人狼物語 三日月国


260 【身内】Secret

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  ……────っは、……ぁ…ふ……
  おなかの、おく、……あつぃ……


[ まだ媚肉は不規則に震えている。
  初めて迎えた絶頂は思考を止めるのに十分で、
  薄い腹を撫でて息を吐くことしかできない。

  自分の乱暴さを恐れる彼がいる一方、
  女はただ幸福感に酔っていた。
  うれしい、すき、と彼の頬へ自分の頬を寄せる。

  ────そこで漸く思考力は僅かに生き返り、
  はた、と目を瞬かせて ]

 

 

[ 男の人というものは。
  一度出せば終わりではなかったか? ──と
  未だ硬いままの熱を感じ、首を傾げ ]


  ……おにい、さん
  あの……えっと……?


[ 不思議そうな色を湛えて彼を見つめた。
  一度で終わらない性行為の経験はない。
  奇しくも女は今、
  経験がなければ可能性を考えられないという
  フィルター越しに世界を見る立場に立っていた。* ]

 

[他の誰にも渡したことがない言葉で
ルミへの気持ちを表現出来たら良かった。
「好き」も「愛してる」も、
自分の口から出た響きは既に他の人が聞いている。

もう少し言葉が長ければ、彼女にだけ聞かせられる
イントネーションを生み出せたかもしれないのに、
たった二文字ではそれもままならなくて。


二文字で良かったと思うルミと逆のことを考える。
思考の起点がそもそも違うのだろう。

そんな二人でも「好き」に込められた意味に
異議を唱えることはない。

いつか来る終わりの日、
口を開けたり閉じたりする力が喪われても
喉から吐息が零れれば、どちらが聞いていても
「すき」と聞こえる筈。

たった二文字なのに、なんてうつくしい作りなのだろう。]


[呼ぶ言葉も切れ切れになる。
喘ぐ隙間に呼んでくれるから、「ルミ」と呼んで
全部受け止めた。

導火線に火をつけることが出来たなら、後は
爆発に向かってまっしぐら。

強い締め付けと痙攣が、ルミが達したと伝えてくる。
訓練した訳でもないのに胎内は精子の泳ぎやすい体温に
自然と変化するのだから人体は不思議た。]

 ……っはぁ、
 …………ルミも熱いんだ?
 俺はルミのナカが熱く感じた、 ……はは、


[びく、びく、とルミの腹が彼女の意思とは
無関係に引き攣るのを密着した腹で感じる。

子宮が飲めない分が重力に従って落ちて来て、
結合部から滲んで太腿を生温く汚した。]


 ……自分でもびっくりだよ。
 ルミがまだ足りない。


[戸惑うルミに赦しを乞う笑みを向ける。
繋がったまま、頭を手で支えながらゆっくりと押し倒した。

くぽ、と音を立てて一度抜くと、
不透明な液体が桃色の洞からとろりと零れる。
確かに射精したのだとわかるのに、
引き抜いたものはまだかなりの角度を保ったまま。

脚を持ち上げて挿入した。
腹側の内壁を擦り上げるように剛直が進む。*]

 

[ ────世界がふたりだけになればいいのに、なんて。
  肌を重ねて交わる熱に、ふとそう思う。

  もしこの世にわたしと貴方だけが生きていて。
  手を繋いで、走って、転んで、笑い合って息をして
  他の誰も聞いたことのない愛を伝えたら、
  砂をはたき落としてまたわらうの。

  手を繋いでいる方が歩きづらいことも、きっとある。
  足を取られる場所、歩幅があまりにも違う時。
  けれども繋がずにはいられない。
  他の誰にも抱いたことのない衝動が根幹にあれば
  言葉はありふれていても、ふたりだけの愛。

  もし世界に本当に誰もいなければきっと、
  感情の唯一性には気付けないままでいるのだろう。 ]

 

 

[ 思考の起点が違っても、
  好むことが真逆でも良いの。
  地獄か天国かも分からない、混濁した日常の色のなかで
  ふたりのトゥルーエンドを迎えるまで。

  ずっとこうして生きていこうね、
  わたしが愛した王子様お兄さん。 ]


  ──……おなかのなか、やけど、しそう。


[ はふ、と息を零しながら言葉を紡ぐ。
  薄い腹の中におさまった子宮が熱を呑み込んで、
  溢れた白濁はりんごのように下へ落ちた。

  このまま薬を飲まなければ、
  胎のなかで実は育っていくのだろうか。
  ──なんて、する気のない悪巧みが首を擡げる。 ]

 

 


  …………?

  あぇ、ゃ、 まっ────



 

 

[ 許してと甘える術を持っているのに、
  こういう時は言葉では許しを乞わないのがずるい。
  繋がったまま抜かれる気配のない楔の熱と、
  ソファへゆっくり押し倒されることの意味を悟り
  制止するより先に、音を立てて熱が抜けていく。 ]


  ンっ、ぁ……


[ ──気のせい、だろうか。思い違いか。
  抜いてくれるなら行為はもうおしまいで、
  休ませるために寝転ばせただけ……?

