人狼物語 三日月国

87 【身内】時数えの田舎村【R18G】


【人】 さよなら 御山洗

>>66 宵闇

掠れるような声でそう吐き出して。伸ばしてたが肩を押して遠ざけた。
苦痛を堪えるように目を伏せる。焼けた髪の色より幾分濃い色の睫毛が視界を閉ざした。
首を横に振る。力は強かった。そのまま、腕を伸ばしても届かないくらいに距離を空ける。

「……ごめん。祭りには、一人で行ってくれ。
 瑠夏とか百千鳥とか、みんな待ってるだろ。
 俺は一緒に行かない。行けない。だから、一人で行ってくれ」

言うつもりはなかった。言うべきことではなかった。
ずっと、いつだったか、子供の自分が口を閉ざして隠していたものを、自分が壊してしまった。
御山洗は恐れていた、怯えていた。自分にとって大事な思い出を壊すこと。
御山洗はこの場所に帰ってくるまで思い出の中にしまっていられた、焦がれるほどそばに置かずにいられた。
なのに、帰ってきてしまったから。思い出のままにしておきたかった全てを掘り起こしてしまった。
口にすれば全てを終わらせてしまうのをわかっていた。
いつかの三人組ではいられなくなることを、わかっていた。

「……今までありがとう」

だから、これは、決別だ。
(70) 2021/08/16(Mon) 11:32:23