人狼物語 三日月国


175 【ペアソロRP】爽秋の候 【R18G】

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 ……ッ


[ …体感にして二分ほどだろうか。

 漸く揺れが収まった頃、外へ視線を向ければ
 月明かりが照らす、門の向こう側の狭い景色だけでも、
 その惨状が伝わって来た。

 森の樹々は一本残さず倒され、
 樹の幹や大地には所々抉られたような傷痕が残っている。

 そして何より、樹々の向こうの闇から滲むように
 湧き上がってくるのは、醜い小鬼や虫妖の類。


 狙っているのは、僕か、
 それとも僕の腕の中の小さな彼女か。
 どちらにせよ、関係ない。 ]



 ……ことね。
 しっかり掴まってて。
 
 
[ 僕とて、並の妖怪程度にむざむざやられてやる気などない。 
 ましてや、今この腕の中には小さな命を抱えているのだから。


 ―――結局、有象無象の妖たちを全て退けたのは夜が明けてから。

 漸く終わったとほっと息を吐いたところで。
 …腕の中の小さな彼女が、
 ぐったりとしていることに気づいた。 ]
 


 
 …ことね? ことね!


[ 『祟り神』としての自身が放つ瘴気に
 少女があてられたのだと気づいたのはやや立ってから。 ]

 
 ―――…ことね……。

 …嫌だ。そんなのは、嫌だ……。


[ 彼女を、死なせたくない。
 でも、どうすればいい?どうすれば。

 そんなときだった。
 悲しみと混乱の中にあった僕と、彼女の許へ。
 昇り始めた朝日を背に浴びながら、
 あの男がやってきたのは。]

[ 彼と、彼の仲間たちに保護されて、彼女は森の外へと運ばれていく。
 どうやら、浄化の儀式を済ませた後に病院へと運ぶらしい。

 運ばれていく彼女を洞窟の中から見守る僕に、彼は囁いた。
 『もし、彼女と一緒に居られる方法があるとしたら
 君は、どうする?』と。


 ―――…そうして、後は知っての通り。
 やがて意識を取り戻した彼女が此処に戻って来た後。
 僕らは、互いに契約を交わした。

 僕が彼女の『式』へと降ることで
 僕は『祟り神』としての力をほとんど失い、
 妖としても実に半端な力を持ったなにかになった。

 そうして、僕らは八年の年月を共に過ごしてきた。
 落ちこぼれの退魔師と、彼女に仕える式神として。 ]**

 
[ 今の感情は何て言えばいいのだろう。

 友人が想いを実らせた嬉しさと
 私の想いが実らなかった辛さ? 悲しさ? 

 そんな綺麗な言葉で言い換えなくても分かっている。
 私の心は、進行形でどんどん醜く黒ずんでいる自覚がある。
 セシリーへの嫉妬心が無いといえば嘘になる。

 だから声を掛けられない。
 直視できない。
 歓喜に包まれた声をすべて遮断したい。]

 



( あんなに大きな声出して。

  一緒に旅を続けている間でも、戦っている時でも。
  こんなに声を張り上げたセシリー、
  一度や二度程度しかなかった気がする。

  
……それだけ、私の事を思ってくれているのね。
      本心から。


  ……それが貴女という人だものね。
  アスベルが好きになる理由だってよく分かる。
  私も男に生まれてたら、絶対好きになっていたもの。


 
                    でも。]

 
 

 
[ 今の私には、貴女の汚れ無き純粋な心が
          海よりも深い優しさが。
  

  ──────…………。



 

   
[ 嫌いになってしまいそうで、怖、い ]




[ 今の私はどんな顔をしていただろう。
 きっと嫉妬に狂った般若のような
 もしくは…………。]

 

 
[いつもは何者も寄せ付けない
 強く美しい戦場に咲く花だ。

 だけどいまはそうではなく
 嫉妬に狂う般若でもなく

 風に吹かれるだけで潰れてしまいそうな
 ただの女の子に見えた。
 

 
[友達なんだから秘密にされてたの
 ちょっとくらい怒ったって良いのにさ。

 不満も哀しみも全部胸に仕舞って

 生えた棘すら自分に向けて
 必死に押し殺して

 妬ましいはずの相手に
 祝いの言葉まで伝えようとして

     お前は本当に……、優しい奴だよ。]
 

――回想:夜が明けてからと赤い眼の彼の話――
 
 
[ あの夜、たった一晩で
 わたしの知る世界は変わってしまった。 ]
 
 

[ 突如発生した局地的な地震と、 それによって発生した大規模な土砂崩れによって 一つの集落が丸ごと飲み込まれた。
 そこに暮らしていた住民たちも全員死亡したと世間ではそう伝えられている。

 父も、母も、兄たちも。
 ……わたしの知る人たちも、皆、いなくなった。
 先生たちに助けられた後、運び込まれた病院でそのことを知らされた。


 そのとき直接先生たちから聞かされたことはそれほど多くない。
 だから、なのかな。
 自分でも不思議なくらい、悲しい気持ちはなかった。
 ……ただ、あまりにも現実味がなくて。