  熱が抜けて擦れるだけでもきもちがよくて、
  甘く声を零しながら、思い込みを恥じようとして ]

 

 

  ン、んぅっ、 ふぁ、あ、 ぁあ……っ
  ぁ ふ、〜〜〜ッ♡


[ 身構えなかった身体に、また熱が入り込む。
  腹側を擦り上げられて、
  さっきまで甘やかな刺激だけ感じていたはずの身体は、
  その熱の動きを強い快感に変えてしまう。

  持ち上げられた脚も、うすい腹も。
  全身が大きく跳ねて楔を強く締め付けた。 ]


  んぁ、ふ、…きもち、ぃ……っ


[ 挿入されただけで軽く達してしまったのだ、と
  すぐに気付けるほどの理性は残っていない。
  とろけた顔で彼を見上げ、へにゃ、と笑いかければ
  くちびるは「うごいて」と形を作った。** ]

 

[自分の世界には誰かがいるのが当たり前だったから
ルミが二人だけの世界を夢想している時にも
同じことを思えない。

けれどそれはまだ、「世界の他の誰もがいなくなっても
構わない」という感覚に気づけていないだけかも
しれない。
少年の頃はルミを想う気持ちに恋と名付けられなかったように。

手を繋いだままならば、掌の温度は物理的法則で
溶けあい一定になるのだから、気持ちだってきっと。

表出する言葉はありふれていても、
そこに込められた想いは世界で二人だけに共通するものになる。]


 ケロイド作ろうか。
 他の誰にもつけられない、ルミだって触れない傷。


[実際には胎内を灼く温度の精液が注がれた訳ではないから、
これは単なる妄想だ。
妄想に独占欲を滲ませて目を細める。
その場所を今も自分の先端だけが触っている。

そう思うと、鎮まるまでじっとしていられなかった。]

[いい?とは聞かなかった。
「待って」と言われても待てないのだから、
強引に許して貰う他ないのだ。]


 っ、すぐ、


[抜ける時の甘い声がさみしさを訴えているように感じて
挿入し直すだけだと言う。
さみしいのは自分の方だ。

早く還りたい。]



[自分だけが挿入の角度や速度をコントロールできる体位
だと思っていたのは間違いだった。
ルミの身体が撓り、思ってもみない角度から締め付けられて
低く呻く。

恐らく屹立が彼女のGスポットを経由したからだろうが、
そんな冷静な分析が出来る筈もない。

「好きな人とする気持ちいいセックス」を知った身体は
雄を歓待し全身で快楽を強請る。

妖艶に動く唇の動きを捉えて生唾を飲んだ。]


 っきもちいい。俺も。
 ルミのナカ、堪んない、


[打ち込むという表現が適切な勢いで挿入する。
肌がぶつかってぱちんと破裂音がした。
まだ膣内に残っていた精液が攪拌され、ピストンに
合わせてぶじゅぶじゅと溢れてくる。

痛みを与えないようにという配慮は飛んでしまった。
先刻よりも大きなストロークでルミの蜜壺を摩擦し
子宮口が逃げないように追いかける。**]

 

[ 傷を作ろうか、という声に瞳を瞬かせる。
  他の誰にも絶対につけられなくて
  自分にすらも触れることの叶わない傷。

  きっとそれは叶わない妄想だ。
  実現不可能な夢見話。
  けれど、出来ないことを口にはしてこなかった彼が
  それを言うことを選んだという事実に
  たまらないような気持ちになって。 ]


  ​────ほしいな、
  お兄さんだけがつけてくれる、傷


[ 火傷でもなんでも構わない。
  わたしたちにだけ分かる傷を分かちあって
  ふたりで笑い合えるなら、それだけで。 ]

  

 

  ​───────っや、ぁン、あ ふ、
  〜〜ッッひぅ、あ、ンん……!!


[ 身体を揺さぶられる度に脳が痺れて、
  彼の熱に穿たれるたびに頭がばかになる。

  甘く媚びるような声が溢れて止まらない。
  こんな声を出したいわけでは無いのに、
  今まで知らなかったセックスの快感を味わうと
  自制することさえままならなかった。  ]

  

 

[ きもちいい、​────このままとけてしまいそうだ。

  下りた子宮口は彼の熱を食むために収縮して、
  先端で抉られるたびに吸い付いた。
  やわい膣壁はすっかり彼の形を覚えこみ、
  潤滑油代わりの蜜で摩擦をスムーズに受け入れる。

  どんな時も優しかった彼の追い立てるような動きに、
  知らない顔をまたひとつ見れた気分になって、
  きゅぅ、とまた媚肉が締まって。 ]


  ​───────ッンぁ、ゃ、また……ぁ…っ!


