人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【人】 靖国 冬莉



 そうか、……ありがとな。


[俺は大丈夫だと、髪に触れる指先に少しばかり首を傾けて 繋ぎ止められる指先をきゅうと握り締めた。
 表情筋を緩ませる彼の顔は 昨日から良く見かける気がする。その表情が特別なものだと知っている身としては、その度に心を揺さぶられてしまうのは此処だけの話。自身よりも他人を慮る何時もの彼の姿に、その眩さにすいと目を眇めた。本当にお前さんは心配りが上手だなぁ、と心中零した言葉は果たして口に出ていただろうか。
 
まさか、聞けば不安になるだろう彼自身の生活についても、何なら彼の思慮している配慮も、頭に無い中で。

 
(7) teco 2024/05/04(Sat) 22:04:56