 壁も床も天井も、何もかも真っ白な知らない病室にただ一人。
 退院するその日までただただ抜け殻みたいに過ごしてた。 ]

[ 退院した後、わたしは先生たちに引き取られて。
 そこで、わたしの知らなかった飛鳥井村のことを知らされた。

 飛鳥井村があった山の地下深くには、人の世と人ならざる者たちの世を繋げる『幽冥門』という特別な呪物があり、それを封じるために渡守の一族のなかでも 結界術に長けた者たちによって『門』の封印と守護が行われていたこと。

 『門』を封じる結界を維持するために、渡守の一族は『神』と呼ばれる存在の力を『門』の封印に代々利用していたこと。

 そして、あの夜。
 あのときの地震は『門』を奪うために何者かが人為的に起こしたものだということ。

 あの地震によって封印が弱まったことで邪気が周辺に溢れ出し、地震以外にも大きな災厄として近隣に大きな被害を齎したこと。

 ―――…何もかもが初めての話で、そして小さなわたしには何よりとても難しくて。
ただ、困惑しながら話を聞いていた。 ]

[ それからもうひとつ。 ]


  ……あの子は、神様はどうしたの?


[ 『門』を封印するために彼は利用されていて、その『門』が奪われてしまったというのなら。
 彼が今もあそこに封印されたままでいる理由はないはず。

 そう思って、彼について聞いたところで。]


 『あーそれなんだけどね。
 こっちもちゃんと話しておかないとなぁ』


[ そういうと先生はぽんぽんと軽く手を叩いてみせた。
 まるで何かを呼びよせるように。

 そうして次の瞬間、何もなかったはずのその場所に知らない男の子が一人、空間に滲むようにして現れた。 ]
 

 

 ……。

[ なんやかんやあって数十分後。
 先生の家の縁側に、わたしとその子はふたりきりで座り込んでいた。 ]


 ……ねぇ。

 ほんとうに、きみ、あのときの子なの?


[ 問いかければ、こくんと無言で頷くのが見えた。 ]


 先生から聞いたけど、
 …あんまり姿がちがうから、びっくりしちゃったよ。


[ 彼が目の前に現れた後、先生から聞かされた話。
 あの夜、わたしを助けようとして逆に自分自身の瘴気でわたしを殺しそうになってしまったこと。
 それを助けるために、私と彼のあいだで式としての仮契約を結んだこと。

 いろいろ事後承諾なのは、ちょっと気にかかるけど。 ]


 ……ごめんなさい。


[ まずは、謝らないといけない。
 縁側に座ったまま、深く頭を下げて謝罪の言葉を口にする。

 あの夜、自分は祟り神だとあの子は言っていた。
 渡守の家が封じ、代々利用してきた『神様』がこの子だとして。
 …自分のことを祟り神だと名乗るくらい、わたしの家や故郷の人たちは彼にたくさん辛い想いをさせてきた。
 わたしは、何も知らないまま安穏と故郷で過ごしてきた。
 そういうことなんだと思う。 ]



 あのね。
 先生が、おうちにおいでって言ってくれたんだ。
 先生本人は忙しいみたいだけど、
 おうちには奥さんもいるから平気だって。


[ そ、と。
 彼の前に手を差し伸べて。 ]


 ちゃんと契約して、わたしのそばにいてほしい。
 わたし、退魔の才能はないっていろんな人たちから言われてるけど。


 これからも君と一緒にいられるくらいに、
 わたし、強くなりたいな。


[ そして。 ]


 いろんな世界を一緒にみていこう?
 わたしも、あなたもきっと飛鳥井の狭い世界しか知らないから。


[ わたしは、故郷のことを何も知らなかった。
 わたしたちが暮らす村の仕組みも、
 わたしたちの一族が何を守って来たかも。
 そのために何を犠牲にしてきたかも。

 そしてなにより。
 あの真っ暗な世界でどれだけ長い時間、過ごしてきたかわからない彼に。
 温かくて眩しくて、優しい世界を、たくさん…たくさん見せてあげたい。

 ―――それが、今のわたしの夢。 ] 


 だから、えっと……。


[ ほんの数十分前。
 「彼と本契約を結ぶには、彼に名前をつけてあげること」
 「そうすれば晴れて君と彼は術師と式神としての
 パートナー契約が成立する」
 先生に言われて、一生懸命考えたけれど
 …自分の名前の付け方がいいのか、ちょっと自信がない。 ]


 ―――…シンシャ
 辰沙。それが、君の名前。


[ 深く、一度深呼吸をしたあとに、わたしの式神としての彼の名前を口にする。
 
 以前、兄が持っていた鉱物図鑑にあった石の名前。

 かつて『賢者の石』とも『竜の血』とも呼ばれ、丹や水銀の原料にもなった、赤い石。
 その図鑑に載っていた鉱物の、深い綺麗な赤色が彼の瞳の色に重なってみえたものだから。 ]



 ―――よろしくね、辰沙。**

 

 
[ 秘密にされたことは
 ショックでないと言えば嘘になるけど
 どうしようもなかったのも事実だった。]

