【人】 舞姫 イクリール["同意"を得られた瞬間。>>1:202 なにかが失われたのが自分でも分かったけれど、濃厚な背徳な味に感傷は押し流されて潰えた。 汚れた弱者を心から憐れみ、警戒を怠らず、ダンジョンを抜けて強者の位置に返り咲けただろう青年。 テンガンはきっと、本来なら戦いで命を落とす可能性はあっても名誉を汚すことなんてなかっただろう。友と交わり、力と知を得て、妻を敬い子を愛する、正しい、正しい、綺麗な貴種の人生……。つまらない 羨ましい 在り方。そんな男が。 惨めな格好を強いられて、正解のない選択に引きずり込まれている現状。交わらない者同士がこうして分かりあえるなんて、快楽とはなんて素晴らしいんだろう!どこかで女が嗤っている。 頭痛は止んでいた。これでいい、とイクリールも思った] (1) 2021/05/04(Tue) 11:11:24 |