【人】 杓谷 薫「…直ぐ上がりますから。」 >>34何かを言いかけたようだった。 >>35けれど、小首を傾げて誘いを受け入れる彼女を見て、思わず頬が緩む。 クイッとグラスを呷ると甘いアルコールが喉を灼く。 マスターに声をかければ、仕方ないわねと言ったふうに笑顔で解放してくれるはずだ。 今日は新人くんもいるし、それでいてお客様も少ない。 それでも、ある程度引き継ぎや片付けで待たせる事になっただろう。 奥に引き、戻ってきた私はパンツスタイルの私服に着替えて、彼女の元へ。 「お待たせしました。…どこに行きましょう? カフェでも良いですし、 私の部屋も近いですよ。」 お客様を部屋に連れ込むとは、と言われるかもしれない。 けれど、職業柄ある程度アルコールは揃えてあるし、簡単な肴も作れる。 二次会に使われる事自体はよくある話なのだ。 けれど、深夜にやってるカフェで話すのも悪く無い。 彼女を連れて外に出ようとしながら、囁いた。 (37) 2023/04/11(Tue) 20:57:20 |