 怒ったり妬んだりする気持ちもなかった。
 出し抜かれた、なんて思いもしなかった。

 それに、二人の幸せそうな表情を見て


  “ああ、私じゃ勝てない。無理だ。”


 最初から土俵にすら上がれていなかった、
 と、即悟ってしまったから。]

 

 
[ でも。

 私かセシリー。どちらが先に
 恋心が芽生えていたのかは分からないけど

 もし、私がもっと早くに
 アスベルに想いを伝えていれば。

 もし、私が先に告白したとしても。
 良い返事を貰えていたとしても。

 ──セシリーと出会った段階で
 想いはあの子に向いていくんだろうな、って。

 恋が散った感情は、マイナスの方にばかり向いていく。]

 

 
 [ やめて、そんな優しい言葉
  ますます泣いてしまう。


  
──── やめないで。ひとりにしないで。



  やめて、仲間の幸せも喜べない
  醜い私に構わないで。


  
──── やめないで。
       その言葉が……
嬉しいの
 ]

 

[ 自分はヒーローじゃないって、
 そんなことをいうけれど。

 でも、わたしにとって辰沙は、
 あの夜、小さかったわたしを助けてくれた彼は、
 わたしにとっての一人のヒーローなんだ。

 それは今も、変わらない。]

[ だから、そんなことを言わないでよ

 いつか、わたしの手の届かない、
 遠いところへ行ってしまいそうで。
 わたしは、それがとても怖い。 ]


 …もう。


[ それでも。
 普段滅多に見ないような顔で微笑まれて、
 約束、なんて言われてしまえば
 つられて、わたしも表情が緩む。 ]


 
 …うん。約束よ。


[ 溢れる涙は、まだ少し止まる気配を見せないけれど
 それでもどうにか片方の掌でそれを拭うと、
 反対側の手の小指を、微笑む彼の目の前にを差し出す。
 
 当たり前の日常なんてものが
 いざというとき驚くほどあっさりと
 脆く崩れてしまうことを知っているから。

 少しでも、言の葉で縛っておきたくなる。 ]


 …じゃあ、気を取り直して。
 お昼ご飯、何にする?
 わたしはカルボナーラがいいかなって思うの。


[ にこ、と表情を崩してみせれば。
 さっき小指を絡ませたときよりも不器用な
 微笑みが返ってくるかしら。 ]


[ ―――それから、その日は考え着く限り休日を満喫した。

 カフェで遅めの昼食を食べた後、書店の中を一通り見て回る。
 絵本や児童書の棚の近くを通りかかったときは
 平積みされた絵本にふと懐かしい気持ちになった。

 まだ、出逢ってまもない頃、
 「本を読んだことはない」「文字も読めない」と
 彼女に告げたところ、さっそく毎日のように
 彼女の読み聞かせが始まった。

 幼児向けの絵本から小学校の教科書、
 やや分厚めの児童書から文庫本までなんでも。
 一生懸命読んでくれたし、文字の書き方も教わった。 

 思えば、彼女は末っ子で、しかも兄たちとは
 比較されてばかりだったと聞いているから。
 …お姉さんぶりたかったのだろうかと、今は思う。]

[ それから、レシピ本のコーナーで暫く足止めを食らった。
 最近彼女はお菓子作りに凝るようになってきた。
 とはいえ生来大雑把なところがあるので、計量がそれほど難しくなく、
かつ工程が簡単なものが彼女としては理想のようだ。

 よく動画サイトをチェックして、気になったもの、気に入ったものを
 積極的に作っている。

 …彼女の作る食べ物は実際美味しいし、
 美味しいと伝えると喜んでくれるので。
 もっと、正直に伝えられるようにならないと。

 「これとかどう?食べたい?」と
 傍らにいるとよく聞かれて居心地が悪いので、
 それとなく距離をとって見守る。

 彼女が本を選んでいるあいだ、近くにあった
 フリーペーパーを手に取って暇つぶしに眺める。
 途中、冊子の片隅に書かれていた
 『SRNK彗星が地球に最接近!千年に一度の天文ショー!』
 と書かれた記事にはほんの一瞬眉を動かしたけれど。

 (4)(5)(15)(8)(11)5d15分後、お目当ての本を見つけたようで
 こちらへ手を振ってかけてきたので再び合流することにする。 ]

[ それから、シアター近くのゲームセンターで
 暫くクレーンゲームに没頭する理音に付き合った。

 彼女のお目当ては、何かのアニメのキャラクターらしい。
 赤い眼をした白兎。
 特に表情のないただのぬいぐるみのはずなのに、
 なんだか妙におちゃらけた印象があるのは、なぜだろう? ]
 
 
 ……、もう、諦めたら?
 
 
[ 既に千円分、このゲームに注ぎ込んでいる。
 これはもうご縁がないということなんだろうけど。


 …どうしてもほしいと言い張る彼女に、
 小さくため息を吐いてから]


 …ぼくがやる。やらせて。
 
 
[ 基本的な操作方法を教えてもらってから、
 ボタンに手をかける。
 ―――本当はよくないけれど、ごめんね。
 彼女の月々のお小遣いの額を知っている身としては
 このまま続けられるのはいろいろ障りがある。 ]