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【鳴】 矢川 蛍 ……ごめん、なさい。 [ぐす、ぐす、と泣きながらの謝罪。 意味がわからなくても仕方がない。 でも、なんだか訳がわからないくらい悲しくて それ以上に、申し訳なくて。 こんな訳わかんない状態で泣いてる私に しがみつかれても困るだろうなって。 わたしは隆司さんから腕をはなした。 離して、流しに向かう。 そのまま飛び出して行ってもよかったけど こんな顔で女の子が飛び出した、なんて言われたら 隆司さんに迷惑かかるかもと思ったから。**] (=35) 2021/03/07(Sun) 17:31:57 |
【鳴】 上原 隆司 俺も、望んでないわけじゃない。 けど……妊娠する可能性はゼロにはできないって どうしても考えちまうんだよ。 ……学校に産休はないよなって。 [何を思って踏み止まるのか、それを伝えなければいけないと思って、上原は必死に言葉を選んだ。 けれど思うように伝わる気がしなくて、片手で頭をかいた] 万が一のときに、俺は産んでほしいと思うだろうし…… 蛍もそう思ってくれるんじゃないかと思ってたから。 ……「結婚しよう」で済む歳じゃねえよな。 [そこまで言ったとき、抱き締めることを拒まれていたならもう一度腕を伸ばしただろうし、抱き締めていたなら腕に力を込めただろう。 学校は休学か退学か。 出産前に働いていなかったなら、働けるようになってから仕事の探し直し。 そこまで考えてしまうくらい、上原にとって彼女は大切で、将来を守りたい女性だった。 いつの間にか、そのくらいに想いが強まっていた]** (=37) 2021/03/07(Sun) 17:51:34 |
【鳴】 矢川 蛍 にん、しん? [そう言えば保健の授業で聞いた。 コンドームの避妊率は8割程度で確実じゃなくて 避妊よりは性病予防の観点が強いって。 避妊を確実にするならピルや避妊具を合わせて使うって そう言っていたはず。 ……そう頭にあっても、ゴムしてれば良い。 そんな思いが確かにあった。 それは慢心だったのかな。 ……と、言うか。] ……それは、たしかに、そう。 妊娠"しちゃった"って言い方、きらい。 できれば望んで"授かりたい"と思うし、 授かったら、……ちゃんと産みたい、けど……。 [まだそこまでの未来を描いていなかった。 描いてもどこか絵空事で、 具体性のない夢のようなものだった。 でも。それだけ大切に思ってくれているのか。 将来を思い描いてくれていたのか。 そう思うと、自分の態度がどうしても拙くて。] (=39) 2021/03/07(Sun) 19:52:18 |
【鳴】 矢川 蛍 ごめん、なさい、隆司さん。 ……でも、……好きだから。 [好きだから、次のことをしたかった。 好きなら自然と触れ合いたくなると思ってたから。 回してくれる腕をぎゅっと握りしめる。 今までの自分は、無意識のうちに 自分の体を無碍にしていたのかな。] (=40) 2021/03/07(Sun) 19:52:37 |
【鳴】 矢川 蛍 大好き、だから。 ……結婚するまで、待っててくれる? [結婚か、婚約か。わからないけど。 一つとおい約束をしたい。 待ってて、と言うのもおかしな話かもしれない。 むしろ今回のことを考えると 自分がおあずけ、かもしれないけれど。 なぜかそんな言葉になりながら 私は隆司さんの手を握り締め続けていた。**] (=41) 2021/03/07(Sun) 19:53:01 |
【独】 上原 隆司/* 知人は大学生の頃にもう妊娠してて、教育実習が妊娠中だったとか 人生設計は人それぞれであるな…… リアリティ警察が仕事しまくってしまった (-32) 2021/03/07(Sun) 20:14:50 |
【鳴】 矢川 蛍[それだけ本気。>>=42 ……こんなに短い期間で? そんな疑問はある。 でもそれは自分だってそうだ。 本気で好きだから、好きになったから その先へと進むことを選ぼうとした。 恋人同士でそれが当たり前かと思ったから。 さらにその先までは描けていなかったけれど。] ……私も、待ってる。我慢する。 でも、さっきみたいなキスも……だめ? [ダメだから止められたんだろうけど それなら自粛しなければならない。 触れ合いも我慢できる範囲内にして ……口で、とかやり始めたらキリがないから。多分。 触れ合うだけのキスをされて、向き合いながら 首を傾げてそんな問いを投げかける。 今まで通りのキスだけでも大丈夫。 頭を撫でてもらって、抱きしめあって、 そうしてそばにいられたなら。 でもアレもダメなの? と、 そこから直ぐにえっちに結びつかなかった私は 本気で不思議そうな眼差しを向けた。] (=44) 2021/03/07(Sun) 20:46:22 |
