―大浴場―
[獣のようなテンガンに組み敷かれたイルが、ひと際に深い絶頂を迎えて、二人の行為は終わった。
一部始終を見ていた自分の心に沸いたのは、二人が別の何かになりつつある、どうしようもない苦しさと、これからイルをどうしようかという、底なしの肉欲だった。
本当に、自分は別の何かに変わってしまったのだと実感する。
イルへの報復を済ませたテンガンが、この場を去ろうとするなら、何も言わずに見送るだろう。
――淫魔に、「心の内の欲望を露わにしてしまう魔法」
>>1:152を掛けられる前の自分であったなら、間違いなくそうしたはずだ。]