【人】 灯屋 レイ>>31 アイシャ どうしてその花を指したのか。 ただ向けた先にあったのか。それとも、貴方の瞳の色と同じそれについ意識が向いたのか。 差し出される紫の花を見つめる。不信感。期待。 どこか、見透かされているような気さえした。 「期待に応えられるかは、わかりませんよ」 リボンの添えられたラベンダーを受け取る。 壊れ物を触るように、両手でそっと。 「―――私は、貴方のような。 このような場でも人々を和ませる事ができる、笑顔を振りまける、貴方のような者が。 何事もなく過ごせる場所を願っていました」 張り紙を見たこれにとって、その願いは過去形だ。 礼を告げ、対価はまた後日にと続けただろう。 (38) 2021/12/11(Sat) 20:13:09 |