【独】 矢川 蛍[また、これは後日談ではあるけれど。 貴重品ポーチから取り出したのは 例の、母さんから受け取った、アレ。 使用期限は五年後、より短い。 大学卒業まではもたない計算。 と言うことは、これは使う機会は無さそう。 でもこのまま捨てるのはもったいない。 そんな訳で、凛に譲渡しました。 有効活用されると良いと思う。いつかどこかで。] (-33) 2021/03/07(Sun) 20:46:51 |
【人】 矢川 蛍[そんな風に泣いて、慰められてから 私たちはどんなふうに暮らしていたのかな。 高校最後の一年間。 演奏会も見にきてくれたかな。 文化祭にも来てくれたら嬉しいな。 学校での合奏だけじゃなくて 例えば私の部屋で一人で演奏してるところとかも ぜひ聞いてみてほしいし、来てほしい。 合格して、お酒を一緒に飲んで。 割と強い方だけど味は甘い方が好きとか。 お弁当作りは相変わらずのはず。 もっと隆司さんの好みに合うように頑張ったし 時々隆司さんの部屋でも料理をするようになった。 コンロ一口でもなんとかなるものだなって思ったけど やっぱり二口は欲しい、と痛感したりもして。 収納がガラ空きだった隆司さんの食器棚に 自分の使いたい道具や食器を増やしたりもして。 そんな風に、わたしは。 隆司さんとの日々を重ねて行っていた。 変わらず、ううん、より深く 隆司さんへの気持ちを深めていきながら。 喧嘩した時もあったけれど やっぱりわたしは、隆司さんが好き。**] (78) 2021/03/07(Sun) 20:47:16 |
【鳴】 上原 隆司[確かに短い期間だった。>>=44 けれど、この先も共に過ごしていきたいと思う機会が上原にはたくさんあった。 一緒に暮らしてみたいとも。 そこで望まない妊娠が彼女の将来を閉ざしてしまわないかが気がかりで仕方なくなる程度には、真剣であると言えるだろう。 そして、キスのことを不思議そうに言われると、今度は年齢差のほかに性別差を意識することになる上原だった] ……俺が抑えられなくなるからダメ。 [実際には耐えることはできるだろうが、抑えがたい衝動を起こされる可能性を極力排除しようとして、上原は素直に申告した。 矢川が素直に守り続けてくれれば何事も起こらないであろうが、そうでなければ、数年の間に際どい場面はときどきあるのかもしれない] (=45) 2021/03/07(Sun) 21:17:16 |
【人】 上原 隆司[>>78矢川の高校最後の一年間。 上原は演奏会にも文化祭にも顔を出したろうし、卒業式も見に行っただろう。 そのときには矢川の両親に挨拶することにもなったかもしれない。 そのうちに矢川の家に遊びに行く機会もできるだろうし、酒の味はともかく強さが同じくらいとわかれば、一緒にバーや居酒屋を巡る機会も増えただろう。 ときには好みの酒を持ち寄って、家で一緒に晩酌もあったかもしれない。 コンロ不足にはカセットコンロを調達して、矢川が部屋に料理をしに来てくれることを楽しんだ。 喧嘩をすれば上原が折れることのほうが多かったかもしれない。 譲らないときもあったかもしれないが。 そうやって時を重ねながら、矢川と共に暮らしたいという上原の想いは強まっていくことになっただろう]** (79) 2021/03/07(Sun) 21:17:45 |
【人】 矢川 蛍[うちの親は基本的にイベントには参加しない。 だから卒業式まで隆司さんとは合わなかったはずだ。 事前に、隆司さんの年齢のことは話していたし もっと言えばプラトニックなお付き合いの事を 話していたからか。 お母さんの反応は穏やかなものだったけれど お父さんの反応は少し棘があったかもしれない。 『君のせいでうちの卵焼きが』なんて言うから でも美味しいって言ってたこともバラしちゃった。 隆司さん好みの卵焼きも、うちでは好評です。 これからもよろしく、なんて言われたから ちょっと私も恥ずかしかったかな。 セーラー服に袖を通すのも卒業式で終わり。 これで写真撮ろう、なんておねだりもして。] (80) 2021/03/07(Sun) 22:04:50 |