[ がくん、と腰が震えて跳ねた。
  キツく楔を締め上げ、最奥へ迎え入れる動きが増す。
  うねって、熱を包み込んで、
  絶頂に達しながら声を零した。 ]

  

 

  ​──────おにぃさ、すき、っ
  ずっと……ずっと、すき だった、の…ッ


  

 

[ だから本当に、痛みなんて気にせず焼いてほしい。
  どんな時も忘れられないくらいに。

  腕を彼の背中へ回して、
  しがみつくように抱きしめてから
  ふにゃりと笑って彼を見上げた。

  すき、と囁いた時の蕩けた声音のままで
  「あいしてる」と言葉を落として。* ]

  

[実際に施したいのは傷というよりも傷跡なのかもしれない。
触ればそれとわかり、消えることのない痕。

ずっと痛かったのだと知った今は、
もうルミが痛がる姿を見たくないと思ってしまう。]


 もう俺以外につけさせないようにしろよ。
 ルミが自分でつけるのも駄目。


[脚を持ち上げれば自然と膝が目に入る。
酷くはないが赤い線が何本か入っている擦過傷は
偶然の演出の為にルミが自ら負った傷だ。

舌先を押し当てて唾液を練り込んだ。
古来より「ツバをつければ治る」と言われる怪我だが、
これは治療の意味よりも傷に自分の遺伝子をマーキングする行為の意味が大きい。]


 ……ああ、イイな。
 ちゃんと「気持ちいい」って、受け入れてる感じ、


[一度達して女の悦びを知った身体は、
先刻よりも素直に快感を受け取っている気がする。

声は甘く、膣は濡れそぼっていて、
ルミのすべてが男の性感を高めてくれている。

眉根に皴を寄せ、息を詰めた。
高みを一度越えたルミの身体は今回も抵抗なく越え、
熱を寄越せと強くうねる。
対して男の身体は一度達した故に装填に少し時間が
かかり、今度は同時とはいかなかった。

それでも圧迫感に急かされて袋が重くなる。
痙攣する蜜壺が捲れてしまいそうだと懸念しながら
数度抽挿を繰り返し、上から注ぎ込むような恰好で
射精した。]



 ――うん。

 ……お待たせ。

 

[繋がったまま抱き締めると、今度は波が引くように
楔が萎んでいく。
栓を失った洞からは小さな破裂音とともに
生温かい液体が零れ落ちた。]

 

[ 膝の擦り傷は、数日も経てば薄く消えていくだろう。
  偽物の運命を本物にするための対価としてなら、
  あまりに安く軽い傷だ。

  手首に残る皮膚が引きつったような痕。
  自分で自分を傷めつけるのは容易くて、
  一番手軽に楽になれる。
  可視化された痛みが好きだったけれど。 ]


  ……ん、おにいさんが、そういうなら……
  ──ッひぅ、!?
  や、ばか、だめ!


[ もう自傷行為も頑張って辞めると言おうとして、
  傷に押し当てられた舌先の温もりに身体が跳ねた。
  「ばか」なんて言葉が思わず転び出る。 ]

 

 

[ 自分一人で抱えていくために負った傷あとが、
  彼の人生に混じっていくような錯覚。
  或いは傷を経由して、自分という人間のなかに
  彼そのものが入るような。

  ──触れられることがうれしくて、こころが揺れる。
  例えばこのまま本当に二人が融けて
  一緒になってしまえたら良いのに。
  そうではないから出来ることがあると知っていて、
  けれど選ばない道を夢想する。

  合理的な判断が出来なくなるのが恋なのだ。
  この灼けるような戀がいつか骨を灰にしたって良い。
  いつか灰になる日が来るのなら
  次は風に乗って貴方へ会いにいけるから。 ]

 

 


  ────……ッふ、ぁン、 ん、ゃ、あぁ……っ!


[ 腹の奥に二度目の熱を感じて、
  貴方という名前の愛を覚えて、
  輪郭を伴った愛の声を聞いて。

  抱き締められ、零れ落ちた命の成り損ないが足を伝い、
  わたしは知らずのうちに頬を綻ばせた。

  理由も分からないまま涙があふれて、
  考えるよりも先に、花咲くようにわらう。 ]

 

[新陳代謝でも消せないくらいの傷を負った手首でも、
新しい傷を増やしてほしくない。
最初は自分の我儘を聞き入れる彼女の形を取って
いても、いつかは自分の意思で自傷したくないと
思えるように、痛みではなく幸せを可視化して
やらなければ。

たとえば彼女の網膜に自分の笑顔を灼きつけて
たとえば彼女の薬指に自分が贈った指輪を
たとえば彼女の表札を自分と同じ苗字に変えて

たとえば
たとえば

再会してからの時間なんて考えない。
再会の異常性なんて誰にも明かす必要はない。

ただ、具体的に未来を描きたいと思った、
それだけがすべて。]

 




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