彷徨わせた視線を やがて指の主へと落ち着かせた。 当然に“これから”を差し出してくれる彼への、敬意としても。] 指標……。 [考えた事もない話だった。己にとって周囲の環境は絶対であり、世論の――或いは内に籠った自分自身が創り上げた“普通”を基準にして 生きていく事しか考えては居なかった。 差し出される真摯さを取り零すまいと、頭の中で言葉を噛み砕く。幾許かの間。反芻する内に 狭く暗かった視界が開けていくようにさえ覚えた。] (-55) toi3 2024/04/29(Mon) 22:46:06 |
【秘】 葛切 幸春 → 靖国 冬莉[目を伏せる。] あんたは、北極星のようだな。 [彼を知る程に、彼を称する言葉が増えて行く。] 冬莉が居てくれるなら、俺は屹度、 この先を迷わずに行けるんだろう。 あんたが俺を想ってくれるように、 俺も、あんたを大事にしたい。 [傍に居ない事が、本来は一番だと思っていた。だが、] ―――傍に居るからこそ出来る方法で。 (-56) toi3 2024/04/29(Mon) 22:48:09 |
【秘】 葛切 幸春 → 靖国 冬莉[視線を起こす。小首を傾ぐ所作が可愛らしいのに様になっている。良い男は狡いな、とまた少しだけ笑って、促される儘に口を覆っていた指先を外す。意識して表情を晒す事に幾許かの掻痒感があろうと、優しい強請りに抗う意志はなかった。代わりに、秘め事を共有するように口を開く。] 俺はあんたのどの顔も好きだ。 それに、未だ見た事のない顔も見たい。 [解かれ行くネクタイには視線を向けず、それを為す相手だけを唯見詰めて――そうして聴く肯定に、心が震えた。 首筋に埋まる後頭部を腕に抱き、指を挿し入れて髪を撫ぜる。 硬質な感触、微かに走る痛みに喉が鳴った。相手の色香に中てられて上がった熱を自覚する。呼気を逃し、伸べる掌で相手が離れるのを止めた。] 知っていてくれ。俺の全ても、あんたのものだ。 ……愛してる、冬莉。 [笑みを形作る唇を吸って、互いの呼気が混ざる距離で、] (-57) toi3 2024/04/29(Mon) 22:59:46 |
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