【人】 矢川 蛍[お酒は梅酒が気に入ったから、 そのうち果実酒を隆司さんの家で作ってみたり。 梅、苺、リンゴ、柚子。 本当はまだ成人じゃなかったし 18で成人になっても20までは飲酒喫煙はダメとか 移り変わる間の微妙な頃を味わいつつも こっそり、隆司さんとお酒を楽しんでいた。 でもお酒を飲み過ぎると気持ち悪くはならないけど 一度甘えたすぎて眠過ぎて、で。 散々甘えて抱きついて擦り寄ってキスして しがみついたまま寝ちゃった日があったみたいだから 外で飲む時はお酒は程々に、を貫いてる。 ……多分家で二人で飲んでたから、 タガが外れやすかったんだよ。たぶん。] (81) 2021/03/07(Sun) 22:05:07 |
【人】 矢川 蛍[喧嘩らしい喧嘩は、あまり覚えていないけど。 どうしても行ってみたいテーマパークのイベントがあって そこに行くならせっかくだし日帰りじゃなくて ゆっくり泊まって遊びに行きたい、と言った時 たしか意見が割れたんだった。 お泊まりすること自体だったか。 一緒の部屋か別の部屋か。 部屋の形態か。 その時期はどうしてもいけないと言われたのか。 仕方がなかったり、我慢しなくちゃいけないと 分かってても少し拗ねて不貞腐れた。 そんな日も、あったんだ。] (82) 2021/03/07(Sun) 22:05:27 |
【鳴】 矢川 蛍[凛は信じてくれているけれど 他の友達は、プラトニックなお付き合いを あんまり信じてはくれていない。 とは言え、私もあまり言いふらす事はないけど。 際どいシーンは……>>=45 例の、初めて家で深酒したとき? 海に行くからと部屋で水着を見せた時とか。 合鍵をもらえていたら、うっかり 部屋でうたた寝してた時とか、かもしれない。 積極的にこちらから際どいシーンは 作ってるつもりはなかったし。 そうして、もう私も四年になった。 今の生活が幸せで当たり前になりつつあった。 もう、あの時から数えて5回目のバレンタイン。 今年はチョコのカップケーキを作って それを綺麗に包んで待ち合わせ。 ……美味しく食べてくれると良いな。**] (=46) 2021/03/07(Sun) 22:05:48 |
【人】 上原 隆司[テーマパークのイベントで泊まりの話が出たとき、意見が割れたのはその頃の仕事の状況が主な理由だった。>>82 上原の誠実な取材と納期をきっちり守る仕事ぶりが評価されて、記事のテーマが幅広くなり始め、慣れない記事の締め切りを複数抱えていた頃だった。 その上、ただ書くだけでなく企画を出す側にも回ることになり、新人指導まですることになって、仕事が非常に立て込んでいた。 充実していたとも言える。 そのイベントが2ヶ月後ならギリギリ可能だったのだが、1ヶ月後だった。それではまだ締め切りの渦中で、どうしても断るしかなかった。 そして事情を話して謝ったのに矢川に拗ねられてしまって、上原も少々苛立ってしまったのだ。 それでも1週間も経たないうちに仲直りはしたし、後日埋め合わせを約束して、ちゃんと実行もしたのだった]* (85) 2021/03/07(Sun) 23:01:20 |
【鳴】 上原 隆司[水着が可愛くて抱き締めたことも、うたた寝に気付いて毛布をかけたこともあったが、そのくらいなら上原は割と平然としていた。 少なくとも表面上は。 矢川とのバレンタインも5回目になると思うと、そんなに付き合いが長く続いたことが感慨深かった。 積み重ねた日々を思いながら待ち合わせに向かう前、コーヒーを淹れてボトルに詰めた。 矢川の手作りお菓子でコーヒーを飲むのは上原の楽しみの一つになっていた。機会があるたびに淹れているうちに、少しずつ上達もしていった]** (=48) 2021/03/07(Sun) 23:05:38 |
【独】 上原 隆司/* >>=47 さっき書き忘れたやつはこれ(キスで舌で唇をなぞるのが指でやったのと同じ) それを想像しながら指で撫でてたとか いけませんねえ だいぶ抑えられてませんねえ (-36) 2021/03/07(Sun) 23:07:27 |
【人】 矢川 蛍[こうして、お付き合いを続けていく中で そろそろ卒業間近、となってくると 気になってくるのは次の問題だった。 いつになったら、プロポーズしてくれるんだろう? お互いに耐えて、我慢してきて。 結婚するまで、とは思っている。 自分はもう22になった。 そうすると隆司さんは33。 お互いにゾロ目になったね、なんて 誕生日の時には笑ってたっけ。 別に、エッチしたいからじゃなくて。 それだけじゃなくて。 そろそろ、その言葉を待つ自分がいたりする。] (86) 2021/03/08(Mon) 6:43:46 |