【人】 仕分人 ナルシステムオールグリーン。 白い髪を揺らし乗船口へと急ぎ足で駆けていく影ひとつ。 「こちら仕分―― ヘブっ!! 」正面で見ていた者がいたのなら、突然視界から人影が消えたように見えただろう。 そんなシステムの前で無様に倒れた168cmへ、無機質な声が届けられる。 《識別コードとお名前をどうぞ》 転んだ拍子に腕の中から飛び出していった『ガラクタ』は、彼を囲むようにばら撒かれ、音を立ててタラップの上を転がった。 「……識別コードTEL-362、こちら仕分人ナル、です。 ただいま乗船、します!」 起き上がりながらコールをし、ハアと口にして前髪を整える。 しかしその間にも、先を進んでいたドローンが戻ってきて、ゴミ掃除のつもりで片付けをし始めてしまって。 「待って、それは私の荷物なんですよっ」 さあ、手を伸ばし、しっかり袋の中身を詰めたなら。 いつもの声に誘われるまま、船の中へと向かおうか。 non est ad astra mollis e terris via. この宇宙の広さに比べれば、こんな不幸などちっぽけなことだ。 「ああっ、血が」 (19) toumi_ 2024/03/18(Mon) 16:19:12 |