【人】 春山宮 霞わかりました、それなら、ちょっと待ってくださいね。 [奥まっていても、誰かが来る可能性はある。 チリン、と一つ呼び鈴を鳴らせば青い釣瓶火が現れる。] しばらくここを使う。貸切の連絡を宿に入れておいてくれ。 [そう伝えれば、釣瓶火はぼうっと燃え上がって消える。 そうして、回廊のうちこの場所へと続く道は幻のように見えなくなる。 貸切っていることが明らかなら、たとえ見えてもそうと知って入ってくる者はないだろう。] お待たせしました。 いいですか、……花枝。 [少し迷って、花枝さん、ではなく花枝、と呼ぶ事にした。 見かけの歳は下でも、この方が自然に思えたから。 帯を解いて、羽織を脱いでいく姿が目に入れば、自然とそちらに視線は吸い込まれる。 背を向けて問われたことに、一つ頷いた。] (48) 2023/12/26(Tue) 22:44:19 |