人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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視点:


セナハラは、走っている。
(c1) 2021/07/08(Thu) 15:49:28

【墓】 諦念 セナハラ

霞む意識の中、何かから逃げていた。
しかしどうにも足が重く、思う様に進めない。
一歩踏み出す度に、泥中の意識が浮上していく。
逃げなければ殺される。
逃げなければ生きられない。

────そういえば。

──何から、逃げているのだろうか。
(+1) 2021/07/08(Thu) 15:49:48

【墓】 諦念 セナハラ

>>+1

足を止める。
見慣れた廊下と、少し弱まった雨が窓から見えた。

ここは三途病院だ。敵などいない。
銃声も聞こえないし、戦闘機だって飛んでいない。
その筈だ。
一体何故、何を、恐れているのだろう?
(+2) 2021/07/08(Thu) 15:53:49

【墓】 諦念 セナハラ

>>+3 ニエカワ

ペタペタ。
……ペタペタ。

足音の主を、知っている。間違うはずがない。
ひとつおかしなことがあるとすれば──、
この足音は、もう聞こえない筈であることか。

男は己が死んだ事を、まだ理解できずにいた。

「……、……っ」

兵士が背後に立っている時より、
銃口をつきつけられる時より、ずっと恐ろしい。
恐る恐る、そうっと、振り返る。
視線は当然のように、数寸下へ向いていた。
(+4) 2021/07/08(Thu) 21:04:07

【墓】 諦念 セナハラ

>>+6 ニエカワ

「────ッ!?」


声にならない悲鳴と共に、正面へ顔を向ける。
生前と変わらぬ姿の少年がそこに立っていた。

「……な、ぁ、なんで、」

思わず一歩、後退る。
そんな筈はない。
貴方は間違いなく、この手で殺したのだから。

男は死後の世界を信じない。
霊魂の存在を否定する。
そうでもしないと、気が狂ってしまうから。
(+7) 2021/07/08(Thu) 21:29:02

【墓】 諦念 セナハラ

>>+8 ニエカワ

痩せた細い指の腹が、頬に触れる。

「……ぁ、」

その瞬間、思い出した。
喉に触れる指を。首に回された子供の掌を。
脚から力が抜けていく。崩れるように座り込んだ。

「ごめッ、……ごめんなさ、ごめん、なさぃ」

きっとこの子供は、復讐をしに来たのだ。
叶わない約束をした自分を。
殺した自分を。
かつて喰らい殺した人々も、
こうして自分を呪っていたに違いない。

「……ゆるして、」
(+10) 2021/07/09(Fri) 10:26:38

【墓】 諦念 セナハラ

>>+12 ニエカワ

止まった筈の心臓が悲鳴を上げる
気がした

胃が中身を絞り出すように痛んでいる
気がした


「……っ、怒ってる、ん、でしょう?」


罰が当たったのだ。
定めに流され、嘆いていれば良かったものを。
人の手で命を選んで、自ら人の道を踏み外して、
……抗ってしまったから。

「な、……何でも、する、からッ…………」


目を逸らせない。
何の力も込められていないのに、
顔に触れる手を振り払う事ができなかった。

「……、許して、ください」


震える声で、唇で、赦しを乞う。
(+13) 2021/07/09(Fri) 12:38:11

【墓】 諦念 セナハラ

>>+14 ニエカワ

大人として振る舞う余裕など、とうに無くなっていた。
何を言われたのか、理解する前に口が動く。

「ぅ、うそじゃない。……ほんと、本当だから、」

震える手で縋るように、貴方の服を掴む。
その笑顔が、ただ恐ろしかった。
(+15) 2021/07/09(Fri) 14:30:31

【墓】 諦念 セナハラ

>>+16 ニエカワ

──許してあげる=B

囁かれた瞬間、気付けば頷いていた。
その言葉の、本当の意味もわからないまま。

「ずっと、いる……、います。
傍に、います


安易に終わりの無い約束を交わした。
視界が霞み、涙が頬を伝っていく。
許されるという安堵から溢れたのか、恐ろしいからなのか、
……何もわからなかった。
(+17) 2021/07/09(Fri) 18:30:16

【墓】 諦念 セナハラ

>>+18 ニエカワ

抱き締められても、温もりなど少しも伝わってこない。
そこにあるのは交わしてしまった約束と、
剥き出しの好意だけだ。
何故好かれているのか、男にはちっともわからなかった。
だからこそ、恐ろしい。

「──……はい。
約束
、です」

恐る恐る、背中に手を伸ばす。
この約束を手放してしまえば、
自分は永劫許されなくなると思った。
(+19) 2021/07/10(Sat) 0:21:45
セナハラは、約束をした。
(c3) 2021/07/10(Sat) 0:23:26

諦念 セナハラは、メモを貼った。
(c4) 2021/07/10(Sat) 13:46:02

【墓】 諦念 セナハラ

これはどこかの時間。
死んだ男は、手術室で自分の死体と少年を見つめていた。
聞こえないと知りながら、返事をし続ける。

「きみは何も悪くないんですよ」

以前のように頭を撫でようとして、
己がさせたことを思い出せば、手を下ろした。

「いつか、助けがきますから」

どうせわからないのだから、撫でてもいいとわかっている。
しかし、そんな資格は無い。

「……」

いや、自らそれを捨てたのだ。
──貴方は良い子だから。
──自分の我儘に付き合ってくれると、信じていた。

「ありがとう、」
「ごめんなさい」


あのとき伝えたかった二つの言葉を、小さく呟いた。
(+21) 2021/07/11(Sun) 1:10:45
セナハラは、幸せが何よりも恐ろしい。
(c8) 2021/07/11(Sun) 20:52:02