【人】 騎士見習い テンガン[完璧に庶民に変装できていると思い込んでいるテンガンは、イクリールと名乗る女性>>78に若君と呼ばれた時も理由が分からずドキリと動揺したほどだった。 誰から見てもバレバレだとはテンガンは露にも思っていない。 結局、イクリールという女性は初対面の人には誰にでも丁寧に「若君」と呼びかける人なのだろうと自分を納得させて、テンガンは気を落ち着かせた。 そんなテンガンだから、目の前の謎の男の視線も、皮肉げな笑み>>74の理由もまったく分かっていなかった。 自分の態度の何が可笑しいのかと頭の中に疑問符を浮かべるばかりだった。] ああ……そうか! 確かに正当な報酬は必要ですね。 [男が快く「案内してやっていい」と言ってくれたのだから、正当な報酬を払うべきだとテンガンは感じた。 男に道案内してもらえることにほっと安堵しながら、銀貨の入った革袋を取り出した。 数週間冒険者として生活を送ってきて、ここで金貨や小金貨を払うのは物価的に高すぎると流石のテンガンも学んでいる。] これくらいで足りますか? [革袋の中から無造作に掴んだ銀貨の塊が何枚あるか数えもせずに、そのまま男に差し出した。 テンガンにとって金とは一枚二枚と数えるものではなく、量で量るものだった。]** (81) 2021/04/30(Fri) 22:10:52 |