人狼物語 三日月国

167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】


【人】 害のない毒 マキアート

>>35 ヴォルデ

「へえ?動物園には行ったことない?
 見世物小屋フリークショーも観たことないのかな」

いかにもその辺りで見受けられそうなラインナップに、思わず目を丸くして聞く。ただ、すぐに「あ」と短く声をあげつつ渋い顔をして。

「えーと、……ごめんね、
 ないからどうってわけじゃないんだ」

男の身なりは見るからに整っており、物を買い与えようとした口振りからして貧困なんて無縁そうで。
とどのつまり、無意識のうちの嫌味になり得る。それに気づいたから一つ謝罪を挟んだ。

後を追うようにまた屋台の前に立ち、さっきは軽く見ただけのレトリバー以外のぬいぐるみらを眺める。

「……俺にとっての一番は犬だけど、
 猫鳥鼠も十分にかわいいよなあ。

 あとは個人の好みの差でしかなくって、
 ましてやどれが可愛いか、優れてるか比べ合うことに大した意味なんてない」

「だからそもそも、
 優劣を意識したことないってのも素敵なことさ。
 今のキミにとって動物たちは、
 全て等しい価値でいるってことでもあるからね」

まあ結局は押し付けなきゃいいんだよ。
言いつつ猫のぬいぐるみに笑みを向けて。
それはまるで、他の誰かに言い聞かせてるようでもあった。
(40) 2022/08/13(Sat) 13:54:36